JPH06203668A - 酸化物超電導体の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体の製造方法

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JPH06203668A
JPH06203668A JP5001660A JP166093A JPH06203668A JP H06203668 A JPH06203668 A JP H06203668A JP 5001660 A JP5001660 A JP 5001660A JP 166093 A JP166093 A JP 166093A JP H06203668 A JPH06203668 A JP H06203668A
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JP
Japan
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raw material
oxide superconductor
material rod
density
crystal
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JP5001660A
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English (en)
Inventor
Hisao Nonoyama
久夫 野々山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chodendo Hatsuden Kanren Kiki Zairyo Gijutsu Kenkyu Kumiai
Original Assignee
Chodendo Hatsuden Kanren Kiki Zairyo Gijutsu Kenkyu Kumiai
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】 【目的】 より均一な太さで、より高い結晶配向性を有
し、かつ高い臨界電流値等を有する酸化物超電導体を製
造する方法を提供する。 【構成】 酸化物超電導体を構成する原材料からなり、
かつ酸化物超電導体の理想的完全結晶密度に近い密度か
らなる原料棒を準備する。次に、原料棒の少なくとも一
部にレーザビームを照射して、原料棒の一部を溶融させ
る。次に、原料棒の溶融部分から結晶を引上げて成長さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体の製造
方法に関し、特に優れた超電導特性を有する酸化物超電
導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、より高い臨界温度を示す超電導材
料として、セラミックス系のものが注目されている。こ
のようなセラミックス系超電導材料から、所望の形状を
有する超電導体を得ようとする場合、原材料のセラミッ
クス粉末をプレス成形した後に焼結する、焼結法が一般
に採用されている。
【0003】しかしながら、このような焼結法では、粉
末を圧縮して成形するものであるため、超電導材料中に
ボイドが残り、緻密なものが得られにくく、超電導特性
の向上には限界がある。
【0004】かかる問題を解決する技術としては、レー
ザペデスタル法が知られている。図1は、Materials Sc
ience and Engineering, B5 (1990), page 351〜page
357に記載されるレーザペデスタル法を概略的に示す工
程図である。図1を参照して、まず、図1(a)に示す
工程において、酸化物超電導体を構成する原材料粉末を
プレス成形した後に加熱し焼結させた原料棒1を準備す
る。次に、原料棒1の一部に、たとえば、CO2 レーザ
ビームを照射して、原料棒1の一部を溶融し、溶融部分
2を形成する。次に、酸化物超電導体の種結晶3を溶融
部分2に押し当てる。次に、図1(b)に示す工程にお
いて、種結晶3を溶融部分2から引上げるとともに、原
料棒1から一定の組成を有する溶融部分2を補給しなが
