JPH06220776A - 静電植毛用フロック - Google Patents

静電植毛用フロック

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JPH06220776A
JPH06220776A JP5280474A JP28047493A JPH06220776A JP H06220776 A JPH06220776 A JP H06220776A JP 5280474 A JP5280474 A JP 5280474A JP 28047493 A JP28047493 A JP 28047493A JP H06220776 A JPH06220776 A JP H06220776A
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fiber
flocking
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Abstract

(57)【要約】 【構成】静電植毛用フロックにおいて短繊維の先後両端
面を含む全ての表面が導電性ポリマー層により実質的に
ないし完全に被覆されている(非被覆部分の全表面に対
する比率は3%以下)。導電性ポリマー層は好ましく
は、厚さ平均にて0.01 ないし 0.1μmであり、またピ
ロール、N−メチルピロール、アニリン、チオフェン、
特にピロールをモノマーとするポリマー又はコポリマー
よりなる。 【効果】本フロックはほぼ絶対乾燥の状態にあり、その
帯電性および分離性が周囲の水分の影響を受けずに安定
に保たれうるため、静電植毛過程で満足な飛翔力が常に
得られ、従っていずれの植毛方式においても、乾燥した
環境で安定して静電植毛に繰り返し利用することができ
る。従来なされてきたアフターコンディショニングが不
要となり、例えば静電植毛機における調湿装置の設置
や、前処理としての原料フロックの水分調整なども不必
要になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電植毛に使用するた
めのフロックに係り、より詳しくは、静電植毛の過程で
の水分調整が不要であるため、常に乾燥した環境で静電
植毛プロセスに繰り返し利用することができるところの
静電植毛用フロックに関する。
【0002】本発明のフロックは、静電植毛一般に利用
することができ、建築用内装材(壁紙、カーテン、カー
ペット、マット等)、履物(草履、鼻緒等)、日用雑貨
(装飾カバー、装飾コード、宝石箱、文房具等)、自動
車用品(ダッシュボード、サンバイザー、ウェザースト
リップ、カーシート用フロッキーヤーン等)、冷暖房機
器(こたつ、足温器等)、衣料(帽子、ジャケット、手
袋等)および電子機器(ブラシロール等)など、広範な
用途における各種の静電植毛品の製造に適するものであ
る。
【0003】
【従来の技術】一般に、静電植毛とは、短くカットされ
たフロックを、高電圧の印加によって形成された電界内
で、静電気的な吸引力により飛翔させ、予め接着剤の塗
布された基材に植え付ける技術をいうが、この技術に用
いるフロックとしては、通常、長さ約0.5〜約5mmに
カットされた天然、再生または合成の各種短繊維が使用
されている。
【0004】しかし、繊維をかかる長さにカットしただ
けでは、高電圧の電界内でもその帯電が十分なものとな
らず、従って飛翔力が生まれない。また、繊維同士が絡
まり合いやすく、分離性(さばき)が不良である。そこ
で、帯電性、分離性等を良好にして飛翔力の向上を図る
ために、従来一般に、カットされた繊維には、いわゆる
電着処理が施されている。
【0005】従来通常行われている電着処理には、カッ
トされた短繊維にタンニン、吐酒石等を処理して、繊維
表面に生成したタンニン化合物の保水性を利用して表面
の通電性を保つ方法と、カットされた短繊維に、界面活
性剤、珪酸ソーダ、コロイダルシリカ等を付着させ、そ
れらの結晶水を利用して表面の通電性を保つ方法とがあ
る。前者の方法は主に欧州で行われており、一方、後者
の方法は我国で行われている。
【0006】また、一般に、静電植毛の際において繊維
表面の電気漏洩抵抗値が105 ないし108 Ω/cmの範
囲内にあるものが、静電植毛用フロックとして適し、十
分な飛翔力が得られるとされている。
【0007】けれども、かかる電着処理を行なっても、
静電植毛時に上記の抵抗値の条件を常に満足することが
保証されるわけではないので、従来は、植毛をする前に
フロック中の水分を20〜25%に正確に調整すること
(アフターコンディショニング)により、表面の電気漏
洩抵抗値が上記の範囲に収まるようにしてから、植毛加
工に入るという方法が普通採られていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電着処
理剤はその機能が水分の影響をうけやすく、これを被覆
した繊維の表面の通電性が周囲の湿度変化により相当鋭
敏に変動するため、上記の方法は、微妙なアフターコン
ディショニングを必要とし、年間を通して安定した作業
を進めにくいという不利がある。特に疎水性繊維、例え
ばポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維等において
は、水分率のコントロールが特に難しく、品質が安定し
ていなかった。
【0009】また、基材への植毛に利用されなかったフ
ロックを回収し、これを、夾雑物の除去の後、再び静電
植毛に利用するところの連続式静電植毛を行なう場合
は、最初の植毛の際、フロックを仮に湿度80%程度の
最適条件に調湿したとしても、静電植毛後、未利用のフ
ロックをサイクロン等で回収した後においては、該フロ
ックは著しい乾燥状態にあり、これを次回の植毛に再利
用するためには、改めてフロックの水分調整を行う必要
があるという欠点があった。
【0010】その上、連続式静電植毛の場合は、フロッ
クを何度か再利用して静電植毛を繰り返すうちに、使用
するフロックは水分率が高低いろいろのものが混じり合
い、不均一な組成となるため、やがて不均質な静電植毛
の発生をひきおこす場合があるという問題もあった。
