JPH06211668A - Ifn産生増強用薬剤 - Google Patents
Ifn産生増強用薬剤Info
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Abstract
エリンを含有する薬剤を提供する。 【構成】 スフィンゴミエリン、特に発酵乳ケフィア由
来のスフィンゴミエリンを有効成分として含有する。 【効果】 IFNの産生を増強できる。
Description
す) で表わされるスフィンゴミエリンを有効成分として
含有する、インターフェロン産生増強用薬剤に関する。
ス感染、抗原的チャレンジおよび種々の化学誘起剤によ
って多くの動物細胞から合成される一群のタンパクおよ
び糖タンパクであり、生体防御を構成する因子としては
侵入した抗原に対して非特異的に作用する非特異的液性
因子の一つである (大沢利昭編:サイトカイン (東京化
学同人))。 IFNは、はじめ抗ウイルス活性を同種細胞に
与える作用をもつ物質として同定され、 IFN自身には抗
ウイルス活性はないがそれを生産した細胞のみならず伝
達を受けた細胞において数種類の抗ウイルスタンパク質
の合成を促進し、生体におけるウイルス感染防御に重要
な役割を担っているとみなされている(S.Pestka,J. A.
Langer, K. C. Zoo, and C. E. Samuel: Annu. Rev. Bi
ochem., 56, 727(1987)) 。
活性化などの極めて多様の生理機能がある。例えば抗原
に対するT細胞応答、サプレッサー細胞活性の制御、マ
クロファージ、ナチュラルキラー細胞の活性の誘導また
は増強、および抗腫瘍を行うことが知られており、生体
防御システムの活性化や調節に関連する多面的作用を持
ち他のサイトカインと共にネットワークを形成し複雑に
生体のホメオスタシスを制御していると考えられている
(Y. Koyama, " Proceedings of the Inter-national
Symposium on Interferons", ed. by E. De Maeyer,
H. Schellekens,p.493, Elsevier, Amsterdam(198
3))。
摂取している食品には、栄養性、嗜好性に加え生体調節
機能があり、生体の恒常性に関与する物質が機能体とし
て存在している。そこで我々は上述のように生体の恒常
性維持に多面的に関与しているIFNに焦点を当て、IFNの
産生を増強する食品成分の検索を行うことをすでに試み
た。
的に摂取するものであるから食品中にIFNインデューサ
ーが含まれていれば、 IFNの生体内レベルが常に高い状
態で維持されることになり恒常性維持機構のバランスが
くずれてしまうことが予想され、 IFNの生体内レベルが
不必要に長期間上昇したままにしておくことは生体機能
の調節に必ずしもプラスに作用しないと考えられる。し
たがって食品中のIFN産生増強物質の探索はINFインデュ
ーサーを見い出すことではなく、それ自身には細胞のIF
N産生誘発能は無くウイルス等のインデューサーの侵入
によって細胞がIFN産生を開始した時にのみその産生を
増強する産生増強物質、すなわちそれ自身が単独で機能
を発現するものではなく生体の防御機能の発現を調節す
るような生物機能調節物質 (Biological response modi
fier;BRM)を検索することを試みたのである。
づいて、それ自身にはIFN誘発能はないが、インデュー
サーにより誘発されたIFNの産生を増強できる物質を探
索し、ある種の食品中の脂質成分が IFNの産生を増強し
うることを見出し現在特許出願中 (特願平4-130523号)
である。本発明者らはこれら食品中に含有されるIFN産
生増強物質をさらに詳しく検べた結果、予想外なことに
特定のスフィンゴミエリン、特に乳酸菌株GLK 28, 9お
よび5を用いて製造された発酵乳ケフィア (kefir)から
得られるスフィンゴミエリンがIFNの産生を高度に高め
