JPH06199894A - C型肝炎ウイルスのコア蛋白質領域に存在するt細胞エピトープ - Google Patents

C型肝炎ウイルスのコア蛋白質領域に存在するt細胞エピトープ

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JPH06199894A
JPH06199894A JP7679193A JP7679193A JPH06199894A JP H06199894 A JPH06199894 A JP H06199894A JP 7679193 A JP7679193 A JP 7679193A JP 7679193 A JP7679193 A JP 7679193A JP H06199894 A JPH06199894 A JP H06199894A
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hepatitis
leu
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Masayuki Nomura
昌行 野村
Michio Ikai
道夫 井廻
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 C型ウイルス肝炎を、予防または処置するた
めの効果的なワクチン及び免疫療法剤を開発するために
必要であって、ウイルス感染細胞を直接に障害しその中
に潜むウイルスを排除し得るような、ウイルス特異的キ
ラーT細胞(CTL)を含むヒトの細胞性免疫機構を賦
活し得る抗原基(T細胞エピトープ)を得るものであ
る。 【構成】 C型肝炎患者由来CTLが認識するT細胞エ
ピトープとしてC型肝炎ウイルスコア蛋白質領域のアミ
ノ酸配列の一部で、20個のアミノ酸からなるT細胞刺
激ペプチドを、Tyr Pro Trp Pro Leu Tyr Gly Asn Glu
Gly Leu(or Met)Gly Trp Ala Gly Trp Leu Leu Ser Pro
もしくは Asp Pro Arg Arg Arg Ser ArgAsn Leu Gly L
ys Val Ile Asp Thr Phe Thr Cys Gly Leu または Ser
Val AsnTyr Ala Thr Gly Asn Leu Pro Gly Cys Ser Phe
Ser Ile Phe Leu Leu Ala の配列とすることにより、
C型肝炎ウイルスの感染を処置及び予防するためのワク
チンに利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、C型肝炎の原因ウイル
ス(以下、HCVという)にあってT細胞との反応部位
(以下、T細胞エピトープという)であるペプチド抗
原、及びHCVに対するT細胞の反応性を高める処置及
び予防に使われるワクチンに関する。尚、ここでいうT
細胞エピトープは、T細胞抗原受容体と免疫的に結合す
る実際の構造部分であり、ウイルス感染細胞を直接に障
害しその中に潜むウイルスを排除し得るウイルス特異的
キラーT細胞(以下、キラーT細胞をCTLと表す)な
どのヒトの細胞性免疫機構を賦活し得る抗原基である。
【0002】
【従来の技術】C型肝炎は、HCVにより引き起こされ
る肝炎であり、血液により感染することを特徴とする肝
炎である。特に、輸血後非A非B型肝炎の大半を占め
る。そして、HCVの感染に対しては、宿主が免疫反応
を起こす程度が弱いため慢性化しやすく、その多くは更
に肝癌へと病状が進行することが知られている。198
8年、輸血後非A非B型肝炎を起こした患者の血清をも
とに、HCVの遺伝子の一部がクローニングされ、これ
が米国カイロン社のホートン等によりサイエンスに報告
された[Science, Vol.244,pp359-362,(1989):Science,
Vol.244,pp362-364,(1989) ]。更に、彼らはHCVの
非構造蛋白質領域をコードする遺伝子の一部を、酵母の
発現ベクターに挿入し、酵母でこの遺伝子を発現させる
ことに成功した。この方法により生産される非構造蛋白
質の一部分は、C型肝炎患者血清中に存在する、抗HC
V抗体に対して抗原性を有する[The Lancet, Vol.335,
pp1-3,(1990)]。この性質により、この蛋白質はC型肝
炎の診断用抗原として利用された。
【0003】しかし、ホートン等が示した上記抗原性蛋
白質は、C型肝炎患者血清中に存在する抗HCV抗体と
反応するものの、この抗HCV抗体はC型肝炎が発症し
てなお6カ月程度を経て、はじめて陽性となり、また擬
陽性も多いなどの問題点が指摘された。そこで、現在で
は第二世代と呼ばれる、HCVの構造蛋白質領域の一部
であるコア蛋白質領域の抗原基を含む抗体測定系が導入
され、C型肝炎の診断に利用されている。
【0004】一方、HCVにより引き起こされるC型肝
炎を、予防または処置するための効果的なワクチン及び
免疫療法剤はいまだ開発されておらず、こうした薬剤が
待ち望まれている。一般に、ウイルス感染に対しては、
体液性免疫機構を賦活し抗体を誘発すると同時に、ウイ
ルス感染細胞を直接に障害しその中に潜むウイルスを排
除し得るような、ウイルス特異的CTLなどの細胞性免
疫機構を賦活し得るワクチンを開発してゆく必要があ
る。C型肝炎はHCVに感染した肝細胞に対して、HC
V特異的CTLなどの細胞性免疫機構が働き、感染肝細
胞が破壊されることで発症すると考えられている。C型
肝炎の特徴は、このHCV特異的CTLの感染肝細胞除
去が不十分で、炎症が長期化することである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の技
術では、前述の抗体測定系で示されたように、C型肝炎
患者体内の抗HCV抗体が反応する抗原基であって、抗
体または細胞表面に抗体分子を表出しているB細胞と免
疫的に結合する実際の構造部分(以下、B細胞エピトー
プという)は明らかにされているが、T細胞エピトープ
はいまだ明らかになっていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はHCVにより引
き起こされるC型肝炎を、予防または処置するための効
果的なワクチン及び免疫療法剤を開発するために必要で
あって、いまだ明らかになっていない、T細胞エピトー
プを明らかにし、提供することを目的とする。HCVは
遺伝子の長さ約10kb(1万ヌクレオチド)のRNAウ
イルスと考えられ、フラビウイルスの仲間であると推定
されている。このことから考えると、5’末端側から約