ら、酸化物超電導体の結晶ファイバ4を引上げて成長さ
せる。
【0005】従来、この種のレーザペデスタル法では、
原料棒としては、酸化物超電導体を構成する原料粉末を
プレス成形した後、加熱し焼結させた焼結体が用いられ
ている(Materials Science and Engineering, B5 (19
90), page 351〜page 357参照)。また、たとえば、Ja
panese Journal of Applied Physics Vol 29, No.11,No
vember, 1990, pp.L2013 〜pp.L2061には、原料棒とし
て、酸化物超電導体を構成する原材料粉末をプレス成形
した後、加熱し焼結させた焼結体を、さらにゾーンメル
ト法にて溶融し、凝固したものを用いたレーザペテスタ
ル法が記載されている。また、たとえば、特開平1−2
87233号公報には、原料棒として、酸化物超電導体
を構成する原材料粉末を加熱し溶融し、得られた溶融液
を急冷することによりアモルファス状態にしたものを用
いた酸化物超電導体ファイバの製造方法が記載されてい
る。
【0006】このようなレーザペデスタル法によれば、
原料棒を一旦レーザビームを用いてその一部を溶融し、
その溶融部分に種結晶を押し当てた後、種結晶を引上げ
ることにより、溶融液を一方向に凝固させて結晶化して
いるので、焼結法に比べると密度の高い緻密な結晶配向
正に優れた酸化物超電導体を製造することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のレーザペデスタル法に用いる原料棒の内部には
ボイドが多数存在する。これは、酸化物超電導体を構成
する原材料粉末を、たとえば、加熱して焼結体にする
と、焼結する際の結晶粒の粗大化とともに粒界に気孔が
残るからである。
【0008】このような内部に多数のボイドが存在する
原料棒にレーザビームを照射し、溶融部分を形成する
と、時間当りの溶融部分量(以下、「メルト量」とい
う)に不均一が生じ、このメルト量の不均一が原因し
て、成長側の酸化物超電導体の長さ方向の各部分の径の
分布が不均一になったりする。
【0009】また、内部に多数のボイドが存在する原料
棒にレーザビームを照射し、溶融部分を形成すると、ボ
イド内の気圧が、大気圧であれば、この溶融液は、ボイ
ドから形成された大きな気泡を多数含むことになる。こ
の溶融液中の気泡は、レーザペデスタル法に従って、酸
化物超電導体の結晶を引上げ成長させる際に、そのまま
成長側の酸化物超電導体中へボイドとして取込まれる。
【0010】このように、酸化物超電導体の直径が不均
一になったり、また、酸化物超電導体の内部にボイドが
含まれると、これらが原因して、酸化物超電導体の結晶
組織の配向性が乱れる。このため、従来のレーザペデス
タル法に従って製造される酸化物超電導体は、高い臨界
電流値が得られない等の問題があった。
【0011】また、特開平1−287233号公報に記
載される酸化物超電導ファイバの製造方法では、原料棒
として、アモルファス状の原料棒を用いている。アモル
ファス状の原料棒は、ボイドの少ない緻密なものである
と考えられるため、特開平1−287233号公報に記
載される酸化物超電導体ファイバの製造方法に従えば、
酸化物の超電導体の結晶組織の配向性の乱れのない、高
い臨界電流値を有する酸化物超電導体を製造することが
できる。しかしながら、たとえば、Bi系超電導体を製
造する場合において、直径が3mm、長さが30cm程
度の原料棒を形成する場合、原材料粉末を溶融した後、
冷却する条件が問題となり、アモルファス状態の原料棒
自体を形成するのが困難であるという問題がある。
【0012】本発明の目的は、上記した問題を解決する
ためになされたものであって、より均一な太さで、より
高い結晶配向性を有し、かつ高い臨界電流値等を有する
酸化物超電導体を製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に従う酸化物超電
導体の製造方法は、酸化物超電導体を構成する原材料か
らなり、かつ酸化物超電導体の理想的完全結晶密度に近
い密度からなる原料棒を準備する工程と、原料棒の少な
