JPH0620663B2 - 鉄鋼材料切断用超硬質チップ付丸鋸 - Google Patents

鉄鋼材料切断用超硬質チップ付丸鋸

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JPH0620663B2
JPH0620663B2 JP61133448A JP13344886A JPH0620663B2 JP H0620663 B2 JPH0620663 B2 JP H0620663B2 JP 61133448 A JP61133448 A JP 61133448A JP 13344886 A JP13344886 A JP 13344886A JP H0620663 B2 JPH0620663 B2 JP H0620663B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は鉄鋼材料を切断するに好適な超硬質チップ付丸
鋸に関する。
従来技術 従来多くは鉄系金属材の切断は高速度鋼のメタルソー,
セグメンタル・ソー,帯鋸により行われていた。この場
合は切削速度が10〜30m/minの低速で使用され
るため普通材、難切削材とも切断の作業能率が低かっ
た。このため超硬チップ付鋸刃例えば実開昭60-48916号
や特開昭56-27727号のようなのが使用されるようになり
切削速度は70〜250m/minと大幅に向上し、普通
材に対しては十分高い切断能率が達成された。
また難切削材に対しては切削油を刃先に供給するように
丸鋸の中心側より刃底に通る供給穴が穿設され刃底の切
粉を吹き飛ばすとともに冷却,潤滑効果を行わせるもの
として、特開昭55-120927号,実公昭60-21135号,実公
昭60-21136号が知られている。
発明が解決しようとする問題点 しかし超硬チップ付鋸刃でも高クロム鋼,ステンレス
鋼,高マンガン鋼,高アルミ鋼のような難切削鋼は一般
に熱伝導率が小さいか、加工硬化性が大きいか、或いは
ねばりが大きいため高速切削となると刃先温度が上昇
し、切粉が溶着し、これによって切粉の噛み込みやチッ
プすくい面の凝着剥離を起こして先刃欠損となり使用不
能となる場合が起こる。この溶着は第4図(ロ)の最も
温度が上昇する超硬チップの先端のすくい面Aに現れる
が、それは切粉生成に伴う発熱により生じる。
特開昭56-27727号のような工具は、主に製鉄所のライン
内切断に使用され一般鋼に対しては、切断能率及び刃先
寿命が良好であるが、低炭素13%クロム鋼等の難切削
鋼に対しては、溶着から凝着剥離等の刃先損傷が急激に
生じるので、実質的に切断不能である。従ってこれらの
鋼種は、ライン外の帯鋸または高速度鋼製セグメントソ
ーで、低い能率で切断しているのが実情である。
また実開昭60-48916号のような工具は直径100φ以下の
小径材の切断に用いられるが、実績的には切削液を供給
する湿式切断で、一般鋼に対しては高能率高寿命である
が、凝着性の強い難切削鋼に対して全く使用されていな
い。SUS304等の難削材に対しては特に切削液を流
さないで切断すると前記したような切粉の溶着,噛み込
みやチップのすくい面の凝着剥離などの現象があり、ま
た切削液を流しても高温のチップ刃先が急冷される形に
なり熱衝撃に起因して早期チッピングを生じる為殆ど切
断できない。この為、これらの鋼種は旧来の高速度鋼製
丸鋸刃(メタルソー)で切断されているのが実情であ
る。
更に特開昭55-120927 号,実公昭60-21135号,実公昭60
-21136号のような工具は、切削油は鋸刃が実際に切断し
ている部位に極めて浸透しにくく十分な冷却効果が得ら
れないで、予期したほど鋸刃の寿命は改善されない。ま
た切削油を供給する穴は数mmと薄い台金に深く形成す
る必要があって、穿穴には細く長いドリルが使用され加
工中のドリルの折損が絶えず起こり、また穴曲がりによ
って穴がやぶれるなど厄介で工数のかかる仕事である。
また穴あけせず溝を切って2枚を張り合わせるなど行っ
ているが、何れにしろ期待する効果が得られないうえコ
スト高となる不都合がある。
