JPH0622523U - 排気管のフレキシブルチューブ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 早期に亀裂が生じやすく寿命短縮化の要因と
なっていたベローズチューブ端部のガス漏れを阻止し、
これによりフレキシブルチューブの長寿命化を図ること
を目的としている。 【構成】 山部と谷部の連続する波型形状を有して伸縮
自在なベローズチューブで排気管相互を連結し、かつ当
該ベローズチューブの周囲をワイヤーブレードで囲繞し
た排気管のフレキシブルチューブ構造において、それぞ
れの排気管へ接合させたベローズチューブ両端の谷部を
当該排気管全周に固着させてなる構成とする。また、排
気管に固着されるべき前記フレキシブルチューブ両端の
谷部の幅を他の谷部よりも広く形成する構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車等の内燃機関に使用される排気管相互を連結するためのフレキ シブルチューブ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般にこの種のフレキシブルチューブは、エンジンの振動が排気管を通して自 動車等のボディに伝達されることを防ぎ、また、排気管自体の振動を吸収すると ともに排熱等による排気管の伸長を吸収するためなどを目的として排気管相互を 連結するために用いられている。

【０００３】 図４は従来例における排気管のフレキシブルチューブ構造の断面図である。二 点鎖線で示す中心線より下方部分の図示は省略してある。 図において、フレキシブルチューブ１の排気管２ａ，２ｂには、山部と谷部と を有して波型形状のベローズチューブ３が付設され、さらにこのベローズチュー ブ３の外周をアウターワイヤーブレード４にて囲繞している。そしてこのアウタ ーワイヤーブレード４とベローズチューブ３のそれぞれの端部Ａ1 ，Ａ2 部分は 排気管２ａ，２ｂに溶接され、さらに固定リング６ａ，６ｂが溶接にて固定され ている。また、排気管２ａ，２ｂの、前記端部Ａ1 ，Ａ2 部分よりも小径に形成 されている先端Ｂ1 ，Ｂ2 部分にはインナーワイヤーブレード５が溶接されてい る。 なお、前記アウターワイヤーブレード４およびインナーワイヤーブレード５は 細い多数のステンレスワイヤーをチューブ状に編んだものであり、ベローズチュ ーブ３の塑性変形を防ぐ目的をもって、必要以上の引っ張り方向に対する変位を 与えないようにするとともに、内部や外部からの損傷を防ぐ機能を有するもので ある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 ベローズチューブ３の両端は前記のようにアウターワイヤーブレード４ととも に排気管２ａ，２ｂに溶接されているが、この排気管２ａ，２ｂやベローズチュ ーブ３などは、エンジンや路面からの振動による相対変位、すなわち例えば引っ 張り，圧縮，ねじれ，曲げ，剪断その他の作用を受け続ける。なかでも図３の模 式図に示すように、アウターワイヤーブレード４はベローズチューブ３端部の山 部Ｃ1 ，Ｃ2 部分に、矢印に示す方向において変位以上の引っ張り力や曲げ力を 与え、この結果、当該山部Ｃ1 ，Ｃ2 部分や、ベローズチューブ３の立ち上がり Ｇ1 ，Ｇ2 部分に、比較的早期に亀裂を発生せしめてガス漏れが生じるようにな り、この結果、フレキシブルチューブ１の寿命の短縮化を招いていた。

【０００５】 本考案はこのような問題点に鑑みて創案されたものであり、早期に亀裂が生じ やすく寿命短縮化の要因となっていたベローズチューブ端部の山部を捨て山とし て構成し、この捨て山に続く適宜谷部を排気管全周に固着させる構成とすること によりガス漏れを防ぎ、これにより排気管のフレキシブルチューブの長寿命化を 図ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記の問題点を解決するために、山部と谷部の連続する波型形状を有 して伸縮自在なベローズチューブで排気管相互を連結し、かつ当該ベローズチュ ーブの周囲をワイヤーブレードで囲繞した排気管のフレキシブルチューブ構造に おいて、それぞれの排気管へ接合させたベローズチューブ両端の谷部を当該排気 管全周に固着させてなることを特徴とする排気管のフレキシブルチューブ構造と するものである。 また、前記排気管に固着されるべき前記フレキシブルチューブ両端の谷部の幅 を、当該排気管への溶接を容易にするために他の谷部よりも広く形成する構成と するものである。

【０００７】

【作 用】

アウターワイヤーブレードによる引っ張り力や曲げ力を受けて早期に亀裂が発 生しやすいベローズチューブ両端の山部に続く谷部を排気管全周に固着すること により、前記山部を構成するベローズチューブのいずれかの部分に亀裂が生じて も、この山部に続く谷部の接合部分によって排気ガスが遮断されるのでガス漏れ を防ぐことができる。したがって、ベローズチューブ端部に亀裂が生じてもそれ がそのままフレキシブルチューブ自体の寿命には結びつかないようになる。 また、排気管に固着させるべき前記谷部の幅を他の谷部よりも広く形成するこ とにより、この谷部の排気管への固着が容易となる。

