JPH06215865A - 誘導加熱調理器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インバータ部へのストレスの小さい材質の専
用鍋を負荷として使用した際に、それをインバータ内部
の電気信号により検知し、従来使用よりも高い入力電力
を実現し高い調理性能を実現することを目的とする。 【構成】 交流電源１と、負荷鍋３と、前記負荷鍋３と
磁気結合した加熱コイル４と、前記交流電源１からの入
力電力を検知する入力電力検知部６と、スイッチング素
子５１と、前記スイッチング素子５１のオン時間を検知
するオン時間検知部と、前記オン時間検知部および入力
電力検知部からの信号により負荷鍋が予め設定した材質
の鍋か否かを判定する鍋判定手段と、前記鍋判定手段に
より予め設定した材質の鍋と判定された際には入力電力
を増加させる入力電力増加回路とからなる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一般家庭において使用さ
れる誘導加熱調理器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、誘導加熱調理器はその安全・清潔
・高効率という優れた特徴から一般家庭に普及しつつあ
る。

【０００３】以下に従来構成の誘導加熱調理器について
説明する。図９は従来構成の誘導加熱調理器の回路図で
ある。図９において、１は交流電源、２は交流電源１を
直流に変換する整流回路、３は負荷である負荷鍋、４は
前記負荷鍋３と磁気結合した加熱コイル、５はスイッチ
ング素子５１と共振コンデンサ５２により構成されたイ
ンバータ回路、６は交流電源１からの入力電流を検知す
る変流器、９は使用者が予め決められた複数の入力電力
から動作電力を設定する設定手段、１０は変流器６の出
力により入力電力を検知し設定手段９により設定された
入力電力になるようにインバータ回路５を制御する制御
手段、１５は変流器６の出力を調整するため変流器６の
出力端子に並列接続された抵抗器である。

【０００４】以上のような構成により従来構成の誘導加
熱調理器では、使用者が設定した入力電力になるように
インバータ回路を制御し所定の入力電力を実現してい
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
従来構成の誘導加熱調理器では、変流器６の出力により
入力電流を検知する過程に於て図１０の斜線部に示すよ
うなバラツキが発生する。例えば最大電力が１２００Ｗ
の場合には最大電力付近において±６０Ｗ、最小電力付
近である２００Ｗ付近においても±６０Ｗ程度の電力バ
ラツキが発生しており、特に低入力電力の領域において
は設定に対してバラツキの比率は高くなっている。この
ため、低入力電力付近における多数の精度ある電力設定
を実現することは不可能であった。

【０００６】一方低入力電力に於ける調理はトロ火によ
り長時間煮込む料理が主体であり、この際には数十Ｗの
入力電力の差により、ふきこぼれたり、あるいは充分煮
えない現象が発生する等、微妙な火加減が必要である。

【０００７】本発明は上記した従来の問題点を解決する
もので、低入力電力における電力のバラツキを低減し、
精度よい入力電力の制御を可能にした使い勝手の良い誘
導加熱調理器を提供することを第１の目的とする。

【０００８】また、入力電力の検知精度が向上すること
により低入力電力における微調整を可能にしきめ細かな
入力電力の調整ができるようにすることを第２の目的と
する。

【０００９】さらにその入力電力の微調整を行った際
に、その電力変化を視覚的に低コストにて表示すること
を第３の目的とする。

【００１０】また、従来例に示したような一石共振型の
インバータでは、低入力電力を実現するときにスイッチ
ング素子のオン時間が非常に短いものになる。このため
従来はゼロであるターンオン損失が発生するばかりでな
く動作周波数も上昇し、その結果スイッチイング素子の
損失が増加するという問題がある。このためスイッチン
グ素子の冷却機構を大型化するなどの対策が必要になる
が、本発明の第４の目的はこの低入力電力時におけるス
イッチング素子損失を低減することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記第１の目的を達成す
るため本発明の誘導加熱調理器は、交流電源と、前記交
流電源を直流に変換する整流回路と、負荷鍋と、前記負
荷鍋と磁気結合した加熱コイルと、前記加熱コイルに高
周波電流を供給するインバータ回路と、前記交流電源か
らの入力電流を検知する変流器と、前記変流器の出力端
子に並列接続された第１及び第２の抵抗器の直列回路
と、使用者が予め決められた複数の入力電力から動作電
力を設定する設定手段と、前記変流器の出力により入力
電力を検知し前記設定手段により設定された入力電力に
なるようにインバータ回路を制御する制御手段と、前記
第２の抵抗器に並列接続され前記設定手段に所定値以上
の設定がされた際に前記第２の抵抗器を短絡する開閉手
段とからなる構成とする。