本願発明は、従来技術の鋸刃で凝着性の強い難切削鋼を
切断する時に起きる上述のような現象、特に超硬チップ
刃先に発生する凝着剥離の現象の原因を解明することに
よって一般材に近い切削速度で鉄鋼材料特に凝着性の強
い難切削鋼でも切断できる寿命の長い丸鋸を提供しよう
とするものである。
問題点を解決するための手段 台金の外周等間隔に設けた刃体に固着した超硬質材料で
なるチップの第1すくい面に続く第2すくい面にさらに
続いて底側に高くなる段差のある段部を形成し、この段
差位置より少し離れた段部の下位置から円滑な曲面の刃
底と、該刃底に続いて第2すくい面に対して35゜以上
の角度で立ち上がり刃体逃げ面に接続された平面または
刃室をそれ以上に広げる形状の曲面からなる背部とを形
成してなり、第1すくい角γ゜と第2すくい角γ
とがγ゜−γ゜≧25゜の関係であって第1すくい
面の長さSがほぼ0.3〜0.5mm、刃底の深さが
鋸刃ピッチの30〜40%にしてなり、第1すくい面で
削り出された切粉が第2すくい面上を沿って段部で持ち
上げられ刃底に拘束されない流れで渦巻きを形成するよ
うになした鉄鋼材料切断用超硬質チップ付丸鋸である。
作用 本願構成では、第1すくい面の長さSをほぼ0.3〜
0.5mmとし、かつ第1すくい角γ゜と第2すくい
角γ゜とがγ゜−γ゜≧25゜、刃底の深さを鋸
刃ピッチの30〜40%となるように形成したので、第
1すくい面上での切粉接触長さが短く制限され、かつ第
2すくい面の第1すくい面に隣接する部分での接触がな
く、切粉は第2すくい面につづく段部で持ち上げられて
刃底を滑らかに流れて渦巻きが形成される。
凝着剥離の原因の究明 (1)切粉が十分に短くても発生する凝着剥離の原因 特開昭56-27727号のような一般材の切断に用いられる鋸
刃の場合は、切粉が十分に短い状況、即ち刃室内におい
て切粉の流れが全く制約されない状況においても凝着剥
離が発生する。この現象を解明するための円形断面材の
切断開始直後鋸刃を戻して、その切粉と刃先を詳細に観
察した結果、この原因が判明した。この種の鋸刃では第
1すくい角が−15〜−18゜、第1すくい面の長さが
1.0〜2.0mm程度にとられているので、第1すく
い面での切粉の接触長が長いものとなって、切削抵抗が
大きくなり、また切削熱の発生が大きく、第4図(イ)
のように切粉が短い時でもディスエンゲージの瞬間、即
ち生成される切粉がなくなり後から押し出す力が消滅し
て切粉の流動が止まる瞬間に刃先(第1すくい面)に溶
着する。このように溶着した成粉を指でつまんで剥がす
と、切粉に超硬片が付いてきて、第1すくい面に穴が残
る(凝着剥離)ことが認められた。
鉄鋼材料を切断する丸鋸剥切断機には、一般に切粉を強
制排出する目的で回転式のスチールワイヤブラシが取り
付けられている。これは鋸刃の刃室内にブラシが入り込
み、切粉を撥ねだすようになっているもので、排出力の
強いモーター駆動回転式と鋸刃の回転によりブラシがゆ
っくり回転する方式(従動式)とがある。
上記のように溶着した切粉はモーター駆動回転式ブラシ
で強制排出することは可能であるがディスエンゲージか
らブラシに至るまでの僅かな時間に溶着部の温度が降下
し、強い凝着状態になるので、切粉排出はできても刃先
には確実に凝着剥離が生ずる現象を種々実験によって確
認し、その原因を究明することができた。
(2)切粉が長くなった時に生ずる凝着剥離の原因第1す
くい面の長さSをほぼ0.3〜0.5mmとし、かつ
第1すくい角γ゜と第2すくい角γ゜とがγ゜−
γ゜≧25゜となるようにしても、切粉が長くなり刃
室内で切粉の流れが制約される状況になると、切粉溶着
の別の原因が発生することが実験結果から判明した。例
えば第8図に示した従来技術のSD2-3では刃先での直接
の溶着は起こりにくいはずであるが、実際には刃先で溶
着し急速に刃先損傷が生じる。この原因を解明するため
種々実験し研究した。
第4図(ロ)に示すように高温の切粉が台金と接するB
で強い摩擦を生ずる結果、ディスエンゲージの瞬間に切
粉の流れが止まった時、B部に摩擦溶接ような溶着が起
