JPH06217792A - 光学活性ヒドロキシニトリルの製法及びこの製法において使用する新規な合成中間体 - Google Patents

光学活性ヒドロキシニトリルの製法及びこの製法において使用する新規な合成中間体

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JPH06217792A
JPH06217792A JP3484593A JP3484593A JPH06217792A JP H06217792 A JPH06217792 A JP H06217792A JP 3484593 A JP3484593 A JP 3484593A JP 3484593 A JP3484593 A JP 3484593A JP H06217792 A JPH06217792 A JP H06217792A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 マメコガネなどの性フェロモン合成中間体と
して有用な光学活性ヒドロキシニトリルを、効率よく製
造することを目的とする。 【構成】 少なくとも光学活性(R)−ヒドロキシニト
リルと光学活性(S)−ヒドロキシニトリルとを含有す
る混合物に、加水分解酵素存在下、有機溶媒中でカルボ
ン酸またはカルボン酸誘導体を作用させ、(R)−光学
活性体を優先的にアシル化して光学活性(R)−シアノ
エステルとし、次いでこれと光学活性(S)−ヒドロキ
シニトリルとを分離し、さらに光学活性光学活性(R)
−シアノエステルを加水分解して下式で示される光学活
性(R)−ヒドロキシニトリルを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は光学活性ヒドロキシニ
トリルの製法及びこの製法において使用する新規な合成
中間体に係り、その目的は芝や農作物の食害虫であるマ
メコガネ(Popillia japonica Newman) やドウガネブイ
ブイ(Anomala cuprea Hope) の性フェロモン合成中間体
として、或いは各種医薬品、農薬、生理活性物質の合成
中間体として有用な光学活性ヒドロキシニトリルを、常
温下極めて容易に、且つ製造上の安全性も高く、しかも
選択的に高純度の光学活性体を得ることができる製法及
びこの製法において使用する新規な合成中間体を提供す
ることにある。
【0002】
【発明の背景】従来より、光学活性ヒドロキシニトリル
は各種医薬品、農薬、生理活性物質等の合成中間体とし
て着目されている。すなわち、光学活性ヒドロキシニト
リルは加水分解することにより、容易に光学活性ヒドロ
キシカルボン酸あるいは光学活性ラクトンに誘導するこ
とができるため、極めて利用用途の広い合成中間体とし
て位置付けられている。特に光学活性(R)−ヒドロキ
シニトリルのひとつである一般式25(化25)で示さ
れる光学活性(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシ
ノニトリルは芝害虫マメコガネ(Popillia japonica New
man)の性フェロモン合成中間体の一つとされている。
(Pirkle, W. H. et al, J. Org. Chem., 44, 2169 (19
79) 。また、この(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラ
デシノニトリルは芝害虫マメコガネ(Popillia japonica
Newman)の性フェロモンの合成中間体の一つである一般
式26(化26)で示される(R)−5−(1−デシニ
ル)オキサシクロペンタン−2−オンに容易に誘導する
ことができる重要な物質ともされている(Shuji Senda
et al; Agrical. Biological. Chem.,47, 2595-2598 (1
983)) 。
【化25】
【化26】
【0003】また、同じく(R)−ヒドロキシニトリル
のひとつである一般式27(化27)で示される(R)
−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルは芝害虫ドウ
ガネブイブイ(Anomala cuprea Hope)の合成中間体の一
つである一般式28(化28)で示される(R)−5−
(1−オクテニル)オキサシクロペンタン−2−オンに
容易に誘導することができる重要な物質である(Leal,
W. S.;Naturwissenschafen, 78, 521-523 (1991)) 。
【化27】
【化28】
【0004】マメコガネ(Popillia japonica Newman)は
鞘目コガネムシ科に属する甲虫で、本来日本に在中する
害虫であったが、米国に輸出したアイリスの球根に潜入
して大発生して以来、米国ではジャパニーズ・ビートル
(Japanese beetle)と呼ばれ、果樹、農作物等を食害す
る大害虫として位置付けられており、その被害総額も多
大なものとなっている。また、日本においても近年、ゴ
ルフ場の芝に対する食害が深刻化されており、このよう
な食害対策について鋭意検討がなされている。一方、ド
ウガネブイブイ(Anomala cuprea Hope) も同じく鞘目コ
ガネムシ科に属する甲虫で、日本各地に分布しており、
成虫はマメ類、ウメ、アンズ、ブドウ、クリ、ナシなど
の種々の樹木の葉を網目状に食害し、特にブドウ園での
被害が深刻化されている害虫の一種である。
【0005】このようなマメコガネ(Popillia japonica
Newman)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea Hope) 等
の害虫の防除方法としては、従来では農薬や殺虫剤等を
使用する化学的防除法が中心に使用されていたが、この
化学的防除法では、農作物への残留毒性や生命体への危
険性、環境保全等の問題、さらには殺虫剤等の使用によ
る農作物や土壌への好ましくない生物的活性などが問題
視されてくるようになり、近年ではこのような化学的防
除法に代わってフェロモンを利用した防除方法が着目さ
れてくるようになり、その研究開発が盛んに行なわれて
いる。
【0006】
【従来の技術】従来、光学活性ヒドロキシニトリルを合
成する方法としては、図1のスキームにて示すように、
対応するラセミ体(1)を光学活性ナフチルエチルイソ
シアネート(2)と反応させジアステレオカルバメート
(3a)・(3b)に誘導してから高速液体クロマトグ
ラフィー(以下、HPLCと略す)で分離する方法が報
告されていた(Pirkle, W. H. et al, J. Org. Chem.,
44, 2169 (1979) 。あるいは、図2のスキームにて示す
ように、対応するケトニトリルを酵母を用いて不斉還元
する方法も報告されていた(Gopalan, A. et al., Synt
h. Commun.,21, 1321 (1991))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たラセミ体を光学活性ナフチルエチルイソシアネートと
反応させて合成する方法では、高価な分割剤であるナフ
チルエチルイソシアネートを必要とするため、汎用的に
使用できず、しかもHPLCによる分取では大量処理が
困難となるなど工業生産上適した製造方法ではないとい
った課題が存在した。また、酵母を用いて不斉還元する
方法では、反応の際の基質の濃度を高めることができな
いことから生産性が低く、そのうえ光学活性ヒドロキシ
ニトリルの鏡像異性体のうちのどちらか一方の絶対立体
配置の光学活性体しか得られないという課題が存在し
た。従って、上記実情に鑑み、業界では汎用性に適した
方法で光学活性ヒドロキシニトリルの両鏡像体を簡便且
つ収率良く得ることができる製造方法の創出が望まれて
いた。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明では少なくとも
光学活性(R)−ヒドロキシニトリルと光学活性(S)
−ヒドロキシニトリルとを含有する混合物に、加水分解
酵素存在下、有機溶媒中でカルボン酸またはカルボン酸
誘導体を作用させ、(R)−光学活性体を優先的にアシ
ル化して光学活性(R)−シアノエステルとし、次いで
