JP3198603B2 - 流体封入式マウント装置 - Google Patents

流体封入式マウント装置

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JP3198603B2 JP9718592A JP9718592A JP3198603B2 JP 3198603 B2 JP3198603 B2 JP 3198603B2 JP 9718592 A JP9718592 A JP 9718592A JP 9718592 A JP9718592 A JP 9718592A JP 3198603 B2 JP3198603 B2 JP 3198603B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は流体封入式マウント装置に係り、
特に複数のオリフィス通路を備え、それら各オリフィス
通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づい
て広い周波数域に亘って優れた防振効果を得ることので
きる、自動車用エンジンマウント等として用いて好適な
流体封入式マウント装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車用エンジンマウント等の
防振支持体の一種として、互いに所定距離を隔てて配さ
れた第一の取付部材と第二の取付部材とを、それらの間
に介装されたゴム弾性体にて連結すると共に、それぞれ
内部に所定の非圧縮性流体が封入された、壁部の一部が
ゴム弾性体にて構成されて振動入力時に内圧変動が惹起
される受圧室と、壁部の一部が可撓性膜にて構成されて
容積変化が許容される平衡室とを、第二の取付部材にて
支持された仕切部材を挟んだ両側に形成し、更にそれら
受圧室と平衡室との間での流体の流動を許容するオリフ
ィス通路を設けてなる構造の、所謂流体封入式マウント
装置が知られている。このような流体封入式マウント装
置にあっては、オリフィス通路を通じて流動せしめられ
る流体の流動作用に基づいて、ゴム弾性体のみでは得ら
れない、優れた防振効果が発揮され得るのである。
【0003】ところで、防振支持体に要求される防振特
性は、入力振動の種類によって異なり、例えば、自動車
用エンジンマウントにあっては、シェイクやバウンス等
に相当する低周波大振幅振動に対しては高減衰特性が要
求される一方、アイドリング振動等に相当する中周波中
振幅振動や、こもり音等に相当する高周波小振幅振動に
対しては低動ばね特性が要求されることとなる。
【0004】しかしながら、上述の如き構造とされた流
体封入式マウント装置にあっては、オリフィス通路内を
流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される
防振効果が、該オリフィス通路がチューニングされた限
られた周波数域の入力振動に対してしか有効には発揮さ
れ得ず、しかも、かかるオリフィス通路がチューニング
された周波数域よりも更に高周波数域の振動入力時に
は、オリフィス通路が実質的に閉塞化してしまって、著
しい高動ばね化が惹起されるために、振動絶縁性能が極
端に低下することが避けられないという問題があった。
【0005】そこで、従来では、中乃至高周波数域の振
動入力時における高動ばね化を抑えるために、特開昭5
7−9340号公報等に示されているように、受圧室と
平衡室との間に、可動板を所定距離変位可能に配設し、
かかる可動板の変位に基づいて、中周波数域の振動入力
時における受圧室の内圧変動を吸収するようにした構造
のものが提案されている。
【0006】しかしながら、かくの如き構造のマウント
装置でも、可動板の変位に基づいて低動ばね効果が発揮
される周波数域が限られてしまい、それよりも更に高周
波数域の振動入力時には、実質的に可動板が変位し得な
くなるために、未だ、充分に広い周波数域の入力振動に
対して、満足できる防振特性を得ることができるもので
はなかった。即ち、例えば、オリフィス通路をシェイク
等に相当する低周波数域にチューニングすると共に、可
動板をアイドリング振動等に相当する中周波数域にチュ
ーニングすると、低周波数域の入力振動に対する高減衰
効果と、中周波数域の入力振動に対する低動ばね効果は
達成されるが、こもり音等に相当する高周波数域の防振
効果が著しく低下してしまうことは避けられないのであ
る。
【0007】なお、かかる問題解決のための一つの方策
