JP2561472Y2 - 昇降式家具類 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、天板部を作業に合った
高さに調整し得る昇降式家具類に関する。

【０００２】

【従来技術及びその問題点】例えば、流しや調理台を備
えた厨房用家具を使用する場合、使用者は調理などの作
業をその前に立って行なうが、この厨房用家具が使用者
の身長に合わない高さであると、無理な姿勢を長時間取
り続けることとなり、疲労や腰痛の原因になる。これに
対処するため、使用者の使い易いように天板部を作業に
合った高さに調整し得る昇降式家具類（実願平３−１９
８７９号）が提案されている。

【０００３】該昇降式家具類の天板部両側に配置されて
いる昇降装置は、天板部の奥行き方向に延び建物の壁面
に固定される上部フレーム及び下部フレーム並びにこれ
ら両フレーム間に鉛直に延びるコラムを有した固定部
と、該コラムに平行に前記フレーム間に延びるラック
と、該コラムに沿って延び少なくとも上下端を該コラム
に摺動可能に係合させた摺動子と、該摺動子に固定され
前記天板部の間口方向に延びて該天板部を支持する支持
アームと、前記摺動子に固定され前記ラックに噛合する
ピニオンと、前記摺動子に固定され該ピニオンを正逆回
転させるモータと、シリンダ及びプランジャーの一方を
前記固定部に支持され他方を前記摺動子に支持されたガ
スシリンダ装置とを備えている。

【０００４】該昇降式家具類においては、このように昇
降装置が天板部と一体的に固定された構造とされてい
る。このため、該昇降式家具類の設置時において昇降装
置の取付を行なう際は、建物壁面及び設置面と前記固定
部の上下各フレームとの固定を行なう必要があり、その
ための作業に手間と時間が掛かっていた。該昇降式家具
類の設置後の補修においても、同様に、建物壁面及び設
置面と固定部の各フレームとの固定を解除する作業に手
間と時間が掛かっていた。

【０００５】特に、システムキッチンの場合には、建物
の厨房スペースを有効に使用するように平面視Ｌ字形又
はコ字形の配置を有するものがあり、このような家具に
おいては昇降装置が家具両端部のみならずその中間部に
も配置される。この場合、従来の昇降式家具類のように
天板部と昇降装置とが一体的に組み立てられたものは、
その設置及び設置後の補修の作業が大変困難なものとな
っていた。

【０００６】

【問題を解決するための手段】本考案の目的は、前記問
題を解消し、設置及び設置後の補修が簡単に行なれ得る
昇降式家具類を提供することにある。

【０００７】本考案の前記目的は、天板部と該天板部の
高さ調整のための昇降装置とを備えた家具類であって、
前記昇降装置は、可動部と固定部と駆動部とを備え、前
記可動部は、前記天板部に対し前後方向への摺動を伴っ
て前記天板部に着脱可能な支持フレームと、該支持フレ
ームに上端部を固定され鉛直下方に延びる案内シャフト
とを備え、前記固定部は、前記支持フレーム下方に設け
られ前記案内シャフトを上下方向に案内する案内フレー
ムと、該案内フレームを支持し下端が家具類の設置面に
接する脚部フレームとを備え、前記駆動部は、正逆回転
可能な駆動モータと、該モータによって駆動される送り
ねじ機構とを備えており、該送りねじ機構は、前記固定
部に装着され前記駆動モータにより回転される送りねじ
と、前記支持フレームに結合され、該駆動モータの正逆
回転に応じて前記送りねじ上を昇降させられる昇降体と
を備えていることを特徴とする昇降式家具類により達成
される。

【０００８】本明細書において、前記天板部とは、例え
ば、厨房用家具においては流し、調理台及び収納ケース
等を有する本体部、陳列用家具においては陳列棚を有す
る本体部、机、テーブル及びカウンタ等においては甲板
を各々表わし、いずれも作業面とされる台又は棚を有す
る部分とする。

