JPH06212410A - 連続真空蒸着方法 - Google Patents

連続真空蒸着方法

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JPH06212410A
JPH06212410A JP379793A JP379793A JPH06212410A JP H06212410 A JPH06212410 A JP H06212410A JP 379793 A JP379793 A JP 379793A JP 379793 A JP379793 A JP 379793A JP H06212410 A JPH06212410 A JP H06212410A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子銃の使用効率が高いルツボ配列であり、
かつ合金膜の上下の単体層を調整することができる連続
真空蒸着方法を提供する。 【構成】 真空中で電子銃3を用いて電子ビーム4によ
り複数のルツボ6a、6bから異なる蒸発材料A、Bを
蒸発させ、連続的に供給される走行基板に合金膜の蒸着
膜を形成させる連続真空蒸着方法において、隣接する2
つのルツボのうち入射角が小さい方のルツボへ蒸発材料
AまたはBが収納された場合のそれぞれについて、入射
全電子ビーム量のうち、蒸発材料Aに振り分けられる比
率χA と、電子ビームの入射角θA 、θB における電子
ビームの反射される割合RA 、RBから、式η=χ
A (1−RA )+(1−χA )(1−RB )により、電
子銃の使用効率ηを算出し、ηが大きい配列に蒸発材料
を収納する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続真空蒸着方法に係
わり、更に詳しくは、真空中で複数の蒸発材料を蒸発又
は昇華させて、連続して供給される走行基板に多層膜或
いは合金膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の連続真空蒸着装置は、例えば、特
開平4−218660号公報及び特開平4−23527
2号公報に開示されている。かかる従来の装置は、図8
に全体構成図を示すように、真空チャンバー1内に設け
た複数のルツボ6a、6bに異なる蒸発材料5a、5b
を入れ、これに電子銃3より電子ビーム4a、4bを照
射して、蒸発材料を溶融・蒸発(あるいは昇華)させ、
連続的にガイドロール10を介して供給される鋼板など
の蒸着基板9に合金膜の蒸着膜を形成するようになって
いる。真空チャンバー1内は真空排気装置(図示せず)
により10-3〜10-5torrに維持されている。ま
た、電子銃3からほぼ水平に出された電子ビーム4は、
ルツボ6の上方近傍に設けられた偏向磁場(図示せず)
により、下方に曲げられ、ルツボ6a、6bに照射する
ようになっている。かかる従来の連続真空蒸着装置を使
用し複数の材料からなる合金膜を蒸着基板に蒸着させる
場合には、従来複数のルツボを真空チャンバー内に載置
し、真空中で電子銃を用いて電子ビームにより複数のル
ツボから異なる蒸発材料を蒸発又は昇華させ、連続的に
供給される走行基板の表面に主として合金膜の蒸着膜を
形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、単一の電子銃
を用いて複数のルツボから異なる蒸発材料を蒸発又は昇
華させて、合金膜を形成する場合に、ルツボの配置によ
り、電子銃の使用効率が大きく相違し、最適な配置でな
い場合には使用効率が大きく低下する問題点があった。
また、上述した従来の装置で合金膜を形成すると、合金
膜の他に、合金膜の上下に合金を構成する蒸発材料の単
相膜が形成される問題点があった。このため、この単相
膜により走行基板と合金膜との密着力が低下したり、表
面の単相膜により、合金層の優れた表面特性(耐腐食
性、塗装性、加工性等)が阻害される問題点があった。
【0004】本発明はかかる問題点を解決するために創
