JPH062174A - 鉄筋コンクリート構造物の防食方法 - Google Patents

鉄筋コンクリート構造物の防食方法

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JPH062174A
JPH062174A JP4156760A JP15676092A JPH062174A JP H062174 A JPH062174 A JP H062174A JP 4156760 A JP4156760 A JP 4156760A JP 15676092 A JP15676092 A JP 15676092A JP H062174 A JPH062174 A JP H062174A
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zinc
electrode layer
aluminum
concrete structure
primer
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JP4156760A
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Akio Furuya
昭夫 古谷
Toshimiki Tsuji
敏幹 辻
Takayuki Sato
隆幸 里
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Original Assignee
Dai Nippon Toryo KK
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  • Prevention Of Electric Corrosion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、鉄筋コンクリート構造物の天井
面、垂直面及び形状が複雑な部分においても作業性がよ
く、長期間、優れた防食性を付与できる鉄筋コンクリー
ト構造物の防食方法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、鉄筋コンクリート構造物表面に、
骨材を含有するプライマーを塗布することにより粗い表
面を有するプライマー層を形成し、該プライマー層上
に、アルミニウム又はアルミニウム合金を溶射すること
により第二次電極層を形成し、該第二次電極層上に、亜
鉛、亜鉛合金又は亜鉛擬合金の第一次電極層を、少なく
とも部分的に形成し、前記第二次電極層と鉄筋とを導電
性材料で接続することを特徴とする鉄筋コンクリート構
造物の防食方法を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄筋コンクリート構造
物の防食方法に関するものであって、特に、鉄筋コンク
リート構造物の鉄筋を、長期間、効果的に腐食から保護
することができる優れた防食性を付与できる鉄筋コンク
リート構造物の防食方法である。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物には、通常、補強の
ために鉄筋が埋め込まれている。ところがこの鉄筋は、
コンクリートの中性化に伴い、または、コンクリートの
材料に含まれる塩分、さらに、コンクリートに侵入して
くる水に含まれる塩素イオンや硫酸イオンなどの影響で
腐食するので、その結果、コンクリート構造物の鉄筋に
は、補強材としての機能が比較的短期間で失われるとい
う欠点があった。そこで従来は、鉄筋の腐食を防止する
ため、(イ)コンクリート構造物表面に防食塗料を塗装
する方法、(ロ)外部電源方式により電気防食する方
法、(ハ)流電陽極方式により電気防食する方法などが
用いられていた。しかしながら、(イ)コンクリート構
造物表面に防食塗料を塗装する方法では、防食塗料で形
成された塗膜の物理的強度が十分に強くないため、その
塗膜が損傷を受け易く、その結果、損傷部から腐食因子
が侵入するので長期防食性に劣るという欠点があった。
また、(ロ)外部電源方式により電気防食する方法は、
長期防食性に優れているが、電源装置やモニタリング装
置などの特殊な装置が必要であり、また定期的な管理を
行わなければならないので、設備費、電気代に加えて人
件費などのランニングコストがかかるといった欠点があ
った。これに対し、(ハ)流電陽極方式による電気防食
方法は、特殊な装置が不要で、かつメンテナンスが容易
であり、さらに長期防食性にも優れているので、注目さ