ることができることを見出した。
エリンはIFNの産生を誘導された培養細胞におけるIFN産
生をも高めることが見出された。それゆえ本発明は式I
で表わされるスフィンゴミエリンを有効成分として含有
する、IFN産生増強用薬剤に関する。スフィンゴミエリ
ンは前記式IにおいてRCOが脂肪酸残基を表わす一群の
物質であり、脳組織のみならず広く臓器組織に存在する
ことが知られている。しかしスフィンゴミエリンがIFN
産生増強作用を有することは今まで知られていなかっ
た。
増強できる有効成分であるスフィンゴミエリンはコーカ
サス地方の発酵乳であるケフィア、またはその凍結乾燥
物中に存在する脂質であるスフィンゴミエリン、すなわ
ち式Iにおける構成脂肪酸残基の炭素数が16−24個のも
の、好ましくは炭素数22個を有するもの、なかでもベヘ
ン酸、11−ドコセン酸または20−メチルヘンエイコサン
酸の残基であるスフィンゴミエリンが特に好ましい。
しくは医薬上許容できる任意の適当な固体または液体付
形剤もしくは希釈剤と共に製剤上慣用の形態、例えば経
口投与および非経口投与用の粉末、錠剤、軟膏、クリー
ム、注射剤等の形態となし、ヒトまたは動物、および培
養細胞によるIFN産生の増強に使用するために提供され
る。
れる物質であれば特に限定されないが、でんぷん、ぶど
う糖などが特に好ましい。本発明による薬剤はIFN産生
増強を必要とする患者のみならず健常者も日常摂取でき
るので、生体の防御機構を潜在的かつ継続的に高めるこ
とができる。以下にスフィンゴミエリンのIFN産生増強
作用をIFN-βを例にとって説明するが本発明はそれに限
定されるものではない。 実験材料と実験方法 1. 試薬および動物 凍結乾燥発酵乳は日本ケフィアより供与されたものを用
いた。
タノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスフ
ァチジルセリン、ホスファチジン酸、コリン、ホスホリ
ルコリンおよびグリセロ燐酸は和光純薬社製を、カルジ
オリピン、オレイン酸、9−オクタデセン酸メチル、ネ
ルボン酸、ネルボン酸メチル、N−ネルボノイルセレブ
ロシドは Sigma社製を、その他の脂質はいずれもフナコ
シ社製のものを用い、10%エタノール/10mM 燐酸ナト
リウムバッファー (pH 7.0) に溶解して用いた。アクチ
ノマイシンD (AMD)、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸
(Poly(I)・Poly(C))は Sigma社製を、シクロヘキシイミ
ド (CHM)は和光純薬社製を用いた。そして Poly(I)・Po
ly(C) とCHMはリン酸緩衝溶液 (pH 7.4) で、 AMDはエ
タノールで各々1mg/mlの濃度に調製し用いた。
〜7週齢のBALB/c系雄性マウスを用いた。 2. 発酵乳ケフィアからの脂質の精製 凍結乾燥発酵乳ケフィアを10倍容のクロロホルム−メタ
ノール (2:1) 混液に懸濁し、4℃で24時間攪はんし
て全脂質を抽出した。そして5000rpm で10分間遠心し、
可溶画分と不溶画分とに分け、可溶画分を回収し減圧下
で濃縮した。回収された脂質をGalanos & Kapoulasの石
油エーテルエタノール分配法を用いておおまかに単純脂
質画分と複合脂質画分に分配した。次に以下の方法によ
りスフィンゴミエリン(SpM) とジアシルグリセロール
(DG) を抽出した。
分画し下層を回収した。回収された下層に1Nのメタノ
ール性NaOHを等量加え37℃で12時間攪はんした。この反
応液を1N酢酸で中和後、このクロロホルム−メタノー
ル混液に水を加え遠心して2層に分離した。この下層を
クロロホルム−メタノール−水 (3:48:47, V/V)混液
でよく洗ったのち減圧乾固した。次にクロロホルム−メ
タノール−1M アンモニア水 (65:25:4, V/V)の展開
溶媒を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC) により更に
