JP2518043B2 - 溶融凝固法によるセラミックの製造方法 - Google Patents
溶融凝固法によるセラミックの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、溶融凝固法によるセラミックスの製造方
法、特に酸化物超電導体の製造方法に関するものであ
る。
法、特に酸化物超電導体の製造方法に関するものであ
る。
(従来の技術) 従来、溶融凝固法によりセラミックスなどを製造する
方法が知られている。この方法によると焼結法などに比
べて密度の高いセラミックスを得ることが可能である。
しかし、化合物によっては、分解溶融するものがあり、
そのまま凝固した場合は目的の化合物が均質な形では得
られない。このため、例えばセルフフラックス法と言わ
れるような方法が考えられている。この方法は、第2図
に示すように化合物ABが、分解溶融して固相AとBに富
む液相に分解する場合に、全体の組成をB側にずらせて
(Y)、Bに富む液相からABの結晶を成長させるもので
ある。したがって最終的に得られる凝固物は、ABとBと
の混合物となり、しかも第4図に示すようにABの粒状結
晶の粒界にBが存在する組織になって、ABは連続相とな
らない。
方法が知られている。この方法によると焼結法などに比
べて密度の高いセラミックスを得ることが可能である。
しかし、化合物によっては、分解溶融するものがあり、
そのまま凝固した場合は目的の化合物が均質な形では得
られない。このため、例えばセルフフラックス法と言わ
れるような方法が考えられている。この方法は、第2図
に示すように化合物ABが、分解溶融して固相AとBに富
む液相に分解する場合に、全体の組成をB側にずらせて
(Y)、Bに富む液相からABの結晶を成長させるもので
ある。したがって最終的に得られる凝固物は、ABとBと
の混合物となり、しかも第4図に示すようにABの粒状結
晶の粒界にBが存在する組織になって、ABは連続相とな
らない。
近年、YBa2Cu3O7-yに代表される酸化物超電導が多数
発見された。この化合物は、超電導電流が流れる方向が
結晶内で限られているので、溶融凝固法により緻密でか
つ結晶の配向した凝固物を合成することにより特性の優
れた超電導体が得られるものと考えられている。
発見された。この化合物は、超電導電流が流れる方向が
結晶内で限られているので、溶融凝固法により緻密でか
つ結晶の配向した凝固物を合成することにより特性の優
れた超電導体が得られるものと考えられている。
YBa2Cu3O7-yの場合では第2図におけるABにYBa2Cu3O
7-yが、AにY2BaCuO5が、Bに富む液相にCuOやBaCuO2に
富む液相がそれぞれ対応する。YBa2Cu3O7-yの場合、さ
らに初晶域が狭いことや融液が分相を起こすことなどの
ため、均質で実用的な大きさのものは得ることが特に困
難である。
7-yが、AにY2BaCuO5が、Bに富む液相にCuOやBaCuO2に
富む液相がそれぞれ対応する。YBa2Cu3O7-yの場合、さ
らに初晶域が狭いことや融液が分相を起こすことなどの
ため、均質で実用的な大きさのものは得ることが特に困
難である。
このため種々の改良法が試みられている。例えばセル
フフラックス法(Japanese Journal of Applied Physic
s,Vol.26,L1425,(1987)など)で、Y:Ba:Cuの原子比が
1:2:3に比べてCuに富んだ、あるいはCuとBaに富んだ方
向に組成をずらし、YBa2Cu3O7-yの分解溶融温度より低
い温度で液相が生成する組成として、Y−Ba−Cu−O系
の液相からYBa2Cu3O7-yの結晶を成長させることが報告
されている。この方法によると、1mm角程度の薄い板状
の単結晶あるいは不純物を含んだ長径が3mm程度のブロ
ック状の結晶が得られるものの、それ以上大きなものを
得ることは難しく、実用的な材料を製造することは困難
であった。大きな材料を作ろうとしても、YBa2Cu3O7-y
結晶粒子の周囲を絶縁体であるCuOやBaCuO2が囲んだ組
織となり、超電導を示す結晶が連続した組織のものは得
られない。
フフラックス法(Japanese Journal of Applied Physic
