JPH0621101Y2 - 磁気ディスクジャケット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は磁気ディスクジャケット、より詳しくは、磁気
ディスクジャケット内に収納されている磁気ディスクに
対する優れたクリーニング性能を備え、しかもそれ自体
が機械的信頼性の高い磁気ディスクジャケットに関す
る。

〔従来の技術〕

磁気ディスクジャケットは、一般に、ＰＶＣ等のプラス
チックシートからなり、その内面にポリプロピレン等の
熱可塑性樹脂で形成された不織布からなるライナーが熱
溶着により部分的に接着されている。そして、この磁気
ディスクジャケットには、磁気ディスクが回転可能な状
態で、しかもその両面が上記ライナーに接触可能な状態
で収納されている。

上記ライナーは、回転状態にある磁気ディスクから該磁
気ディスク両面に付着した塵埃等を除去するクリーニン
グ機能を備えており、該ライナーが、そのクリーニング
作用により上記磁気ディスクから再生・記録装置の磁気
ヘッドへの塵埃等の付着を防止してＳ／Ｎ比の劣化やド
ロップアウトの増加等の電気的信頼性の低下を有効に防
止するようにしている。

即ち、上記ライナーは、磁気ディスク表面への膨らみが
大きい程、磁気ディスク表面に強く接触し、それだけ大
きなクリーニング効果を期することができるものであ
る。

而して、従来の磁気ディスクジャケットにおけるライナ
ーは、プラスチックシートから成形されたケースの周縁
部と回転軸が挿通する中央開口部及び磁気ヘッドの臨む
開口部等の開口部の周縁部の各領域においてライナーが
密に点接着され、残余の領域において粗に点接着されて
いるものが多い。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来の磁気ディスクジャケットの如く、
ケースとライナーとの接着領域が、密な点接着領域と粗
な点接着領域とからなる場合、以下の問題がある。

即ち、密な点接着領域は、溶着時の熱的影響によりプラ
スチックシート、即ち、ケースが撓み、また粗な点接着
領域は、その接着点が仮令１点だけであってもライナー
の膨みを抑制してしまい、ライナーの磁気ディスクに対
する接触圧を弱くして回転時のトルク（ランニングトル
ク）が小さくなって、クリーニング作用を激減させてし
まう虞れがあった。

従って、本考案の目的は、ライナーの磁気ディスクに対
するランニングトルクを可能な限り大きくすることがで
き、磁気ディスク表面に対するクリーニング作用を向上
させることができる磁気ディスクジャケットを提供する
ことにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、回転軸の挿通する中央開口部及び磁気ヘッド
の臨む開口部が形成されたケースと、該ケースの内面に
接着された不織布からなるライナーとを具備する磁気デ
ィスクジャケットにおいて、上記ケースの周縁部並びに
上記中央開口部及び上記開口部それぞれの周縁部に、最
大限１０mm幅の接着領域を形成すると共に、上記接着領
域のみにおいて上記ケースと上記ライナーとを点接着し
て上記接着領域以外の領域では一切接着せず、且つ各接
着点間の間隔を１〜３mmに形成したことを特徴とする磁
気ディスクジャケットを提供することによって上記目的
を達成したものである。

〔作用〕

本考案の磁気ディスクジャケットによれば、ライナー
は、磁気ディスクの記録部に強く接触し、その回転と共
に該記録部に付着した塵埃等を除去する。

〔実施例〕

以下、第１図(a)、(b)に示す実施例に基づいて本考案の
磁気ディスクジャケットについて説明する。図におい
て、第１図(a)は本実施例の磁気ディスクジャケットの
内面を示す展開図、第１図(b)は同図(a)のＢ−Ｂ線断面
図である。

本実施例の磁気ディスクジャケットは、第１図(a)、(b)
に示す如く、ＰＶＣ等のプラスチックシートから所定形
状に成形されたケース１と、このケース１の内面に接着
された不織布からなるライナーとを具備して構成されて
いる。

そして、ケース１には、再生・記録装置（図示せず）の
回転軸が挿通する中央開口部１Ａと、該中央開口部１Ａ
の近傍から外縁に向けて形成された磁気ヘッドの臨む長
孔としての開口部（以下「長孔」と称す）１Ｂとが形成
されている。そしてケース１は、第１図(a)の破線を介
して折り返されて、内部に磁気ディスクを収納すること
ができるように形成されている。