この光学活性(R)−シアノエステルと光学活性(S)
−ヒドロキシニトリルとを分離し、さらに光学活性光学
活性(R)−シアノエステルを加水分解して光学活性
(R)−ヒドロキシニトリルを得ることを特徴とする光
学活性ヒドロキシニトリルの製法及び少なくとも光学活
性(R)−シアノエステルと光学活性(S)−シアノエ
ステルとを含有する混合物に、加水分解酵素を作用させ
(R)−光学活性体を優先的に加水分解して光学活性
(R)−ヒドロキシニトリルとし、次いでこの光学活性
(R)−ヒドロキシニトリルと光学活性(S)−シアノ
エステルとを分離し、さらに光学活性(S)−シアノエ
ステルを加水分解して光学活性(S)−ヒドロキシニト
リルを得ることを特徴とする光学活性ヒドロキシニトリ
ルの製法を提供することにより上記従来の課題を悉く解
消する。
【0009】
【発明の構成】以下、この発明に係る光学活性ヒドロキ
シニトリルの製法及びこの製法において使用する新規な
合成中間体の構成について詳述する。まず、この発明に
係る光学活性ヒドロキシニトリルの製法について詳述す
る。この発明では光学活性ヒドロキシニトリルの製法と
して、第一の製法と第二の製法及び第三の製法との3つ
の方法を開示する。第一の製法とは、光学的に純粋でな
いヒドロキシニトリル、すなわち一般式29(化29)
で示される光学活性(R)−ヒドロキシニトリルと一般
式30(化30)で示される光学活性(S)−ヒドロキ
シニトリルとを含有する混合物を出発物質として使用す
る方法である。
【化29】
【化30】 (但し、式中R1 は一般式31(化31)又は一般式3
2(化32)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を
示す。)
【化31】
【化32】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0010】この混合物は光学活性(R)−ヒドロキシ
ニトリルと光学活性(S)−ヒドロキシニトリルとを含
有する混合物であればよく、例えば両者が等量含まれる
一般式33(化33)で示されるラセミヒドロキシニト
リルが好適に使用できる。
【化33】 (但し、式中R1 は一般式34(化34)又は一般式3
5(化35)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を
示す。)
【化34】
【化35】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0011】このラセミヒドロキシニトリルの具体例と
しては、4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニトリル、
4−ヒドロキシ−5−トリデシノニトリル、4−ヒドロ
キシ−5−ドデシノニトリル、4−ヒドロキシ−5−ウ
ンデシノニトリル、4−ヒドロキシ−5−デシノニトリ
ル、4−ヒドロキシ−5−ノニノニトリル、4−ヒドロ
キシ−5−テトラデセノニトリル、4−ヒドロキシ−5
−トリデセノニトリル、4−ヒドロキシ−5−ドデセノ
ニトリル、4−ヒドロキシ−5−ウンデセノニトリル、
4−ヒドロキシ−5−デセノニトリル、4−ヒドロキシ
−5−ノネノニトリル等が例示される。特に一般式36
(化36)で示される4−ヒドロキシ−5−テトラデシ
ノニトリルを出発物質として用いると、芝害虫マメコガ
(Popillia japonica Newman)の性フェロモン合成中間
体を合成できる。また、同じく一般式37(化37)で
示される4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルを出発
物質として用いると、作物害虫ドウガネブイブイ(Anom
ala cuprea Hope)の性フェロモン合成中間体を合成する
ことができる。
【化36】
【化37】
【0012】このようなラセミヒドロキシニトリルは容
易に製造できる物質である。具体例として、4−ヒドロ
キシ−5−ドデシノニトリルの合成の一実施例を例示す
ると、3−ホルミルプロピノニトリルと1−オクチルマ
グネシウムプロミドとを室温で反応させることにより容
易に合成することができる(Pirkle, W. H.et al, J. O
rg. Chem., 43, 2091 (1978) 。
【0013】この発明の第一の製法においては、前記し
たラセミヒドロキニトリル((R)−ヒドロキシニトリ
ルと(S)−ヒドロキシニトリルとの等量混合物)に加
水分解酵素存在下、有機溶媒中で、カルボン酸またはカ
ルボン酸誘導体をアシル基供与体として作用させ、立体
選択的アシル化反応を行い、前記ラセミヒドロキシニト
リルのうちの(R)−光学活性体を優先的にアシル化し
て一般式38(化38)で示される光学活性(R)−シ
アノエステルとする。
【化38】 (但し、式中R1 は一般式39(化39)又は一般式4
0(化40)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化39】
【化40】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0014】この反応に用いる加水分解酵素としては、
豚膵臓由来リパーゼ、細菌由来リパーゼ、酵母由来リパ
ーゼ、かび由来リパーゼ等のリパーゼ類、豚膵臓エステ
ラーゼ、コレステロールエステラーゼ等が挙げられる。
これらの酵素は精製品でも粗精製品でもよく、しかもこ
の形態も特に限定されるものではなく、粉末状、顆粒
状、あるいは酵素を含む微生物菌体(処理菌体、休止菌
体)の乾燥物等を適宜任意に用いることができる。これ
らの酵素はそのまま用いることもできるが、固定化担体
に固定して用いることもできる。また反応終了後に回収
した酵素を再利用することも可能である。
【0015】また、この反応に用いる有機溶媒は、非水
系有機溶媒であれば良く、具体例としてはn−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等の鎖
状脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等
の環状脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロメ
タン、四塩化炭素等の含ハロゲン炭化水素、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエー
テル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等の
エーテル類等ヒドロキシニトリルを溶解する任意の非水
系溶媒が限定されることなく挙げられる。
【0016】この反応に用いられるカルボン酸あるいは
カルボン酸誘導体は加水分解酵素の基質となり得る範囲
であればよく、好ましくは炭素数2〜20程度のカルボ
ン酸あるいはカルボン酸誘導体が好適に使用できる。具
体的には、カルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノ
ナン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステア
リン酸等が好適に例示される。またカルボン酸誘導体と
しては、前記カルボン酸類のエステル類、特にビニルエ
ステルあるいはイソプロペニルエステル等のエノールエ
ステル類が好ましく提示される。或いは前記カルボン酸
類の無水物も例示でき、鎖状カルボン酸無水物として
は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等
の無水物が、また環状カルボン酸無水物としては、コハ
ク酸無水物、グルタル酸無水物等が好適に例示される。
【0017】この反応におけるラセミヒドロキシニトリ
ルとカルボン酸またはカルボン酸誘導体との配合率は特
に限定はされない。また、この反応の反応温度は酵素の
活性温度内であれば良く、通常0℃〜70℃、より望ま
しくは15〜50℃の温度の範囲が使用される。
【0018】この立体選択的アシル化反応終了後、この
反応により得られた一般式41(化41)で示される光
学活性(R)−シアノエステルと一般式42(化42)