として、特公平3−3088号公報には、受圧室と平衡
室との間に、互いに支持系の動ばね定数が異なる第一の
可動板と第二の可動板とを直列的に配設することによ
り、ばね部材の直列接続の原理に基づいて、高周波数域
の振動入力時における低動ばね効果を図るようにした構
造のマウント装置が、提案されている。
【0008】ところが、本発明者らが実験を行ない、詳
細に検討したところ、そのように互いに支持系の動ばね
定数が異なる第一の可動板と第二の可動板とを直列的に
配設しても、高周波数域の振動入力時における低動ばね
効果は殆ど得られず、その特性は、専ら、動ばね定数が
大きい方の可動板の特性に支配されてしまうことが確認
されたのであり、かかる技術は、流体の共振作用等を考
慮しない、いわば机上の理論に過ぎず、その効果は殆ど
期待できないものであった。
【0009】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、低周波振動に対する防振特性を確保しつ
つ、中乃至高周波数域の入力振動に対する防振特性が改
善された、広い周波数域の入力振動に対して優れた防振
効果を発揮し得る新規な構造の流体封入式マウント装置
を提供することにある。
【0010】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、互いに所定距離を隔てて配
された第一の取付金具と第二の取付金具とをゴム弾性体
にて連結すると共に、かかる第二の取付金具にて支持さ
れた仕切部材を挟んで、その両側に、それぞれ内部に所
定の非圧縮性流体が封入された、壁部の一部が前記ゴム
弾性体にて構成されて振動入力時に内圧変動が惹起され
る受圧室と、壁部の一部が可撓性膜にて構成されて容積
可変とされた平衡室とを、それぞれ形成し、更にそれら
受圧室と平衡室を互いに連通する第一のオリフィス通路
を設けてなる流体封入式マウント装置において、前記仕
切部材に対して、前記受圧室と前記平衡室との間に跨が
って延びる透孔を設けると共に、第一のゴム弾性板を該
透孔の前記受圧室側の開口部が流体密に閉塞されるよう
にして、また該第一のゴム弾性板よりも容積変化に対す
る剛性が大きい第二のゴム弾性板を該透孔の前記平衡室
側の開口部が流体密に閉塞されるようにして、該透孔内
において互いに所定距離を隔てて配設せしめ、各々の外
周縁部をかかる仕切部材にて固定的に支持せしめること
により、それら第一のゴム弾性板と第二のゴム弾性板と
の間に中間室を形成する一方、かかる中間室と前記平衡
室との間に、前記第一のオリフィス通路よりも断面積/
長さの比が大きい第二のオリフィス通路を設けたことに
ある。
【0011】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0012】先ず、図1には、本発明の一実施例として
の自動車用エンジンマウントが示されている。かかる図
において、10および12は、それぞれ第一の取付金具
および第二の取付金具であって、互いに所定距離を隔て
て対向配置されている。また、これら第一の取付金具1
0と第二の取付金具12とは、それらの間に介装された
本体ゴム弾性体14によって、弾性的に連結されてい
る。そして、このようなエンジンマウントにあっては、
第一の取付金具10および第二の取付金具12におい
て、車体側およびパワーユニット側の各一方に取り付け
られて、それら車体とパワーユニットとの間に介装され
ることとなり、それによってパワーユニットを車体に対
して防振支持せしめる。なお、そのような装着状態下、
かかるエンジンマウントにあっては、第一及び第二の取
付金具10,12の略対向方向(図1中、略上下方向)
にパワーユニット重量が及ぼされ、本体ゴム弾性体14
が弾性変形せしめられることによって、それら両取付金
具10,12が、互いに所定距離だけ接近して位置せし
められることとなると共に、主として、それら第一及び
第二の取付金具10,12の略対向方向に入力される振
動に対して、防振効果が発揮されることとなる。
【0013】より詳細には、前記第一の取付金具10
は、略円板形状にて形成されている。また、この第一の
取付金具10の略中央部には、一方の側に突出する取付
ボルト16が固設されており、該取付ボルト16によっ
て、パワーユニット側に取り付けられるようになってい
る。
【0014】また、かかる第一の取付金具10には、本
体ゴム弾性体14が加硫接着されている。この本体ゴム
弾性体14は、全体として略円錐台形状を呈しており、