【００１２】また上記第２の目的を達成するため、入力
電力の設定が所定値以下の際に入力電力を微増あるいは
微減させる微調整スイッチを備えた構成とする。

【００１３】さらに上記第３の目的を達成するため、複
数の入力電力の設定値を表示する複数の発光素子と、前
記微調整スイッチにより入力電力設定の増減を行った際
にはその前後の発光素子を点灯しかつそれらの輝度を変
化させる発光制御部を備えた構成とする。

【００１４】上記第４の目的を達成するため、前記加熱
コイルと直列に接続された第２の加熱コイルと、前記第
２の加熱コイルと並列に接続され前記設定手段に所定値
以上の設定がされた際に前記第２の加熱コイルを短絡す
る第２の開閉手段とを備えた構成とする。

【００１５】

【作用】本発明は上記した構成により、交流電源からの
入力電力を検知する変流器において、入力電力の設定値
に応じてその出力端子に並列接続された２ケの抵抗器の
うち一方を開閉手段により短絡もしくは開放する。こう
して、変流器の出力抵抗は切り換えられ、低入力電力に
おける変流器の出力電圧は大きくなり、大きくなったこ
とによりバラツキによる影響は小さくなる。この結果、
低入力電力における電力のバラツキは低減され精度よい
入力電力の制御が可能になる。

【００１６】また、入力電力の設定が所定値以下の際に
入力電力を微増あるいは微減させる微調整スイッチを設
けることにより、低入力電力における微調整を可能に
し、きめ細かな入力電力の調整ができるようにするもの
である。

【００１７】さらに、複数の入力電力の設定値を表示す
る複数の発光素子において、微調整スイッチにより入力
電力設定の増減を行った際にはその前後の発光素子を点
灯しかつそれらの輝度を変化させることにより、構成を
複雑にすることなく現在の設定電力の表示を簡単に行え
るようにするものである。

【００１８】一方、低入力電力時に於いて、加熱コイル
に第２の加熱コイルが直列接続になるようにすることに
より、インダクタンスは増加する。このため動作周波数
は低くなると同時にターンオン損失も低減され、この結
果低入力電力時における素子損失は大幅に低減されるこ
とになる。

【００１９】

【実施例】

（実施例１）以下本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。

【００２０】図１において、１は交流電源、２は交流電
源１を直流に変換する整流回路、３は負荷である負荷
鍋、４は前記負荷鍋３と磁気結合した加熱コイル、５は
スイッチング素子５１と共振コンデンサ５２により構成
されたインバータ回路、６は交流電源１からの入力電流
を検知する変流器、７および８は変流器６の出力端子に
並列接続された第１及び第２の抵抗器、９は使用者が予
め決められた複数の入力電力から動作電力を設定する設
定手段、１０は変流器６の出力により入力電力を検知し
設定手段９により設定された入力電力になるようにイン
バータ回路５を制御する制御手段、１１は第２の抵抗器
８に並列接続され設定手段９に所定値以上の設定がされ
た際には第２の抵抗器８を短絡する開閉手段である。

【００２１】次に、図２を参照しながら図１の動作を説
明する。図２は設定電力が５００Ｗ以上に於て開閉手段
１１が短絡する場合の変流器６の出力電圧を示してい
る。第２の抵抗器８が短絡されることにより、変流器６
の出力電圧は約３分の１に低減される。この結果、入力
電力が５００Ｗ以上の時には電力バラツキが±６０Ｗで
あるのに対して、４００Ｗ以下の時には±２０Ｗ程度に
低減されているのが分かる。

【００２２】（実施例２）以下本発明の第２の実施例に
ついて、図面を参照しながら説明する。

【００２３】図３は誘導加熱調理器に於ける入力電力の
設定部の構成を示したものである。従来構成において
は、加熱／停止を交互に繰り返すスイッチと、入力電力
の設定を増減させるスイッチによる構成であるが、本発
明ではさらに微調整用の微増スイッチと微減スイッチが
付加されている。

