JPH0620225U - 巻回フィルムの収納箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】本考案は、引き出したフィルムを良好かつ安定
に切断し得るとともに、耐久性を向上させた有機質繊維
状材料からなる切断刃を装着した巻回フィルムの収納箱
を提供する。 【構成】本考案の巻回フィルムの収納箱１は、この収納
箱の稜線部６に沿って取り付けられる有機質繊維状材料
からなる切断刃２が、その両端部に張り出し部１０を有
し、その鋸状の刃先３が形成された領域を、収納箱に収
納される巻回フィルム４の幅よりも短く、また、切断刃
の両端張り出し部１０で、接着部５が収納箱の稜線部６
より突出しない状態に設置され、上記切断刃２は、各刃
先の谷部を結ぶ仮想線と頂点で形成される三角形が、長
手方向中央部では左右線対称な尖角構造を有し、その両
端部においてはそれぞれ端部側に傾いた左右非対称の尖
角構造で、かつ頂角と中央側の傾斜角度の合計が９０度
以下になるよう形成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、有機質繊維状材料からなる鋸状の刃先が形成された切断刃を装着し た巻回フィルムの収納箱、特には切断刃の装着安定性、耐久性、切断安定性を向 上した収納箱に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムやアルミ箔、グラシン紙な どのフィルムは、厚紙製の円筒状巻筒に数ｍ〜数１００ｍ巻回したものを箱体に 収納して販売されている。この切断刃の材質は、従来ブリキなどの金属が使用さ れていたが、近来、廃棄物処理の問題、環境問題に対する世論の高まり、あるい は切断時の安全性などの面から木綿パルプや木材パルプを主原料とする有機質繊 維状材料が使用されるようになっている。

【０００３】 上記有機質繊維状材料からなる切断刃は、厚さ０．２５ｍｍ〜０．５ｍｍ程度 のシート状材料を抜き型で打ち抜いて形成されるが、その刃先の長手方向の寸法 は収納箱に収納される巻回フィルムの幅寸法より大きい寸法に形成され、収納箱 の稜線部に取り付けられている。 上記切断刃は、各刃先の谷部を結ぶ仮想線と頂点で形成される三角形が左右線 対称な尖角構造を有する鋸状形状で、切断刃の長さ方向全面にわたって均一に形 成され、収納された巻回フィルムを切断刃の両端部よりも内側に位置する鋸状の 刃先端部で切り始めるようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の収納箱では、巻回フィルムを収納箱より引き出す際、引出方向によ っては、該切断刃が装着されていない部分に引き出され、切断刃の端部からフィ ルムを切り始めることになる。 しかし、シート状の有機質繊維状材料を抜き型で打ち抜く従来の加工方法では 、抜き型に有機質繊維状材料を供給する位置を特に決めないので、得られた切断 刃の刃先の両端形状には、バラツキがある。そのため、収納箱の品質、性能が不 安定なものとなる。

【０００５】 また、上記のように収納箱より巻回フィルムが切断刃が装着されていない部分 に引き出された場合、多大な荷重が切断刃の端部に、該切断刃を収納箱本体から 引き剥す方向に作用し、結果的には、切断刃を収納箱から剥離してしまうという 不具合が発生する。これを防止するため、接着力を強化しても、収納箱は、いわ ゆるコートボール紙が一般的に使用されているので、切断刃が剥離する前に、収 納箱本体が破壊されてしまうためその効果は小さい。

【０００６】 さらに、上記従来の収納箱の切断刃は、その刃先角度を鋭利にすることで切断 性の向上を図ることができるが、フィルムが重なりしわになった状態ではフィル ムが切断刃の刃先先端に食い込みにくくなり、滑ってしまい、切断性が低下して しまう。

【０００７】 本考案は、上記した有機質繊維状材料からなる鋸状の切断刃を接着装着してな る巻回フィルム収納箱において、上記した従来の問題を解決するものであり、収 納箱から引き出されたフィルムの切断性を良好かつ安定したものとする共に、上 記切断刃が該収納箱本体から剥離することを防止し、耐久性を向上させた巻回フ ィルム収納箱を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案者はかかる問題点を解決するため、上記切断刃の刃先形状ならびにその 装着状態について検討した結果、その鋸状の刃先が形成された領域の長さを、収 納するフィルムの幅よりも短くすると共に、切断刃の両端部に張り出し部を形成 し、切断刃をその張り出し両端部で、接着部が収納箱の稜線部より突出しない状 態に設置し、さらに、上記切断刃は、各刃先の谷部を結ぶ仮想線と頂点で形成さ れる三角形が、長手方向中央部では左右線対称な尖角構造を有し、その両端部に おいてはそれぞれ端部側に傾いた左右非対称の尖角構造で、かつ頂角と中央側の 傾斜角度の合計が９０度以下になるように形成された鋸状の刃とすることより、 有機質繊維状材料からなる切断刃を備えた収納箱における、該切断刃の安定した 切断性、装着状態及び耐久性が得られることを見い出した。

