JPH06212168A - コークス炉装入炭の配合方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 石炭配合により膨張圧を許容限界値以下にな
るように低減し、かつ高炉用コークスとしての品質を満
たすコークスを製造することを可能とするコークス炉装
入炭の配合方法を提供することを目的とする。 【構成】 膨張圧が高い強粘結炭に対して、これと混合
した時に最も大きな膨張圧低減効果を示す弱粘結炭また
は非微粘結炭を選択してコークス炉装入炭の配合炭とし
て用いることにより、膨張圧が高い該強粘結炭の割合を
かえることなく、膨張圧を許容限界値以下になるように
低減し、かつ高炉用コークスとしての品質を満たすコー
クスを製造することを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コークス炉装入炭の配
合方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コークス炉の炭化室で石炭からコークス
を製造する過程で、石炭の膨張によりコークス炉の炉壁
に作用する圧力のことを一般に石炭乾留過程における膨
張圧と呼んでいるが、この膨張圧が高いと、コークス炉
の炉壁が損傷して操業不能になることもあり、膨張圧管
理は炉体管理上重要な課題である。

【０００３】日本では近年、膨張圧に対する注意が払わ
れていなかった。しかし今後、炉体の老朽化が進行し炉
体の強度が低下すると共に、調湿炭法などの石炭事前処
理技術の導入により炭化室内の石炭装入密度が上昇し、
膨張圧は増加する傾向にあるので、膨張圧に対する注意
が必要となりつつある。

【０００４】従来より、揮発分、炭素含有率、平均反射
率等で表される石炭化度が高い石炭に膨張圧が高いもの
が多いことが知られている。そのため、これまでは、コ
ークス炉に使用する配合炭の石炭化度に上限を設定する
ことにより、膨張圧をコークス炉の炉体強度からの限界
値以下に制御しようとしてきた。

【０００５】しかし、石炭化度が高い石炭にも膨張圧の
比較的低いものもあり、また逆に石炭化度が比較的低い
石炭にも膨張圧が比較的高いものもあって、石炭化度だ
けで膨張圧は決まらない場合がある。また、全膨張率や
最高流動度など、石炭化度以外のパラメーターで膨張圧
を整理しようと試みられた例はあるが、これらの粘結性
パラメーターでは膨張圧を整理することはできなかっ
た。このため、石炭化度だけで膨張圧を管理しようとす
ると、膨張圧が限界値以上になり、膨張圧によりコーク
ス炉が損傷する場合がある。

【０００６】配合炭の膨張圧を炉体強度以下に低減する
には、膨張圧の高い石炭の使用割合を減らせばよいと考
えられる。しかしながら、膨張圧の高い石炭は強粘結炭
中に多く、これらの石炭配合割合を減らすことは、コー
クス品質悪化（おもに冷間強度の低下）に直結するおそ
れがあり、実際の操業において勧められる方法とはいえ
ない。

【０００７】これらのことより、装入炭の配合を決定す
る段階で、膨張圧が高い強粘結炭の割合をかえることな
く、膨張圧を許容限界値以下になるように低減し、かつ
高炉用コークスとしての品質を満たすコークスを製造す
ることを可能とするコークス炉装入炭の配合方法の発明
が期待されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、膨張圧が高
い強粘結炭の割合をかえることなく、膨張圧を許容限界
値以下になるように低減し、かつ高炉用コークスとして
の品質を満たすコークスを製造することを可能とするコ
ークス炉装入炭の配合方法を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、コークス炉装入炭の配合を組む際に、配合に用い
られる膨張圧が高い強粘結炭に対して、これと混合した
時に最も大きな膨張圧低減効果を示す弱粘結炭または非
微粘結炭を選択し、この組み合わせでコークス炉装入炭
を配合することを特徴とするコークス炉装入炭の配合方
法にある。