案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的
は、電子銃の使用効率が高いルツボ配列の連続真空蒸着
方法を提供することにある。更に、本発明の第2の目的
は、合金膜の上下の単相膜を調整することができ、膜特
性を向上させることができる連続真空蒸着方法を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、蒸発
材料の種類及び電子ビームの入射角度により、電子ビー
ムの反射率が大きく相違することに着眼した。すなわ
ち、同一の偏向用磁界を用いて電子ビームを偏向させ、
隣接した複数のルツボに電子ビームを入射させる場合、
各々のビームの入射角を同一とすることはできず、通
常、電子銃に近い側の入射角が小さくなる。従って、入
射角度が小さい側のルツボに反射率が大きい材料が入っ
ている場合には、電子ビームの反射も大きくなり、電子
銃の使用効率が極めて悪化することになる。これが、ル
ツボの配置により、電子銃の使用効率が大きく相違し、
最適な配置でない場合には使用効率が大きく低下する原
因であることを突き止めた。本発明はかかる新規な知見
に基づくものである。すなわち、本発明によれば、真空
中で電子銃を用いて電子ビームにより複数のルツボから
異なる蒸発材料を蒸発又は昇華させ、連続的に供給され
る走行基板の表面に主として合金膜の蒸着膜を形成させ
る連続真空蒸着方法において、隣接する2つのルツボの
うち入射角が小さい方のルツボへ蒸発材料AまたはBが
収納された場合のそれぞれについて、単位時間当りの入
射全電子ビーム量のうち、蒸発材料Aに振り分けられる
比率χA と、電子ビームの入射角θA 、θB における電
子ビームの反射される割合RA 、RB から、式η=χA
(1−RA )+(1−χ A )(1−RB )により、電子
銃の使用効率ηを算出し、ηが大きい配列に蒸発材料を
収納する、ことを特徴とする連続真空蒸着方法が提供さ
れる。又、本発明の好ましい実施例によれば、合金膜の
下層或いは上層を形成するルツボからの蒸発流の少なく
とも一部を遮蔽するための遮蔽板を備える。また、前記
遮蔽板は、合金膜を形成する領域に近いほど開口率の高
い開口部を有する、ことが好ましい。更に、多層膜或い
は合金膜或いは傾斜膜を形成する順序に合わせて、走行
基板の方向を決定する、ことが好ましい。
【0006】
【作用】上記本発明の方法によれば、式η=χA (1−
A )+(1−χA )(1−R B )により、電子銃の使
用効率ηを算出し、ηが大きい配列に蒸発材料を収納す
るので、ルツボの配置を最適にすることができ、電子銃
の使用効率を常に高く維持することができる。かかる方
法はルツボが2つの場合だけでなく、3つ以上のルツボ
の場合にも、隣接する2つのルツボにそれぞれ適用する
ことにより、最も適したルツボ配列を決定することがで
きる。また、本発明によれば、合金膜の下層或いは上層
を形成するルツボからの蒸発流の少なくとも一部を遮蔽
するための遮蔽板を備えるので、合金膜の上下の単相膜
を調整することができ、膜特性を向上させることができ
る。
【0007】
【実施例】以下、好ましい実施例を図面を参照して説明
する。図6は、ルツボ6の蒸発材料5へ入射する電子ビ
ーム4とその反射(後方散乱)電子15の様子を模式的
に示した図である。この図に示すように蒸発材料5へ入
射する電子ビーム4と水平とのなす角度を、以下の説明
で電子ビームの入射角と呼び、記号θで表わす。
【0008】図7は、電子ビームの入射角θ(度)と、
蒸発材料の表面での電子ビームの反射率R(%)との関
係を示した図である。この図において、4本の曲線は、
それぞれ上から金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、
アルミニウム(Al)の反射率を示しており、斜線で示
した領域には、Ni,Mn,Cr,Ti等が含まれる。
この図から明らかなように、入射角θが小さいほど反射
率が大きく、また、原子番号が大きい金属ほど一般に反