1.5kb(約1500ヌクレオチド)の部分が構造蛋白
質遺伝子部分に相当し、残りが非構造蛋白質遺伝子部分
に相当する。また約1.5kbの構造蛋白質遺伝子部分
は、フラビウイルスの遺伝子構造との比較により、コア
蛋白質遺伝子領域、膜蛋白質遺伝子領域、外皮蛋白質遺
伝子領域の3部分に機能的に分かれるものと考えられて
いる。
【0007】HCVにおいては、アミノ酸配列の変異が
高頻度に見られ、それによりグループ分類されている
が、特にコア蛋白質領域は、グループ内においてもグル
ープ間においてもアミノ酸配列がよく保存されているこ
とが知られている[Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.88,p
p10292-10296,(1991) ]。そこで本発明者らは、HCV
のコア蛋白質領域に対して特異的に反応するHCV特異
的CTLが患者の体内に存在し、このCTLがC型肝炎
の発症やHCV排除において重要な役割を果たしている
に違いないと考えた。
【0008】このCTLこそ、ウイルス感染細胞を直接
に障害しその中に潜むウイルスを排除し得るウイルス特
異的キラーT細胞であり、本発明の目的とするヒトの細
胞性免疫機構を賦活し得るT細胞エピトープを認識する
ものである。C型肝炎患者の体内のリンパ球に含まれる
HCV特異的CTLの、HCVコア蛋白質領域に対する
反応性の検討から、HCVにより引き起こされるC型肝
炎を、予防または処置するための効果的なワクチン及び
免疫療法剤を開発するために必要であって、いまだ明ら
かになっていない、T細胞エピトープを明らかにし、提
供することに成功した。
【0009】すなわち、本発明は、次の構成を含むもの
である。 (1)C型肝炎ウイルスコア蛋白質領域の一部である約
5〜20残基のアミノ酸配列を含有し、T細胞に認識さ
れ、かつそのT細胞に対して刺激を与えることを特徴と
するT細胞刺激ペプチド。 (2)上記(1)に記載のアミノ酸配列が下記化5式で
表されるCD8陽性T細胞刺激ペプチド。
【0010】
【化5】 (3)上記(1)に記載のアミノ酸配列が下記化6式で
表されるCD8陽性T細胞刺激ペプチド。
【0011】
【化6】 (4)上記(1)に記載のアミノ酸配列が下記化7式で
表されるCD4陽性T細胞刺激ペプチド。
【0012】
【化7】 (5)上記(1)に記載のアミノ酸配列が下記化8式で
表されるCD4陽性T細胞刺激ペプチド。
【0013】
【化8】 (6)上記(1)に記載のT細胞刺激ペプチドが、ペプ
チド免疫原に作用可能に結合していることを特徴とする
複合ペプチド免疫原。 (7)上記(2)に記載のCD8陽性T細胞刺激ペプチ
ドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領域以外の
ものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合してなる
(6)に記載の複合免疫原。 (8)上記(3)に記載のCD8陽性T細胞刺激ペプチ
ドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領域以外の
ものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合してなる
(6)に記載の複合免疫原。
【0014】(9)上記(4)に記載のCD4陽性T細
胞刺激ペプチドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白
質領域以外のものよりなるペプチド免疫原に作用可能に
結合してなる(6)に記載の複合免疫原。 (10)上記(5)に記載のCD4陽性T細胞刺激ペプ
チドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領域以外
のものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合してな
る(6)に記載の複合免疫原。 (11)C型肝炎ウイルスの感染を処置及び、または予
防するためのワクチンであって、前記(1)に記載のT
細胞刺激ペプチドを含有し、あるいは(6)に記載の複
合ペプチド免疫原を含有し、該ペプチドが薬学的に容認
し得る賦形剤中に、薬学的に効果的な用量で存在する、
C型肝炎用薬剤。
【0015】本発明でいう用語「ペプチド」は、隣接す
るアミノ酸残基のα−アミノ基とカルボキシル基間でペ
プチド結合により相互に結合された線状の一連のアミノ
酸を表す。ペプチドは種々の長さであり得、中性状態
(無電荷)または塩のいずれであっても、またグルコシ
ル化、側鎖の酸化あるいはホスホリル化などの変性を受
けていても、いなくてもよい。当分野では、アミノ酸配
列が酸性基及び塩基性基を含み、かつ該ペプチドにより
示される特定のイオン化状態が、取り巻いている媒質の
pHに依存することは十分に理解されている。また、付
随的にアミノ酸側鎖に付加された置換基、例えばグルコ
シル単位、脂質あるいは無機イオンによって変性された
ペプチド、並びにスルフヒドリル基の酸化などの、鎖の
化学転化に関連する変性物もこの定義に含まれる。かく
して用語「ペプチド」は化1または化2または化3また
は化4で示されるアミノ酸配列を含むことを意図し、機
能を損なわない上記変性を受けたものも意図している。
【0016】本発明でいう用語「T細胞刺激ペプチド」
は、T細胞エピトープを持つペプチドを意図しており、
B細胞エピトープは意図していない。当分野では、「T
細胞に対する刺激」の結果、刺激を受けたT細胞におい
て活性化(正の刺激)が起こるか、不活性化(負の刺
激)が起こるかは、その刺激を与える際の環境(2次的
刺激)によることが十分理解されている。
【0017】本発明でいう用語「CD8陽性T細胞」と
は、リンパ球細胞表面抗原の一つであるCD8を発現し
ているT細胞のことで、正常ヒト末梢血リンパ球の約3
0%を占める。市販の抗CD8抗体を使えばフローサイ
トメトリーなどの手法を用いて容易に発現が確認でき
る。(太田和雄,野村和弘編集;フローサイトメトリー
手技と実際,蟹書房(1984)などに詳述されている) 同様に用語「CD4陽性T細胞」とは、リンパ球細胞表
面抗原の一つであるCD4を発現しているT細胞のこと
で、正常ヒト末梢血リンパ球の約50%を占める。これ
も市販の抗CD4抗体を使えばフローサイトメトリーな
どの手法を用いて容易に発現が確認できる。
【0018】本明細書で用いる「作用可能に結合」と
は、該結合が結合したT細胞エピトープとして機能する
