JPH0620851B2 - 車両用シ−トのインタロツク装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両用シートのインタロック装置に関する。

〔従来の技術〕

ワゴン車やバンなどキャブオーバ型車のリヤシートは、
従来左右が一体につながった、いわゆるベンチシートが
多かったが、最近、車室内空間を有効利用する目的か
ら、左右が分離したいわゆるセパレートシートが増えて
きている。このようなセパレートシートは、各シートを
単独に動かすことができることから、例えば一方のシー
トに着座し、他方のシートのシートバックを前倒してそ
の上に荷物を積むことも可能となる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述のようなセパレートシートでは各シ
ートを単独にリクライニング操作できることから、例え
ば、運転席の後方シートに着座し、助手席の後方シート
のシートバックを前倒して荷物を積んでいる時に緊急事
態が発生したような場合、リヤシートに着座していた乗
員は歩道側のシートが倒れているためにいきおい車道側
に脱出することにより、危険を伴なうものであった。上
記問題はリヤシートに限られるものではなく、例えば２
ドアの自動車において、運転席の後方に着座していた乗
員が運転席のシートバックを前倒して降車する場合にも
同様であった。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記従来の問題点に鑑み、運転席後方の車道側
リヤシートのリクライニング操作を、助手席後方の歩道
側リヤシートのリクライニング操作に優先させて行える
ようにし、結果的に危険を回避できるようにした車両用
シートのインタロック装置を提供するもので、その手段
は車道側リヤシートと歩道側リヤシートとを有し、これ
ら各シートに装備されたシートリクライニング装置に連
動機構を介して他方側シートのバックアームの動作に基
づいてロック位置とアンロック位置とが設定される操作
レバーのロック機構を設け、車道側リヤシートおよび歩
道側リヤシート起立時には車道側リヤシートのロック機
構をアンロック位置に、歩道側リヤシート側をロック位
置にそれぞれ設定して車道側リヤシートを優先操作可能
にすると共に、車道側リヤシートおよび歩道側リヤシー
ト非起立時には歩道側リヤシートのロック機構をアンロ
ック位置に、車道側リヤシート側をロック位置にそれぞ
れ設定して歩道側リヤシートを優先操作可能とした車両
用シートのインタロック装置によってなされる。

〔実施例〕

以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明
する。

第１図はキャブオーバ型の車両１のリヤシート２ａ，２
ｂを左右に分離して配設し、かつ各リヤシート２ａ，２
ｂに操作レバーのロック機構が内蔵されたリクライニン
グ装置３ａ，３ｂを取付け、これらリクライニング装置
３ａ，３ｂ間に駆動ワイヤ４を配設した状態を示す。

上記リクライニング装置３ａ，３ｂは、いずれも略同様
の構成からなるものであるが、例えば助手席の後方にあ
る歩道側リヤシートとしての左側リヤシート２ａに取付
けられたリクライニング装置３ａは、第２図に示すよう
な構造からなる。同図において、符号５はシートクッシ
ョン６ａに取付けられたベースプレート、符号７はシー
トバック８ａに取付けられたバックアームであり、この
バックアーム７はベースプレート５に固着した主軸９に
回動可能に枢支されている。符号１０は渦巻バネであっ
て、その中心端部は上記主軸９に、外側端部はバックア
ーム７に植設された支持ピン１１にそれぞれ係止されて
おり、図中においてバックアーム７を常時反時計方向に
付勢している。バックアーム７は、起立した標準位置Ａ
と最後傾のフルフラット位置Ｂとの間で多段階に傾斜位
置を選択できる構造となっている他、標準位置Ａと前倒
位置Ｃとの間に一旦停止する中立位置Ｄを有する２段折
構造となっている。上記バックアーム７の各位置は該バ
ックアーム７の下端縁部に形成された係止歯部１２と、
この係止歯部１２と係合する爪部１３を有し、かつ下端
部が支軸１４に枢着された係合部材１５と、この係合部
材１５のカム面１６に作用するカム板１７とで任意に選
択することができる。そして、上記カム板１７は、回動
中心軸３３を介してベースプレート５に回動可能に装着
された操作レバー１８ａに一体的に固着されており、該
操作レバー１８ａを上下動させることによって上記係合
部材１５のカム面１６に作用し、係合部材１５を回動さ
せる働きをもつ。尚、符号１９はカム板１７を常時反時
計方向に付勢するコイルバネであって、カム板１７の下
端部とベースプレート５に一体的に固定されたサブプレ
ート２０の一端部との間に張設されている。