で示される光学活性(S)−ヒドロキシニトリルとを分
離する。
【化41】
【化42】 (但し、式中R1 は一般式43(化43)又は一般式4
4(化44)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化43】
【化44】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0019】この分離方法としては特に限定はされない
が、水難性有機溶媒、或いは水不溶性有機溶媒と水とか
らなる2相系溶媒を用いた抽出による分離方法、カラム
を用いる分離方法、蒸留による分離方法などが挙げられ
る。このようにして得られたた光学活性(R)−シアノ
エステルは次いで、炭酸カリウム等のアルカリで処理す
ることにより、容易に同じ光学純度の一般式45(化4
5)で示される(R)−ヒドロキシニトリルに誘導する
ことができる。
【化45】 (但し、式中R1 は一般式46(化46)又は一般式4
7(化47)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を
示す。)
【化46】
【化47】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0020】次に、この発明に係る光学活性ヒドロキシ
ニトリルの製法のうちの第二の製法について詳述する。
この第二の製法では、光学的に純粋でないシアノエステ
ル、すなわち一般式48(化48)で示される光学活性
(R)−シアノエステルと一般式49(化49)で示さ
れる光学活性(S)−シアノエステルとを含有する混合
物を出発物質として使用する。
【化48】
【化49】 (但し、式中R1 は一般式50(化50)又は一般式5
1(化51)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化50】
【化51】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0021】この混合物は、光学活性(R)−シアノエ
ステルと光学活性(S)−シアノエステルとを含有する
混合物であればよく、例えば両者が等量含有される一般
式52(化52)で示されるラセミシアノエステルが好
適に使用できる。
【化52】 (但し、式中R1 は一般式53(化53)又は一般式5
4(化54)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化53】
【化54】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0022】このラセミシアノエステルの具体例として
は、4−アシロキシ−5−テトラデシノニトリル、4−
アシロキシ−5−トリデシノニトリル、4−アシロキシ
−5−ドデシノニトリル、4−アシロキシ−5−ウンデ
シノニトリル、4−アシロキシ−5−デシノニトリル、
4−アシロキシ−5−ノニノニトリル、4−アシロキシ
−5−テトラデセノニトリル、4−アシロキシ−5−ト
リデセノニトリル、4−アシロキシ−5−ドデセノニト
リル、4−アシロキシ−5−ウンデセノニトリル、4−
アシロキシ−5−デセノニトリル、4−アシロキシ−5
−ノネノニトリル等が好適に例示される。特に一般式5
5(化55)で示される4−アシロキシ−5−テトラデ
シノニトリルを出発物質として用いると、芝害虫マメコ
ガネ(Popillia japonica Newman)の性フェロモンの合成
中間体として重要な光学活性体を合成することができ
る。また、一般式56(化56)で示される4−アシロ
キシ−5−ドデシノニトリルを出発物質として用いる
と、作物害虫ドウガネブイブイ(Anomala cuprea Hope)
の合成中間体として重要な光学活性体を合成することが
できる。
【化55】
【化56】
【0023】このようなラセミシアノエステルは前記第
一の製法中に記載したラセミヒドロキシニトリルをカル
ボン酸無水物あるいはカルボン酸ハロゲン化物でアシル
化することにより容易に製造できる物質である。
【0024】この第二の製法では、ラセミシアノエステ
ルに加水分解酵素を作用させて、立体選択的加水分解を
行い、(R)−光学活性体を優先的に加水分解して一般
式57(化57)で示される光学活性(R)−ヒドロキ
シニトリルを得る。
【化57】 (但し、式中R1 は一般式58(化58)又は一般式5
9(化59)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を
示す。)
【化58】
【化59】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0025】この反応に用いられる溶媒は水系でも、非
水系でも特に限定されず、具体的には、水あるいは燐酸
緩衝液等の緩衝液、或いはn−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、n−オクタン、イソオクタン等の鎖状脂肪族炭化水
素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環状炭化水
素、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素等
の含ハロゲン炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、イソプロピル
エーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類等の有機
溶媒、或いは前記有機溶媒を水又は緩衝液で飽和させた
溶媒、前記有機溶媒と水または緩衝液の2相系溶媒等が
好適に例示できる。
【0026】また、この反応で使用する加水分解酵素と
しては、前記第一の製法と同様のものが特に限定される
ことなく好適に使用できる。さらに反応温度について
も、酵素の活性温度内であれば良く、通常0〜70℃の
範囲で用いられるが、好ましくは10〜40℃が望まし
い。この立体選択的加水分解反応終了後、上記に示した
溶媒を大量に添加し反応物を抽出する。次いで、この反
応によって得られた一般式60(化60)で示される光
学活性(R)−ヒドロキシニトリルと一般式61(化6
1)で示される光学活性(S)−シアノエステルとを分
離する。
【化60】
【化61】 (但し、式中R1 は一般式62(化62)又は一般式6
3(化63)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化62】
【化63】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0027】この分離方法としては前記第一の製法と同
様の抽出による分離方法やカラムによる分離方法、蒸留
による分離方法が限定されることなく適宜好適に使用で
きる。
【0028】また、この反応によって得られた光学活性
(S)−シアノエステルは前記第一の製法における
(R)−シアノエステルを(R)−ヒドロキシニトリル
とする方法と同様に、炭酸カルシウム等のアルカリで加
水分解することにより一般式64(化64)で示される
光学活性(S)−ヒドロキシニトリルとすることができ
る。
【化64】 (但し、式中R1 は一般式65(化65)又は一般式6
6(化66)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を
示す。)
【化65】
【化66】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0029】次に、この発明の第三の製法について詳述
する。第三の製法では、前記第一の製法と同様に、光学
活性(R)−ヒドロキシニトリルと光学活性(S)−ヒ
ドロキシニトリルとを含有する混合物(例えばラセミヒ
ドロキシニトリル)に加水分解酵素存在下、有機溶媒中
でカルボン酸又はカルボン酸誘導体をアシル基供与体と
して作用させ、立体選択的アシル化反応を行い、(R)
−光学活性体を優先的にアシル化して一般式67(化6
7)で示される光学活性(R)−シアノエステルとする
反応によって得られた反応生成物を出発物質として用
い、前記第二の製法と同様に加水分解酵素を作用させ
る。
