JP2024059594A - プラズマローゲン含有組成物、プラズマローゲンの製造方法、プラズマローゲン合成促進用培地、抗炎症剤、抗炎症用経口組成物、認知機能改善剤、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制剤及び神経細胞死抑制用経口組成物 - Google Patents

プラズマローゲン含有組成物、プラズマローゲンの製造方法、プラズマローゲン合成促進用培地、抗炎症剤、抗炎症用経口組成物、認知機能改善剤、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制剤及び神経細胞死抑制用経口組成物 Download PDF

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Takehiko Fujino
志郎 馬渡
Shiro Mawatari
紗明 庭瀬
Shamim NIWASE
雅則 本庄
Masanori Honjo
啓一郎 今泉
Keiichiro Imaizumi
保典 中山
Yasunori Nakayama
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Abstract

【課題】ビフィドバクテリウム属に属する菌を用いて効率よく得ることができるプラズマローゲン含有組成物を提供する。【解決手段】プラズマローゲン含有組成物は、ビフィドバクテリウム属に属する菌の菌体又はその処理物を含む。菌は、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマローゲン含有組成物、プラズマローゲンの製造方法、プラズマローゲン合成促進用培地、抗炎症剤、抗炎症用経口組成物、認知機能改善剤、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制剤及び神経細胞死抑制用経口組成物に関する。
プラズマローゲンは、抗酸化作用を有するリン脂質の一種で、グリセロリン脂質の一つである。プラズマローゲンは哺乳動物の全ての組織に存在し、人体のリン脂質の約18%を占める。プラズマローゲンの多くは、ドコサヘキサエン酸及びアラキドン酸等の多価不飽和脂肪酸と結合しているため、多価不飽和脂肪酸の貯蔵、及びこれら多価不飽和脂肪酸から産生されるプロスタグランジン及びロイコトリエン等の細胞間シグナルの2次メッセンジャーの放出等に関与する。さらにプラズマローゲンは、細胞融合及びイオン移送等に関与している。プラズマローゲンのビニルエーテル結合(アルケニル結合)が特に酸化ストレスに敏感であるため、プラズマローゲンは細胞の抗酸化機能も果たしている。
プラズマローゲンは神経新生の促進作用、リポポリサッカロイド(LPS)による神経炎症の抑制作用、及び脳内アミロイドβ(Aβ)タンパクの蓄積の抑制作用等を有することが知られている。例えば、特許文献1には、プラズマローゲンを含む抗中枢神経系炎症剤が開示されている。
プラズマローゲンは、認知症、パーキンソン病、うつ病及び統合失調症等の脳神経病の他、糖尿病、メタボリックシンドローム、虚血性心疾患、感染症及び免疫異常において減少していることが知られている。減少しているプラズマローゲンを外的に補充することにより、それら疾患の予防及び改善効果が期待できると考えられる。したがって、今後、疾患の予防及び治療、あるいは健康維持のためにプラズマローゲンの需要が高まることが予想される。
プラズマローゲンは、非脊椎動物及び脊椎動物には広く存在しているが、真菌及び植物細胞では確認されていない。細菌では、例えば、特許文献2に開示されたビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等のいくつかの偏性嫌気性菌によるプラズマローゲンの合成が報告されている。
国際公開第2012/039472号 国際公開第2021/024872号
細菌によってプラズマローゲンを生合成できれば、細菌の培養によって効率よくプラズマローゲンを得ることができる。プラズマローゲンを合成可能な細菌は十分に探索されていないうえ、細菌によって合成されるプラズマローゲンの機能についても不明な点が多い。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ビフィドバクテリウム属に属する菌を用いて効率よく得ることができるプラズマローゲン含有組成物を提供することを目的とする。本発明は、ビフィドバクテリウム属に属する菌を用いてプラズマローゲンを効率よく得ることができるプラズマローゲンの製造方法及びプラズマローゲン合成促進用培地を提供することを目的とする。また、本発明は、ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを有効成分とする抗炎症剤、抗炎症用経口組成物、認知機能改善剤、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制剤及び神経細胞死抑制用経口組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、ビフィドバクテリウム属に属する菌をスクリーニングすることで、特定のビフィドバクテリウム属に属する菌がプラズマローゲンを合成することを見いだし、本発明を完成させた。
本発明の第1の観点に係るプラズマローゲン含有組成物は、
ビフィドバクテリウム属に属する菌の菌体又はその処理物を含み、
前記菌は、
ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。
本発明の第2の観点に係るプラズマローゲンの製造方法は、
ビフィドバクテリウム属に属する菌を培養する培養ステップと、
前記菌の菌体からプラズマローゲンを得る取得ステップと、
を含み、
前記菌は、
ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される。
前記培養ステップでは、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む培地で、前記菌を培養する、
こととしてもよい。
本発明の第3の観点に係るプラズマローゲン合成促進用培地は、
硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含み、
ビフィドバクテリウム属に属する菌の培養に使用される。
本発明の第4の観点に係るプラズマローゲンの製造方法は、
硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む培地で、ビフィドバクテリウム属に属する菌を培養する培養ステップと、
前記菌の菌体からプラズマローゲンを得る取得ステップと、
を含む。
本発明の第5の観点に係る抗炎症剤又は抗炎症用経口組成物は、
ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを含む。
本発明の第6の観点に係る認知機能改善剤又は認知機能改善用経口組成物は、
ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを含む。
本発明の第7の観点に係る神経細胞死抑制剤又は神経細胞死抑制用経口組成物は、
ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを含む。
