JP2008260743A - Nqo1発現増強剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたNQO1発現増強効果によって、抗酸化作用・解毒効果(アンチエージング・デトックス効果)、神経保護・神経機能維持効果や代謝正常化作用のある新規の物質を見出し、当該物質を食品や化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用する。
【解決手段】リン脂質を有効成分として含むことを特徴とするNQO1発現増強剤、及び、上記NQO1発現増強剤を含むことを特徴とする飲食物、化粧品、医薬品及び医薬部外品。
【選択図】なし

Description

本発明は、NQO1発現増強剤に関する。より詳しくは、リン脂質を有効成分として含むNQO1発現増強剤に関する。
キノンは自然界に広く分布しており、ヒトがこれに暴露される頻度は非常に高い。多環式芳香族のキノン類は、あらゆる燃焼有機物、例えば車の排ガス、タバコの煙、都会の大気中微粒子などに豊富に含まれている。
キノンは高反応分子であり、容易に1電子あるいは2電子還元を受ける。キノンやその誘導体の2電子還元は、キノン酸化還元酵素NQO1(NAD(P)H:quinone oxidoreductase 1、別名:DT−diaphorase)で触媒され、キノン類に基づくフリーラジカルによる毒性に対して、この2電子還元で細胞保護作用を誘導する。
NQO1活性は全ての組織において普遍的に検出されるが、発現量は組織によって異なっており、腎臓、骨格筋や肺で発現量が高く、膵臓では発現量が低い。
NQO1の効果として、glutathione S−transferases、UDP−glucuronosyltransferases、epoxide hydrolase、γ−glutamylcysteine synthetaseなどの抗酸化/解毒関連遺伝子と協調的に発現して、フリーラジカル損傷、酸化ストレスなどに対して細胞を保護すること(非特許文献1参照)、膜結合型coenzyme Qを還元型に維持し、膜脂質の過酸化を阻害することが知られている(非特許文献2参照)。
更に、NQO1は、α−tocopherolの誘導体であるα−tocopherolquinoneをα−tocopherolhydroquinoneに還元することによって抗酸化作用を得ることが報告されている(非特許文献3参照)。
NQO1の発現には転写因子Nrf2が関与しており、NQO1遺伝子上流に位置するARE(Antioxidant Response Element)にNrf2が結合することによってNQO1の発現が誘導される(非特許文献1参照)。一般にNrf2は抗酸化・解毒関連酵素の遺伝子を誘導することが知られているが、老齢ラットの核内におけるNrf2量は低下しており、その結果としてgcl(γ−glutamylcysteine ligase)産生量が減少するという報告がある(非特許文献4参照)。両報告から考え、NQO1の産生量は老化(加齢)に伴って低下する可能性が考えられる。従って、NQO1の発現を増強する素材は、老化に伴うNQO1量低下をサポートすることに有用であり、アンチエージング/デトックス効果が期待できる。
なお、非特許文献7では、Nrf2欠損動物(−/−)に環境汚染物質ペンタクロロフェノールを投与した際にNQO1蛋白質の発現が顕著に抑制され、過酸化脂質評価に用いられるチオバルビツール酸反応生成物(TBARS)の増大が認められたことが報告されている。
また、NQO1のノックアウトマウスの神経では、正常マウスに比べミエリン非形成の神経が高頻度に認められ、また平均アクソン径の低下も認められた(非特許文献5参照)。このことから、NQO1は神経細胞間におけるシグナル伝達機能に関して重要な役割を担っていることが考えられる。
また、NQO1ノックアウトマウスは、アディポサイトレベルが顕著に低下し、インスリン耐性を示すことが知られている(非特許文献6参照)。このマウスは、レドックス系反応の異常をきたし、その結果としてピリジンヌクレオチド、グルコース、脂肪酸の代謝異常が生じることが報告されている。