能力を妨害しないことを意味する。本発明でいう「HC
Vコア蛋白質領域のアミノ酸配列」は、図1に示す19
1アミノ酸の配列を意図するが、ウイルス変異に伴う一
部のアミノ酸の置換が公知であり[J.General Virolog
y, Vol.73,pp673-679,(1992)]、このアミノ酸置換によ
って得られるペプチドの性質が、本発明に示されるもの
と実質的に同等である場合は、本発明に含まれる。
【0019】図1に示す191アミノ酸の配列は、日本
人のC型肝炎の患者血清よりクローニングして得られた
塩基配列をもとに、対応するアミノ酸へ翻訳した結果の
配列である。クローニングは当業者によく知られた方法
で行った。(Sambrook,Fritsch, Maniatis; Molecular
Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring HarborLa
boratory, New York(1982)などに詳述されている)すな
わち、すでに公知のHCVの塩基配列、例えば下遠野ら
[Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.87,pp9524-9528,(199
0) ]をもとにプライマーを合成し(ABI社 340
A型機)、患者血清中のRNAから合成したcDNAを
テンプレートにPCRで増幅した。増幅したフラグメン
トを単離、精製し、ベクターであるpBluescri
pt(Stratagene)に挿入してクローニングを行った。
これをもとに蛍光シークエンサー(ABI社 373A
型機)により塩基配列を決定し、対応するアミノ酸へ翻
訳した。
【0020】翻訳したHCVコア蛋白質領域のアミノ酸
配列を基にして、図2および図3に示すように、20m
erもしくは21merのオーバーラップするペプチド
を合成した(ABI社 430A型機)。患者の体内か
ら分離したリンパ球に対して、実施例1及び実施例4に
示すように合成ペプチド刺激を与えることにより、標的
細胞(Epstein−Barrウイルスで形質転換し
た患者自身のB細胞株(BCL)に合成ペプチドの一つ
を張りつけた細胞)を殺すキラーT細胞が誘導された。
これらキラーT細胞を使った詳細な検討の結果、HCV
特異的キラーT細胞の認識するT細胞エピトープは化1
式または化2式または化3式または化4式に示したペプ
チドに含まれることが明かとなった。
【0021】本発明のT細胞刺激ペプチドは、多数の従
来の方法で調製できる。例えば、公知の固相ペプチド合
成方法により合成され得る。基になるアミノ酸の配列に
はない1〜2個のアミノ酸を本ペプチドのアミノ末端、
あるいはカルボキシル末端に付加して合成してもよい。
このようなアミノ酸の付加により、キャリヤー蛋白、支
持体、または他の免疫原と本ペプチドとを作用可能に結
合することができる。こうした目的のために有用なアミ
ノ酸には、チロシン、リジン、グルタミン酸、アスパラ
ギン酸、システイン及びこれらの誘導体がある。
【0022】さらに通常の蛋白質修飾法により、例えば
アミノ末端のアセチル化や、カルボキシル末端のアミド
化などにより、本ペプチドが他のペプチド免疫原あるい
は支持体と作用可能に結合する手段を付加することも可
能である。合成された所望のペプチドはまた、通常の精
製手段により精製され、回収される。例えば、一般には
これらの合成ペプチドを合成ペプチド精製用カラムを用
いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製
し、回収して凍結乾燥法により乾燥する。
【0023】また、他の免疫原に作用可能に結合した、
本発明のT細胞刺激ペプチドは、ヘルパ−T細胞を含む
T細胞を刺激する効果を利用して、該免疫原と免疫反応
する抗体産生を増強するためにも使用できる。活性成分
として、ペプチド配列を含むワクチンの調製も当分野で
よく知られている。典型的には、かかるワクチンは注射
剤(液状溶液または懸濁液)、溶液または懸濁液に適し
た固体形状として調製される。注入前の液体も調製でき
る。調剤は乳化してもよい。活性免疫原性成分は製薬上
許容されかつ該活性成分と相容性の賦形剤としばしば混
合される。適当な賦形剤は、例えば水、塩水、デキスト
ロース、グリセロール、エタノールなど及びこれらの組
み合わせである。さらに必要ならば、このワクチンは少
量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤
またはこのワクチンの有効性を増強する薬剤を含むこと
ができる。
【0024】このワクチンは、注射例えば皮下または筋
肉内注射により非経口投与するのが有利である。他の投
与様式に適した付随的な処方は坐薬及びいくつかの場合
には経口処方物をも含む。坐薬の場合、伝統的なバイン
ダ及び担体は、例えばポリアルカレングリコ(polyalka
lene glycos )またはトリグリセリドを含み、かかる坐
薬は0.5〜10%、好ましくは1〜2%の範囲で活性
成分を含む混合物から形成できる。経口処方物は通常使
用される賦形剤、例えば薬剤用等級のマンニトール、ラ
クトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖
ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含
む。この組成物は溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル
剤、持続放出型処方物または粉末の形状をとり、かつ
1.0〜95%、好ましくは2.5%〜70%の活性成
分を含む。
【0025】ペプチドは、中性または塩の形でワクチン
に処方できる。製薬上許容される塩は酸付加塩類(ペプ
チドの遊離アミノ基とともに形成される)、すなわち、
無機塩、例えば塩酸または燐酸あるいは有機酸、例えば
酢酸、酒石酸、マンデル酸などとの塩を含む。遊離カル
ボン酸基とともに形成される塩も、無機塩基例えばナト
リウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または
鉄水酸化物及び有機塩基、例えばイソプロピルアミン、
トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒス
チジン、プロカインなどから誘導できる。
【0026】本発明のワクチンは、投与処方物と一致す
る様式で、治療上有効かつ免疫原性であるような量で投
与される。投与すべき量は、治療すべき対象、抗体を合
