JPH06217483A - 回転電機の溝絶縁構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 本発明は、回転電機の鉄芯に形成される巻
線を収納する溝の内壁を絶縁する溝絶縁物において、そ
の材料の節約、鉄芯の積厚方向の長さ短縮による当該回
転電機の小型化を実現すると共に、該溝絶縁物の製作の
容易化を目的とする。 【構 成】 鉄芯に形成され巻線を収納する溝の内壁を
絶縁する薄葉絶縁部材より成る溝絶縁物の形状を、鉄芯
の積厚方向両端にδで、溝内壁周方向にｈの寸法より成
る突起部の在るＨ形とし、該絶縁物の挿入により構成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、回転電機の巻線を収納
する溝と巻線間の電気絶縁を保持する溝絶縁構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】図８〜図１０により従来技術の内容・構
成を説明する。回転電機の巻線は、図８に示すように通
常鉄芯１に設けられた複数個の溝２の内壁に沿って配設
される溝絶縁物３により前記鉄芯１に対して電気的に絶
縁されて巻装される。この溝絶縁物３は図９に示すよう
に薄葉絶縁部材で形成されるものでは、図１０に示すよ
うにその両端に折返し：カフス部４が形成される。そし
て該溝絶縁物３は前記鉄芯１に対し前記カフス部４がは
み出す形で溝２に挿入されるもので、該カフス部４は溝
絶縁物３を鉄芯１の積厚方向に安定的に保持し、巻線作
業中に積厚方向に移動・ずれを生ずるのを防止する働き
をする。しかし、絶縁部材の両端に折返しを設ける事
は、材料を多く使用する無駄を伴う他、形成作業の面で
工数を要する事からコスト的にも不利である事は否定で
きない。

【０００３】そしてこの折返しを少なくする事は、巻線
の前記鉄芯積厚方向長さを小さくする為にも望ましい事
ではあるが、薄葉絶縁部材の厚みによって、この長さを
小さくする事には限度があり、従来３〜４ｍｍ程度を必
要としていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の如き従来の構成
は、溝絶縁物３を形成する材料を多く必要とするだけで
なく、折返し：カフス部４の長さに下限がある事から、
コイルエンドを短縮する事に制限が生じ、回転電機本体
に関し鉄芯１の積厚方向の長さを短くする事が出来ず、
小型化の障害の一因でもあった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に成る溝絶縁構造
は、溝絶縁物３の形状の改良により前記問題点を解決す
るため、図３に示すように巻線を巻装する為の溝２の開
口部５に近接する溝内壁の変曲点６迄の内壁周長Ｓと鉄
芯の積厚Ｌを基準とする矩形部と、該矩形部両端部に、
前記積厚Ｌの方向にδ、溝内壁周長Ｓの方向にｈの大き
さの突起部７を一体的に形成し、Ｈ字形に形成された溝
絶縁物３を使用するもので、前記突起部７により当該溝
絶縁物３は鉄芯１の積厚方向に固定・保持され安定的に
巻線が巻装される。

【０００６】

【作 用】上述の如き構成においては、鉄芯１の積厚方
向の係合に対しては、高さｈと巾δで構成される突起部
７は僅かな寸法で十分であり、該溝絶縁物３の構成材料
の節約にも有効で、巻線自体の積厚方向長さもδ分だけ
の伸長で済み、コイルエンドの短縮にも役立ち回転電機
の小型化にも効果がある。

【０００７】

【実施例】以下図面によって本発明の実施例を説明す
る。図１から図７は本発明の実施例であり、図１におい
て１は薄鋼板を打ち抜き積層して形成され、所定の積厚
Ｌとした鉄芯、２はこの鉄芯１に複数個設けけられた、
巻線を巻装する為の溝で、巻線（図示せず）を挿入する
開口部５が形成され溝絶縁物３を前記溝２に装着したと
ころを示してある。その両側を結ぶ線分：内壁周長はＳ
で示される。図３は溝絶縁物３の平面図で、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム等の薄葉絶縁部材で、長さは
鉄芯１の積厚Ｌの突出部δを両端に加えた長さで巾は図
５に示すように溝２の内壁の６−６までの内壁周長Ｓに
突出部ｈを両端に加えた長さでＨ形の形状に形成されて
いる。

【０００８】即ち、該溝絶縁物３は鉄芯１の積厚Ｌの両
側にδだけ突出した突起部７が設けられ、溝内壁周方向
にはその両側に夫々ｈだけ突出するようになる。ここで
前記δは当該回転電機の巻線に印加される電圧によって
適宜選定されるが、通常１〜２.５ ｍｍであり、ｈは
０.５〜１.５ｍｍが一般的な値である。尚、溝２の形状
は、回転子の場合では図５、固定子の場合では図７の様
な形状が一般的で、溝２に溝絶縁物３を装着した状態を
示すのが図１、図２及び図６である。

【０００９】このような状態の溝絶縁構造は、前記寸法
の溝絶縁物３が図４に示す如く溝２の内部に挿入されて
形成されるものである。この溝絶縁物３が一旦溝２の内
部に挿入されると、鉄芯１の両端面に突起部７が係止さ
れ、巻線の巻装にあたっても鉄芯１と溝絶縁物３とのず
れ等の危惧もなく安定的に保持される。

【００１０】

【発明の効果】本発明に成る溝絶縁構造に使用される溝
絶縁物３は、鉄芯１の積厚Ｌの方向両端に突起部７を設
けるだけだけであるので、該溝絶縁物の形成・製作も容
易であり而も寸法的にも小さく形成でき使用材料の節約
が図れる他、溝絶縁構造としての全長も短くなるのでコ
イルエンドを短縮する事が可能となり当該回転電機の小
型化も実現出来る如き効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における溝絶縁構造の斜視図で
ある

【図２】図１の例の鉄芯端面方向から見た部分正面図で
ある

【図３】図１の例の溝絶縁物の展開図である。

【図４】図３の例の溝絶縁物の実態斜視図である。

【図５】図１の例の鉄芯に形成された溝の説明図であ
る。

【図６】本発明に成る他の実施例の溝絶縁構造の斜視図
である。

【図７】図６の例の鉄芯に形成された溝の説明図であ
る。

【図８】従来技術に成る例の溝絶縁構造の実態斜視図で
ある。

【図９】図８の例の溝絶縁物の展開図である。

【図１０】図８の例の溝絶縁物の実態斜視図である。

【符号の説明】

１ 鉄芯 ２ 溝 ３ 溝絶縁物 ４ カフス部 ５ 開口部 ６ 変曲点 ７ 突起部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須永 金司 群馬県桐生市相生町３−93 日本サーボ株 式会社桐生工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄芯に形成された溝の内壁に沿って配設
   される薄葉電気絶縁部材で構成される溝絶縁物を使用す
   る溝絶縁構造において、鉄芯の積厚Ｌと溝内壁周長Ｓを
   基準とする矩形部と、該矩形部両端部に、前記積厚Ｌの
   方向にδ、溝内壁周長Ｓの方向にｈの大きさの突起部を
   一体的に形成し、Ｈ字形とした溝絶縁物を使用したこと
   を特徴とする回転電機の溝絶縁構造。
2. 【請求項２】 上記δを１〜２.５ ｍｍ、ｈを０.５〜
   １.５ ｍｍ としたことを特徴とする請求項１記載の回
   転電機の溝絶縁構造。