JPH06221372A - 流体封入式筒型マウント装置 - Google Patents

流体封入式筒型マウント装置

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JPH06221372A
JPH06221372A JP953693A JP953693A JPH06221372A JP H06221372 A JPH06221372 A JP H06221372A JP 953693 A JP953693 A JP 953693A JP 953693 A JP953693 A JP 953693A JP H06221372 A JPH06221372 A JP H06221372A
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fluid
fluid chamber
vibration
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Toru Yoshisaka
徹 美坂
Keita Shiraki
慶太 白木
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Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に高周波数域において、幅広い周波数域に
亘ってバネ定数の低減を図り、防振性能を向上する。 【構成】 内筒2と外筒3との間に防振ゴム4を介装固
定する。内筒2と外筒3と防振ゴム4との間には、流体
が密閉封入された第1の流体室17を形成し、同流体室
17内には貫通孔28を有する可動ブロック26を移動
可能に収容する。第1の流体室17内において、防振ゴ
ム4には柱状体27を一体形成する。可動ブロック26
をその挿通孔28をもって柱状体27に遊嵌する。第1
の流体室17の内周壁と可動ブロック26の外周面との
間で囲まれる領域に形成された第1の流体流路29の容
積を、柱状体27の外周面と可動ブロック26の貫通孔
28の内周面との間で囲まれる領域に形成された第2の
流体流路30の容積より大きくなるように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンと車体との間
に介在され、エンジンを車両に搭載する際の防振対策と
して用いられるマウント装置に係り、詳しくは内部に封
入された流体の流動に基づいて振動の伝達を抑制するよ
うにした流体封入式筒型マウント装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンを車体に搭載する際
の防振対策として用いられるマウント装置として、内筒
と外筒との間にゴムよりなる弾性体が介装された筒型マ
ウント装置が知られている。この筒型マウント装置で
は、車体側に固定された一対のブラケット間にボルト等
を使用して内筒が固定されるとともに、外筒に固定金具
等を介してエンジンが支持される。このようにして、エ
ンジンが筒型マウント装置を介して車体に支持されるこ
とにより、エンジンの振動等が弾性体によって減衰され
て、車体に伝達されるのが防止される。
【0003】ところが、上記技術では、防振体として単
体ゴムが用いられているが、この単体ゴムを使用したマ
ウント装置では、特に高周波数域においてバネ定数が大
きくなるという問題があった。そのため、高周波数域に
おける振動を充分に減衰することができず、こもり音や
エンジン騒音の防止を充分に達成することができないも
のであり、近年の車両の静粛性等の高度な要求に充分に
応えることができないという問題があった。
【0004】そこで、近年、高周波数域におけるバネ定
数の低減を図るための技術として、例えば特開平2−8
529号公報に開示されているような流体封入式筒型マ
ウント装置が知られている。この従来の流体封入式筒型
マウント装置は、図8及び図9に示すように、内筒41
と外筒42との間にゴムよりなる弾性体43が介装され
ている。又、弾性体43の外周面上部には凹所44が形
成され、この凹所44と外筒42との間には、所定の低
粘度の非圧縮性流体を密閉封入した流体室45が形成さ
れている。そして、この流体室45内にはアルミニウム
