JPH06224481A - 超伝導トンネル接合デバイス - Google Patents

超伝導トンネル接合デバイス

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JPH06224481A
JPH06224481A JP50A JP2844493A JPH06224481A JP H06224481 A JPH06224481 A JP H06224481A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 2844493 A JP2844493 A JP 2844493A JP H06224481 A JPH06224481 A JP H06224481A
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透 田
Tamaki Kobayashi
玉樹 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液体窒素や安易な冷却器を利用することが出
来る超伝導トンネル接合デバイスを提供すること、及び
良好な接合界面を有する超伝導トンネル接合デバイスを
提供すること。 【構成】 バリア層を挟む2つの超伝導電極を有する超
伝導デバイスにおいて、超伝導電極及びバリア層が、一
般式 Ln1−xCaSrCu3−x6+z (但しLnはY若しくはランタノイド元素であり、0≦
x<0.6、0.05<y≦1及び0<z<2であり、
MはLi、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ga、
Ge、Mo、W、及びReのいずれかの元素である)で
示される組成の複合酸化物を含むことを特徴とする超伝
導トンネル接合デバイス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導トンネル接合デ
バイスに関し、更に詳しくはSIS接合、ジョセフソン
接合、ジョセフソンコンピューター、ミキサー、SQU
ID、センサー、スイッチング素子等に用いるデバイス
は勿論のこと、それらのデバイスを組み込んだシステム
にも利用可能な超伝導トンネル接合デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超伝導転移温度が極めて高い、銅
を含んだ複合酸化物超伝導体が発見され注目を集めてい
る。その代表的な材料としては、YBa2Cu3O7 (YBC
O)、Bi2Sr2CanCun+1Oy(n=0、1、2 Bi系)及
びTl2Ba2CanCun+1Oy(n=0、1、2 Tl系)が挙げ
られる。これらの材料系の発見により高価な液体ヘリウ
ムを寒剤としなくても、安価な液体窒素や簡易な冷却器
で超伝導状態が得られ、ジョセフソン素子等の応用が民
生品にまで拡がる可能性が出て来ている。
【0003】これらの銅を含んだ複合酸化物超伝導体を
利用した超伝導トンネル接合デバイスは各種提案されて
いるが、その中でジョセフソン接合として知られている
ものは、殆どが結晶粒界を利用した弱結合の接合であ
る。この粒界ジョセフソン接合は自然に生成した多数の
粒界接合であり、これを用いてSQUIDの試作も行わ
れている。積層型の超伝導トンネル接合、ジョセフソン
接合では上部及び下部電極間にバリア層を有する接合が
一般的であるが、このタイプにも各種の方法が試みられ
ている。例えば、下部電極層に銅を含んだ複合酸化物超
伝導体を用い、上部電極層の従来から知られていた金属
系超伝導体を用い、バリア層には上部電極を成膜する際
に下部電極との間にできる界面の劣化を利用しようとす
る、酸化物超伝導体−劣化膜−金属超伝導のタイプがあ
る。
【0004】又、このタイプの上部電極を単なるAu等
の金属とする、酸化物超伝導体−劣化膜−金属のSIN
タイプがある。更にバリア層に酸化物を用いた、酸化物
超伝導体−酸化物バリア層−酸化物超伝導体の本格的な
SISタイプが考案されている。このSISタイプで試
みられている材料系としては超伝導層にYBCO系を利
用し、酸化物バリア層にPrBa2Cu3O7を用いたもの、又、