【化67】 (但し、式中R1 は一般式68(化68)又は一般式6
9(化69)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化68】
【化69】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0030】この出発物質中にはアシル化反応によって
生じた前記光学活性(R)−シアノエステルと一般式7
0(化70)で示される光学活性(S)−シアノエステ
ル及び一般式71(化71)で示される光学活性(S)
−ヒドロキシニトリルとが混在されている。
【化70】
【化71】 (但し、式中R1 は一般式72(化72)又は一般式7
3(化73)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化72】
【化73】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0031】このような混合物を出発物質として、前記
第二の製法と同様の処理、すなわち加水分解酵素を作用
させて、立体選択的加水分解を行い、光学活性(R)−
シアノエステルを優先的に加水分解して一般式74(化
74)で示される光学活性(R)−ヒドロキシニトリル
とし、次いでこの光学活性(R)−ヒドロキシニトリル
と光学活性(S)−シアノエステルとを分離し、さらに
この光学活性(S)−シアノエステルをアルカリ処理し
て一般式75(化75)で示される光学活性(S)−ヒ
ドロキシニトリルとし、光学純度の高い光学活性(R)
−ヒドロキシニトリルと光学活性(S)−ヒドロキシニ
トリルとを得る。
【化74】
【化75】 (但し、式中R1 は一般式76(化76)又は一般式7
7(化77)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を
示す。)
【化76】
【化77】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0032】この第三の製法において使用する溶媒、加
水分解酵素、反応温度等は前記第一の製法及び第二の製
法とほぼ同様のものを使用することができる。
【0033】また、この発明では前記第三の製法に限定
されず、適宜第一、第二の製法を相互に組み合わせれ
ば、より光学純度の高い光学活性ヒドロキシニトリルを
得ることが可能となる。
【0034】次に、この発明に係る光学活性ヒドロキシ
ニトリルの製法において使用される新規な合成中間体に
ついて詳述する。この発明の第一の製法において使用さ
れる一般式78(化78)で示される光学活性(R)−
シアノエステルは、この発明に係る新規な合成中間体で
ある。
【化78】 (但し、式中R1 は一般式79(化79)又は一般式8
0(化80)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化79】
【化80】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0035】この中間体は、用いる出発物質や基質の種
類によって異なるが、例えば(R)−4−アセトキシ−
5−ドデシノニトリル、(R)−4−プロピオニルオキ
シ−5−ドデシノニトリル、(R)−4−ブタノイルオ
キシ−5−ドデシノニトリル、(R)−4−スクシノイ
ルオキシ−5−ドデシノニトリル、(R)−4−アセト
キシ−5−テトラデシノニトリル、(R)−4−プロピ
オニルオキシ−5−テトラデシノニトリル、(R)−4
−ブタノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル、
(R)−4−スクシノイルオキシ−5−テトラデシノニ
トリル等が例示されるが特に限定はされない。このよう
な光学活性(R)−シアノエステルは、マメコガネ(Pop
illia japonica Newman)やドウガネブイブイ(Anomala
cuprea Hope) の性フェロモン合成中間体として有用な
光学活性ヒドロキシニトリルに容易に誘導できる重要な
中間体である。
【0036】また、この発明の第二の製法において使用
される一般式81(化81)で示される光学活性(S)
−シアノエステルは、この発明に係る新規な合成中間体
である。
【化81】 (但し、式中R1 は一般式82(化82)又は一般式8
3(化83)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。)
【化82】
【化83】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
キル基を示す。)
【0037】この中間体は、用いる出発物質や基質の種
類によって異なるが、例えば(S)−4−アセトキシ−
5−ドデシノニトリル、(S)−4−プロピオニルオキ
シ−5−ドデシノニトリル、(S)−4−ブタノイルオ
キシ−5−ドデシノニトリル、(S)−4−スクシノイ
ルオキシ−5−ドデシノニトリル、(S)−4−アセト
キシ−5−テトラデシノニトリル、(S)−4−プロピ
オニルオキシ−5−テトラデシノニトリル、(S)−4
−ブタノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル、
(S)−4−スクシノイルオキシ−5−テトラデシノニ
トリル等が例示されるが特に限定はされない。このよう
な光学活性(S)−シアノエステルは、マメコガネ(Pop
illia japonica Newman)やドウガネブイブイ(Anomala
cuprea Hope) の性フェロモン合成中間体として有用な
光学活性ヒドロキシニトリルに容易に誘導できる重要な
中間体である。
【0038】
【実施例】以下、この発明に係る光学活性ヒドロキシニ
トリルの製法及びこの製法における新規な中間体につい
て、実施例を挙げて一層詳細に説明する。尚、この発明
は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0039】(実施例1)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−ドデシノニトリル(1g)、無水酢酸(2
60mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)
を入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25
℃で16時間攪拌した後反応液を濾過し、得られた濾液
を減圧濃縮した後溶媒を除去した。得られた油状物質を
ヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲル系クロマトグラフ
ィーにより精製し、500mgの(R)−4−アセトキ
シ−5−ドデシノニトリル(光学純度85%)と520
mgの(S)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリル
(光学純度75%)を得た。得られた(R)−4−アセ
トキシ−5−ドデシノニトリルは赤外線吸収スペクトル
の吸収波数(cm-1) が2900、2830、221
0、1740、1430、1370、1230、115
0、1030であったこと、及びプロトン磁気共鳴スペ
クトル(1 H−NMR)(400MHz)分析のσ値が
0.88(3H,t,J=7.1Hz)、1.24〜
1.38(6H,m)、1.45〜1.58(2H,
m)、2.06〜2.10(2H,m)、2.08(3
H,S),2.19(2H,td,J=7.3,2.0
Hz)、2.52(2H,t,J=7.7Hz)、5.
44〜5.47(1H,m)であったことから同定され
た(図3及び図4参照)。また(S)−4−ヒドロキシ
−5−ドデシノニトリルについても赤外線吸収スペクト
ルの吸収波数(cm-1) が3400、2900、283
0、2220、1430、1330、1140、105
0であったこと、及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1
H−NMR)(400MHz)分析のσ値が、0.88
(3H,t,J=7.1Hz)、1.22〜1.39
(6H,m)、1.45〜1.51(2H,m)、2.