この実施例において、上記バックアーム７は、シートバ
ック８ａに固定される上部アーム２１とベースプレート
５の主軸９に枢支される下部アーム２２との二部材で構
成されている。そして、両アーム２１，２２は前端部が
連結軸２３によって回動可能に枢着されている他、上記
主軸９に中央部を枢着された支持プレート２４の一端部
に後端部側が係脱可能に支持されており、離脱時にはバ
ックアーム７が２段折となって上部アーム２１のみが前
倒位置Ｃをとる。尚、支持プレート２４はバックアーム
７が中立位置Ｄより後方にある時はバックアーム７と一
体的に動き、中立位置Ｄから前倒位置Ｃに倒す時にバッ
クアーム７とは離れて後方に倒れるもので、その時支持
プレート２４の先端部に設けた係合ピン２５が上部アー
ム２１および下部アーム２２に設けた係合溝２６，２７
から離脱する。また、上記支持プレート２４の下端部に
はピン２８が植設され、このピン２８と上記操作レバー
１８ａに植設されたピン２９との間にはリンクレバー３
０が掛け渡されている。このリングレバー３０には長孔
３１が形成され、この長孔３１内に操作レバー１８ａの
ピン２９がガイドされている。尚、符号３２は支持プレ
ート２４を常時反時計方向に付勢しているコイルバネで
あって、支持プレート２４と下部アーム２２に植設され
た支持ピン１１との間に張設されている。

一方、この実施例において、上記リクライニング装置３
ａには操作レバー１８ａのロック機構が設けられてい
る。このロック機構は、第２図および第３図に示すよう
に、操作レバー１８ａの回動中心軸３３に一端が固定さ
れ、操作レバー１８ａと一体的に動きうる第１のロック
プレート３４ａと、係合部材１５の支軸１４に回動可能
に支持された第２のロックプレート３５ａとで構成さ
れ、各ロックプレート３４ａ，３５ａの先端部には互い
に噛み合う係合片３６ａ，３７ａが突出形成されてい
る。また第２のロックプレート３５ａには補助部材３８
ａが一体的に固定されており、この補助部材３８ａの上
端フランジ部３９ａとベースプレート５に設けられた固
定突片４０ａとの間にコイルスプリング４１ａが張設さ
れる。そして、このコイルスプリング４１ａによって第
２のロックプレート３５ａは反時計方向に付勢されてい
る。

更に、この実施例では、第４図に示すようにベースプレ
ート５の裏面側には、ベースプレート５の主軸９に略中
央部が枢着され、かつ上端部が下部アーム２２に固定さ
れて、該下部アーム２２と一体に動く略Ｌ字形状のテン
ションプレート４２ａが配設されている。一方、運転席
後方にある車道側リヤシートとしての右側リヤシート２
ｂに装備されるリクライニング装置３ｂも左側リヤシー
ト２ａのものと略同様の構成からなり、また、上記ロッ
ク機構およびテンションプレートも同様に設けられる
が、ロック機構は第５図に示すように第２のロックプレ
ート３５ｂと、一体的に動く補助部材３８ｂの下端フラ
ンジ３９ｂと、固定突片４０ｂとの間にコイルスプリン
グ４１ｂが張設され、第２のロックプレート３５ｂを時
計方向に付勢している点が左側リヤシート２ａの場合と
異なる。尚、テンションプレート４２ａは、第４図に示
した左側リヤシート２ａのものと同一の構成なので、そ
の説明を省略する。