れるようになってきている。
【0003】この流電陽極方式として、(i) 切り溝埋設
方式、(ii)切り溝埋設覆装方式、(iii) 亜鉛板取付方
式、(iv)流電陽極部材取付方式などが代表的な方式とし
て知られているが、いずれの方式も垂直面、天井面、形
状が複雑な個所あるいは狭隘個所などへの施工が困難
で、作業性が悪いといった欠点がある。さらに(i) 切り
溝埋設方式は、亜鉛リボンの表面積が不足するので十分
な防食電流が得難いという欠点があり、(ii)切り溝埋設
覆装方式には、導電性ポリマーセメントモルタルなどか
らなる導電性二次電極とコンクリート素地及び/又は亜
鉛リボンとの付着性が低下し易いので、導電性二次電極
のフクレ、剥離などが生じ、長期間均一な防食電流を流
すことが困難であるという欠点があり、(iii) 亜鉛板取
付方式には、亜鉛板上に被覆したモルタルの付着性が不
十分であり、また補修を行う場合、作業が大掛りとなる
という欠点があり、さらに、(iv)流電陽極部材取付方式
は、流電陽極部材のコンクリート構造物寸法に合わせた
切断、付け合せなどが現場では困難であるという作業上
の欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉄筋コンク
リート構造物の複雑な形状の部分、垂直面、天井面など
においても作業性よく、長期間、優れた防食性を付与で
きる鉄筋コンクリート構造物の防食方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な流電陽極方式の問題点を検討し、その流電陽極方式に
よる電気防食法の特徴を生かしつつ、作業性に優れた鉄
筋コンクリート構造物の長期防食方法を開発するため研
究した結果、本発明を完成したものである。したがっ
て、本発明は、鉄筋コンクリート構造物表面に、骨材を
含有するプライマーを塗布することにより粗い表面を有
するプライマー層を形成し、該プライマー層上に、アル
ミニウム又はアルミニウム合金を溶射することにより第
二次電極層を形成し、該第二次電極層上に、亜鉛、亜鉛
合金又は亜鉛擬合金の第一次電極層を、少なくとも部分
的に形成し、前記第二次電極層と鉄筋とを導電性材料で
接続することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の防
食方法を提供するものである。
【0006】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて使用するプライマーとは、骨材及び結合剤を必須構
成成分とし、さらに必要に応じて溶媒(もしくは分散
媒)、顔料、各種添加剤などを配合したものである。本
発明で使用する骨材は、平均粒子径が約10〜200 μm 、
好ましくは30〜100μm であって、プライマー層表面に
鋭い凹凸を形成することができるものである。本発明の
骨材として挙げることができるのは、溶射するアルミニ
ウムと同じイオン化傾向の金属及び合金、ならびに少な
くとも表面を絶縁処理した各種金属及び合金、さらにそ
れらの酸化物(例えば、酸化アルミニウム及び酸化
鉄)、窒化物、炭化物などであり、その他に酸化珪素、
炭化珪素、窒化硼素、プライマー中の溶媒に溶解しない
プラスチック粉末などを挙げることができる。この骨材
の配合量は、結合剤に対し約30〜300 容量%、好ましく
は65〜150 容量%、顔料容積濃度(PVC)として約25
〜75%、好ましくは40〜60%が適当である。プライマー
に含まれる骨材により、コンクリート構造物に形成され
たプライマー層の表面を適度な表面粗さ、望ましくはJI
S B-0601で規定する表面粗さ(Rz)で約40〜150 μm に
し、この表面粗さにより、ブラスト処理しなくとも鉄筋
コンクリート構造物表面に、作業性がよく、付着性の優
れたアルミニウム溶射被膜を形成させることができる。
【0007】本発明に使用する結合剤としては、乾燥
性、耐水性、付着性などに優れていれば、特に制限なく
従来の塗料用結合剤を使用でき、その例として挙げるこ
とができるのは、塩化ゴム、アルキド樹脂、ビニル樹脂
のような一液常乾型樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−
ウレタン樹脂などの二液硬化型樹脂(硬化剤との併用)
であり、本発明においては、特に耐水性、付着性のよい
二液型エポキシ樹脂が好ましい。また、必要に応じて加
える溶媒(もしくは分散媒)として挙げることができる
のは、キシレン、トルエン、ブタノール、メチルエチル