【0011】また、最近では、調湿装置を備えた静電植
毛機も開発されている。しかし、原料フロックの水分率
や周囲環境の湿度等は何らかの要因により変動する場合
があり、その装置は、かかる変動に対して満足に対処す
ることができないので、それの実際の運転においては、
フロックを常に最適の範囲に調湿するのが必ずしも容易
でないという欠点がある。例えば、フロックが過乾燥の
状態になると、その飛翔力が大きく低下し、一方、フロ
ックが必要以上に湿潤になると、フロック同士が絡まり
合い、べとつきが見られ、時にはだんご状の物が生じる
場合があり、分離性が著しく低下する。
【0012】以上の不都合、不具合は、いずれも、絶対
乾燥またはそれに近い状態ではその機能が全く発揮され
ず、一定範囲の加湿状態にて初めてその機能が十分に発
揮されるという従来の電着処理剤の性能に由来するもの
であった。
【0013】また、従来の電着処理剤は、かかる不都
合、不具合の素因または誘因となるだけでなく、タンニ
ン等の場合には、染色堅牢度が低く、また、珪酸ソーダ
等の場合には、植毛された繊維の風合いが硬いものとな
る上に、接着剤の接着力を弱めかつ繊維の老化をも促進
するという欠点があった。さらに、後者の場合は、静電
植毛過程において、珪酸塩粉末等よりなる所謂白粉の発
生がみられるという問題もあった。白粉は、呼吸による
吸収により人の健康を害することもあり、高温高濃度ア
ルカリ処理、例えば5%水酸化ナトリウム水溶液で60
℃、30分等の苛酷な条件でのみ除去できるものであ
る。
【0014】本発明は、上述の事情を考慮してなされた
もので、その目的は、乾燥した環境で常に安定して静電
植毛を行なうことを可能とし、よって静電植毛に繰り返
し利用することができるところの静電植毛用フロックを
提供することにある。
【0015】そして、本発明は、このように乾燥した環
境での連続静電植毛を可能とすることにより、従来行な
われてきた静電植毛過程でのフロックの水分調整を一切
不要にするところの静電植毛用フロックを提供すること
を目的とするものである。
【0016】したがって、本発明は、かかる水分調整の
不要化により、静電植毛機における調湿装置の設置、あ
るいは、前処理としての原料フロックの水分調整工程を
不必要なものにならしめるところの静電植毛用フロック
を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、フロック繊維の端面を含む全ての表面をポリピロ
ール等の導電性ポリマー層により実質的にないし完全に
被覆することにより、好ましくは、該導電性ポリマー層
の平均厚さを0.01ないし0.1μmとすることによ
り、フロックの帯電性および分離性が周囲の水分の影響
を実質的に受けることなく常に良好に保たれ、従って静
電植毛にて満足な飛翔力が得られ、乾燥した環境で連続
式静電植毛を円滑にかつ安定に行なうことができるとこ
ろの静電植毛用フロックが得られることを見出し、本発
明を完成した。
【0018】すなわち、本発明は、短繊維の端面を含む
全ての表面が、導電性ポリマー層により実質的にないし
完全に被覆されていることを特徴とする静電植毛用フロ
ックに関する。
【0019】本発明によるフロックは、繊維の長さ方向
の周面および先後両端面が導電性ポリマー層により実質
的にないし完全に被覆されており、従ってこの被覆によ
り、表面の電気漏洩抵抗値が105 ないし108 Ω/cm
の範囲内にあるように調整されうるようになっている。
好ましくは、フロック表面のうち導電性ポリマー層によ
り被覆されていない部分の全表面に対する比率は、3%
以下である。
【0020】繊維の種類としては、天然、再生(半合
成)または合成繊維のいずれでもよいが、好都合な繊維
としては、芳香族ポリアミド繊維(商品名ケブラー、ノ
ーメックス、コーネックス等)、その他のポリアミド繊
維(6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロ
ン等)、レギュラーポリエステル繊維、塩基性染科可染
型ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、再
生セルロース繊維(レーヨン)、羊毛繊維、木綿繊維、
麻繊維、並びにポリエチレン、ポリプロピレンおよびそ
の他の複合紡糸繊維などが挙げられる。また繊維は、染
色されていてもよく、紡糸の段階で顔料等を混入して着
色した所謂、原着繊維を用いることができる。
【0021】そして、静電植毛フロックの原料繊維とし
ては、デニール数;約1〜65d、繊維長;0.3〜
6.0mm、そしてアスペクト比;1:30〜1:100
の特性を有するところの上記の繊維が好ましい。アスペ
クト比が1:100を超える繊維であると、均一な静電
植毛を行なうことができない場合がある。繊維の径が大
きいほど、アスペクト比がより大きい値の繊維をも使用
することができるが、繊維の径が小さい場合には、アス
ペクト比のより小さい値の繊維を選択して使用する必要
がある。一般に、繊維長がデニール数の0.3倍の長さ
(mm)である繊維が、静電植毛の原料繊維として最も適
当であるといわれている。
【0022】また、導電性ポリマー層としては、例え
ば、ピロール、N−メチルピロール、アニリン、チオフ
ェン、チオフェン−3−スルホン酸またはこれらの誘導
体をモノマーとして重合して作られたポリマーまたはコ
ポリマー層が挙げられるが、上記導電性を賦与するポリ
マー層ならば、いかなるものでもよい。
【0023】この導電性ポリマー層を形成するのに使用
されるモノマーとしては、例えば、アニリン、およびo
−クロルアニリン、m−クロルアニリン、p−クロルア
ニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリ
ン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m
−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチ
ルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン
等のアニリン誘導体;チオフェン、および3−メチルチ
オフェン、3−メトキシチオフェン等のチオフェン誘導
体;ピロール、および3,5−ジメチルピロール等の
3,5−置換ピロール、4−メチルピロール−3−カル
ボン酸メチル等の3,4−置換ピロール、N−メチルピ
ロール等のN−置換ピロール、3−メチルピロール、3
−オクチルピロール等の3−置換ピロールなどの各種の
置換ピロールが挙げられる。
【0024】好ましい導電性ポリマー層は、ピロール、
N−メチルピロール、アニリン、チオフェン、チオフェ
ン−3−スルホン酸をモノマーとして重合して作られた
ポリマーまたはコポリマー層である。しかしながら、繊
維との接着強度、導電性の程度、加工性の良否等の点か
ら、特に好ましい導電性ポリマー層は、ピロールをモノ
マーとして重合して得られるポリマー層である。
【0025】また、導電性ポリマー層の厚さは、上記の
導電性並びに適度の分離性等を発揮する限り、基本的に
は任意である。しかしながら、導電性ポリマー層が平均
として0.01μm未満の厚さであると、繊維自体の表
面粗さ等が関係して、導電性ポリマー層を均一の厚さに
形成することが困難となり、この結果、満足な飛翔力を
得るのに必要な導電性をフロックに付与できない場合が
多くなる。一方、導電性ポリマー層が平均として0.1
μmを超える厚さであると、所要の導電性は確保されて
いても、導電性ポリマー層の摩擦堅牢度が低下したり、
また導電性ポリマー層が厚くなることで、所要の抵抗値
よりも小さくなって導電性が大きくなることから、静電
植毛の際、フロック同士の接近または接触によりスパー
ク火花が発生し、このため、植毛製品において表面の植
毛密度に濃淡のむらが明瞭に表われる場合がある。
【0026】したがって、導電性ポリマー層の厚さは平
均として0.01μmないし0.1μmの範囲内である
ことが、より好ましいかまたは必要とされる。かように
極薄膜であるため、導電性ポリマー層の存在によって、
繊維本来の風合い、柔軟さ等が大して損ねることもな
い。例えば自動車窓ガラスのウェザーストリップに用い
た場合、繊維の硬化が極めて少ないために、繊維本来の
弾性が保持され、摺動抵抗値の安定したものが得られ
る。
【0027】そして、上記範囲内の厚さを有する導電性
ポリマー層を繊維の表面に形成するためには、当該ポリ
マーの生成に用いるモノマーは、繊維の種類により多少
異なるが、一般に、対繊維重量比で約0.3ないし約
1.0%の割合で添加する必要がある。例えば、モノマ
ーの一種であるピロールを3デニール、長さ0.8mmの
ポリエステル繊維(比重1.34)に対して重量比0.
75%で添加した場合には、平均厚さ約0.044(計
算値)μmのピロールポリマー層が繊維の周面および両
端面に形成される。
【0028】もっとも、等量のモノマーを使用しても、
繊維表面に形成される導電性ポリマー層の厚さは、繊維
の表面形状(粗さ)、多孔性、繊維組成等によって異な
る。例えば、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の非浸
透性繊維の場合には、添加モノマー量から算出した平均
厚さにほぼ等しい平均厚さの導電性ポリマー層が形成さ
れるが、6−ナイロン繊維、6,6−ナイロン繊維、ビ
ニロン繊維等の浸透性繊維の場合には、添加モノマー量
から算出した平均厚さよりもある程度少ない平均厚さの
導電性ポリマー層が形成される。また、導電性ポリマー
層の厚さは、下記の処理液中の繊維の分散条件等によっ
ても変動する。
【0029】好適な導電性ポリマー層の厚さは、ナイロ
ン繊維、ビニロン繊維、セルロース繊維等の浸透性繊維
の場合は一般に0.01ないし0.03μm程度であ
り、またポリエステル繊維、アラミド繊維、アクリル繊
維等の非浸透性繊維の場合は一般に0.02ないし0.
05μm程度である。
【0030】以上のような導電性ポリマー層は、一般
に、繊維を含む処理液中において、酸化重合剤を触媒に
してモノマーの重合反応を行なうと、生成した導電性ポ
リマーが処理液中の繊維に結合しその表面を被覆するこ
とにより、形成される。従って、明確には、本発明は、
モノマーの重合反応を、短繊維(染色されていてもよ
い。)を含む処理液中において、化学酸化重合剤を触媒
として、所望により添加されたドーパントおよび/また
は表面張力低下剤とともに進行させて、生成した導電性
ポリマーを処理液中の繊維の表面に被覆することより成
る、静電植毛用フロックの製造方法に関する。
【0031】処理液へのモノマーおよび化学酸化重合剤
の添加は、両者を一緒に添加するという手順で、あるい
は、先にモノマーを添加しその後化学酸化重合剤を添加
するという手順で行なってもよい。また触媒の化学酸化
重合剤は、一括添加してもよく、あるいは数回に分けて
添加しても、少量ずつ連続して添加してもよい。
【0032】モノマーの重合反応はできるだけゆっくり
と進行させるのが好ましい。その温度条件は低温である
ことが好ましく、2℃〜35℃、より好ましくは2℃〜
25℃である。重合速度が著しく速いと、水相中での反
応が急速に(一瞬のうちに)進行し、重合体が繊維の表
面に付着し難くなり、水槽中に遊離した重合体粒子が形
成される。
【0033】重合反応は、処理液を攪拌または循環しな
がら行なわれる。モノマーの重合が進行し、そのうちに
溶解度が低下してくると、生成したポリマーが特に繊維
表面に選択的に析出または付着する。このため、本反応
は極めて定量的である。
【0034】また、フロックにつき下記に述べるいずれ
の静電植毛方式においても満足な飛翔力が生まれるよう
にするためには、短繊維の端面を含む全ての表面が導電
性ポリマー層により、実質的に被覆されている必要があ
り、繊維の実質的に全ての表面を導電性ポリマーで均一
な厚さに被覆することが望ましい。
【0035】この観点から、本発明のフロックは、繊維
を含むスラリー形態の処理液中で、これを攪拌または循
環しながら、電着処理用のモノマーを重合反応させて、
導電性ポリマー層を繊維表面に形成するのが最も好まし
い。この場合、スラリー形態の処理液中、繊維をその重
量1に対して処理液の重量8ないし15の割合で存在せ