分画し (プレート;Kiselgel 60(Merk社) 、発色試薬;
ヨウ素) 、Rf値0.25の箇所をかきとりクロロホルム−メ
タノール (2:1) 混液で4℃、一昼夜抽出を行った。
この抽出液に水を加えて2液層となし、この下層をクロ
ロホルム−メタノール−水 (3:48:47, V/V)混液でよ
く洗ったのちこの溶液を減圧乾固しスフィンゴミエリン
(SpM)を精製した。
ーテル−酢酸 (80:20:1) の展開溶媒を用いたTLCに
より分画し (プレート;Kiselgel 60(Merck社) 、発色
試薬;ヨウ素) 、Rf値0.10〜0.40の箇所をかきとりクロ
ロホルム−メタノール (2:1) 混液で4℃、一昼夜抽
出を行った。次に石油エーテル−ジエチルエーテル−酢
酸 (50:50:1)の展開溶媒を用いた TLCにより分画し
(プレート;Kiselgel 60(Merck社) 、発色試薬;ヨウ
素) 、Rf値0.57の箇所を各々かきとりクロロホルム−メ
タノール (2:1) 混液で4℃、一昼夜抽出を行った。
各々の抽出液に水を加えて2液層となし、各々の下層を
クロロホルム−メタノール−水 (3:48:47, V/V)混液
でよく洗ったのち溶液を減圧乾固し、DGを精製した。 3. 細胞、細胞培養およびIFN-βの誘導 検定細胞は、IFN-β産生細胞であるヒト骨肉腫細胞株
(Osteosarcoma) MG-63を用い、その細胞を37℃、5%CO
2 /95%空気の条件下、5%ウシ胎児血清(FCS) 添加イ
ーグル最小必須培地 (MEM) (日水製薬) 中で培養した。
IFN-βの産生誘導はTan (Y.H. Tan, J.A. Armstrong,
Y.H. Ke, and M. Ho: Proc. Natl.Acad.Sci., U.S.A.,
64, 464(1970))らの方法で行った。細胞を24ウェル培
養プレート(Falcon) に2×105 の細胞密度でまきこみ
(0.5ml/ウェル) 2日間培養した(これをプレインキュ
ベーションと称する) 。そして培地を Poly(I)・Poly
(C)1μg/ml、CHM 5μg/mlを含む2% FCS/MEM培地
(0.5ml) と交換した。37℃、4時間培養後AMD (終濃度
4μg/ml) を培地に添加し1時間培養を続けた (これを
誘導期と称する) 。培地を除去後、細胞をPBSで2回洗
浄し、2% FCS/MEM培地 (0.5ml) を添加して12時間培
養した (産生期) 。試料はプレインキュベーション期ま
たは誘導期に5%濃度で添加した。 4. インビボにおけるIFN-β産生増強効果 まずスフィンゴミエリンその他の脂質を5%アラビアゴ
ム (和光純薬社製) 水溶液に懸濁した。この懸濁液中に
生じた気泡は超音波発生装置にかけ除去した。
を用いて一日一回、1週間連続して0.2ml/10gの量を
経口投与した。スフィンゴミエリンその他の脂質投与を
開始して4日目にイバラキウイルス (107.0 ×TClD50/
ml) を0.3ml腹腔内に投与し感染させた。ウイルス感染
後3日間連続でマウス眼窩静脈から採血した。採血した
血液は3000r.p.m で10分間遠心し、得られた血しょうを
マウスIFN-β試料とした。 5. IFN-βの力価測定 A) ヒトIFN-βの測定 培養上清中のヒトIFN-β量は、エンザイム リンクト イ
ムノソルベント アッセイ(ELISA) 法(E.Engvall and P.
Perlmann :Immunochemistry, 8, 871(1917))により測
定した。96ウエルイムノプレートに固相抗体としてマウ
ス抗ヒト−IFN-βモノクローナル抗体 (ヤマサ醤油; 5
0mM 炭酸塩バッファー (pH 9.6) で2000倍希釈) を 100
μl ずつ分注し、4℃で一晩放置した。
BS (TPBS)で洗浄後、ブロッキング溶液のブロックエー
ス (大日本製薬;滅菌水で4倍希釈) 300μl を各ウエ
