JPH06203437A - 回転ヘッド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビデオテープレコーダなどに使用される回転
ヘッド装置において、回転ヘッドがテープに突入、離脱
するときに発生するテープ振動を低減し、ジッターを低
減する回転ヘッド装置を提供する事を目的とする。 【構成】 固定ドラムの外周面より所定量突出し、回転
子と一体的に回転する回転ヘッドによってテープと信号
の授受を行うヘリカルスキャン方式の回転ヘッド装置
で、テープを所定角度巻き付ける一対のテープガイドの
少なくとも一方のテープ摺動面に突起部を設けた回転ヘ
ッド装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、固定ドラムの外周面に
少なくとも一対のテープガイドによって案内されるテー
プを巻き付けるとともに、このテープに回転ヘッドに対
接させて信号を記録あるいは再生させるビデオテープレ
コーダー（以下ＶＴＲと略す）等に用いられる回転ヘッ
ド装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のヘリカルスキャン方式のＶＴＲ等
に使用される回転ヘッド装置においては、テープを固定
ドラムの周囲にほぼ２７０゜にわたって巻き付け、回転
ヘッドでテープの長手方向に対して斜めにビデオ信号の
記録及び再生を行っている。また、回転ヘッドは回転子
に複数個固着され回転子と共に回転する。回転ヘッドの
先端は、固定ドラムの外周円筒面より数μｍから数十μ
ｍ突出している。この時、テープは回転ヘッドによって
固定ドラム外周円筒面から引き離されるように持ち上げ
られる。このとき回転ヘッドとテープの間には圧力が作
用している。回転ヘッドが離脱するとき、テープが回転
ヘッドにより持ち上げられていた状態から回転ヘッドと
テープ間の圧力が急激になくなりテープ振動が発生す
る。このテープ振動は固定ドラムからガイドポストまで
のテープ上を伝播し、ガイドポストで反射し固定ドラム
からガイドポストまでのテープを振動させる。また、回
転ヘッド突入時には、テープと回転ヘッド間には急激な
圧力の上昇と急激なテープ変形が発生しテープ振動が発
生する。このテープ振動も固定ドラムからガイドポスト
までのテープを振動させる。これらのテープ振動により
テープに速度ムラが発生し、他の記録あるいは再生中の
回転ヘッドとテープと回転ヘッドの相対速度が変化しジ
ッターが生ずる。

【０００３】以下に、従来の回転ヘッド装置について説
明する。図６は、従来のヘリカルスキャン方式の回転ヘ
ッド装置の斜視図であり、図７は、従来のヘリカルスキ
ャン方式の回転ヘッド装置の平面図である。

【０００４】図６において固定ドラム２には軸（図示せ
ず）を介して回転自在に回転子１が支承され、回転子１
の外周円筒面に設けられた窓部６に回転ヘッド４ａ，４
ｂ，４ｃ，４ｄが配設されている。図７示すように４つ
の回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄは９０度間隔で回
転子１に固着されている。テープ９は第１，第２のガイ
ドポスト１０，１１により固定ドラム２及び回転子１の
外周円筒面にほぼ２７０°にわたってヘリカルに巻き付
けられている。