A.K.Jaiswal(2000)Free Radic.Biol.Med.29:254−262 R.E.Beyer et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:2528−2532 D.Siegel et al.(1997)Mol.Pharmacol.52:300−305 J.H.Suh et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA101:3381−3386 J.L.Stringer et al.(2004)J Comp Neurol.471:289−297 A.Gaikwad et al.(2001)J.Biol.Chem.276:22559−22654 T.Uemura et al.(2006)Toxicol Sci. 90:111−119
本発明は、優れたNQO1発現増強効果によって、抗酸化作用・解毒効果(アンチエージング・デトックス効果)、神経保護・神経機能維持効果や代謝正常化作用のある新規の物質を見出し、当該物質を食品や化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、リン脂質、なかでもホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールに優れたNQO1発現増強効果があることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、リン脂質を有効成分として含むことを特徴とするNQO1発現増強剤である。
また、本発明は、上記NQO1発現増強剤を含むことを特徴とする飲食物、化粧品、医薬品及び医薬部外品である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のNQO1発現増強剤は、リン脂質を含むものである。
本発明で用いるリン脂質としては特に限定されず、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、これらのリゾ体等が挙げられる。上記リン脂質は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、PS、PI及びこれらの混合物が好ましい。PSとPIを混合して用いる場合、その比率は特に限定されないが、通常、PS/PIが0.05〜80の範囲であり、0.1〜10の範囲であると、NQO1発現増強効果に優れたものとなり、好ましい。より好ましくは0.5〜8である。
本発明で用いられるリン脂質は、いかなる起源のものでもよい。リン脂質を含む天然物、天然物からの抽出物、当該抽出物を精製したもの、合成リン脂質等が好適に用いられる。
本発明のNQO1発現増強剤は、NQO1遺伝子の発現を増強するものであるので、アンチエージングに効果のある抗酸化剤、デトックス効果を有する解毒剤や、神経の保護・機能維持に効果のある神経保護剤、脂肪酸、糖や核酸の代謝正常化作用のある代謝改善剤等としての効果が期待できる。
本明細書において、「神経の保護」「神経の機能維持」とは、ミエリンと呼ばれるリポタンパク質により神経繊維が包まれて髄鞘が形成されること、又は形成されていることを意味する。この髄鞘が絶縁体の役割をすることで、電気信号が神経繊維に沿って速く正確に伝わるので、髄鞘が破損すると神経の信号が正しく伝わらなくなる。髄鞘は、脳卒中、炎症、免疫異常、代謝異常、ビタミンB12欠乏などの栄養素の欠損症等によって破壊されるが、本発明のNQO1発現増強剤を日常的に摂取することにより、髄鞘の破壊を予防する効果も期待できる。
本発明のNQO1発現増強剤は、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品に使用することができる。上記食品としては例えば機能性食品等が挙げられ、ここでいう機能性食品とは、サプリメント、特定保健用食品、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品など医薬品以外で経口的に摂取することにより、健康の維持あるいは改善を目的とする製品を意味している。
本発明のNQO1発現増強剤は、経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤が挙げられる。また、非経口投与剤としては、点眼剤、坐剤、注射剤などが挙げられる。本発明のNQO1発現増強剤を注射剤で用いる場合、懸濁液、乳化液、リポソーム製剤のいずれであってもよい。
本発明のNQO1発現増強剤には、更に、上記リン脂質の他に薬剤学的および食品衛生学的に許容される他の素材を常法により適宜添加混合してもよい。このようなものとしては特に限定されず、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤、健康食品素材、栄養補助食品素材、ビタミン、漢方薬(生薬エキス)を含む薬剤ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。