くとも一部にレーザビームを照射して、原料棒の一部を
溶融させる工程と、原料棒の溶融部分から結晶を引上げ
て成長させる工程とを備える。
【0014】本明細書で用いる用語「理想的完全結晶密
度」は、数学的立場で、三次元の周期性が完全で、無限
に広がった格子図形から計算により算出される理論上の
密度を意味する。たとえば、Bi2 Sr2 Ca1 Cu2
X 組織の超電導体のペロブスカイト型結晶では、理想
的完全結晶密度は、6.55g/cm3 と計算される。
【0015】また、原料棒を準備する工程は、好ましく
は、酸化物超電導体を構成する原材料粉末を準備する工
程と、総圧1torr以下の雰囲気下で、原材料粉末を
加熱して結合し、原料棒を形成する工程とを備える。
【0016】総圧1torr以下の雰囲気下で、原材料
粉末を加熱して結合し、原料棒を形成した場合は、原料
棒の内部にほとんどボイドが存在せず、またボイド内の
気圧も1torr以下となるため、原料棒の少なくとも
一部にレーザビームを照射して、原料棒の一部を溶融さ
せても、この溶融液は、ほとんど気泡を含まない。
【0017】他方、総圧1torrより高い気圧の雰囲
気下で、原材料粉末を加熱し、原料棒を形成した場合
は、原料棒の内部にボイドが存在し、またボイド内の気
圧も1torrより高い気圧を有するため、原料棒の少
なくとも一部にレーザビームを照射して原料棒の一部を
溶融した場合、この溶融液は、気泡を含むため、成長側
の酸化物超電導体中へもこの気泡がボイドとして取込ま
れるため好ましくない。また、原材料粉末を加熱して結
合し、原料棒を形成する工程は、原料粉末をプレス成形
し、焼結させて原料棒を形成してもよく、また原料粉末
をプレス成形した後溶融させて凝固することにより原料
棒を形成してもよい。また、より好ましくは、まず、原
材料粉末をプレス成形し、焼結させた後、得られた焼結
体について、その融点以上の温度で加熱することによっ
て溶融させ、その後凝固することにより原料棒を形成す
る。
【0018】また、酸化物超電導体の理想的完全結晶密
度に近い密度は、酸化物超電導体の理想的完全結晶密度
の95%以上の密度であることが好ましく、より好まし
くは、97%以上の密度である。酸化物超電導体を構成
する原材料からなる原料棒として、酸化物超電導体の理
想的完全結晶密度の95%以上の密度からなる原料棒
は、原料棒の内部に、ボイドをほとんど含んでおらず、
この原料棒の少なくとも一部にレーザビームを照射し
て、原料棒の一部を溶融した場合、この溶融液はほとん
ど気泡を含んでおらず、成長側の酸化物超電導体は、そ
の内部にボイドがほとんど存在しない。
【0019】他方、酸化物超電導体を構成する原材料か
らなる原料棒として、酸化物超電導体の理想的完全結晶
密度の95%未満の密度である原料棒は、原料棒の内部
にボイドを含んでおり、この原料棒の少なくとも一部に
レーザビームを照射して、原料棒の一部を溶融した場
合、この溶融液中の気泡が原因して、成長側の酸化物超
電導体の太さが不均一になったり、また、酸化物超電導
体の内部にボイドが含まれ、これらが原因して、酸化物
超電導体の結晶組織の配向性が乱れ、好ましくない。ま
た、酸化物超電導体を構成する原材料からなる原料棒と
して、酸化物超電導体の理想的完全結晶密度の97%以
上の密度からなる原料棒は、原料棒の内部にボイドをほ
とんど含んでおらず、この原料棒の少なくとも一部にレ
ーザビームを照射して、原料棒の一部を溶融した場合、
この溶融液はほとんど気泡を含んでおらず、成長側の酸
化物超電導体は、その内部にぼいどがほとんど存在しな
い。そして、酸化物超電導体の理想的完全結晶密度の9
7%以上の密度からなる原料棒を用いて形成される酸化
物超電導体は、たとえば、Bi系の超電導体の場合、臨
界電流値(Ic)が400A(77K、0T)を達成す
ることができる等、高い超電導特性を有する。
【0020】
【作用】本発明に従う酸化物超電導体の製造方法では、
酸化物超電導体を構成する原材料からなり、かつ酸化物
超電導体の理想的完全結晶密度に近い原料棒を準備して
いる。したがって、本発明の従う原料棒は、その内部に
ボイドをほとんど含んでおらず、またそのようなボイド
が存在していてもボイド内の気圧は非常に低い。