s,Vol.26,L1425,(1987)など)で、Y:Ba:Cuの原子比が
1:2:3に比べてCuに富んだ、あるいはCuとBaに富んだ方
向に組成をずらし、YBa2Cu3O7-yの分解溶融温度より低
い温度で液相が生成する組成として、Y−Ba−Cu−O系
の液相からYBa2Cu3O7-yの結晶を成長させることが報告
されている。この方法によると、1mm角程度の薄い板状
の単結晶あるいは不純物を含んだ長径が3mm程度のブロ
ック状の結晶が得られるものの、それ以上大きなものを
得ることは難しく、実用的な材料を製造することは困難
であった。大きな材料を作ろうとしても、YBa2Cu3O7-y
結晶粒子の周囲を絶縁体であるCuOやBaCuO2が囲んだ組
織となり、超電導を示す結晶が連続した組織のものは得
られない。
また、MTG(Melt Texture Growth)法(Physical Rev
iew B,Vol.37,7850,(1988))は、浮遊帯域溶融法の一
種であるが、完全な溶融状態をとらずに部分溶融状態か
ら結晶を成長させている。具体的には、Y2BaCuO5の固相
とY−Ba−Cu−O系の液相が共存している状態から、 Y2BaCuO5+液相→YBa2Cu3O7-y の包晶反応によりYBa2Cu3O7-yの結晶を成長させるもの
である。しかしながら、この方法では出発組成としてYB
a2Cu3O7-yと同じ組成を採用しているため、包晶反応に
よりY2BaCuO5が完全に反応することがなく、これが残留
するとともに同時にCuOやBaCuO2が生成してしまう。CuO
やBaCuO2は、低融点でありYBa2Cu3O7-y結晶の粒界に絶
縁相として拡がる。これが、電気伝導特性に極めて悪い
影響を及ぼす。また、出発物質と生成物質との間で組成
的なずれが生じてしまうため、連続した長い超電導体を
得ることは出来なかった。
iew B,Vol.37,7850,(1988))は、浮遊帯域溶融法の一
種であるが、完全な溶融状態をとらずに部分溶融状態か
ら結晶を成長させている。具体的には、Y2BaCuO5の固相
とY−Ba−Cu−O系の液相が共存している状態から、 Y2BaCuO5+液相→YBa2Cu3O7-y の包晶反応によりYBa2Cu3O7-yの結晶を成長させるもの
である。しかしながら、この方法では出発組成としてYB
a2Cu3O7-yと同じ組成を採用しているため、包晶反応に
よりY2BaCuO5が完全に反応することがなく、これが残留
するとともに同時にCuOやBaCuO2が生成してしまう。CuO
やBaCuO2は、低融点でありYBa2Cu3O7-y結晶の粒界に絶
縁相として拡がる。これが、電気伝導特性に極めて悪い
影響を及ぼす。また、出発物質と生成物質との間で組成
的なずれが生じてしまうため、連続した長い超電導体を
得ることは出来なかった。
QMG(Quench and Melt Growth)法(1988年秋季第49
回応用物理学会学術講演会、4a−館B−2)は溶融後急
冷した試料を再溶融した後で凝固させる方法である。初
めの溶融急冷により、Y2O3が微粒子となって分解した組
織を作り、それを再溶融凝固することにより次のような
二段階の包晶反応を起こさせる。
回応用物理学会学術講演会、4a−館B−2)は溶融後急
冷した試料を再溶融した後で凝固させる方法である。初
めの溶融急冷により、Y2O3が微粒子となって分解した組
織を作り、それを再溶融凝固することにより次のような
二段階の包晶反応を起こさせる。
Y2O3+液相→Y2BaCuO5 Y2BaCuO5+液相→YBa2Cu3O7-y この反応において最初に分散しているY2O3が微細粒子で
あるために、最終的にできる組織もYBa2Cu3O7-yマトリ
ックス中にY2BaCuO5が微細に分散した組織になり、凝固
物全体の均質性が向上する。しかしながら、急冷の操作
が必要であるために得られる材料の形状に制限がある。
あるために、最終的にできる組織もYBa2Cu3O7-yマトリ
ックス中にY2BaCuO5が微細に分散した組織になり、凝固
物全体の均質性が向上する。しかしながら、急冷の操作
が必要であるために得られる材料の形状に制限がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、溶融凝固法により分解溶融する化合
