JPH062153B2 - 骨欠損部及び骨空隙部充てん材 - Google Patents

骨欠損部及び骨空隙部充てん材

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JPH062153B2
JPH062153B2 JP62232069A JP23206987A JPH062153B2 JP H062153 B2 JPH062153 B2 JP H062153B2 JP 62232069 A JP62232069 A JP 62232069A JP 23206987 A JP23206987 A JP 23206987A JP H062153 B2 JPH062153 B2 JP H062153B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は骨欠損部及び骨空隙部充てん材に関する。
<従来の技術> 従来、結晶子の大きさが50Å〜100μmのヒドロキ
シアパタイトを骨欠損部及び骨空隙部充てん材に充てん
して骨組織と一体化させる骨欠損部及び骨空隙部充てん
材が公知である(例えば、同一出願人の特開昭56−5
4841号)。更に、骨欠損部及び骨空隙部並びに骨吸
収部に最短径0.1〜3.0mm且つ比表面積形状係数φ
が6.3〜15であるヒドロキシアパタイトを充てんす
る充てん材も公知である(例えば、同一出願人の特開昭
61−20558号)。これらの公知の骨欠損部及び骨
空隙部充てん材中で使用されるヒドロキシアパタイトは
生体親和性に優れており、不定形状の骨欠損部及び骨空
隙部への充てん材としては上記のような粉状又は粒状の
ヒドロキシアパタイトが最適である。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら、粉状又は粉状のヒドロキシアパタイトは
圧密を行った場合でも、圧密後に形状が保持されない場
合があり、手術後二〜三週間が経過して切開部位の周囲
に骨組織が生成して固定する以前に、切開した部位から
充てん物の漏出が起こって、充てん部位の治癒を遅らせ
る場合がある。このように、充てんした圧密ヒドロキシ
アパタイト粉末又は粒子の形状を初期の形状に保持する
ことは、治癒の促進上、極めて重要である。
<発明の目的> 従って、本発明の目的は、術後の初期における形状保持
性が優れた、ヒドロキシアパタイト粉末又は粒子を含有
する骨欠損部及び骨空隙部充てん材を提供することであ
る。
本発明の別の目的は、術後の充てん材の漏出を防止しう
るヒドロキシアパタイト粉末又は粒子を含有する骨欠損
部又は骨空隙部充てん材を提供することである。
<問題点を解決するための手段> 本発明によれば、ヒドロキシアパタイト(Ca(PO
OH)粒子及び自己硬化材からなる骨欠損部及び
骨空隙部充てん材であって、前記ヒドロキシアパタイト
粒子の最短径が0.1〜10.0mmであり、及び前記自
己硬化材がα−リン酸3カルシウム(α−Ca(PO
)及び/又はリン酸4カルシウム(Ca(PO
O)からなり、pH=5以下の有機酸水溶液を用
いることにより硬化させて前記ヒドロキシアパタイト粒
子を固定することを特徴とする骨欠損部及び骨空隙部充
てん材が提供される。
<発明の概要> 以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明において使用できるヒドロキシアパタイト(Ca
(POOH)粒子は700℃以上で熱処理して
得たヒドロキシアパタイト粒子が特に新生骨の生成が早
く好ましい。又、熱処理の温度が700℃より低いと充
てん材の硬化にあたって使用する有機酸による低いpH
条件下ではヒドロキシアパタイト粒子が分解することが
多く、処理温度は700℃以上が好ましい。熱処理の上
限温度は特に限定されるものではないが、ヒドロキシア
パタイト粒子か分解を開始するので、分解温度以下とす
るのが好ましい。本発明にて使用しうるヒドロキシアパ
タイトは、湿式法、乾式法、水熱法などの公知の製造方
法により人工的に合成されたものであっても、又、骨な