しめるのが特に好ましい。攪拌速度は特に限定されない
が、フロックの沈降を防止する必要があることから、例
えばポリエステル繊維の使用の場合における攪拌速度は
ポリアミド繊維の使用の場合よりもより高速にする必要
がある。
【0036】本発明のフロックは、長い繊維を使用し、
これのいわゆる電着処理を行ない、その後、処理された
長繊維を所定寸法に切断して短繊維とすることもでき
る。例えば円形状のトウを切開して直線状とした後、所
定寸法に切断してフロックとした場合、カット面即ちフ
ロックの端面には導電性ポリマー層が形成されないこと
になるが、端面の面積は、フロックの全表面積に対して
0.3〜1.2%程度であり、フロックの飛翔性には実
質的に影響を与えるものではない。ポリアミド繊維、ビ
ニロン繊維等は、モノマーの繊維内部への拡散があるた
めに、トウの状態のものを電着処理しその後これをカッ
トしても、得られたフロックは端面の外周部若しくは端
面の全面が導電化される場合がある。この場合、フロッ
ク全表面に対する導電化されていない面積の比率は更に
小さくなる。トウの状態で電着処理を行なうとき、繊維
の集束状態は最密充填の状態となるため、繊維の表面を
導電性ポリマー層で均一に被覆することは難しく、ま
た、これをカットしてフロックとする場合にはロスが発
生する。従って、電着処理によるコスト等を考慮する
に、長い繊維をカットし、続いてこれの電着処理をスラ
リー形態の処理液中で行なうことが最も好ましい。
【0037】従って、本発明はまた、モノマーの重合反
応を、長繊維(染色されていてもよい。)を含む処理液
中において、化学酸化重合剤を触媒として、所望により
添加されたドーパントおよび/または表面張力低下剤と
ともに進行させて、生成した導電性ポリマーを処理液中
の繊維の表面に被覆し、そしてその後被覆された長繊維
を切断して短繊維とすることより成る、静電植毛用フロ
ックの製造方法に関する。
【0038】短繊維を原料とする製法の場合も、長繊維
を原料とする製法の場合も、好ましいモノマーとして
は、ピロール、N−メチルピロール、アニリン、チオフ
ェンおよびチオフェン−3−スルホン酸から選ばれたモ
ノマーが、単独でまたは二種以上の組合せで、適用され
る。ピロールが特に好ましい。
【0039】触媒の化学酸化重合剤としては、上記モノ
マーの重合を促進する物質一般が使用することができ、
例えば、過硫酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;あるいは、塩化
第二鉄、過塩素酸第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、過
沃素酸第二鉄、クエン酸第二鉄、p−トルエンスルホン
酸第二鉄等の第二鉄塩;あるいは、過マンガン酸、過マ
ンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩;三酸化クロム等
のクロム酸類;あるいは塩素、臭素、沃素等のハロゲ
ン;過酸化水素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物;塩化
銅等の金属塩化物などが挙げられる。特に水溶性第二鉄
塩が好ましい。
【0040】化学酸化重合剤は、上述した各化合物単独
で、またはそれら化合物の適当な組合せで、通常、モノ
マー1モル当り約1ないし約3モルの割合で使用され
る。
【0041】また、上記モノマーの重合には、必要なら
ば、繊維の導電性を高めるために、ドーパントを併用す
ることができる。このドーパントは、好適にはpH1〜
5、より好ましくはpH1〜3の条件下で使用される。
【0042】適するドーパントとしては、例えば、p−
トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ
ベンゼンスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、ト
リクロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、
イソプロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼン
スルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリ
スルホン酸、スルホサリチル酸およびその他の芳香族ス
ルホン酸;あるいは過塩素酸、塩酸、硫酸、硝酸、トリ
フルオロスルホン酸などが挙げられる。特に芳香族スル
ホン酸またはそのアルカリ金属塩が好ましい。
【0043】また、処理液は、繊維表面への導電性ポリ
マー皮膜の形成を均一なものとするために、さらに表面
張力低下剤を添加することができる。
【0044】表面張力低下剤としては、界面活性剤のほ
か、有機溶媒並びにシリコーン系、アセチレングリコー
ル系またはフッ素系等の消泡剤などが挙げられる。界面
活性剤は、繊維表面のぬれ性を改良するものであり、ま
た、アルコール類も、水との混和により繊維表面のぬれ
性を改良するために付加的に混合されるものである。
【0045】上記の界面活性剤としては、例えば、アル
キル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナト
リウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキ
シアルキレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン型界面活性剤;
あるいは、ポリエチレングリコール/ポリプロピレング
リコール ブロックコポリマー、ポリエチレングリコー
ルアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキル
フェニルエーテルなどのノニオン型界面活性剤が挙げら
れる。
【0046】また、上記の有機溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n
−プロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、イソアミルアルコール等のアルコール類、ジメチル
ホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセ
トニトリル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、
アセトン等が挙げられる。
【0047】表面張力低下剤の添加量は、一般に極少量
ないし少量で足り、例えば、界面活性剤の場合は処理液
の全重量に対して約0.01〜約2%の範囲内の量で十
分であり、またアルコール類の場合は、処理液の全重量
に対して約0.1〜約5.0%の範囲で十分である。
【0048】また、上記モノマーの重合は、好都合に
は、pH1〜4の状態で進行し、その範囲で所望の導電
性ポリマーが効率よく得られる。
【0049】そして、重合反応の終了後、繊維は水洗い
されるが、その際、必要によりフロック同志の絡み合い
を防止し、静電植毛機中のストレージタンクよりの供給
路におけるスクリュー等による搬送性を向上させるため
に、ステアリン酸アミド等の、柔軟剤または平滑剤等を
少量添加使用してもよい。
【0050】また、原料繊維としてポリエステル等の原
繊維を使用する場合には、導電性ポリマー層の形成の前
に、繊維内部より重合反応の処理液中に滲出するところ
の界面活性剤や油状物を予め洗浄、除去しておくことが
好ましい。
【0051】さらに、本発明の電着処理(導電性ポリマ
ー層の形成)は、染色の後に行なってもよく、また染色
の前に行なってもよい。但し、ポリエステル繊維のアル
カリ染色は、脱ドープをひき起こし、導電性を低下せし
めるので、アルカリ染色を行なう場合には、その染色を
上記の電着処理の前に行なう必要があり、染色後念のた
め酸洗することが好ましい。また、電着処理後の染色
は、酸性下で行なう必要がある。
【0052】原着繊維を用いること、あるいは繊維を染
色することによって、染料による色相と導電性ポリマー
の色相とが相俟って、バラエティーに富む色調のフロッ
クが得られる。用いられる染料としては、繊維によって
も異なるが、酸性染料、クロム錯体等の金属錯塩染料、
分散染料、カチオン染料、反応性染料等が挙げられる。
特に、ポリエステル繊維では、分散染料による染色は、
還元洗浄を必要とするが、この還元洗浄が導電性ポリマ
ーの脱ドープを促進することから、染色処理後に導電化
する必要がある。他のポリアミド繊維、アクリル繊維等
については、還元洗浄は必要としない。
【0053】そして、上記の電着処理の後、繊維は乾燥
されるが、フロックの場合の乾燥には、フロック同士の
絡み合いを最小限に抑えるために、スラリー状態ないし
はこれを遠心分離で脱水した状態のフロックを流動槽内
で熱空気流との接触により乾燥させるところの流動槽乾
燥法を用いるのが最も好ましい。この乾燥法による場合
において、より好都合で運転するためには、温度約12
0〜約180℃、槽滞留時間0.1〜5秒という条件を
採用するとよい。この条件で乾燥すると、1〜5%程度
の水分量を有する本発明のフロックを容易に得ることが
できる。これに対して、遠心分離による脱水を経て袋詰
めされたフロックを回転ドラムの中に入れ、熱風循環に
より加熱するという乾燥法の場合には、長い乾燥時間を
必要とするだけでなく、フロックのさばき(分離性)が
悪くなるという欠点があるので、好ましくない。
【0054】本発明のフロックは、以上述べた諸過程を
経て製造される。その水分率は、通常、約1ないし5%
と公定水分率程度であり、従来フロックの水分率20〜
25%(アフターコンディショニングされた植毛時の
値)に比して著しく低いものとなっており、よって軽量
化され、運搬、取扱いにも好都合である。導電性ポリマ
ー層は水分の影響を実質的に受けないため、周囲の外気
が高湿度の範囲にあっても、約1ないし5%という水分
率は殆ど変化せずに維持され、本発明のフロックは常に
ほぼ絶対乾燥の状態に保たれる。従って、フロックの染
色堅牢度も改善され、さらに、輸送コストの低減にもつ
ながる。
【0055】なお、本発明のフロックにつき理解を容易
にすべく、以下にその典型的なフロックの諸特性を示
す。 単糸繊度 D ;約1ないし約65デニール 繊維長 ;0.3ないし6mm アスペクト比 ;約1:30ないし約1;10
0 表面電気漏洩抵抗値 ;105 ないし108 Ω/cmに
設定する。(日本フロック工業会測定法に基づく。) 水分量 ;約1ないし約5% 導電性ポリマー層の厚さ;約0.01μmないし約0.
1μm 導電性ポリマーの原料 モノマーの添加量 M ;0.3ないし1.0% (対
繊維重量比) 導電性ポリマー層被覆の際に用いた純水の導電率;5μ
S以下 D/M 比 ;2.5ないし250
【0056】原料モノマーの添加量(対繊維重量比)を
決定するにあたっては、原料繊維はアスペクト比が大き
いため、その両端面の面積は、全体の表面積に比して高
々1〜3%であるので大変小さく、十分無視することが
できる。従って、一般に使用されるところの繊度1〜6
5デニール、繊維長0.3〜6mmの原料繊維を使用する
場合には、より好ましくは、次の関係式(1)に従い得
られる量を用いるべきことが導かれる。 D/M=2.5x(式中、xは1ないし100の範囲を表わす。)…(i) 従って、3デニールの原料繊維では、D/M比は約2な
いし4、15デニールの原料繊維では、D/M比は約1
0ないし20、そして65デニールの原料繊維では、D
/M比は約150ないし250の範囲がそれぞれ好まし
い範囲である。なお、上記の関係式は、ポリエステル繊
維、ナイロン繊維、アクリル繊維等について特に合致す
る。
【0057】そして、本発明のフロックは、従来と同様
の静電植毛に利用することができ、これにより種々多様
な静電植毛品を製造することができる。静電植毛の方式
は、特に限定されるものでなく、アップ式静電植毛法
(フロックを下部電極の上に置きそして被植毛物を上部
電極に備え、電圧を上下電極間に印加することによりフ
ロックを上方へ飛翔させる植毛法)、ダウン式静電植毛
法(被植毛物を下部電極に備えるとともに格子状または