【００１０】以下、本発明を作用とともに、詳細に説明
する。

【００１１】

【作用】本発明者らは、膨張圧低減方法を発見すべく鋭
意研究の結果、膨張圧の低い弱粘結炭または非微粘結炭
を、膨張圧の高い強粘結炭（以後、高膨張圧炭と呼ぶ）
と混合すると、弱粘結炭または非微粘結炭の種類によ
り、膨張圧低減効果に大きな差があることを見いだし
た。さらに発明者らは、高膨張圧炭の炭種により、この
膨張圧低減効果の最も大きい弱粘結炭または非微粘結炭
の炭種も異なることを見いだした。本発明はこの知見に
基づいて完成された。

【００１２】すなわち、配合に使用する高膨張圧炭に対
し、膨張圧低減効果の最も大きな弱粘結炭または非微粘
結炭を選択して配合すれば、従来よりもはるかに膨張圧
を低減することができる。この時強粘結炭比は変化しな
いので、コークス品質の悪化を防ぐことも可能である。

【００１３】

【実施例】

実施例１ 高膨張圧炭である強粘結炭（Ａ炭）に、低膨張圧炭の弱
粘結炭（Ｂ炭またはＣ炭）を混合した石炭の膨張圧を測
定した結果を図１に示す。

【００１４】図１より、Ｃ炭を混合した方がＢ炭を混合
した場合より膨張圧が低くなることがわかる。Ｂ炭とＣ
炭の膨張圧がほぼ等しいことを考慮すると、この試験よ
り、高膨張圧炭と組み合わせる炭種により膨張圧低減効
果が異なることがわかる。

【００１５】一方、別の高膨張圧炭である強粘結炭
（Ａ′炭）に、低膨張圧炭の弱粘結炭（Ｂ炭またはＣ
炭）を混合した石炭の膨張圧を測定した結果を図２に示
す。

【００１６】図２より、Ａ′炭ではＢ炭を混合した方が
Ｃ炭を混合した場合より膨張圧が低くなることがわか
る。この結果は、Ａ炭の逆である。このことから、高膨
張圧炭の炭種により、膨張圧低減効果の最も大きな石炭
の種類が異なることがわかる。

【００１７】実施例２ 表１に示すような配合炭の膨張圧を測定した。配合１、
２は強粘結炭としてＡ炭とＤ炭を用いた場合、配合３、
４は強粘結炭としてＡ′炭とＤ炭を用いた場合である。

【００１８】これより、強粘結炭としてＡ炭を用いた場
合、Ａ炭と混合すると膨張圧低減効果の大きいＣ炭を添
加すると、Ｂ炭添加時よりも膨張圧が減少することがわ
かる。一方Ａ′炭を用いた場合は、Ａ′炭と混合すると
膨張圧低減効果の大きいＢ炭を添加すると、Ｃ炭添加時
よりも膨張圧が減少することがわかる。

【００１９】また、１と２、３と４を比べるとコークス
強度（ドラム強度（ＪＩＳ Ｋ ２１５１による）と反
応後強度（１１００℃で二酸化炭素と２時間反応させた
後の強度）は、ほとんど変わらない。

【００２０】したがって、配合に使用する高膨張圧炭に
対し、膨張圧低減効果の最も大きな弱粘結炭または非微
粘結炭を選択して配合すれば、コークス強度を損なうこ
となく、従来よりもはるかに膨張圧を低減することがで
きる。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、膨
張圧が高い強粘結炭の割合をかえることなく、膨張圧を
低減できるので、高炉用コークスとしての品質をそこな
わずに、コークス炉壁に損傷を与えることなく安定した
コークス炉操業を継続することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】高膨張圧炭である強粘結炭（Ａ炭）に、低膨張
圧炭の弱粘結炭（Ｂ炭またはＣ炭）を混合した時の、配
合割合と膨張圧の関係を示す図。

【図２】高膨張圧炭である強粘結炭（Ａ′炭）に、低膨
張圧炭の弱粘結炭（Ｂ炭またはＣ炭）を混合した時の、
配合割合と膨張圧の関係を示す図。

【手続補正書】

【提出日】平成５年３月１６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コークス炉装入炭の配合を組む際に、配
   合に用いられる膨張圧が高い強粘結炭に対して、これと
   混合した時に最も大きな膨張圧低減効果を示す弱粘結炭
   または非微粘結炭を選択し、この組み合わせでコークス
   炉装入炭を配合することを特徴とするコークス炉装入炭
   の配合方法。