JPH06225535A - 整流器の出力制御回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】複数台並列に接続された各整流器が、他の整流
器から流し込まれる電流を抑制する制御回路の提供。 【構成】複数台並列に接続された整流器の整流器間に流
れる電流と、整流器の出力電圧を検出して、他の整流器
から流入する電流を制限するように出力電圧を制御する
ことにより、複数台並列に接続された整流器のうちある
１台が壊れて、他の正常な整流器に電流を流出しようと
しても、正常な整流器は出力電圧を上げるように制御さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数の半導体スイッチ
ング素子によって構成される整流器を複数台並列運転す
る際の、各整流器の出力電圧を制御する整流器の出力制
御回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来は、整流器を構成する半導体にサイ
リスタを使用したサイリスタ整流器が用いられていた。
このサイリスタ整流器を複数台並列運転する際の出力電
流の制御においては、サイリスタ整流器自らが他のサイ
リスタ整流器に流し込む電流を抑制するための制御を行
っていた。

【０００３】例えば、複数台並列に接続されたサイリス
タ整流器のうち、ある１台が出力電圧を上昇する方向で
壊れても、他のサイリスタ整流器に流し込む電流を制限
して装置を保護する。さらに、出力電圧が上昇している
こと、および、他のサイリスタ整流器に電流を流し込ん
でいること、この２つの条件が同時に満たされると、そ
のサイリスタ整流器は異常であると判断し、並列接続か
らの解列が行われていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年、整流器に対し
て、入力力率の向上、入力高調波の低減等、性能の向上
が望まれ、従来のサイリスタ整流器では対応できなかっ
た。整流器の入力力率を向上させ、整流器出力に含まれ
る高調波電流を抑制するためには、ＰＷＭ制御が有効で
あり、ＰＷＭ制御を行うためには高速スイッチング動作
が可能なスイッチング素子が必要となる。

【０００５】そこで、高速スイッチングが可能で、か
つ、高耐圧なスイッチング素子、例えばＩＧＢＴ等の素
子を使用し、ＰＷＭ制御によって制御される整流器（以
下においては、ＰＷＭ整流器と呼ぶ）が用いられるよう
になった。しかし、このＰＷＭ整流器を並列運転する際
に、上記サイリスタ整流器の場合と同様の制御、即ち、
各ＰＷＭ整流器の出力電流を監視し、他のＰＷＭ整流器
に対して流し込む電流を抑制する制御を行った場合、次
のような問題が生じる。

【０００６】並列接続されているＰＷＭ整流器のうち、
１台のＰＷＭ整流器が出力電圧を上昇する方向で壊れた
場合、他の整流器が出力電圧を下げるように動作して、
電圧の上昇に伴って生じた電力を直流から入力交流に回
生してしまうため、異常が検出できなくなってしまう。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもの
であり、複数台並列に接続された各整流器が、他の整流
器から流し込まれる電流を抑制するため出力の制御を行
う、整流器の出力制御回路の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明において、複数台
並列に接続された他の整流器から流入する電流あるいは
流出する電流、および、整流器の出力電圧を検出する。
そして、通常は前記電圧検出値と予め設定した電圧設定
値との偏差を零にすべく整流器の制御を行い、前記電流
検出器の検出値が予め定めた設定値を上回った場合、前
記電流検出器が検出した電流の向きに従って、整流器の
制御に補正を加える。

【０００８】

【作用】前記整流器の制御に加える補正は、前記電流検
出器の検出する電流の向きが、他の整流器から流入する
電流である時、電流の流入を受けた整流器の出力電圧を
上げるように作用し、他の整流器へ流出する電流である
時、電流を流出する整流器の出力電圧を下げるように作
用する。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照して本発明を説明する。図
１は、本発明による出力制御回路の構成図である。図１
において、１は半導体素子として例えばＩＧＢＴを用い
たＰＷＭ整流器、２はバッテリ、３は負荷、４は変流
器、５はダイオードからなる整流器、６は電圧検出器、
７は出力電圧設定器、７ａは流入電流設定器、７ｂは流
出電流設定器、８は流出電流制限調節器、９は流入電流
制限調節器、１０は電圧調節器、１１はパルス分配回路
である。 バッテリ２は設けなくても本発明による出力
制御回路の目的は達成可能である。また、変流器４以下
パルス分配回路１１によって構成される出力制御回路は
ＰＷＭ整流器１各機に対して設けられている。

【００１０】変流器４によって検出する電流のうち、図
１に示す如く、ａの方向に流れるものを流入電流と呼
び、ｂの方向に流れるものを流出電流と呼ぶ。変流器４
によって電流が検出されない場合、すなわち、各ＰＷＭ
整流器が正常に動作しているときは、電圧検出器６によ
って検出する出力電圧と、出力電圧設定器７によって設
定された設定値との偏差を零にすべく電圧調節器１０に
より制御が行われている。

