JPH062153B2 - 骨欠損部及び骨空隙部充てん材 - Google Patents
骨欠損部及び骨空隙部充てん材Info
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- JPH062153B2 JPH062153B2 JP62232069A JP23206987A JPH062153B2 JP H062153 B2 JPH062153 B2 JP H062153B2 JP 62232069 A JP62232069 A JP 62232069A JP 23206987 A JP23206987 A JP 23206987A JP H062153 B2 JPH062153 B2 JP H062153B2
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Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は骨欠損部及び骨空隙部充てん材に関する。
<従来の技術> 従来、結晶子の大きさが50Å〜100μmのヒドロキ
シアパタイトを骨欠損部及び骨空隙部充てん材に充てん
して骨組織と一体化させる骨欠損部及び骨空隙部充てん
材が公知である(例えば、同一出願人の特開昭56−5
4841号)。更に、骨欠損部及び骨空隙部並びに骨吸
収部に最短径0.1〜3.0mm且つ比表面積形状係数φ
が6.3〜15であるヒドロキシアパタイトを充てんす
る充てん材も公知である(例えば、同一出願人の特開昭
61−20558号)。これらの公知の骨欠損部及び骨
空隙部充てん材中で使用されるヒドロキシアパタイトは
生体親和性に優れており、不定形状の骨欠損部及び骨空
隙部への充てん材としては上記のような粉状又は粒状の
ヒドロキシアパタイトが最適である。
シアパタイトを骨欠損部及び骨空隙部充てん材に充てん
して骨組織と一体化させる骨欠損部及び骨空隙部充てん
材が公知である(例えば、同一出願人の特開昭56−5
4841号)。更に、骨欠損部及び骨空隙部並びに骨吸
収部に最短径0.1〜3.0mm且つ比表面積形状係数φ
が6.3〜15であるヒドロキシアパタイトを充てんす
る充てん材も公知である(例えば、同一出願人の特開昭
61−20558号)。これらの公知の骨欠損部及び骨
空隙部充てん材中で使用されるヒドロキシアパタイトは
生体親和性に優れており、不定形状の骨欠損部及び骨空
隙部への充てん材としては上記のような粉状又は粒状の
ヒドロキシアパタイトが最適である。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら、粉状又は粉状のヒドロキシアパタイトは
圧密を行った場合でも、圧密後に形状が保持されない場
合があり、手術後二〜三週間が経過して切開部位の周囲
に骨組織が生成して固定する以前に、切開した部位から
充てん物の漏出が起こって、充てん部位の治癒を遅らせ
る場合がある。このように、充てんした圧密ヒドロキシ
アパタイト粉末又は粒子の形状を初期の形状に保持する
ことは、治癒の促進上、極めて重要である。
圧密を行った場合でも、圧密後に形状が保持されない場
合があり、手術後二〜三週間が経過して切開部位の周囲
に骨組織が生成して固定する以前に、切開した部位から
充てん物の漏出が起こって、充てん部位の治癒を遅らせ
る場合がある。このように、充てんした圧密ヒドロキシ
アパタイト粉末又は粒子の形状を初期の形状に保持する
ことは、治癒の促進上、極めて重要である。
<発明の目的> 従って、本発明の目的は、術後の初期における形状保持
性が優れた、ヒドロキシアパタイト粉末又は粒子を含有
する骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することであ
る。
性が優れた、ヒドロキシアパタイト粉末又は粒子を含有
する骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することであ
る。
本発明の別の目的は、術後の充てん材の漏出を防止しう