合金等よりなる可動ブロック46が移動可能に収容され
ている。
【0005】又、弾性体43の外周面下部には別の凹所
48が形成され、この凹所48と外筒42との間にも、
所定の低粘度の非圧縮性流体を密閉封入した流体室49
が形成されている。そして、この流体室49と前記流体
室45とはオリフィス通路50により相互に連通されて
いる。
【0006】そして、このように構成された流体封入式
筒型マウント装置において、図8及び図9の上下方向に
振動が入力されると、その振動に伴う弾性体43の変形
により、流体室45の内側寸法(図8及び図9中のA)
が変化される。すると、その内側寸法Aの変化に伴い、
流体室45の内圧が変動され、その変動に基づいて、オ
リフィス通路50を介して流体室45と流体室49との
間で流体の流動が生じる。尚、流体室49に対する流体
の流出及び流入は、流体室49の壁部の一部を構成する
弾性体43の部分が薄肉化されて、可撓性膜51とされ
ていることにより、その可撓性膜51の弾性変形による
流体室49の容積変化によって容易に許容される。そし
て、このオリフィス通路50を流動される流体の流動作
用や共振作用に基づいて、低周波数域における減衰係数
を向上させることができ、その低周波数域の防振性能の
向上を図ることができる。
【0007】又、前記振動の入力に伴う弾性体43の変
形により、流体室45の内側寸法が変化されると、流体
室45内の流体が可動ブロック46の周囲と流体室45
の内壁との間で流動される。即ち、可動ブロック46と
流体室45の内壁との間には、振動の入力に伴って流体
が流動される流体流路が形成され、この流体流路が流体
作用領域47となる。そして、この流体作用領域47に
おいて流動される流体の流動作用や共振作用に基づい
て、所定の高周波数域におけるバネ定数が低減される。
【0008】従って、この従来の流体封入式筒型マウン
ト装置においては、所定の高周波数域の入力振動に対し
て、柔らかいバネ特性を有効に発揮することができ、そ
の高周波数域における振動伝達率を低減して、車内の静
粛性等の向上を図ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、バネ定数の
低減効果が発揮され得る周波数域は、弾性体43の硬度
や流体作用領域47の容積等を調節して、流体作用領域
47を流動される流体の共振周波数をチューニングする
ことにより、所望の周波数域に設定できるものである。
ところが、前記従来技術では、流体室45の内壁と可動
ブロック46との間に所定容積を有する1つの流体作用
領域47しか形成されていない。そのため、前記のよう
にして流体作用領域47を流動される流体の共振周波数
をチューニングしても、バネ定数の低減効果が発揮され
得る周波数域を、1箇所の周波数域にしか設定すること
ができない。従って、この従来技術では、バネ定数の低
減効果が所定の1箇所の高周波数域でしか発揮されない
ものであり、幅広い周波数域に亘ってバネ定数の低減を
図ることができず、近年の車両の静粛性等のより高度な
要求に充分に応えることができないという問題があっ
た。
【0010】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであって、その目的は、特に高周波数域におい
て、幅広い周波数域に亘ってバネ定数の低減を図ること
ができ、防振性能を向上することができる流体封入式筒
型マウント装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、内筒及び外筒と、前記内筒と外筒
の間に介装された弾性体と、前記内筒と外筒と弾性体と
の間に形成され、流体が密閉封入された流体室と、その
流体室の内部に移動可能に収容された可動部材と、その
可動部材と流体室との間に形成され、所定の振動の入力
に伴って流体が流動される所定容積の流体流路とを備
え、エンジンと車体との間に介在される流体封入式筒型
マウント装置において、前記流体流路を少なくとも2つ
以上設けたものである。
【0012】
【作用】従って、本発明によれば、振動の入力に伴い、
可動部材と流体室との間に形成された各流体流路を流体
が流動される。そして、各流体流路を流動される流体の