きることが判明し、このような切粉に対てはB部に溶着
痕が確認された。また背部の立ち上がりの角度が小さい
場合には切粉は刃室いっぱいに広がり、渦状になった設
粉が立ち上がり部Cとすくい面とに挟まれて拘束状態と
なることによりディスエンゲージ時に切粉の動きが止ま
ることが判明した。
丸鋸切断においては、ディスエンゲージの寸前に刃室が
挽き溝の外へ出るので切粉は弾性変形エネルギによりす
くい面に沿ってとびだすか、また刃先を中心として回転
しながらとびだすような力を受ける。しかし上記のよむ
に刃室形状に起因する台金との溶着あるいは拘束によ
り、このような切粉の動きが止まる現象により、切粉の
最終部が第1すくい面に密着し形のままディスエンゲー
ジするので、そのまま密着しブラシの位置に至るまでの
間に強い溶着状態となる。溶着ま強く起きると、駆動式
ブラシでも切粉は排出されず次のエンゲージ時に噛みこ
みとなり通常の刃先欠損の原因となるとともに、早期に
凝着剥離を生じることが究明された。
このような知見により各部の形成数値による個々の作用
でなく全体の作用の相乗効果によって本発明の目的が達
成できることが以下の実験から確信を得た。
○実験条件 ・供試鋸刃 直径×鋸厚×刃数 φ700×6.0×64(SD2-3) φ676×6.5×64(SDT-1) φ668×6.35×64(SDT-2〜SDT-5) 第1すくい角γ゜;−20゜(角鋸刃に共通) 第2すくい角γ゜;+10゜(各鋸刃に共通) 第1すくい面の流さS;0.30mm(各鋸刃に共通) ・被切断材 13Cr鋼ビレット 直径;φ180 ・切断条件 鋸刃回転数N=31.5RPM(切削速度;66〜69m/min) 鋸刃送り速度F=161mm/min (1刃当たり送りS=0.08mm) 切削液 無し(完全乾式) ○実験結果を第8図に示す。
切粉の付着範囲は1カットの中で前半部は、切粉の長い
状況でも自然排出しやすい。この理由は切粉排出阻害要
因として、ぜんまい状の切断ばりが作用しているためで
ある。
第9図に切断ばりの発生状況と切粉の状態をSD2-3を例
に示した。丸棒切断の前半部は切断ばりが発生しないた
めディスエンゲージの瞬間と同時に切粉が外に飛び出
し、切粉は付着しない。ところが、丸棒中央部から丸棒
外皮の切断ばりが発生する。そのためディスエンゲージ
瞬間の切粉は切断ばりに邪魔され、その通過分だけ、外
に排出可能な時間が遅れ、切粉が刃袋内に止まっている
間に台金と溶着する。
この棒にSD2-3では前述した第4図(ロ)のBでの合金
との接着が起き、SDT-1では同図のBでの溶着とCでの
拘束が生じてチップA部に溶着が起きる。チップに段差
を設けても段部の長さがゼロだと格別の効果を奏しな
い。
SDT-2は背部立ち曲がり角θを大きくした効果が現れて
いる。SDT-3およびSDT-4は刃室の深さまたは背部立ち上
がり角θを変えたものであるが、SDT-2と比べ目立った
違いは認められない。このSDT-2〜SDT-4の刃部形状では
切粉が最も長くなる切断領域で段差に連続する台金部に
若干の溶着が生ずる。
段部を長くしたSDT-5では、切粉が最も溶着しやすい台
金部分にほぼ接触することなく通過するようになり、こ
の部分での溶着原因を解消できた。またSDT-5は背部立
ち曲がり角が十分に大きいので、切粉の拘束も起きるこ
とがなく従って刃先の溶着を完全に解消したので、50カ
ットして凝着剥離を生じなかった。
実施例第1 以下本発明の実施例を比較的大きな被削材に使用する場
合を第1,第2,第3図にもとづき説明する。
台金1の円周上等間隔に多数の刃体部2が形成され鋸刃
として超硬チップ3がその一部を台金に埋設して再研磨
を数回以上行えるように研磨代を確保するとともにろう
付けによって刃体部に固着され、鋸刃すくい面より刃室
5が刃底5aに切粉が深くはまり込み排出困難にならな
いように滑らかな曲線で浅く削設され平面の背部5bを
介して刃体逃げ面4に接続されている。
この鋸刃の超硬チップ3は切刃頂部に第1すくい角γ
゜で長さSの第1すくい面3aをつくり、第1すくい
面に続いて第2すくい角γ゜で長さSの第2すくい