どから得られる天然のものを用いてもよい。本発明にお
いては、使用するヒドロキシアパタイト粒子は最短径が
0.1〜10.0mmであることが必須の要件である。ヒ
ドロキシアパタイト粒子形状の最短径が0.1mm未満の
場合には粒子どうしが接して生ずる細穴の大きさが体液
成分が入るのに不適当な大きさとなってしまうため好ま
しくない。一方、10.0mmを超える場合には、骨欠損
部及び骨空隙部への充てん労が少なくなり、構造材とし
てのヒドロキシアパタイト粒子の量が少なくなるので好
ましくない。更に、粒子間の間隙が大きすぎるため、間
隙内を骨組織が埋めつくすまでに長時間を要すること、
ならびに、歯科分野で使用する場合には顎骨の造成、即
ち、歯槽膿漏等による抜歯により顎部が細く且つ低くな
ったものを、太く且つ高くするための充てんの場合、粘
膜表面に顕著な凹凸が生じ、外観上及び機能上問題があ
る。
本発明において好ましく使用できるヒドロキシアパタイ
ト粒子の比表面積形状係数φは6.3〜15であること
が望ましい。比表面瀬形状係数φとは、粒子の比表面積
と粒径の関係から求められる係数であって、以下の式に
表される。
(式中、S:比表面瀬、D:粒子径、ρ:粒子の密度を
表わす。) 上記の比表面積は流体透過法等により求めることがで
き、粒子の平均粒子径は顕微鏡観察等により決定でき
る。φが6.3未満の場合には、充てん材は所定の部位
へ充てんした後に移動することが多く、その結果、骨組
織が粒子表面に付着生成しにくく、且つ顎骨の造成にあ
たって顎骨を高く回復させることができない。φが15
を超える場合には粒子は針状に近くなり、充てん後に容
易に破断して粉状化する。粉状化したヒドロキシアパタ
イトは生体の他の部位へ流出し、生体に悪影響を与え
る。
本発明において使用できる自己硬化材としてはα−リン
3酸カルシウム(α−Ca(PO)及び/又は
リン酸4カルシウム(Ca(POO)がある。
本発明において使用できるα−リン酸カルシウム及びリ
ン酸4カルシウムは、リン酸水素カルシウム2水和物
(CaHPO・2HO)を500℃程度で分解させ
てγ−Caとし、これと炭酸カルシウムを各
々1:1及び1:2のモル比で混合し、1000℃程度
で仮焼の上、1250℃〜1350℃で3〜6時間焼成
して得たα−リン酸3カルシウム及びリン酸4カルシウ
ムが好ましく使用できる。使用に際しては、これらのα
−リン酸3カルシウム及びリン酸4カルシウムを粉砕し
て粒径100メッシュ以下の粉末にしたものが好ましく
使用できる。
本発明においては、上記のような自己硬化材としてのα
−リン酸3カルシウム及び/他はリン酸4カルシウム、
更に、粒径100メッシュ以下のヒドロキシアパタイト
粒子を混合して自己硬化材として使用してもよい。10
0メッシュ以下とすれば、自己硬化材として均一な組成
のものが得られる。このようなヒドロキシアパタイト
は、上記のヒドロキシアパタイト粒子と同様の方法によ
り得たものを粉砕して製造できる。
本発明においては、α−リン酸3カルシウム及びリン酸
4カルシウムは、pH=5以下の有機酸水溶液を添加し
て混合すると硬化し、自己硬化材として作用する。従っ
て、α−リン酸3カルシウム及び/又はリン酸4カルシ
ウムを、ヒドロキシアパタイトと共に使用すれば、ヒド
ロキシアパタイト粒子を含有する充てん材の初期におけ
る形状の保持性及び充てん材の漏出が防止できる。本発
明において好ましく使用できる自己硬化材の混合量は、
充てん材全重量を基準として5〜80重量%、好ましく
は、5〜50重量%、更に好ましくは5〜20重量%で
ある。充てん材中の自己硬化材の量が5重量%より少な
いと、初期形状の保持性が不十分であり、逆に80重量
%より多いと、添加するヒドロキシアパチオの量が少な
くなって生体適合性が減少し、生体用充てん材として十
分に作用しえず好ましくない。
本発明において使用するα−リン酸3カルシウム及び/
又はリン酸4カルシウムからなる自己硬化材は有機山水
溶液により硬化する。これらの有機酸はpH=5以下、