射率が大きいことがわかる。本発明の発明者は、図7に
おいて蒸発材料の種類及び電子ビームの入射角度によ
り、電子ビームの反射率が大きく相違することに着眼し
た。
【0009】図4は、偏向用磁界を用いて同一の電子ビ
ーム4を偏向させ、隣接した複数のルツボ6に電子ビー
ムを入射させる場合を示している。この図から明らかな
ように、電子ビームの各々の入射角θ1 、θ2 を同一と
することはできず、通常、電子銃に近い側の入射角(図
でθ1 )の方が小さくなる。従って、入射角度が小さい
側のルツボ(図で左のルツボ)に反射率Rが大きい材料
が入っている場合には、電子ビーム4の反射が大きく、
電子銃の使用効率が悪化することになる。
【0010】図4に基づき、本発明によるルツボの配置
を決定する最適化方法、すなわち、2つのルツボで入射
角度が小さい方にA、Bのどちらの材料を収納すべきか
を求める方法を以下に説明する。A材料とB材料の2つ
の蒸発材料について考え、添字を各々A、Bとする。ま
た、各記号を以下のように定義する。 θA 、θB :電子ビームの蒸発材料A、Bへの入射角度
(度) RA 、RB :θA 、θB における電子ビームの反射され
る割合(−) INA、INB:A、B材料の所望の蒸発重量を得るために
必要な正味入射電子ビーム量(Kcal/sec) IθA 、IθB :θA 、θB における蒸発材料に入射す
る単位時間当りの電子ビーム量(Kcal/sec) IθAB:IθA とIθB の合計。IθAB=IθA +Iθ
B χA =IθA /IθAB :単位時間当りの入射電子ビー
ム量のうち、A材料に振り分けられる比率。 蒸発材料への正味入射電子ビーム量は、 A材料について INA=IθA ×(1−RA ) B材料について INB=IθB ×(1−RB )であ
り、 成膜時の電子銃の使用効率ηは、 η=(INA+INB)/(IθA +IθB ) =(IθA (1−RA )+IθB (1−RB ))/(IθA +IθB ) =(IθA (1−RA )+(IθAB−IθA )(1−RB ))/IθAB =χA (1−RA )+(1−χA )(1−RB ) ・・・(式1) と表すことができる。
【0011】図5は、Al−Cr合金を成膜する場合の
χA (入射全電子ビーム量のうちCrに振り分ける電子
ビーム量の割合)とη(電子銃の使用効率)との関係を
上述した式1から求めた図である。この図において、直
線は、Crが入射角度が小さい方(電子銃に近い側)
に配置された場合であり、二点鎖線は、Alが入射角
度が小さい方に配置された場合を示している。なお、図
4における電子ビームの入射角θ1 、θ2 をそれぞれ6
0°、80°として計算した。この図から、χA が約
0.5以下の場合には、入射角度が小さい方のルツボに
Crを入れたほうがηが高く、χA が約0.5以上の場
合には、入射角度が小さい方のルツボにAlを入れたほ
うがηが高くなることがわかる。
【0012】すなわち、本発明の連続真空蒸着方法によ
れば、入射角θが小さい方のルツボへ蒸発材料Aまたは
Bが収納された場合のそれぞれについて、入射全電子ビ
ーム量のうち、蒸発材料Aに振り分けられる比率χ
A と、電子ビームの入射角θA 、θB における電子ビー
ムの反射される割合RA 、RB から、式η=χA (1−
A )+(1−χA )(1−RB )により、電子銃の使
用効率ηを算出し、ηが大きい配列に蒸発材料を収納す
る。これにより、ルツボの配置を最適にすることがで
き、電子銃の使用効率を常に高く維持することができ
る。また、この方法は、ルツボが2つの場合だけでな
く、3つ以上のルツボの場合にも、隣接する2つのルツ
ボにそれぞれ適用することにより、最も適したルツボ配
列を決定することができる。
【0013】図1は、本発明による方法を実施するため
の連続真空蒸着装置の全体構成図である。この図におい
て、蒸発材料が2種類(A、B)の場合について説明す
るが、3種類以上の場合も同様である。図1の装置は、
真空チャンバー1内に設けたルツボ6a、6bに蒸発材
料5a、5bを入れ、これに電子銃3より電子ビーム4