【０００５】本装置でテープ９上にビデオ信号を記録あ
るいは再生する場合、回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４
ｄは、回転子１と共に矢印Ａで示す方向に回転しテープ
９の下端近傍から接触を開始し、テープ９の上端近傍か
ら抜け出る。テープ９は固定ドラム２の外周に設けられ
たテープ案内溝１２に沿って矢印Ｂで示す方向に走行す
る。ビデオ信号の記録及び再生はテープフォーマットに
もとずき回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄのいずれか
がテープ９と接触している間に行われ、回転ヘッド４ａ
で約０度から約２７０度まで記録あるいは再生を行い次
に回転ヘッド４ｂで記録あるいは再生を行う。そして順
次回転ヘッド４ｃ、回転ヘッド４ｄで記録あるいは再生
を行う。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしこのような従来
の構成では、回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテー
プ９から離脱する時、回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４
ｄにより持ち上げられていたテープ９から回転ヘッド４
ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄが急激に離脱するためテープ振動
が発生する。このテープ振動は回転ヘッド４ａ，４ｂ，
４ｃ，４ｄ離脱点からテープ９上を伝播し第１のガイド
ポスト１０で反射し固定ドラム２と第１のガイドポスト
間のテープ９を振動させる。図７のＥ部にテープ振動部
を示す。このテープ振動がテープ９の長さ方向の振動に
変換されテープ９の速度むらとなる。また、回転ヘッド
４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテープ９に突入する時、回転
ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテープ９を急激に押し
上げテープ振動を発生させる。このテープ振動が固定ド
ラム２から第２のガイドポスト１１までの間のテープ９
を振動させる。図７のＤ部にテープ振動部を示す。この
テープ振動がテープ９の長さ方向の振動に変換されテー
プ９の速度むらとなる。図７において、１つの回転ヘッ
ド４ａが記録あるいは再生中に他の回転ヘッド４ｂがテ
ープ９に突入する場合、あるいは、他の回転ヘッド４ｄ
がテープ９から離脱する場合、前述のテープ振動により
テープ９の速度ムラが発生し、回転ヘッド４ａとテープ
９との相対速度が変化し、映像に乱れを生ずる。これが
いわゆるヘッドインパクトによるジッターであり映像の
乱れが非常に汚く問題となっていた。

【０００７】図８に従来の回転ヘッド装置のテープの速
度むらの波形を示す。本発明は、回転ヘッド４ａ，４
ｂ，４ｃ，４ｄのテープ９への突入時あるいは離脱時の
テープ振動を抑制しヘッドインパクトによるジッターを
低減する手法を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の技術的手段は、固定ドラムと、固定ドラムと
同軸上に回転自在に支承した回転子と、固定ドラム外周
円筒面にテープを所定角度巻き付ける一対のテープガイ
ドと、一対のテープガイドの少なくとも一方のテープ摺
動面に設けた突起部と前記固定ドラムの外周面より所定
量突出しかつ前記回転子と一体的に回転しテープと信号
の授受を行う回転ヘッドとを設けたことによる。

【０００９】

【作用】上記の構成によって、回転ヘッドとテープが突
入及び離脱する時に発生するテープ振動を抑制し、その
結果、ヘッドインパクトによるジッターを改善し画質の
向上を図る事ができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例の回転ヘッド装
置について図面を参照しながら説明する。図１は本発明
の第１の実施例の回転ヘッド装置の斜視図である。

【００１１】図１において固定ドラム２には軸（図示せ
ず）を介して回転自在に回転子１が支承されている。回
転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ（４ｃ，４ｄは図示せ
ず）は、固定ドラム２の外周面より所定量突出して回転
子１に設けられた窓部６に配設され回転子１と一体的に
回転する。またテープ９は第１のテープガイド１０、第
２のテープガイド１１により固定ドラム２及び回転子１
の外周円筒面にほぼ２７０°にわたってヘリカルに巻き
付けられている。突起部５は、第１のテープガイドのテ
ープ摺動面上に配設され、テープ９をテープガイドの摺
動面から引き離している。この結果、固定ドラム２と第
１のテープガイド１０との間のテープ９は突起部５から
固定ドラム２までテンションの高い部分ができる。

【００１２】本装置で、テープ９を走行させ、回転ヘッ
ド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄを回転させてテープ９上にビ
デオ信号を記録する場合、あるいはテープ９上のビデオ
信号を再生する場合、テープ９は固定ドラム２の外周に
設けられたテープ案内溝１２に沿って矢印Ｂで示す方向
に走行する。回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄは、回
転子１と共に矢印Ａで示す方向に回転しテープ９の下端
近傍から接触を開始し、テープ９の上端近傍から抜け出
る。ビデオ信号の記録及び再生はテープフォーマットに
もとずき回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテープ９
と接触している間の所定間隔の間に行われる。