成する該対象の免疫系の容量及び所定の保護の程度に依
存する。投与すべきことが要求される活性成分の正確な
量は臨床医の判断に依存し、各個体に特異的である。し
かしながら、適当な用量範囲は個体一人あたり数μg〜
数100μg程度の活性成分である。最初の投与に対す
る適当な管理及びブースタ注射も有効であるが、最初の
投与後1〜2週間隔で後の注射または他の投与を行うこ
とが典型的である。
【0027】
【発明の効果】本発明は、HCVにより引き起こされる
C型肝炎を、予防または処置するための効果的なワクチ
ン及び免疫療法剤を開発するために必要であって、いま
だ明らかになっていない、HCVのT細胞エピトープを
明らかにしかつ提供し得る。本発明によって提供される
T細胞刺激ペプチドを利用すれば、例えばHCV特異的
CTLなどのヒトの細胞性免疫機構を賦活し、生体内の
HCV除去を促すことができ、あるいはHCVのB細胞
エピトープを含む免疫原に作用可能に結合することによ
って、抗HCV抗体の産生を増強することもできる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の特徴を明らかにするために、
実施例に沿って記述するが、これらの実施例は本発明の
種々の具体例を説明するものであって、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0029】実施例 1 図1に示す191アミノ酸の配列は、日本人のC型肝炎
の患者血清よりクローニングして得られた塩基配列をも
とに、対応するアミノ酸へ翻訳した結果の配列である。
クローニングは当業者によく知られた方法で行った。
(Sambrook,Fritsch, Maniatis; Molecular Cloning, A
Laboratory Manual, Cold Spring HarborLaboratory,
New York (1982) などに詳述されている)すなわち、す
でに公知のHCVの塩基配列、例えば下遠野ら[Proc.N
atl.Acad.Sci.USA, Vol.87,pp9524-9528,(1990) ]をも
とにプライマーを合成し(ABI社 340A型機)、
患者血清中のRNAから合成したcDNAをテンプレー
トにPCRで増幅した。
【0030】増幅したフラグメントを単離、精製し、ベ
クターであるpBluescript(Stratagene)に
挿入してクローニングを行った。これをもとに蛍光シー
クエンサー(ABI社 373A型機)により塩基配列
を決定し、対応するアミノ酸へ翻訳した。翻訳したHC
Vコア蛋白質領域のアミノ酸配列を基にして、図2およ
び図3に示すように、20merもしくは21merの
オーバーラップするペプチドを化学的に合成した(NP
−1〜NP−18;ABI社 430A型機による)。
【0031】インターフェロン療法が有効であることを
特徴とする慢性C型肝炎患者患者の末梢血から文献[Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.86,pp2883-2887,(1989) ]
に記載されている方法で末梢血リンパ球(PBL)を分
離した。すなわち、たとえば6週にわたり毎日600万
単位のインターフェロンβを静注した後、ALT(alan
ine aminotransferase)が524IU/Iから38IU/Iに速
やかに減少したような患者のPBLである。回収した患
者リンパ球を、10%ヒトAB型血清入りのRPMI1
640培地(RPMI Medium 1640, #320-1875AJ, GIBCO,
U.S.A.)で1×106 個/mlの細胞濃度に懸濁した
後、合成ペプチドの混合物(MIX A:NP−1〜N
P−5,MIX B:NP−6〜NP−10,MIX
C:NP−11〜NP−14,MIX D:NP−15
〜NP−18)を、各々が10μg/mlになるように
加えた。
【0032】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトT(Biotest Diagno
stics, FRG)を、その中の主成分であるインターロイキ
ン2の添加を目的として終濃度10%になるように加え
た。さらに、培養7日目に、2回目の混合ペプチド刺激
のために、合成ペプチドの混合物を各々が10μg/m
lになるように加えた。このとき、抗原提示細胞として
40Gyの放射線照射した患者PBLを5×105 個/
mlとなるように同時に加えた。培養16日目に、2回
の混合ペプチド刺激を受けた患者リンパ球に対し、細胞
障害活性の評価を行った。
【0033】この細胞障害活性の評価の方法は、当分野
ではよく知られており、例えば、Barbara B.Mishell,St
anley M.Shiigi; Selected Methods in Cellular Immun
ology, W.H.Freeman and Company(1980)などに詳しい。
細胞障害の標的細胞として、混合ペプチド(MIX A
またはMIX BまたはMIX CまたはMIX D)
を10μg/ml加え、18時間培養した後によく洗浄
したBCL(Epstein−Barrウイルスで形質
転換した患者自身のB細胞株)を用いた。
【0034】また、細胞障害活性の評価は5時間の反応
時間で行った。細胞障害活性の評価の結果を図4に示
す。ペプチドを張りつけていないBCLに対する細胞障
害活性を陰性対照として比較すると、MIX Bのペプ
チドを張りつけたBCLに対して強い細胞障害活性が認
められる。同様の実験を、健常者(抗HCV抗体陰性)
のPBLを使って行ったが、陰性対照に対して有為な細
胞障害活性は認められなかった。
【0035】実施例 2 実施例1と同様に患者の末梢血から末梢血リンパ球(P
BL)を分離した。回収した患者リンパ球に対して、合
成ペプチドの混合物(MIX B:NP−6〜NP−1
0)を培養液に培養初日と培養7日目に加えることで刺
激を与えた。培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激
を受けた患者リンパ球に対し、細胞障害活性の評価を行
った。回収した患者リンパ球を、10%ヒトAB型血清
入りのRPMI1640培地で1×106 個/mlの細
胞濃度に懸濁した後、合成ペプチドの混合物(MIX
B:NP−6〜NP−10)を、各々が10μg/ml
になるように加えた。
【0036】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトTを、その中の主成