本発明のNQO1発現増強剤におけるリン脂質の含有量は特に限定されず、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。
本発明のリン脂質を含有するNQO1発現増強剤を作製する際のリン脂質の含有量、剤型、保存方法および保存形態は、医薬品、医薬部外品、飲食物、化粧品などの用途に応じて適宜決定できる。
本発明のNQO1発現増強剤の投与量としては特に制限されず、疾患の種類や程度によって適宜調整すればよく、例えばリン脂質の量に換算して成人一人当たり1日に50〜2000mg程度を投与すればよい。
本発明のNQO1発現増強剤は、優れたNQO1発現増強効果によって、抗酸化作用・解毒効果(アンチエージング・デトックス効果)、神経保護・神経機能維持効果や代謝正常化作用が期待される。また、当該発現増強剤は、継続的に摂取しても副作用の心配がないリン脂質からなるので、食品、化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することができる。
以下に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1 PI・PS含有リン脂質
レシチンとしてSLP−PIパウダー(辻製油株式会社製)7gをヘプタン及びアセトンの混合液70mLと共に混合して溶解させ、レシチン溶液を得た。これとは別に、セリン20g及びホスホリパーゼD(ナガセケムテックス株式会社製)500Uを1M酢酸緩衝液(pH4.5)67mL中に含む酵素含有セリン溶液を調製した。
このレシチン溶液に酵素含有セリン溶液を加え、30℃にて5時間攪拌した。次いで、ヘプタン及びアセトンの混合液75mL及び塩化ナトリウム20gを加え、1時間攪拌し、これを静置して分離した後、有機層を回収し、PI・PS含有有機溶媒溶液を得た。この有機溶媒溶液は固形分8gを含有していた。その組成を調べたところ、次の通りであった。ホスファチジルセリン20%、ホスファチジルイノシトール20%、ホスファチジルコリン9%、ホスファチジルエタノールアミン14%、ホスファチジン酸14%、リゾホスファチジルコリン5%、リゾホスファチジルエタノールアミン1%。
製造例2 PS含有リン脂質
レシチンとしてSLP−PS70(辻製油株式会社製)を使用したこと以外は製造例1と同様に反応を行い、PSを主として含有するリン脂質を固形分として7g得た。その組成を調べたところ、次の通りであった。ホスファチジルセリン80%、ホスファチジルイノシトール1%、ホスファチジン酸10%、ホスファチジルエタノールアミン3%、リゾホスファチジルコリン2%、リゾホスファチジルエタノールアミン1%。
製造例3 PurePI
BIOMOL社のL−α−phosphatidylinositol Naをクロロホルム/メタノール(9/1)混液で溶解し、エバポレートした。Milli−Q水で分散液を調製し、氷水中で超音波処理を行い、リポソームを調製した。
製造例4 PurePS
SIGMA社のL−α−phosphatidylserineをクロロホルムで溶解し、エバポレートした。PBS(−)で分散液を調製し、氷水中で超音波処理を行い、リポソームを調製した。
製造例5 PurePI+PurePS
製造例3及び4で得られたリポソームを細胞添加濃度に合うように必要量ずつ混合し、サンプルとした。配合割合は、図2〜4、図6及び図7に記載の濃度となるように混合した。
製造例6 PurePIPS
BIOMOL社のL−α−phosphatidylinositol NaとSIGMA社のL−α−phosphatidylserineとを1:1で混合し、クロロホルムで溶解し、エバポレートした。Milli−Q水で分散液を調製し、氷水中で超音波処理を行い、リポソームを調製した。
実施例1
PC12h(PC12をクローニングすることによって得られた細胞)を2×10/wellとなるように6wellコラーゲンタイプIコートのプレートに播種し、前培養した。製造例1〜4で得られたリン脂質を、図1、2に記載の濃度で添加し、32時間培養した後、培養上清を廃棄し、各ウェルにISOGEN(ニッポンジーン社製)1mLを添加し、細胞抽出物を得た。以下、ISOGEN添付の操作方法に準じてmRNAを分取した。