るヒドロキシアパタイト粉末又は粒子を含有する骨欠損
部又は骨空隙部充てん材を提供することである。
るヒドロキシアパタイト粉末又は粒子を含有する骨欠損
部又は骨空隙部充てん材を提供することである。
<問題点を解決するための手段> 本発明によれば、ヒドロキシアパタイト(Ca5(PO
4)3OH)粒子及び自己硬化材からなる骨欠損部及び
骨空隙部充てん材であって、前記ヒドロキシアパタイト
粒子の最短径が0.1〜10.0mmであり、及び前記自
己硬化材がα−リン酸3カルシウム(α−Ca3(PO
4)2)及び/又はリン酸4カルシウム(Ca4(PO
4)2O)からなり、pH=5以下の有機酸水溶液を用
いることにより硬化させて前記ヒドロキシアパタイト粒
子を固定することを特徴とする骨欠損部及び骨空隙部充
てん材が提供される。
4)3OH)粒子及び自己硬化材からなる骨欠損部及び
骨空隙部充てん材であって、前記ヒドロキシアパタイト
粒子の最短径が0.1〜10.0mmであり、及び前記自
己硬化材がα−リン酸3カルシウム(α−Ca3(PO
4)2)及び/又はリン酸4カルシウム(Ca4(PO
4)2O)からなり、pH=5以下の有機酸水溶液を用
いることにより硬化させて前記ヒドロキシアパタイト粒
子を固定することを特徴とする骨欠損部及び骨空隙部充
てん材が提供される。
<発明の概要> 以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明において使用できるヒドロキシアパタイト(Ca
5(PO4)3OH)粒子は700℃以上で熱処理して
得たヒドロキシアパタイト粒子が特に新生骨の生成が早
く好ましい。又、熱処理の温度が700℃より低いと充
てん材の硬化にあたって使用する有機酸による低いpH
条件下ではヒドロキシアパタイト粒子が分解することが
多く、処理温度は700℃以上が好ましい。熱処理の上
限温度は特に限定されるものではないが、ヒドロキシア
パタイト粒子か分解を開始するので、分解温度以下とす
るのが好ましい。本発明にて使用しうるヒドロキシアパ
タイトは、湿式法、乾式法、水熱法などの公知の製造方
法により人工的に合成されたものであっても、又、骨な
どから得られる天然のものを用いてもよい。本発明にお
いては、使用するヒドロキシアパタイト粒子は最短径が
0.1〜10.0mmであることが必須の要件である。ヒ
ドロキシアパタイト粒子形状の最短径が0.1mm未満の
場合には粒子どうしが接して生ずる細穴の大きさが体液
成分が入るのに不適当な大きさとなってしまうため好ま
しくない。一方、10.0mmを超える場合には、骨欠損
部及び骨空隙部への充てん労が少なくなり、構造材とし
てのヒドロキシアパタイト粒子の量が少なくなるので好
ましくない。更に、粒子間の間隙が大きすぎるため、間
隙内を骨組織が埋めつくすまでに長時間を要すること、
ならびに、歯科分野で使用する場合には顎骨の造成、即
ち、歯槽膿漏等による抜歯により顎部が細く且つ低くな
ったものを、太く且つ高くするための充てんの場合、粘
膜表面に顕著な凹凸が生じ、外観上及び機能上問題があ
る。
5(PO4)3OH)粒子は700℃以上で熱処理して
得たヒドロキシアパタイト粒子が特に新生骨の生成が早
く好ましい。又、熱処理の温度が700℃より低いと充
てん材の硬化にあたって使用する有機酸による低いpH
条件下ではヒドロキシアパタイト粒子が分解することが
多く、処理温度は700℃以上が好ましい。熱処理の上
限温度は特に限定されるものではないが、ヒドロキシア
パタイト粒子か分解を開始するので、分解温度以下とす
るのが好ましい。本発明にて使用しうるヒドロキシアパ
タイトは、湿式法、乾式法、水熱法などの公知の製造方
法により人工的に合成されたものであっても、又、骨な
どから得られる天然のものを用いてもよい。本発明にお
いては、使用するヒドロキシアパタイト粒子は最短径が
0.1〜10.0mmであることが必須の要件である。ヒ
ドロキシアパタイト粒子形状の最短径が0.1mm未満の
場合には粒子どうしが接して生ずる細穴の大きさが体液
成分が入るのに不適当な大きさとなってしまうため好ま