また、上記ケース１内面には全面に亘り不織布からなる
ライナー２が被覆されており、該ケース１及び該ライナ
ー２には、第１図(a)に分散点で示す部分において接着
される接着領域が形成されている。即ち、上記ライナー
２は、上記ケース１の中央開口部１Ａ、長孔１Ｂに対応
した中央開口部２Ａ、長孔２Ｂが形成された不織布で、
該ライナー２がケース１に対してそれぞれの中央開口部
１Ａ、２Ａ及び長孔１Ｂ、２Ｂの各周縁部並びにケース
１及びライナー２それぞれの周縁部において点接着され
ている。

而して、上記接着領域３は、上記ケース１の周縁部並び
に上記ケース１の中央開口部１Ａ及び長孔１Ｂそれぞれ
の周縁部においてそれぞれの外端及び開口端から内側へ
最大限１０mm幅に形成されており、４〜８mm幅に形成さ
れていることがより好ましい。

また、上記接着領域３における接着点は、それぞれ縦横
に等間隔をもって分散しており、その間隔は１mm〜３mm
に設定されており1.5mm〜2.5mmに設定されていることが
好ましい。

上記実施例の磁気ディスクジャケットによれば、ケース
１とライナー２は上述の接着領域３のみにおいて点接着
され且つ各接着点の間隔を１〜３mmとしてあり、磁気デ
ィスクの記録部に相当する部分が接着されていないた
め、ライナー２が磁気ディスクの記録部において膨み、
この膨みが比較的大きく、ライナー２が磁気ディスク表
面へ十分に接触することができて磁気ディスクに対する
接触圧を十分に確保することができ、ライナー２による
磁気ディスクのクリーニング作用が十分に発揮される。
しかも、ライナー２は点接着されているため、ケース１
に対するライナー２の熱溶着による熱的影響が格段に抑
制されて、ケース１に撓みを生じる虞れがない。

次に、下記試験例に基づいて、本考案の磁気ディスクジ
ャケットをより具体的に説明する。

まず、本実施例の磁気ディスクジャケットを試料NO.１
として作成した。該磁気ディスクジャケットは、前記中
央開口部１Ａ、長孔１Ｂにおける接着幅を５mm、ケース
１の周縁部における接着幅を６mm、そして各接着点間の
寸法を1.5mmに設定してライナー２が接着されたもので
ある。

また、比較用の磁気ディスクジャケットを試料NO.２及
びNO,３としてそれぞれ作成した。

試料NO.２は、ライナー２がケース１内面全体に亘り３m
m間隔の接着点を均等に分散させて全体に密に点接着さ
れた磁気ディスクジャケットである。

試料NO.３は、ライナー２がケース１内面全体に亘り９m
m間隔の接着点を均等に分散させて全体に粗に点接着さ
れた磁気ディスクジャケットである。

上記試料NO.１〜３についてランニングテストを行い、
それぞれのスターティングトルク、ランニングトルク及
びパッドロードトルクを測定し、且つそれぞれの試料N
O.１〜３における再生・記録時のエラー発生率をエラー
が発生し易い状態（ドライブのパッドを取り外して駆動
させた状態）にして測定し、それぞれの結果を下記表１
に示した。

下記表１に示す結果よれば、試料NO.１〜３のスターテ
ィングトルクは略同一であるが、試料NO.１、即ち本実
施例の磁気ディスクジャケットは、ランニングトルクが
他の比較用の試料NO.２及び３よりも格段に大きく、ま
た、試料NO.１はクリーニング性が良好であることが判
る。

また、試料NO.１は、ライナー２によるクリーニング作
用が良好であるため、他の比較用の試料NO.２及び３よ
りも再生、記録に対するエラー発生率が格段に小さくな
っていることが判る。

〔考案の効果〕 本考案の磁気ディスクジャケットよれば、ライナーの磁
気ディスクに対するランニングトルクを可能な限り大き
くすることができ、磁気ディスク表面に対するクリーニ
ング作用を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図(a)は本考案の一実施例の磁気ディスクジャケッ
トの内面を示す展開図、第１図(b)は同図(a)のＢ−Ｂ線
の断面図である。 １；ケース ２；ライナー １Ａ、２Ａ；中央開口部 １Ｂ、２Ｂ；長孔（開口部）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸の挿通する中央開口部及び磁気ヘッ
   ドの臨む開口部が形成されたケースと、該ケースの内面
   に接着された不織布からなるライナーとを具備する磁気
   ディスクジャケットにおいて、上記ケースの周縁部並び
   に上記中央開口部及び上記開口部それぞれの周縁部に、
   最大限１０mm幅の接着領域を形成すると共に、上記接着
   領域のみにおいて上記ケースと上記ライナーとを点接着
   して上記接着領域以外の領域では一切接着せず、且つ各
   接着点間の間隔を１〜３mmに形成したことを特徴とする
   磁気ディスクジャケット。