線状の上部電極を使用し、電圧を上下電極間に印加する
状態の下、フロックを上部電極の格子目に通して落下さ
せることによりフッロクを下方へ飛翔させる植毛法)ま
たはサイド式静電植毛法(被植毛物を電界の側方に電極
と接続して備え、電圧印加の下、フロックをホッパーよ
り電界の中に落下させることにより、フロックを最初下
方へそして途中より横方向に飛翔させる植毛法)のいず
れでもよい。また、流動槽型静電植毛機(多孔板が槽の
中に張られかつ振動が加えられる構造の流動槽をフロッ
クの供給槽として用いる型式の植毛機で、アップダウン
式、サイド式等がある。)を用いて本発明のフロックよ
り自動車内装部品等の静電植毛品を製造してもよい。
【0058】従って、本発明はさらに、上記の静電植毛
用フロックを原料とし、アップ式静電植毛法、ダウン式
静電植毛法もしくはサイド式静電植毛法に従って、また
は流動槽型静電植毛機を用いて、基材の植毛すべき表面
に静電植毛することにより、作られてなる静電植毛品に
関する。
【0059】なお、静電植毛の終了後に、適当なドープ
処理、例えば、酸濃度0.01〜1mol/L 、好ましくは
温度10〜90℃の溶液への浸漬処理を行なうことによ
り、ドーパントを植毛品のフロックに賦与せしめて導電
性をより高めることも可能である。
【0060】
【作用】本発明では、フロックの表面が導電性ポリマー
層により実質的に被覆されているので、その表面電気漏
洩抵抗値を静電植毛に好適とされている範囲に容易に調
整することができ、よって、かかる帯電防止機能の発揮
により、ほぼ絶対乾燥の状態で得られる本フロックを静
電植毛に利用することができる。
【0061】とりわけ、導電性ポリマーという被覆層の
性質から、フロック自体が水分の影響を受けにくいもの
となるため、その良好な帯電防止機能は周囲外気の湿度
条件(湿潤、乾燥)に関係なくほぼ一定に保たれる。従
って、従来のようなアフターコンディショニングを行な
うことなく、アップ式、ダウン式等いずれの方式の静電
植毛においても満足な飛翔力が得られる。
【0062】また、特に、本発明では、フロックの周面
のみならず先後両端面を含む全ての表面に導電性ポリマ
ー層が被覆されているフロックにあっては、フロックを
植毛すべき基材表面に対し直角の方向で植え付けること
をより確実なものとすることができ、従って、製品不良
の発生率を抑え、かつより高品質の植毛品の生産を可能
とする。これは、静電植毛過程において、高電圧印加の
際、+の電荷がフロックの一方の端面に、そして−の電
荷が他方の端面に生じ、分極がよりはっきりと現われ、
従って、フロックが植毛すべき基材表面に対して直角な
方向で当って植え付けられることによるものと思われ
る。
【0063】さらに、本発明では、水分の影響を受けに
くいという導電性ポリマー層の特質により、フロックの
分離性(さばき)は、周囲の水分、湿気の高低によって
問題となるような悪影響を受けない。従って、フロック
表面のべとつき、フロックのもつれ、絡まりによるだん
ご状物の発生、あるいはフロック間の接触によるスパー
ク発生などの不都合は生じない。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って詳細に説明す
る。
【0065】実施例1 カットされた6,6−ナイロン繊維(繊度:3デニー
ル、繊維長:0.5mm)を金属錯塩染料 Kayakalan Bla
ck(日本化薬株式会社製)により95℃×60分間とい
う条件で染色し、その後十分に水洗浄を行なった。次
に、ピロールモノマーを対繊維重量比で0.63%の量
使用し、これを水中において、染色された6,6−ナイ
ロン繊維をも一緒に攪拌しながら、過硫酸アンモニウム
を触媒として5℃にて240分間の間重合反応を継続し
た。その後、6,6−ナイロン繊維を充分に水洗し、次
いで水分2.5%となるまで乾燥した。
【0066】得られたフロックの表面電気漏洩抵抗値
は、測定したところ、3×106 Ω/cmであった。ま
た、このフロックを用いて、アップ式、ダウン式および
流動槽型の3種類の静電植毛(印加電圧:50〜80k
V)を行なったところ、いずれの植毛方式についても、
フロックの飛翔力が十分高く、接着剤塗布済の2/1 緯織
り生地(ポリエステル/木綿=65/35、厚さ0.1
5mm)への植毛も均一で良好なものであった。
【0067】実施例2 カットされたアクリル繊維(繊度:1.3デニール、繊
維長:0.4mm)を予め十分に水洗浄して界面活性剤、
油剤分等を除去した後、水中に入れ、続いてモノマーと
して0.35%(対繊維重量比)のN−メチルピロール
および0.3%(対繊維重量比)のピロールを添加し、
攪拌しながら、塩化第二鉄を触媒として5℃にて200
分間の間重合反応を接続した。その後、アクリル繊維を
充分に水洗し、次いで水分2.5%となるまで乾燥し
た。
【0068】得られたフロックの表面電気漏洩抵抗値
は、測定したところ、7×107 Ω/cmであった。ま
た、このフロックを用いて実施例1と同様の条件で静電
植毛を行なったところ、いずれの植毛方式についても実
施例1と同様、良好な飛翔性が得られ、満足な結果であ
った。
【0069】実施例3 カットされた6−ナイロン繊維(繊度:1.5デニー
ル、繊維長:0.5mm)をミーリング型酸性染料、染料
カヤノールミーリングブラック(日本化薬株式会社製)
により90℃×60分間の条件で染色し、そしてその後
十分に水洗浄を行なった。次に、モノマーとしてp−ト
ルエンスルホン酸アニリンを対繊維重量比で1.0%の
量使用し、これを水中にて、過硫酸カリウムを触媒とし
て、染色された6−ナイロン繊維と一緒に攪拌しなが
ら、5℃にて適当な時間の間重合反応を継続した。その
後、6−ナイロン繊維を充分に水洗し、次いで水分3.
5%となるまで乾燥した。
【0070】得られたフロックの表面電気漏洩抵抗値
は、測定したところ、1×108 Ω/cmであった。ま
た、このフロックを用いて実施例1と同様の条件で静電
植毛を行なったところ、いずれの植毛方式についても実
施例1と同様、良好な飛翔性が得られ、満足な結果であ
った。
【0071】実施例4 カットされたパラ系芳香族ポリアミド繊維(繊度:2.