このような構成からなる左右の各リヤシート２ａ，２ｂ
のロック機構は駆動ワイヤ４によって相互に連動可能と
なっている。この駆動ワイヤ４は、左側リヤシート２ａ
の第２のロックプレート３５ａの下端部に一端が固定さ
れ、他端が右側リヤシート２ｂのテンションプレート４
２ｂの下端部に固定された第１のワイヤ４３ａと、左側
リヤシート２ａのテンションプレート４２ａの下端部に
一端が固定され、他端が右側リヤシート２ｂの第２のロ
ックプレート３５ｂの上部側に固定された第２のワイヤ
４３ｂからなる。これら両ワイヤ４３ａ，４３ｂとも、
ロック機構近傍の固定突片４０ａ，４０ｂおよびテンシ
ョンプレート４２ａ，４２ｂ近傍でベースプレート５に
固着された固定突片４４ａ，４４ｂに各端部が固定され
たチューブ４５ａ，４５ｂに挿通され、各チューブ４５
ａ，４５ｂに対し摺動可能となっている。そのため、右
側リヤシート２ｂは、左右のリヤシート２ａ，２ｂが起
立状態の時に操作可能となり主シートとなり、また左側
リヤシート２ａは右側リヤシート２ｂの作動に基づいて
操作可能となる従シートとなる。

次に上記シートのインタロック機構の作動を第６図乃至
第８図に基づいて説明する。

第６図は左側リヤシート２ａおよび右側リヤシート２ｂ
とも各シートバック８ａ，８ｂが起立した状態を示す。
この状態では、左右のリヤシート２ａ，２ｂのテンショ
ンプレート４２ａ，４２ｂは、いずれも後方側に傾斜し
ているため、ワイヤ４３ａ，４３ｂを前方に押し出す。
第１のワイヤ４３ａの押し出しによって左側リヤシート
２ａの第２のロックプレート３５ａは下端部が後方に押
されることとなり、全体的に前傾姿勢をとってロック位
置に設定される。また、右側リヤシート２ｂの第２のロ
ックプレート３５ｂは、第２のワイヤ４３ｂによって上
部側が後方に押されるため起立した姿勢をとりアンロッ
ク位置に設定される。その結果、右側リヤシート２ｂで
は操作レバー１８ｂの引き上げ操作が可能となり、その
操作によって第７図に示すようにシートバック８ｂの前
倒が可能となるが、右側リヤシート２ｂの起立状態では
左側リヤシート２ａのロック機構が働いて操作レバー１
８ａを引き上げることができないため、左側リヤシート
２ａを右側リヤシート２ｂに優先させてリクライニング
操作することができないことになる。

次に第７図に基づいて、右側リヤシート２ｂを前倒させ
た時のインタロック機構の作動を説明する。右側リヤシ
ート２ｂでは、操作レバー１８ｂを仮想線で示す位置ま
で一旦引き上げ、シートバック８ｂを第６図に示す標準
位置Ａから第７図の中立位置Ｄに設定するとテンション
プレート４２ｂはバックアーム７と一体的に反時計方向
に回動する。そして、この回動に伴なって第１のワイヤ
４３ａが引っ張られ、これに連動して動く左側リヤシー
ト２ａの第２のロックプレート３５ａは、下端部が引っ
張られて時計方向に回動し、起立した姿勢をとってアン
ロック位置に設定される。その結果、この状態において
は左側リヤシート２ａの操作レバー１８ａは、ロック機
構が解除されて引き上げ操作が可能となり、シートバッ
ク８ａを前倒又は後傾させることができるものとなる。
尚、右側リヤシート２ｂのシートバック８ｂを２段折れ
にして中立位置Ｄから前倒位置Ｃに設定する場合は、操
作レバー１８ｂを引き下げて支持プレートを後方に倒し
込みバックアーム７の上部アーム２１と下部アーム２２
との係合を解除してシートバック８ｂを前倒させるが、
テンションプレート４２ｂはこれら一連の作動には影響
を受けない。