cDNAの分取には、SuperScriptIII First−Strand Synthesis System for RT−PCR(Invitorogen社製)を使用し、本キットに添付の操作手順に準じて行った。以下使用したプライマーを示す。
NQO1 Forward primer:GTGTACAGCATTGGCCACAC(配列番号1)
NQO1 Reverse primer:CAAAGGCGAAAACTGAAAGC(配列番号2)
β−actin Forward primer:TGTTTGAGACCTTCAACACC(配列番号3)
β−actin Reverse primer:CGCTCATTGCCGATAGTGAT(配列番号4)
94℃で1分間、58℃で1分間、72℃で1分間の条件でNQO1プライマーセットを用いて28サイクル(配列番号1、2)、β−actinプライマーセットを用いて22サイクル(配列番号3、4)でPCRを行った。DNA polymeraseはGoTaq(Promega)を使用した。PCR終了後のサンプルを1.5%アガロースゲルにて電気泳動を行い、PCR産物の解析を行った。
それぞれのバンド強度についてデンシトメトリー解析を行い、NQO1/β−actin比を取ることによってコントロールに対するNQO1発現増強量について半定量的に解析した。結果を図1及び図2に示す。
解析の結果、製造例1で得られたPI・PS含有リン脂質、及び、製造例2で得られたPS含有リン脂質によって、濃度依存的に顕著なNQO1発現増強効果が認められた(図1)。また、ホスファチジルセリンを添加した細胞においてNQO1の顕著な発現増強効果が認められたが、さらに同濃度のホスファチジルイノシトールが共存する場合、ホスファチジルセリン単独よりも強いNQO1発現増強効果が認められた(図2)。
実施例2
Neuro 2a(大日本製薬社製)を5×10/wellとなるように6wellコラーゲンタイプIコートのプレートに播種し、前培養した。製造例1〜6で得られたリン脂質を、図3〜図5に記載の濃度で添加し、24時間培養した後、培養上清を廃棄し、各ウェルにISOGEN(ニッポンジーン社製)1mLを添加し、細胞抽出物を得た。以下、ISOGEN添付の操作方法に準じてmRNAを分取した。
cDNAの分取にはSuperScriptIII First−Strand Synthesis System for RT−PCR(Invitorogen社製)を使用し、本キットに添付の操作手順に準じて行った。以下使用したプライマーを示す。
NQO1 Forward primer:CTTTTTCCCCAGCTTGTCTG(配列番号5)
NQO1 Reverse primer:AAGTTAGTCCCTCGGCCATT(配列番号6)
β−actin Forward primer:ACTGGGACGACATGGAGAAG(配列番号7)
β−actin Reverse primer:TCTCAGCTGTGGTGGTGAAG(配列番号8)
94℃で1分間、58℃で1分間、72℃で1分間の条件でNQO1プライマーセットを用いて28サイクル(配列番号5、6)、β−actinプライマーセットを用いて25サイクル(配列番号7、8)でPCRを行った。DNA polymeraseはGoTaq(Promega)を使用した。PCR終了後のサンプルを1.5%アガロースゲルにて電気泳動を行い、PCR産物の解析を行った。
それぞれのバンド強度についてデンシトメトリー解析を行い、NQO1/β−actin比を取ることによってコントロールに対するNQO1発現増強量について半定量的に解析した。結果を図3〜図5に示す。
実施例1で使用した細胞PC12hと別の細胞であるNeuro2aを用いて同様の検討を行った結果、PC12hと同様に、PI・PS含有リン脂質及びPS含有リン脂質による顕著なNQO1発現増強効果が認められ、それぞれコントロールに比し、約2倍発現が増大した(図3)。ホスファチジルセリン単独でもNQO1発現増強が認められたが、ホスファチジルイノシトールを併用した方が、発現量が増大する傾向が認められ、この結果は図2と同様であった。
また、ホスファチジルイノシトールのみを添加した細胞においても、ホスファチジルセリンのみを添加した場合と同程度のNQO1発現増強効果が認められた(図4)。
また、ホスファチジルセリンとホスファチジルイノシトールを混合して添加すると、添加の合計量に大きな違いがない場合、PS/PIが0.5〜8の範囲であれば同程度のNQO1発現増強効果が認められた(図4、図5)。
実施例3 NQO1活性測定方法