【００１１】次に、変流器４が図１のａ方向に流れる電
流を検出した場合について考える。複数台並列に接続さ
れているＰＷＭ整流器のうちの１台が出力電圧を上昇す
る方向で壊れると、異常の発生したＰＷＭ整流器は、他
の正常なＰＷＭ整流器に対して電流を流し込もうとす
る。正常なＰＷＭ整流器の出力制御回路は変流器４によ
り、他のＰＷＭ整流器から流入する電流、つまり図１の
ａ方向に流れる電流を検出し、整流器５により整流す
る。整流された該検出値が流入電流設定器７ａに設定さ
れた流入電流設定値を上回ると、流入電流制限調節器９
によって出力電圧を上げる指令が出力され、電圧検出器
６、設定器７の出力とともに電圧調節器１０へ導かれ
る。

【００１２】流入電流制限調節器９によって出力電圧を
上げる指令が電圧調節器１０へ導かれると、電圧調節器
１０は、設定器７から入力されている設定値と電圧検出
器６から入力されている出力電圧値との偏差をこの指令
を用いて補正し、出力電圧を上昇させる信号をパルス分
配回路１１に出力し、図示していない電圧監視回路に異
常と判断されない範囲で、ＰＷＭ整流器の出力電圧を上
昇させる。

【００１３】逆に、変流器４が流出電流、つまり図１の
ｂ方向に流れる電流を検出し、整流器５により整流す
る。整流された該検出値が流出電流設定器７ｂに設定さ
れた流出電流設定値を上回ると、流出電流制限調節器８
によって出力電圧を下げる指令が出力され、電圧検出器
６、設定器７の出力とともに電圧調節器１０へ導かれ
る。

【００１４】流出電流制限調節器８によって出力電圧を
上げる指令が電圧調節器１０へ導かれると、電圧調節器
１０は、設定器７から入力されている設定値と電圧検出
器６から入力されている出力電圧値との偏差をこの指令
を用いて補正し、出力電圧を下げる信号をパルス分配回
路１１に出力し、図示していない電圧監視回路に異常と
判断されない範囲で、ＰＷＭ整流器の出力電圧を降下さ
せる。

【００１５】この他、図１において流入電流制限調節器
９を設けて出力電圧を上昇させる制御を行う代わりに、
流入電流に応じて出力電圧を上昇させるＤｒｏｏｐ制御
を行っても同様の効果が得られる。

【００１６】

【発明の効果】これまで述べたように、本発明によれ
ば、複数台のＰＷＭ整流器を並列運転する場合の制御回
路を、各ＰＷＭ整流器間を流れる電流、特に、他のＰＷ
Ｍ整流器から流れ込もうとする電流を検出し、この電流
に基づいて出力電圧を制御ように構成することにより、
電力を直流から入力交流に回生してしまうことなく、異
常号機を素早く検出・解列することができ、信頼度の高
い制御が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による制御回路の構成図

【符号の説明】

１ ＰＷＭ整流器 ２ バッテリ ３ 負荷 ４ 変流器 ５ 整流器 ６ 電圧検出器 ７ 設定器 ８ 流出電流制限調節器 ９ 流入電流制限調節器 １０ 電圧調節器 １１ パルス分配回路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の半導体スイッチング素子によって構
   成され、該半導体スイッチング素子をオン・オフ制御す
   ることにより出力電圧を制御し、負荷に対して直流電力
   を供給する整流器を、複数台並列に接続して制御する整
   流器の出力制御回路において、 前記整流器の出力電圧を検出する電圧検出器と、 前記整流器の出力電圧をあらかじめ設定する出力電圧設
   定手段と、 前記整流器と並列接続された他の整流器との間を流れる
   電流を検出する電流検出器と、 前記電流検出器が他の整流器から流入する電流を検出
   し、該検出値があらかじめ設定した値を越える場合に、
   他の整流器から電流の流入を受けた整流器に対して出力
   電圧を上げる指令を出力する流入電流制限調節器と、 前記電流検出器が他の整流器へ流出する電流を検出し、
   該検出値があらかじめ設定した値を越える場合に、他の
   整流器へ電流を流出した整流器に対して出力電圧を下げ
   る指令を出力する流出電流制限調節器と、 通常は、前記電圧検出器の検出値と前記出力電圧設定手
   段の設定値との偏差を零にすべく前記整流器の出力電圧
   を調節する信号を出力し、前記電流検出器が電流を検出
   した場合には、該電流の流れる向きにより前記２つの電
   流制限調節器のうちどちらか一方から整流器の出力電圧
   を変える指令が出力され、該指令により前記整流器の出
   力電圧を調節する信号を補正して出力する電圧調節器
   と、 によって構成することを特徴とする整流器の出力制御回
   路。
2. 【請求項２】複数の半導体スイッチング素子によって構
   成され、該半導体スイッチング素子をオン・オフ制御す
   ることにより出力電圧を制御し、負荷に対して直流電力
   を供給する整流器を、複数台並列に接続して制御する整
   流器の出力制御回路において、 整流器自らの出力電圧を検出する電圧検出器と、整流器
   間を流れる電流を検出する電流検出器と、 前記整流器の出力電圧を検出する電圧検出器と、 前記整流器と並列接続された他の整流器との間を流れる
   電流を検出する電流検出器と、 前記電流検出器が他の整流器から流入する電流を検出す
   ると、該検出値の増加に伴い、流入電流を受ける整流器
   の出力電圧を上昇させる制御を行う出力電圧調整器と、 によって構成することを特徴とする整流器の出力制御回
   路。