超伝導層にBi2Sr2CaCu3Oy を利用した酸化物バリア層に
Bi2Sr2CuOyを用いたものがあるが、いずれも良好なSI
S素子や接合型ジョセフソン素子にはなっていない。
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】上記従来例の超
伝導体の結晶粒界を用いたジョセフソン接合では、接合
の人工的な作成が困難であり、接合が結局は複数の特製
の異なった接合の平均となり、雑音が増大し応用に適さ
なかった。又、前記従来例の積層タイプの超伝導トンネ
ル接合、ジョセフソン接合では上部電極層に従来の金属
系超伝導体を用いているので、結局動作温度が金属系超
伝導体の転移温度以下となり、液体ヘリウムが寒剤とし
て必要であった。又、上部電極層に金属を用いたSIN
タイプではSISタイプに比べ素子特性としては劣悪な
ものであった。
【0006】最も好ましいSISタイプの従来例では、
酸化物バリア層にPrB2Cu3O7 を用いた場合も、Bi2Sr2Cu
Oyを用いた場合も、バリア層が半導体若しくは金属とな
り、結果的にSNSタイプの接合となってしまい、絶縁
性のバリア層を有する良好なSISタイプの接合は未だ
得られていない。又、バリア層にMgO等の他の酸化物
を利用する方法も検討されているが、これらのバリア層
を用いる場合、電極層の銅を含んだ複合酸化物超伝導体
とバリア層の結晶構造の違いや、成膜温度の違いの為
に、良好な界面が得られていないのが現状である。従っ
て、本発明の目的は、液体窒素や安易な冷却器を利用す
ることが出来る超伝導トンネル接合デバイスを提供する
ことにある。又、本発明の別の目的は、良好な接合界面
を有する超伝導トンネル接合デバイスを提供することに
ある。
【0007】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、バリア層を挟む
2つの超伝導電極を有する超伝導デバイスにおいて、超
伝導電極及びバリア層が、一般式 Ln1-xCaxSr2Cu3-xMyO6+z (但しLnはY若しくはランタノイド元素であり、0≦
x<0.6、0.05<y≦1及び0<z<2であり、
MはLi、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ga、
Ge、Mo、W、及びReのいずれかの元素である)で
示される組成の複合酸化物を含むことを特徴とする超伝
導トンネル接合デバイスである。
【0008】上記超伝導トンネル接合デバイスのより好
ましい実施態様としては、下記の態様が挙げられる。 (1)バリア層のxの方が、上記超伝導電極部のxの値
よりも小さい上記の超伝導トンネル接合デバイス。 (2)バリア層のyの方が、上記超伝導電極部のyの値
よりも大きく、且つ超伝導電極部のMがTi、V、F
e、Co、Ga、Ge、Mo、W、及びReのいずれか
の元素である上記の超伝導トンネル接合デバイス。 (3)超伝導電極とバリア層の組成の差が酸素量zのみ
であり、且つバリア層の酸素量の方が超伝導材料部の酸
素量よりも少なく、且つ超伝導電極部及びバリア層のM
がTi、V、Fe、Co、Ga、Ge、Mo、W、及び
Reのいずれかの元素である上記の超伝導トンネル接合
デバイス。 (4)超伝導電極部とバリア層のLnの元素が異なり、
且つバリア層のLnがPrであり、且つ超伝導電極部及
びバリア層のMがTi、V、Fe、Co、Ga、Ge、
Mo、W、及びReのいずれかの元素である上記の超伝
導トンネル接合デバイス等。
【0009】
【作用】本発明の超伝導トンネル接合デバイスでは、超
伝導電極とバリア層にLn1-xCaxSr2Cu3-yMyO6+z組成を有
する極めて表面が安定な材料を用いているので、接合部
を形成する際に良好な界面が得られる。又、超伝導電極
とバリア層に結晶構造が同じか、若干しか違わない材料
を用いているので良好な界面が得られる。更に超伝導電
極とバリア層の組成は僅かに違うだけであるので成膜の
際には、ほぼ同じ基板温度で得られるので、MgO等の
絶縁層を成膜する場合に見られる熱サイクルからくる膜
の劣化が殆ど見られない。
【0010】本発明の超伝導電極に使用する材料として