大径側端面に開口する凹所18を有している。そして、
小径側端面に対して、第一の取付金具10が加硫接着さ
れている一方、大径側端部の外周面に対して、円筒形状
を呈する連結金具20が加硫接着されてなる一体加硫成
形品として形成されている。
【0015】さらに、この本体ゴム弾性体14には、そ
の大径側から、シール金具22が組み付けられている。
かかるシール金具22は、全体として薄肉の略有底円筒
形状を呈している。また、その底部には、開口窓28が
設けられていると共に、かかる開口窓28を流体密に覆
蓋するように、可撓性膜としてのダイヤフラム30が、
一体的に固着されている。
【0016】また、このシール金具22の筒部は、底部
側の小径部24と開口部側の大径部26とから成る段付
円筒形状とされている。更に、それら小径部24および
大径部26の内周面には、それぞれ、略全面に亘って、
薄肉のシールゴム層32,34が、一体的に設けられて
いる。なお、本実施例では、小径部24の内周面に設け
られたシールゴム層32が、ダイヤフラム30と一体的
に形成されている。
【0017】そして、かくの如きシール金具22は、大
径部26において、前記連結金具20に外挿、嵌着され
ることにより、本体ゴム弾性体14に組み付けられてい
る。更に、このシール金具22の外側には、該シール金
具22に略対応した段付の有底円筒形状を呈する第二の
取付金具12が、外挿されて、かかるシール金具22の
外周面を覆うようにして、組み付けられている。そうし
て、この第二の取付金具12の開口周縁部が、連結金具
20の軸方向端面に対してかしめ固定されていることに
より、シール金具22が、連結金具20に対して、固定
的に組み付けられているのである。
【0018】また、それによって、シール金具22の開
口部が本体ゴム弾性体14にて流体密に覆蓋されてい
る。更に、かかるシール金具22の本体ゴム弾性体14
に対する組み付けが、流体中で行なわれることによっ
て、シール金具22の内部には、所定の非圧縮性流体が
封入されて成る流体室が形成されている。なお、かかる
封入流体としては、通常、水やアルキレングリコール、
ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が、好適に
用いられ得る。
【0019】さらに、かかるシール金具22の内部に
は、全体として略厚肉の円盤形状を呈する仕切部材36
が、小径部24内において、位置固定に収容配置されて
いる。そして、この仕切部材36によって、上記流体室
が流体密に二分され、以て、壁部の一部が本体ゴム弾性
体14にて構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起さ
れる受圧室38と、壁部の一部がダイヤフラム30にて
構成されて、該第一のダイヤフラム30の変形に基づい
て容積変化が許容される平衡室40とが、それぞれ、形
成されている。
【0020】そこにおいて、かかる仕切部材36は、図
2にも示されているように、第一の分割体42,第二の
分割体44および第三の分割体46が、互いに組み合わ
されることによって、構成されている。かかる第一の分
割体42は、略円筒形状を呈しており、その軸方向一方
の端部(図中の上側端部)には、径方向外方に向って外
フランジ状に突出する支持部48と、径方向内方に向っ
て内フランジ状に突出する挟持部50が、それぞれ一体
的に設けられている。
【0021】また、第二の分割体44は、略円環形状を
呈しており、第一の分割体42の内孔52に挿入されて
配設されている。更に、この第二の分割体44の挿入に
先立って、第一の分割体42の内孔52には、円板形状
の第一のゴム板54が挿入されており、その外周縁部
が、第一の分割体42の挟持部50と第二の分割体44
との間で挟持されることによって、支持されている。即
ち、それによって、第一の分割体42の内孔52におけ
る受圧室38側の開口部が、第一のゴム板54にて、流
体密に閉塞されているのである。
【0022】更にまた、第三の分割体46は、略円環板
形状を呈しており、その軸方向一方の端部(図中の下側
端部)には、径方向に内方に向って内フランジ状に突出
する狭窄片62が一体的に設けられており、その開口部
に狭窄通路64が形成されている。そして、この第三の
分割体46は、第一の分割体42の内孔52に挿入され
て、第二の分割体44の下側に位置して配設されてい
る。更に、この第三の分割体46の挿入に先立って、第
一の分割体42の内孔52には、円板形状の第二のゴム