【０００９】

【実施例】以下、本考案につき、厨房用家具を例にとっ
て添付図面を参照しつつ説明する。 本実施例に係る厨
房用家具（Ａ）の平面図及び正面図を図７及び図８に各
々示す。厨房用家具（Ａ）は、昇降可能な天板部（Ｂ）
及び該天板部と別体とされた基部（Ｃ）を備えている。
天板部（Ｂ）は、流し（Ｄ１）の他、調理台（Ｄ２）、
引き出し（Ｄ３）及びコンロ台（Ｄ４）等の調理用設備
が一体に設けられた家具本体部であり、これらの下に基
部（Ｃ）が位置している。厨房用家具（Ａ）の両側部
（図中、二点鎖線の部分）のスペース（Ｅ）内には図
１、図６に示すような昇降装置（１）、（１´）が配置
されている。天板部（Ｂ）は、昇降装置（１）、（１
´）が最下降位置にあるときには基部（Ｃ）により支持
される。昇降装置（１）、（１´）は、図８の状態、す
なわち、天板部（Ｂ）が基部（Ｃ）により支持されてい
る状態において厨房用家具（Ａ）のスペース（Ｅ）に対
し脱着可能である。

【００１０】図１は前記厨房用家具に使用される昇降装
置（１）の縦断側面図、図２は、図１のＩ−Ｉ線に沿う
横断面図である。昇降装置（１）は、可動部、固定部、
及びこれら両部間に配置される駆動部を備えている。

【００１１】前記可動部は、家具天板部に対し前後方向
への摺動を伴って該天板部に脱着可能な支持フレーム
（２）と、該支持フレーム前後端部の各々に上端部を固
定され鉛直下方に延びる２本の案内シャフト（４）と、
該案内シャフトの下端部を固定する結合フレーム（３）
とを備え、全体が側面視ロ字形の枠状に組み立てられて
いる。

【００１２】案内シャフト（４）上端部と支持フレーム
（２）との固定は、支持フレーム（２）にボルトにより
固定されたフランジ部を有する軸支持部材（２１）を介
してなされている。図４において、（ａ）は軸支持部材
（２１）の平面図、（ｂ）は軸支持部材の側面図であ
る。該図に詳細に示すように、軸支持部材（２１）に
は、案内シャフト（４）を収容する貫通孔（２１１）か
ら半径方向に延び外部と連通するスリット（２１０）が
設けられており、貫通孔（２１１）に収容された案内シ
ャフト（４）上端部が、前記スリットを横切って貫通し
た締付ボルト（２１２）により固定されている。

【００１３】案内シャフト（４）下端部と結合フレーム
（３）とはボルトにより固定されている。これら案内シ
ャフト上下端部の結合は、上記の他、種々の手段を用い
てなすことができる。

【００１４】前記固定部は、支持フレーム（２）下方に
設けられ案内シャフト（４）を案内する案内フレーム
（５）と、上端部において該案内フレームを固定し下端
部において家具設置面に接する脚部フレーム（６）とを
備えている。

【００１５】案内フレーム（５）の前後方向には、２本
の案内シャフト（４）を滑らかに上下動させ得るよう
に、ベアリング部材を内面に設けたブッシュ（５１）が
各々取付けられている。

【００１６】脚部フレーム（６）は、案内フレーム
（５）の前後端部をボルト（Ｐ３）により各々固定した
前板（７）及び後板（７´）と、これら両板間の左右両
側を囲む側板（８）、（８´）とを備えている。前記脚
部フレームの底部には、両端部がボルト（Ｐ４）により
脚部フレーム（６）の前板（７）及び後板（７´）に各
々固定されている底板部（９）が配置されている。昇降
装置（１）と床面との滑りをよくするように、前記脚部
フレームの底面部（９１）にはプラスチック材料等の滑
動部材を設けることが望ましい。

【００１７】駆動部（１０）は、正逆回転可能なモータ
（Ｍ）と、該モータの回転調整のための歯車列（１１）
を介して回転されるねじ軸により昇降ロッド（１２）の
進退動をなし得るシリンダ装置（１３）とを備えてい
る。シリンダ装置（１３）は、昇降ロッド（１２）先端
部が支持フレーム（２）にボルト（Ｐ０）で固定され、
シリンダ本体部が底板部（９）を介してボルト（Ｐ１）
により脚部フレーム（６）に固定されている。モータ
（Ｍ）はブレーキ付モータ等種々のモータを使用し得
る。駆動部（１０）の下部には、シリンダ装置（１３）
のピストンの位置決め、すなわち昇降装置の天板支持位
置を制御するための調整装置（１４）が備えられてい
る。