ルに加え、37℃で1時間保温した。次にTPBSでプレート
を洗浄後、IFN-βを含有する培養上清またはその希釈液
を各ウエルに50μl 加え、37℃で1時間反応させた。TP
BSでプレートを洗浄後、一次抗体としてラビット抗ヒト
−IFN-βポリクローナル抗体 (LEE社製;ブロックエー
スで2000倍希釈) を 100μl 加え、37℃で1時間反応さ
せた。TPBSでプレートを洗浄後、二次抗体としてマウス
抗ラビットIgGペルオキシダーゼ標識抗体 (BIO-RAD 社
製;ブロックエースで2000倍希釈) を100μl 加え、37
℃で1時間反応させた。TPBSでプレートを洗浄後、基質
として0.3mg/ml ABTS[2, 2'−アジノ−ビス (3−エ
チルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸) ジアンモニウ
ム塩 (和光018-10311)]-0.006% H2O2−0.2M クエン
酸緩衝液 (pH 4.0) を各ウエルに100μl 加え、37℃で2
0分間反応させた。反応停止液1.5%シュウ酸溶液を各
ウエルに 100μl 加え、ELISA READER (ラボサイエンス
社製;EAR-400) を用いて405-492nm でO.D.を測定し
た。 B) マウスIFN-βの測定 血中のマウスIFN-βの量もELISA法により測定した。採
血により得られたマウスの血しょうを適宜希釈し、96ウ
エルイムノプレートに直接50μl ずつ分注し、4℃で一
晩放置した。TPBSでプレートを洗浄後、ブロッキング溶
液 (0.2%ゼラチン (Bio-Rad社製) -PBS) 300μl を各
ウエルに加え、37℃で1時間保温した。プレートを洗浄
後、一次抗体としてラビット抗マウス−IFN-β抗体 (パ
ーゼル社製;ブロッキング溶液で1500倍希釈) 100μl
を加え、37℃で1時間反応させた。プレートを洗浄後、
二次抗体マウス抗ラビットIgGペルオキシダーゼ標識抗
体(BIO-RAD社製;ブロッキング溶液で3000倍希釈) を10
0μl 加え、37℃で1時間反応させた。プレートを洗浄
後、0.3mg/ml ABTS-0.006% H2O2−0.2M クエン酸緩
衝液 (pH 4.0) 基質溶液を各ウエルに 100μl 加え、37
℃で20分間反応させた。反応停止液1.5%シュウ酸溶液
を各ウエルに 100μl 加え、ELISA READER (ラボサイエ
ンス社製; EAR-400) を用いてO.D.を405-492nm で測定
した。
す。 1) 様々な脂質のIFN-β産生に及ぼす影響 表1は、様々な脂質で処理された細胞のIFN-β産生増強
効果を調べたものである。表から判るとおり、発酵乳中
のスフィンゴミエリンは骨肉腫細胞株MG-63 細胞による
IFN-β産生を無添加対照に比較して最高の14.0倍まで高
めた。
増強効果を示したSpMその他の添加時期の影響を調べた
ものである。醗酵乳由来のスフィンゴミエリンの効果が
最も高いことが判る。
よび発酵乳 (ケフィア) 由来のSpMとDGはいずれもプレ
インキュベーションおよび誘導期の両方に於いてIFN-β
の産生を増強した。更に、SpMはプレインキュベーショ
ンの際に処理した場合の活性と誘導期に処理した場合の
活性が卵黄および発酵乳由来のもの両方とも同程度であ
ったが、 LPCは誘導期に処理した方が約1.5倍、DGは卵
黄および発酵乳由来ともプレインキュベーションの際に
処理した方が約1.8倍高い効果が認められた。一方、 L
PIとスフィンゴシン (SpS)は誘導期に処理した場合にの
み活性が認められ、プレインキュベーションの際に処理
した場合には活性は現われなかった。
を調べたものである。LPCとLPIはいずれもIFN-β産生に
対し5〜15μg/mlの狭い濃度範囲で活性を示し、一番高
い活性を示す最適条件は12.5μg/mlの濃度で誘導期に処
理した場合であり、その時の活性はそれぞれ約3.2と2.
0倍の比活性を示した。 SpSは誘導期に処理した場合0.