板56が挿入されており、その外周縁部が、第二の分割
体44と第三の分割体46との間で挟持されることによ
って、支持されている。即ち、それによって、第一の分
割体42の内孔52における平衡室40側の開口部が、
第二のゴム板56にて、流体密に閉塞されているのであ
る。
【0023】なお、ここにおいて、かかる第二のゴム板
56は、第一のゴム板54よりも、容積変化に対する剛
性が、高く設定されている。即ち、本実施例では、第一
のゴム板54よりも第二のゴム板56の方が、小径の円
形平面形状をもって形成されており、それによって、外
周縁部を仕切部材36にて挟持された配設状態下におい
て、その中央部分を押圧して所定量の容積変化、即ち凹
み量を生ぜしめるに際して、第一のゴム板54よりも第
二のゴム板56の方が、より大きな力(単位面積当たり
の力)が必要となるように、設定されているのである。
【0024】そして、かくの如き構造とされた仕切部材
36は、第一の分割体42の支持部48が、シール金具
22の段差部と本体ゴム弾性体14との間で挟持される
ことにより、該第一の分割体42の軸方向下端面が、シ
ール金具22の底面に当接せしめられた状態で、シール
金具22の小径部24内に、固定的に組み付けられてい
る。
【0025】そうして、そのような組付状態下、かかる
仕切部材36においては、第一,第二,第三の分割体4
2,44,46における各内孔によって、受圧室38と
平衡室40との間に跨がって延びる透孔58が形成され
ており、かかる透孔58の受圧室38側の開口部が第一
のゴム板54によって、平衡室40側の開口部が第二の
ゴム板56によって、それぞれ流体密に覆蓋せしめられ
ている。また、それによって、かかる透孔58内には、
第一のゴム板54と第二のゴム板56との間において、
中間室60が形成されている。
【0026】さらに、前記第一の分割体42の外周面に
は、外周面に開口して周方向に一周以上の長さで螺旋状
に延びる第一の凹溝66が設けられている。そして、こ
の第一の凹溝66の外周面開口部がシール金具22にて
覆蓋されることにより、受圧室38と平衡室40とを相
互に連通せしめて、それら両室38,40間での流体の
流動を許容する第一のオリフィス通路68が形成されて
いる。
【0027】また、前記第二の分割体44および第三の
分割体46の外周面には、外周面に開口して周方向に一
周弱の長さで周方向に延びる第二の凹溝70が、それら
両分割体44,46間に跨がって、設けられている。そ
して、この第二の凹溝70の外周面開口部が第一の分割
体42にて覆蓋されることにより、中間室60を平衡室
40に連通せしめて、それら両室60,40間での流体
の流動を許容する第二のオリフィス通路72が形成され
ている。
【0028】なお、ここにおいて、かかる第二のオリフ
ィス通路72は、第一のオリフィス通路68よりも、断
面積/長さの比が大きくされていることにより、該第一
のオリフィス通路68よりも高い周波数域にチューニン
グされている。具体的には、本実施例では、第一のオリ
フィス通路68が、その内部を流動せしめられる流体の
共振作用に基づいて、シェイク等に相当する10Hz前後
の低周波大振幅の入力振動に対する高減衰効果が発揮さ
れるように、また、第二のオリフィス通路72が、その
内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、ア
イドリング振動等に相当する25Hz前後の中周波中振幅
の入力振動に対する低動ばね効果が発揮されるように、
それぞれ、チューニングされている。
【0029】すなわち、このような構造とされたエンジ
ンマウントにあっては、車両への装着状態下に第一の取
付金具10と第二の取付金具12との間に振動が入力さ
れると、受圧室38に内圧変動が惹起せしめられて、該
受圧室38と平衡室40との間で、第一のオリフィス通
路68を通じての流体の流動や、第一のゴム板54の弾
性変形に基づく第二のオリフィス通路72を通じての流
体の流動、或いは第一及び第二のゴム板54,56の弾
性変形に基づく透孔58を通じての流体の流動が、生ぜ
しめられることとなるのであり、以て、それらの流体の
流動作用乃至は共振作用に基づいて、入力振動に対する
防振効果が発揮され得ることとなるのである。
【0030】より詳細には、先ず、10Hz前後のシェイ
ク等の低周波大振幅振動が入力された際には、受圧室3
8に惹起される内圧変動が大きく、第一のゴム板54の
