JPH06225522A - スイッチング電源回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】同期整流形のスイッチング電源回路をスイッチ
ングの周期の設定を変えた場合にも共通に適用できるよ
う、フリーホイーリングダイオードの短絡用スイッチの
オン時間をスイッチング周期に応じ自動調整する。 【構成】電流を断続する主スイッチ１と，断続電流を受
け出力電圧を負荷に与える誘導素子２と，フリーホイー
リング用のダイオード３と，主スイッチ１のオフ期間中
にダイオード３を短絡する副スイッチ４と，主スイッチ
１のオンオフ周期を指定する三角波状の参照信号Srを発
生する参照波回路20と, 出力電圧Voの実際値Eoに関連し
た被参照値Ecから所定量ΔＥずらせたシフト値Esを作る
レベルシフト回路30を設け、被参照値Ecとシフト値Esの
参照信号Srとの比較信号S1とS4により主スイッチ１と副
スイッチ４をオンオフさせて、後者のオン時間が前者の
オフ時間より短く、かつ両者の時間差τが参照信号Srの
周期Ｔに応じて自動調整されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はいわゆる降圧形で簡単な
構成の同期整流形と通称されるスイッチング電源回路で
あって、とくに出力電圧が低圧の場合に適する回路に関
する。

【０００２】

【従来の技術】上述のような種類のスイッチング電源回
路では、主スイッチによりリアクトルないし誘導素子に
流れる電流を断続させ、かつオフ時間中に電流をダイオ
ードによりフリーホイーリングさせながら負荷に供給す
べき出力電圧を誘導素子側から取り出すが、フリーホイ
ーリング動作中のダイオードの順方向電圧によって発生
する電力損失を減少させて変換効率を高めるために、ダ
イオードを副スイッチにより主スイッチのオフ動作に同
期して短絡する。以下、この従来例の構成および動作の
概要を図２を参照して説明する。

【０００３】図２(a) に示す従来回路において、ｐチャ
ネル形電界効果トランジスタである主スイッチ１は電圧
Ｖの電源からリアクトルである誘導素子２のコイルに流
れる電流を断続し、誘導素子２の出側の図の例ではキャ
パシタ５により安定化された電圧を出力電圧Voとして負
荷Ｌに対して供給するが、誘導素子２に流れる電流を主
スイッチ１のオフ時にも継続するため通例のようにダイ
オード３によってその電流をフリーホイーリングさせ
る。しかし、ダイオード３にはそのpn接合がもつ順方向
電圧が 0.4〜0.7V程度であるが必ず存在するのでフリー
ホイーリング動作中に電力損失が発生し、とくに出力電
圧Voが５Ｖないしそれ以下と低い場合にはこの電力損失
により回路の変換効率が大幅に低下する。

【０００４】このため、ダイオード３に並列に副スイッ
チ４, 図の例ではｎチャネル形電界効果トランジスタを
接続して主スイッチ１のオフ動作に同期してダイオード
３をそのpn接合を含まない低いオン抵抗により短絡させ
る。しかし、副スイッチ４が主スイッチ１と同時にオン
すると電源電圧Ｖが短絡されて大きな電力損失が発生し
てしまうので、副スイッチ４のオン時間は主スイッチ１
のオフ時間よりもごく僅かでよいが必ず短く設定する必
要があり、それに適した副スイッチ４に対する駆動系が
出力電圧Voに対する制御系内に組み込まれる。

【０００５】出力電圧Voの制御はＰＷＭ (パルス幅変
調) 制御が通例であり、図示の例では分圧回路11により
出力電圧Voの実際値Eoを検出し、ＰＷＭ制御回路12によ
りクロックパルスCPに応じて主スイッチ１のオンオフ動
作の周期を指定する図２に示すＰＷＭ信号Swを実際値Eo
を目標値Eaに補正するデューティ比で発生させる。この
ＰＷＭ信号Swに応じ主スイッチ１と副スイッチ４のオン
オフ動作のタイミングを指定するため、まず遅延回路13
により図２(c) に示すようＰＷＭ信号Swを所定の時間τ
だけずらせた遅延信号Sdを作ってＰＷＭ信号Swとともに
ナンドゲート14とノアゲート15に与え、それらの図２
(d) と図２(e) にそれぞれ示す波形の出力を主スイッチ
１と副スイッチ４に対するスイッチング指令S1とS4とし
て取り出す。図からわかるように、ｎチャネル形の副ス
イッチ４にオンを指定する図２(e) のスイッチング指令
S4のハイのパルス幅は、ｐチャネル形の主スイッチ１に
オフを指定する図２(d) のスイッチング指令S1のハイの
パルス幅よりもその前後で遅延回路13による遅延時間τ
だけそれぞれ狭くなる。