ケトン、酢酸ブチル等の通常の塗料用有機溶剤や水であ
り、顔料として挙げることができるのは、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、タルク等の体質顔料や酸化チタ
ン、カーボンブラック等の着色顔料であり、添加剤とし
て挙げることができるのは、発泡防止剤、ダレ防止剤、
分散剤等である。プライマーの重量に対して、溶媒(も
しくは分散媒)0〜50重量%、及び顔料0〜30重量%を
加えるのが好ましい。なお、塗布に用いるプライマー
は、有機溶剤系、水系あるいは液状無溶剤系など、いず
れの形態のものであってもよい。
【0008】本発明では、第二次電極層を形成する溶射
被膜材料として、アルミニウム又はアルミニウム合金を
使用する。アルミニウム合金としては、アルミニウムを
少なくとも50重量%以上含み、Zn、Cr、Si、Fe、Ni、Sn
などのうち少なくとも一種の金属を混入して得られた合
金が挙げられる。形成されたアルミニウム溶射被膜は、
第二次電極として防食電流を流す機能を有するととも
に、アルミニウム自体の表面が酸化されて安定な被膜を
形成するので、コンクリート表面を保護することができ
る。さらに、表面に形成される酸化アルミニウムは安定
なので、この第二次電極層は腐食し難く、消耗が少な
く、長期間、防食電流を均一に流すことが可能である。
【0009】本発明において、第二次電極層上に、少な
くとも部分的に形成される第一次電極層は、亜鉛、亜鉛
合金、又は亜鉛擬合金によって形成する。この亜鉛合金
として挙げることができるのは、例えば、亜鉛を少なく
とも50重量%以上含み、Al、Cu、Mg、Fe、Cd、Siなどの
金属を少なくとも一種、混入して得られる合金である。
また本発明の亜鉛擬合金は、Zn:Al=90:10〜50:50
(重量比)の亜鉛−アルミニウム擬合金である。亜鉛、
亜鉛合金又は亜鉛擬合金の第一次電極層を、第二次電極
層の表面に部分的に形成する場合、従来から使用されて
いる亜鉛又は亜鉛合金で形成された板状物を付着させる
か、あるいは亜鉛、亜鉛合金又は亜鉛擬合金を部分的に
溶射被覆させるのが好ましい。なお、板状物で第一次電
極層を形成する場合は、亜鉛又は亜鉛−アルミニウム合
金が好ましい。また溶射被膜を行う場合は、亜鉛又は亜
鉛−アルミニウム擬合金が好ましく、特に亜鉛−アルミ
ニウム擬合金で形成された第一次電極層は、防食性に優
れているうえ、凝集破壊が大きく、かつ緻密でブリスタ
ーなどが生じにくいという利点がある。なお、亜鉛−ア
ルミニウム擬合金とは、亜鉛とアルミニウムが合金組織
を形成しておらず、亜鉛微粒子とアルミニウム微粒子が
不規則に重なり合い、外見的に亜鉛−アルミニウム合金
を形成している状態をいう。この亜鉛−アルミニウム擬
合金被膜は、亜鉛とアルミニウムの溶射線材を使用し、
減圧内アーク溶射法などの低温溶射法によりアーク溶射
を行なって形成することができる。
【0010】図1は、本発明の方法により防食処理を施
した代表的な鉄筋コンクリート構造物の特徴的な部分側
断面図であり、この図に基づき、本発明の鉄筋コンクリ
ート構造物の防食方法について説明する。補強材として
鉄筋2を埋め込んだコンクリート構造物1の表面を、必
要に応じて塵や油などの付着物を除去した後、前記プラ
イマーを塗布、乾燥させ、プライマー層3を形成する。
プライマーの塗布はスプレー、刷毛、ローラーなど従来
から用いられている塗装手段により行い、その塗布量を
約20〜400 g/m2 、好ましくは40〜200 g/m2 となるよ
うにする。なお、従来、金属の溶射被膜の付着性を向上
させるため、被溶射基材表面をブラスト処理し、該表面
を粗面化する方法が一般的であったが、このブラスト処
理をコンクリート構造物の表面に施すと、粉塵が発生
し、作業環境及び周辺の環境を悪化させ、またコンクリ
ート構造物の表面硬度が鋼材等に比較し低く、またその
表面からコンクリート骨材が抜け落ちるなどの原因で鋼
材表面をブラスト処理した時のように鋭角のするどい凹
凸粗面が得難く、その結果付着性に優れた溶射被膜が形
成できないなどの問題があったが、本発明は、ブラスト
処理法を行う代わりに、骨材を含んだプライマーを塗布
してこの問題点を克服したのである。
【0011】このようにして得られた半乾燥もしくは完
全乾燥したプライマー層3上に、アルミニウムを溶射
し、第二次電極層4を形成する。アルミニウムを溶射す
る方法としては、ガスフレーム溶射法、電気アーク溶射
法、及び減圧内アーク溶射機などを用いる低温溶射法が
あり、本発明ではいずれの方法を用いてもよい。なお、