【0021】したがって、この原料棒の少なくとも一部
にレーザビームを照射して、原料棒の一部を溶融させた
場合、この原料棒はボイドをほとんど含んでいないた
め、メルト量が均一となる。したがって、原料棒の溶融
部分から結晶を引上げて成長させた酸化物超電導体の長
さ方向の各部分の径の分布は均一となる。
【0022】また、この原料棒の少なくとも一部にレー
ザビームを照射して、原料棒の一部を溶融させた場合、
この溶融液は、気泡をほとんど含んでいない。したがっ
て、本発明に従って製造される酸化物超電導体は内部に
ボイドをほとんど含まない。
【0023】本発明に従って製造される酸化物超電導体
は、太さが均一であり、またその内部にボイドをほとん
ど含んでいないため、酸化物超電導体の結晶組織の配向
性が高く、その結果、高い臨界電流値等の優れた超電導
特性を有する。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、以下の実施例は、本発明を説明するために用
いるものであって、本発明は以下の実施例によっては何
ら限定されることはない。
【0025】実施例1 Bi2 Sr2 Ca1 Cu2 X 組成の仮焼粉末をAu−
10%Pd坩堝に充填し、総圧1torr雰囲気下で7
50℃までゆっくり加熱し、750℃×5時間の焼結を
行なった後、さらに、950℃まで温度を上げて粉末を
溶融した。この溶融を行なっている間に、Au−10%
Pd棒にてメルトを数回撹拌した。1時間の溶融後、同
雰囲気内で急冷し、同坩堝に仮焼粉末を再充填し、上記
と同様な操作を再び繰り返した。以上の操作は坩堝に溶
融凝固体が十分満たされるまで繰り返した。その後、取
出した溶融凝固体を2.7mm角×35cm長に切出
し、これをレーザペデスタル法の原料棒とした。この時
点で、この原料棒の密度は、理想的完全結晶密度に対し
て95%であった。次に、この原料棒を用い、レーザペ
デスタル法により30mm/hの速さにて結晶を成長し
たところ、直径が3mmで、長さが35cmの、直径が
一定の成長棒が製造でき、その密度を測定したところ、
理想的完全結晶密度に対して98%であった。これを大
気中で、840℃×200時間のアニール後、臨界電流
値を測定したところ、25cmの長さにわたって、臨界
電流密度(Jc)は、約5700A/cm2 であり、臨
界電流値(Ic)は、400A(77.3K、0T)で
あった。
【0026】比較例1 Bi2 Sr2 Ca1 Cu2 X 組成の仮焼粉末をAu−
10%Pd坩堝に充填し、大気雰囲気中で、850℃ま
でゆっくり加熱し、850℃×5時間の焼結を行なった
後、さらに、1050℃まで温度を上げて粉末を溶融し
た。この溶融を行なっている間に、Au−10%Pd棒
にてメルトを数回撹拌した。1時間の溶融後、同雰囲気
内で急冷し、同坩堝に仮焼粉末を再充填し、上記と同様
な操作を再び繰り返した。以上の操作は、坩堝に溶融凝
固体が十分に満たされるまで繰り返した。その後、取出
した溶融凝固体を2.7mm角×35cm長に切出し、
これをレーザペデスタル法の原料棒とした。この時点
で、この原料棒の密度は、理想的完全結晶密度に対して
86%であった。次に、この原料棒を用い、レーザペデ
スタル法により30mm/hの速さにて結晶を成長した
ところ、直径が3mmで、長さが35cmの成長棒が製
造できたが、表面には凹凸が多く、内部にはボイドが多
く見られ、理想的完全結晶密度に対して87%であっ
た。大気中にて、840℃×200時間のアニール後臨
界電流値(Ic)を測定したところ、25cmの長さに
わたって、臨界電流密度(Jc)は、約570A/cm
2 であり、臨界電流値(Ic)は40A(77K、0
T)であった。
【0027】比較例2〜5 比較例2〜5は、実施例1の好ましいアニール条件を求
めるために行なわれたものである。実施例1と同様の方
法で、直径が3mmで、長さが35cmの成長棒を製造
し、表1に示す条件でアニールを行なった。結果を表1
に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1の結果より明らかなように、成長棒
を、酸素分圧0.05気圧以上の雰囲気中、800℃〜
870℃の温度範囲で50時間以上のアニールするのが