分であるインターロイキン2の添加を目的として終濃度
10%になるように加えた。さらに、培養7日目に、2
回目の混合ペプチド刺激のために、合成ペプチドの混合
物を各々が10μg/mlになるように加えた。このと
き、抗原提示細胞として40Gyの放射線照射した患者
PBLを5×105 個/mlとなるように同時に加え
た。培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激を受けた
患者リンパ球に対し、細胞障害活性の評価を行った。
【0037】細胞障害の標的細胞として、各ペプチド
(NP−6〜NP−10)を10μg/ml加え、18
時間培養した後によく洗浄したBCLを用いた。また、
細胞障害活性の評価は5時間の反応時間で行った。細胞
障害活性の評価の結果を図5に示す。E/T比(エフェ
クターである患者リンパ球の数とターゲットである標的
細胞の数の比)は20である。この結果から、NP−9
に対して、特異的な細胞障害活性が認められる。NP−
9は、本発明の化1式に記載のペプチドと一致する。
【0038】実施例 3 実施例1と同様に患者の末梢血から末梢血リンパ球(P
BL)を分離した。回収した患者リンパ球に対して、合
成ペプチドの混合物(MIX B:NP−6〜NP−1
0)を培養液に培養初日と培養7日目に加えることで刺
激を与えた。培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激
を受けた患者リンパ球に対し、細胞障害活性の評価を行
った。回収した患者リンパ球を、10%ヒトAB型血清
入りのRPMI1640培地で1×106 個/mlの細
胞濃度に懸濁した後、合成ペプチドの混合物(MIX
B:NP−6〜NP−10)を、各々が10μg/ml
になるように加えた。
【0039】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトTを、その中の主成
分であるインターロイキン2の添加を目的として終濃度
10%になるように加えた。さらに、培養7日目に、2
回目の混合ペプチド刺激のために、合成ペプチドの混合
物を各々が10μg/mlになるように加えた。このと
き、抗原提示細胞として40Gyの放射線照射した患者
PBLを5×105 個/mlとなるように同時に加え
た。培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激を受けた
患者リンパ球に対し、CD4陽性細胞を除去、あるいは
CD8陽性細胞除去の操作を施して細胞障害活性の評価
を行った。CD4陽性細胞の除去あるいはCD8陽性細
胞の除去には、磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD4抗体
もしくは磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD8抗体、及び
磁気分離用永久磁石(ともにアドバンス・マグネティッ
ク社)を利用した。
【0040】細胞障害の標的細胞として混合ペプチドの
MIX B(NP−6〜NP−10)を10μg/ml
加え、18時間培養した後によく洗浄したBCLを用い
た。また、細胞障害活性の評価は5時間の反応時間で行
った。細胞障害活性の評価の結果を図6に示す。E/T
比(エフェクターである患者リンパ球の数とターゲット
である標的細胞の数の比)は20である。この結果か
ら、実施例1及び実施例2における細胞障害活性はCD
8陽性細胞によって示されていることが明かとなった。
【0041】実施例 4 実施例1と同様にして図1に示す191アミノ酸の配列
を得、図2および図3に示すような、20merもしく
は21merのオーバーラップするペプチドを化学的に
合成した(NP−1〜NP−18;ABI社 430A
型機による)。インターフェロン療法が無効であること
を特徴とする慢性C型肝炎患者患者の末梢血から文献
[Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.86,pp2883-2887,(198
9) ]に記載されている方法で末梢血リンパ球(PB
L)を分離した。回収した患者リンパ球を、10%ヒト
AB型血清入りのRPMI1640培地(RPIM Medium
1640, #320-1875AJ, GIBCO, U.S.A.)で1×106 個/
mlの細胞濃度に懸濁した後、合成ペプチドの混合物
(MIX A:NP−1〜NP−5,MIX B:NP
−6〜NP−10,MIX C:NP−11〜NP−1
4,MIX D:NP−15〜NP−18)を、各々が
10μg/mlになるように加えた。
【0042】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトT(Biotest Diagno
stics, FRG)を、その中の主成分であるインターロイキ
ン2の添加を目的として終濃度10%になるように加え
た。さらに、培養7日目に、2回目の混合ペプチド刺激
のために、合成ペプチドの混合物を各々が10μg/m
lになるように加えた。このとき、抗原提示細胞として
40Gyの放射線照射した患者PBLを5×105 個/
mlとなるように同時に加えた。培養16日目に、2回
の混合ペプチド刺激を受けた患者リンパ球に対し、細胞
障害活性の評価を行った。
【0043】この細胞障害活性の評価の方法は、当分野
ではよく知られており、例えば、Barbara B.Mishell,St
anley M.Shiigi; Selected Methods in Cellular Immun
ology, W.H.Freeman and Company(1980)などに詳しい。
細胞障害の標的細胞として、混合ペプチド(MIX A
またはMIX BまたはMIX CまたはMIX D)
を10μg/ml加え、18時間培養した後によく洗浄
したBCL(Epstein−Barrウイルスで形質
転換した患者自身のB細胞株)を用いた。
【0044】また、細胞障害活性の評価は5時間の反応
時間で行った。細胞障害活性の評価の結果を図7に示
す。MIX AとMIX Bに対しては、E/T比(エ
フェクターである患者リンパ球の数とターゲットである
標的細胞の数の比)を2倍にすると、ペプチドを張りつ
けていないBCLに対する細胞障害活性も、ペプチドを
張りつけたBCLと同程度上昇していることから考え
て、非特異的な(T細胞抗原受容体を介さない)細胞障
害であると判断できる。一方、同様な考察からMIX
Cに対しては特異的な細胞障害活性が認められ、またM