しくない。一方、10.0mmを超える場合には、骨欠損
部及び骨空隙部への充てん労が少なくなり、構造材とし
てのヒドロキシアパタイト粒子の量が少なくなるので好
ましくない。更に、粒子間の間隙が大きすぎるため、間
隙内を骨組織が埋めつくすまでに長時間を要すること、
ならびに、歯科分野で使用する場合には顎骨の造成、即
ち、歯槽膿漏等による抜歯により顎部が細く且つ低くな
ったものを、太く且つ高くするための充てんの場合、粘
膜表面に顕著な凹凸が生じ、外観上及び機能上問題があ
る。
本発明において好ましく使用できるヒドロキシアパタイ
ト粒子の比表面積形状係数φは6.3〜15であること
が望ましい。比表面瀬形状係数φとは、粒子の比表面積
と粒径の関係から求められる係数であって、以下の式に
表される。
ト粒子の比表面積形状係数φは6.3〜15であること
が望ましい。比表面瀬形状係数φとは、粒子の比表面積
と粒径の関係から求められる係数であって、以下の式に
表される。
(式中、S:比表面瀬、D:粒子径、ρ:粒子の密度を
表わす。) 上記の比表面積は流体透過法等により求めることがで
き、粒子の平均粒子径は顕微鏡観察等により決定でき
る。φが6.3未満の場合には、充てん材は所定の部位
へ充てんした後に移動することが多く、その結果、骨組
織が粒子表面に付着生成しにくく、且つ顎骨の造成にあ
たって顎骨を高く回復させることができない。φが15
を超える場合には粒子は針状に近くなり、充てん後に容
易に破断して粉状化する。粉状化したヒドロキシアパタ
イトは生体の他の部位へ流出し、生体に悪影響を与え
る。
表わす。) 上記の比表面積は流体透過法等により求めることがで
き、粒子の平均粒子径は顕微鏡観察等により決定でき
る。φが6.3未満の場合には、充てん材は所定の部位
へ充てんした後に移動することが多く、その結果、骨組
織が粒子表面に付着生成しにくく、且つ顎骨の造成にあ
たって顎骨を高く回復させることができない。φが15
を超える場合には粒子は針状に近くなり、充てん後に容
易に破断して粉状化する。粉状化したヒドロキシアパタ
イトは生体の他の部位へ流出し、生体に悪影響を与え
る。
本発明において使用できる自己硬化材としてはα−リン
3酸カルシウム(α−Ca3(PO4)2)及び/又は
リン酸4カルシウム(Ca4(PO4)2O)がある。
本発明において使用できるα−リン酸カルシウム及びリ
ン酸4カルシウムは、リン酸水素カルシウム2水和物
(CaHPO4・2H2O)を500℃程度で分解させ
てγ−Ca2P2O7とし、これと炭酸カルシウムを各
々1:1及び1:2のモル比で混合し、1000℃程度
で仮焼の上、1250℃〜1350℃で3〜6時間焼成
して得たα−リン酸3カルシウム及びリン酸4カルシウ
ムが好ましく使用できる。使用に際しては、これらのα
−リン酸3カルシウム及びリン酸4カルシウムを粉砕し
て粒径100メッシュ以下の粉末にしたものが好ましく
使用できる。
3酸カルシウム(α−Ca3(PO4)2)及び/又は
リン酸4カルシウム(Ca4(PO4)2O)がある。
本発明において使用できるα−リン酸カルシウム及びリ
ン酸4カルシウムは、リン酸水素カルシウム2水和物
(CaHPO4・2H2O)を500℃程度で分解させ
てγ−Ca2P2O7とし、これと炭酸カルシウムを各
々1:1及び1:2のモル比で混合し、1000℃程度
で仮焼の上、1250℃〜1350℃で3〜6時間焼成
して得たα−リン酸3カルシウム及びリン酸4カルシウ
ムが好ましく使用できる。使用に際しては、これらのα
−リン酸3カルシウム及びリン酸4カルシウムを粉砕し
て粒径100メッシュ以下の粉末にしたものが好ましく
使用できる。
本発明においては、上記のような自己硬化材としてのα
−リン酸3カルシウム及び/他はリン酸4カルシウム、
更に、粒径100メッシュ以下のヒドロキシアパタイト
粒子を混合して自己硬化材として使用してもよい。10
0メッシュ以下とすれば、自己硬化材として均一な組成
のものが得られる。このようなヒドロキシアパタイト
は、上記のヒドロキシアパタイト粒子と同様の方法によ