好ましい。成長棒は、アニールにより、結晶性、粒界の
結合性等を改善させることができ、アニール後に形成さ
れる酸化物超電導体はアニール前の酸化物超電導体に比
べ、超電導特性をより向上することができる。なお、こ
のアニールにおいて、超電導相の合成も行なわれている
ため、超電導相の体積率を大きくするためには、50時
間以上のアニールをするのが好ましい。
【0030】実施例2 Bi2 Sr2 Ca1 Cu2 X 組成の仮焼粉末を静水圧
プレス法にて、直径5mm、長さ35cmに成形し、総
圧1torrの雰囲気中にて750℃までゆっくり加熱
し、750℃×5時間の焼結を行なった後、炉冷し、焼
結体を製造した。この焼結体を用いて、総圧1torr
の雰囲気下にて、30mm/hの速さで、結晶を成長し
た。得られた成長棒の表面には、多少の凹凸があったの
で、その凹凸をなくすべく研摩し、これをレーザペデス
タル法の原料棒とした。この時点で、この原料棒の密度
は、理想的完全結晶密度に対して97%であった。次
に、この原料棒を用いて、レーザペデスタル法により3
0mm/hの速さで、再び、結晶を成長したところ、直
径が2.9mmで、長さが30mmの、直径が一定で、
密度が、理想的完全結晶密度に対して98%である成長
棒が製造でき、大気中にて、840℃×200時間のア
ニール後臨界電流値(Ic)を測定したところ、25セ
ンチメートル長さにわたって、臨界電流密度(Jc)
は、約5700A/cm2 であり、臨界電流値(Ic)
は、375A(77K、0T)であった。
【0031】なお、上記した実施例以外の種々の実験を
行なったが、原料棒中に、ボイドが存在する場合は、レ
ーザペデスタル法に従って、酸化物超電導体を製造する
と、原料棒中に存在するボイドが、成長側の酸化物超電
導体の内部に取込まれる。
【0032】原料棒として、酸化物超電導体の理想的完
全結晶密度の97%以上の密度を有する原料棒を用い、
レーザペデスタル法に従って製造された酸化物超電導体
は、理想的完全結晶密度の97%以上の密度を有する。
本発明に従えば、成長側の酸化物超電導体の径の大きさ
にもよるが、たとえば、直径が3mmで、結晶成長速度
が30mm/hで製造された酸化物超電導体の臨界電流
密度(Jc)は、約5700A/cm2 であり、臨界電
流値(Ic)は、400A(77.3K、0T)であ
る、酸化物超電導体を製造することができる。
【0033】これに対して、原料棒として、酸化物超電
導体の理想的完全結晶密度の95%の密度を有する原料
棒を用い、レーザペデスタル法に従って製造された酸化
物超電導体は、たとえば、直径が3mmで結晶成長速度
が30mm/hの場合、酸化物超電導体の臨界電流密度
(Jc)は、約2800A/cm2 であり、臨界電流値
(Ic)は200A(77.3K、0T)である。
【0034】また、原料棒として、酸化物超電導体の理
想的完全結晶密度の93%の密度を有する原料棒を用
い、レーザペデスタル法に従って製造された酸化物超電
導体は、たとえば、直径が3mmで、結晶成長速度が3
0mm/hの場合、酸化物超電導体の臨界電流密度(J
c)は、約1800A/cm2 であり、臨界電流(I
c)は、130A(77.3K、0T)である。
【0035】上記データから明らかなように、原料棒と
して、酸化物超電導体の理想的完全結晶密度の95%未
満の密度を有する原料棒を用いた場合は、レーザペデス
タル法に従って製造された酸化物超電導体の臨界電流密
度(Jc)、臨界電流値(Ic)が低下する。これは、
酸化物超電導体の内部に取込まれたボイドが、電流パス
の妨げとなるだけではなく、酸化物超電導体の単位体積
当りのわずかなボイド量の際により、酸化物超電導体の
結晶配向性が悪化するためである。
【0036】酸化物超電導体を、たとえば、パワーリー
ド等に適用する場合、従来の焼結法により製造される酸
化物超電導体の臨界電流密度(Jc)は、通常、Jc<
2000A/cm2 である。したがって、従来の焼結法
により製造される酸化物超電導体の製造方法に比べ、レ
ーザペデスタル法を用いることの有意性を出すめたに
は、レーザペデスタル法により形成される酸化物超電導
体の臨界電流密度(Jc)として、2500A/cm2
以上の値が必要である。酸化物超電導体の臨界電流密度