19(2H,td,J=6.8,2.0Hz)、2.5
3(2H,td,J=7.3、3.9Hz)、4.48
〜4.53(1H,m)であったことから同定された
(図5及び図6参照)。尚、上記光学純度は、それぞれ
をエタノール・水酸化ナトリウムにより加水分解し、対
応するヒドロキシカルボン酸としてから蒸留し、対応す
るラクトンに誘導してから公知の方法(E.Fukusaki et
al., Tetrahedron, 47, 6223, (1991))によりHPLC
を用いて決定した。また、上記で得られた(R)−4−
アセトキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度85%)
をメタノールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加
え室温で1昼夜攪拌することにより、90%の収率で
(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルを得
た。この(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリ
ルは、赤外線吸収スペクトルの吸収波数(cm-1) 及び
プロトン磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR)(400
MHz)分析のσ値が、前記(S)−光学活性体と同様で
あったことから同定された(図5及び図6参照)。
【0040】(実施例2)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−ドデシノニトリル(1g)、無水プロピオ
ン酸(300mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)
(1g)を入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁
液を25℃で16時間攪拌した後反応液を濾過し、得ら
れた濾液を減圧濃縮して溶媒を除去した。得られた油状
物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより精製し、520mgの(R)−4
−プロピオニルオキシ−5−ドデシノニトリル(光学純
度86%)と500mgの(S)−4−ヒドロキシ−5
−ドデシノニトリル(光学純度76%)を得た。尚、上
記光学純度は、それぞれをエタノール・水酸化ナトリウ
ムにより加水分解し、対応するヒドロキシカルボン酸と
してから蒸留し、対応するラクトンに誘導してから公知
の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedron, 47, 6223,
(1991))によりHPLCを用いて決定した。また、上記
で得られた(R)−4−ピロピオニルオキシ−5−ドデ
シノニトリル(光学純度86%)をメタノールに溶解
し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で1昼夜攪拌
することにより、90%の収率で(R)−4−ヒドロキ
シ−5−ドデシノニトリルを得た。この(R)−4−ヒ
ドロキシ−5−ドデシノニトリルは赤外線吸収スペクト
ルの吸収波数(cm-1) 及びプロトン磁気共鳴スペクト
ル(1 H−NMR)(400MHz)分析のσ値が前記実
施例1と同様であったことから同定された。
【0041】(実施例3)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−ドデシノニトリル(1g)、無水酪酸(3
50mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)
を入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25
℃で16時間攪拌した後反応液を濾過し、得られた濾液
を減圧濃縮した後溶媒を除去した。得られた油状物質を
ヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、550mgの(R)−4−ブタ
ノイルオキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度90
%)と500mgの(S)−4−ヒドロキシ−5−ドデ
シノニトリル(光学純度76%)を得た。得られた
(R)−4−ブタノイルオキシ−5−ドデシノニトリル
は赤外線吸収スペクトルの吸収波数(cm-1) が、29
30、2900、2840、2220、1740、14
60、1430、1380、1250、1040であっ
たこと、及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1 H−NM
R)(400MHz)分析のσ値が、0.88(3H,
t,J=7.1Hz),0.94(3H,t,J=7.
3Hz)、1.23〜1.38(6H,m)、1.45
〜1.52(2H,m)、1.57〜1.70(2H,
m)、2.06〜2.12(2H,m)、2.19(2
H,td,J=6.8,2.0Hz)、2.53(2
H,td,J=7.3,3.9Hz)、4.48〜4.
53(1H,m)であったことから同定された(図7及
び図8参照)。また、(S)−4−ヒドロキシ−5−ド
デシノニトリルについては赤外線吸収スペクトルの吸収
波数(cm-1) 及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1
−NMR)(400MHz)分析のσ値が前記実施例1と
同様であったことから同定された。尚、上記光学純度
は、それぞれをエタノール・水酸化ナトリウムにより加
水分解し、対応するヒドロキシカルボン酸としてから蒸
留し、対応するラクトンに誘導してから公知の方法(E.
Fukusaki et al., Tetrahedron, 47, 6223, (1991))に
よりHPLCを用いて決定した。また、上記で得られた
(R)−4−ブタノイルオキシ−5−ドデシノニトリル
(光学純度90%)をメタノールに溶解し、1.2当量
の炭酸カリウムを加え室温で1昼夜攪拌することによ
り、90%の収率で(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデ
シノニトリルを得た。得られた(R)−4−ヒドロキシ
−5−ドデシノニトリルは赤外線吸収スペクトルの吸収
波数(cm-1) 及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1
−NMR)(400MHz)分析のσ値が前記実施例1と
同様であったことから同定された。
【0042】(実施例4)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−ドデシノニトリル(1g)、無水コハク酸
(330mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1
g)を入れ、混合して懸濁液を調製した。懸濁液を25
℃で16時間攪拌した後反応液を濾過し、得られた濾液
を減圧濃縮した後溶媒を除去した。得られた油状物質を
ヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、530mgの(R)−4−スク
シノイルオキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度92
%)と500mgの(S)−4−ヒドロキシ−5−ドデ
シノニトリル(光学純度79%)を得た。尚、光学純度
は、それぞれをエタノール・水酸化ナトリウムにより加
水分解し、対応するヒドロキシカルボン酸としてから蒸
留し、対応するラクトンに誘導してから公知の方法(E.
