JPH062014B2 - 植物植生用層状構造体及び同構造体を用いた植物植生方法 - Google Patents

植物植生用層状構造体及び同構造体を用いた植物植生方法

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JPH062014B2
JPH062014B2 JP2290089A JP29008990A JPH062014B2 JP H062014 B2 JPH062014 B2 JP H062014B2 JP 2290089 A JP2290089 A JP 2290089A JP 29008990 A JP29008990 A JP 29008990A JP H062014 B2 JPH062014 B2 JP H062014B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は例えばビルや共同住宅,戸建住宅など建築物の
屋上においてスカイフロントの1つとして土を使用する
ことなく緑化を実現させると共にその上を随時、歩行
し、あるいは横臥して憩いの場を提供するに好適な植物
植生用層状構造体に関し、特に内部に通水配管を内蔵し
て構造体内部の温度管理を可能とする上記層状構造体な
らびに同層状構造体を用いた屋外における植物植生方法
に関するものである。
(従来の技術) 現在、ビル屋上などは殆どクーリングタワーや物干場が
ある程度で余り利用されておらず、僅かに神社や植木が
ある程度であるが、近時、建築物の高層化と共に屋上空
間の景観を配慮した都市づくりが進められ、ビル屋上ま
たはバルコニーなどに芝や草花を植生し、屋上またはバ
ルコニー空間を緑化することで都市に不足する緑を大き
く拡大することが行われつつある。
ところで、現在、試みられている上記ビルの屋上やコン
クリートの上に芝や草花を植生する方法としては土を使
用し、植生することが最も一般的である。
勿論、一方において水耕栽培など、ロックウールやポリ
ウレタン発泡体あるいは不織布を使用して野菜や草花を
植生することも知られており、(例えば特開昭55−9
739号公報、特開昭61−25408号公報など参
照)一部に実施されている例もあるが、この場合は多く
は温室や屋内であって、その上を歩行したり、横臥した
りするビルの屋上などにおいて大規模に利用されるに至
っていない。
また、その他法面施工のため、不織布を用い、ネットで
覆う工法や、人がその上に歩くことができる植物養成マ
ットとして吸水性の材料に、これを補強するためフレー
ムを組み合わせたマットも提案されている。(特開昭6
0−98912号公報参照) (発明が解決しようとする課題) ところが、近時、従来の屋上空間の利用に加え、更に景
観、デザインという面でビルや共同住宅、戸建住宅など
の建築物の屋上やバルコニーを街の中の貴重なスペース
として捉え、利用者に対して憩いと潤いを与えると共に
建築物に付加価値をも与えることを目的としてスカイフ
ロントが注目され、脚光を浴びて来た。
そして、このような観点に従って屋上空間の緑化が見直
されるに及び従来の土を利用する方法では屋上(コンク
リート面)に芝や草花を植え、その上を歩行したり、寝
転んで読書、歓談したりするには少なくとも10cm〜2
0cm程度の土壌を屋上に持ち込み、かつ草の根がコンク
リートの亀裂に入り込むために防水対策が必要になる。
しかも土壌を屋上などへ持って上がると重量(例えば土
10cm厚さとして150〜170kg/m2)が重いため、
建築物の屋上またはバルコニー床の構造をそのために補
強しなければならない上、(現在の建築基準法では屋上
またはバルコニーの床の許容積載荷重は180kg/m2
あるため、屋上またはバルコニーに土10cm厚さの土を
盛ったとすると重量が150〜170kg/m2であるため
人が歩行したりすると許容荷重を越える恐れがある。)
更に、雨水などで流された土によって建築物が汚され、
問題となる。
と云って一方、前記水耕栽培は、ビル屋上またはバルコ
ニーなど、その上を歩行したりするには適しないことは
前述の通りであり、またフレームを組み合わせる方式や
法面施工法も屋上またはバルコニーにおける草花の広範
囲な植生に利用できるものではなく、新たな屋上植生方
式の開発が求められるに至った。
そこで本出願人らは上述の如き時代の趨勢に対応し、ビ
ル屋上またはバルコニーなどのコンクリート面において
