JPH0622649Y2 - 重量物の移動用支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、下部に空所を有する重量物の移動を容易にす
るための移動用支持構造に関する。このような重量物と
しては、収納家具，竪型ピアノ，立設型自動販売機，装
飾用設置物等を挙げることができる。ここで、収納家具
とは、食器棚，本棚，キャビネット，ロッカー等を含む
広義の意味で使用されている。

従来の技術及びその問題点 例えば、収納家具は、大きく且つ重いものが多く、一旦
設置された後は、移動に困難を伴う場合が多々ある。収
納家具によっては下端にキャスタを配設したものも種々
提案されているが、該キャスタだけで荷重を受けるた
め、設置状態が不安定となり、またキャスタに荷重が集
中するため、上記収納家具設置面が畳や絨毯である場合
には長期間の設置により該設置面を変形させるので不向
きである。他の重量物においても移動の容易性が要請さ
れる反面、設置時の安定性や美観の点から、キャスタ等
の移動用部材を常時使用して設置することが望まれない
場合が多い。

本考案の目的は、上記要請に応えるべく、常時は重量物
の下端面による安定的な設置を可能にし、必要に応じて
移動用部材が該重量物下面から突出されて移動を容易に
する重量物の移動用支持構造を提供することにある。

問題点を解決するための手段 本考案の上記目的は、下部に空所を有する重量物の該空
所内に上下動可能に収容され水平に延びる可動部と、前
記重量物に固定的に設けられたガイド部材を有し前記可
動部を鉛直方向に案内するガイド部と、前記可動部を前
記ガイド部による案内下に上下動させる駆動部と、前記
可動部の長手方向両端部から下方に突設された移動用部
材とを備えており、前記移動用部材は、前記可動部の上
昇位置において前記重量物の空所内に収容され、該可動
部の最下降位置において該移動用部材の下端が前記重量
物の下端より突出した位置をとるようにされていること
を特徴とする重量物の移動用支持構造により達成され
る。

実施例 以下に、本考案を、洋服だんす等の収納家具に適用した
場合を例にとって添付図面を参照しつつ説明する。図示
の収納家具は、上部に収納部（一部のみを示す）（Ａ）
を、下部に空所（Ｃ）を形成する枠体（Ｂ）を有する。
本実施例において、収納部（Ａ）の底板を（Ｄ）で示
し、枠体（Ｂ）の底板を（Ｅ）で示す。また、収納家具
の間口方向を左右方向と、奥行方向を前後方向と記す。

枠体（Ｂ）には、収納家具の左右両側の各々に独立して
移動用支持構造が設けられている。以下、一方の移動用
支持構造（１）について詳細に説明する。

この移動用支持構造（１）は、空所（Ｃ）内に上下動可
能に収容され前後方向に向け水平に延びる可動部（２）
と、収納部底板（Ｄ）及び枠体底板（Ｅ）に両端が固定
されて上下に延び可動部（２）を鉛直方向に案内するガ
イド棒（３）と、可動部（２）をガイド棒（３）による
案内下に上下動させる駆動部（４）と、可動部（２）の
長手方向両端部から下方に向け突設されたキャスタ
（５）とを備えている。

駆動部（４）は、鉛直方向に延びるねじ孔を有し可動部
（２）の中央部に取り付けられたボールねじ用ナット
（４１）と、収納部底板（Ｄ）及び枠体底板（Ｅ）に両
端が支持されナット（４１）に螺合するように立設され
たねじ付ロッド（４２）と、該ねじ付ロツド（４２）を
正逆回転させるための駆動装置（４３）とを備えてお
り、ねじ付ロッド（４２）の正逆回転に基づき、可動部
（２）が上下動するようになっている。

駆動装置（４３）は、枠体底板（Ｅ）上面の左右両側中
央部に固定されてねじ付ロッド（４２）の下端と連結さ
れたウォームギア式減速機（４４）と、空所（Ｃ）の中
央部から左右両側へ延び各端部が減速機（４４）の入力
軸に連結された駆動軸（４５）と、枠体底板（Ｅ）上面
の中央部に取り付けられベルト式伝動装置（４７）を介
して駆動軸（４５）を回動させる電動機（４６）とを備
えている。

上記のように構成された移動用支持構造の作用を説明す
る。

第１Ａ図及び第１Ｂ図は、収納家具を設置した状態を示
す。この場合、可動部（２）は、上昇した位置にあり、
該可動部（２）及びこれに取り付けられたキャスタ
（５）は、空所（Ｃ）内に収容された状態をとる。従っ
て、収納家具は、枠体（Ｂ）の下端面が設置面（Ｇ）に
接した通常の設置状態に安定的に保たれる。