0デニール、繊維長:0.5mm)、および対繊維重量比
で0.5%の量のピロールモノマーを水中に入れ、攪拌
しながら、過硫酸アンモニウムを触媒として3℃にて2
40分間の間重合反応を継続した。その後、上記の繊維
を充分に水洗し、次いで、水分1.0%となるまで乾燥
した。
【0072】得られたフロックは、暗緑色であり、その
表面電気漏洩抵抗値は、測定したところ、3×107 Ω
/cmであった。また、このフロックを用いて実施例1と
同様の条件で静電植毛を行なったところ、いずれの植毛
方式についても実施例1と同様、良好な飛翔性が得ら
れ、満足な結果であった。
【0073】比較例1 ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度:15デニー
ル、繊維長:2.1mm)を分散染料カヤロンポリエステ
ルブラック(日本化薬株式会社製)により130℃×6
0分間という条件で染色し、その後、ハイドロサルファ
イト/水酸化ナトリウムの混合液により60℃×20分
間還元洗浄を行なった。次いで、珪酸ソーダを用いて電
着処理を従来の常法に従い行ない、植毛用フロックを製
造した。
【0074】流動槽型静電植毛機を用いて、フロックの
水分率を0.5%、3.0%そして18%に整えて、実
施例1と同じ基材に対して静電植毛(印加電圧:60k
V) を行なった。水分率0.5%および3.0%の場合
は、不十分な飛翔力しか得られず、均一な植毛が行なえ
ず、また水分率18%の場合は、ある程度の植毛は行な
えたが、フロックの回収と再利用を繰り返す連続式植毛
は不可能であった。
【0075】以上の各例についての静電植毛試験の結果
を下記の表1に要約して示す。
【表1】 表 1 フロック 水分率 静電植毛方式 印加電圧 結果 No.1 実施例1 2.5% アップ方式 60kV ◎ No.2 実施例1 2.5% ダウン方式 60kV ◎ No.3 実施例1 2.5% 流動槽方式 60kV ◎ No.4 実施例2 2.5% アップ方式 60kV ◎ No.5 実施例2 2.5% ダウン方式 60kV ◎ No.6 実施例2 2.5% 流動槽方式 60kV ◎ No.7 実施例3 3.5% アップ方式 60kV ◎ No.8 実施例3 3.5% ダウン方式 60kV ◎ No.9 実施例3 3.5% 流動槽方式 60kV ◎ No.10 実施例4 1.0% アップ方式 60kV ◎ No.11 実施例4 1.0% ダウン方式 60kV ◎ No.12 実施例4 1.0% 流動槽方式 60kV ◎ No.13 比較例1 0.5% 流動槽方式 60kV × No.14 比較例1 3.0% 流動槽方式 60kV × No.15 比較例1 18% 流動槽方式 60kV ○ 注)◎は、フロックについて十分な飛翔力が得られ、静
電植毛が均一で大変良好であることを示す。 ○は、フロックについて必要な飛翔力は得られ、静電植
毛は良好であるが、連続式静電植毛は不可能であること
を示す。 ×は、フロックについて必要な飛翔力が得られず、静電
植毛は不良であることを示す。
【0076】実施例5 一定長にカットされたポリエステル繊維(繊度:3.0
デニール、繊維長:0.8mm)1kgとピロールモノマー
8.3g(0.83%、対繊維重量比で)とを水中に投
入し、そして塩化第二鉄50.2gを触媒として、液温
3℃にて攪拌しながら、3時間の間重合反応を継続し
た。その後、ポリエステル繊維を充分に水洗し、次いで
流動槽乾燥法に従い160℃にて乾燥した。
【0077】得られたフロックは、表面電気漏洩抵抗値
が4.0×105 Ω/cmであり、水分率が1.5%であ
った。また、このフロックについて、アップ式植毛機、
ダウン式植毛機、流動槽型サイド式植毛機および流動槽
型アップダウン植毛機を使用して、静電植毛(印加電
圧:50〜80kV)を行なったところ、いずれの植毛方
式についても、特別なアフターコンディショニング無し
で、十分高い飛翔性を示し、高品質の静電植毛品が得ら
れた。
【0078】なお、図面の図1ないし図3は、以上の実
施例等に関連して、電子顕微鏡を用いて拡大されたフロ
ック等の先端部を撮影した顕微鏡写真を示すものであ
る。ここで、写真の右下部分における白線の長さは、5
0μm(図1)または20μm(図2、図3)を表わ
す。図1に示すは、珪酸ソーダを用いた電着処理がポリ
エステル繊維について施された従来の静電植毛用フロッ
クであり、図2に示すは、ポリエステル繊維(繊度:
1.5デニール)のすべての表面がピロールポリマー層
により完全に被覆されている、実施例5に相当するとこ
ろの本発明の静電植毛用フロックであり、さらに、図3
に示すは、図2のフロックの原料であるポリエステル繊
維の原着糸(その表面にピロールポリマー層が形成され
ていない。)である。
【0079】実施例6 特開平 3-163709 号公報の実施例1の方法に準じて、
6,6−ナイロン連続繊維(繊度:3デニール)をボビ
ンに巻き、これを、水20リットル、ピロール13.4
gおよび塩化第二鉄64.9gからなる18℃の処理液
とともに槽の中に入れ、該処理液をボビン内に繊維間隙
に反復通過させて、導電化処理を行ない、表面電気漏洩
抵抗値1.0×106 Ω/cmの長い繊維を得た。その
後、導電化処理された6,6−ナイロン長繊維を0.5
mmの長さにカットし、次いで、これを実施例1と同様の
方法、条件により静電植毛したところ、得られた製品の
植毛は、基材表面に対して直角の方向で植え付けられて
いない繊維がわずかに認められたが、充分な飛翔力が得
られ、連続式静電植毛が可能であった。
【0080】
【発明の効果】以上の記載よりわかるように、本発明に
よれば、フロックの帯電性および分離性が、周囲の水分
の影響を実質的に受けることなく、目的とする範囲、条
件の中に安定に保たれうるため、静電植毛過程で満足な
飛翔力が常に得られ、従って、いずれの植毛方式におい
ても安定した静電植毛を行なうことができる。特に、本
発明によれば、本フロックがほぼ絶対乾燥の状態にある
ため、これを乾燥した環境で静電植毛に繰り返し利用す
ることができ、従って連続式の静電植毛を円滑にかつ安
定に行なうことができる。
【0081】したがって、乾燥した環境での連続静電植
毛が可能となったことにより、本発明では、従来行なわ
れてきた静電植毛過程でのフロックの水分調整(アフタ
ーコンディショニング)が一切不要となり、さらに、例
えば静電植毛機における調湿装置の設置、あるいは前処
理としての原料フロックの水分調整工程などが不必要に
なるという効果が得られる。
【0082】さらに、本発明のフロックを用いるなら
ば、整然としかつ基材表面に対し直立した状態にて静電
植毛され、しかもその分布が濃淡のむらなく均一であ
り、またもつれ、絡まり等の欠陥も無い、高品質の静電