【０００６】主スイッチ１と副スイッチ４は増幅器1aと
4aを介しスイッチング指令S1とS4をゲートに受け、図２
(f) と図２(g) に示すようにオンオフ動作を行なう。図
からわかるよう副スイッチ４は主スイッチ１のオフ時間
内にオンしてダイオード３を短絡するが、前者のオン時
間が後者のオフ時間より短いので両スイッチ１と４の同
時オンによる電源電圧Ｖの短絡が防止される。なお、図
２(a) の負荷Ｌと誘導素子２とキャパシタ５を除く回路
部分は、１個の集積回路装置のチップに集積化されて種
々な用途の電子装置や電子回路に組み込まれる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のように従来回路
では、ＰＷＭ信号Swから遅延信号Sdを作った後にそれら
からスイッチング指令S1とS4を作ることにより、ダイオ
ード３を短絡するための副スイッチ４のオン時間を主ス
イッチ１のオフ時間よりも短く設定していたが、スイッ
チング電源では用途に応じて最適なスイッチング周期が
選択されることが多いので遅延回路13の遅延時間τが用
途ごとに異なる集積回路装置が必要になる問題がある。
すなわち、図２(a) の回路ではＰＷＭ制御回路12に与え
るクロックパルスCPによりＰＷＭ信号Swの周期を指定で
きるが、遅延回路13の遅延時間τが一定の条件では周期
を例えば半分にすると副スイッチ４のオン時間, つまり
ダイオード３の短絡時間が非常に短くなって電力損失を
充分に減少させることができないため、遅延時間τが短
い集積回路装置を用いる必要がある。本発明の目的はか
かる問題点を解決して、スイッチング周期が異なる場合
にも共通に適用できるようスイッチング電源回路を構成
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明では、電流を断続
する主スイッチと, 断続電流を受け負荷に出力電圧を与
える誘導素子と, 電流のフリーホイーリング用のダイオ
ードと, 主スイッチのオフ期間中にそれを短絡する副ス
イッチに加えて、主スイッチにオンオフ周期を指定する
波状の参照信号を発する参照波回路と, 出力電圧の実際
値に関連する被参照値を所定値だけずらせてシフト値を
作るレベルシフト回路を設け、被参照値およびシフト値
の参照信号との比較信号の一方により主スイッチを, 他
方により副スイッチをそれぞれオンオフさせながら、後
者を前者のオフ時間内にそれより短時間内だけオンさせ
ることによって上述の目的を達成する。

【０００９】なお、上記構成にいう副スイッチには電界
効果形等のpn接合を含まないトランジスタを用いるのが
よい。参照波回路により発生させる波状の参照信号は例
えば正弦波状でもよいが、三角波状, とくに対称波形の
三角波とするのが最もよく、かかる参照信号は参照波回
路に主スイッチのオンオフの周期を指定するクロックパ
ルスに同期して動作する充放電回路を用いることによっ
て容易に発生できる。レベルシフト回路は例えば定電流
源と抵抗の直列回路で構成し抵抗の両端電圧により被参
照値をシフトさせることでよく、このシフトは被参照値
の上下いずれの方向にさせてもよい。被参照値は出力電
圧の制御上はその実際値と基準値との差またはその増幅
値とするのがよく、この被参照値およびそのシフト値の
参照信号との比較信号はもちろんコンパレータによって
作ることでよい。

【００１０】

【作用】主スイッチのオフ時間内にフリーホイーリング
動作中のダイオードを短絡する副スイッチは前述のよう
にそれより短い時間内だけオンさせる必要があり、この
時間差を従来は遅延時間τにより設定していたが、本発
明はこの時間差を２個の電位値が波状の参照信号の波形
を切るタイミングの差により設定でき、かつこの時間差
が参照信号の周期に応じて自動的に変化することに着目
したものである。すなわち、本発明では前項の構成中に
いう参照波回路を設けて主スイッチのオンオフ周期を指
定する波状の参照信号を発生させ、かつレベルシフト回
路を設けて本発明回路の出力電圧の実際値に関連する被
参照値を所定値だけずらせたシフト値を作らせ、これら
２個の電位値の一方および他方が参照信号の波形をそれ
ぞれ切るタイミングで主スイッチと副スイッチをオンオ
フさせる。

【００１１】これにより、従来の遅延時間に相当する主
スイッチのオフ時間と副スイッチのオン時間の時間差τ
は、シフト値の被参照値からのシフト量をΔＥとし、波
状の参照信号の周期をＴ, その振幅をVaとすると、 τ＝ (ΔＥ／２Va) Ｔ (1) となり、シフト量ΔＥと振幅Vaが一定である限り周期Ｔ
が変わっても時間差τがそれに比例して自動的に変化す
ることがわかる。本発明はかかる原理を利用してスイッ
チング周期が異なる場合にも同じスイッチング電源の集
積回路装置を適用できるようにしたものである。