溶射されたアルミニウム粒子の温度が高いとプライマー
層が焼失する恐れがある場合は、特公昭47‐24859 号、
特開昭61‐167472号などに開示されている減圧内アーク
溶射機による低温溶射法が望ましい。この減圧内アーク
溶射機による低温溶射法は、円筒状に噴射される低温の
空気流を利用して、中心部を周辺部より減圧させた環境
下で金属線材を連続して、電気的にアーク溶融させ、同
時に前方の噴射気流中に吸引し、粉砕し、急冷却して、
液状の過冷却状態で、その溶射金属粒子をプライマー層
上に溶射する方法である。
【0012】プライマー層3上に形成されたアルミニウ
ム被膜の第二次電極層4の膜厚は、任意に決めることが
できるが、約20〜200 μm、特に、30〜100 μmとする
のが好ましい。アルミニウムによって形成された第二次
電極層は、表面に酸化アルミニウムの安定な被膜が形成
されて消耗されにくくなるので膜厚を大きくする必要は
なく、前記の範囲で十分な防食効果が得られる。但し、
膜厚を、例えば、1000μm程度にしても何等問題なく、
過剰品質になるだけである。このようにして得られたア
ルミニウムの第二次電極層4上に、亜鉛、亜鉛合金又は
亜鉛擬合金により第一次電極層5を部分的に形成する。
なお、第一次電極層5を板状物で形成する場合は、ボル
ト締めなどの固定法により取付けるのが適当であり、溶
射により形成する場合は、アルミニウムで第二次電極層
を形成した方法と同じ方法を採用することができる。第
一次電極層5は、形状を制限する必要はなく、例えば、
格子状に連続した層又は散点状に独立分布した層などに
することができる。また、第一次電極層5を、第二次電
極層4の表面全体に施してもよいが、アルミニウムを溶
射して形成した第二次電極層4は、長期間、安定して均
一な防食電流を流すことできるので、通常、第一次電極
層5の表面積を、アルミニウムの第二次電極層4の総表
面積に対し、5〜70%、特に10〜50%となるように形成
するのが好ましい。また、第二次電極層5の厚さは、板
状物の場合は、300 〜10,000μm、特に500 〜5,000 μ
mが好ましく、溶射膜の場合は、100 〜3,000 μm、特
に120 〜1,000 μmが好ましい。
【0013】このように形成された第二次電極層4と鉄
筋2とを、表面を絶縁被覆した導電性材料6で接続す
る。これにより、アルミニウムで形成された第二次電極
層4上の第一次電極層5が第一電極、すなわち流電陽極
として機能し、鉄に代わって電気的に分解されて腐食
し、その結果、鉄筋2が電気的に防食されるのである。
なお、本発明で用いる導電性材料とは、第二次電極層4
と鉄筋2との間を電気的に接続できるものであれば特に
限定する必要はなく、例えば、リード線などを用いるこ
とができる。本発明の鉄筋コンクリート構造物の防食方
法は、以上説明した通りである。なお、本発明の第一次
電極層及び第二次電極層が発錆により消耗するのを防止
するため、従来から使用されている防食塗料で前記層表
面を塗装してもよい。本発明の方法は、鉄筋、鉄骨を用
いるコンクリート構造物全てに適用することができる
が、特に腐食が激しい、海辺の構築物、橋梁、トンネル
等のコンクリート構造物などに適している。
【0014】
【発明の効果】本発明の方法により、鉄筋コンクリート
構造物の垂直面、天井面、形状が複雑な部分に対して、
流電陽極方式の電気防食を効率よく行うことができ、か
つ長期防食性に優れた鉄筋コンクリート構造物を得るこ
とができる。すなわち、本発明のアルミニウムの第二次
電極層、ならびに亜鉛、亜鉛合金又は亜鉛擬合金の第一
次電極層は、形成が容易で作業性よいので、流電陽極方
式による電気防食を簡単に効率よく行うことができ、さ
らにこれらの層は、付着性に優れているので、長期防食
性に優れた鉄筋コンクリート構造物が得られるのであ
る。また、本発明は、鉄筋コンクリート構造物表面に、
プライマー塗布により粗い表面を形成しているので、従
来のように溶射前にブラスト処理を行って鉄筋コンクリ
ート構造物表面を粗面化する必要がなく、したがって、
ブラストにより発生する粉塵による環境汚染などが防止
でき、またその作業時間も大幅に短縮できるという効果
が得られる。
【0015】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。 <プライマー>エポキシ樹脂〔エピクロン4051:大日本
インキ化学工業(株)製商品名:エポキシ当量 950〕10
0 g に、キシレン 80 g 、メチルエチルケトン60 g、ブ