Fukusaki et al., Tetrahedron, 47, 6223, (1991)) に
よりHPLCを用いて決定した。また上記で得られた
(R)−4−スクシノイルオキシ−5−ドデシノニトリ
ル(光学純度92%)をメタノールに溶解し、1.2当
量の炭酸カリウムを加え室温で1昼夜攪拌することによ
り、90%の収率で(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデ
シノニトリルを得た。得られた(R)−4−ヒドロキシ
−5−ドデシノニトリルは赤外線吸収スペクトルの吸収
波数(cm-1) 及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1
−NMR)(400MHz)分析のσ値が前記実施例1と
同様であったことから同定された。
【0043】(実施例5)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−テトラデシノニトリル(1g)、無水酢酸
(240mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1
g)を入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を
25℃で16時間攪拌した後反応液を濾過後、得られた
濾液を減圧濃縮し溶媒を除去した。得られた油状物質を
ヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、510mgの(R)−4−アセ
トキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度88%)
と520mgの(S)−4−ヒドロキシ−5−テトラデ
シノニトリル(光学純度76%)を得た。尚、上記光学
純度は、それぞれをエタノール・水酸化ナトリウムによ
り加水分解し、対応するヒドロキシカルボン酸としてか
ら蒸留し、対応するラクトンに誘導してから公知の方法
(E.Fukusaki et al., Tetrahedron, 47, 6223, (199
1))によりHPLCを用いて決定した。また上記で得ら
れた(R)−4−アセトキシ−5−ドデシノニトリル
(光学純度88%)をメタノールに溶解し、1.2当量
の炭酸カリウムを加え室温で1昼夜攪拌することによ
り、90%の収率で(R)−4−ヒドロキシ−5−テト
ラデシノニトリルを得た。
【0044】(実施例6)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−テトラデシノニトリル(1g)、無水プロ
ピオン酸(290mg)、リパーゼ(商品名;アマノP
S)(1g)を入れ、混合して懸濁液を調製した。この
懸濁液を25℃で16時間攪拌した。反応液を濾過後、
得られた濾液を減圧濃縮し溶媒を除去した。得られた油
状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにより精製し、530mgの(R)−
4−プロピオニルオキシ−5−テトラデシノニトリル
(光学純度88%)と500mgの(S)−4−ヒドロ
キシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度77%)を
得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエタノール・水
酸化ナトリウムにより加水分解し、対応するヒドロキシ
カルボン酸としてから蒸留し、対応するラクトンに誘導
してから公知の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedro
n, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用いて決定し
た。また、上記で得られた(R)−4−プロピオニルオ
キシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度88%)を
メタノールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加え
室温で1昼夜攪拌することにより、90%の収率で
(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニトリルを
得た。
【0045】(実施例7)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−テトラデシノニトリル(1g)、無水酪酸
(340mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1
g)を入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を
25℃で16時間攪拌した後反応液を濾過し、得られた
濾液を減圧濃縮し溶媒を除去した。得られた油状物質を
ヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、560mgの(R)−4−ブタ
ノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度9
0%)と500mgの(S)−4−ヒドロキシ−5−テ
トラデシノニトリル(光学純度76%)を得た。尚、上
記光学純度は、それぞれをエタノール・水酸化ナトリウ
ムにより加水分解し、対応するヒドロキシカルボン酸と
してから蒸留し、対応するラクトンに誘導してから公知
の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedron, 47, 6223,
(1991))によりHPLCを用いて決定した。また上記で
得られた(R)−4−ブタノイルオキシ−5−テトラデ
シノニトリル(光学純度90%)をメタノールに溶解
し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で1昼夜攪拌
することにより、90%の収率で(R)−4−ヒドロキ
シ−5−テトラデシノニトリルを得た。
【0046】(実施例8)100mlマイヤーフラスコ
にイソプロピルエーテル(20ml)、ラセミ4−ヒド
ロキシ−5−テトラデシノニトリル(1g)、無水コハ
ク酸(310mg)、リパーゼ(商品名;アマノPS)
(1g)を入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁
液を25℃で16時間攪拌した後反応液を濾過し、得ら
れた濾液を減圧濃縮し溶媒を除去した。得られた油状物
質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーにより精製し、540mgの(R)−4−
スクシノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学
純度92%)と500mgの(S)−4−ヒドロキシ−
5−テトラデシノニトリル(光学純度79%)を得た。
尚、上記光学純度は、それぞれをエタノール・水酸化ナ
トリウムにより加水分解し、対応するヒドロキシカルボ
ン酸としてから蒸留し、対応するラクトンに誘導してか
ら公知の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedron, 47,
6223, (1991))によりHPLCを用いて決定した。ま
た、上記で得られた(R)−4−スクシノイルオキシ−
5−テトラデシノニトリル(光学純度92%)をメタノ
ールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で
1昼夜攪拌することにより、90%の収率で(R)−4
−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルを得た。
【0047】(実施例9)100mlマイヤーフラスコ
に50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセミ
4−アセトキシ−5−ドデシノニトリル(1g)、リパ
ーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を入れ、混合して
懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃で16時間攪拌
した後反応液にジエチルエーテルを加え抽出した。得ら
れた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去した。得られた油状
物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより精製し、400mgの(R)−4
−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度80
%)と500mgの(S)−4−アセトキシ−5−ドデ
シノニトリル(光学純度70%)を得た。得られた
(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルは赤外
線吸収スペクトルの吸収波数(cm-1) 及びプロトン磁
気共鳴スペクトル(1 H−NMR)(400MHz)分析
のσ値が前記実施例1と同様であったことから同定され
た。また、(S)−4−アセトキシ−5−ドデシノニト
リルについても赤外線吸収スペクトルの吸収波数(cm
-1) 及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR)
(400MHz)分析のσ値が実施例1の(R)−光学活
性体と同様であったことから同定された。尚、上記光学
純度は、それぞれをエタノール・水酸化ナトリウムによ
り加水分解し、対応するヒドロキシカルボン酸としてか
ら蒸留し、対応するラクトンに誘導してから公知の方法
(E.Fukusaki et al., Tetrahedron, 47, 6223, (199
1))によりHPLCを用いて決定した。また、上記で得
られた(S)−4−アセトキシ−5−ドデシノニトリル
(光学純度70%)をメタノールに溶解し、1.2当量
の炭酸カリウムを加え室温で1昼夜攪拌することによ
り、90%の収率で(S)−4−ヒドロキシ−5−ドデ
シノニトリルを得た。得られた(S)−4−ヒドロキシ
−5−ドデシノニトリルについては赤外線吸収スペクト
ルの吸収波数(cm-1) 及びプロトン磁気共鳴スペクト
ル(1 H−NMR)(400MHz)分析のσ値が前記実
施例1と同様であったことから同定された。
【0048】(実施例10)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−プロピオニルオキシ−5−ドデシノニトリル(1
g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を入
れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃で
16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え抽
出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去した。
得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより精製し、380mg
の(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリル(光
学純度82%)と500mgの(S)−4−プロピオニ
ルオキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度70%)を
得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエタノール・水
酸化ナトリウムにより加水分解し、対応するヒドロキシ
カルボン酸としてから蒸留し、対応するラクトンに誘導
してから公知の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedro
n, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用いて決定し
た。また上記で得られた(S)−4−プロピオニルオキ
シ−5−ドデシノニトリル(光学純度70%)をメタノ
ールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で
1昼夜攪拌することにより、90%の収率で(S)−4
−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルを得た。
【0049】(実施例11)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−ブタノイルオキシ−5−ドデシノニトリル(1
g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を入
れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃で
16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え抽
出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去した。
得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより精製し、350mg
の(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリル(光
学純度84%)と500mgの(S)−4−ブタノイル
オキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度70%)を得
た。得られた(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニ
トリルは、赤外線吸収スペクトルの吸収波数(cm-1
及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR)(4
00MH2 )分析のσ値が実施例1と同様であったこと
から同定された。また、(S)−4−ブタノイルオキシ
−5−ドデシノニトリルは赤外線吸収スペクトルの吸収
波数(cm-1)及びプロトン磁気共鳴スペクトル(1
−NMR)(400MH2 )分析のσ値が実施例3の
(R)−光学活性体と同様であったことから同定され
た。尚、上記光学純度は、それぞれをエタノール・水酸
化ナトリウムにより加水分解し、対応するヒドロキシカ
ルボン酸としてから蒸留し、対応するラクトンに誘導し
てから公知の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedron,
47, 6223, (1991))によりHPLCを用いて決定した。
また、上記で得られた(S)−4−ブタノイルオキシ−
5−ドデシノニトリル(光学純度84%)をメタノール
に溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で1昼
夜攪拌することにより、90%の収率で(S)−4−ヒ
ドロキシ−5−ドデシノニトリルを得た。得られた
(S)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリルは、赤
外線吸収スペクトルの吸収波数(cm-1)及びプロトン
磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR)(400MH2
分析のσ値が実施例1と同様であったことから同定され
た。
【0050】(実施例12)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−スクシノイルオキシ−5−ドデシノニトリル(1
g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を入
れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃で
16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え抽
出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去した。
得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより精製し、330mg
の(R)−4−ヒドロキシ−5−ドデシノニトリル(光
学純度86%)と500mgの(S)−4−スクシノイ
ルオキシ−5−ドデシノニトリル(光学純度70%)を
得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエタノール・水
酸化ナトリウムにより加水分解し、対応するヒドロキシ
カルボン酸としてから蒸留し、対応するラクトンに誘導
してから公知の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedro
n, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用いて決定し
た。上記で得られた(S)−4−スクシノイルオキシ−
5−ドデシノニトリル(光学純度70%)をメタノール
に溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で1昼
夜攪拌することにより、90%の収率で(S)−4−ヒ
ドロキシ−5−ドデシノニトリルを得た。
【0051】(実施例13)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−アセトキシ−5−テトラデシノニトリル(1
g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を入
れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃で
16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え抽
出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去した。
得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより精製し、390mg
の(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニトリル
(光学純度80%)と500mgの(S)−4−アセト
キシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度70%)を
得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエタノール・水
酸化ナトリウムにより加水分解し、対応するヒドロキシ
カルボン酸としてから蒸留し、対応するラクトンに誘導
してから公知の方法(E.Fukusaki et al., Tetrahedro
n, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用いて決定し
た。また上記で得られた(S)−4−アセトキシ−5−
テトラデシノニトリル(光学純度70%)をメタノール
に溶解し、1.2当量の炭酸カリウムを加え室温で1昼
夜攪拌することにより、90%の収率で(S)−4−ヒ
ドロキシ−5−テトラデシノニトリルを得た。
【0052】(実施例14)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−プロピオニルオキシ−5−テトラデシノニトリル
(1g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を
入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃
で16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え
抽出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去し
た。得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、380
mgの(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニト
リル(光学純度82%)と510mgの(S)−4−プ
ロピオニルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純
度70%)を得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエ
タノール・水酸化ナトリウムにより加水分解し、対応す
るヒドロキシカルボン酸としてから蒸留し、対応するラ
クトンに誘導してから公知の方法(E.Fukusaki et al.,
Tetrahedron, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用
いて決定した。また上記で得られた(S)−4−プロピ
オニルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度7
0%)をメタノールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウ
ムを加え室温で1昼夜攪拌することにより、90%の収
率で(S)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニトリ
ルを得た。
【0053】(実施例15)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−ブタノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル
(1g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を
入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃
で16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え
抽出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去し
た。得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、330
mgの(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニト
リル(光学純度84%)と500mgの(S)−4−ブ
タノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度
70%)を得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエタ
ノール・水酸化ナトリウムにより加水分解し、対応する
ヒドロキシカルボン酸としてから蒸留し、対応するラク
トンに誘導してから公知の方法(E.Fukusaki et al., T
etrahedron, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用い
て決定した。また上記で得られた(S)−4−ブタノイ
ルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純度70
%)をメタノールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウム
を加え室温で1昼夜攪拌することにより、90%の収率
で(S)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニトリル
を得た。
【0054】(実施例16)100mlマイヤーフラス
コに50mM燐酸緩衝液(pH7)(50ml)、ラセ