り得たものを粉砕して製造できる。
−リン酸3カルシウム及び/他はリン酸4カルシウム、
更に、粒径100メッシュ以下のヒドロキシアパタイト
粒子を混合して自己硬化材として使用してもよい。10
0メッシュ以下とすれば、自己硬化材として均一な組成
のものが得られる。このようなヒドロキシアパタイト
は、上記のヒドロキシアパタイト粒子と同様の方法によ
り得たものを粉砕して製造できる。
本発明においては、α−リン酸3カルシウム及びリン酸
4カルシウムは、pH=5以下の有機酸水溶液を添加し
て混合すると硬化し、自己硬化材として作用する。従っ
て、α−リン酸3カルシウム及び/又はリン酸4カルシ
ウムを、ヒドロキシアパタイトと共に使用すれば、ヒド
ロキシアパタイト粒子を含有する充てん材の初期におけ
る形状の保持性及び充てん材の漏出が防止できる。本発
明において好ましく使用できる自己硬化材の混合量は、
充てん材全重量を基準として5〜80重量%、好ましく
は、5〜50重量%、更に好ましくは5〜20重量%で
ある。充てん材中の自己硬化材の量が5重量%より少な
いと、初期形状の保持性が不十分であり、逆に80重量
%より多いと、添加するヒドロキシアパチオの量が少な
くなって生体適合性が減少し、生体用充てん材として十
分に作用しえず好ましくない。
4カルシウムは、pH=5以下の有機酸水溶液を添加し
て混合すると硬化し、自己硬化材として作用する。従っ
て、α−リン酸3カルシウム及び/又はリン酸4カルシ
ウムを、ヒドロキシアパタイトと共に使用すれば、ヒド
ロキシアパタイト粒子を含有する充てん材の初期におけ
る形状の保持性及び充てん材の漏出が防止できる。本発
明において好ましく使用できる自己硬化材の混合量は、
充てん材全重量を基準として5〜80重量%、好ましく
は、5〜50重量%、更に好ましくは5〜20重量%で
ある。充てん材中の自己硬化材の量が5重量%より少な
いと、初期形状の保持性が不十分であり、逆に80重量
%より多いと、添加するヒドロキシアパチオの量が少な
くなって生体適合性が減少し、生体用充てん材として十
分に作用しえず好ましくない。
本発明において使用するα−リン酸3カルシウム及び/
又はリン酸4カルシウムからなる自己硬化材は有機山水
溶液により硬化する。これらの有機酸はpH=5以下、
好ましくはpH=3以下、更に好ましくはpH=2以下
の酸水溶液であれば、任意の酸の水溶液が使用できる、
このような有機酸としてはクエン酸、乳酸、リンゴ酸、
ポリアクリル酸等を上げることができる。酸水溶液の量
は好ましくは粉液比として0.〜5.0での利用が好ま
しい。粉液比が0.3未満であると、硬化体の強度が低
き、又、5.0を超えると、混合時に固すぎて操作が困
難であり好ましくない。
又はリン酸4カルシウムからなる自己硬化材は有機山水
溶液により硬化する。これらの有機酸はpH=5以下、
好ましくはpH=3以下、更に好ましくはpH=2以下
の酸水溶液であれば、任意の酸の水溶液が使用できる、
このような有機酸としてはクエン酸、乳酸、リンゴ酸、
ポリアクリル酸等を上げることができる。酸水溶液の量
は好ましくは粉液比として0.〜5.0での利用が好ま
しい。粉液比が0.3未満であると、硬化体の強度が低
き、又、5.0を超えると、混合時に固すぎて操作が困
難であり好ましくない。
本発明においては、ヒドロキシアパタイト粒子と自己硬
化材とを混合してから骨欠損部及び骨空隙部に充てん
し、その後硬化させることができ、又はヒドロキシアパ
タイト粒子を骨欠損部及び骨空隙部に充てんした後に充
てん部を自己硬化材で覆つて硬化させても良い。又、予
め充てん材を硬化させてから骨欠損部及び骨空隙部に充
てんすることも可能である。
化材とを混合してから骨欠損部及び骨空隙部に充てん
し、その後硬化させることができ、又はヒドロキシアパ
タイト粒子を骨欠損部及び骨空隙部に充てんした後に充
てん部を自己硬化材で覆つて硬化させても良い。又、予
め充てん材を硬化させてから骨欠損部及び骨空隙部に充
てんすることも可能である。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