土を使用することなく芝や草花を植生し、しかもその上
を歩行したり横臥することのできる新規な植物植生用層
状構造体を見出すことによりビル屋上またはバルコニー
の緑化を実現して屋上またはバルコニーの美観を高める
と共に緑化面積の増大化をはかり、都市街の活性化を達
成することを別途提案した。
本発明は更に上記提案に対し、より実際に適合すべく改
善を加えるもので、通水配管を層状構造体内部に内蔵さ
せ、これに冷水または温水を通水することにより層状構
造体内部を四季を通じて適切な温度に維持し、内部の水
の昇温,凍結を防ぎ、芝や植物の根腐れ,枯死を阻止し
て保護を図ることを目的とするものである。
もとより、温室内や栽培ハウス内の温度調節や地中の冷
暖房方法については従来より行われており、広く知られ
ているが、屋外にあって、しかも土を使用しない植物の
植生に適用することは未だ知られていない。また散水に
よる給水はあっても構造体内部が高温になるため根の保
護には充分とは云えない。
そこで、本発明は特に上記屋外施工で土を使用しない植
物の植生に際し、その温度管理を冷,温水通水用配管を
設置して効率よく行うことを重要な目的とする。
(課題を解決するための手段) しかして、上記目的に適合する本発明の特徴は、その1
つは合成繊維を主材とする層状の繊維構造体からなって
いて、厚さ方向に繊維密度を異にし、上部部分に中間の
繊維密度で通気性,保水性を適度に保有して芝などの植
物を種から植生するに好適な植生層,中間部分に通気は
保有するが繊維密度,保水性ともに大きく、通根,根の
保持と植物の根の保護機能をもつ保護層、下部部分に繊
維密度,保水性ともに最も低く、過剰な雨水などの排水
に適すると共に全体の荷重を支持するに充分な保持力を
有する排水層を形成する植物植生用層状繊維構造体を基
本構成とし、その層状構造体内部水平方向に冷水,温水
を通水する通水配管を内蔵せしめたことにある。
請求項2に記載の発明は上記層状構造体に対しその最上
層に合成樹脂製網状物を配置すると共に、最下層に対し
止水性能および植物の根切り性能を有する合成樹脂製シ
ートを重合せしめたものである。
また、請求項3記載のもう1つの発明は上記の層状構造
体を利用した植物の植生方法であり、上記通水配管を内
蔵せしめた植物植生層状構造体を建築構造物の屋上また
はバルコニーなど屋外に形成配置し、その内部適宜個
所、例えば層状構造体厚さ方向中間の根の保護層にあた
る部分のほぼ中央位置に温度検知器を適当数、設置し
て、その検知にもとづき層状構造体内部の温度が所定設
定上限温度を越えると内部の通水配管を通じて冷水を通
水し、一方、該温度が所定下限設定温度以下になると温
水を通水して層状構造体内部の温度管理を行う植物の植
生方法にある。
(作用) 上記本発明層状構造体を用いて屋上またはバルコニー床
面において植物植生を行うときは、形成された上記層状
構造体はその植生層に芝や植物の種を播いて発芽させ、
(植生層を保護層に重合する前に、予め植生層に種を直
播きし発芽させておいてもよい。)適当に施肥を行って
発芽した芝や植物の発育を助成するが、上部の植生層は
上記植生に適する適当な保水性と通気性を有し、また適
度の排水性を具備して芝や植物の発育を助成する。
一方、中間部の根の保持層は容易に伸びて来た芝や植物
の根が通根できて、なお、これらの根をしっかり保持す
る役割を有する。
そのため繊維密度、保水性が大きく適当に垂直,水平両
方向の透水性を有し水が溜まり水となって根腐れを起こ
すことを阻止すると共に、絶えず、新鮮な水を保水す
る。
また、通気性は小さいが適度に酸素の供給を可能として
根の保護をはかる。
更に下部部分の排水層は充分な排水機能を有することか
ら降水雨量に対して充分な過剰雨水の排水を行い、しか
も溜まり水となって根固め層で根腐れの発生するのをな
くする。
なお、根の保護層,排水層は適当な厚さを有し、歩行や
草刈り作業時の荷重に対しても充分な支持力,復元力を
有し、層状構造体全体の歩行性の改善作用を有する。
しかも、更に本発明層状構造体はその内部に通水配管が
設けられ、温度検知に応じて冷,温水が通水されること
から外気温の変化に応じ層状構造体内部の温度が変化す
るのに伴って温度検知器により検知した温度が上限設定
温度を越えるとき、即ち、夏季の外気あるいは他の理由
によって構造体内部の温度が高くなり、構造体が保水し
ている水が高温になるとき、別に設置されたタンク中の
冷水を通水配管を通じて循環し、構造体内部を冷却して