本発明に係るプラズマローゲン含有組成物は、ビフィドバクテリウム属に属する菌を用いて効率よく得ることができる。本発明に係るプラズマローゲンの製造方法及びプラズマローゲン合成促進用培地によれば、ビフィドバクテリウム属に属する菌を用いてプラズマローゲンを効率よく得ることができる。また、本発明によれば、ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを有効成分とする抗炎症剤、抗炎症用経口組成物、認知機能改善剤、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制剤及び神経細胞死抑制用経口組成物が提供される。
実施例1においてビフィドバクテリウム属に属する菌(ビフィズス菌)から抽出した総脂質に係るクロマトグラムを示す図である。 実施例1においてビフィズス菌から抽出し、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン-塩酸塩(DNPH-HCl)処理した総脂質に係るクロマトグラムを示す図である。 実施例1においてビフィズス菌から抽出したアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.1275T及び7002)から抽出した総脂質及びDNPH-HCl処理した総脂質に係るクロマトグラム及びアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.1273及び11342)から抽出した総脂質及びDNPH-HCl処理した総脂質に係るクロマトグラム及びアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.7139)から抽出した総脂質及びDNPH-HCl処理した総脂質に係るクロマトグラム及びアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.1275T)から抽出したアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.7002)から抽出したアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.1273)から抽出したアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.11342)から抽出したアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例2においてビフィズス菌(JCM No.7139)から抽出したアルデヒドに係るクロマトグラムを示す図である。 実施例3においてビフィズス菌(JCM No.11342)から抽出した総脂質(A)、ホスホリパーゼA1(PLA1)処理後のサンプル(B)及びDNPH-HCl処理後のサンプル(C)に係るクロマトグラムを示す図である。 試験例1に係るIL-1βの発現量を示す図である。 試験例1に係る核内のp65タンパク質の相対量を示す図である。 試験例2に係る細胞内の総プラズマローゲン量を示す図である。 試験例3に係る培地中のIL-1βの濃度を示す図である。 試験例3に係る培地中のTNF-αの濃度を示す図である。 試験例3に係るNF-κBの相対的な活性を示す図である。 (A)、(B)、(C)、(D)及び(E)はそれぞれ試験例4に係る培地中のIL-1β、TNF-α、IL-10、MCP-1及びIL-6の濃度を示す図である。 試験例5に係るリン酸化ERK(pERK)の相対発現量を示す図である。 試験例5に係るTUNEL陽性細胞の割合を示す図である。 (A)及び(B)はそれぞれ試験例6に係るERKに対するpERKの相対的な発現量及びAKT1に対するリン酸化AKT1(pAKT1)の相対的な発現量を示す図である。
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。なお、下記の実施の形態において、“有する”、“含む”又は“含有する”といった表現は、“からなる”又は“から構成される”という意味も包含する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るプラズマローゲン含有組成物は、ビフィズス菌の菌体又はその処理物を含む。ビフィズス菌の種としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)等が挙げられる。これらの種に属する亜種も本実施の形態に係るビフィズス菌に包含され、例えば、亜種としては、Bifidobacterium longum subsp. infantis、Bifidobacterium longum subsp. longum及びBifidobacterium longum subsp. suis等が挙げられる。以下では“Bifidobacterium”を“B.”と称することがある。
好ましくは、ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム及びビフィドバクテリウム・ブレーベからなる群から選択される。
菌体は、培養後の培養液の遠心分離による沈殿として得ることができる。菌体の処理物は、例えば、凍結乾燥させた菌体、アセトンで乾燥させた菌体、菌体に対して溶媒抽出処理を施した抽出物及び菌体又は乾燥菌体を超音波等で破砕した破砕物等、菌体に何らかの処理を加えて得られる菌体、菌体由来の、又は菌体の一部を含む組成物である。溶媒抽出に用いる溶媒としては、水、有機溶媒及びこれらの混合物を用いることができる。有機溶媒としては、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合溶液等が例示される。抽出溶媒を用いて抽出された抽出物は、液状のまま、又は濃縮若しくは希釈して、液状、ゲル状あるいはペースト状の形態で用いることができる。さらに、これを乾燥した乾燥物として用いることができる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥及び流動乾燥等の公知の方法で行うことができる。
下記実施例に示すように、上記ビフィズス菌はプラズマローゲンを合成する。このため、上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物はプラズマローゲンを含む。プラズマローゲンは、グリセロール骨格のsn-1位にビニルエーテル結合を有し、sn-2位にエステル結合を有することで特徴づけられるグリセロリン脂質に特有のサブクラスに属する。本実施の形態におけるプラズマローゲンは、一般にプラズマローゲンに分類されるグリセロリン脂質であれば特に制限されない。プラズマローゲンとして、例えば、エタノールアミン型プラズマローゲン(Pls)、コリン型プラズマローゲン(PlsCho)、イノシトール型プラズマローゲン及びセリン型プラズマローゲン等を挙げることができる。なお、Plsはグリセロール骨格のsn-3位におけるリンに結合する酸素原子に-CHCHNHが結合した構造を有する。PlsChoはグリセロール骨格のsn-3位におけるリンに結合する酸素原子に-CHCHN(CHが結合した構造を有する。
本実施の形態に係るビフィズス菌は、公知の条件で培養することでプラズマローゲンを合成する。ビフィズス菌は、至適温度又は至適温度付近で培養されるのが好ましく、培養温度は、例えば、27~45℃、30~42℃又は35~40℃である。好適には、培養温度は37℃である。ビフィズス菌は、液体培地でも寒天培地でも培養可能である。好ましくは、ビフィズス菌は嫌気条件下で静置培養される。