2〜15μg/mlの濃度範囲で活性が認められ、最適濃度は
6μg/mlで、その条件下で約12倍の比活性が認められ
た。一方これら LPC、LPI、SpS は、いずれも15μg/ml
以上の濃度では効果が抑制され、20μg/ml以上ではIFN-
βの産生を阻害した。
のSpMは10〜50μg/mlで活性が認められ、一方発酵乳由
来の SpMは1.8〜100μg/mlの幅広い域値が観測され
た。更に、最適濃度は両方とも25μg/mlであるが発酵乳
由来の方が卵黄由来のSpMに比べて8.2倍もの高い比活
性 (卵黄由来:約1.7倍、発酵乳由来:約14倍) を示し
た。DGは卵黄および発酵乳由来の両方ともプレインキュ
ベーションの際、10〜20μg/mlの濃度範囲で添加した場
合約1.5倍以上の比活性がみとめられ、20μg/mlの時両
方とも約2.5倍の活性を示した。 SpMとDGも最適濃度以
上の添加濃度ではその効果は抑制されたが、 100μg/ml
までの濃度範囲ではLPC等に観測されたようなIFN-β産
生の阻害作用は認められなかった。 4) スフィンゴミエリンのインビボでの効果 インビトロで IFN産生増強活性を有した物質がインビボ
でも IFN増強活性を示すかどうかを知ることはその物質
の実用的な利用可能性を調べる上で重要である。そこで
スフィンゴミエリンがマウスを用いたインビボ系で同様
な効果を示すか調べた (表3、図2A, B) 。
U/mlであるが、イバラキウイルスを感染させて3日後に
は350 IU/ml と約2.3倍に増加した。これはイバラキウ
イルス感染に対する生体防御機構により、IFN-βの産生
が増加したものである。さらにSpMを経口投与しウイル
ス感染したマウスの血中IFN-β量は、感染後1日目は対
照のウイルス感染マウスと同程度であったが、2日目以
降は1.4mg/kg 投与の場合447(2日目) および483(3日
目) IU/ml のIFN-βを産生し、対照に比較して約1.4倍
(3日目) のIFN-βが産生された。DGを経口投与しウイ
ルス感染したマウスの血中IFN-β量は、感染後1日目は
対照のウイルス感染マウスと同程度であったが、2日目
以降は14mg/kg 投与の場合420(2日目) および478(3日
目) IU/ml のIFN-βを産生し、対照に比較して約1.4倍
(3日目) のIFN-βが産生された。また1.4mg/kg 投与
の場合でも同等の効果が認められた (426(2日目) およ
び470(3日目) IU/ml)。一方、 LPC (1.4mg/kg) もDGと
同様にウイルス感染後の2日目以降マウスの血中IFN-β
量を増大させた (402(2日目) 、440(3日目))。 ところでSpM、DGおよびLPCを投与しイバキラウイルスを
感染させていないマウスでも2日目の血中IFN-β量が、
対照に対し約1.2倍増大していた。
でなくインビボでのウイルス感染に伴うIFN-β生産を増
強させることを示している。 5) IFN-β産生増強に及ぼす乳酸菌の種類の影響 乳酸菌株 (GKL 1, 2, 5, 7, 9および28) の培養上
清を添加した場合のIFN-β産生増強効果を図3に示す。
乳酸菌株GLK 5, 9および28の培養上清に効果がみら
れ、特にGLK 28は原液添加時に高い効果を示した (約4.
1倍) 。
の培養上清を試験したがいずれもIFN-βの生産増強作用
は見られなかった (図示せず) 。またケフィア原液のIF
N-β産生増強能は1.8倍であった。 6) ケフィア由来のスフィンゴミエリン (SpM)の構成脂
肪酸 スフィンゴミエリンの構造解析はFAB MS (fast atom bo
mbardment mass spec-trum) により行った。得られたFA
B MS(+)ピークとFAB MS(-)ピーク及びMS/MSスペクトル
の解析によってケフィア由来のスフィンゴミエリンの構
成脂肪酸の炭素数が22 (メインピーク), 21, 23, 24 で
あると判明した。
果、炭素数22個を有する脂肪酸にはベヘン酸、11−ドコ
セン酸、13−ドコセン酸、13, 16−ドコサジエン酸、
5, 13−ドコサジエン酸、20−メチルヘンエイコサン酸
に加えトリ、テトラ、およびペンタエン酸の存在が認め
られた。リゾホスファチジルコリンにおける構成脂肪酸
の検討により、不飽和度の低い脂肪酸を構成脂肪酸に持
つものに活性が高く、アラキドン酸には活性が認められ
なかったことから、トリ、テトラ、ペンタおよびヘンサ
エン酸の可能性は低いと考えられる。
するケフィア由来スフィンゴミエリン中の構成脂肪酸は
主にベヘン酸 (式I中 R=CH3(CH2)20-)、11−ドコセン
酸 (式I中 R=CH3(CH2)9CH=CH(CH2)9- および20−メチ
ルヘンエイコサン酸 (式I中R=CH3CH(CH3)CH2(CH2)17-)
であると考えられる。
れる。今回発酵乳由来のスフィンゴミエリンが特に強い
IFN-β産生増強活性を有することが示された。そのイン
ターフェロン−β生産増強物質は、Poly(I)・Poly(C)の
作用がなければ効果を示さず、細胞がその核酸と相互作
用をした時にのみ細胞のインターフェロン生産を増強す
るもので、そのような相互作用がない通常の状態ではイ
ンターフェロン増強作用を示さない。すなわちそれ自身
にはIFN-β誘発能はなかった。この結果よりこの脂質は
単独でIFN-β誘導シグナルを誘起したり、産生されたIF
N-βの安定性を増強するのではなく、 Poly(I)・Poly
(C) に誘導されたIFN-βの転写、翻訳、分泌などの過程
に作用してIFN-βの産生量を増加させている可能性が示
唆される。
ち、それらの存在しない条件下でPoly(I)・Poly(C) 処
理してもIFN-β生産量が増加した。このことは細胞の状
態を、Poly(I)・Poly(C) の透過性を高めたり、IFN-β
の分泌を増強するようにあらかじめ変化させている可能
性を示している (表2) 。発酵乳由来の SpMが卵黄由来
のSpMに比べて約8倍高い活性を示した (図1−D、E)
。
きており、 SpMの代謝産物であるSpSは血小板の凝集と
分泌、好中球の呼吸バーストと分泌、前骨髄性白血病
(HL−60) 細胞の分化など、いくつかの細胞機能に対し
て作用を及ぼすことが明らかになっている (Hannun, Y.