面3bをつくり、さらに第2すくい面3bに続いて斜面
の段差3gで一段高くなる段部3cをつくる。また第1
すくい面3aに対し後側に逃げ角γの逃げ面3dが形
成される。そして超硬チップ3の巾の両端部にチッピン
グを防止するため大きなSの面取り3eを第1すき面
3aから逃げ面3dにわたって行う。さらに切刃頭部の
第1すくい面3aから逃げ面3dにかけ鋸刃の巾中央よ
り1刃おきに相互に左右に偏して切粉分離溝3fが削設
されている。刃室5の刃底は段部3cの段差3gより長
さS下がった位置から凹面で刃室深さが切刃の外接円
からdで円滑な大きな曲面をなし、刃底5aに続き背部
5bが第2すくい面3bと角θで立ち曲がり隣の刃体2
の逃げ面4に接続されている。
このように超硬チップ3及び刃室5が形成された本実施
例において各部の角度,長さは第1表のようである。
なお本表は、丸鋸刃直径がおよそ600φ〜1200φで刃数
が40〜80個であり、刃ピッチPがおよそ30mm〜90mm
となる鋸刃で、1刃当たりの送りSが0.10mm〜0.16mm
の条件で使用される場合に好適な数値を示すものであ
る。被削材は凝着性の強い難切削鋼で、その大きさはお
よそ100φ〜300φである。
〔表1の説明〕 ・γ=−20゜〜−30゜ 凝着性の強い難切削鋼の場合、γが大きくなると、切
削初期段階に切削速度が比較的低い場合、刃先がチッピ
ングする低速性欠損が生じやすい。
γが小さくなると、切削による発熱が大きくなって刃
先が凝着剥離しやすい。また、熱サイクルの振幅が大き
くなって熱クラックが発生し、そこから刃先がチッピン
グしやすくなる。
以上の欠損が最も起きにくい範囲が試験によれば刃先強
度の面からもγ=−20゜〜−30゜が好適である。
・S=0.3mm〜0.5mm 凝着性の強い難切削鋼例えば低炭素13%クロム鋼(フ
エライト系ステンレス鋼)或いはSUS304(オース
テナイト系ステンレス鋼)等を切断する場合、一般に1
刃当たりの送りSz=0.10mm〜0.16mmであり、すくい面
長さが十分に長いと仮定した場合の切粉とすくい面の接
触長さはおよそSzの6倍前後である。この「本来の接
触長さ」の半分程度に、第1すくい面の長さSを決め
る。
即ち、 S=6×(0.10〜0.16)/(2=1.3〜0.5 第1すくい面の長さSを「本来の接触長さ」の半分程
度にする理由は、Sがこれより短くなるほど第2すく
い面の第1すくい面との隣接部への切粉の接触が強くな
りその結果、切粉生成状況が不安定になり切削抵抗が激
しく変動して、機械系のびびり振動(再生びびり、又は
連成びびり)を引き起こす原因となる。特にねばい材料
でびびりが起きやすい。例えば前記第8図の実験条件の
場合、S=0.30であるが、S=0.08及び0.10だとび
びりの発生はなく、S=0.12では、被切断材中央辺の
切断時に大きなびびりを生じた。
がこれより大きくなると、第1すくい面上の接触長
さが長くなりすぎ、切削抵抗の増大による溶着,凝着剥
離が起きる。
・γ=+5゜〜+15゜ γ−γが25゜以上になるようにする為、+5゜以
上とする。γが15゜以上だと凝着性の強い難切削鋼
に対して刃先強度が不足する。
・S=2mm〜6mm 切粉を適切に待ち上げる範囲。Sが小さすぎると段部
に強く当たって切粉に不必要な力がかかる。それを避け
るのに2mm以上あれば十分。長くなりすぎると段部で持
ち上がらない。
・S=1mm以上 段部で持ち上げた切粉がmが強く接触するのを防止する
ためである。
・S=0.3mm〜1.0mm 小さいと段差の効果がでず、大きいと段差に切粉が強く
接触して切粉に不必要な力がかかる。また段差部の研削
能率の面でも深くすることは好ましくない。
・γ=3゜〜10゜ 小さいと摩耗が早い。大きいと刃先が外逃げ面方向にチ
ッピングしやすい。
・θ=35゜以上 刃室内の渦状の切粉が刃底に拘束されることなく流れ、
ディスエンゲージの時に切粉を容易に刃室の外に排出さ
せるためである。
・d=0.3P〜0.4P 即ち鋸刃ピッチPの30%
〜40% 切粉が刃室に拘束されず、外に飛びやすい深さである。