本実施の形態に係るビフィズス菌は、下記実施例に示すように、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む培地で培養された場合に、これらを含まない培地で培養された場合よりもプラズマローゲンを効率よく合成する。したがって、好適には、本実施の形態に係るビフィズス菌は、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む培地で培養される。
本実施の形態に係るプラズマローゲン含有組成物は、生体におけるプラズマローゲンを外的に補充するのに有用である。例えば、プラズマローゲン含有組成物は、プラズマローゲンが減少している疾患の治療薬及び予防薬として使用される。当該疾患としては、例えば、炎症性疾患、中枢神経系炎症疾患、認知症、パーキンソン病、うつ病、統合失調症、糖尿病、メタボリックシンドローム、虚血性心疾患、感染症及び免疫異常等が挙げられる。
プラズマローゲン含有組成物は、プラズマローゲンを含有する上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物以外の成分、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等を含んでもよい。また、プラズマローゲン含有組成物は、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤及び甘味剤等の添加物を含んでもよい。
賦形剤は、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース及び軽質無水ケイ酸等である。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク及びコロイドシリカ等である。結合剤は、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン等である。崩壊剤は、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム及びカルボキシメチルスターチナトリウム等である。
溶剤は、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール及びマクロゴール等である。溶解補助剤は、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム等である。懸濁化剤は、界面活性剤及び親水性高分子等であって、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等である。
等張化剤は、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン及びD-マンニトール等である。緩衝剤は、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びクエン酸塩の緩衝液等である。無痛化剤は、例えば、ベンジルアルコール等である。防腐剤は、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸及びソルビン酸等である。抗酸化剤は、例えば、亜硫酸塩及びアスコルビン酸等である。
本実施の形態に係るプラズマローゲン含有組成物は、プラズマローゲンを合成するビフィズス菌の菌体又はその処理物を含む。ビフィズス菌は大量培養が可能であるため、プラズマローゲン含有組成物を効率よく製造することができる。
下記実施例に示すように、上記ビフィズス菌によって合成されたプラズマローゲンは、炎症性サイトカインの分泌を抑制する。よって、別の実施の形態では、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンを含む抗炎症剤が提供される。ビフィズス菌由来のプラズマローゲンは、上記ビフィズス菌が含有するプラズマローゲンであって、上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物であってもよいし、上記ビフィズス菌から単離又は精製したプラズマローゲンであってもよい。一態様では、上記プラズマローゲン含有組成物が抗炎症剤として使用される。
また、下記実施例に示すように、上記ビフィズス菌によって合成されたプラズマローゲンは、神経細胞を活性化させる。よって、別の実施の形態では、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンを含む認知機能改善剤が提供される。一態様では、上記プラズマローゲン含有組成物が認知機能改善剤として使用される。
さらに、下記実施例に示すように、上記ビフィズス菌によって合成されたプラズマローゲンは、神経細胞のアポトーシスを抑制する。よって、別の実施の形態では、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンを含む神経細胞死抑制剤が提供される。一態様では、上記プラズマローゲン含有組成物が神経細胞死抑制剤として使用される。
下記実施例に示すように、上記ビフィズス菌によって合成されたプラズマローゲンは、細胞内のプラズマローゲン量を増加させる機能を有する。そこで、別の実施の形態では、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンを含むプラズマローゲン合成促進剤が提供される。
抗炎症剤、認知機能改善剤、神経細胞死抑制剤及びプラズマローゲン合成促進剤(以下、これらを総称する場合に“抗炎症剤等”とする)は、既知の方法で製造され、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンを有効成分として含む。抗炎症剤等は、例えば、有効成分として0.1~99重量%、1~50重量%、好ましくは1~20重量%のプラズマローゲンを含む。
抗炎症剤等の投与対象は、ヒト及びヒト以外の動物である。動物としては、好ましくは哺乳類で、より具体的には、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ及びシカ等があげられる。抗炎症剤等の投与量は、患者の性別、年齢、体重及び症状等によって適宜決定される。抗炎症剤等は、プラズマローゲンが治療上有効量となるように投与される。有効量とは、所望の結果を得るために必要な量であり、治療又は処置する状態の進行の遅延、阻害、予防、逆転又は治癒をもたらすのに必要な量である。抗炎症剤等の投与量は、典型的には、0.01~1000mg/kg、好ましくは0.1~200mg/kg、より好ましくは0.2~20mg/kgであり、1日に1回、又はそれ以上に分割して投与することができる。抗炎症剤は、毎日、隔日、1週間に1回、隔週及び1ヶ月に1回等の様々な投与頻度で投与されてもよい。なお、必要に応じて、抗炎症剤等は、上記の範囲外の量で使用されてもよい。
抗炎症剤等の投与方法は、特に限定されないが、注射、経鼻、経皮、経肺及び経口等で投与される。投与方法としては、経口投与が特に好ましい。