<実施例> 実施例1 最初にリン酸水素カルシウム2水和物 (CaHPO4・2H2O)(純正化学(株)社製)を
500℃にて分解させてγ−Ca2P2O7とし、次い
でこのγ−Ca2P2O7と等モルの炭酸カルシウム
(CaCO3)(関東化学(株)社製)を混合し、10
00℃で5時間仮焼した後、1250℃にて3時間焼成
して、α−リン酸3カルシウムを合成した。このα−リ
ン酸3カルシウムを100メッシュのふるいを通過する
まで粉砕した。又、湿式法にてヒドロキシアパタイトを
合成し、1200℃にて1時間焼成の上、100メッシ
ュのふるいを通過するまで粉砕した。
500℃にて分解させてγ−Ca2P2O7とし、次い
でこのγ−Ca2P2O7と等モルの炭酸カルシウム
(CaCO3)(関東化学(株)社製)を混合し、10
00℃で5時間仮焼した後、1250℃にて3時間焼成
して、α−リン酸3カルシウムを合成した。このα−リ
ン酸3カルシウムを100メッシュのふるいを通過する
まで粉砕した。又、湿式法にてヒドロキシアパタイトを
合成し、1200℃にて1時間焼成の上、100メッシ
ュのふるいを通過するまで粉砕した。
上記のようにして製造したα−リン酸3カルシウムとヒ
ドロキシアパタイトを重量比で10:90の割合になる
ように混合し、次いで30重量%の濃度のクエン酸水溶
液を硬化液として用い前記混合粉に対し、1:1の重量
比で混合し硬化させた。
ドロキシアパタイトを重量比で10:90の割合になる
ように混合し、次いで30重量%の濃度のクエン酸水溶
液を硬化液として用い前記混合粉に対し、1:1の重量
比で混合し硬化させた。
製造した硬化物はヒドロキシアパタイト粒子とα−リン
酸3カルシウムとの比重差のため、下部に選択的にヒド
ロキシアパタイトが集まった。このような構造は、骨欠
損部及び骨空隙部に充てん材を充てんする場合には、生
体親和性の高いヒドロキシアパタイトが直接生体骨と接
し、且つα−リン酸3カルシウム硬化物が薄く上部を蓋
のように覆うので好都合であり、従って、ヒドロキシア
パタイトの生体親和性を最大限に発揮させると共に硬化
物によりヒドロキシアパタイトの漏出の防止にも有効で
あって理想的であった。
酸3カルシウムとの比重差のため、下部に選択的にヒド
ロキシアパタイトが集まった。このような構造は、骨欠
損部及び骨空隙部に充てん材を充てんする場合には、生
体親和性の高いヒドロキシアパタイトが直接生体骨と接
し、且つα−リン酸3カルシウム硬化物が薄く上部を蓋
のように覆うので好都合であり、従って、ヒドロキシア
パタイトの生体親和性を最大限に発揮させると共に硬化
物によりヒドロキシアパタイトの漏出の防止にも有効で
あって理想的であった。
上記硬化物をpH=6.8に調節したリン酸緩衝液中に
1日間放置し、次いで、取り出して、X線回折分析を行
ったところ、α−リン酸3カルシウムのピークは僅かに
残存しているのみであり、新しくヒドロキシアパタイト
と思われるピークが出現した。
1日間放置し、次いで、取り出して、X線回折分析を行
ったところ、α−リン酸3カルシウムのピークは僅かに
残存しているのみであり、新しくヒドロキシアパタイト
と思われるピークが出現した。
実施例2 実施例1で製造したのと同様のα−リン酸3カルシウム
及びヒドロキシアパタイト粒子を使用し、ヒドロキシア
パタイトのみをまず骨欠損部及び骨空隙部に充てんし、
その後に、実施例1と同様のクエン酸水溶液にて硬化さ
せたα−リン酸3カルシウム硬化体を上記のヒドロキシ
アパタイト充てん物の上に蓋状に充てんした。実施例1
と同様に良好な結果を得た。
及びヒドロキシアパタイト粒子を使用し、ヒドロキシア
パタイトのみをまず骨欠損部及び骨空隙部に充てんし、
その後に、実施例1と同様のクエン酸水溶液にて硬化さ
せたα−リン酸3カルシウム硬化体を上記のヒドロキシ
アパタイト充てん物の上に蓋状に充てんした。実施例1
と同様に良好な結果を得た。
実施例3 リン酸水素カルシウム2水和物(CaHPO4・2H2
O)(純正化学(株)社製)を500℃に分解させてγ