・S=0.15mm〜0.3mm かどのチッピングの防止。大きすぎるとかどの第1すく
い面の長さが小さくなってその部分がチッピングしやす
い。
作用 このような形状の超硬チップ3をろう付した丸鋸で材料
を切断すると、材料は鋸刃の1刃1刃によって切削され
切粉分断溝3fによって切粉が細段されるとともに、第
1図のように第1すくい面3aで削り出された切粉は第
2すくい面3bの表面に沿って斜面の段差3gで持ち上
げられ前方へ誘導される。このため刃底のmの間では接
触せず、mの前方に斜めから刃底・背部に接触するので
無理なく刃室内で渦状になり溶着することなく冷却され
る。段差部3gは長さが短かく、また超硬質材料である
ので溶着迄には達しないで冷却された渦状の切粉は背部
5bの立ち上がり部が十分大きな角度でひらいているの
で拘束状態になることなく排出される。切味が低下した
時は、逃げ面4とともに超硬チップ3の逃げ面3d及び
第1すくい面3aを研削し、新しい切刃を形成し必要に
より第2すくい面3bを研削し、次いで第2すくい面の
長さSを確保するため段差3gの斜面を研削したあ
と、刃室5の刃底部を深さdが0.3P〜0.4P即ち
鋸刃ピッチPの30%〜40%で大きな曲率の曲面から
平面に立ち上がり刃体部2の逃げ面4に続ける。そして
第1すくい面3aに切粉分断溝3fを研削して新しい切
刃を形成し、数回以上の再研磨を行い第3図の状態迄使
用するものである。
次に確認試験切削結果の一例を示す。
γ=−20゜,γ=+10゜,S=0.4mm,S
=5mm,S=2mm,S=0.5mm,γ=5゜,
θ=35゜,P=34.9mm,d=13mm,S=0.2mmと
した鋸刃直径710φmm、刃数64、鋸刃厚さ6.5mmの
丸鋸により鋸刃回転数32r.p.m.(切削速度71.3m/
分)、送り速度246mm/分(1刃当たりの送りS=0.1
2mm)の条件で、従来は超硬チップ付丸鋸による切断が
実質的に不可能であった低炭素系13%クロム鋼の直径
180φ材を100カット以上切断できた。なおこの間、機械
系のびびりが発生することはなく、切断能率および刃先
寿命が満足された。
実施例第2 30φ〜100φ程度の比較的小径の鋼材に使用する場合を
第5図にもとづき説明する。実施例第1と対応する部位
には同符号を付して説明を省略する。前記に対し特に顕
著な変更となる部分は第2すくい面Sの長さを短くし
段差3gの形状を第2すくい面3bに接する円弧とし、
円弧部の深さ即ち段差Sを少し大きくなるようになし
たものである。この変更の理由は、実施例1にくらべ刃
先端から刃底までの距離dが相当に短くなるのに対し、
実施例1とほぼ同じ厚さで、短い切粉即ち剛性の相当に
大きい切粉が段差3gに到達するので、段差の作用を強
くして、切粉が刃低に強く当たることなく、前方へ誘導
れるのを確実にするためである。本実施例の各部の角
度,長さは第2表のようである。
なお本表は丸鋸刃直径がおよそ200φ〜400φで、刃数が
40〜120個であり、鋸刃のピッチがおよそ10mm〜30mmと
なる鋸刃で、1刃当たりの送りがS=0.08mm〜0.14mm
となる切断条件で使用されるのに好適な数値を示す。
実施例第1のように第1すくいの面の長さSを決める
とS=6×(008〜0.14)/2=0.24〜0.42となる。
本規定値のSの下限値0.2は第2すくい面の角度を
正確に形成し且つ第2すくい面の機能を確実にするのに
必要な最小の長さであって、円弧Rの大きさとともに最
も重要である。このため研削砥石の成形を適宜行って砥
石形状の維持に注意する必要がある。またチップ焼結時
にS1,S2,R,Sの各部を規定値となるように成形
することも可能で経済的となり、すくい面S1,S
表面処理によりTiC若しくはTiN等の薄層で被覆す
ることにより刃先耐久性が増大する。
次いで確認試験切削結果の1例を示す。
γ=−20゜,γ=+8゜,S=0.40mm S=0.20mm,R=2.5mm,S=0.4mm S=0.6mm,γ=5゜,θ38゜ d=6.5mm,P=16.65mm とした鋸刃直径350φmm,刃数66,鋸刃厚さ3.5mm