弾性変形では吸収しきれないことから、かかる受圧室3
8に惹起される内圧変動に基づき、該受圧室38と平衡
室40との間で、第一のオリフィス通路68を通じての
流体の流動が、効果的に生ぜしめられることとなる。
【0031】それ故、低周波大振幅振動の入力時には、
図3に試験結果が示されている如く、かかる第一のオリ
フィス通路68を通じて流動せしめられる流体の共振作
用に基づいて、高減衰効果が、有効に発揮され得ること
となるのである。
【0032】次に、かかるエンジンマウントに対して、
25Hz前後のアイドリング振動等の中周波中振幅振動が
入力された際には、第一のオリフィス通路68の流通抵
抗が著しく増大して実質的に閉塞状態となるが、受圧室
38に惹起される内圧変動が比較的小さいことから、か
かる受圧室38の内圧変動は、第一のゴム板54の弾性
変形によって吸収されて、中間室60に及ぼされること
となる。ところが、この中間室60における平衡室40
側の開口部に配された第二のゴム板56は、前述の如
く、第一のゴム板54よりも容積変化に対する剛性が高
いために、中間室60に及ぼされる内圧変動を吸収しき
れない。そのために、この中間室60に及ぼされる内圧
変動に基づき、該中間室60と平衡室40との間で、第
二のオリフィス通路72を通じての流体の流動が、効果
的に生ぜしめられることとなる。
【0033】それ故、中周波中振幅振動の入力時には、
図4に試験結果が示されている如く、かかる第二のオリ
フィス通路72を通じて流動せしめられる流体の共振作
用に基づいて、低動ばね効果が、有効に発揮され得るこ
ととなるのである。
【0034】さらに、かかるエンジンマウントに対し
て、100Hz前後のこもり音等に相当する高周波小振幅
振動が入力された際には、第二のオリフィス通路72の
流通抵抗も著しく増大して実質的に閉塞状態となるが、
受圧室38に惹起されて中間室60に及ぼされる内圧変
動が、より小さくなることから、第一のゴム板54の弾
性変形に基づいて中間室60に及ぼされる内圧変動が、
第二のゴム板56の弾性変形に基づいて吸収されて、平
衡室40に逃がされることとなる。
【0035】それ故、高周波小振幅振動の入力時には、
図4に試験結果が示されている如く、第一のゴム板54
および第二のゴム板56の弾性変形に基づいて、受圧室
38と平衡室40との間で、実質的に、仕切部材36の
透孔58を通じての流体の流動が許容されることとな
り、それによって受圧室38の内圧上昇が有効に軽減乃
至は解消され得ることから、著しい高動ばね化が回避さ
れ得て、良好なる防振効果が発揮され得ることとなるの
である。
【0036】なお、特に本実施例においては、透孔58
における平衡室40側の開口部に狭窄通路64が形成さ
れており、高周波小振幅振動の入力時には、この狭窄通
路64を通じての流体の流動が生ぜしめられるようにな
っていることから、かかる狭窄通路64の断面積/長さ
を適当にチューニングすることにより、流体の共振作用
に基づいて発揮される優れた低動ばね効果を、有効に利
用することができるのである。
【0037】また、上述の如き構造とされたエンジンマ
ウントにあっては、第一のゴム板54および第二のゴム
板56が、何れも、それ自体の弾性変形に基づいて、受
圧室38や中間室60の容積変化を許容し、透孔58を
通じての実質的な流体の流動を許容し得るものであるこ
とから、前記公報等に開示されている如き、可動板の変
位に基づいて流体の流動を許容する構造のものに比し
て、流体の流動時におけるマス成分を一層小さく設定す
ることが可能となる。そして、それ故、100Hz以上の
高周波数域の振動入力時に惹起される内圧変動にも、充
分に追従し得て、所期の防振効果を、より一層有効に得
ることができるという利点も有しているのである。
【0038】以上、本発明の一実施例について詳述して
きたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、か
かる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0039】例えば、第一のゴム板54および第二のゴ
ム板56として、半径寸法が同一で、材質や厚さ等によ
り、容積変化に対する剛性が異なる値に設定されたもの
を採用することも可能である。
【0040】また、第一のオリフィス通路68や第二の
オリフィス通路72の具体的構造や断面積、長さ等は、
マウント装置に対して要求される防振特性等に応じて、