第８図は右側リヤシート２ｂのみならず、左側リヤシー
ト２ａのシートバック８ａを前倒させた状態を示す。左
側リヤシート２ａをこのような状態にした場合は、上記
右側リヤシート２ｂの場合と同様、左側リヤシート２ａ
のテンションプレート４２ａが反時計方向に回動するた
め、第２のワイヤ４３ｂを左側リヤシート２ａ側に引っ
張ることとなり、これに連動して右側リヤシート２ｂの
第２のロックプレート３５ｂは上部側が引っ張られて前
傾姿勢をとり、第１のロックプレート３４ｂの下側に入
り込んでロック位置に設定される。

従って、このような状態では、左側リヤシート２ａは操
作レバー１８ａを自由に操作できるのに対し、右側リヤ
シート２ｂではロック機構が働いて操作レバー１８ｂを
引き上げることができず、左側リヤシート２ａに優先さ
せて右側リヤシート２ｂのシートバック８ｂを起立させ
ることはできないことになる。

このように、上記シートのインタロック装置によれば、
左側リヤシート２ａのシートバック８ａは、右側リヤシ
ート２ｂのシートバック８ｂが起立状態にある限りこれ
に優先して前倒させることができないので、例えば一方
のシートに着座し、他方のシートを倒して荷物を積むよ
うな場合、乗員は必ず左側リヤシート２ａに着座するこ
とになるから、緊急事態が発生して車外に脱出しなけれ
ばならない時でも、歩道側に逃げざるを得ず、結果的に
は乗員の安全を図れることとなる。また、両方のリヤシ
ート２ａ，２ｂを倒した状態から一方のみ起立させる場
合には、必ず左側リヤシート２ａから起立させなければ
ならないため、左側リヤシート２ａを倒した状態にして
右側リヤシート２ｂに乗員が着座するといった事態を防
ぐことができる。

尚、上記実施例ではリヤシートのインタロック装置につ
いて説明したが、フロントシートその他形式の異なるシ
ートに設けることもできる。また、上記実施例のよう
に、２段折れのリクライニング装置に限定されないこと
は勿論である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係る車両用シートのイン
タロック装置によれば、車道側リヤシートのリクライニ
ング操作を歩道側リヤシートのリクライニング操作に優
先してできるようにしたから、自ずと車道側リヤシート
を倒してこの上に荷物等を積み、歩道側リヤシートには
乗員が着座するといった形態をとることになり、これに
よって乗員の降車方向が歩道側に決められるので乗員の
安全を確保することができるようになった。

【図面の簡単な説明】

第１図はセパレート式のリヤシートを示す自動車の斜視
図、第２図は本発明に係るインタロック装置に適用され
るシートリクライニング装置の正面図、第３図は操作レ
バーのロック機構を示す正面図、第４図はテンションプ
レートを示す正面図、第５図は主シート側の操作レバー
のロック機構の要部を示す正面図、第６図乃至第８図は
インタロック装置の作動を示すものであって、第６図は
主シートおよび従シートの起立状態を示す図、第７図は
主シートが前倒し、従シートが起立している状態を示す
図、第８図は両シートの前倒状態を示す図である。 ２ａ……左側リヤシート（歩道側リヤシート） ２ｂ……右側リヤシート（車道側リヤシート） ３ａ，３ｂ……シートリクライニング装置 ４……駆動ワイヤ（連動機構） ７……バックアーム １８ａ，１８ｂ……操作レバー ３４ａ，３４ｂ……第１のロックプレート ３５ａ，３５ｂ……第２のロックプレート

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車道側リヤシートと歩道側リヤシートとを
   有し、これら各シートに装備されたシートリクライニン
   グ装置に連動機構を介して他方側シートのバックアーム
   の動作に基づいてロック位置とアンロック位置とが設定
   される操作レバーのロック機構を設け、車道側リヤシー
   トおよび歩道側リヤシート起立時には車道側リヤシート
   のロック機構をアンロック位置に、歩道側リヤシート側
   をロック位置にそれぞれ設定して車道側リヤシートを優
   先操作可能にすると共に、車道側リヤシートおよび歩道
   側リヤシート非起立時には歩道側リヤシートのロック機
   構をアンロック位置に、車道側リヤシート側をロック位
   置にそれぞれ設定して歩道側リヤシートを優先操作可能
   とした車両用シートのインタロック装置。