根の成育に適切な状態とする一方、冬季あるいは他の理
由により温度が下限設定温度以下に降下したとき、温度
検知器の検知にもとづいて別に設置されたタンク中の温
水を循環ポンプ等によって循環し、層状構造体内部の温
度を上げ、水の凍結をなくし、根の成育に適当な状態と
して屋上またはバルコニーに設けた土を使用しない層状
構造体による植物植生の温度管理を可能ならしめる。
なお、請求項2記載の発明における最上層の合成樹脂製
網状体は上記植物植生に際し人の歩行,横臥や草刈機の
使用などに際して荷重を網状全面に均等に分布させ、特
定場所への荷重集中を阻止すると共に、風や台風に対す
る保護を確実とする。
更に最下層の合成樹脂シートは止水機能があり、シート
上の雨水や余分の液肥を完全に排出すると共に排水層か
ら出て来た芝や植物の根が屋上のコンクリートや防水層
の細かい亀裂に入り込み、これを破損させるのを防止す
る。
(実施例) 以下、更に添付図面を参照し、本発明の具体的実施例に
ついて説明する。
第1図は本発明に係る層状構造体の形成例であり、図に
おいて、(1)は上部部分の植生層、(2)は中間部分の保護
層、(3)は下部部分の排水層であり、これら植生層(1),
保護層(2)及び排水層(3)の重合構造によってコンクリー
ト面(6)上に配置される本発明層状構造体の基本構造が
形成されていると共に、更に図において、植生層(1)の
上面に合成樹脂製網状体(4)が、また下部部分、即ち、
排水層の下面に止水,根切りの役割を有する合成樹脂製
シート(5)が夫々配層されていて、全体として本発明層
状構造体の請求項2に係る層状構造が形成されている。
そして、上記層状構造体の重合構造において、その内部
の水平方向に冷水または温水を通水する通水配管(7)が
内蔵配設されていると共に、構造体内部の温度を検知す
るため温度検知器(8)が設置されている。
ここで、上記上部部分の植生層(1)はその上に芝や植物
の種を播き、植生させる層であり、例えばポリエステ
ル,ポリプロピレン,アクリルなどの合成繊維を主材に
し、これ単独あるいは適宜吸水性繊維を適当量、例えば
15〜30%程度混合せしめた繊維ウエブをニードリン
グし、構成繊維を互いに絡交せしめた、通常、繊維の見
掛け密度0.11g/cm2で厚さ5mm前後の不織布が用いら
れる。
吸水性繊維の混合は植生層(1)の保水性を高め、乾燥に
よる発芽率低下防止を図る上に有効であるが、レーヨン
などの人造繊維は吸水状態で長期使用すると、腐る場合
があるので、可及的アクリル系吸水繊維を用いることが
好適である。
この植生層(1)はその上に種を播き、発芽させる役目を
有することからその特性として測定値の例を示せば保水
量2.4kg/m2、通気量178cc/cm2/sec,垂直透水係数1.5cm
/secを有し保水性がよく、空気の流通も適度で、また透
水性あるいは排水性も適当に保有している。
また、この植生層(1)は芝や植物の根が背光性を示すた
め白色よりも黒色が好ましく、とりわけ、濃緑色は最も
良好である。
次に前記中間部分の保護層(2)は伸びて来た芝や植物の
根が、通根できて、しかもこれらの根をしっかり保持す
る役目を有するものであり、繊維の見掛け密度は、適当
に大きい方が良い。
しかも、通気性が適度にあって酸素の供給が充分に行わ
れ、なお、適当な保水性がありながらも適当に垂直,水
平方向の透水性があって、水が溜まり水になって根腐れ
を起こしたりせぬよう、絶えず、新鮮な水が保水される
ことが望ましい。
この保護層(2)は根を保持することから適当な厚さが必
要であり、一般的に(植生層+保護層+排水層)全体で
最小限5cm以上の厚さが必要と言われるが、保護層のみ
で厚さ5cm前後が望ましい。
しかも、歩行や草刈り作業時の荷重に対して、充分な復
元力を持つことが必要で、弾性回復率は可及的大きいも
のを選定する。
この保護層(2)は例えばポリエステル繊維からなる通
常、ニードル不織布で測定値の1例を示せば見掛け密度
0.23g/cm2、厚さ10mm前後、保水量6.0kg/m2、通気量3
6cc/cm2/sec、垂直透水係数2.3×10-1cm/secで、圧
縮率は7.6%と小さく、厚さ回復率(荷重800g/cm2
は94%と高い特性を有する。また、別の例として、次
のような特性をもつ不織布と、上記不織布とを適当に混
ぜて重ねて使用することもある。即ち、その不織布は見