別の実施の形態では、上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物を含む、プラズマローゲンが減少している疾患の治療用経口組成物、特には、抗炎症用経口組成物、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制用経口組成物及びプラズマローゲン合成促進用経口組成物(以下、これらを総称する場合に単に“経口組成物”とする)が提供される。経口組成物としては、具体的には、サプリメント、食品組成物、飲食品、機能性食品及び食品添加剤が挙げられる。なお、上述の抗炎症剤等がサプリメントとして使用されてもよいし、飲食品及び機能性食品に添加されてもよい。
サプリメントの形態は、特に制限されず、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、糖衣錠、フィルム剤、トローチ剤、チュアブル剤、溶液、乳濁液及び懸濁液等の任意の形態でよい。サプリメントは、サプリメントとして通常使用される任意の成分を含んでもよい。
“機能性食品”とは、健康の維持の目的で摂取する食品又は飲料を意味し、保健機能食品である特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、健康食品及び栄養補助食品等を含む。機能性食品としては、保健機能食品である特定保健用食品又は栄養機能食品が好ましい。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、甘味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤及び香料等を経口組成物に添加してもよい。
機能性食品は、食品であっても飲料であってもよく、経口で摂取できれば特に限定されない。機能性食品の態様としては、例えば、飲料、菓子、穀類加工品、練り製品、乳製品、調味料等が挙げられる。飲料として、栄養ドリンク、清涼飲料水、紅茶、緑茶等が例示される。菓子として、キャンデー、クッキー、錠菓、チューインガム、ゼリー等が例示される。穀類加工品麺として、パン、米飯、ビスケット等が例示される。練り製品として、ソーセージ、ハム、かまぼこ等が挙げられる。乳製品として、バター、ヨーグルト等が挙げられる。
経口組成物は、食品添加剤として食品に添加されてもよい。この場合、当該食品添加剤は、食品に添加しやすいように、ペースト剤、ゲル状剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤等であってもよい。
本実施の形態に係る経口組成物は、抗炎症、認知機能改善、神経細胞死抑制又はプラズマローゲン合成促進に係る有効性を維持する範囲で、水、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー、機能性成分、食品添加物等を含有してもよい。経口組成物は、必要に応じて上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
経口組成物は、1日の摂取量が上述の摂取量となるように1個又は複数個の容器に分けて収容されてもよく、この場合、好ましくは1個の容器に1日分の経口組成物が収容される。
上記の経口組成物は、上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物を含有し、抗炎症、認知機能改善、神経細胞死抑制又はプラズマローゲン合成促進に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができる態様で提供される。例えば、経口組成物に係る製品の包装、説明書及び宣伝物の少なくとも1つに、抗炎症、認知機能改善、神経細胞死抑制又はプラズマローゲン合成促進の効果がある旨が表示される。
経口組成物が飲食品組成物として提供される場合、抗炎症、認知機能改善、神経細胞死抑制、プラズマローゲン合成促進等の用途(保健用途を含む)が表示された飲食品として提供又は販売されてもよい。“表示”行為には、需要者に対して上記の用途を知らせるためのすべての行為が含まれる。上記の用途を想起又は類推させ得るような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物、媒体等の如何に拘わらず、すべて“表示”行為に該当する。
“表示”は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
“表示”には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示が挙げられる。この中でも特に、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造又は機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例として挙げられる。
本実施の形態における別の側面では、抗炎症剤、認知機能改善剤、神経細胞死抑制剤、プラズマローゲン合成促進剤、抗炎症用経口組成物、認知機能改善用経口組成物、神経細胞死抑制用経口組成物又はプラズマローゲン合成促進用経口組成物の製造のための上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物の使用が提供される。また、本実施の形態における別の側面では、上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物を対象に投与するステップを含む、炎症抑制方法、認知機能改善方法、神経細胞死抑制方法又はプラズマローゲン合成促進方法が提供される。また、本実施の形態における別の側面では、抗炎症、認知機能改善、神経細胞死抑制又はプラズマローゲン合成促進における使用のための上記ビフィズス菌の菌体又はその処理物が提供される。
(実施の形態2)
本実施の形態に係るプラズマローゲンの製造方法は、培養ステップと、取得ステップと、を含む。培養ステップでは、上述のように、上記ビフィズス菌を培養する。取得ステップでは、当該ビフィズス菌の菌体からプラズマローゲンを得る。取得ステップでは、上記のように溶媒抽出及び超音波等を介した破砕等で菌体を処理することでプラズマローゲンを得ることができる。取得ステップで得たプラズマローゲンを、公知の方法で精製、あるいはプラズマローゲンを単離してもよいし、精製したプラズマローゲンを濃縮してもよい。
本実施の形態に係るプラズマローゲンの製造方法によれば、大量培養が可能なビフィズス菌の菌体からプラズマローゲンが得られる。このため、効率よくビフィズス菌由来のプラズマローゲンを得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係るプラズマローゲン合成促進用培地は、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む。当該プラズマローゲン合成促進用培地は、ビフィズス菌の培養に使用される。プラズマローゲン合成促進用培地は、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖の他に、ビフィズス菌の培養に使用される培地成分、例えば、ペプトン、酵母エキス、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素カリウム、L-システイン塩酸塩(1水和物)、カゼインペプトン、トリプシン消化物、牛肉エキス、グルコース、KHPO、界面活性剤及び水等を含有してもよい。