物を該化合物が連続したマトリックスとなった組織の凝
固物を得ることである。
物を該化合物が連続したマトリックスとなった組織の凝
固物を得ることである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、分解溶融するセラミックスの溶融凝固法に
より製造する方法において、出発物質として該化合物と
該化合物が分解溶融する際に新たに生成する固相との混
合物を用いることを特徴とするセラミックスの製造方法
を提供するものである。
より製造する方法において、出発物質として該化合物と
該化合物が分解溶融する際に新たに生成する固相との混
合物を用いることを特徴とするセラミックスの製造方法
を提供するものである。
本発明においては、出発物質として該化合物と該化合
物が分解溶融する際に新たに生成する固相との混合物を
用いているので、溶融時には第1図のXのように固相A
とBに富む液相が生成し、かつ全体の組成はABからAに
偏ったものとなる。これを分解溶融温度(T)まで冷却
すると、包晶反応により固相AとBに富む液相とから固
相ABが生成する。この時全体の組成がABからAに偏った
ものであるのでAB中にAの一部が未反応のまま残り、B
成分は凝固物中には残留しない。凝固物中に残留するA
は、包晶反応の特徴として、第3図に示したように粒子
状の結晶となり、ABの連続マトリックス中に島状に分散
する。ここでABは多結晶体にも単結晶体にもなりうる。
物が分解溶融する際に新たに生成する固相との混合物を
用いているので、溶融時には第1図のXのように固相A
とBに富む液相が生成し、かつ全体の組成はABからAに
偏ったものとなる。これを分解溶融温度(T)まで冷却
すると、包晶反応により固相AとBに富む液相とから固
相ABが生成する。この時全体の組成がABからAに偏った
ものであるのでAB中にAの一部が未反応のまま残り、B
成分は凝固物中には残留しない。凝固物中に残留するA
は、包晶反応の特徴として、第3図に示したように粒子
状の結晶となり、ABの連続マトリックス中に島状に分散
する。ここでABは多結晶体にも単結晶体にもなりうる。
溶融温度を分解溶融温度以上、液相温度以下にした場
合(この状態を部分溶融状態という)は、Aが固相とし
て存在するので出発物質の形を保ったまま溶融凝固反応
を行なうことが可能である。また、出発物質の組成を凝
固物の組成と同じになるように調整して一方向凝固を行
なうとマトリックスの結晶が配向した凝固物が、連続的
に任意の長さで得ることが可能であるので好ましい。こ
のとき、条件を整えることによりマトリックス全体を単
結晶にすることもできる。一方向凝固法を用いる場合に
は、温度勾配を大きくして、かつ凝固速度を遅くしたほ
うが、不純物質を結晶成長方向の前方に排出することが
できより均質な凝固物が得られるので好ましい。好まし
い条件は、100℃/cm以上の温度勾配、2mm/h以下の結晶
成長速度である。
合(この状態を部分溶融状態という)は、Aが固相とし
て存在するので出発物質の形を保ったまま溶融凝固反応
を行なうことが可能である。また、出発物質の組成を凝
固物の組成と同じになるように調整して一方向凝固を行
なうとマトリックスの結晶が配向した凝固物が、連続的
に任意の長さで得ることが可能であるので好ましい。こ
のとき、条件を整えることによりマトリックス全体を単
結晶にすることもできる。一方向凝固法を用いる場合に
は、温度勾配を大きくして、かつ凝固速度を遅くしたほ
うが、不純物質を結晶成長方向の前方に排出することが
できより均質な凝固物が得られるので好ましい。好まし
い条件は、100℃/cm以上の温度勾配、2mm/h以下の結晶
成長速度である。
本発明においては、出発物質として、分解溶融する化
合物とこの化合物が分解溶融した時に生成する固相と混
合して、これを成形したものを用いるのが好ましい。こ
の場合、溶融時に融液中に固相が均一に分散した、部分
溶融状態になるので、凝固物も均一なものが得られる。
成形は、たとえば上記混合物の粉体を圧縮成形しさらに
焼結させるのが好ましい。
合物とこの化合物が分解溶融した時に生成する固相と混
