JPH0621513U

JPH0621513U - 抗菌性を有するスポンジ製品

Info

Publication number: JPH0621513U
Application number: JP2481992U
Authority: JP
Inventors: 幸一山本; 尚志野々山
Original assignee: Ishizuka Glass Co Ltd
Current assignee: Ishizuka Glass Co Ltd
Priority date: 1992-04-17
Filing date: 1992-04-17
Publication date: 1994-03-22

Abstract

(57)【要約】【目的】抗菌・抗カビ性に優れ長期間にわたって使用
することができる抗菌性を有するスポンジ製品を提供す
ること。【構成】スポンジ本体１の中間部あるいは底面部の一
部に銀、銅等の抗菌性を有する金属イオンを溶出させる
抗菌剤を分散させた抗菌性シート層２を装着し、使用中
において前記抗菌性シート層２から抗菌性を有する金属
イオンを徐々に溶出させるようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、抗菌・抗カビ性に優れ長期間にわたって使用することができる抗菌性を有するスポンジ製品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、化粧用パフや台所用スポンジ等の合成樹脂製スポンジ製品は広く一般に利用されているが、長期間にわたって使用していると菌やカビが発生して変色するという問題点があったため、最近では有機系抗菌剤や無機系銀抗菌剤をスポンジ製品内へ練り込んだ抗菌性を有するスポンジ製品の開発が種々行われている。

【０００３】ところが、有機系抗菌剤を用いた場合には製造工程における抗菌剤の拡散、分解などが生じて十分な抗菌性が得られないという問題点があるとともに抗菌効果の持続性に劣る、あるいは皮膚を刺激して安全性に劣る等の問題点もあった。一方、無機系銀抗菌剤をスポンジ製品内へ練り込んだ場合にはスポンジ製品の成形工程の一つに加硫工程がある場合、前記銀系抗菌剤が変色して製品価値を著しく低下させるという問題点があるとともに、最終洗浄工程において練り込んだ抗菌剤が大量に流出して十分な抗菌性を発揮することができなくなるという問題点があり、いずれも実用に供するにはまだ品質的に不十分なものであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記のような従来の問題点を解決して、変色等がなく品質的にも優れ十分な商品価値を発揮することができるとともに、長期間にわたって使用しても十分かつ安定した抗菌・抗カビ等の抗菌性を発揮することができる抗菌性を有するスポンジ製品を提供することを目的として完成されたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本考案の抗菌性を有するスポンジ製品は、スポンジ本体の中間部あるいは底面部の一部に銀、銅等の抗菌性を有する金属イオンを溶出させる抗菌剤を分散させた抗菌性シート層を装着したことを特徴とするものである。

【０００６】次に、本考案を図面を参照して詳細に説明する。図面は化粧用パフに本考案を利用した場合を示すものであって、図中１は合成樹脂製のスポンジ本体、２は銀、銅等の抗菌性を有する金属イオンを溶出させる抗菌剤を分散させた抗菌性シート層である。

【０００７】前記の抗菌剤としては、ゼオライトやリン酸ジルコニウムのような溶出型の銀あるいは銅系抗菌剤や溶解性ガラス粉末が用いられる。この溶解性ガラスとは、制御された溶解速度を持つようにガラスの物理的、化学的特性を考慮して組成を調節したガラスの総称であり、銀化合物又は銅化合物を含有させた溶解性ガラスは数時間から数年の任意の期間にわたって定められた一定速度で銀イオン又は銅イオンを溶出させることができるものである。そして溶出した銀イオン又は銅イオンは細菌や微生物の細胞壁へ吸着したり細胞内に濃縮して、いわゆるオリゴジナミー作用によって細菌や微生物の成育を阻害し、抗菌作用を発揮することとなる。

【０００８】前記の抗菌剤を分散させる抗菌性シート層２としては、抗菌剤を練り込んだポリプロピレン等の合成樹脂製糸を一定厚みの不織布としたものを用いることができ、図１に示されるように２枚のスポンジ本体１の中間部に埋設するよう装着しておけばよい。また抗菌性シート層２としては、その他に例えば綿や合成樹脂などからなる布材の表面に抗菌剤の粉末を付着させたものや、合成樹脂フィルム上に接着剤などを介して抗菌剤の粉末を付着させたもの等とすることもできる。更に前記の抗菌性シート層２は、図２に示されるようにスポンジ本体１の底面側に配置するとともにその外表面を透水性のない軟質合成樹脂などからなる裏材３で覆って装着したものとすることもできる。そして、いずれの場合にもスポンジ本体１と抗菌性シート層２とは別々に成形されその後の工程で両者が加熱接着などによって一体化されるものであって、従来のような抗菌剤をスポンジ製品内へ練り込んだものと異なりスポンジ製品の成形工程中に銀系抗菌剤が変色して製品価値を著しく低下させるという問題点や洗浄工程において練り込んだ抗菌剤が大量に流出して十分な抗菌性を発揮できなくなるという問題点を生じないものである。