好ましくはpH=3以下、更に好ましくはpH=2以下
の酸水溶液であれば、任意の酸の水溶液が使用できる、
このような有機酸としてはクエン酸、乳酸、リンゴ酸、
ポリアクリル酸等を上げることができる。酸水溶液の量
は好ましくは粉液比として0.〜5.0での利用が好ま
しい。粉液比が0.3未満であると、硬化体の強度が低
き、又、5.0を超えると、混合時に固すぎて操作が困
難であり好ましくない。
本発明においては、ヒドロキシアパタイト粒子と自己硬
化材とを混合してから骨欠損部及び骨空隙部に充てん
し、その後硬化させることができ、又はヒドロキシアパ
タイト粒子を骨欠損部及び骨空隙部に充てんした後に充
てん部を自己硬化材で覆つて硬化させても良い。又、予
め充てん材を硬化させてから骨欠損部及び骨空隙部に充
てんすることも可能である。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
<実施例> 実施例1 最初にリン酸水素カルシウム2水和物 (CaHPO・2HO)(純正化学(株)社製)を
500℃にて分解させてγ−Caとし、次い
でこのγ−Caと等モルの炭酸カルシウム
(CaCO)(関東化学(株)社製)を混合し、10
00℃で5時間仮焼した後、1250℃にて3時間焼成
して、α−リン酸3カルシウムを合成した。このα−リ
ン酸3カルシウムを100メッシュのふるいを通過する
まで粉砕した。又、湿式法にてヒドロキシアパタイトを
合成し、1200℃にて1時間焼成の上、100メッシ
ュのふるいを通過するまで粉砕した。
上記のようにして製造したα−リン酸3カルシウムとヒ
ドロキシアパタイトを重量比で10:90の割合になる
ように混合し、次いで30重量%の濃度のクエン酸水溶
液を硬化液として用い前記混合粉に対し、1:1の重量
比で混合し硬化させた。
製造した硬化物はヒドロキシアパタイト粒子とα−リン
酸3カルシウムとの比重差のため、下部に選択的にヒド
ロキシアパタイトが集まった。このような構造は、骨欠
損部及び骨空隙部に充てん材を充てんする場合には、生
体親和性の高いヒドロキシアパタイトが直接生体骨と接
し、且つα−リン酸3カルシウム硬化物が薄く上部を蓋
のように覆うので好都合であり、従って、ヒドロキシア
パタイトの生体親和性を最大限に発揮させると共に硬化
物によりヒドロキシアパタイトの漏出の防止にも有効で
あって理想的であった。
上記硬化物をpH=6.8に調節したリン酸緩衝液中に
1日間放置し、次いで、取り出して、X線回折分析を行
ったところ、α−リン酸3カルシウムのピークは僅かに
残存しているのみであり、新しくヒドロキシアパタイト
と思われるピークが出現した。
実施例2 実施例1で製造したのと同様のα−リン酸3カルシウム
及びヒドロキシアパタイト粒子を使用し、ヒドロキシア
パタイトのみをまず骨欠損部及び骨空隙部に充てんし、
その後に、実施例1と同様のクエン酸水溶液にて硬化さ
せたα−リン酸3カルシウム硬化体を上記のヒドロキシ
アパタイト充てん物の上に蓋状に充てんした。実施例1
と同様に良好な結果を得た。
実施例3 リン酸水素カルシウム2水和物(CaHPO・2H
O)(純正化学(株)社製)を500℃に分解させてγ
−Caとし、次いでこのγ−Ca
と炭酸カルシウム(CaCO)(関東化学(株)社
製)とを1:2のモル比で混合し、1000℃で5時間
仮焼した後、1350℃にて6時間焼成して、リン酸4
カルシウムを合成した。合成にあたっては、最初に3時
間焼成し、焼成物を取り出して粉砕した後、再度3時間
焼成して、リン酸4カルシウムのみからなる生成物を得
た。このリン酸4カルシウムを100メッシュのふるい
を通過するまで粉砕した。
ヒドロキシアパタイトは実施例1と同様にして製造し
た。
上記のごとくにして製造したリン酸4カルシウムとヒド
ロキシアパタイトを重量比で10:90の割合になるよ
うに混合し、次いで30重量%の濃度のクエン酸水溶液
を硬化液として用い、前記混合粉に対し、1:1の重量
比で練和し、硬化させたところ、硬化物は実施例1の場
合と同様に、ヒドロキシアパタイト粒子とリン酸4カル