【００１３】回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテー
プ９から離脱するとき、回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，
４ｄにより持ち上げられていたテープ９から回転ヘッド
４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄが急激に離脱するためテープ振
動が発生する。このテープ振動は回転ヘッド４ａ，４
ｂ，４ｃ，４ｄ離脱点からテープ９上を伝播し第１のガ
イドポスト１０で反射し固定ドラム２と第１のガイドポ
スト間のテープ９を振動させる。しかし、テープ振動は
テンションの高い部分より下には振動は伝播しにくいた
めテープ９の振動は第１のガイドポスト１０と固定ドラ
ム２の間で、テープ幅方向にみて上側のテンションの高
い部分より上の領域で伝播する。テープ９の振動する領
域が減少するためテープ振動の周波数は高くなる。ここ
で、回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄが離脱するとき
の衝撃のエネルギーが一定であるとテープ振動の周波数
が高い方が振幅は小さくなる。つまりテープ９の速度む
らの振幅も小さくなる。このことから再生画面上でのジ
ッターの振幅を小さくすることができる。図５に、本実
施例の回転ヘッド装置のテープの速度むらの波形を示
す。図８と比較してテープの速度むらが抑制されている
ことが分かる。

【００１４】以上のように構成したことにより、簡単な
構成でテープ９の振動を抑制することができ、ジッター
を抑制することができ、画質の向上を図ることが出来
る。

【００１５】なお、本発明の第１の実施例において、回
転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテープ９から離脱す
る側の第１のガイドポスト１０に突起部５を設けたが、
回転ヘッド４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄがテープ９に突入す
る側の第２のガイドポスト１１に設けてもよい。

【００１６】また、本発明の第１の実施例では、第１，
第２のガイドポスト１０，１１を円筒形としたが、図２
のようにガイドポストを円筒でなくテープ９と接触する
部分だけ円弧状としてもよい。

【００１７】また、本発明の第１の実施例では、突起部
５を１つとしてあるが、図２のように複数個としてもよ
く図３のように等間隔で配置してもよい。

【００１８】また、図４のように突起部５にテーパを設
けてもよい。また、突起部５がテープ９と接触する位置
は、テープ９の上部であってもよい。

【００１９】また、第１、第２のガイドポスト１０、１
１を外周円筒面の中心軸を中心として回動可能とするこ
とで突起部５の精度のばらつきがあっても突起部５とテ
ープ９との接触を最適に調整することができテープ振動
を最大限に押さえることができる。よってばらつきも少
なくヘッドインパクトによるジッターを抑制し映像の乱
れを防止することが出来る。

【００２０】また、本発明の第１の実施例では回転子を
ドラム状としたがドラム状とせずに別の固定ドラムを回
転子の上に配設してもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明は、テープ振動を簡
単な構成でテープの振動を抑制することができ、特にヘ
ッドインパクトによるジッターの発生を減少させること
ができ、画質の向上を図ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例における回転ヘッド装置
の斜視図

【図２】本発明の第２の実施例におけるガイドポスト

【図３】本発明の第３の実施例におけるガイドポスト

【図４】本発明の第４の実施例におけるガイドポスト

【図５】本発明の第１の実施例におけるテープの速度む
らの波形図

【図６】従来の回転ヘッド装置の斜視図

【図７】従来の回転ヘッド装置の回転ヘッドの平面図

【図８】従来の回転ヘッド装置のテープの速度むらの波
形図

【符号の説明】

１ 回転子 ２ 固定ドラム ４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ 回転ヘッド ５ 突起部 ６ 窓部 ９ テープ １０ 第１のガイドポスト １１ 第２のガイドポスト １２ テープ案内溝

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定ドラムと、固定ドラムと同軸上に回
   転自在に支承した回転子と、前記固定ドラム外周円筒面
   にテープを所定角度巻き付ける少なくとも一対のガイド
   ポストと、この一対のガイドポストの少なくとも一方の
   テープ摺動面に設けた突起部と前記固定ドラムの外周面
   より所定量突出しかつ前記回転子と一体的に回転しテー
   プと信号の授受を行う回転ヘッドとを具備したことを特
   徴とする回転ヘッド装置。
2. 【請求項２】 前記一対のガイドポストを回動可能に保
   持する保持手段を具備したことを特徴とする請求項１に
   記載の回転ヘッド装置。