【０００９】

【作用】

このように構成されたものにおいては、スポンジ本体１の中間部あるいは底面部の一部に銀、銅等の抗菌性を有する金属イオンを溶出させる抗菌剤を分散させた抗菌性シート層２が装着されているので、使用時においてスポンジの通気孔を通じて水分が内部へ浸透するとこの水分によって抗菌性シート層２から微量ずつ抗菌性を有する銀イオンを溶出する。なお、この銀イオンの溶出量は通常の分析方法では検出できない程度であり食品衛生法上等も何ら問題ないが、抗菌作用を発揮するには十分な量である。このように抗菌性シート層２からは抗菌性を有する銀イオンが徐々に溶出しているので、スポンジの使用中に雑菌が付着したとしても前記銀イオンの抗菌作用によって雑菌の繁殖は防止され、更には銀イオンの滅菌作用によって雑菌は死滅化されてスポンジ本体１には雑菌のない衛生的な状態が維持されることとなる。また、雑菌等の繁殖による変色も防止され見た目にも清潔な状態が維持されることとなる。

【００１０】

【実施例】

B₂O₃：５０モル％、SiO₂：４０モル％、Na₂O：１０モル％からなるベースガラス中に銀イオンをAg₂O表示で０．４５重量％含有する溶解性ガラスの粉末（粒度２５μm 以下）を用い、ポリプロピレン樹脂に１０重量％の割合で添加して糸を作成し、ニードルカッタで５００g/m²の不織布からなる抗菌性シート層２を作った。この抗菌性シート層２を２つのスポンジ本体１の中間部に入れた後、周囲を加熱融着して化粧用パフ（サンプル１）を得た。また、前記の溶解性ガラスの粉末（粒度４０μm 以下）をウレタン系樹脂をアニオン系分散剤で分散させた水溶液に２０重量％添加した溶液を用意し、この中に綿の生地を浸漬後乾燥させて表面に溶解性ガラス粉末が付着した抗菌性シート層２を作り、スポンジ本体１の中間部に入れて化粧用パフ（サンプル２）を得た。また、前記の溶解性ガラスの粉末（粒度４０μm 以下）をポリエチレンフィルム上にウレタン系樹脂の接着剤により付着した抗菌性シート層２を作り、これを図２に示されるように軟質塩化ビニル樹脂からなる裏材３によりスポンジ本体１の底面部に装着するよう加熱融着して化粧用パフ（サンプル３）を得た。得られたサンプル１〜３を黄色ブドウ状球菌（１／５０普通ブイヨンを使用）により抗菌試験を行った結果、表１に示すとおり抗菌性シート層を装着しない化粧用パフ（比較例）に比べて著しく菌数の少ないことが確認できた。また、抗カビ試験（ＪＩＳＺ２９１１に準拠）を行った結果も表２に示すとおりであり、本考案の優れた抗カビ効果が確認できた。

【００１１】

【表１】（１ml当たりの生菌数）

【００１２】

【表２】３：菌糸の発育が認められないもの２：〃全体の1/3 以下のもの１：〃全体の1/3 以上のもの

【００１３】

【考案の効果】

以上の説明からも明らかなように、本考案は変色等がなく品質的にも優れ十分な商品価値を発揮することができるとともに、長期間にわたって使用しても十分かつ安定した抗菌・抗カビ等の抗菌性を発揮することができるものであり、更には簡単な構造で低廉に大量生産することができるという利点もある。よって本考案は従来の問題点を一掃した抗菌性を有するスポンジ製品として、その実用的価値は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す正面断面図である。

【図２】その他の実施例を示す正面断面図である。

【符号の説明】

１スポンジ本体２抗菌性シート層

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】スポンジ本体(1) の中間部あるいは底面
部の一部に銀、銅等の抗菌性を有する金属イオンを溶出
させる抗菌剤を分散させた抗菌性シート層(2) を装着し
たことを特徴とする抗菌性を有するスポンジ製品。