本実施の形態に係るプラズマローゲン合成促進用培地でビフィズス菌を培養することで、ビフィズス菌にプラズマローゲンを効率よく合成させることができる。このため、当該プラズマローゲン合成促進用培地は、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンの製造に有用である。
なお、プラズマローゲン合成促進用培地は、液体培地としても寒天培地としても使用できる。また、別の実施の形態では、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種を含むビフィズス菌培養培地添加剤が提供される。他の実施の形態では、それぞれ別個に格納された、硫酸アンモニアと、硫酸マグネシウムと、プロピオン酸ナトリウムと、ガラクトオリゴ糖と、を備えるビフィズス菌培養培地調製キットが提供される。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの検出
[ビフィズス菌の培養]
表1に示す44種類のビフィズス菌がプラズマローゲンを合成するか否かを検討した。いずれのビフィズス菌も国立研究開発法人理化学研究所バイオリソース研究センター(RIKEN BRC)微生物材料開発室から取得した。
表1に示すビフィズス菌を、AnaeroPack-Anaero(三菱ガス化学社製)を用いて嫌気的条件下、37℃で2日間培養した。各ビフィズス菌の培養には、表1に示す液体培地1~3を使用した。液体培地1は表2に組成を示すGAM broth(日水製薬社製)である。液体培地2は表3に組成を示すBIFIDOBACTERIUM MEDIUMである。液体培地3は表4に組成を示すBRAIN HEART INFUSIONである。培養後、3000rpmで10分間遠心分離し、上清(液体培地)を取り除いた。生理食塩水を5mL加え混和し、3000rpmで10分間遠心分離し、上清を取り除いた。生理食塩水での洗浄と上清の除去を再度行い、冷凍保存した。
[菌体からの総脂質抽出]
解凍した菌体500mgをガラスのロング試験管に移し、1mLの超純水を加え混和した。クロロホルム/メタノール(1:2、v/v)溶液を3.75mL加え混和した。10分間の超音波で抽出し、混和後、室温で30分間静置した。クロロホルムを1.25mL加え混和し、超純水を1.25mL加え混和した。室温にて3000rpmで5分間遠心し、下層を別のスピッチグラスに移した。残った上層にクロロホルムを2mL加え混和し、室温にて3000rpmで5分間遠心し、得られた下層をスピッチグラス内の下層と合わせた。下層を窒素ガスで乾固し、ヘキサン/イソプロパノール(3:2、v/v)溶液4mLに溶解した。得られた溶液200μLをフィルターろ過し、ろ液を脚付きガラスインサートに入れた。得られた総脂質を含むサンプル10μLを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に注入し、蒸発光散乱器(ELSD)で検出した。
総脂質を検出するためのHPLCに使用したカラムは、Lichrosphere DIOL(250×3mm、5μm、メルク社製)である。移動相Aが0.08%トリエチルアミンを含むヘキサン/イソプロパノール/酢酸(82:17:1、v/v/v)で、移動相Bが0.08%トリエチルアミンを含むイソプロパノール/水/酢酸(85:14:1、、v/v/v)である。流量0.8mL/分、カラム温度50℃とし、HPLCを表5に示すグラジエントで行った。
ELSDの条件は次の通りである。
エバポレータ温度:60℃
ネブライザー温度:30℃
窒素ガス流量:1.00 SLM
[酸加水分解処理]
酸加水分解のためのDNPH-HCl処理で総脂質に含まれるプラズマローゲンのビニルエーテル結合が切断され、ビニルエーテル結合を介して結合していた炭化水素鎖がアルデヒドとなる。DNPH-HCl処理によって、ビフィズス菌から抽出した総脂質から次のようにプラズマローゲンを検出した。
上述のように菌体から抽出した総脂質160μLをスピッツに取り、窒素ガスで乾固した。DNPH-HCl溶液(Sigma社製)を0.5mL加え混和し、超音波を用いて分散させた。30分間室温に置き、超純水0.5mLとクロロホルム/メタノール(1:2、v/v)1.9mLとを加え混和した。10分間室温に置き、クロロホルム0.625mLを加え混和し、超純水0.625mLを加え混和した。室温にて3000rpmで5分間遠心し、下層を別のスピッツに移した。下層を窒素ガスで乾固し、 ヘキサン/イソプロパノール(3:2、v/v)溶液160μLに溶解した。フィルターろ過し、脚付きガラスインサートに入れた。得られたサンプル20μLを、上記のHPLCに注入しELSDで検出した。また、サンプル10μLを上記のHPLCに注入し、ダイオードアレイ検出器(DAD)によって波長356nmの紫外線(UV)で検出した。
標準として使用したアルデヒド標準溶液について以下のように調製した。テトラデカノール(C1428O、東京化成工業社製、T2696)、ヘキサデカノール(C1632O、東京化成工業社製、H1296)、ヘプタデカノール(C1734O、東京化成工業社製、H1295)及びオクタデカノール(C1836O、東京化成工業社製、O0368)を別々のスピッツに取り、アセトニトリルで1mg/mLとした。調製した1mg/mLの溶液200μLを別々のスピッツに取り、窒素ガスで乾固し、DNPH-HCl溶液を0.5mL加えて混和した。超音波で分散させ、サンプルを30分間室温に置いた。超純水0.5mLとクロロホルム/メタノール(1:2、v/v)1.9mLとをサンプルに加え混和した。室温に10分間置き、クロロホルム0.625mLを加え混和した。サンプルに超純水0.625mL加え混和した。サンプルを5分間、室温で遠心(3000rpm)した。下層を別のスピッツに移し、窒素ガスで乾固し、これをアセトニトリル2mLに溶解してストックアルデヒド標準液として-30℃で保管した。
4種のアルデヒドを混合した混合アルデヒド標準溶液を調製するために、4種類のストックアルデヒド標準液を各30μLずつ取り混和した。得られた混合アルデヒド標準溶液を0.45μmフィルターで濾過し、10μLをHPLCに注入し、DADによって波長356nmのUVで検出した。
アルデヒドを検出するためのHPLCに使用したカラムはXBridge BEA C18(3.0×150、2.5μm、Waters社製)である。移動相Aがアセトニトリルで、移動相Bが水である。流量0.3mL/分、カラム温度40℃とし、HPLCを表6に示すグラジエントで行った。
(結果)
ビフィズス菌44種の内、JCM No.7117、7124、1253、11658(いずれもB. animalis subsp. animalis)及び1255T(B. bifidum)を除く39種においてプラズマローゲンが検出された。プラズマローゲンが検出されたビフィズス菌の代表として、JCM No.1275T(B. adolescentis)、7002(B. bifidum)、1273(B. breve)、11342(B. longum subsp. longum)及び7139(B. longum subsp. suis)の総脂質、DNPH-HCl処理した総脂質及びアルデヒドに係るクロマトグラムを、それぞれ図1、図2及び図3に示す。なお、図1におけるPA、PG、PE、PC、PS、LysoPE及びLysoPCは、それぞれホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、分解ホスファチジルエタノールアミン及び分解ホスファチジルコリンを意味する。