−Ca2P2O7とし、次いでこのγ−Ca2P2O7
と炭酸カルシウム(CaCO3)(関東化学(株)社
製)とを1:2のモル比で混合し、1000℃で5時間
仮焼した後、1350℃にて6時間焼成して、リン酸4
カルシウムを合成した。合成にあたっては、最初に3時
間焼成し、焼成物を取り出して粉砕した後、再度3時間
焼成して、リン酸4カルシウムのみからなる生成物を得
た。このリン酸4カルシウムを100メッシュのふるい
を通過するまで粉砕した。
O)(純正化学(株)社製)を500℃に分解させてγ
−Ca2P2O7とし、次いでこのγ−Ca2P2O7
と炭酸カルシウム(CaCO3)(関東化学(株)社
製)とを1:2のモル比で混合し、1000℃で5時間
仮焼した後、1350℃にて6時間焼成して、リン酸4
カルシウムを合成した。合成にあたっては、最初に3時
間焼成し、焼成物を取り出して粉砕した後、再度3時間
焼成して、リン酸4カルシウムのみからなる生成物を得
た。このリン酸4カルシウムを100メッシュのふるい
を通過するまで粉砕した。
ヒドロキシアパタイトは実施例1と同様にして製造し
た。
た。
上記のごとくにして製造したリン酸4カルシウムとヒド
ロキシアパタイトを重量比で10:90の割合になるよ
うに混合し、次いで30重量%の濃度のクエン酸水溶液
を硬化液として用い、前記混合粉に対し、1:1の重量
比で練和し、硬化させたところ、硬化物は実施例1の場
合と同様に、ヒドロキシアパタイト粒子とリン酸4カル
シウムとの比重差のため、下部に選択的にヒドロキシア
パタイトが集まっていた。又、X線回折のパターンを調
べところ、リン酸4カルシウムのピークは殆ど残ってい
なかった。実施例1のα−リン酸3カルシウム結果と比
較して、リン酸4カルシウムの分解速度が早いことがわ
かった。又、ヒドロキシアパタイトと思われるピークの
出現も認めらた。
ロキシアパタイトを重量比で10:90の割合になるよ
うに混合し、次いで30重量%の濃度のクエン酸水溶液
を硬化液として用い、前記混合粉に対し、1:1の重量
比で練和し、硬化させたところ、硬化物は実施例1の場
合と同様に、ヒドロキシアパタイト粒子とリン酸4カル
シウムとの比重差のため、下部に選択的にヒドロキシア
パタイトが集まっていた。又、X線回折のパターンを調
べところ、リン酸4カルシウムのピークは殆ど残ってい
なかった。実施例1のα−リン酸3カルシウム結果と比
較して、リン酸4カルシウムの分解速度が早いことがわ
かった。又、ヒドロキシアパタイトと思われるピークの
出現も認めらた。
実施例4 α−リン酸3カルシウムを主成分とし、ヒドロキシアパ
タイトを含有する自己硬化材について強度試験を行なっ
た。
タイトを含有する自己硬化材について強度試験を行なっ
た。
実施例1と同様の方法で製造したα−リン酸3カルシウ
ム及びヒドリキシアパタイト粉末(100メッシュ以下
に粉砕)を使用し、自己硬化材の全重量に対して、ヒド
ロキシアパタイトガ、10、20、30、40、50、
60、70、80、90及び95重量%の含有率になる
ように混合し、実施例1と同様の30%の濃度のクエン
酸水溶液を硬化液として粉液比1.5〜2.0で硬化さ
せ、強度試験を実施した。
ム及びヒドリキシアパタイト粉末(100メッシュ以下
に粉砕)を使用し、自己硬化材の全重量に対して、ヒド
ロキシアパタイトガ、10、20、30、40、50、
60、70、80、90及び95重量%の含有率になる
ように混合し、実施例1と同様の30%の濃度のクエン
酸水溶液を硬化液として粉液比1.5〜2.0で硬化さ
せ、強度試験を実施した。
強度試験は直径7mm、長さ14mmの容器に泥状の自己硬
化材を流し込み、硬化後取り出して、pH=6.8、温
度37℃に調整されたリン酸緩衝液に投入し、24時間
後に取り出して漏れたまま圧縮強度を測定することによ
り行った。荷重速度は1mm/分とした。
化材を流し込み、硬化後取り出して、pH=6.8、温
度37℃に調整されたリン酸緩衝液に投入し、24時間
後に取り出して漏れたまま圧縮強度を測定することによ
り行った。荷重速度は1mm/分とした。