【０００９】 本考案の収納箱に収納される巻回フィルムは、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビ ニリデン系、ポリエチレン系などのプラスチックのフィルム、アルミ箔、グラシ ン紙またはワックスペーパーなどがある。 本考案の収納箱に取り付けられる切断刃に用いられる有機質繊維状材料として は、例えば、精製木綿パルプあるいは木材パルプなどから抄造された原料紙を塩 化亜鉛の濃厚溶液に浸漬し、該原料紙に対する該溶液の膨潤膠化作用を利用して 積層一体化し、熟成後、該溶液を水洗除去し乾燥することにより形成される、い わゆるバルカナイズドファイバーがコスト面、強度面から好適に採用される。

【００１０】 本考案で使用される切断刃は、上記した有機質繊維状材料の辺縁を鋸状に加工 したものであり、その切断刃が収納箱の稜線部に位置するように接着手段により 装着したものである。

【００１１】 上記装着された有機質繊維状材料からなる切断刃は、その鋸状の刃先が形成さ れた領域の長さが、収納箱に収納される巻回フィルムの幅より短く、かつ、切断 刃の両端部に張り出し部が形成されることに特徴がある。 鋸状の刃先が形成された領域の長さと、巻回フィルムの幅との関係は、収納箱 外形寸法と円筒状巻筒寸法および該巻筒と巻回フィルムの位置とにより決定され る。 すなわち、巻回フィルムを収納箱より引き出した時に、確実に巻回フィルムが 鋸状の刃先の端部より外側にあるように設計すればよい。さらに、切断刃は、そ の刃先が形成されてない両端部を収納箱の稜線部より突出しない状態で、直線若 しくは湾曲状の張り出し部を設けて収納箱に接着装着される。

【００１２】 鋸状の刃先は、その長手方向中央部では、各刃先の谷部を結んだ仮想線と頂点 で形成される頂角が、左右線対称な尖角構造に形成されるが、両端部では、その 三角形がそれぞれ端部側に傾いた左右非対称の尖角構造で、かつ頂角と中央側の 傾斜角度の合計が９０度以下、好ましくは、６０度〜９０度以下になるように形 成される必要がある。頂角と中央側の傾斜角度の合計が９０度より大きいと、フ ィルムが刃先に食い込む効果が小さくなり、切れ味が悪く実用に適さない。また 、頂角を形成する刃先の先端はＲ形状にしてもよい。

【００１３】 両端部を形成する左右非対称の尖角構造を有する刃先は、それぞれ数個でよい 。これらの刃先が切断刃中央まで延長されていると切断抵抗が大きくなってしま い切断しにくくなる。また、刃先の高さは、中央部、両端部共同じ高さであるこ とが好ましい。 さらに、刃の欠け、破損を防止するため、刃の両端縁部に、直線もしくは湾曲 状の張り出し部を設けることが必要である。

【００１４】 以下、添付図面により本考案の巻回フィルムの収納箱の一例を具体的に説明す る。 図１は、本考案の巻回フィルムの収納箱の斜視図、図２は、収納箱に取りつけ られる鋸状の切断刃の部分拡大平面図であり、図３は、該切断刃の両端部の刃先 の形状を説明するための拡大平面図である。

【００１５】 図に示されるように、本考案に係る巻回フィルムの収納箱１には、その長手方 向の一稜線部に有機質繊維状材料からなる切断刃２が接着、装着されている。 この切断刃２は、その鋸状の刃先３が形成された領域の長さが、巻回フィルム ４の幅より短く、また、切断刃の両端部の接着部５が、収納箱の稜線部６より突 出しない状態に設置されている。

【００１６】 また、切断刃２は、各刃先の谷部を結ぶ仮想線７と頂点８で形成される三角形 ９が、長手方向中央部Ａでは左右線対称な尖角構造を有し、その両端部Ｂ，Ｂ’ においてはそれぞれ端部側、すなわち、Ｂは左側に、Ｂ’は右側に傾いた左右非 対称の尖角構造で、かつ頂角θ₁ と中央側の傾斜角度θ₂ の合計が９０度以下に なるように形成されている。また、切断刃２の両端縁部には、直線状の張り出し 部１０が形成されている。

【００１７】

【作用】

本考案による巻回フィルムの収納箱は、収納箱の一稜線部に沿って貼りつけら れる有機質繊維状材料からなる鋸状の切断刃が、この鋸状の刃先が形成された領 域の長さを、収納箱に収納される巻回フィルムの幅よりも短く、また、切断刃の 両端部で接着部が収納箱の稜線部より突出しない状態に設置されているため、安 定かつ良好な切断性が得られ、さらに切断刃の収納箱からの剥離を防止し、耐久 性が格段と向上する。