を照射して、蒸発材料を溶融・蒸発(あるいは昇華)さ
せ、連続的にガイドロール10を介して供給される鋼板
などの蒸着基板9に蒸発材料を蒸着するようになってい
る。真空チャンバー1内は真空排気装置(図示せず)に
より10-3〜10-5torrに維持されている。また、
電子銃3からほぼ水平に出された電子ビーム4は、ルツ
ボ6a、6bの上方近傍に設けられた偏向磁場11によ
り、ほぼ下方に曲げられ、ルツボに照射するようになっ
ている。
【0014】走行基板9の走行方向に配置された2つの
ルツボ6a、6bには、各々A、Bの蒸発材料が収納さ
れている。ルツボ6a、6bに電子ビーム4a、4bを
それぞれ照射し、蒸発材料A、Bを蒸発(昇華)させ、
蒸発流7a、7bを発生させる。領域8は7a、7bが
作る合金領域(ゾーン)を示す。なお、実際には図1の
ように明確に線引きされるものではないが、便宜上、量
的にほとんどを占める範囲として示す。電子ビーム4
は、電子銃3の出口付近にある電子ビームスキャニング
用コイル12によって作られた磁界によって電子ビーム
の飛び出し方向を決定されて飛び出した後、ルツボ6
a、6b付近に設けた電子ビーム偏向用磁界11により
下方に曲げられルツボ6a、6bに入射する。この図に
おいて磁界11は紙面に垂直方向であり、かつ手前から
向こう側に向かっている。ルツボ6aに入射させるかル
ツボ6bに入射させるかは、コイル12によって制御す
る。磁界11の強さは通常一定である。また、電子銃に
より遠い方のルツボ(図1ではルツボ6b)にできる限
り90°に近い入射角で入射するように通常磁界11の
強さを設定するため、電子銃の手前側(図1ではルツボ
6a)のルツボのビーム入射角は90°より小さくな
る。ルツボ6aとルツボ6bの間隔が大きい程、ルツボ
6aの入射角が小さくなる。1つの電子銃3で電子ビー
ムを2つのルツボに振り分ける方法はルツボ6a、6b
の照射点の座標と、その座標でのビームの滞在時間を設
定することによって行う。従って、この滞在時間の累計
として、各々のルツボに照射される電子銃の電子ビーム
量の比率が決まる。蒸発流7a、7b及び合金流8は、
走行基板9に蒸着された膜を形成する。蒸発流7aが蒸
着した部分は、蒸発材料Aの(もしくはAリッチの)膜
が形成され、蒸発流7bが蒸着した部分は蒸発材料Bの
(もしくはBリッチの)膜が、また8が蒸着した部分は
A、Bの合金膜が形成される。
【0015】図1において、この装置は、合金膜の下層
或いは上層を形成するルツボからの蒸発流の少なくとも
一部を遮蔽するための遮蔽板13、14を備えている。
走行基板9が図1で左から右に走行し、かつ蒸発流遮蔽
板13、14が全開の場合には、先ずAの層が、次いで
A、Bの合金層、次いでBの層が走行基板9に成膜され
る。走行基板9の走行方向が右から左に走行する場合に
は、その逆となる。成膜する場合に、A層が不要の場合
は遮蔽板13を閉じて、Aが成膜しないようにし、B層
が不要の場合は、遮蔽板14を閉じる。A、Bの合金層
の成膜を目的とする場合は、A−B合金層の上に、Aも
しくはB層を成膜する必要はないので、図1において遮
蔽板14を閉じて、蒸発流7bがA−B合金層の上に成
膜しないようにする。
【0016】図2は、遮蔽板14の詳細を示す部分側面
図(B)とその部分平面図(A)であり、図3は遮蔽板
14の別の実施例を示す部分平面図である。遮蔽板13
も同様の構成となっている。図2及び図3に示すよう
に、遮蔽板13、14は、合金膜を形成する領域に近い
ほど開口率の高い開口部を有する。かかる構成により、
A−B合金の下層として、合金の特性(密着性、加工
性、など)を向上させるために下層から合金の比率が少
しずつ変化する傾斜機能を持たせ、先ずA層(Aリッチ
層)を成膜させ、傾斜的に(段階的に)A−B合金に近
づけさせて成膜させる場合は、遮蔽板13を適宜開けて
おく。A層あるいはB層が不要であったり、A層あるい
はB層を傾斜的に成膜させることも不要な場合、遮蔽板
13、14は、図2、図3に示したような開口部は不要