【００２４】次に、図４を参照しながら図３の動作を説
明する。図４は入力設定と設定電力の関係を表わしたも
のであり、通常の増減スイッチにより設定は黒点を推移
し、微増あるいは微減スイッチにより白点も含め設定電
力が細かく設定できる様を表わしている。

【００２５】（実施例３）以下本発明の第３の実施例に
ついて、図面を参照しながら説明する。

【００２６】図５において、１は交流電源、２は交流電
源１を直流に変換する整流回路、３は負荷である負荷
鍋、４は前記負荷鍋３と磁気結合した加熱コイル、５は
スイッチング素子５１と共振コンデンサ５２により構成
されたインバータ回路、６は交流電源１からの入力電流
を検知する変流器、７および８は変流器６の出力端子に
並列接続された第１及び第２の抵抗器、９は使用者が予
め決められた複数の入力電力から動作電力を設定する設
定手段、１０は変流器６の出力により入力電力を検知し
設定手段９により設定された入力電力になるようにイン
バータ回路５を制御する制御手段、１１は第２の抵抗器
８に並列接続され設定手段９に所定値以上の設定がされ
た際には第２の抵抗器８を短絡する開閉手段、１２は複
数の入力電力の設定値を表示する複数の発光素子、１３
は微調整スイッチにより入力電力設定の増減を行った際
には１２の発光素子の中からその前後の発光素子を点灯
しかつそれらの輝度を変化させる発光制御部である。

【００２７】次に、図６を参照しながら図５の動作を説
明する。図６は入力設定が５段階とそれに対応する各々
の発光素子があり、微増もしくは微減は設定１から設定
３の間で有効であるとしている。また、微調整は設定１
から２の間では２０Ｗづつ変化し、設定２と３の間では
４０Ｗづつ変化するとしている。発光素子の明るさはそ
の点灯度合が暗いから明るいまで５段階である。ここ
で、一例として設定２から微増スイッチを一度押した場
合を考える。設定は設定２から４０Ｗだけ増加した２＋
１になる。この際に、発光素子は設定２の素子がやや明
るいという状態になり、さらに設定３の素子が暗いとい
う状態で点灯する。この発光素子の変化から設定の移行
が表現できる。

【００２８】（実施例４）以下本発明の第４の実施例に
ついて、図面を参照しながら説明する。

【００２９】図７において、１は交流電源、２は交流電
源１を直流に変換する整流回路、３は負荷である負荷
鍋、４と４１は前記負荷鍋３と磁気結合した加熱コイル
および第２の加熱コイル、５はスイッチング素子５１と
共振コンデンサ５２により構成されたインバータ回路、
６は交流電源１からの入力電流を検知する変流器、７お
よび８は変流器６の出力端子に並列接続された第１及び
第２の抵抗器、９は使用者が予め決められた複数の入力
電力から動作電力を設定する設定手段、１０は変流器６
の出力により入力電力を検知し設定手段９により設定さ
れた入力電力になるようにインバータ回路５を制御する
制御手段、１１は第２の抵抗器８に並列接続され設定手
段９に所定値以上の設定がされた際には第２の抵抗器８
を短絡する開閉手段、１４は第２の加熱コイル４１と並
列に接続され設定手段９に所定値以上の設定がされた際
に第２の加熱コイル４１を短絡する第２の開閉手段であ
る。

【００３０】次に、図８を参照しながら図７の動作を説
明する。図８は入力電力が小さいときにおけるスイッチ
ング素子に印加される電圧・電流波形である。ａは第２
の開閉手段が短絡の時で、ｂは第２の開閉手段が開放の
時を表わしている。ａにおいてはスイッチング素子のタ
ーンオンは素子電圧がゼロに達することがないため、あ
る程度の電圧が残っている状態でターンオンしている。
このため、素子電流は図に示したようにスパイク状に印
加され、ここでターンオン損失が発生する。ここで第２
の開閉手段が開放されると、インダクタンスが増加する
ため、素子電圧の共振分が大きくなり、その結果ターン
オンは素子電圧ゼロの点で行うことが可能となる。ま
た、共振の周期が大きくなるため、動作周波数は低くな
る。このようにターンオン損失の低減と動作周波数の低
周波化により素子損失は大幅に低減される。