ミ4−スクシノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル
(1g)、リパーゼ(商品名;アマノPS)(1g)を
入れ、混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を25℃
で16時間攪拌した後反応液にジエチルエーテルを加え
抽出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し溶媒を除去し
た。得られた油状物質をヘキサン・酢酸エチル系のシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、320
mgの(R)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニト
リル(光学純度86%)と500mgの(S)−4−ス
クシノイルオキシ−5−テトラデシノニトリル(光学純
度70%)を得た。尚、上記光学純度は、それぞれをエ
タノール・水酸化ナトリウムにより加水分解し、対応す
るヒドロキシカルボン酸としてから蒸留し、対応するラ
クトンに誘導してから公知の方法(E.Fukusaki et al.,
Tetrahedron, 47, 6223, (1991))によりHPLCを用
いて決定した。また、上記で得られた(S)−4−スク
シノイル−5−テトラデシノニトリル(光学純度70
%)をメタノールに溶解し、1.2当量の炭酸カリウム
を加え室温で1昼夜攪拌することにより、90%の収率
で(S)−4−ヒドロキシ−5−テトラデシノニトリル
を得た。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した如く、この発明は少なくと
も光学活性(R)−ヒドロキシニトリルと光学活性
(S)−ヒドロキシニトリルとを含有する混合物に、加
水分解酵素存在下、有機溶媒中でカルボン酸またはカル
ボン酸誘導体を作用させ、(R)−光学活性体を優先的
にアシル化して光学活性(R)−シアノエステルとし、
次いでこの光学活性(R)−シアノエステルと光学活性
(S)−ヒドロキシニトリルとを分離し、さらに光学活
性光学活性(R)−シアノエステルを加水分解して光学
活性(R)−ヒドロキシニトリルを得ることを特徴とす
る光学活性ヒドロキシニトリルの製法及び少なくとも光
学活性(R)−シアノエステルと光学活性(S)−シア
ノエステルとを含有する混合物に、加水分解酵素を作用
させ(R)−光学活性体を優先的に加水分解して光学活
性(R)−ヒドロキシニトリルとし、次いでこの光学活
性(R)−ヒドロキシニトリルと光学活性(S)−シア
ノエステルとを分離し、さらに光学活性(S)−シアノ
エステルを加水分解して光学活性(S)−ヒドロキシニ
トリルを得ることを特徴とする光学活性ヒドロキシニト
リルの製法であるから、前記実施例からも明らかな如
く、マメコガネ(Popillia japonica Newman) 又はドウ
ガネブイブイ(Anomala cuprea Hope) といった作物害虫
の性フェロモン合成中間体として、或いは各種医薬品、
農薬、生理活性物質として有用な光学活性ヒドロキシニ
トリルを、常温下極めて容易に、且つ製造上の安全性も
高く、しかも選択的に高純度の光学活性体を得ることが
できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学活性ヒドロキシニトリルの従来の合成法の
一例を示すスキームである。
【図2】光学活性ヒドロキシニトリルの従来の合成法の
一例を示すスキームである。
【図3】実施例1で得られた(R)−4−アセトキシ−
5−ドデシノニトリルの赤外線吸収スペクトル図であ
る。
【図4】同上、プロトン磁気共鳴スペクトル図である。
【図5】実施例1で得られた(S)−4−ヒドロキシ−
5−ドデシノニトリルの赤外線吸収スペクトル図であ
る。
【図6】同上、プロトン磁気共鳴スペクトル図である。
【図7】実施例3で得られた(R)−4−ブタノイルオ
キシ−5−ドデシノニトリルの赤外線吸収スペクトル図
である。
【図8】同上、プロトン磁気共鳴スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 穂積 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 小俣 哲夫 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一般式1(化1)で示される
    光学活性(R)−ヒドロキシニトリルと一般式2(化
    2)で示される光学活性(S)−ヒドロキシニトリルと
    を含有する混合物に、加水分解酵素存在下、有機溶媒中
    でカルボン酸またはカルボン酸誘導体を作用させ、
    (R)−光学活性体を優先的にアシル化して一般式3
    (化3)で示される光学活性(R)−シアノエステルと
    し、次いでこの光学活性(R)−シアノエステルと光学
    活性(S)−ヒドロキシニトリルとを分離し、さらに光
    学活性(R)−シアノエステルを加水分解して一般式4
    (化4)で示される光学活性(R)−ヒドロキシニトリ
    ルを得ることを特徴とする光学活性ヒドロキシニトリル
    の製法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (但し、式中R1 は一般式5(化5)又は一般式6(化
    6)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜12のア
    ルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のいずれかを
    示す。※は不斉炭素を示す。) 【化5】 【化6】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
    キル基を示す。)
  2. 【請求項2】 前記光学活性(R)−ヒドロキシニトリ
    ルと光学活性(S)−ヒドロキシニトリルとを含有する
    混合物が一般式7(化7)で示されるラセミヒドロキシ
    ニトリルであることを特徴とする光学活性ヒドロキシニ
    トリルの製法。 【化7】 (但し、式中R1 は一般式8(化8)又は一般式9(化
    9)で示される化合物を示す。※は不斉炭素を示す。) 【化8】 【化9】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
    キル基を示す。)
  3. 【請求項3】 前記ラセミヒドロキシニトリルが4−ヒ
    ドロキシ−5−テトラデシノニトリルであることを特徴
    とする請求項2に記載の光学活性ヒドロキシニトリルの
    製法。
  4. 【請求項4】 前記ラセミヒドロキシニトリルが4−ヒ
    ドロキシ−5−ドデシノニトリルであることを特徴とす
    る請求項2に記載の光学活性ヒドロキシニトリルの製
    法。
  5. 【請求項5】 前記カルボン酸誘導体がカルボン酸無水
    物であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の光学
    活性ヒドロキシニトリルの製法。
  6. 【請求項6】 前記加水分解酵素がリパーゼであること
    を特徴とする請求項1乃至5に記載の光学活性ヒドロキ
    シニトリルの製法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一般式10(化10)で示さ
    れる光学活性(R)−シアノエステルと一般式11(化
    11)で示される光学活性(S)−シアノエステルとを
    含有する混合物に、加水分解酵素を作用させ(R)−光
    学活性体を優先的に加水分解して一般式12(化12)
    で示される光学活性(R)−ヒドロキシニトリルとし、
    次いでこの光学活性(R)−ヒドロキシニトリルと光学
    活性(S)−シアノエステルとを分離し、さらに光学活
    性(S)−シアノエステルを加水分解して一般式13
    (化13)で示される光学活性(S)−ヒドロキシニト
    リルを得ることを特徴とする光学活性ヒドロキシニトリ
    ルの製法。 【化10】 【化11】 【化12】 【化13】 (但し、式中R1 は一般式14(化14)又は一般式1
    5(化15)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
    12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
    ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。) 【化14】 【化15】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
    キル基を示す。)
  8. 【請求項8】 前記光学活性(R)−シアノエステルと
    光学活性(S)−シアノエステルとを含有する混合物が
    一般式16(化16)で示されるラセミシアノエステル
    であることを特徴とする請求項7に記載の光学活性ヒド
    ロキシニトリルの製法。 【化16】 (但し、式中R1 は一般式17(化17)又は一般式1
    8(化18)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
    12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
    ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。) 【化17】 【化18】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
    キル基を示す。)
  9. 【請求項9】 前記ラセミシアノエステルが4−アシロ
    キシ−5−テトラデシノニトリルであることを特徴とす
    る請求項8に記載の光学活性ヒドロキシニトリルの製
    法。
  10. 【請求項10】 前記ラセミシアノエステルが4−アシ
    ロキシ−5−ドデシノニトリルであることを特徴とする
    請求項8に記載の光学活性ヒドロキシニトリルの製法。
  11. 【請求項11】 前記加水分解酵素がリパーゼであるこ
    とを特徴とする請求項7乃至10に記載の光学活性ヒド
    ロキシニトリルの製法。
  12. 【請求項12】 前記光学活性ヒドロキシニトリルの製
    法及び精製方法において使用される一般式19(化1
    9)で示される新規な合成中間体光学活性(R)−シア
    ノエステル。 【化19】 (但し、式中R1 は一般式20(化20)又は一般式2
    1(化21)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
    12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
    ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。) 【化20】 【化21】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
    キル基を示す。)
  13. 【請求項13】 前記光学活性ヒドロキシニトリルの製
    法において使用する一般式22(化22)で示される新
    規な合成中間体光学活性(S)−シアノエステル。 【化22】 (但し、式中R1 は一般式23(化23)又は一般式2
    4(化24)で示される化合物、式中R3 は炭素数1〜
    12のアルキル基、アラルキル基、ハロアルキル基のい
    ずれかを示す。※は不斉炭素を示す。) 【化23】 【化24】 (但し、式中R2 は炭素数1〜10の直鎖又は分岐アル
    キル基を示す。)
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