実施例2:ビフィズス菌の培養条件の検討
[ビフィズス菌の培養]
JCM No.1275T、7002、1273、11342及び7139を用いて、プラズマローゲンの合成効率を指標に培養培地を検討した。使用した培養培地は、表7に組成を示す市販のTOSプロピオン酸寒天培地(ヤクルト社製)、表7に示す組成に従って調製したTOSプロピオン酸寒天培地及び表7に示す組成から寒天を除いて調製したTOSプロピオン酸液体培地である。なお、TOSプロピオン酸寒天培地及びTOSプロピオン酸液体培地の調製において表7に示す試薬以外として汎用品を使用した。
各培地を使用して、実施例1と同様にビフィズス菌を培養し、総脂質、DNPH-HCl処理した総脂質及びアルデヒドを検出した。
(結果)
図4は、1275T及び7002に関して、総脂質及びDNPH-HCl処理した総脂質に係るクロマトグラムを示す。矢印は、DNPH-HCl処理で減少又は消失したピークを示す。同様に、1273及び11342に関して、総脂質及びDNPH-HCl処理した総脂質に係るクロマトグラムを図5に示す。図6は7139に関して、総脂質及びDNPH-HCl処理した総脂質に係るクロマトグラムを示す。
1275T、7002、1273、11342及び7139に関して、アルデヒドに係るクロマトグラムを、それぞれ図7、図8、図9、図10及び図11に示す。図7~図11における矢印は、液体培地1又は2と比較してプロピオン酸ナトリウムを含む培地で増加したアルデヒドのピークを示す。液体培地1又は2とプロピオン酸ナトリウムを含む培地との組成を比較して、少なくとも硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム(7水和物)、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖が培地に含まれることでプラズマローゲンの生成量が増加することが示唆された。
実施例3:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの調製
[ビフィズス菌の培養]
JCM No.11342(B. longum subsp. longum)を、調製したTOSプロピオン酸液体培地を用いて次のように培養した。
50mLチューブにTOSプロピオン酸液体培地30mLを分注し、ビフィズス菌サンプルを白金耳で掻き取り、培地内に加えた。AnaeroPack-Anaero(三菱ガス化学社製)を用いて嫌気的条件下、37℃で24~48時間培養した。得られた培養液約7mLを、別途調製したTOSプロピオン酸液体培地約400~450mLを入れた500mLのフラスコに、軽くミキシングして添加しミキシングした。さらに、AnaeroPack-Anaero(三菱ガス化学社製)を使用し、嫌気性条件下、37℃で約72時間培養した。
得られた培養液を遠心し(2400~3500rpm、15分間)、上清を除去し、残ったペレットにsaline 10~15mLを添加し撹拌した。この遠心からsalineを添加して撹拌する操作を再度繰り返し、遠心し、上清を除去し、-80℃で保存した。
[PLA1による加水分解処理]
PLA1はグリセロリン脂質のsn-1位のアシル結合を加水分解するが、リン脂質のアルケニル及びアルキル結合には作用しない。一方、グリセロリン脂質のアルケニル結合(ビニルエーテル結合)のみが酸加水分解を受けやすい。したがって、PLA1による加水分解と酸加水分解との組み合わせによって、アルキルアシル及びアルケニルアシルリン脂質を含むグリセロリン脂質のサブクラスを同定することが可能である。
上記実施例1における菌体からの総脂質抽出と同様に、凍結した菌体500mgから得られた総脂質を含むサンプルを窒素ガスで乾固した。サンプルにPLA1液を640μL加え混和した。なお、PLA1A液は、Phospholipase A1(Sigma社製)と0.1Mクエン酸バッファー(HCl pH4.5)とを1:1(v/v)で使用直前に混合することで調製した。サンプルを超音波で分散させ、45℃で1時間反応させた。反応後、氷水に浸けて反応を停止させ、ヘキサン/イソプロパノール(3:2、v/v)溶液3.2mLを加え混和した。5分間超音波で抽出し、NaSOを1.6mL加え混和した。室温にて3000rpmで5分間遠心し、上層1.6mLを別のスピッツに移した。サンプルにヘキサン/イソプロパノール(7:2、v/v)溶液1.6mLを加え混和した。室温にて、3000rpmで5分間遠心し、上層を取り、別のスピッツに移しておいた上層と合わせた。上層を窒素ガスで乾固し、ヘキサン/イソプロパノール(3:2、v/v)溶液1.5mLに溶解した。得られた溶液200μLフィルターろ過し、ろ液を脚付きガラスインサートに入れた。得られたエーテルリン脂質15μLを上述の総脂質の検出に用いた条件のHPLC-ELSD法に供した。
さらに、PLA1による加水分解処理で得られたエーテルリン脂質を、上述のようにDNPH-HCl処理したサンプルを、上述の総脂質の検出に用いた条件のHPLC-ELSD法に供した。
11342について、総脂質、PLA1処理後のサンプル及びDNPH-HCl処理後のサンプルのHPLC-ELSD法で得られたクロマトグラムを、それぞれ図12(A)、(B)及び(C)に示す。プラズマローゲン以外のグリセロリン脂質のsn-1位のアシル結合をPLA1処理で加水分解した後、さらにDNPH-HCl処理によってグリセロリン脂質のビニルエーテル結合が酸加水分解されるため、PLA1処理後のサンプルのクロマトグラムにおいて、DNPH-HCl処理によって減少しているピークの区間(A-A’)がプラズマローゲンである。したがって、区間A-A’をHPLCで分取し、濃縮したサンプルは、ビフィズス菌由来のプラズマローゲンを含有する。
[ビフィズス菌のプラズマローゲンの調製]
エーテルリン脂質を、上述の総脂質の検出に用いた条件のHPLC-ELSD法に供し、接続したフラクションコレクターを介して区間A-A’を分取した。分取した溶液をナシフラスコに移してエバポレータで濃縮した。酢酸除去のためイソプロパノールを加えて超音波で溶解し、エバポレータで濃縮した。イソプロパノールを加える濃縮操作を3回繰り返し、濃縮物を窒素ガスで封入して-30℃で保管した。
濃縮物の重量を測定し、ヘキサン/イソプロパノール(3:2、v/v)溶液で1mg/mLになるように溶解した。サンプル1mLをチューブに移して窒素ガスで乾固した。超純水1mLで分散させ、-30℃で保管した。
抽出された11342由来のプラズマローゲン(Bifi-Pls)の機能を以下の試験で評価した。
試験例1:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの抗炎症作用の検討
ミクログリア細胞(MG6細胞)を、2%ウシ胎児血清(FBS)(HyClone,GE healthcare life science社製)を添加したDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)で培養した。5μg/mLのBifi-Plsで24時間処理した後、LPS(1μg/mL)処理を8時間行った。その後、細胞内のRNAを抽出し、炎症性サイトカインIL-1β及びコントロールとしてGapdh遺伝子のRNA発現をPCRによって検出した。IL-1βのフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号1及び2に示す。Gapdh遺伝子のフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号3及び4に示す。また、LPS処理後の細胞核内のタンパク質を抽出し、p65抗体を用いてウエスタンブロッティング法を行った。