植毛品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪酸ソーダを用いた電着処理がポリエステル繊
維について施された従来の静電植毛用フロックについ
て、電子顕微鏡を用いて拡大されたフロック先端部を撮
影した顕微鏡写真である。尚、写真の右下部分における
白線の長さは50μmを表わす。
【図2】ポリエステル繊維(繊度:1.5デニール)の
端面を含めすべての表面がピロールポリマー層により完
全に被覆されている、本発明による静電植毛用フロック
について、電子顕微鏡を用いて拡大されたフロック先端
部を撮影した顕微鏡写真である。尚、写真の右下部分に
おける白線の長さは20μmを表わす。
【図3】図2のポリエステル繊維の原着糸(その表面に
ピロールポリマー層が形成されていない。)について、
電子顕微鏡を用いて拡大された先端部を撮影した顕微鏡
写真である。尚、写真の右下部分における白線の長さは
20μmを表わす。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短繊維の端面を含む全ての表面が、導電
    性ポリマー層により実質的にないし完全に被覆されてい
    ることを特徴とする静電植毛用フロック。
  2. 【請求項2】 フロック表面のうち導電性ポリマー層に
    より被覆されていない部分の全表面に対する比率は、3
    %以下であることを特徴とする請求項1に記載のフロッ
    ク。
  3. 【請求項3】 短繊維は染色されていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載のフロック。
  4. 【請求項4】 導電性ポリマー層の厚さは、平均として
    0.01μmないし0.1μmの範囲であることを特徴
    とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記
    載のフロック。
  5. 【請求項5】 導電性ポリマー層は、ピロール、N−メ
    チルピロール、アニリン、チオフェンおよびチオフェン
    −3−スルホン酸からなる群から選択された一種または
    二種以上のモノマーを重合して形成されたポリマー層ま
    たはコポリマー層であることを特徴とする請求項1ない
    し請求項4のうちいずれか一項に記載のフロック。
  6. 【請求項6】 導電性ポリマー層は、ピロールをモノマ
    ーとして重合して得られるポリマー層であることを特徴
    とする請求項5に記載のフロック。
  7. 【請求項7】 導電性ポリマー層の厚さは、短繊維が浸
    透性繊維であるときは、平均としておよそ、0.01μ
    mないし0.03μmであり、短繊維が非浸透性繊維で
    あるときは、平均としておよそ、0.02μmないし
    0.05μmであることを特徴とする請求項1ないし請
    求項4のうちいずれか一項に記載のフロック。
  8. 【請求項8】 短繊維は天然繊維または半合成繊維もし
    くは合成繊維より成り、かつ、繊維のアスペクト比は
    1:30〜1:100の範囲内のものであることを特徴
    とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか一項に記
    載のフロック。
  9. 【請求項9】 フロックの表面漏洩抵抗値は、105 Ω
    /cmないし108 Ω/cmの範囲内であることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項8のうちいずれか一項に記載の
    フロック。
  10. 【請求項10】 モノマーの重合反応を、短繊維を含む
    処理液中において、化学酸化重合剤を触媒として、所望
    により添加されたドーパントおよび/または表面張力低
    下剤とともに進行させて、生成した導電性ポリマーを処
    理液中の繊維の表面に被覆することより成る、請求項1
    または請求項2に記載の静電植毛用フロックの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 モノマーの重合反応を、長繊維を含む
    処理液中において、化学酸化重合剤を触媒として、所望
    により添加されたドーパントおよび/または表面張力低
    下剤とともに進行させて、生成した導電性ポリマーを処
    理液中の繊維の表面に被覆し、そしてその後被覆された
    長繊維を切断して短繊維とすることより成る、請求項1
    または請求項2に記載の静電植毛用フロックの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 モノマーとしては、ピロール、N−メ
    チルピロール、アニリン、チオフェンおよびチオフェン
    −3−スルホン酸からなる群から選択された一種または
    二種以上のモノマーが使用されるところの請求項10ま
    たは請求項11に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 モノマーとしては、ピロールが使用さ
    れるところの請求項12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 用いる短繊維または長繊維は、染色さ
    れた繊維であるところの請求項10ないし請求項13の
    うちいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 触媒として使用される化学酸化重合剤
    は、水溶性第二鉄塩であるところの請求項10ないし請
    求項14のうちいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 重合反応の終了後、被覆された繊維を
    さらに柔軟剤または平滑剤とともに水洗することより成
    る、請求項10ないし請求項15のうちいずれか一項に
    記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項10ないし請求項16のうちい
    ずれか一項に記載された方法に従い、製造された静電植
    毛用フロック。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし請求項9および請求項
    17のうちいずれか一項に記載の静電植毛用フロックを
    原料とし、アップ式静電植毛法、ダウン式静電植毛法、
    アップダウン式静電植毛法もしくはサイド式静電植毛法
    に従って、または流動槽型静電植毛機を用いて、基材の
    植毛すべき表面に静電植毛することにより、作られてな
    る静電植毛品。
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