は、Ln1-xCaxSr2Cu3-yMyO6+z組成において、Cuへの置
換量yが小さく、酸素量6+zが大きい方が超伝導とし
ての特性が優れている。又、CaはCuへの置換量yが
小さい場合はドーピングしなくてもよいが、yが大きい
場合はCaをドーピングした方が超伝導としての特性が
優れている。又、本発明のバリア層に使用する材料とし
てはLn1-xCaxSr2Cu3-yMyO6+z組成においてCuへの置換
量yが大きく、酸素量6+zが小さい方が絶縁層として
の特性に優れている。又、バリヤ層にはCaのドーピン
グをしない方が絶縁層としての特性に優れている。又、
LnにPrを用いることによって良好な絶縁層が得られ
る。
【0011】この様に材料選定を行うことにより、従来
では得られない絶縁性の高いバリア層が極めて良好に得
られ、界面の接合性、平坦性も向上する結果、Cuを含
む複合酸化物超伝導体のSIS、特に接合型ジョセフソ
ン素子に必須な薄い絶縁層が得られる。更に、使用する
材料系がYBCO系に比べ水分による劣化が少ないの
で、再現性良く素子が得られる。又、超伝導電極を用い
る超伝導体も超伝導転移温度が高いので液体窒素は勿
論、安易な冷却器でも使用可能となる。本発明の超伝導
トンネル接合デバイスを作成するには、物理的蒸着法や
化学的な蒸着法等の一般的な成膜装置で可能であるが、
特に特性の良いデバイスを得るには、MBE法等の様な
組成を制御しながらエピタキシャル成長が可能な方法が
有用である。
【0012】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 実施例1 図1は本発明に基づく1実施例の素子の断面図を示す。
図中11は下部超伝導電極、12は上部超伝導電極、1
3はバリア層、14はSrTiO3基板、15は駆動電源、1
6は電流モニターである。
【0013】先ず、銅を含む複合酸化物超伝導体をマグ
ネトロンスパッタ法により(110)面を表面に持つSr
TiO3基板14上に基板温度700℃で膜厚100nmエ
ピタキシャル成長させ、下部超伝導電極を成膜した。次
に、基板温度を変えることなくターゲットの変更、若し
くは成膜時の酸素分圧を下げることにより、バリア層1
4を下部超伝導電極11の上に5〜20nmエピタキシ
ャル成長させ、更にその上に基板温度を変えることな
く、下部超伝導電極と同じ様に上部超伝導電極12をエ
ピタキシャル成長させ、図1に示す様な断面を有するS
IS素子を作成した。そして上記素子の素子特性を評価
する為に、上部及び下部超伝導電極に図1の様な金線を
付け、駆動電源15及び電流モニターにより電流−電圧
特性を20〜80Kの温度において測定した。
【0014】表1に上部及び下部超伝導電極の材料とバ
リア層の材料を変えた場合の素子特性の評価結果を示
す。表1のNo.1は超伝導電極の材料とバリア層の材
料のLnの種類、及びCuへの置換元素、置換量、酸素
量zを制御した場合の例であり、No.2は超伝導電極
の材料とバリア層の材料のCuへの置換元素の量を制御
した場合の例であり、No.3は超伝導電極の材料とバ
リア層の材料の酸素量zを制御した場合の例であり、N
o.4は超伝導電極の材料とバリア層の材料のLnへの
Ca置換量を制御した場合の例であり、No.5は超伝
導電極のYをPr全置換してバリア層の材料を作成した
場合の例であり、No.6及び7は超伝導電極の材料と
バリア層の材料のCuへの置換元素の種類を変えた場合
の例である。
【0015】又、表1中のNo.8〜10は比較の為に
本発明以外の材料の組み合わせを行った場合の例を示し
ている。この表1の素子特性の評価は、各素子の電流−
電圧特性におけるジョセフソン電流の有無、リーク電流
の大きさ及び雑音等の総合判断により行った。図2には
表1のNo.1の番号素子の77Kにおける電流−電圧
特性のグラフを示す。表1のNo.1〜7の番号の素子
もこれとほぼ同様の電流−電圧特性が得られた。この結
果から本発明により良好なトンネル接合型ジョセフソン
デバイスが得られていることがわかる。
【0016】表1のNo.10の材料組成の素子の電流
−電圧特性のグラフを図3に示す。この図からこの素子