IX Dに対しても特異的な細胞障害活性が認められ
る。同様の実験を、健常者(抗HCV抗体陰性)のPB
Lを使って行ったが、特異的な細胞障害活性は認められ
なかった。
【0045】実施例 5 実施例4と同様に患者の末梢血から末梢血リンパ球(P
BL)を分離した。回収した患者リンパ球に対して、合
成ペプチドの混合物(MIX C:NP−11〜NP−
14,MIX D:NP−15〜NP−18)を培養液
に培養初日と培養7日目に加えることで刺激を与えた。
培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激を受けた患者
リンパ球に対し、細胞障害活性の評価を行った。回収し
た患者リンパ球を、10%ヒトAB型血清入りのRPM
I1640培地で1×106 個/mlの細胞濃度に懸濁
した後、合成ペプチドの混合物(MIX C:NP−1
1〜NP−14,MIX D:NP−15〜NP−1
8)を、各々が10μg/mlになるように加えた。
【0046】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトTを、その中の主成
分であるインターロイキン2の添加を目的として終濃度
10%になるように加えた。さらに、培養7日目に、2
回目の混合ペプチド刺激のために、合成ペプチドの混合
物を各々が10μg/mlになるように加えた。このと
き、抗原提示細胞として40Gyの放射線照射した患者
PBLを5×105 個/mlとなるように同時に加え
た。培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激を受けた
患者リンパ球に対し、細胞障害活性の評価を行った。
【0047】細胞障害の標的細胞として、各ペプチド
(NP−11〜NP−18)を10μg/ml加え、1
8時間培養した後によく洗浄したBCLを用いた。ま
た、細胞障害活性の評価は5時間の反応時間で行った。
ただし、MIX Cで刺激したリンパ球に対してはNP
−11〜NP−14を標的にし、MIX Dで刺激した
リンパ球に対してはNP−15〜NP−18を標的にし
た。細胞障害活性の評価の結果を図8及び図9に示す。
前述のE/T比は40である。この結果から、NP−1
2とNP−17に対して、特異的な細胞障害活性が認め
られる。NP−12は、本発明の化3式に記載のペプチ
ドと一致する。また、NP−17は、本発明の化4式に
記載のペプチドと一致する。
【0048】実施例 6 実施例4と同様に患者の末梢血から末梢血リンパ球(P
BL)を分離した。回収した患者リンパ球に対して、合
成ペプチドの混合物(MIX C:NP−11〜NP−
14,MIX D:NP−15〜NP−18)を培養液
に培養初日と培養7日目に加えることで刺激を与えた。
培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激を受けた患者
リンパ球に対し、細胞障害活性の評価を行った。回収し
た患者リンパ球を、10%ヒトAB型血清入りのRPM
I1640培地で1×106 個/mlの細胞濃度に懸濁
した後、合成ペプチドの混合物(MIX C:NP−1
1〜NP−14,MIX D:NP−15〜NP−1
8)を、各々が10μg/mlになるように加えた。
【0049】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトTを、その中の主成
分であるインターロイキン2の添加を目的として終濃度
10%になるように加えた。さらに、培養7日目に、2
回目の混合ペプチド刺激のために、合成ペプチドの混合
物を各々が10μg/mlになるように加えた。このと
き、抗原提示細胞として40Gyの放射線照射した患者
PBLを5×105 個/mlとなるように同時に加え
た。培養16日目に、2回の混合ペプチド刺激を受けた
患者リンパ球に対し、CD4陽性細胞を除去、あるいは
CD8陽性細胞除去の操作を施して細胞障害活性の評価
を行った。CD4陽性細胞の除去あるいはCD8陽性細
胞の除去には、磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD4抗体
もしくは磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD8抗体、及び
磁気分離用永久磁石(ともにアドバンス・マグネティッ
ク社)を利用した。
【0050】細胞障害の標的細胞として、混合ペプチド
のMIX C(NP−11〜NP−14)もしくはMI
X D(NP−15〜NP−18)を10μg/ml加
え、18時間培養した後によく洗浄したBCLを用い
た。また、細胞障害活性の評価は5時間の反応時間で行
った。細胞障害活性の評価の結果を図10に示す。E/
T比(エフェクターである患者リンパ球の数とターゲッ
トである標的細胞の数の比)は20である。この結果か
ら、実施例4及び実施例5における細胞障害活性はCD
4陽性細胞によって示されていることが明かとなった。
【0051】実施例 7 NP−9に対応する領域(HCVコア領域アミノ酸配列
81−100)には、ウイルス変異に伴うアミノ酸変化
が知られている[J.General Virology, Vol.73,pp673-6
79,(1992)]。そこで、このアミノ酸変化の影響を調べ
るために図11に示すように、4種のペプチドを合成し
た。そして、実施例1と同様に患者の末梢血から末梢血
リンパ球(PBL)を分離した。回収した患者リンパ球
に対して、合成ペプチドNP−9を培養液に培養初日と
培養7日目に加えることで刺激を与えた。培養16日目
に、2回の合成ペプチド刺激を受けた患者リンパ球に対
し、細胞障害活性の評価を行った。回収した患者リンパ
球を、10%ヒトAB型血清入りのRPMI1640培
地で1×106 個/mlの細胞濃度に懸濁した後、合成
ペプチドNP−9が10μg/mlになるように加え
た。
【0052】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトTを、その中の主成
分であるインターロイキン2の添加を目的として終濃度
10%になるように加えた。さらに、培養7日目に、2
回目の合成ペプチド刺激のために、合成ペプチドを10
μg/mlになるように加えた。このとき、抗原提示細
胞として40Gyの放射線照射した患者PBLを5×1
5 個/mlとなるように同時に加えた。培養16日目
に、2回の合成ペプチド刺激を受けた患者リンパ球に対
し、細胞障害活性の評価を行った。
【0053】細胞障害の標的細胞として、図11に示す
各ペプチド(NP−9、9MA、9CM、9CA)を1