この収納家具を移動させる場合、駆動装置（４３）を作
動させてねじ付ロッド（４２）を回転させ、可動部
（２）を下降させる。これにより、該可動部（２）に取
り付けられたキャスタ（５）は、枠体底板（Ｅ）に形成
された開口（Ｏ）を経て下降しし、設置面（Ｇ）を押圧
する。該押圧力に対する反力により、収納家具が持ち上
げられ、更に可動部（２）を下降させて最下降位置に移
行させることにより、第２Ａ図及び第２Ｂ図に示すよう
に、キャスタ（５）は、収納家具下端より下方へ突出し
た状態となる。キャスタ（５）の作用により、収納家具
は、小さな力で容易に移動され得ることとなる。

収納家具を所望の設置位置へ移動した後は、再び駆動部
（４）を作動させて可動部（２）を上昇させればよい。
これにより、収納家具は下降し、上記した設置状態に保
たれる。

このように、本実施例の移動用支持構造は、可動部
（２）の上下動という簡便な操作で、収納家具の如き重
量物を設置状態から移動可能状態に、或いは該移動可能
状態から設置状態に移行させることができる。

なお、上記実施例においては、移動用支持構造を重量物
枠体の左右両端部に各々独立して取り付けていたが、例
えば枠体の左右両端に亘って延びる可動部を備えた１つ
の移動用支持構造を取り付けてもよい。

また、上記実施例においては、駆動部として、電動機の
駆動に基づくねじ付ロッドの回動により、可動部を上下
動させる機構を採用していたが、電動機に代えて、人手
による回転式ハンドルを用いてもよい。或いは、駆動機
構として、ピストンロッドの出入に基づき可動部を上下
動させる流体圧シリンダを用いてもよく、ラック及びピ
ニオンの噛合に基づき可動部を上下動させてもよい。

更にまた、上記実施例においては、移動用部材としてキ
ャスタを用いたが、この他底面が、フッ素樹脂コーティ
ング面、或いは平滑な金属面などとされた滑り部材等を
適宜採用できる。

本考案は、上記した収納家具の例と同様にして、装飾用
設置物等の種々の重量物にも適用できる。また、本考案
にかかる移動用支持構造は、重量物とは別個に該支持構
造部分を組み立てて該重量物に取り付けることができ
る。

考案の効果 以上から明らかなように、本考案移動用支持構造におい
ては、つぎの効果を得ることができる。

即ち、重量物下部の空所内に上下動可能に収容された可
動部を有し、該可動部の下面に設けられた移動用部材
が、該可動部の上下動に伴って、重量物下端より上方の
位置と、該下端より下方へ突出した位置とをとるように
されているので、常時は重量物の下端面による安定的な
設置を可能にし、必要に応じて移動用部材を該重量物下
面から突出させて移動を容易にすることができる。この
可動部の相対的上下動は、駆動部の作動に基づき行われ
るので、人手による大きな力を要することなく操作でき
るようにすることが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ図は本考案の１実施例にかかる移動用支持構造を
収納家具が設置状態にある場合を例にとって示す縦断側
面図、第１Ｂ図はその縦断正面図、第２Ａ図は収納家具
が移動状態にある場合を例にとって示す縦断側面図、第
２Ｂ図はその縦断正面図である。 （１）……移動用支持構造 （２）……可動部 （３）……ガイド棒 （４）……駆動部 （５）……キャスタ （３１）……ガイド棒 （４３）……駆動装置 （Ａ）……収納部 （Ｂ）……枠体 （Ｃ）……空所 （Ｄ）……収納部底板 （Ｅ）……枠体底板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下部に空所を有する重量物の該空所内に上
   下動可能に収容され水平に延びる可動部と、前記重量物
   に固定的に設けられたガイド部材を有し前記可動部を鉛
   直方向に案内するガイド部と、前記可動部を前記ガイド
   部による案内下に上下動させる駆動部と、前記可動部の
   長手方向両端部から下方に突設された移動用部材とを備
   えており、前記移動用部材は、前記可動部の上昇位置に
   おいて前記重量物の空所内に収容され、該可動部の最下
   降位置において該移動用部材の下端が前記重量物の下端
   より突出した位置をとるようにされていることを特徴と
   する重量物の移動用支持構造。
2. 【請求項２】前記駆動部は、前記重量物下部に対し軸線
   周りに回動可能に取り付けられた上下方向に延びるねじ
   付ロッドと、前記可動部に固着され前記ねじ付ロッドに
   螺合するナットと、前記ねじ付ロッドを回転させるため
   の駆動装置とを備えていることを特徴とする請求項１記
   載の重量物の移動用支持構造。