流動作用や共振作用に基づいて、高周波数域におけるバ
ネ定数が低減され、その高周波数域において防振効果が
発揮される。
【0013】又、可動部材と流体室との間には、少なく
とも2つ以上の流体流路が設けられている。そのため、
各流体流路の容積をそれぞれ異なった容積に形成するこ
とにより、各流体流路を流動される流体の共振周波数を
それぞれ異なった値にチューニングすることができる。
従って、バネ定数の低減効果が発揮され得る周波数域
を、それぞれの共振周波数に対応した複数箇所の周波数
域に設定することができ、高周波数域において幅広い周
波数域に亘って防振効果を得ることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を自動車のエンジンマウントに
具体化した一実施例を図1〜図7に基づいて詳細に説明
する。
【0015】図1〜図3は、この実施例におけるエンジ
ンマウント1をそれぞれ示す正断面図、正面図、及び側
断面図である。このエンジンマウント1は、円筒状の内
筒2及び外筒3を備え、外筒3は内筒2の外周側におい
て径方向の一方向(図1の上下方向)に偏心して、所定
間隔を隔てて配置されている。又、内筒2と外筒3との
間には弾性体としての防振ゴム4が介装固定されてい
る。
【0016】そして、図4に示すように、本実施例にお
けるエンジンマウント1は、車体5側に固定された一対
のブラケット6間に配置される。そして、内筒2及びブ
ラケット6に挿通された図示しないボルトにナットを螺
合して締め付けることにより、エンジンマウント1がブ
ラケット6間に固定される。そして、外筒3は固定金具
8を介してエンジン7と連結され、この状態で、エンジ
ン7がエンジンマウント1を介して車体5に防振支持さ
れる。又、この図4に示すエンジン搭載状態では、エン
ジン7の重量による防振ゴム4の弾性変形によって、外
筒3が内筒2に対して下降され、内筒2と外筒3とがほ
ぼ同一軸心上に配置される。尚、本実施例では、これら
両筒2,3の偏心方向(図1の上下方向)に、主な振動
が入力されることとする。
【0017】図1〜図3に示すように、前記防振ゴム4
は、その内周面において内筒2が加硫接着されるととも
に、その外周面において、内筒2に対して所定量偏心し
て位置するほぼ円筒状の取付スリーブ9が加硫接着され
ている。この取付スリーブ9の外周面の軸方向中央部に
は、所定幅を有する周溝10が全周に亘って形成されて
いる。又、その周溝10内には、内筒2と取付スリーブ
9との偏心方向における離間距離の小さい側において、
外周側に開口する凹所11が形成され、その凹所11は
取付スリーブ9の周方向ほぼ半周に亘って延びている。
【0018】前記防振ゴム4には、前記取付スリーブ9
の凹所11と対応する位置において、内筒2と取付スリ
ーブ9との間を軸方向に貫通し、且つ、周方向にほぼ半
周に亘って延びる肉抜部12が形成されている。そし
て、この肉抜部12によって、内筒2と外筒3との間に
前記エンジン7の重量や振動荷重等のバウンド方向(外
筒3が内筒2に対して相対的に下降する方向)の荷重が
及ぼされた際の、防振ゴム4における引張応力の発生が
極力低減されるようになっている。又、この肉抜部12
内には断面ほぼ円弧状をなすゴム板13が挿入配置さ
れ、同ゴム板13の一端に形成された環状部13aが、
内筒2の一端に挿通固定されている。
【0019】又、防振ゴム4には、前記肉抜部12に対
して内筒2を挟んで径方向に対向する部位、換言すれば
内筒2と取付スリーブ9との偏心方向における離間距離
の大きい側において、外周側に開口する凹所14が形成
されている。又、この凹所14の開口と対応する位置に
おいて、取付スリーブ9の周溝10内には窓部15が切
欠形成され、この窓部15を通して凹所14が外部に開
口されている。そして、この窓部15を閉塞するよう
に、取付スリーブ9の周溝10内にはほぼ円弧状をなす
通路部材16が取着され、この通路部材16と凹所14
との間に第1の流体室17が形成される。
【0020】前記取付スリーブ9の周溝10内に形成さ
れた凹所11の開口を閉塞するように、同凹所11の開
口の両側縁にはゴムシート18がその両側縁をもって固
着され、同シート18の両端縁は前記通路部材16の両