【００１２】

【実施例】以下、図１を参照しながら本発明の実施例を
説明する。この図１中の図２との対応部分には同じ符号
が付けられているので、重複部分の説明は適宜に省略す
ることとする。図１(a) に例示する本発明のスイッチン
グ電源回路において、電流断続用の主スイッチ１，断続
電流を受ける誘導素子２，フリーホイーリング用のダイ
オード３およびその短絡用の副スイッチ４を含む主回路
の構成は図２(a) と同じであり、図示の例でもその出力
側に負荷Ｌに対する出力電圧Voの安定化するためにキャ
パシタ５が接続されている。

【００１３】参照波回路20は主スイッチ１にオンオフの
周期を指定する波状の参照信号Srを例えばクロックパル
スCPに同期して発生するもので、この参照信号Srには種
々の波状波形, 例えば正弦波形をもたせ得るがこの実施
例では図１(b) に示すように対称的な三角波状とされ
る。かかる三角波状の参照信号SrはクロックパルスCPの
ハイ, ローに応じて例えば充電と放電を繰り返す充放電
回路によって簡単に作るできる。図１(b) に示すように
参照信号Srは周期Ｔ, 振幅Vaで発生され、本発明ではそ
の波形を被参照値Ecとそのシフト値Esが切るタイミング
で主スイッチ１と副スイッチ４のオンオフ状態を切り換
える。

【００１４】被参照値Ecは出力電圧Voの自動制御用であ
り、例えば前述の分圧回路11によるその実際値Eoともち
ろん関連付けて作られるが、この実施例では誤差増幅器
16により所定の基準値Erと実際値Eoの差を増幅して作ら
れ、かつ実際値Eoが増加したとき被参照値Ecが減少する
ように作られるものとする。なお、この被参照値Ecは出
力電圧Voが定格値の場合にその電位が図１(b) のように
参照信号Srの振幅Vaのほぼ中央部分に来るように作るの
が望ましい。

【００１５】本発明ではこの被参照値Ecを受けるレベル
シフト回路30を設けて、図１(b) に示すようにそれを所
定の僅かな電位差ΔＥだけずらせたシフト値Esを作らせ
る。このレベルシフト回路30は例えば定電流源と抵抗の
直列回路で構成し、定電流による抵抗中の電圧降下を電
位差ΔＥとして取り出せばよい。なお、シフト値Esは被
参照値Ecの上下いずれの方に作るようにしてもよいが、
この実施例ではシフト値Esを図１(b) のように上方にず
らせるよう上述の電位差であるシフト量ΔＥが正にとら
れるものとする。

【００１６】これら被参照値Ecおよびシフト値Esと前述
の参照信号Srとから主スイッチ１と副スイッチ４のオン
オフ動作のタイミングを作るために、コンパレータ17に
参照信号Srと被参照値Ecから図１(c) の比較信号S1, コ
ンパレータ18に参照信号Srとシフト値Esから図１(d) の
比較信号S4をそれぞれ作らせる。これら比較信号S1とS4
は前述のシフト量ΔＥの正負やコンパレータ17や18への
入力の与え方に応じて主スイッチ１と副スイッチ４のい
ずれの制御にも使えるが、この実施例では比較信号S1に
よって主スイッチ１, 比較信号S4によって副スイッチ４
のそれぞれオンオフが制御されるものとする。

【００１７】さて、被参照値Ecとシフト値Esにシフト量
ΔＥの差があるので、これに応じて図１(d) の比較信号
S4のハイの波形の波頭および波尾が図１(c) の比較信号
S1のハイの波形より時間差τずつずれる。図１(e) と
(f) にこれら比較信号S1とS4に対応する主スイッチ１と
副スイッチ４のオンオフの状態を示す。図示のように、
比較信号S1のハイによりｐチャネル形の主スイッチ１が
オフする時間内に、比較信号S4のハイによりｎチャネル
形の副スイッチ４がオンし、かつそのオン時間はその前
後で主スイッチ１のオン時間より時間差τずつ短くな
る。さらに、図から容易にわかるようにこの時間差τは
前述の (1)式, すなわち、 τ＝ (ΔＥ／２Va) Ｔ (1) で与えられるから、本発明回路では主スイッチ１のオン
オフ周期を指定する参照信号Srの周期Ｔの設定が変わっ
たとき、副スイッチ４の動作にもたせるべきこの時間差
τをそれに比例して自動調整することができる。