【００１８】図３は、駆動部（１０）の詳細を示す（図
には調整装置（１４）が省かれている）。駆動装置（１
０）においては、モータ（Ｍ）の回転は、歯車列（１
１）の歯車（Ｇ１）、（Ｇ２）、（Ｇ３）により送りね
じ軸（１９）に伝えられる。

【００１９】送りねじ軸（１９）は、歯車（Ｇ３）の上
下の位置においてベアリングにより支持されている。送
りねじ軸（１９）は、中央部から上部にかけて該軸外周
部にねじ部（Ｓ）が形成されている。送りねじ軸（１
９）の外側には、ねじ部（Ｓ）と噛合するねじ付ブッシ
ュ（１３１）を下端に有し支持フレーム（２）との取付
孔が上端に形成された中空状の昇降ロッド（１２）がね
じ部（Ｓ）を収容するように配置されている。更に、昇
降ロッド（１２）の外側には、該昇降ロッドを案内する
案内ブッシュ（１３３）を上端に有し前記歯車列のケー
シング部に下端を固定された外カバー（１３５）が配置
され、昇降ロッド（１２）下端部と外カバー（１３５）
との間に摺動リング（１３２）が配置されて、シリンダ
装置（１３）が形成されている。

【００２０】図５は、厨房用家具（Ａ）の天板部（Ｂ）
と支持フレーム（２）との取付状態を示す拡大図であ
る。支持フレーム（２）は、断面Ｕ字形の溝部と、該溝
部両端から水平方向外側へ突出した側縁（２２）とを有
し天板部奥行き方向（図の紙面に対して垂直方向）に延
びている。一方、天板部（Ｂ）底面には側縁（２２）を
案内する段部が形成され該天板部奥行き方向に延びるガ
イド（Ｒ）が配置されている。支持フレーム（２）の側
縁（２２）は、ガイド（Ｒ）の前記段部と天板部（Ｂ）
底面とにより形成された間隙に係合されている。厨房用
家具（Ａ）の天板部（Ｂ）と昇降装置（１）の取付け
は、支持フレーム（２）の側縁（２２）と天板部底面の
ガイド（Ｒ）とが係合され、且つ天板部奥行き方向に摺
動されることにより行なわれ得る。したがって、昇降装
置（１）の支持フレーム（２）が降下し基部（Ｃ）に支
持された状態でスペース（Ｅ）内に押し込めば、昇降装
置（１）を厨房用家具（Ａ）両側のスペース（Ｅ）内に
収納し該家具と一体化することができる。また、昇降装
置（１）を取り出す際も、該昇降装置の前記支持フレー
ムが降下した状態で引き出せばよい。これらの作業の際
は、電気配線用のコネクタの接続又は取外しを行なう。

【００２１】天板部（Ｂ）の高さを調節する際は、図外
に設けられたスイッチが入れられ昇降装置（１）の駆動
部（１０）のモータ（Ｍ）が駆動される。この駆動力
は、モータ（Ｍ）の駆動軸から歯車列（１１）を介しシ
リンダ装置内の送りねじ軸（１９）に伝えられる。送り
ねじ軸（１９）の回転により、該軸の上方側外周に設け
られているねじ部（Ｓ）に噛合しているねじ付ブッシュ
（１３１）が昇降ロッド（１２）と共に上下方向に送ら
れ、支持フレーム（２）が、前記昇降ロッドからの駆動
力により、案内フレーム（５）に案内された昇降シャフ
ト（４）と共に上昇又は降下する。これにより、天板部
（Ｂ）の昇降が行なわれる。

【００２２】図６は、他の例の昇降装置（１´）の縦断
側面を示す概略図である。図６に示す昇降装置（１´）
は、昇降装置（１）にガスシリンダ装置（Ｇ）が更に備
えられたものである。ガスシリンダ装置（Ｇ）は、シリ
ンダ本体部（１６）がボルト（Ｐ５）により支持フレー
ム（２）に固定され、プランジャ（１５）が、脚部フレ
ーム（６）底部の底板部（９´）に設けられた取付孔
（１７）にボルト（Ｐ６）により固定されている。