掛け密度は0.05g/cm2と小さいので保水量が40kg/m2
大きく、通気量122cc/cm2/sec、垂直透水係数3.5cm/s
ecと大きいが、それ程圧縮率17%は大きくなく、厚さ回
復率も90%前後と大きい、比較的細い太さの繊維からな
る不織布である。
また、これら保護層(2)においても、背光性を示す根に
対して、白色よりも黒色系が好ましい。
更に下部部分の排水層(3)は、通常、50〜100mm/Hrの降
水雨量に対しても充分、排水機能を持ち、しかも保水性
は零に近く芝や草花の根に絶えず新鮮な水が補給される
ものであることが必要であり、排水層で溜水となって根
固め層での根腐れを絶対発生しないようにする。
そのためには比較的繊維空隙率の大きな、即ち他の2層
に比し繊維密度の最も低い繊維構造体、例えば不織布を
選定するが、逆に弾性回復が悪く、変形したり、また変
形率が大きくて歩行時に不快感を与えるようでは好まし
くない。
従ってその排水層(3)には通常、500〜5000デニール前後
の太さを有するビニリデン繊維からなる不織布マット
を、厚さ30〜60mmの範囲で選択して使用する。これらは
弾力性を有し、測定の1例を示せば、約900kg/m2の荷
重に対し厚さの変化率は40%までで、その回復率は80%
以上のもので通気性の極めて大きいものである。
勿論、上記不織布マットは単独でもよいが、15〜30デニ
ールのポリエステル繊維からなる厚さ10mm程度の透水性
の良い不織布と組み合わせることも好ましく、この場合
には全体層の歩行性の改善が図られる。
以上、述べた上部部分,中間部分,下部部分の植生層
(1),保護層(2)及び排水層(3)の3層を重合設置するこ
とによって図において本発明の基本となる層状構造体が
構成されているが、重合にあたっては、図の如くビルな
どの建築構造物の屋上コンクリート面(6)で順次、下部
層より中間,上部の各層と重合して施工することが最も
一般的に行われる。この場合、各層の役割を阻害しない
ようにして中間に他の層あるいは布などを介在させるこ
とも差し支えない。
なお、この重合にあたっては特に互いに各層を接着させ
ることは必須ではなく、むしろ、芝や植物の根の通根に
よりこれがパンチングの如くなって各層を確実に保持す
る。
そして、上記層状構造体の植生層(1)に対し芝や植物の
種が播かれるが、これら種を播くには他の2層と建築構
造物上で重合設置した後、その上面の植生層(1)あるい
は網状体(4)があるときは網状体(4)の上から植生層(1)
に種を播いてさせてもよいし、また別の場所で植生層
(1)のみに種を播き発芽させた後、層状構造体として重
合作成せしめてもよい。
この場合、層状構造体として建築構造物上で直接発芽さ
せる場合も植生層のみを別の場所で発芽させてから建築
構造物上に移す場合も適当に施肥を行い、発芽した芝の
発育を助成することが望ましい。
特に建築構造物上で発芽させる場合には適度の湿りと強
風に対しての飛散防止のため、湿った不織布やマットを
植生層(1)の上る被せるのが効果的である。しかし適当
に日光に当てることを忘れてはならない。
前述した基本構造の層状構造体には図示の如く最上層及
び最下層に更に合成樹脂製網状体(4)と合成樹脂製シー
ト(5)が施工されるが、合成樹脂製網状体(4)は前記の基
本的な層状構造体の最上層にのせられ、その周囲を適当
な間隔、例えば30〜50cm間隔で建築構造物に固定した留
め具で固定される。
この網状体(4)は人の歩行、横臥や草刈機の使用時など
にあたって荷重を全面に出来るだけ均等に分布させて、
植生層(1)の特定の場所に荷重が集中してかかるのを防
ぐとともに、風や台風などに対する保護である。
特にビルの屋上またはバルコニーなど建築構造物の高所
における強風による芝や植物は勿論、前記層状構造体の
各層(1),(2),(3)の飛散防止が重要である。
従って、この網状体(4)の固定方法としては、屋上の床
上または周囲の壁に適当な間隔で設けた留め具に連繋し
たり、または建築構造物にワイヤーなどで緩着された適
当な重量,長さの押さえ棒に繋留する方法が用いられ
る。
この網状体(4)はその具体例として高圧ポリエチレン
(高密度ポリエチレン)製の、網目の大きさが10〜30mm
程度の網状体で縦横引張強さが500〜1000kg/mのもの
を、全体の大きさ,面積に合わせて使用する。色彩も緑
色系のものが望ましく、重量も500〜1000g/m2のものが
適当である。