合して、これを成形したものを用いるのが好ましい。こ
の場合、溶融時に融液中に固相が均一に分散した、部分
溶融状態になるので、凝固物も均一なものが得られる。
成形は、たとえば上記混合物の粉体を圧縮成形しさらに
焼結させるのが好ましい。
本発明の化合物は組成的には特に限定されない。例え
ば、LnBa2Cu3O7-y(Ln=Y,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu)系の酸化物超電導体などに好ましく適用でき
る。この場合は、第1図におけるABにLnBa2Cu3O7-yが、
AにLn2BaCuO5が、Bに富む液相にCuOやBaCuO2に富む液
相がそれぞれ対応する。
ば、LnBa2Cu3O7-y(Ln=Y,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu)系の酸化物超電導体などに好ましく適用でき
る。この場合は、第1図におけるABにLnBa2Cu3O7-yが、
AにLn2BaCuO5が、Bに富む液相にCuOやBaCuO2に富む液
相がそれぞれ対応する。
次に、LnO1.5−BaO−CuO系の状態図(第5図)を用い
て、好ましい組成範囲の説明を行なう。溶融中のCuOの
飛散などの二次的な要因を除いて考えると、包晶反応の
特徴から、出発物質の組成はLnBa2Cu3O7-yとLn2BaCuO5
を結ぶ直線上にあり、生成物の組成と一致していること
が好ましい。ただし一方向凝固法により凝固を行なった
場合はLnBa2Cu3O7-yの結晶成長時に余分な成分は結晶成
長方向の前方あるいは側方に排除されていく性質がある
ので、LnBa2Cu3O7-yとLn2BaCuO5を結ぶ直線上の組成に
他の成分が10重量%以下は含まれていてもよい。しかし
ながら、全体の組成がCuO−Ln2BaCuO5−BaCuO2を結ぶ三
角形の外に出てしまう場合は、超電導を示すLnBa2Cu3O
7-y結晶が生成しなくなるので好ましくない。さらに、
全体の組成が、CuO−LnBa2Cu3O7-y−BaCuO2を結ぶ三角
形の内に入る場合は、CuOやBaCuO2が生成しやすくなる
ので、好ましくない。
て、好ましい組成範囲の説明を行なう。溶融中のCuOの
飛散などの二次的な要因を除いて考えると、包晶反応の
特徴から、出発物質の組成はLnBa2Cu3O7-yとLn2BaCuO5
を結ぶ直線上にあり、生成物の組成と一致していること
が好ましい。ただし一方向凝固法により凝固を行なった
場合はLnBa2Cu3O7-yの結晶成長時に余分な成分は結晶成
長方向の前方あるいは側方に排除されていく性質がある
ので、LnBa2Cu3O7-yとLn2BaCuO5を結ぶ直線上の組成に
他の成分が10重量%以下は含まれていてもよい。しかし
ながら、全体の組成がCuO−Ln2BaCuO5−BaCuO2を結ぶ三
角形の外に出てしまう場合は、超電導を示すLnBa2Cu3O
7-y結晶が生成しなくなるので好ましくない。さらに、
全体の組成が、CuO−LnBa2Cu3O7-y−BaCuO2を結ぶ三角
形の内に入る場合は、CuOやBaCuO2が生成しやすくなる
ので、好ましくない。
LnBa2Cu3O7-yとLn2BaCuO5の混合割合としてはLnBa2Cu
3O7-y1モルに対して、Ln2BaCuO5が0.1〜10モルであるこ
とが好ましく、さらには0.2〜5モルがより好ましい。L
nBa2Cu3O7-yが多い場合はCuOやBaCuO2が生成しやすくな
るので、好ましくない。Ln2BaCuO5が多い場合は超電導
を示す結晶相が少なくなるので好ましくない。LnBa2Cu3
O7-yに対してLn2BaCuO5を1モル以上加えた混合物を用
いた場合でも超電導を示すLnBa2Cu3O7-y相は連続マトリ
ックスとなるので、超電導の特性の優れた凝固物が得ら
れる。
3O7-y1モルに対して、Ln2BaCuO5が0.1〜10モルであるこ
とが好ましく、さらには0.2〜5モルがより好ましい。L
nBa2Cu3O7-yが多い場合はCuOやBaCuO2が生成しやすくな
るので、好ましくない。Ln2BaCuO5が多い場合は超電導
を示す結晶相が少なくなるので好ましくない。LnBa2Cu3
O7-yに対してLn2BaCuO5を1モル以上加えた混合物を用