(Jc)を、Jc≧2500A/cm2 とするために
は、原料棒の密度として、酸化物超電導体の理想的完全
結晶密度の95%以上の密度を有する原料棒を用いる必
要がある。なお、原料棒の密度として、酸化物超電導体
の理想的完全結晶密度の95%以上の密度を有する原料
棒であれば、たとえば、原料棒として、酸化物超電導体
の理想的完全結晶密度の98%以上の密度を有する原料
棒を用いることにより、本発明に従って形成される酸化
物超電導体の臨界電流密度(Jc)は、さらに向上する
のでより好ましい。
【0037】原料棒の密度は、酸化物超電導体を構成す
る原材料粉末を、焼結、溶融等するときの総圧に大きく
かかわっており、総圧が小さい雰囲気下であればある
程、原料棒中のボイドの抜ける可能性も大きくなり、密
度が向上する。総圧1torr以下の雰囲気下では、原
材料粉末を焼結し、または/および溶融することにより
形成された原料棒の密度は、95%以上となり、上述の
ことを考え合せると、原料棒を形成する工程は、総圧1
torr以下の雰囲気下で行なうことが必要である。
【0038】なお、本実施例では、Bi2 Sr2 Ca1
Cu2 X 組成の酸化物超電導体の製造方法について説
明したが、本発明は、上記したような実施例によっては
何ら限定されることはない。本発明に従えば、たとえ
ば、Bi−Sr−Ca−Cu−O系、Bi−Pb−Sr
−Ca−Cu−O系等のBi酸化物超電導体や、Y系酸
化物超電導体等を製造することができる。
【0039】本発明に従う酸化物超電導体の製造方法
は、レーザペデスタル法に従い、原料棒の少なくとも一
部にレーザビームを照射して、原料棒の一部を溶融し、
溶融部分を形成し、この溶融部分から結晶を引上げて成
長させる酸化物超電導体の製造方法であって、原料棒と
して、内部にボイドをほとんど含まない原料棒を用いる
ことを特徴としている。
【0040】このような内部にボイドをほとんど含まな
い原料棒を製造する方法としては、原料粉末を坩堝に充
填し、総圧1torr以下の雰囲気中で焼結を行ない、
このような低圧中における焼結処理後、総圧1torr
以下の雰囲気の状態を保ったまま原材料の溶融温度まで
昇温し、焼結体全体を溶融する。原料粉末を坩堝に充填
し、総圧1torr以下の雰囲気中で焼結を行なう際、
焼結にかかる温度上昇開始時点から総圧1torr以下
の雰囲気にすることが必要である。その理由は、焼結に
伴い、結晶粒の粗大化とともに粒界に気孔が残り、この
気孔内の気圧が大気圧なら、その後のレーザペデスタル
法に従って、酸化物超電導体の結晶成長時(原料棒の溶
融時)に、溶融部分に大きな気泡が残留し、これがその
まま成長側の酸化物超電導体の内部に取込まれるからで
ある。温度上昇開始時点から総圧1torr以下に設定
しておけば、気孔内の気圧も1torr以下となり、そ
の後のレーザペデスタル法に従って酸化物超電導体の結
晶成長時(原料棒の溶融時)に残る溶融部分の気泡は大
幅に減少し、成長した酸化物超電導体は、かなり緻密な
ものになり得る。また、このような低圧中における焼結
処理後、同雰囲気の状態を保ったまま原料の溶融温度ま
で上昇し、焼結体全体を溶融する際には、必要に応じて
メルトを撹拌し、メルト内に少量に残留している気泡が
あればそれを追出すことがより効果的である。その後、
溶融体を同雰囲気中にて冷却することにより、原料棒を
製造する。
【0041】原料棒を製造するもう1つの方法として、
原材料粉末を坩堝に充填したものあるいはプレス成形し
たものを総圧1torr以下の雰囲気中で焼結し、その
後、同雰囲気中で焼結体の一部分あるいは全体を溶融
し、凝固界面を全体にわたって移動して一方向凝固する
方法を用いることができる。
【0042】なお、この明細書において用いられる用語
「一方向凝固」とは、溶融体の凝固過程で固液界面に一
方向に大きな温度勾配を与えて、液相中での任意の結晶
核発生を防止し、固液界面でのみ結晶成長を生じさせ
て、組織に一方向の方向性を与える方法を意味する。一
方向凝固方法としては、坩堝を用いない場合は、レーザ
加熱または赤外線集中加熱等によるメルトフローティン
グ法であることが望ましく、また、他方、坩堝を用いる
場合は、水平ブリッジマン法に見られる方向凝固法がよ