【００３１】なお、本実施例においてはブロック図によ
り各機能の回路を表わしたが、これら機能の一部をマイ
クロコンピュータにより兼ねる構成としてもよいことは
明らかである。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明の誘導加熱調理器
は、入力電力が大きい時と小さい時で変流器の出力端子
に接続された抵抗値を切り換えることにより、低入力電
力時における変流器の出力電圧を大きくし、その結果バ
ラツキ分の比率を低下させ入力電力の検知バラツキを低
減することを可能にしたものである。これにより、低入
力電力においても精度良い電力制御を可能にした使い勝
手の良い誘導加熱調理器を実現するものである。

【００３３】また、入力電力の検知精度が向上すること
により低入力電力における微調整スイッチを設けること
によりきめ細かな入力電力の調整ができるようになるも
のであり、その際の微妙な入力電力の変化も２ケの発光
素子による明るさの変化により低コストにて実現するこ
とができる。

【００３４】さらに、一石共振型のインバータにおける
低入力電力時のスイッチング素子損失の増大に対して
は、加熱コイルに第２の加熱コイルが直列接続になるよ
うにすることにより、インダクタンス増加させ、これに
より動作周波数を低下させると同時にターンオン損失も
低減し、その結果低入力電力時における素子損失を大幅
に低減することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例における誘導加熱調理器
の回路図

【図２】本発明の第１の実施例における入力電流と変流
器出力検知電圧の関係を表わすグラフ

【図３】本発明の第２の実施例における誘導加熱調理器
の入力電力の設定部の正面図

【図４】本発明の第２の実施例における入力設定と設定
電力の関係を表わすグラフ

【図５】本発明の第３の実施例における誘導加熱調理器
の回路図

【図６】本発明の第３の実施例における入力設定と発光
素子の点灯パターンを示す表図

【図７】本発明の第４の実施例における誘導加熱調理器
の回路図

【図８】本発明の第４の実施例を説明するための素子電
圧および素子電流の波形図

【図９】従来例における誘導加熱調理器の回路図

【図１０】従来例における入力電流と変流器出力検知電
圧の関係を表わすグラフ

【符号の説明】

１ 交流電源 ２ 整流回路 ３ 負荷鍋 ４ 加熱コイル ５ インバータ回路 ６ 変流器 ７ 第１の抵抗器 ８ 第２の抵抗器 ９ 設定手段 １０ 制御手段 １１ 開閉手段 １２ 発光素子 １３ 発光制御部 １４ 第２の開閉手段

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】交流電源と、前記交流電源を直流に変換す
   る整流回路と、負荷鍋と、前記負荷鍋と磁気結合した加
   熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給するイ
   ンバータ回路と、前記交流電源からの入力電流を検知す
   る変流器と、前記変流器の出力端子に並列接続された第
   １及び第２の抵抗器の直列回路と、使用者が予め決めら
   れた複数の入力電力から動作電力を設定する設定手段
   と、前記変流器の出力により入力電力を検知し前記設定
   手段により設定された入力電力になるようにインバータ
   回路を制御する制御手段と、前記第２の抵抗器に並列接
   続され前記設定手段に所定値以上の設定がされた際に前
   記第２の抵抗器を短絡する開閉手段とを備えた誘導加熱
   調理器。
2. 【請求項２】入力電力の設定が所定値以下の際に入力電
   力を微増あるいは微減させる微調整スイッチを備えた請
   求項１記載の誘導加熱調理器。
3. 【請求項３】複数の入力電力の設定値を表示する複数の
   発光素子と、前記微調整スイッチにより入力電力設定の
   増減を行った際にはその前後の発光素子を点灯しかつそ
   れらの輝度を変化させる発光制御部を備えた請求項２記
   載の誘導加熱調理器。
4. 【請求項４】前記加熱コイルと直列に接続された第２の
   加熱コイルと、前記第２の加熱コイルと並列に接続され
   前記設定手段に所定値以上の設定がされた際に前記第２
   の加熱コイルを短絡する第２の開閉手段とを備えた請求
   項１記載の誘導加熱調理器。