P.Tsvetkov et al.(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:5535−5540の方法を一部変更して行った。
(1)細胞の播種とリン脂質の添加
Neuro 2aを5×10/wellとなるように6well plateに播種し、24時間培養した。培地を除去し、製造例1、2、5のリン脂質を図6に記載の濃度で添加し、24時間培養した。
(2)細胞抽出液の調製
(1)で培養したNeuro 2aをPBS(−)で1回洗浄した後、Lysis buffer(25mM Tris−HCl(pH7.5)/1mM EDTA/0.1mM DTT)500μLでサスペンドし、細胞懸濁液を得た。これを氷水中で約20秒間超音波処理した後、15000rpmで15分間、4℃の条件で遠心を行い、得られた上清を細胞抽出液とした。
(3)タンパク定量(Bradford法)
BSA(スタンダード、SIGMA社製)及び細胞抽出液をそれぞれ10μLずつ96well plateに添加した。Bradford試薬(BIORAD社製)をMilli−Q水で5倍希釈し、各wellに200μLずつ添加した。室温で20分間静置した後、595nmの波長で吸光度測定を行った。BSAスタンダードから、細胞抽出液のタンパク濃度を算出した。
(4)活性測定
細胞抽出液100μLに対して、0.01% Tween20 10μL、40μM menadione 10μL、5μM FAD 10μL及び200μM NADH 10μLを添加した反応系に対し、NQO1阻害剤として10μM dicumarol 10μLを添加あるいは非添加の反応系を作製し、37℃で30分間、NADHの減少量を340nmの波長で吸光度を測定することより算出した。なお、反応系の容量は25mM Tris−HCl(pH7.5)を用いて200μLとした。
NQO1活性(% of control)は以下の式で算出した。
(NQO1活性)=((Dic(−)s−Dic(+)s)/(Dic(−)c−Dic(+)c))×100
Dic(−)s:dicumarol非添加サンプル吸光度
Dic(+)s:dicumarol添加サンプル吸光度
Dic(−)c:dicumarol非添加コントロール吸光度
Dic(+)c:dicumarol添加コントロール吸光度
結果を図6示す。
測定の結果、製造例1で得られたPI・PS含有リン脂質、製造例2で得られたPS含有リン脂質、製造例3、4で得られたPurePIとPurePSとを混合して添加した場合において、NQO1のタンパク質としての活性促進が認められた。
実施例4 過酸化水素傷害に対する細胞保護効果とこの保護効果におけるNQO1の関与
(1)細胞の播種とリン脂質ならびに一般抗酸化剤の添加
Neuro 2aを1×10/wellとなるように96well plateに播種し、24時間培養した。培地を除去し、製造例3、4、5のリン脂質を図7に記載の濃度で添加し、24時間培養した。
(2)Dicumarol(NQO1阻害剤)および過酸化水素の添加
(1)で培養したNeuro 2aに図7に記載の濃度に調製したDicumarolおよび過酸化水素を添加し、さらに24時間培養した。
(3)細胞保護効果の解析
(2)で培養したNeuro 2aにCell Counting Kit−8(株式会社同仁化学研究所)を10μLずつ添加し、37℃で2時間反応した。その後、プレートリーダーで各wellの450nmにおける吸光度を測定した。
(Viability(細胞生存率)% of control)=((S−BL)/(C−BL))×100
サンプル添加吸光度:S
コントロール吸光度:C
ブランク吸光度:BL
結果を図7に示す。
測定の結果、Dicumarol freeにおける過酸化水素傷害に対して、製造例3、4、5で得られたPurePIとPurePSならびにその混合物で顕著な細胞保護効果が認められた。一方、NQO1阻害剤であるDicumarolを25μM又は50μM添加することによって、この細胞保護効果は顕著に阻害された。
従って、PurePIとPurePSならびにその混合物によって認められた過酸化水素傷害に対する細胞保護効果にはNQO1が関与していることが考えられた。
実施例5 過酸化水素傷害に対するPI・PS含有リン脂質による細胞保護効果
(1)細胞の播種と製造例1の添加
Neuro 2aを1×10/wellとなるように96well plateに播種し、24時間培養した。培地を除去し、製造例1で得られたPI・PS含有リン脂質を図8に記載の濃度で添加し、24時間培養した。