強度試験の結果を以下の第1表に示す。
上記の結果から明らかなように、α−リン酸3カルシウ
ムを主成分とし、ヒドロキシアパタイトを含有する自己
硬化材の場合、好ましく使用できるヒドロキシアパタイ
トの含有量は重量比で60%以下とわかる。これ以上含
有量を増やすと、強度が小さくなり好ましくない。
ムを主成分とし、ヒドロキシアパタイトを含有する自己
硬化材の場合、好ましく使用できるヒドロキシアパタイ
トの含有量は重量比で60%以下とわかる。これ以上含
有量を増やすと、強度が小さくなり好ましくない。
実施例5 リン酸4カルシウムを主成分とし、ヒドロキシアパタイ
トを含有する自己硬化材について強度試験を行なった。
トを含有する自己硬化材について強度試験を行なった。
実施例3と同様の方法で製造したリン酸4カルシウム
に、100メッシュ以下のヒドロキシアパタイトを、自
己硬化材との全重量に対して10、20、30、40、
50、60、70、80、90重量%になるように混合
し、実施例3と同様の30%の濃度のクエン酸水溶液を
硬化液として粉液比0.8〜2.1で硬化させ、強度試
験を実施した。強度試験の方法は実施例4と同様であ
る。
に、100メッシュ以下のヒドロキシアパタイトを、自
己硬化材との全重量に対して10、20、30、40、
50、60、70、80、90重量%になるように混合
し、実施例3と同様の30%の濃度のクエン酸水溶液を
硬化液として粉液比0.8〜2.1で硬化させ、強度試
験を実施した。強度試験の方法は実施例4と同様であ
る。
第2表に結果を示す。
表より明らかなように、リン酸4カルシウムを主成分と
しヒドロキシアパタイトを含有する自己硬化材の場合、
好ましく使用できるヒドロキシアパタイトの含有量は重
量比で70%以下とわかる。これ以上含有量を増やすと
強度が小さくなり好ましくない。
しヒドロキシアパタイトを含有する自己硬化材の場合、
好ましく使用できるヒドロキシアパタイトの含有量は重
量比で70%以下とわかる。これ以上含有量を増やすと
強度が小さくなり好ましくない。
<発明の効果> 上記のように、本発明の骨欠損部及び骨空隙部充てん材
を使用すれば、術後の初期における充てん物の形状保持
性が優れており、切開箇所からの充てん物の漏出が防止
でき、更に、治癒の促進が可能である。
を使用すれば、術後の初期における充てん物の形状保持
性が優れており、切開箇所からの充てん物の漏出が防止
でき、更に、治癒の促進が可能である。
尚、本発明において使用する自己硬化物自体も、当然な
がら、生体に対する為害性は無く、経時的にヒドロキシ
アパタイトに転化した。
がら、生体に対する為害性は無く、経時的にヒドロキシ
アパタイトに転化した。
Claims (2)
- 【請求項1】ヒドロキシアパタイト(Ca5(PO4)
3OH)粒子及び自己硬化材からなる骨欠損部及び骨空
隙部充てん材であって、前記ヒドロキシアパタイト粒子
の最短径が0.1〜10.0mmであり、及び前記自己硬
化材がα−リン酸3カルシウム(α−Ca3(PO4)
2)及び/又はリン酸4カルシウム(Ca4(PO4)
2O)からなり、pH=5以下の有機酸水溶液を用いる
ことにより硬化させて前記ヒドロキシアパタイト粒子を
固定してなることを特徴とする骨欠損部及び骨空隙部充
てん材。 - 【請求項2】前記自己硬化材に予め粒径100メッシュ
以下のヒドロキシアパタイト粉末を混合してなる特許請
求の範囲第1項記載の骨欠損部及び骨空隙部充てん材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62232069A JPH062153B2 (ja) | 1987-09-18 | 1987-09-18 | 骨欠損部及び骨空隙部充てん材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62232069A JPH062153B2 (ja) | 1987-09-18 | 1987-09-18 | 骨欠損部及び骨空隙部充てん材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6476861A JPS6476861A (en) | 1989-03-22 |