0μg/ml加え、18時間培養した後によく洗浄した
BCLを用いた。また、細胞障害活性の評価は5時間の
反応時間で行った。細胞障害活性の評価の結果を図12
に示す。E/T比(エフェクターである患者リンパ球の
数とターゲットである標的細胞の数の比)は20であ
る。この結果から、9MAは、NP−9と同等に細胞障
害活性の標的となることが示された。
【0054】一方、実施例1と同様に患者の末梢血から
末梢血リンパ球(PBL)を分離し、回収した患者リン
パ球に対して、合成ペプチド9MAを培養液に培養初日
と培養7日目に加えることで刺激を与え、培養16日目
に、2回の合成ペプチド刺激を受けた患者リンパ球に対
し、細胞障害活性の評価を行った。回収した患者リンパ
球を、10%ヒトAB型血清入りのRPMI1640培
地で1×106 個/mlの細胞濃度に懸濁した後、合成
ペプチド9MAが10μg/mlになるように加えた。
【0055】培養は、37℃、5%CO2 の条件下で行
った。培養2日目に、リンホカルトTを、その中の主成
分であるインターロイキン2の添加を目的として終濃度
10%になるように加えた。さらに、培養7日目に、2
回目の合成ペプチド刺激のために、合成ペプチドを10
μg/mlになるように加えた。このとき、抗原提示細
胞として40Gyの放射線照射した患者PBLを5×1
5 個/mlとなるように同時に加えた。培養16日目
に、2回の合成ペプチド刺激を受けた患者リンパ球に対
し、細胞障害活性の評価を行った。
【0056】細胞障害の標的細胞として、図11に示す
各ペプチド(NP−9、9MA)を10μg/ml加
え、18時間培養した後によく洗浄したBCLを用い
た。また、細胞障害活性の評価は5時間の反応時間で行
った。細胞障害活性の評価の結果を図13に示す。E/
T比(エフェクターである患者リンパ球の数とターゲッ
トである標的細胞の数の比)は20である。この結果か
ら、9MAで刺激した場合もNP−9を細胞障害活性の
標的とすることができることが示された。従って、NP
−9と9MAはT細胞エピトープとして同等の活性を持
っていると判断される。9MAは、本発明の化2式に記
載のペプチドと一致する。
【配列表】
【0057】配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Pro Trp Pro Leu Tyr Gly Asn Glu Gly Leu Gly Trp Ala Gly Trp Leu Leu 1 5 10 15 Ser Pro 20
【0058】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Tyr Pro Trp Pro Leu Tyr Gly Asn Glu Gly Met Gly Trp Ala Gly Trp Leu Leu 1 5 10 15 Ser Pro 20
【0059】配列番号:3 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asp Pro Arg Arg Arg Ser Arg Asn Leu Gly Lys Val Ile Asp Thr Phe Thr Cys 1 5 10 15 Gly Leu 20
【0060】配列番号:4 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Val Asn Tyr Ala Thr Gly Asn Leu Pro Gly Cys Ser Phe Ser Ile Phe Leu 1 5 10 15 Leu Ala 20
【図面の簡単な説明】
【図1】日本人のC型肝炎の患者血清よりクローニング
して得られた塩基配列をもとに、対応するアミノ酸へ翻
訳したHCVコア蛋白質領域のアミノ酸配列を示すもの
である。
【図2】翻訳したHCVコア蛋白質領域のアミノ酸配列
を基にして化学的に合成した、20merのオーバラツ
プする混合ペプチド(MIX AおよびMIX B)を
示すものである。
【図3】翻訳したHCVコア蛋白質領域のアミノ酸配列
を基にして化学的に合成した、20merおよび21m
erのオーバラツプする混合ペプチド(MIX Cおよ
びMIX D)を示すものである。
【図4】ペプチド刺激を受けた患者リンパ球の、混合ペ
プチドを張りつけたBCL(Epstein−Barr
ウイルスで形質転換した患者自身のB細胞株)と、何も
張りつけていないBCLに対する、E/T比(エフェク
ターである患者リンパ球の数とターゲットである標的細
胞の数の比)=20での細胞障害活性を示すものであ
る。
【図5】混合ペプチド(MIX B)で刺激をした患者
リンパ球の、MIX B構成ペプチド(NP−6〜NP
−10)個々を張りつけたBCLに対する、もしくはM
IX Bを張りつけたBCLに対する、E/T比=20
での細胞障害活性を示すものである。細胞障害活性は、
何も張りつけていないBCLに対する活性を差し引いて
表してある。
【図6】混合ペプチド(MIX B)で刺激をした患者
リンパ球に対し、CD4陽性細胞除去、あるいはCD8
陽性細胞除去の操作を施しての、細胞障害活性を示すも
のである。標的細胞は混合ペプチド(MIX B)を張
りつけたBCLであり、細胞障害活性は、何も張りつけ
ていないBCLに対する活性を差し引いて表してある。
対照として、除去操作なしでの細胞障害活性を併せて示
してある。CD4陽性細胞の除去あるいはCD8陽性細
胞の除去には、磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD4抗体
もしくは磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD8抗体、及び
磁気分離用永久磁石(ともにアドバンス・マグネティッ
ク社)を利用した。
【図7】ペプチド刺激を受けた患者リンパ球の、混合ペ
プチドを張りつけたBCL(Epstein−Barr
ウイルスで形質転換した患者自身のB細胞株)と、何も
張りつけていないBCLに対する、E/T比(エフェク
ターである患者リンパ球の数とターゲットである標的細
胞の数の比)=20及び40での細胞障害活性を示すも
のである。
【図8】混合ペプチド(MIX C)で刺激をした患者
リンパ球の、MIX C構成ペプチド(NP−11〜N
P−14)個々を張りつけたBCLに対する、もしくは
MIX Cを張りつけたBCLに対する、もしくは何も
張りつけていないBCLに対する、E/T比=40での
細胞障害活性を示すものである。
【図9】混合ペプチド(MIX D)で刺激をした患者