(2)過酸化水素の添加
(1)で培養したNeuro 2aに図8に記載の濃度に調製した過酸化水素を添加し、さらに24時間培養した。
(3)細胞保護効果の解析
(2)で培養したNeuro 2aにCell Counting Kit−8(株式会社同仁化学研究所)を10μLずつ添加し、37℃で2時間反応した。その後、プレートリーダーで各wellの450nmにおける吸光度を測定した。
(Viability(細胞生存率)% of control)=((S−BL)/(C−BL))×100
サンプル添加吸光度:S
コントロール吸光度:C
ブランク吸光度:BL
結果を図8に示す。
測定の結果、製造例1で得られたPI・PS含有リン脂質において、過酸化水素傷害に対して顕著な細胞保護効果が認められた。
実施例6 PI・PS含有リン脂質によるTBARS抑制効果
製造例1のPI・PS含有リン脂質を肥満モデルのZuckerラットに与えた。
食餌組成および飼育方法
6週齢の雄性Zuckerラットを2群に分け(1群6匹)、対照群(TG群、control)と、PI・PS含有リン脂質を2%添加したPIPS群を設けた。以上の2群を4週間飼育し、9時間絶食後、エーテル麻酔下で腹部大動脈採血により屠殺を行い、肝臓を摘出した。
食餌組成を表1に示す。
過酸化脂質TBARS(チオバルビツール酸反応生成物)の測定
上記ラットの肝臓をPBS(−)を用いて50mg/mLのホモジネートを調製した。TBARS Assay kit(ZeptoMetrix社製)の添付文書に参考にして、チオバルビツール酸反応生成物の測定を行った。結果はチオバルビツール酸と反応する過酸化脂質由来のマロンジアルデヒド(MDA)量で示した。
測定結果を図9に示す。
図9の結果から、PI・PS含有リン脂質投与でZuckerラット肝臓のTBARS抑制効果が認められた。
また、PI・PS含有リン脂質によるTBARS抑制効果には、少なからずNQO1が関与していることが推測される。
本発明のNQO1発現増強剤は、優れたNQO1発現増強効果によって、抗酸化作用・解毒効果(アンチエージング・デトックス効果)、神経保護・神経機能維持効果や代謝正常化作用が期待される。また、当該発現増強剤は、継続的に摂取しても副作用の心配がないリン脂質からなるので、食品、化粧品、さらには医薬品あるいは医薬部外品等に添加するための素材として利用することができる。
実施例1において、PI・PS含有リン脂質及びPS含有リン脂質を用いた場合の、NQO1の遺伝子発現の相対値を表すグラフである。 実施例1において、PurePI及びPurePSを用いた場合の、NQO1の遺伝子発現の相対値を表すグラフである。 実施例2での、NQO1の遺伝子発現の相対値を表すグラフである。 実施例2での、NQO1の遺伝子発現の相対値を表すグラフである。 実施例2での、NQO1の遺伝子発現の相対値を表すグラフである。 実施例3での、NQO1のタンパク質活性の相対値を表すグラフである。 実施例4での、Dicumarol添加における過酸化水素傷害に対する製造例3のPurePI、製造例4のPurePS、製造例5のPurePI+PurePSの細胞保護効果を表すグラフである。 実施例5での、過酸化水素傷害に対する製造例1で得られたPI・PS含有リン脂質の細胞保護効果を表すグラフである。 実施例6での、製造例1で得られたPI・PS含有リン脂質のTBARS抑制効果を表すグラフである。

Claims (7)

  1. リン脂質を有効成分として含むことを特徴とするNQO1発現増強剤。
  2. リン脂質がホスファチジルセリンであることを特徴とする請求項1記載のNQO1発現増強剤。
  3. リン脂質がホスファチジルイノシトールであることを特徴とする請求項1記載のNQO1発現増強剤。
  4. リン脂質がホスファチジルセリンとホスファチジルイノシトールを含む混合物であることを特徴とする請求項1記載のNQO1発現増強剤。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載のNQO1発現増強剤を含むことを特徴とする飲食物。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載のNQO1発現増強剤を含むことを特徴とする化粧品。
  7. 請求項1〜4の何れか1項に記載のNQO1発現増強剤を含むことを特徴とする医薬品及び医薬部外品。
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