一方、最下層の止水、根切りのための合成樹脂製シート
(5)はシート上の余分な雨水や余分の液肥が完全に適切
な方法で排水されることが必要で、通常、厚さ1〜3mm
程度の軟質塩化ビニールシートなどが適当であり、色は
一般的に黒色が用いられ、前記基本となる層状構造体の
配置に先立って敷設される。
かくしてこれら合成樹脂製網状体(4)とシート(5)とは前
記3層を基本とする層状構造体と協同して層状構造体上
の歩行、草刈りなどを容易ならしめると共に建築構造物
保護のため、止水性能及び植物の根切り性能を確保する
ことができる。
以上のような構成を具えた植物植生用の層状構造体にお
いて本発明では更に第1図に示すように冷水,温水を通
水するための通水配管(7)と、層状構造体内部の温度状
況を検知するための温度検知器(8)が設置されるが、冷
水,温水の通水配管(7)及び温度検知器(8)の設置位置は
層状構造体の内部であればどの位置でも勿論、差し支え
ないが、温度変化による根腐れや凍結による根の損傷、
ひいては枯れることを防ぐ目的から芝や植物の根を保持
する部分の温度が最も重要であることを考えれば温度検
知器(8)は図示の如く層状構造体の厚さ方向で根の保護
層(2)にあたる部分のほぼ中央の位置に1個または複数
個の適当個数設置することが好ましく、通水配管(7)も
亦、保護層(2)に内蔵配設するのが効果的である。
第2図は上記層状構造体(A)における通水配管(7)及び温
度検知器(8)の配置の1例を平面図で示しており、通水
配管(7)は主管(7a)と該主管(7a)から分岐された枝管(7
b)からなっていて、別に設置されたタンク(9)の冷水,
温水をポンプ(10)によって給水し、循環させるように回
路形成を行っている。
この場合、勿論、冷水用と温水用のタンク,ポンプは各
別に設置してもよいが、複雑となるので共用するのが有
利である。
また、配管(7)は層状構造体上を人が歩行したり草刈り
作業を行うので確実破損して漏水などをしないよう、フ
レキシブルな、例えばプラスチック配管とするか、多数
の短管をフレキシブルジョイントで接合することが好適
である。通常、配管(7)のうち、主管(7a)としては直径
10〜50mmの比較的肉厚な配管が用いられ、枝管(7b)
としては放熱作用を高めるため細いフィン付きのフレキ
シブル管又はフィン付きの短管が用いられる。また、冷
水を得るには井戸水を揚水してもよく、あるいは簡単な
冷凍機を用いて冷却してもよい。一方、温水を得るには
適当な加熱方法を用いれば容易である。
一方、前記温度検知器(8)としては比較的低温領域の温
度測定となるので、電気抵抗型寒暖計(温度計)で充分
である。また外気の気温と植物植生用層状構造体内の水
温との相関関係が把握出来るならば、外気の気温で制御
することも充分可能となるであろう。
なお、上記温度検知器(8)と関連し、これら温度検知器
(8)で検出された温度情報を入力して冷水,温水を適
宜、通水せしめるため、第2図においては更に上下限温
度設定器(11)を設置し、上限設定温度、例えば25℃前後
を越えれば15℃前後以下の冷水を循環させ、下限設定温
度、例えば5℃以下になれば30℃前後以上の温水を通水
するよう自動制御せしめている。
従って、上記の如く構成される層状構造体を建築構造物
の屋上又はバルコニーに配設するときは前述した層状構
造体による有利な植物植生をより効果的に、即ち層状構
造体内部の温度を植物植生における根の保持に最適な温
度に常に維持し、芝や植物の根の保護をより確実にし、
成育を促進する。
なお、上記層状構造体は屋上またはバルコニーに限ら
ず、地下街など、地下においても使用し、同様に植物植
生を有効に行うことが可能である。
(発明の効果) 本発明は以上説明したように植生層,保護層及び排水層
を基本とする層状構造体であり、これをビルなど建築構
造物の屋上またはバルコニーに設置することにより芝な
どの植生に必要な根の保護、空気の流通、適当量の給
水,排水,施肥などの要件を具備して土の使用を不要な
らしめ、屋上利用に好適である重量の軽減と共に歩行可
能性、横臥可能性をも付与して近時、関心がもたれてい
る建築構造物の屋上またはバルコニー利用を始めとする
建物の床面への植物の植生に顕著な効果を奏する。
特に上記層状構造体は総重量が50〜60kg/m2の重さしか
なく、建築基準法上の屋上広場またはバルコニー床の許
容積載重量を人などが歩行しても越える恐れがなく、安