端部に固着されている。そして、このゴムシート18と
凹所11との間に第2の流体室19が形成される。又、
このゴムシート18は薄肉状に形成されることにより、
弾性変形が容易なダイヤフラム膜18となっており、こ
のダイヤフラム膜18の弾性変形に基づいて、第2の流
体室19の容積が自在に変化される。
【0021】図5は前記通路部材16を展開して示す平
面図であり、この通路部材16の外周側には蛇行溝20
が形成されている。そして、この蛇行溝20の一端は透
孔21を介して前記第1の流体室17と連通されるとと
もに、他端は透孔22を介して前記第2の流体室19と
連通されている。
【0022】そして、このような内筒2、防振ゴム4及
び取付スリーブ9等からなる部材に対して、前記外筒3
が外嵌され、この外筒3の外嵌によって取付スリーブ9
の周溝10及び通路部材16の蛇行溝20の開口が閉塞
される。そして、ダイヤフラム膜を構成するゴムシート
18と外筒3との間に、一対の空気室23が形成される
とともに、蛇行溝20と外筒3との間に、第1の流体室
17と第2の流体室19とを連通させる蛇行したオリフ
ィス通路24が形成される。又、外筒3には、空気室2
3と大気とを連通させる開放孔3aが形成されている。
尚、外筒3の内周面には薄肉状のシールゴム層25が配
置され、外筒3と取付スリーブ9及び通路部材16との
間の気密或いは液密が確実に保持されている。
【0023】そして、前記両流体室17,19及びオリ
フィス通路24内には、所定の低粘度の非圧縮性流体が
封入されている。尚、封入される流体としては、例えば
水、エチレングリコール、プロピレングリコール、その
他のアルキレングリコール、低粘度のシリコンオイル、
或いはこれらの混合液等が、適宜用いられる。
【0024】そして、図4に示すエンジン搭載状態で
は、防振ゴム4の弾性変形によって外筒3が内筒2に対
して下降されて、第1の流体室17の内側の上下寸法が
小さくなるので、同室17の内圧が高くなる。そのた
め、第1の流体室17内の流体は同室17内から押し出
されて、オリフィス通路24を介して第2の流体室19
内に流入される。このとき、第2の流体室19では、ダ
イヤフラム膜18の弾性変形によって同室19内への流
体の流入が容易に許容される。
【0025】前記第1の流体室17内には、可動部材と
しての可動ブロック26が移動可能に収容されている。
この可動ブロック26はナイロン[6] 等の合成樹脂製材
料や金属製材料等により形成され、同ブロック26は振
動が入力されていない状態では、第1の流体室17内に
おいて浮遊若しくは沈下している。
【0026】又、第1の流体室17内において、防振ゴ
ム4には柱状体27が上方へ突出するように一体形成さ
れ、同柱状体27の上面は、図4に示すように、エンジ
ン搭載状態では通路部材16の内周面に圧接されるよう
になっている。又、前記可動ブロック26には貫通孔2
8が形成され、その挿通孔28をもって可動ブロック2
6が柱状体27に遊嵌されている。
【0027】そして、本実施例では、第1の流体室17
の内周壁と可動ブロック26の外周面との間で囲まれる
領域に、第1の流体流路29が形成されている。又、柱
状体27の外周面と可動ブロック26の貫通孔28の内
周面との間で囲まれる領域に、第2の流体流路30が形
成されている。即ち、本実施例では、第1の流体室17
内において、同室17と可動ブロック26との間に2つ
の流体流路29,30が形成されている。
【0028】又、図3に示すように、本実施例では、第
1の流体室17の内周壁と可動ブロック26の外周面と
の間のクリアランスaが、柱状体27の外周面と可動ブ
ロック26の貫通孔28の内周面との間のクリアランス
bより大きくなるように設定されている。即ち、本実施
例では、前記第1の流体流路29の容積が、第2の流体
流路30の容積より大きくなるように設定され、第1の
流体流路29内の流体量が、第2の流体流路30内の流
体量より多くなっている。
【0029】次に、前記のように構成されたエンジンマ
ウント1の作用を説明する。さて、エンジン7の作動や
車両の走行等に伴い、内筒2と外筒3との間に上下方向
の振動が入力されると、その振動に伴う防振ゴム4の弾
性変形により、第1の流体室17の内側の上下寸法が変