【００２３】昇降装置（１）において、天板部上昇時に
はモータ（Ｍ）の停止により可動部は直ちに上昇を停止
するが、天板部下降時には天板部の荷重方向と移動方向
とが一致するため可動部はモータ（Ｍ）停止に対応した
位置より幾分オーバーランして停止する傾向がある。こ
のため、より正確な位置決め制御が必要な場合は、昇降
装置（１´）のようにガスシリンダ装置（Ｇ）を更に備
えれば、天板部の荷重を可動部とガスシリンダ装置とで
分担して支持するので、可動部のオーバーランを抑制す
ることができる。

【００２４】駆動部（１０）の下部に備えられている調
整装置（１４）は、昇降ロッドのねじ送りをする送りね
じ軸（１９）の回転数から昇降ロッド（１２）の位置の
検出又は算出を行ない、且つこれらの検出又は算出によ
り得られた結果を制御して天板部（Ｂ）の設定高さを正
確に調整するためのものであり、種々の構造が可能であ
る。

【００２５】なお、本明細書には図示されていないが、
天板部の高さ調整の上限を設定するためのリミットスイ
ッチ、及び天板部の昇降中に異常又は障害物の存在を感
知した場合の安全又は緊急停止スイッチ等を適宜装着す
ることができる。

【００２６】

【考案の効果】本考案の昇降式家具類は、正逆回転可能
なモータによる駆動力が送りねじ軸に伝えられ、該軸に
よりねじ送りされ昇降し得る昇降体と、昇降式家具類天
板部に対し前後方向への摺動を伴なって該天板部に着脱
可能な支持フレームとを有する昇降装置を備えている。
このため、前記昇降体により家具類天板部を昇降させ、
使用者の使い易いように天板部を作業に合った高さに調
整することができる。しかも、前記支持フレームにより
昇降装置の脱着が容易に行なわれ得、設置時及び設置後
の補修を簡単にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例に係る昇降式家具類の昇降装置の
縦断側面図である。

【図２】図１のＩ−Ｉ線に沿う横断面図である。

【図３】昇降装置の駆動部の縦断面図である。

【図４】支持フレームと昇降シャフト上端部を固定する
軸支持部材の説明図である。

【図５】昇降装置の支持フレームと天板部との取付状態
を詳細に示す説明図である。

【図６】他の昇降装置の例を示す縦断側面図である。

【図７】本考案に係る昇降式家具類の平面図である。

【図８】図７の正面図である。

【符号の説明】

Ａ 厨房用家具 Ｂ 天板部 Ｃ 基部 １ 昇降装置 １´ 昇降装置 ２ 支持フレーム ３ 結合フレーム ４ 昇降シャフト ５ 案内フレーム ６ 脚部フレーム ７ 前板 ７´ 後板 ８ 側板 ８´ 側板 ９ 底板部 １０ 駆動部 １１ 歯車列 １２ 昇降ロッド Ｍ モータ １９ 送りねじ軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭58−5846（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−131336（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭64−42371（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 天板部と該天板部の高さ調整のための昇
   降装置とを備えた家具類であって、前記昇降装置は、可
   動部と固定部と駆動部とを備え、 前記可動部は、前記天板部に対し前後方向への摺動を伴
   って前記天板部に着脱可能な支持フレームと、該支持フ
   レームに上端部を固定され鉛直下方に延びる案内シャフ
   トとを備え、 前記固定部は、前記支持フレーム下方に設けられ前記案
   内シャフトを上下方向に案内する案内フレームと、該案
   内フレームを支持し下端が家具類の設置面に接する脚部
   フレームとを備え、 前記駆動部は、正逆回転可能な駆動モータと、該モータ
   によって駆動される送りねじ機構とを備えており、該送
   りねじ機構は、前記固定部に装着され前記駆動モータに
   より回転される送りねじと、前記支持フレームに結合さ
   れ、該駆動モータの正逆回転に応じて前記送りねじ上を
   昇降させられる昇降体とを備えていることを特徴とする
   昇降式家具類。
2. 【請求項２】 前記支持フレームと前記脚部フレームと
   の間に作用するガスシリンダ装置を更に備えていること
   を特徴とする請求項１に記載の昇降式家具類。