いた場合でも超電導を示すLnBa2Cu3O7-y相は連続マトリ
ックスとなるので、超電導の特性の優れた凝固物が得ら
れる。
(実施例) Y:Ba:Cuの原子比が24.1:31.5:44.4(1/6YBa2Cu3O7-y:
1/4Y2BaCuO5=77.8:22.2)となるような酸化物の仮焼粉
末を作成し、金型により70mm×40mm×1.8mmに圧縮成形
し、930℃の酸素気流中で10時間焼成を行ない、YBa2Cu3
O7-yおよびY2BaCuO5の混合焼結体を得た。ここで、YBa2
Cu3O7-yは超電導性セラミックスで分解溶融する結晶で
ある。そして、Y2BaCuO5はこのYBa2Cu3O7-yが分解溶融
したときに固相として生成する液晶である。この焼結体
をダイヤモンドカッターを用いて約1.5mm幅に切断して
長さが約70mm弱の角柱状の焼結体を得た。
1/4Y2BaCuO5=77.8:22.2)となるような酸化物の仮焼粉
末を作成し、金型により70mm×40mm×1.8mmに圧縮成形
し、930℃の酸素気流中で10時間焼成を行ない、YBa2Cu3
O7-yおよびY2BaCuO5の混合焼結体を得た。ここで、YBa2
Cu3O7-yは超電導性セラミックスで分解溶融する結晶で
ある。そして、Y2BaCuO5はこのYBa2Cu3O7-yが分解溶融
したときに固相として生成する液晶である。この焼結体
をダイヤモンドカッターを用いて約1.5mm幅に切断して
長さが約70mm弱の角柱状の焼結体を得た。
次に、この角柱状焼結体を急激な温度勾配で中央部の
温度が最も高くなるような温度分布を有する抵抗加熱縦
型炉において、この焼結体を炉の一方の端から他方に徐
々に移動させて溶融凝固した。このとき、炉内の最高温
度は1080℃に保持し、下から酸素ガスを流しながら角柱
状焼結体を1mm/hの速度で移動させた。最高温度の付近
では焼結体は部分的に溶融した状態であったが、この状
態でも試料は全体の形を崩さず特別の支えは不要であっ
た。この結果得られた凝固物を、さらに酸素雰囲気中に
て900℃まで加熱してから10℃/hで徐冷して酸素を充分
に吸い込ませた。
温度が最も高くなるような温度分布を有する抵抗加熱縦
型炉において、この焼結体を炉の一方の端から他方に徐
々に移動させて溶融凝固した。このとき、炉内の最高温
度は1080℃に保持し、下から酸素ガスを流しながら角柱
状焼結体を1mm/hの速度で移動させた。最高温度の付近
では焼結体は部分的に溶融した状態であったが、この状
態でも試料は全体の形を崩さず特別の支えは不要であっ
た。この結果得られた凝固物を、さらに酸素雰囲気中に
て900℃まで加熱してから10℃/hで徐冷して酸素を充分
に吸い込ませた。
この凝固物を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡および
X線元素分析装置を用いて観察したところ、粒状のY2Ba
CuO5結晶粒子が島状に分散し、その周囲を取り囲んで単
結晶的に配向した板状のYBa2Cu3O7-y結晶が連続的に連
なった組織が、凝固物の上端から下端まで一様に生成し
ていることが確認された。次に、この凝固物を上から下
へ5等分に分け、それぞれVSM(試料振動式磁気計)に
より77Kにおける磁化曲線を測定したところ、いずれも
大きな反磁性を示し、磁性ヒステリシスも大きくなって
いることが、確認された。さらに、凝固物の一部を、0.
90mm×0.15mm×12mmに切り出して、直流4端子法により
超電導特性を測定した。ゼロ抵抗を示す臨界温度は86K
で、77Kで1Tの磁場中における臨界電流密度は6000A/cm2
であった。
X線元素分析装置を用いて観察したところ、粒状のY2Ba
CuO5結晶粒子が島状に分散し、その周囲を取り囲んで単
結晶的に配向した板状のYBa2Cu3O7-y結晶が連続的に連
なった組織が、凝固物の上端から下端まで一様に生成し
ていることが確認された。次に、この凝固物を上から下
へ5等分に分け、それぞれVSM(試料振動式磁気計)に
より77Kにおける磁化曲線を測定したところ、いずれも
大きな反磁性を示し、磁性ヒステリシスも大きくなって
いることが、確認された。さらに、凝固物の一部を、0.