化される。そして、この上下寸法の変化に伴い第1の流
体室17の内圧が変動され、その変動に基づいて、オリ
フィス通路24を介して第1の流体室17と第2の流体
室19との間で流体の流動が生じる。このとき、第2の
流体室19に対する流体の流出及び流入は、ダイヤフラ
ム膜18の弾性変形による第2の流体室19の容積変化
によって容易に許容される。
【0030】そして、このオリフィス通路24を流動さ
れる流体の流動作用や共振作用に基づいて、所定の周波
数域の入力振動に対する防振効果が発揮される。尚、こ
のオリフィス通路24の断面積や長さ等を調節して、同
通路24を流動される流体の共振周波数をチューニング
することにより、防振効果が発揮され得る周波数域を適
宜設定することができる。そして、特に、このようなオ
リフィス通路24は、低周波数域における減衰係数を向
上させることができ、エンジンシェイク等の低周波数域
の入力振動に対して優れた減衰性能を発揮するため、低
周波数域の防振性能の向上を図ることができる。
【0031】又、前記振動の入力に伴う防振ゴム4の弾
性変形により、第1の流体室17の内側の上下寸法が変
化されると、第1の流体室17内において流体が流動さ
れる。即ち、流体は第1の流体流路29或いは第2の流
体流路30を流動され、これら流路29,30を流動さ
れる流体の流動作用や共振作用に基づいて、所定の高周
波数域におけるバネ定数が低減される。従って、この実
施例のエンジンマウント1においては、所定の高周波数
域の入力振動に対して、柔らかいバネ特性を有効に発揮
することができ、その高周波数域における振動伝達率を
低減して、確実な防振効果を得ることができる。
【0032】又、本実施例では、第1の流体流路29の
容積が、第2の流体流路30の容積より大きくなるよう
に設定され、第1の流体流路29内の流体量が、第2の
流体流路30内の流体量より多くなっている。そのた
め、各流体流路29,30を流動される流体の共振周波
数もそれぞれ異なった値になる。従って、バネ定数の低
減効果が発揮され得る周波数域を、それぞれの共振周波
数に対応した2箇所の周波数域に設定することができ、
高周波数域において幅広い周波数域に亘って防振効果を
得ることができる。
【0033】因みに、本実施例におけるエンジンマウン
ト1を用いて、その振動周波数に対する減衰特性及びバ
ネ特性を測定した実験結果を、図6及び図7に示す。
尚、これらの図において、比較例1は、流体室を有せず
防振体として単体ゴムが用いられているエンジンマウン
トについての結果を示すものである。比較例2は、オリ
フィス通路を介して互いに連通された2つの流体室を有
するとともに、一方の流体室内に可動ブロックが配置さ
れて、その流体室と可動ブロックとの間に1つの流体流
路が形成されたエンジンマウントについての結果を示す
ものである。即ち、この比較例2は、図8及び図9に示
す前記従来技術のエンジンマウントと同様の構成のもの
についての結果を示すものである。比較例3は、前記比
較例2のエンジンマウントと比較して、防振ゴムの硬度
を高くしたエンジンマウントについての結果を示すもの
である。
【0034】そして、図6から明らかなように、本実施
例のエンジンマウント1においては、低周波数域におけ
る減衰係数が向上されている。従って、低周波数域の入
力振動に対して優れた減衰性能が発揮され、これにより
低周波数域の防振性能が向上されて、車両の乗り心地を
向上させることができる。
【0035】又、図7から明らかなように、本実施例の
エンジンマウント1においては、高周波数域におけるバ
ネ定数が低減されているので、その高周波数域における
振動伝達率を確実に低減することができる。従って、エ
ンジン7の振動が車体へ伝達されにくくなり、車内で感
じられる振動騒音を低減して、車両の静粛性を向上させ
ることができる。しかも、バネ定数の低減効果が発揮さ
れ得る周波数域が、こもり音領域とエンジンノイズ領域
とに対応する2箇所の高周波数域(図7中、P1,P
2)に設定されているので、高周波数域において幅広い
周波数域に亘って防振効果を得ることができる。そのた
め、車両の静粛性等の向上を極めて有効に図ることがで
きる。
【0036】即ち、第2の流体流路30と比較して容積