全であり、土を用いた場合に必要など屋上広場又はバル
コニー床の構造物に特別な補強を要しない利点を有す
る。
しかも本発明層状構造体はその内部に冷水,温水を通水
する配管を内蔵するための構造体内部の温度が高温にな
ったときには、冷水を通水して温度を下げ、また温度が
下がって冬季などで保水している水が凍結するような場
合には温水を通水して構造体内部の温度を上げ、随時、
四季の変化,外気温の変化に対応して芝や植物の根腐れ
や根の損傷、ひいては根の枯れるのを防止することが可
能であり、土を使用しない植物植生において植生効率を
向上せしめる実効を有する。
請求項3記載の発明は上記層状構造体を利用し、かつ温
度検知器を設置して、構造体内部が予め設定した上限温
度を越えれば冷水を、また下限温度以下になれば温水を
通水するようにした植生方法で、前記冷水,温水の通水
を構造体内部の温度に応じて自動的に制御できる有利さ
がある。
請求項2記載の発明は更に前記層状構造体を使用し植物
植生を行うにあたり、最上層の合成樹脂製網状体が前記
層状構造体と共同して、その上の歩行、草刈りなどを容
易ならしめると共に、その上にかかる荷重を全面に分散
して均等ならしめ、同時に表層を平均的に抑えて風や台
風などに対しても安定せしめる特長を有し、また最下層
の合成樹脂シートは排水層より伸び出た植物の根がコン
クリート面や防水層の細い亀裂に入り込み、これを破損
せしめるのを防止すると共に屋上面の水洩れを完全に阻
止し、建築構造物上における前記植物の植生をより安定
有効ならしめる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る層状構造体の施工状態を示す断面
図、第2図は冷温水通水態様を示す平面概要図である。 (1)・・・植物植生層, (2)・・・保護層, (3)・・・排水層, (4)・・・合成樹脂製網状体, (5)・・・合成樹脂製シート, (7)・・・通水配管, (8)・・・温度検知器,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪田 亜規良 滋賀県大津市大萱3丁目17―8―105 (72)発明者 中居 猛 滋賀県彦根市松原2丁目2―29 (56)参考文献 特公 昭52−42686(JP,B2) 実公 昭49−13482(JP,Y1) 実願 昭52−116049号(実開 昭54− 40832号)の願書に添付した明細書及び図 面の内容を撮影したマイクロフィルム(J P,U) 実願 昭59−167017号(実開 昭61− 80640号)の願書に添付した明細書及び図 面の内容を撮影したマイクロフィルム(J P,U)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維を主材とする繊維構造体であっ
    て、厚さ方向に繊維密度を異にし、上層部分が中間密度
    で植物を種から植生する植生層,中間部分が繊維密度,
    保水性ともに大きく、通根,根の保持と植物の根を保護
    する保護層、下層部分が繊維密度,保水性ともに低く、
    過剰な雨水などの排水に適すると共に全体を支持するに
    足る保持力を有する排水層に形成された層状構造体の内
    部水平方向に冷,温水を通水する通水配管を内蔵配設せ
    しめてなることを特徴とする植物植生用層状構造体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の植物植生用層状構造体にお
    いて、その最上層に合成樹脂製網状物を配層すると共に
    最下層に止水性能及び植物の根切り性能を有する合成樹
    脂製シートを重合してなることを特徴とする植物植生用
    層状構造体。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の植物植生用層状構
    造体を建築構造物の屋上またはバルコニーなど屋外に形
    成し、その内部適宜個所に温度検知器を適当数設置し
    て、その検知にもとづき、層状構造体内部の温度が所定
    上限温度を越えると内部配管を通じて冷水を通水し、一
    方、所定設定下限温度以下になると温水を通水して層状
    構造体内部の温度管理を行うことを特徴とする植物植生
    方法。
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