り実用的である。
【0043】Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸化物超電
導体の原料棒を製造する際には、焼結温度としては、6
50℃〜750℃が適しており、また、溶融温度として
は、坩堝を用いる場合は、800℃〜1000℃が適し
ている。なお、このような焼結温度や溶融温度は、用い
る酸化物超電導体の原材料粉末によって異なっており、
目的とする原料棒が製造可能な温度範囲であれば特に限
定されることはない。
【0044】また坩堝材については、メルトを維持でき
るものであれば何でもよいが、より望ましくは、酸化物
超電導体との反応がより少なく、高温強度に耐えられる
Au−Pd合金(Pd含有量5%〜20%)のものが良
い。
【0045】また、以上の作業終了後、製造された凝固
体を必要に応じて所望する形状に切削、研摩して、レー
ザペデスタル法の原料棒として使用する。これらの方法
にて製造された原料棒は、ボイドが少なく、また、原料
棒が均一径を有するため、これらの方法にて製造された
原料棒を用いて、レーザペデスタル法に従って成長され
た結晶は、結晶組織の結晶が高配向した酸化物超電導体
となる。
【0046】また、本発明に従って製造された酸化物超
電導体は、アニールすることにより、結晶性、粒界の結
合性等を改善させることができ、超電導特性をより向上
することができる。
【0047】
【発明の効果】本発明に従う酸化物超電導体の製造方法
は、原料棒として、酸化物超電導体を構成する原材料か
らなり、かつ酸化物超電導体の理想的完全結晶密度に近
い密度からなる原料棒を用いているので、レーザペデス
タル法に従って、より均一な太さで、より高い結晶配向
性を有し、かつ高い臨界電流密度を有する酸化物超電導
体を製造することができる。したがって、本発明に従っ
て製造される酸化物超電導体材料は、電力、輸送、高エ
ネルギ、医療等の分野において好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のレーザペデスタル法を概略的に示す工程
図である。
【符号の説明】
1 原料棒 2 溶融部分 3 種結晶 4 結晶ファイバ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体を構成する原材料からな
    り、かつ酸化物超電導体の理想的完全結晶密度に近い密
    度からなる原料棒を準備する工程と、 前記原料棒の少なくとも一部にレーザビームを照射し
    て、前記原料棒の一部を溶融させる工程と、 前記原料棒の溶融部分から結晶を引上げて成長させる工
    程とを備える、酸化物超電導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記原料棒を準備する工程は、酸化物超
    電導体を構成する原材料粉末を準備する工程と、 総圧1torr以下の雰囲気下で、前記原材料粉末を加
    熱して結合し、原料棒を形成する工程とを備える、請求
    項1記載の酸化物超電導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化物超電導体の理想完全結晶密度
    に近い密度は、酸化物超電導体の理想完全結晶密度の9
    5%以上の密度である、請求項1または請求項2記載の
    酸化物超電導体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013209245A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Ube Industries Ltd セラミック複合体の製造方法

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JP2013209245A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Ube Industries Ltd セラミック複合体の製造方法

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