の大きい第1の流体流路29内を流動される流体の流動
作用や共振作用に基づいて、エンジンノイズ領域に対応
する高周波数域P2におけるバネ定数の低減が図られ
る。又、第1の流体流路29と比較して容積の小さい第
2の流体流路30内を流動される流体の流動作用や共振
作用に基づいて、こもり音領域に対応する高周波数域P
1におけるバネ定数の低減が図られる。尚、これらのバ
ネ定数の低減効果が発揮され得る周波数域は、防振ゴム
4の硬度や各流体流路29,30の容積等を調節して、
各流体流路29,30を流動される流体の共振周波数を
それぞれチューニングすることにより、所望の高周波数
域に設定可能である。
【0037】尚、図6に示すように、比較例3のエンジ
ンマウントの減衰特性は、本実施例のエンジンマウント
1の減衰特性と同一となっている。しかしながら、この
比較例3のエンジンマウントにおいては、オリフィス通
路を流動される流体の流動作用や共振作用に加えて、防
振ゴムの硬度を高くしたことにより、低周波数域におけ
る減衰係数が本実施例のものと同等にまで向上されてい
るものである。従って、この比較例3のものでは、防振
ゴムの硬度が高いものであるため、図7に示すように、
高周波数域におけるバネ定数の低減を図れるものではな
い。
【0038】又、図7に示すように、比較例2のエンジ
ンマウントは、本実施例のエンジンマウント1と比較し
ても、高周波数域におけるバネ定数の低減を充分に達成
し得ているものである。即ち、この比較例2のエンジン
マウントは、比較例3のものと比較して、防振ゴムの硬
度が柔らかいものであるため、バネ定数の低減が可能と
なっている。
【0039】しかしながら、この比較例2のエンジンマ
ウントにおいては、流体室と可動ブロックとの間に1つ
の流体流路しか形成されていないため、バネ定数の低減
効果が発揮され得る周波数域が、エンジンノイズ領域に
対応する1箇所の周波数域のみである。しかも、この比
較例2のエンジンマウントは、比較例3のものと比較し
て、防振ゴムの硬度が柔らかいものであるため、図6に
示すように、低周波数域における減衰係数の向上を図り
得るものではない。
【0040】つまり、本実施例では、エンジン搭載時に
おいて、柱状体27の上面が通路部材16の内周面に圧
接されるようになっている。従って、エンジン7の荷重
がこの柱状体27にも加えられることとなり、柱状体2
7によってもエンジン7を支持することができる。その
ため、防振ゴム4の硬度を比較例2のものと同等として
も、低周波数域において防振ゴム4の硬度を比較例3の
ものと同等にまで高くした場合と同等の効果、即ち減衰
係数の向上も図ることができる。しかも、減衰係数の向
上を図るようにしても、防振ゴム4の実際の硬度を比較
例2のものと同等とすることができるので、高周波数域
におけるバネ定数の低減も図ることができるのである。
【0041】従って、本実施例のエンジンマウント1に
おいては、低周波数域における減衰係数の向上と高周波
数域におけるバネ定数の低減という背反する特性の双方
を達成することができる。
【0042】又、換言すれば、本実施例では、前述のよ
うにエンジン7の荷重が柱状体27にも加えられるの
で、この柱状体27がない場合と比較して、防振ゴム4
の硬度を低いものとしても、エンジン7を確実に支持す
ることができる。従って、防振ゴム4自体のバネ定数を
低減して、同ゴム4の振動伝達率を低くすることがで
き、特に高周波数域の入力振動に対する防振性能の向上
に大きく寄与することができる。
【0043】又、前記柱状体27により、バウンド方向
の動きがある程度規制されるため、第1の流体室17の
内側の上下寸法が小さくなりすぎて、可動ブロック26
が第1の流体室17内において上下に挟まれてしまうと
いうおそれがない。従って、第1の流体室17内におけ
る可動ブロック26の上下動に支障が生じたり、可動ブ
ロック26と通路部材16とが圧接されて両者26,1
6が損傷したりするということがない。
【0044】又、本実施例では、可動ブロック26が柱
状体27にガイドされた状態で上下動される。そのた
め、可動ブロック26はその上下動に伴って斜めに傾い
たり転倒したりすることなく、その向きを確実に保持さ
れた状態で動く。又、斜め方向の振動の入力に際して