A., Bell, R. H.:Science, 243, 500(1985))。ウイル
ス、微生物等の環境中の外来のインデューサーの生体へ
の侵襲に対し細胞はインターフェロンを誘発産生し非特
異的な防御機構を形成して対抗しようとしている。今回
示したスフィンゴミエリンを含む組成物特に発酵乳由来
スフィンゴミエリンはウイルス等の感染をIFN-β産生増
強により初期段階で防御できる可能性があり、この物質
は生物機能調節物質(Biological response modifier;BR
M)としてIFN-β増強活性を通しての生体防御に寄与する
と思われる。また医学領域での使用において、誘導期に
処理して高い効果を示すスフィンゴミエリンはドラッグ
・デリバリー・システムで用いられるリポソームとして
利用し、Poly(I)・Poly(C) を封入してIFN療法に用いる
ことができる。
1−20mgの量をインターフェロンの産生増強目的で投与
できる。スフィンゴミエリンは生体組織および食品中に
存在する化合物であるので通常の投与量では毒性は考え
られない。 製剤例 1 スフィンゴミエリン (ケフィア由来) 2000mg でんぷん 10.0g 上記成分をよく混ぜ合せ、硬質ゼラチンカプセル100個
中に120mgずつ封入することにより、1カプセル当りス
フィンゴミエリン20mgを含有する薬剤を得た。 製剤例 2 スフィンゴミエリン:ステアリルアミン: コレステロール (1:0.1:0.75) 5.0g 1−β−D−アラビノフラノシルシトシン 5.0g 製剤例1におけると同様にしてカプセル100個に分配し
た。
有する薬剤はヒトおよび動物、およびそれらの細胞にお
いてIFNの産生を増強させる薬剤として使用できる。
の脂質の濃度の作用を示す。 A…リゾホスファチジルコリン (卵黄) 、B…リゾホス
ファチジルイノシトール (卵黄) 、C…スフィンゴシ
ン、D…スフィンゴミエリン (卵黄) 、E…スフィンゴ
ミエリン (発酵乳) 、F…ジアシルグリセロール (卵
黄) 、G…ジアシルグリセロール (発酵乳) 、を示す。
IFNの産生に及ぼす醗酵乳由来のスフィンゴミエリンお
よび卵黄由来の脂質の作用を示す。値は一群6匹の平均
値を示す。 A…イバラキウイルス感染、7B…感染なし、を示す。 図中、●…DG 14mg/kg、○…DG 1.4mg/kg、▲…LPC 1.4
mg/kgおよび□…SpM 1.4mg/kgを示す。
乳酸菌の培養上清の作用を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 式I (式中 R-CO-は炭素数16−24を有する脂肪酸残基を表わ
す) で表わされるスフィンゴミエリンを有効成分として
含有する、インターフェロン産生増強用薬剤。 - 【請求項2】 式I中の脂肪酸残基の炭素数が22個であ
る、請求項1記載の薬剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP00401293A JP3519749B2 (ja) | 1993-01-13 | 1993-01-13 | Ifn産生増強用薬剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP00401293A JP3519749B2 (ja) | 1993-01-13 | 1993-01-13 | Ifn産生増強用薬剤 |
Publications (2)
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JP3519749B2 JP3519749B2 (ja) | 2004-04-19 |
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