タノール25 gを加えて溶解しポリアミド樹脂(エピキュ
アー892 :セラニーズ製商品名:活性水素当量 133)
10 gを添加した加熱残分40%のエポキシ−ポリアミド樹
脂 275 g(樹脂固形分容量 100cm3 )と、平均粒子径48
μm の炭化珪素〔緑色炭化珪素CG320 :名古屋研磨機材
工業(株)製商品名:比重3.16〕221 g (粒子容量70cm
3 、PVC 41%)を充分に攪拌し、プライマーを調製し
た。 <鉄筋コンクリート試験体>異形鉄筋を、かぶり20mm、
30mmで各2本づつ、計4本埋め込み、かつ鉄筋端部に
は、リード線を取付けた鉄筋コンクリート試験体(高さ
×巾×長さ=100mm ×100mm ×400mm )を使用した。な
お、コンクリートは、普通ポルトランドセメントを用
い、水/セメント=60/40(重量比)、砂/コンクリー
ト骨材=54/46(重量比)、単位セメント量320 kg/m3
の配合とした。また端部効果の影響を抑制するため、溶
射被膜を施す面)以外の端面及び側面の一部を無溶剤型
エポキシ樹脂塗料で塗布し、シールした。
【0016】〔実施例1〕鉄筋コンクリート試験体表面
を高圧水洗し、清浄した後、エアスプレーでプライマー
を50 g/m2 となるように塗布し、2時間自然乾燥させ、
表面粗さ(Rz)60μm のプライマー層を形成させた。次
いで該プライマー層上に、フレーム溶射機(メテコ社製
TYPE11E )を用いてアルミニウム線材を溶射し、膜厚
70μm のアルミニウムの第二次電極層を形成した。該第
二次電極層を前記鉄筋端部に取付けたリード線と接続し
た。次いで第二次電極層に亜鉛板(厚み×巾×長さ=0.
5mm×20mm×100mm )を3枚分離して取付け、ボルトで
固定した。 〔実施例2〕実施例1と同様にしてアルミニウムの第二
次電極層を形成させた後、該第二次電極層に、フレーム
溶射機を用いて亜鉛線材を格子状に溶射し、第一次電極
層を形成した。なお、亜鉛の第一次電極層の膜厚は130
μm、総面積はアルミニウムの第二次電極層総面積に対
し20%であった。 〔実施例3〕亜鉛溶射被膜で第一次電極層を形成する代
りに、減圧内アーク溶射機(パンアートクラフト社製P
A−100)を用いて亜鉛−アルミニウム擬合金〔Zn/A
l=72/28(重量比)〕の被膜を形成した以外は、実施例
2と同様にして試験体を作製した。なお、前記溶射は、
直径1.3 mmの亜鉛線材とアルミニウム線材を搬線速度4
m/分、電圧14V、電流100 A、空気圧5Kg/cm2 、空
気流量1m3/分、溶射距離20cmの条件下で低温溶射し
た。
【0017】〔比較例1〕鉄筋コンクリート試験体の表
面にプライマー層を形成する代りに、サンドブラスト処
理により粗面化した以外は、実施例2と同様にしてアル
ミニウムの第二次電極層と、亜鉛溶射により第一次電極
層を形成し、試験体を作成した。 〔比較例2〕鉄筋コンクリート試験体の表面にプライマ
ー層を形成する代りに、サンドブラスト処理により粗面
化した以外は、実施例3と同様にしてアルミニウムの第
二次電極層と、亜鉛−アルミニウム擬合金の第一次電極
層を形成し、試験体を作製した。
【0018】〔比較例3〕鉄筋コンクリート試験体表面
の中央部に長さ方向に深さ×巾=10mm×10mmの溝1 設
け、そこに5mm角の亜鉛リボンを埋め込み、該リボンを
鉄筋端部に取付けたリード線と接続して、第一電極と
し、さらにリボンを覆うように鉄筋コンクリート試験体
表面に炭素繊維含有の導電性ポリマーセメントモルタル
を膜厚15mmになるように塗布し、第二電極を形成し切り
溝埋設覆装方式の試験体を作製した。実施例1〜3、比
較例1〜3で得られた試験体及び無処理の試験体につい
て、35℃の試験装置内で、JIS Z 2371に基づき、塩水噴
霧試験(塩水濃度5%)を行い、試験開始直後、500 時
間後、1500時間後、3000時間後及び5000時間後毎に電位
測定(飽和甘こう電極使用)、電流密度測定(微小電流
計使用)、付着強度測定(エルコメーター使用)及び外
観観察を行ない、その結果を表1に示した。表1から明
らかな通り、本発明の方法で防食した実施例1〜3は、
従来の方法の切り溝埋設覆装方式による比較例3と比較
し、施工作業性が良いだけでなく、ほぼ同じかそれを上
回る防食性を示し、さらに第二電極の付着強度、外観も
優れており、特に亜鉛−アルミニウム擬合金を形成した
実施例3は、優れた性能を有していた。またブラスト処
理した比較例1、2は実施例1〜3に比較し付着性が劣
っていた。
【0019】