も、可動ブロック26は柱状体27との間のクリアラン
スb以上は横方向へ移動することがない。そのため、可
動ブロック26の角部等が第1の流体室17の内壁に衝
突して、防振ゴム4が損傷してその耐久性が低下すると
いうおそれもない。又、可動ブロック26が安定して上
下動されるため、得られるバネ特性や減衰特性も安定し
た良好なものとなる。
【0045】しかも、本実施例のエンジンマウント1に
おいては、その組み立て時に、第1の流体室17内に形
成された柱状体27に可動ブロック26をその貫通孔2
8をもって挿通するだけでよい。従って、構成が複雑に
なることがなく、簡単な構成で上記したような各種作用
効果を達成することができるという利点もある。
【0046】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の
構成を例えば以下のように変更して具体化することも可
能である。 (1)前記実施例では、第1の流体室17内において、
同室17と可動ブロック26との間に2つの流体流路2
9,30を形成したが、第1の流体室17を2つ以上設
けて、各流体室17内に可動ブロック26を配置するこ
と。この場合は、柱状体27を設けたり、可動ブロック
26に貫通孔28を設ける必要はなく、各流体室17の
内壁と可動ブロック26の外面との間で囲まれるそれぞ
れの領域を流体流路として、各流体流路の容積をそれぞ
れ異なった容積にすればよい。 (2)柱状体27を円柱や四角柱等のあらゆる形状に形
成するとともに、その柱状体27の形状に対応して、可
動ブロック26の貫通孔28の形状も適宜変更するこ
と。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように本発明では、流体室
の内部に可動部材を収容するとともに、その可動部材と
流体室との間には、所定の振動の入力に伴って流体が流
動される所定容積の流体流路を形成し、その流体流路を
少なくとも2つ以上設けている。そのため、各流体流路
の容積をそれぞれ異なった容積に形成することにより、
各流体流路を流動される流体の共振周波数をそれぞれ異
なった値にチューニングすることができる。従って、バ
ネ定数の低減効果が発揮され得る周波数域を、それぞれ
の共振周波数に対応した複数箇所の周波数域に設定する
ことができ、高周波数域において幅広い周波数域に亘っ
て防振効果を得ることができるという優れた効果を発揮
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流体封入式筒型マウント装置をエンジ
ンマウントに具体化した一実施例を示す正断面図であ
る。
【図2】エンジンマウントの正面図である。
【図3】エンジンマウントの側断面図である。
【図4】エンジン搭載時におけるエンジンマウントを示
す正断面図である。
【図5】通路部材を展開して示す平面図である。
【図6】振動周波数に対する減衰特性を測定した実験結
果を示すグラフである。
【図7】振動周波数に対するバネ特性を測定した実験結
果を示すグラフである。
【図8】従来における流体封入式筒型マウント装置を示
す正断面図である。
【図9】その流体封入式筒型マウント装置の側断面図で
ある。
【符号の説明】
1…エンジンマウント、2…内筒、3…外筒、4…防振
ゴム、5…車体、7…エンジン、17…第1の流体室、
26…可動ブロック、27…柱状体、28…貫通孔、2
9…第1の流体流路、30…第2の流体流路。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内筒及び外筒と、 前記内筒と外筒の間に介装された弾性体と、 前記内筒と外筒と弾性体との間に形成され、流体が密閉
    封入された流体室と、 その流体室の内部に移動可能に収容された可動部材と、 その可動部材と流体室との間に形成され、所定の振動の
    入力に伴って流体が流動される所定容積の流体流路とを
    備え、エンジンと車体との間に介在される流体封入式筒
    型マウント装置において、 前記流体流路を少なくとも2つ以上設けたことを特徴と
    する流体封入式筒型マウント装置。
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