の丸鋸によ、難切削鋼中最も凝着性の強い材料であるS
US304鋼の75φの材料の切断試験を行った。短い
第2すくい面につづく段差3gのR面により切粉が高温
状態で持ち上げられ切粉が短い間は適度にカールし、切
粉が長くなる過程で次第に刃室内での制約により順次大
きな渦状になる。従来高速度鋼製丸鋸刃(メタルソー)
で、多量の切削液を切削部に流し、10m/min前後の
遅い切削速度で切断されていたものが、切削液を流すこ
となく50m〜70m/minの切削速度で1刃当たりの送
りS=0.08mm〜0.14mmで切粉がつまり溶着することな
く順調に約1000カット切断することができた。
効果 以上詳述したように本発明は第1すくい面につづく第2
すき面にさらに続いて段差により切粉を持ち上げる段部
を形成し、第1すくい面を短くし第1すくい角と第2す
くい角との差を大きくとり背部の立ち上がり角を大きく
して刃室をそれ以上に広げる形状として第1すくい面上
での切粉接触長を短くし、第2すくい面の第1すくい面
に隣接する部分での接触をなくしたので、角部位の決定
された寸法による作用の相乗効果により刃室で切粉が拘
束状態になることなく且つ高温の切粉が台金に強く接触
しない。したがって刃先が被削材から抜ける瞬間すなわ
ちデイスエンゲージの瞬間に切粉の長短にかかわらず切
粉が刃先に溶着することがなく、従って凝着剥離が発生
することがなく凝着性の強い難切削鋼においても超硬の
もつ特性を十分に活かして50m〜70m/min以上の一
般材に近い切断速度で加工を行うことができた。
また切削油を噴出させたり、流したりする必要なく切削
油なしで切断することができ従来、超硬チップ付丸鋸を
使用している機械にそのまま使用でき機械に余分の付属
品,新たな手直しを行うことを要しない等顕著な効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の刃部を示す図、第2図は第1図のII−
II線視図、第3図は鋸刃の最終の再研削状態図,第4図
は従来の鋸刃による切屑の状態図、第5図は実施例第2
の刃部を示す図、第6図は実験切削時の刃部形状を示す
図、第7図は実験切削時の切粉付着の範囲を示す図、第
8図は実験結果を示す図表で、第9図は切断ばりの発生
と従来技術の丸鋸の切粉状態を示す図である。 1……台金、2……刃体部 3……超硬チップ、5……刃室 3a……第1すくい面 3b……第2すくい面、3c……段部 3d……逃げ面、3g……段差 5a……刃底、5b……背部 3f……切粉分断溝
フロントページの続き (72)発明者 大石 雄弘 愛知県丹羽郡大口町大字小口字定光寺8番 地 兼房刃物工業株式会社大口工場内 (56)参考文献 特開 昭56−27727(JP,A) 兼房刃物工業株式会社「超硬刃コールド ソー」(昭和60年4月10日発行)P.12

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】台金の外周等間隔に設けた刃体に固着した
    超硬質材料でなるチップの第1すくい面に続く第2すく
    い面にさらに続いて底側に高くなる段差のある段部を形
    成し、この段差位置より少し離れた段部の下位置から円
    滑な曲面の刃底と、該刃底に続いて第2すくい面に対し
    て35゜以上の角度で立ち上がり刃体逃げ面に接続され
    た平面または刃室をそれ以上に広げる形状の曲面からな
    る背部とを形成してなり、第1すくい角γ゜と第2す
    くい角γ゜とがγ゜−γ゜≧25゜の関係であっ
    て第1すくい面の長さSがほぼ0.3〜0.5mm、
    刃底の深さが鋸刃ピッチの30〜40%にしてなり、第
    1すくい面で削り出された切粉が第2すくい面上に沿っ
    て段部で持ち上げられ刃底に拘束されない流れで渦巻き
    を形成することを特徴とする鉄鋼材料切断用超硬質チッ
    プ付丸鋸。
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