のバリア層が劣悪で、接合が超伝導電極間で繋がってし
まっていることが想像される。表1のNo.8及び9の
番号の素子も、これとほぼ同様の電流−電圧特性が得ら
れた。以上の結果から、本発明の材料の組み合わせ以外
では、良好なジョセフソン接合が得られないことが分か
る。
【0017】
【表1】
【0018】実施例2 MgO基板44上に銅を含む酸化物超伝導体YSr2Cu2.8M
o0.2O7.1をRFスパッタ法により80nm膜厚に成膜
し、その後リソグラフ技術を使用して図4の形状に加工
し、下部超伝導電極41とした。そしてワイヤーを接合
する部分のみマスクを利用して金蒸着し、その後、アル
ゴンプラズマにより下部超伝導電極の表面を処理した。
その結果、超伝導電極の表面の酸素の一部が抜け絶縁膜
が得られた。その絶縁膜をバリア層43とし、その上に
下部超伝導電極と同じ材料を成膜して上部超伝導電極4
2とした。そして、全体として素子の断面を、図4にな
る様に加工し、液体窒素中で電流−電圧特性を測定し
た。その結果、実施例1の図2とほぼ同様の電流−電圧
特性が得られた。この結果からも、本発明によれば良好
なトンネル接合を得られることが分かった。
【0019】
【発明の効果】(1)新規な超伝導電極材料とバリア層
材料とを組み合わせることにより、良好な接合界面を有
する超伝導トンネル接合デバイスが得られる。 (2)液体窒素や安易な冷却器でも利用することが出来
る高温酸化物超伝導体を用いたトンネル接合デバイスが
得られる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本実施例1の断面図。
【図2】実施例1のNo.1のデバイス電流−電圧特性
を示すグラフ。
【図3】表1のNo.10の比較例のデバイス電流−電
圧特性を示すグラフ。
【図4】本発明の別の実施例のデバイスの断面図。
【符合の説明】
11:下部超伝導電極 12:上部超伝導電極 13:バリア層 14:SrTiO3基板 15:駆動電源 16:電流モニター 41:下部超伝導電極 42:上部超伝導電極 43:バリア層 44:MgO基板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリア層を挟む2つの超伝導電極を有す
    る超伝導デバイスにおいて、超伝導電極及びバリア層
    が、一般式 Ln1-xCaxSr2Cu3-yMyO6+z (但しLnはY若しくはランタノイド元素であり、0≦
    x<0.6、0.05<y≦1及び0<z<2であり、
    MはLi、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ga、
    Ge、Mo、W、及びReのいずれかの元素である)で
    示される組成の複合酸化物を含むことを特徴とする超伝
    導トンネル接合デバイス。
  2. 【請求項2】 バリア層のxの方が、超伝導電極部のx
    の値よりも小さい請求項1に記載の超伝導トンネル接合
    デバイス。
  3. 【請求項3】 バリア層のyの方が、超伝導電極部のy
    の値よりも大きく、且つ超伝導電極部のMがTi、V、
    Fe、Co、Ga、Ge、Mo、W、及びReのいずれ
    かの元素である請求項1に記載の超伝導トンネル接合デ
    バイス。
  4. 【請求項4】 超伝導電極とバリア層の組成の差が酸素
    量zのみであり、且つバリア層の酸素量zの方が超伝導
    材料部の酸素量よりも小さく、且つ超伝導電極部及びバ
    リア層のMがTi、V、Fe、Co、Ga、Ge、M
    o、W、及びReのいずれかの元素である請求項1に記
    載の超伝導トンネル接合デバイス。
  5. 【請求項5】 超伝導電極とバリア層のLnの元素が異
    なり、且つバリア層のLnがPrであり、且つ超伝導電
    極部及びバリア層のMがTi、V、Fe、Co、Ga、
    Ge、Mo、W、及びReのいずれかの元素である請求
    項1に記載の超伝導トンネル接合デバイス。
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