リンパ球の、MIX D構成ペプチド(NP−15〜N
P−18)個々を張りつけたBCLに対する、もしくは
MIX Dを張りつけたBCLに対する、もしくは何も
張りつけていないBCLに対する、E/T比=40での
細胞障害活性を示すものである。
【図10】混合ペプチド(MIX CもしくはMIX
D)で刺激をした患者リンパ球に対し、CD4陽性細胞
除去、あるいはCD8陽性細胞除去の操作を施しての、
細胞障害活性を示すものである。標的細胞はそれぞれの
刺激に用いた混合ペプチド(MIX CもしくはMIX
D)を張りつけたBCLであり、細胞障害活性は、何
も張りつけていないBCLに対する活性を差し引いて表
してある。対照として、除去操作なしでの細胞障害活性
を併せて示してある。CD4陽性細胞の除去あるいはC
D8陽性細胞の除去には、磁気(磁性酸化鉄)標識の抗
CD4抗体もしくは磁気(磁性酸化鉄)標識の抗CD8
抗体、及び磁気分離用永久磁石(ともにアドバンス・マ
グネティック社)を利用した。
【図11】NP−9に対応する領域(HCVコア領域ア
ミノ酸配列81−100)に知られている、ウイルス変
異に伴うアミノ酸変化を示す。4種のペプチドに分類で
きる。
【図12】NP−9ペプチドによって刺激を受けた患者
リンパ球の、図11に示す4種の合成ペプチドを張りつ
けたBCL(Epstein−Barrウイルスで形質
転換した患者自身のB細胞株)に対する、E/T比(エ
フェクターである患者リンパ球の数とターゲットである
標的細胞の数の比)=20での細胞障害活性を示すもの
である。
【図13】9MAペプチドによって刺激を受けた患者リ
ンパ球の、合成ペプチドを張りつけたBCL(Epst
ein−Barrウイルスで形質転換した患者自身のB
細胞株)に対する、E/T比(エフェクターである患者
リンパ球の数とターゲットである標的細胞の数の比)=
20での細胞障害活性を示すものである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C型肝炎ウイルスコア蛋白質領域の一部
    である約5〜20残基のアミノ酸配列を含有し、T細胞
    に認識され、かつそのT細胞に対して刺激を与えること
    を特徴とするT細胞刺激ペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアミノ酸配列が下記化
    1式で表されるCD8陽性T細胞刺激ペプチド。 【化1】
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のアミノ酸配列が下記化
    2式で表されるCD8陽性T細胞刺激ペプチド。 【化2】
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のアミノ酸配列が下記化
    3式で表されるCD4陽性T細胞刺激ペプチド。 【化3】
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のアミノ酸配列が下記化
    4式で表されるCD4陽性T細胞刺激ペプチド。 【化4】
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のT細胞刺激ペプチド
    が、ペプチド免疫原に作用可能に結合していることを特
    徴とする複合ペプチド免疫原。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載のCD8陽性T細胞刺激
    ペプチドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領域
    以外のものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合し
    てなる請求項6に記載の複合免疫原。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載のCD8陽性T細胞刺激
    ペプチドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領域
    以外のものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合し
    てなる請求項6に記載の複合免疫原。
  9. 【請求項9】 請求項4に記載のCD4陽性T細胞刺激
    ペプチドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領域
    以外のものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合し
    てなる請求項6に記載の複合免疫原。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載のCD4陽性T細胞刺
    激ペプチドが、C型肝炎ウイルス蛋白質のコア蛋白質領
    域以外のものよりなるペプチド免疫原に作用可能に結合
    してなる請求項6に記載の複合免疫原。
  11. 【請求項11】 C型肝炎ウイルスの感染を処置及び、
    または予防するためのワクチンであって、請求項1に記
    載のT細胞刺激ペプチドを含有し、あるいは請求項6に
    記載の複合ペプチド免疫原を含有し、該ペプチドが薬学
    的に容認し得る賦形剤中に、薬学的に効果的な用量で存
    在する、C型肝炎用薬剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003064096A (ja) * 2001-08-29 2003-03-05 Mitsubishi Kagaku Bio-Clinical Laboratories Inc C型肝炎ウイルス特異的細胞障害性t細胞認識エピトープ
EP2269641A3 (en) * 1999-10-01 2011-05-04 Intercell AG Hcv vaccine compositions
JPWO2013089252A1 (ja) * 2011-12-14 2015-04-27 国立大学法人高知大学 ヘルパーt細胞誘導性ポリペプチドの改変
WO2016079143A1 (de) 2014-11-17 2016-05-26 Pharis Biotec Gmbh Inhibitor der viralen hepatitis c infektion

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