である。蒸着される基板はルツボ上をガイドローラ10
を介して連続的に走行する。真空チャンバーをはさんで
ガイドローラ10の上流側及び下流側のチャンバーも各
々真空に排気される。なお、本発明はイオンプレーティ
ング装置においても同様に適用することができる。イオ
ンプレーティング装置の場合は、蒸発流7a、7bにイ
オン化プローブ法、高周波法、等により電子を衝突させ
て、一部の蒸発流7a、7bをイオン化し、走行基板9
に負の電圧を印加させ、イオン化された蒸発流7a、7
bを引き寄せて、成膜させる(図示せず)。
【0017】上述した最適化方法により、2つ(複数)
のルツボに収納する蒸発材料を決定する。これにより最
も電子銃のエネルギー効率良く、複数のルツボから異な
る材料を蒸発できる。また、2種類(複数)例えばA、
Bの材料を用いて、合金膜を形成させる場合、膜の特性
(密着力、加工性(例えば曲げ加工やプレス加工時のパ
ウダリングやフレーキングの防止)、耐腐食性、塗装
性、装飾性など)を改善するために、AB合金膜の下層
にAもしくはB膜、或いはA−B合金膜の上層にAもし
くはB膜またはいずれも明確な単相膜(あるいはリッチ
膜)ではなく、図2及び図3の遮蔽板により傾斜機能を
持たせて順次A−B合金の比率が変化させて成膜させる
こともできる。
【0018】更に、多層膜或いは合金膜或いは傾斜膜を
形成する順序に合わせて、走行基板の方向を決定する、
のが良い。例えば、AlとCrを用いて、Al−Cr合
金を成膜する場合、初層にCr膜を形成後Al−Cr合
金を形成することにより密着性、加工性、耐腐食性がA
l−Cr合金単体の時より優れた特性を有する蒸着膜と
することができる。なお、この場合、Al−Cr合金の
上層にAl膜を形成することは不要なので、Alのみの
蒸発流部は遮蔽する。また、Cr→Al/Cr合金と順
次形成する場合、傾斜機能を持たせればなお良い。この
場合の基板走行方向はCr→Alとなる。従って、A−
B合金膜の下層にA材料を成膜させる場合には、基板の
走行方向はA→Bの方向とし、B材料を下層に成膜させ
る場合はB→Aの方向とするのが良い。
【0019】上述したように、本発明の方法によれば、
式η=χA (1−RA )+(1−χ A )(1−RB )に
より、電子銃の使用効率ηを算出し、ηが大きい配列に
蒸発材料を収納するので、ルツボの配置を最適にするこ
とができ、電子銃の使用効率を常に高く維持することが
できる。かかる方法はルツボが2つの場合だけでなく、
3つ以上のルツボの場合にも、隣接する2つのルツボに
それぞれ適用することにより、最も適したルツボ配列を
決定することができる。また、本発明によれば、合金膜
の下層或いは上層を形成するルツボからの蒸発流の少な
くとも一部を遮蔽するための遮蔽板を備えるので、合金
膜の上下の単相膜を調整することができ、膜特性を向上
させることができる。
【0020】
【発明の効果】上述した本発明によれば、以下の効果を
得ることができる。 上述した方法により、2種類(複数)の蒸発材料を
収納する各々のルツボを決めることにより、反射(後方
散乱)される電子ビームの割合を最小とすることができ
る。このため、電子銃の使用効率が上がり、ランニング
コストも低下する。例えば、生産用として鋼板に連続真
空蒸着する場合、電子銃の出力は合計1000KWから
数1000KWとなるため、本発明による電子銃の使用
効率の向上による省エネ効果は多大なものとなる。な
お、かかる大型の場合には、電子銃は1台ではなく複数
台を並列に配置して使用する。 合金膜を形成する場合、遮蔽板により合金膜の下層
あるいは上層に単層膜或いは傾斜機能を持たせた膜を形
成することにより、より優れた特性(密着力、加工性、
耐腐食性、塗装性、装飾性、等)を有する膜を形成でき
る。 電子ビームの入射方向と、複数のルツボに収納する
蒸発材料の順序と、走行基板の走行方向との相関関係を
最適にすることにより、総合的に効率の高い連続真空蒸
着を行うことができる。
【0021】要約すれば、本発明により、電子銃の使用