90mm×0.15mm×12mmに切り出して、直流4端子法により
超電導特性を測定した。ゼロ抵抗を示す臨界温度は86K
で、77Kで1Tの磁場中における臨界電流密度は6000A/cm2
であった。
(比較例) Y:Ba:Cuの原子比が1:2:3となるような酸化物の仮焼粉
末を作成し、金型により70mm×40mm×1.8mmに圧縮成形
し、930℃の酸素気流中で10時間焼成を行ない、YBa2Cu3
O7-yのみからなる焼結体を得た。この焼結体をダイヤモ
ンドカッターを用いて約1.5mm幅に切断して長さが約70m
m弱の角柱状の焼結体を得た。
末を作成し、金型により70mm×40mm×1.8mmに圧縮成形
し、930℃の酸素気流中で10時間焼成を行ない、YBa2Cu3
O7-yのみからなる焼結体を得た。この焼結体をダイヤモ
ンドカッターを用いて約1.5mm幅に切断して長さが約70m
m弱の角柱状の焼結体を得た。
次に、この角柱状焼結体を実施例と同じ抵抗加熱縦型
炉において同様に溶融凝固した。最高温度の付近では焼
結体は部分的に溶融した状態であったが、この状態でも
試料は全体の形を崩さず特別の支えは不要であった。こ
の結果得られた凝固物を、さらに酸素雰囲気中にて900
℃まで加熱してから10℃/hで徐冷して酸素を充分に吸い
込ませた。
炉において同様に溶融凝固した。最高温度の付近では焼
結体は部分的に溶融した状態であったが、この状態でも
試料は全体の形を崩さず特別の支えは不要であった。こ
の結果得られた凝固物を、さらに酸素雰囲気中にて900
℃まで加熱してから10℃/hで徐冷して酸素を充分に吸い
込ませた。
この凝固物を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡および
X線元素分析装置を用いて観察したところ、凝固物の上
端から約10mmの部分では粒状のY2BaCuO5結晶粒子が島状
に分散し、その周囲を取り囲んで単結晶的に配向した板
状のYBa2Cu3O7-y結晶が連続的に連なった組織がに生成
していることが確認された。凝固物の上端から約10mmよ
り下の部分では、YBa2Cu3O7-y、Y2BaCuO5、CuO、BaCuO2
等の結晶が無秩序に集まった組織であった。次に、この
凝固物を上から下へ5等分に分け、それぞれVSMにより7
7Kにおける磁化曲線を測定したところ、いずれも反磁性
を示したものの、上端の一塊に比べて、他の部分はきわ
めて弱い反磁性を示した。また、磁化ヒステリシスも上
端の一塊のみで大きくなっていることが確認された。さ
らに、この分割した凝固物からそれぞれ均質な部分を選
び出し、0.90mm×0.15mm×10mmに切り出して、直流4端
子法により超電導特性を測定した。凝固物の上端から約
10mmの部分ではゼロ抵抗を示す臨界温度は84Kで、77Kで
1Tの磁場中における臨界電流密度は4000A/cm2であった
が、凝固物の上端から約10mmより下の部分は、絶縁体で
あった。
X線元素分析装置を用いて観察したところ、凝固物の上
端から約10mmの部分では粒状のY2BaCuO5結晶粒子が島状
に分散し、その周囲を取り囲んで単結晶的に配向した板
状のYBa2Cu3O7-y結晶が連続的に連なった組織がに生成
していることが確認された。凝固物の上端から約10mmよ
り下の部分では、YBa2Cu3O7-y、Y2BaCuO5、CuO、BaCuO2
等の結晶が無秩序に集まった組織であった。次に、この
凝固物を上から下へ5等分に分け、それぞれVSMにより7
7Kにおける磁化曲線を測定したところ、いずれも反磁性
を示したものの、上端の一塊に比べて、他の部分はきわ
めて弱い反磁性を示した。また、磁化ヒステリシスも上
端の一塊のみで大きくなっていることが確認された。さ
らに、この分割した凝固物からそれぞれ均質な部分を選
び出し、0.90mm×0.15mm×10mmに切り出して、直流4端
子法により超電導特性を測定した。凝固物の上端から約
10mmの部分ではゼロ抵抗を示す臨界温度は84Kで、77Kで
1Tの磁場中における臨界電流密度は4000A/cm2であった
が、凝固物の上端から約10mmより下の部分は、絶縁体で
あった。
(効果) 本発明によれば、分解溶融する化合物が連続したマト
リックスとして存在する凝固物が得られる。本発明にお
いて、凝固を一方向凝固法により行なう場合はマトリッ
クスの結晶が配向した長尺の凝固物が連続して得られ
る。
リックスとして存在する凝固物が得られる。本発明にお
いて、凝固を一方向凝固法により行なう場合はマトリッ
クスの結晶が配向した長尺の凝固物が連続して得られ
る。
本発明をセラミックス超電導体に適用する場合は、臨
界温度が高く、磁場中においても臨界電流密度の高い特
性の優れた超電導体が得られる。
界温度が高く、磁場中においても臨界電流密度の高い特