JPH062153B2 true JPH062153B2 (ja) | 1994-01-12 |
Family
ID=16933499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62232069A Expired - Lifetime JPH062153B2 (ja) | 1987-09-18 | 1987-09-18 | 骨欠損部及び骨空隙部充てん材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH062153B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0440961A (ja) * | 1990-06-06 | 1992-02-12 | Mitsubishi Materials Corp | 骨欠損部及び骨空隙部ならびに骨吸収部充填材 |
DE69214005T2 (de) * | 1991-05-01 | 1997-05-15 | Chichibu Onoda Cement Corp | Erhärtende Zusammensetzungen zur Verwendung in der Medizin oder Zahnheilkunde |
FR2684003A1 (fr) * | 1991-11-22 | 1993-05-28 | Sharrock Patrick | Formulation malleable implantable biodegradable avec phosphate de calcium. |
US20020114795A1 (en) | 2000-12-22 | 2002-08-22 | Thorne Kevin J. | Composition and process for bone growth and repair |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56143156A (en) * | 1980-04-09 | 1981-11-07 | Mitsubishi Mining & Cement Co | Filler material of bone deficit part and gap part |
JPS5988351A (ja) * | 1982-11-10 | 1984-05-22 | 科学技術庁無機材質研究所長 | アパタイト質セメント硬化物の生成法 |
JPS6120558A (ja) * | 1984-07-06 | 1986-01-29 | 柳沢 定勝 | 骨欠損部及び骨空隙部ならびに骨吸収部充てん材 |
JPS6179463A (ja) * | 1984-09-25 | 1986-04-23 | ティーディーケイ株式会社 | 複合アパタイト人工骨材料 |
JPS6179464A (ja) * | 1984-09-25 | 1986-04-23 | ティーディーケイ株式会社 | 人工骨材料用組成物 |
JPH0665635B2 (ja) * | 1985-04-01 | 1994-08-24 | ティーディーケイ株式会社 | 成形材料 |
JPS61236644A (ja) * | 1985-04-11 | 1986-10-21 | 株式会社 はいる | リン酸カルシウム硬化性組成物 |
JPS6283348A (ja) * | 1985-10-08 | 1987-04-16 | 株式会社アドバンス | 医療用硬化性組成物 |
-
1987
- 1987-09-18 JP JP62232069A patent/JPH062153B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6476861A (en) | 1989-03-22 |
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