【００１８】 さらに、その有機質繊維状材料からなる切断刃の各刃先の谷部を結ぶ仮想線と 頂点で形成される三角形が、長手方向中央部では左右非対称の尖角構造を有し、 その両端部においてはそれぞれ端部側に傾いた左右非対称の尖角構造で、かつ頂 角と中央側の傾斜角度の合計が９０度以下になるように形成されているため、巻 回フィルムを収納箱より引き出し、切断刃に押し当てる際、切断刃の両端部にお ける刃先形状にフィルムが必ず食い込み、フィルムが滑ることもなく、またしわ が生じても切断刃の両端部にフィルムが確実に食い込みノッチ効果が生じ易い。 さらにまた、長手方向中央部の刃先は左右対称の尖角構造であるので、切断抵 抗が両端部より小さくなるため、ノッチ効果が生じた後の切断性は良好となり、 フィルムを容易に切断することができる。

【００１９】

【実施例】

実施例１ 厚さ０．３５ｍｍ、幅３１０ｍｍ、鋸状の刃先が形成された領域の長さ２９５ ｍｍ、刃先の高さ１．７３ｍｍのバルカナイズドファイバー製の鋸状の切断刃で 、各刃先の谷部を結ぶ仮想線と頂点で形成される三角形が、長手方向中央部では 左右線対称な尖角構造を有し、その両端部に位置する４個の各刃の三角形は、頂 角が３８度、刃の中央側の傾斜角度が３２度の尖角構造に形成させたものを用意 した。 この切断刃を、コートボール紙製の収納箱の開口稜線部に沿って、鋸状刃の両 端部で接着部が収納箱の稜線部より突出しない状態になるように、エチレン、酢 酸ビニル共重合体を主成分とする接着剤を用いて接着装着し、巻回フィルムの収 納箱を作製した。

【００２０】

【比較例】

比較例１ 次に、厚さ０．３５ｍｍ、幅３１０ｍｍ、刃先の高さ１．７３ｍｍのバルカナ イズドファイバー製の鋸状の切断刃で、鋸状の刃先の谷部を結ぶ仮想線と頂角で 形成される三角形が、刃の長さ方向全面にわたって左右線対称な尖角構造を有す る他は、実施例１と同様の切断刃を、コートボール紙製の収納箱の開口稜線部に 沿って、上記同様な接着剤を用いて接着装着し、従来例による巻回フィルムの収 納箱を作製した。

【００２１】 実施例１及び比較例１で作製した巻回フィルムの収納箱に、それぞれ、厚さ12 μｍ、幅３００ｍｍのポリ塩化ビニル性ラップフィルムを収納し、このラップフ ィルムを鋸状の刃先の両端部で切り始めるように、上記各収納箱より引き出し、 装着された切断刃で切断し、その切断性の評価と接着耐久性を評価した。 その結果を表１に示す。 なお、評価方法として、実施例１と比較例１により作製した巻回フィルムの収 納箱を各５個ずつ作成し、切れ味感についてはパネラー５名で評価し、刃先の剥 がれは目視観察で判定した。

【００２２】

【表１】 表１に示した結果からも明らかなように、本考案の巻回フィルムの収納箱は、 従来の巻回フィルムの収納箱と比べて、フィルムの切断性に優れ、切断回数にか かわらず、切断刃が収納箱より剥れることがない。

【００２３】

【考案の効果】

本考案の巻回フィルムの収納箱によれば、従来の有機質繊維状材料からなる切 断刃を接着手段により収納箱に装着した巻回フィルムの収納箱では得られなかっ た、良好かつ安定したフィルム切断性が得られると共に、切断刃の収納箱からの 剥離を防止し、耐久性が格段と向上するため、品質の安定化および耐久性が大き く向上したものとなりその実用性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の巻回フィルムの収納箱の斜視図であ
る。

【図２】本考案の巻回フィルムの収納箱に取りつけられ
る切断刃の部分拡大平面図である。

【図３】図２の鋸状の刃先の両端部の形状を説明するた
めの拡大平面図である。

【符号の説明】

１ 巻回フィルムの収納箱 ２ 切断刃 ３ 刃先 ４ 巻回フィルム ５ 切断刃の接着部 ６ 収納箱の稜線
部 ７ 仮想線 ８ 頂点 ９ 三角形 １０ 張り出し部 Ａ 鋸状の刃先の長手方向中央部 Ｂ 鋸状の刃先の長手方向両端部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内側に収納された巻回フィルムを上部開口
   部から所望長さを引き出して切断する収納箱において、
   該収納箱の一稜線部に沿って取りつけられる有機質繊維
   状材料からなる切断刃は、その両端部に張り出し部を有
   し、その鋸状の刃先が形成された領域の長さを、収納箱
   に収納される巻回フィルムの幅よりも短く、また、切断
   刃の両端の張り出し部で、接着部が収納箱の稜線部より
   突出しない状態に設置され、さらに、上記切断刃は、各
   刃先の谷部を結ぶ仮想線と頂点で形成される三角形が、
   長手方向中央部では左右線対称な尖角構造を有し、その
   両端部においてはそれぞれ端部側に傾いた左右非対称の
   尖角構造で、かつ頂角と中央側の傾斜角度の合計が９０
   度以下になるように形成されていることを特徴とする巻
   回フィルムの収納箱。