【表1】 〔表 1〕 実 施 例 比 較 例 電位測定(単位mV) 1 2 3 1 2 3 無処理 試験開始直後 -632 -536 -570 -625 -532 -664 -165 500時間(H) -995 -973 -985 -975 -992 -989 -575 1500H -966 -927 -963 -733 -910 -957 -566 3000H -950 -660 -940 -645 -903 -630 -552 5000H -918 -620 -912 -610 -637 -510 -535 電流密度測定 (単位mA/m2) 試験開始直後 20.5 20.5 21.0 19.5 22.5 17.0 − 500H 19.0 20.0 18.5 9.5 20.5 8.5 − 1500H 11.5 11.5 10.5 6.0 18.0 8.0 − 3000H 9.5 4.0 9.0 1.5 10.5 3.0 − 5000H 9.0 1.5 8.5 0.5 1.5 1.0 − 付着強度測定 (単位kgf/cm2) 試験開始直後 27 29 27 19 18 17 − 500H 27 26 26 12 18 14 − 1500H 26 26 27 9 15 14 − 3000H 26 27 27 8 13 6 − 5000H 25 25 26 5 7 5 − 外 観 500H 異常 同左 同左 同左 同左 同左 同左 なし 1500H 異常 同左 同左 同左 同左 同左 同左 なし 3000H 異常 同左 同左 第一次電 異常 モルタル 割れ なし 極約30 なし 一部ふく 錆汁 %消失 れ 発生 割れ発生 5000H 異常 第一次 異常 第一次電 第二次 モルタル 著しい なし 電極約 なし 極約70 電極一 全面ふく 割れ 10% %消失 部剥が れ 錆汁 消失 第二次電 れ 割れ発生 発生 極一部剥 がれ
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により防食処理を施した鉄筋コン
クリート構造物の部分側断面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート構造物 2 鉄筋 3 プライマー層 4 アルミニウム又はアルミニウム合金溶射で形成した
第二次電極層 5 亜鉛、亜鉛合金又は亜鉛擬合金で形成した第一次電
極層 6 導電性材料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄筋コンクリート構造物表面に、骨材を
    含有するプライマーを塗布することにより粗い表面を有
    するプライマー層を形成し、該プライマー層上に、アル
    ミニウム又はアルミニウム合金を溶射することにより第
    二次電極層を形成し、該第二次電極層上に、亜鉛、亜鉛
    合金又は亜鉛擬合金の第一次電極層を、少なくとも部分
    的に形成し、前記第二次電極層と鉄筋とを導電性材料で
    接続することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の防
    食方法。
  2. 【請求項2】 第一次電極層が、亜鉛板状物、亜鉛−ア
    ルミニウム合金板状物、亜鉛溶射被膜又は亜鉛−アルミ
    ニウム擬合金溶射被膜である請求項1記載の鉄筋コンク
    リート構造物の防食方法。
  3. 【請求項3】 第一次電極層の表面積が、第二次電極層
    の表面積の5〜70%である請求項1又は2の何れか1項
    記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0668364A1 (en) * 1994-02-16 1995-08-23 Corrpro Companies, Inc. Sacrificial anode for cathodic protection and alloy therefor
DE19828827C1 (de) * 1998-06-27 2000-07-20 Grillo Werke Ag Thermisch gespritzte Korrosionsschicht für Stahlbeton und Verfahren zur Herstellung derselben
JP2011038131A (ja) * 2009-08-07 2011-02-24 Denki Kagaku Kogyo Kk 流電陽極方式によるコンクリート構造物の電気防食工法

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