効率が高いルツボ配列であり、かつ合金膜の上下の単相
膜を調整することができ、膜特性を向上させることがで
きる連続真空蒸着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法を実施するための連続真空蒸
着装置の全体構成図である。
【図2】遮蔽板14の詳細を示す部分平面図(A)とそ
の部分側面図(B)である。
【図3】遮蔽板14の別の実施例を示す部分平面図であ
る。
【図4】同一の偏向用磁界を用いて電子ビーム4を偏向
させ、隣接した複数のルツボ6に電子ビームを入射させ
る場合を示す模式図である。
【図5】Al−Cr合金を成膜する場合のχA とη(電
子銃の使用効率)との関係を示す図である。
【図6】ルツボ6の蒸発材料5へ入射する電子ビーム4
とその反射(後方散乱)電子15の様子を模式的に示し
た図である。
【図7】電子ビームの入射角θ(度)と、電子ビームの
反射率R(%)との関係を示した図である。
【図8】従来の連続真空蒸着装置の、全体構成図であ
る。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 真空排気 3 電子銃 4 電子ビーム 4a ルツボ6aに照射される電子ビーム 4b ルツボ6bに照射される電子ビーム 5 蒸発材料 5a 蒸発材料A 5b 蒸発材料B 6 ルツボ 6a 蒸発材料Aのルツボ 6b 蒸発材料Bのルツボ 7a 蒸発材料Aの蒸発流 7b 蒸発材料Bの蒸発流 8 蒸発材料AとBの各々の蒸発流が混合している領域 9 走行基板 10 ガイドローラ 11 電子ビーム偏向用磁界 12 電子ビームスキャンニング用コイル 13、14 蒸発流遮蔽板 15 反射(後方散乱)電子 θ 入射角

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空中で電子銃を用いて電子ビームによ
    り複数のルツボから異なる蒸発材料を蒸発又は昇華さ
    せ、連続的に供給される走行基板の表面に主として合金
    膜の蒸着膜を形成させる連続真空蒸着方法において、 隣接する2つのルツボのうち入射角が小さい方のルツボ
    へ蒸発材料AまたはBが収納された場合のそれぞれにつ
    いて、 単位時間当りの入射全電子ビーム量のうち、蒸発材料A
    に振り分けられる比率χA と、電子ビームの入射角
    θA 、θB における電子ビームの反射される割合R A
    B から、式η=χA (1−RA )+(1−χA )(1
    −RB )により、電子銃の使用効率ηを算出し、ηが大
    きい配列に蒸発材料を収納する、ことを特徴とする連続
    真空蒸着方法。
  2. 【請求項2】 合金膜の下層或いは上層を形成するルツ
    ボからの蒸発流の少なくとも一部を遮蔽するための遮蔽
    板を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の連続真
    空蒸着方法。
  3. 【請求項3】 前記遮蔽板は、合金膜を形成する領域に
    近いほど開口率の高い開口部を有する、ことを特徴とす
    る請求項2に記載の連続真空蒸着方法。
  4. 【請求項4】 多層膜或いは合金膜或いは傾斜膜を形成
    する順序に合わせて、走行基板の方向を決定する、こと
    を特徴とする請求項2に記載の連続真空蒸着方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0677408A1 (de) * 1994-04-12 1995-10-18 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verfahren zur Steuerung und Regelung einer Klimaanlage bzw. -automatik für Kraftfahrzeuge
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