適宜、変更されるべきものであり、例示のものに限定さ
れるものでは、決してない。
【0041】加えて、前記実施例では、本発明を自動車
用エンジンマウントに対して適用したものの具体例を示
したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウント
等、或いは自動車以外の装置における各種マウント装置
に対しても、有利に適用され得るものである。
【0042】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0043】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式マウント装置において
は、振動入力時に生ぜしめられる受圧室と平衡室との間
での流体の流通経路が、第一のゴム弾性板および第二の
ゴム弾性板により、入力振動に応じて、切り換えられる
こととなる。
【0044】そして、それによって、低周波数域の入力
振動に対しては、第一のオリフィス通路を通じて流動せ
しめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、また中
周波数域の入力振動に対しては、第二のオリフィス通路
を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振
効果が、更に高周波数域の入力振動に対しては、透孔を
通じて流動せしめられる流体の共振作用乃至は流動作用
に基づく防振効果が、それぞれ発揮され得るのであり、
その結果、全体として、広い周波数域の入力振動に対し
て、流体の流動作用に基づいて発揮される良好なる防振
効果を得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのエンジンマウントを
示す縦断面図である。
【図2】図1に示されているエンジンマウントを構成す
る仕切部材を示す分解図である。
【図3】図1に示されているエンジンマウントの低周波
振動に対する防振性能の測定結果を示すグラフである。
【図4】図1に示されているエンジンマウントの中乃至
高周波振動に対する防振性能の測定結果を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 第一の取付金具 12 第二の取付金具 14 本体ゴム弾性体 22 シール金具 30 ダイヤフラム 36 仕切部材 38 受圧室 40 平衡室 42 第一の分割体 44 第二の分割体 46 第三の分割体 54 第一のゴム板 56 第二のゴム板 58 透孔 60 中間室 72 第二のオリフィス通路
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 13/10 B60K 5/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    取付金具と第二の取付金具とをゴム弾性体にて連結する
    と共に、かかる第二の取付金具にて支持された仕切部材
    を挟んで、その両側に、それぞれ内部に所定の非圧縮性
    流体が封入された、壁部の一部が前記ゴム弾性体にて構
    成されて振動入力時に内圧変動が惹起される受圧室と、
    壁部の一部が可撓性膜にて構成されて容積可変とされた
    平衡室とを、それぞれ形成し、更にそれら受圧室と平衡
    室を互いに連通する第一のオリフィス通路を設けてなる
    流体封入式マウント装置において、 前記仕切部材に対して、前記受圧室と前記平衡室との間
    に跨がって延びる透孔を設けると共に、第一のゴム弾性
    を該透孔の前記受圧室側の開口部が流体密に閉塞され
    るようにして、また該第一のゴム弾性板よりも容積変化
    に対する剛性が大きい第二のゴム弾性板を該透孔の前記
    平衡室側の開口部が流体密に閉塞されるようにして、該
    透孔内において互いに所定距離を隔てて配設せしめ、各
    々の外周縁部をかかる仕切部材にて固定的に支持せしめ
    ることにより、それら第一のゴム弾性板と第二のゴム弾
    性板との間に中間室を形成する一方、かかる中間室と前
    記平衡室との間に、前記第一のオリフィス通路よりも断
    面積/長さの比が大きい第二のオリフィス通路を設けた
    ことを特徴とする流体封入式マウント装置。
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