性の優れた超電導体が得られる。
第1図は、化合物ABが分解溶融して固相AとBに富む液
相を形成する場合の相平衡図における本発明の凝固過程
を説明する図である。 第2図は、化合物ABが分解溶融して固相AとBに富む液
相を形成する場合の相平衡図におけるセルフフラックス
法による凝固過程を説明する図である。 第3図は、本発明により得られる凝固物の組織を表わす
模式図である。 第4図は、セルフフラックス法で得られる凝固物の組織
を表わす模式図である。 第5図は、LnO1.5−BaO−CuO系の状態図である。
相を形成する場合の相平衡図における本発明の凝固過程
を説明する図である。 第2図は、化合物ABが分解溶融して固相AとBに富む液
相を形成する場合の相平衡図におけるセルフフラックス
法による凝固過程を説明する図である。 第3図は、本発明により得られる凝固物の組織を表わす
模式図である。 第4図は、セルフフラックス法で得られる凝固物の組織
を表わす模式図である。 第5図は、LnO1.5−BaO−CuO系の状態図である。
Claims (7)
- 【請求項1】分解溶融するセラミックスを溶融凝固法に
より製造する方法において、出発物質として該セラミッ
クスと該セラミックスが分解溶融する際に新たに生成す
る固相との混合物を用いることを特徴とするセラミック
スの製造方法。 - 【請求項2】混合物が、粉体を成形してなるものである
請求項1の製造方法。 - 【請求項3】溶融時の状態が部分溶融状態である請求項
1または請求項2の製造方法。 - 【請求項4】セラミックスの凝固が包晶反応である請求
項1〜3いずれか1の製造方法。 - 【請求項5】セラミックスの凝固が一方向凝固である請
求項1〜4いずれか1の製造方法。 - 【請求項6】セラミックスが酸化物超電導体である請求
項1〜5いずれか1の製造方法。 - 【請求項7】出発物質がLnBa2Cu3O7-y(LnはY,La,Nd,S
m,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群よりえらばれた
一種以上、yは酸素欠陥量)の組成式で表される結晶と
Ln2BaCuO5の組成式で表される結晶の複合焼結体である
請求項1〜6いずれか1の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1076769A JP2518043B2 (ja) | 1989-03-30 | 1989-03-30 | 溶融凝固法によるセラミックの製造方法 |
US07/471,650 US5084436A (en) | 1989-01-31 | 1990-01-29 | Oriented superconductor containing a dispersed non-superconducting phase |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1076769A JP2518043B2 (ja) | 1989-03-30 | 1989-03-30 | 溶融凝固法によるセラミックの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02255575A JPH02255575A (ja) | 1990-10-16 |
JP2518043B2 true JP2518043B2 (ja) | 1996-07-24 |
Family
ID=13614800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1076769A Expired - Fee Related JP2518043B2 (ja) | 1989-01-31 | 1989-03-30 | 溶融凝固法によるセラミックの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2518043B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2709000B2 (ja) * | 1992-04-16 | 1998-02-04 | 株式会社日立製作所 | 超電導体及びその製造方法 |
JP5919961B2 (ja) * | 2012-03-30 | 2016-05-18 | 宇部興産株式会社 | セラミック複合体の製造方法 |
-
1989
- 1989-03-30 JP JP1076769A patent/JP2518043B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02255575A (ja) | 1990-10-16 |
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