【００１８】なお、以上説明した実施例では参照信号Sr
の波形を対称な三角波状としたが、これを必要に応じて
非対称な波形とすることができ、さらには参照信号Srを
他の波形, 例えば正弦波状にしてもよい。この正弦波状
の場合は、被参照値Ecを参照信号Srの振幅Vaの中央値付
近とし, シフト値Esのシフト値ΔＥが充分に小さいとす
ると上述の時間差τは (1)式のかわりに、 τ＝ (ΔＥ／πVa) Ｔ (2) で与えられ、この時間差τが周期Ｔに比例して自動制御
される点は変わらない。また、出力電圧Voの実際値Eoか
らの被参照値Ecの作り方も実施例に限らず必要に応じ種
々の態様をとることが可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明では、電流断続用の
主スイッチと, 断続電流を受け負荷に出力電圧を出力す
る誘導素子と, 電流のフリーホイーリング用のダイオー
ドと,主スイッチのオフ期間にダイオードを短絡する副
スイッチを備えるスイッチング電源回路に対し、主スイ
ッチにオンオフ周期を指定する波状の参照信号を発する
参照波回路と出力電圧の実際値に関連した被参照値を所
定値だけずらせてシフト値を作るレベルシフト回路を設
け、被参照値およびシフト値の参照信号との比較信号の
一方により主スイッチを, 他方により副スイッチをそれ
ぞれオンオフさせながら後者を前者のオフ時間内にそれ
より短時間内だけオンさせることにより、用途に応じて
参照信号の周期の設定を変えた場合にも副スイッチのオ
ン時間の主スイッチのオフ時間との時間差を参照信号の
周期に応じて合理的にかつ自動的に調整することができ
る。

【００２０】これによりスイッチング電源用の同じ集積
回路装置を標準化して種々の用途に共通に利用すること
が可能になる。実施例からわかるように本発明は回路構
成を従来より複雑化することなく容易に実施することが
でき、とくに出力電圧が低く変換効率の向上のためには
フリーホイーリング用ダイオードの短絡がぜひ必要な用
途に適用して上述の効果を有利に発揮できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるスイッチング電源回路の実施例を
示し、同図(a) はその回路図、同図(b) は参照信号等の
波形図、同図(c) および同図(d) は比較信号の波形図、
同図(e) は主スイッチのオンオフ動作図、同図(f) は副
スイッチのオンオフ動作図である。

【図２】従来のスイッチング電源回路の例を示し、同図
(a) はその回路図、同図(b) はＰＷＭ信号の波形図、同
図(c) は遅延信号の波形図、同図(d) は主スイッチ用の
スイッチング指令の波形図、同図(e) は副スイッチ用の
スイッチング指令の波形図、同図(f) は主スイッチのオ
ンオフ動作図、同図(g) は副スイッチのオンオフ動作図
である。

【符号の説明】

１ 主スイッチないしｐチャネル電界効果トランジ
スタ ２ 誘導素子ないしリアクトル ３ フリーホイーリング用のダイオード ４ 副スイッチないしｎチャネル電界効果トランジ
スタ 20 参照波回路 30 レベルシフト回路 Ec 被参照値 Eo 出力電圧の実際値 Er 基準値 Es シフト値 ΔＥ シフト値のシフト量 Ｌ 負荷 Sr 参照信号 Ｔ 参照信号の周期 τ 副スイッチのオン時間の主スイッチのオフ時間
との時間差 Va 参照信号の振幅 Vo 出力電圧

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】オンオフ動作により電流を断続する主スイ
   ッチと、主スイッチから断続電流を受けて出力電圧を負
   荷に対し出力する誘導素子と、主スイッチのオフ時に導
   通して電流を誘導素子を介してフリーホイーリングさせ
   るダイオードと、ダイオードを主スイッチのオフ期間中
   に短絡する副スイッチと、主スイッチにオンオフの周期
   を指定する波状の参照信号を発する参照波回路と、出力
   電圧の実際値に関連する被参照値からそれを所定値だけ
   ずらせたシフト値を作るレベルシフト回路とを備え、被
   参照値とシフト値の参照信号との比較信号の一方により
   主スイッチ, 他方により副スイッチをそれぞれオンオフ
   動作させ、副スイッチを主スイッチのオフ時間内にそれ
   よりも短時間内だけオンさせるようにしたことを特徴と
   するスイッチング電源回路。
2. 【請求項２】請求項１に記載の回路において、参照波回
   路により三角波状の参照信号を発生させることを特徴と
   するスイッチング電源回路。
3. 【請求項３】請求項１に記載の回路において、出力電圧
   の実際値と基準値の差を被参照値とすることを特徴とす
   るスイッチング電源回路。