シウムとの比重差のため、下部に選択的にヒドロキシア
パタイトが集まっていた。又、X線回折のパターンを調
べところ、リン酸4カルシウムのピークは殆ど残ってい
なかった。実施例1のα−リン酸3カルシウム結果と比
較して、リン酸4カルシウムの分解速度が早いことがわ
かった。又、ヒドロキシアパタイトと思われるピークの
出現も認めらた。
実施例4 α−リン酸3カルシウムを主成分とし、ヒドロキシアパ
タイトを含有する自己硬化材について強度試験を行なっ
た。
実施例1と同様の方法で製造したα−リン酸3カルシウ
ム及びヒドリキシアパタイト粉末(100メッシュ以下
に粉砕)を使用し、自己硬化材の全重量に対して、ヒド
ロキシアパタイトガ、10、20、30、40、50、
60、70、80、90及び95重量%の含有率になる
ように混合し、実施例1と同様の30%の濃度のクエン
酸水溶液を硬化液として粉液比1.5〜2.0で硬化さ
せ、強度試験を実施した。
強度試験は直径7mm、長さ14mmの容器に泥状の自己硬
化材を流し込み、硬化後取り出して、pH=6.8、温
度37℃に調整されたリン酸緩衝液に投入し、24時間
後に取り出して漏れたまま圧縮強度を測定することによ
り行った。荷重速度は1mm/分とした。
強度試験の結果を以下の第1表に示す。
上記の結果から明らかなように、α−リン酸3カルシウ
ムを主成分とし、ヒドロキシアパタイトを含有する自己
硬化材の場合、好ましく使用できるヒドロキシアパタイ
トの含有量は重量比で60%以下とわかる。これ以上含
有量を増やすと、強度が小さくなり好ましくない。
実施例5 リン酸4カルシウムを主成分とし、ヒドロキシアパタイ
トを含有する自己硬化材について強度試験を行なった。
実施例3と同様の方法で製造したリン酸4カルシウム
に、100メッシュ以下のヒドロキシアパタイトを、自
己硬化材との全重量に対して10、20、30、40、
50、60、70、80、90重量%になるように混合
し、実施例3と同様の30%の濃度のクエン酸水溶液を
硬化液として粉液比0.8〜2.1で硬化させ、強度試
験を実施した。強度試験の方法は実施例4と同様であ
る。
第2表に結果を示す。
表より明らかなように、リン酸4カルシウムを主成分と
しヒドロキシアパタイトを含有する自己硬化材の場合、
好ましく使用できるヒドロキシアパタイトの含有量は重
量比で70%以下とわかる。これ以上含有量を増やすと
強度が小さくなり好ましくない。
<発明の効果> 上記のように、本発明の骨欠損部及び骨空隙部充てん材
を使用すれば、術後の初期における充てん物の形状保持
性が優れており、切開箇所からの充てん物の漏出が防止
でき、更に、治癒の促進が可能である。
尚、本発明において使用する自己硬化物自体も、当然な
がら、生体に対する為害性は無く、経時的にヒドロキシ
アパタイトに転化した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロキシアパタイト(Ca(PO
    OH)粒子及び自己硬化材からなる骨欠損部及び骨空
    隙部充てん材であって、前記ヒドロキシアパタイト粒子
    の最短径が0.1〜10.0mmであり、及び前記自己硬
    化材がα−リン酸3カルシウム(α−Ca(PO
    )及び/又はリン酸4カルシウム(Ca(PO
    O)からなり、pH=5以下の有機酸水溶液を用いる
    ことにより硬化させて前記ヒドロキシアパタイト粒子を
    固定してなることを特徴とする骨欠損部及び骨空隙部充
    てん材。
  2. 【請求項2】前記自己硬化材に予め粒径100メッシュ
    以下のヒドロキシアパタイト粉末を混合してなる特許請
    求の範囲第1項記載の骨欠損部及び骨空隙部充てん材。
JP62232069A 1987-09-18 1987-09-18 骨欠損部及び骨空隙部充てん材 Expired - Lifetime JPH062153B2 (ja)

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