(結果)
図13は、Gapdh遺伝子に対するIL-1βの相対的な発現量を示す。LPS投与により、MG6細胞におけるIL-1βのRNA発現が増加するのに対し、Bifi-PlsによってIL-1β発現が減少した。図14は、核内のp65タンパク質の相対量を示す。LPS投与により、炎症マーカーである核内のp65タンパク質の量が増加したが、Bifi-Plsによって、核内のp65タンパク質の量が有意に減少した(n=3)。すなわち、ミクログリア細胞におけるLPS誘発性のp65タンパク質(NF-kB)の核局在化がBifi-Plsによって抑制された。
試験例2:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの細胞内プラズマローゲン合成促進作用の検討
Bifi-Pls添加有り又は無しの2%FBS含有DMEMにおいてMG6細胞を24時間培養した。培養後、細胞を洗浄し、RIPAバッファーを用いて細胞内のタンパク質を抽出した。計100μgのタンパク質を用いて、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS/MS)によって脂質を分析した(n=4)。
LC-MS/MSでは、サンプルを入れたスピッチグラスに超純水を500μL加え、ピペッティングした。クロロホルム/メタノール(1/2、v/v)で5000ng/mLに調製した12:0 PE(850702P、Avanti社製)を100μL加えた(内部標準:500ng/サンプル)。サンプルにクロロホルム/メタノール(1:2、v/v)1.8mLを加え混和し、5分間超音波で抽出した。30分間室温で静置し、サンプルにクロロホルム0.625mLを加え混和した。サンプルに超純水0.625mLを加え混和した。3000rpmで5分間、室温で遠心し、下層を別のスピッツに移した。残った上層にクロロホルムを1mL加え混和した。3000rpmで5分間、室温で遠心することで得た下層を、スピッツ内の下層と合わせた。下層を窒素ガスで乾固し、メタノール200μLに溶解した。フィルターろ過し、脚付きガラスインサートに入れ、LC-MS/MSに5μL注入した。
液体クロマトグラフ(LC)の条件は、以下のとおりである。
UPLC:Waters ACQUITY UPLC H-Class
MS:Xevo TQ-S micro
MSソフトウェア:MassLynx V4.1
データ解析:TargetLynx
カラム:ACQUITY UPLC(商標) BEH C18 1.7μm 1.0×150mm
カラム温度:35℃
サンプル溶媒:メタノール
移動相A:メタノール:アセトニトリル:水=2:2:1(v/v/v)、0.1%ギ酸、0.025%アンモニア
移動相B:2-プロパノール、0.1%ギ酸、0.025%アンモニア
LCは次のグラジエントで行った。
質量分析の条件は、以下のとおりである。
mode:ESI+
Source Voltage
Capillary:2.0kV
Cone:20V
Source Temperature:150℃
Desolvation Temperature:400℃
Source Gas Flow
Desolvation:800L/Hr Nガス
Cone:50L/hr Arガス
なお、比較のためにホタテガイ(Mizuhopecten yessoensis)から抽出したプラズマローゲン(sPls)を添加してMG6細胞を同様に培養した。sPlsは、生ホタテヒモからヘキサンを用いて抽出する、国際公開第2016/181491号に記載の方法で抽出した。ホタテガイからのプラズマローゲンの抽出では、まず、生ホタテヒモにコクラーゼP(三菱ケミカルフーズ社製)とホスホリパーゼA1(PLA1、三菱ケミカルフーズ社製)を加えて、1時間分解した。続いて、ヘキサン/イソプロパノールを加えて撹拌し、静置後上澄みを吸引濾過した。濾液に硫酸ナトリウム水溶液を加えてよく混和し、上層をロータリーエバポレーターで乾固した。これに4℃に冷却したアセトン40mLを加え混和した。遠心分離機を用いて3000rpmで10分間、4℃で分離した。上清を捨て、沈殿物を回収し、デシケータで一晩乾燥した。
移動相A及び移動相Bを用いて表9に示すグラジエントでHPLC行い、エタノールアミン型プラズマローゲンのみを分取した。HPLCの条件は以下のとおりである。
機器名:Agilent1200 system (Agilent Technologies社製)
カラム:SPHERISORB 5μm Silica 4.6×100mm(Waters社製)
ガードカラム:μPorasil Silica(Waters社製)
カラム温度:40℃
流量:2mL/分
移動相A:ヘキサン/イソプロパノール(3:2)
移動相B:水
検出器:210nm UV
(結果)
図15に細胞内の総プラズマローゲン量を示す。対照に比べ、Bifi-Pls存在下の細胞内の総プラズマローゲン量が増加した。一方、sPlsでは、細胞内の総プラズマローゲン量は増加しなかった。
実施例4:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの調製
[ビフィズス菌の培養]
JCM No.7003(B. bifidum)、11340(B. longum subsp. longum)、11345(B. longum subsp. infantis)、7139(B. longum subsp. suis)、7019(B. breve)及び7045(B. adolescentis)を、約72時間の培養時間を約72~96時間に変更することを除いて、実施例3と同様に培養し、凍結菌体を得た。
実施例3と同様に、凍結した菌体から得られた総脂質のPLA1による加水分解処理で得られたエーテルリン脂質について、DNPH-HCl処理したサンプルのクロマトグラムを参照して区間A-A’を分取した。
抽出されたビフィズス菌由来のプラズマローゲンの機能を下記試験例で検討した。以下では、7003、11340、11345、7139、7019及び7045由来のプラズマローゲンを、それぞれBifi-1、Bifi-2、Bifi-3、Bifi-4、Bifi-5及びBifi-6とする。また、比較のためにsPlsを使用した。
試験例3:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの抗炎症作用の検討1
Bifi-1~Bifi-6又はsPlsの存在下(5μg/mL)、MG6細胞を18時間培養した後、LPS(1μg/ml)処理を12時間行った。その後、ELISA法で培地中のIL-1β及びTNF-αを定量した。
Bifi-1~Bifi-6又はsPlsの存在下(1、5又は20μg/mL)、ミクログリア細胞(BV2)を2%FBS含有DMEMで12時間血清飢餓培養した後、LPS(1μg/mL)処理を8時間行った。ルシフェラーゼアッセイを行い、細胞内のNF-κB活性を解析した。