【０００８】

【実施例】

本考案の一実施例を図面を参照して説明する。図１は本考案の第１実施例の断 面図である。二点鎖線で示す中心線より下方部分の図示は省略してある。図にお いて、フレキシブルチューブ１によって接続される排気管２ａ，２ｂのそれぞれ の端部に、山部と谷部とを有して波型形状のベローズチューブ３が付設され、さ らにこのベローズチューブ３の外周はアウターワイヤーブレード４にて囲繞され ている。そしてこのアウターワイヤーブレード４とベローズチューブ３のそれぞ れの端部Ａ1 ，Ａ2 部分は、全周にわたり排気管２ａ，２ｂに溶接された後に、 固定リング６ａ，６ｂを同じく溶接にて固定している。さらに排気管２ａ，２ｂ の前記端部Ａ1 ，Ａ2 部分よりも小径に形成されている先端Ｂ1 ，Ｂ2 部分には インナーワイヤーブレード５を溶接にて固着している。以上の構成は図４に示し た前記従来例と同一である。

【０００９】 本考案が前記従来例と異なる点は次の点である。すなわち、ベローズチューブ ３両端の山部Ｃ1 ，Ｃ2 部分に続く谷部Ｄ1 ，Ｄ2 部分を全周にわたって排気管 ２ａ，２ｂに固着させた点である。すなわち、ベローズチューブ３両端の山部Ｃ 1 ，Ｃ2 に続く最初の谷部Ｄ1 ，Ｄ2 部分を全周にわたり排気管２ａ，２ｂに溶 接にて固着させる。これにより、ベローズチューブ３両端の最初の山部Ｃ1 ，Ｃ 2 を形成するベローズチューブ３のいずれかの部分に亀裂が生じても、排気管２ ａ，２ｂ内を通過する排気ガスは前記接合部Ｄ1 ，Ｄ2 部分によって遮断されて 外部に漏れることがない。つまり、アウターワイヤーブレード４による引っ張り 力または曲げ力が加わって亀裂が生じやすいベローズチューブ３両端の山部Ｃ1 ，Ｃ2 部分を、波型構造を有して伸縮性を持たせたチューブ構造上においては捨 て山として構成することにより、この捨て山部分のいずれかに生じた亀裂が排気 管のフレキシブルチューブ１自体の寿命には影響を及ぼさないようになる。 また、前記排気管２ａ，２ｂに溶接にて固着されるベローズチューブ３の谷部 Ｄ1 ，Ｄ2 部分は他の谷部よりも幅広に形成される。このように幅広に形成され ることによって固着のための溶接作業を容易に行うことができるようになるもの である。

【００１０】 図２は本考案の第２実施例を示す断面図である。二点鎖線で示す中心線より下 方部分の図示は省略してある。この第２実施例と前記第１実施例との違いは、排 気管２ａ，２ｂに固着されるベローズチューブ３の前記谷部を二箇所にした点で ある。すなわち、ベローズチューブ３両端の山部Ｃ1 ，Ｃ2 に続く谷部Ｄ1 ，Ｄ 2 部分と、次の山部Ｅ1 ，Ｅ2 に続く谷部Ｆ1 ，Ｆ2 部分の二箇所の谷部を排気 管２ａ，２ｂ部分に溶接にて固着させた点である。要するに、前記捨て山を第１ 実施例の一つからこの第２実施例においては二つにするものである。このような 構成とすることにより、最も力が加わりやすく、したがって亀裂が生じやすいベ ローズチューブ３両端におけるガス遮断性をより一層確実なものとすることがで き、ひいては排気管のフレキシブルチューブ１の寿命をさらに延ばすことが可能 となる。 また、この実施例においても排気管２ａ，２ｂに固着させるベローズチューブ ３の谷部Ｄ1 ，Ｄ2 とＦ1 ，Ｆ2 部分は他の谷部よりも幅広に形成されて固着の ための溶接が容易となっている。

【００１１】 なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、例えば、ベローズチュ ーブ両端の、排気管に固着させるべき谷部は、ベローズチューブ両端の最初の山 部に続く最初の谷部に限らず、適宜谷部について行ってよい。

【００１２】

【考案の効果】 以上説明のように本考案によれば、ベローズチューブ両端の山部に続く谷部を 排気管全周にわたって固着する構成により、仮にベローズチューブ端部に亀裂が 生じても前記谷部の固着部分において排気ガスを遮断することができるので前記 亀裂部分から排気ガスが漏れることがなくなる。したがって、早期に亀裂が生じ やすく寿命短縮化の要因となっていたベローズチューブ端部の亀裂がそのままフ レキシブルチューブの寿命に結びつかなくなって、排気管のフレキシブルチュー ブの寿命を延ばすことが可能となる。 また、排気管に固着させるベローズチューブ端部の谷部の幅を他の谷部よりも 広く形成することにより、排気管への固着作業が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す断面図である。

【図２】本考案の第２実施例を示す断面図である。

【図３】ベローズチューブに作用する引っ張り力および
曲げ力を説明するための模式図である。

【図４】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１・・排気管のフレキシブルチューブ ２ａ，２ｂ・排気管 ３・・ベローズチューブ ４・・アウターワイヤーブレード ５・・インナーワイヤーブレード ６ａ，６ｂ・固定リング

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 山部と谷部の連続する波型形状を有して
   伸縮自在なベローズチューブで排気管相互を連結し、か
   つ当該ベローズチューブの周囲をワイヤーブレードで囲
   繞した排気管のフレキシブルチューブ構造において、 それぞれの排気管へ接合させたベローズチューブ両端の
   前記谷部を当該排気管全周に固着させてなることを特徴
   とする排気管のフレキシブルチューブ構造。
2. 【請求項２】 前記排気管に固着されるべき前記フレキ
   シブルチューブ両端の谷部の幅を、当該排気管への固着
   を容易にするために他の谷部よりも広く形成したことを
   特徴とする請求項１記載の排気管のフレキシブルチュー
   ブ構造。