ルシフェラーゼアッセイには、ルシフェラーゼアッセイキット(E1501、Promega社製)を用いた。ルシフェラーゼ遺伝子と融合したNF-kBプロモーターを発現するBV2細胞を2%FBS含有DMEMで培養し、プラズマローゲン(5μg/mL)及びLPS(1μg/mL)で処理した。その後、Cell Culture Lysis Buffer(E153A、Promega社製)により細胞を溶解した。細胞抽出物5μLを96ウェルプレートで50μLのルシフェラーゼ基質混合物(E151A及びE152A、Promega社製)とともにインキュベートした。ルシフェラーゼ活性は、ルミネセンスマイクロプレートリーダー(Beckman Coulter DTX 880 Multimode Detector)で測定した。
(結果)
図16に培地中のIL-1βの濃度を示す。LPS処理によって放出されるIL-1βをBifi-1~Bifi-6は抑制した。特にBifi-2、Bifi-4、Bifi-5及びBifi-6は有意にIL-1βの放出を抑制した。培地中のTNF-αの濃度を図17に示す。Bifi-3を除くビフィズス菌由来プラズマローゲンは、LPS処理によって放出されるTNF-αを有意に抑制した。
図18はNF-κBプロモーターで制御されるルシフェラーゼ活性を介して定量したNF-κBの相対的な活性を示す。図18におけるエラーバーは標準偏差を示す。Bifi-1~Bifi-6は、LPSによるNF-κBの活性化を有意に抑制した。
試験例4:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの抗炎症作用の検討2
Bifi-Pls(5μg/mL)の存在下又は非存在下で、MG6細胞を18時間培養した後、LPS(1μg/ml)処理を12時間行った。その後、R&D Systems社製のキットを用いたELISA法で培地中のIL-1β、TNF-α、IL-10、MCP-1及びIL-6を定量した。
(結果)
培地中のIL-1β、TNF-α、IL-10、MCP-1及びIL-6の濃度を、それぞれ図19(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)に示す。Bifi-Plsによって、MG6細胞におけるIL-1β、TNF-α、MCP-1及びIL-6の発現がLPS処理に対して低下した(ANOVAに続くボンフェローニ検定)。
試験例5:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの神経細胞保護作用の検討
2%FBS含有DMEMで12時間血清飢餓培養したヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に、Bifi-1~Bifi-6又はsPls(5μg/mL)を10分間反応させた。反応停止後、抽出した総タンパク質についてウエスタンブロッティング法によって、内部標準をアクチンとしたpERKの相対的な発現量を評価した。
SH-SY5Y細胞を血清なし培地(No serum)に入れ、Bifi1~Bifi-6を添加し(5μg/mL)、カバーガラス上で36時間培養した。対照としてSH-SY5Y細胞を10%血清あり培地(対照)に入れ、同様に36時間培養した。カバーガラス上の細胞をTUNEL法 (In Situ Cell Death Detection Kit、TMR red、Roche社製)で染色し、アポトーシス細胞を蛍光顕微鏡で観察した。
(結果)
図20は、同量のタンパク質で比較したpERKの相対発現量を示す。血清飢餓状態のSH-SY5Y細胞(神経細胞)においてERKをBifi-1~Bifi-6は活性化した。特にBifi-2、Bifi-4、Bifi-5及びBifi-6は有意にERKを活性化した。図21は、アポトーシスを起こしている細胞であるTUNEL陽性細胞の割合の平均値を示す。図21におけるエラーバーは標準偏差を示し、P値は分散分析(ANOVA)によって算出した。Bifi-1~Bifi-6は、いずれも有意に神経細胞のアポトーシスを抑制することが示された。
試験例6:ビフィズス菌由来プラズマローゲンの神経細胞におけるERK及びAKT1の活性化の検討
2%FBS含有DMEMで12時間血清飢餓培養したマウス由来の神経細胞様細胞Neuro-2Aに、Bifi-Pls(5μg/mL)を20分間反応させた。対照として、Bifi-Plsの溶媒で同様に細胞を処理した。続いて、サルコシン細胞溶解バッファーで細胞を処理し、抽出した総タンパク質についてウエスタンブロッティング法によって、内部標準をアクチンとしたpERK、ERK、pAKT1及びAKT1に対する抗体(いずれもCell Singnaling Technologies社製)を用いて相対的な発現量を評価した。
(結果)
ERKに対するpERKの相対的な発現量及びAKT1に対するpAKT1の相対的な発現量を、それぞれ図22(A)及び(B)に示す。Bifi-PlsによってERK及びAKT1のリン酸化が有意に増加した(Student’s t-test)。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、プラズマローゲンの製造に有用である。

Claims (8)

  1. ビフィドバクテリウム属に属する菌の菌体又はその処理物を含み、
    前記菌は、
    ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される、
    プラズマローゲン含有組成物。
  2. ビフィドバクテリウム属に属する菌を培養する培養ステップと、
    前記菌の菌体からプラズマローゲンを得る取得ステップと、
    を含み、
    前記菌は、
    ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)からなる群から選択される、
    プラズマローゲンの製造方法。
  3. 前記培養ステップでは、硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む培地で、前記菌を培養する、
    請求項2に記載のプラズマローゲンの製造方法。
  4. 硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含み、
    ビフィドバクテリウム属に属する菌の培養に使用される、
    プラズマローゲン合成促進用培地。
  5. 硫酸アンモニア、硫酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム及びガラクトオリゴ糖を含む培地で、ビフィドバクテリウム属に属する菌を培養する培養ステップと、
    前記菌の菌体からプラズマローゲンを得る取得ステップと、
    を含む、
    プラズマローゲンの製造方法。
  6. ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを含む、
    抗炎症剤又は抗炎症用経口組成物。
  7. ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを含む、
    認知機能改善剤又は認知機能改善用経口組成物。
  8. ビフィドバクテリウム属に属する菌由来のプラズマローゲンを含む、
    神経細胞死抑制剤又は神経細胞死抑制用経口組成物。
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