JPH0619931Y2 - 石油燃焼器の燃焼筒 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は芯を使う石油燃焼器の拡炎装置付の燃焼筒構
造に関する 〔従来の技術〕 従来この種の石油燃焼器の燃焼筒は、実公昭３７−２３
４７７号に示された構造が一般的であり、芯上下機構や
油タンク構造などは大幅な改善が認められるものの、燃
焼筒の構造は殆ど変わっておらず、内外炎筒・外筒で構
成する複筒式燃焼筒部分と内炎筒の上部に配置した拡炎
燃焼部分とを独立して形成し、内炎筒天板に取り付けた
多孔拡炎筒から多量の空気を供給し、内炎筒天板の小孔
から規制した空気が拡炎装置に供給されるようにして安
定した拡炎燃焼を可能にしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

芯から気化した石油の分解を行い、燃焼し易い可燃ガス
を作るための複筒式燃焼筒部分と、可燃ガスが白黄炎燃
焼する拡炎燃焼部分とが独立しており、ある程度の自由
度を以て設計できることは、優れた燃焼筒が作りやすい
利点があるものの、使用する部品数が増加し、組み付け
工数が増加して燃焼筒のコストを高いものにしていた。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、多孔内炎筒１と多孔外炎筒２と外筒３とを
同心状に配置し、内炎筒天板４の上部に内炎筒１より小
径の拡炎筒５を設け、かつ拡炎筒５の上端に外縁が内外
炎筒１・２間隙上方に伸びる拡炎円板６を設け、該内炎
筒天板４と拡炎円板６との間で内外炎筒１・２間隙上方
に伸びる外筒天板７を外筒３の上端に設けた燃焼筒に於
いて、内炎筒天板４に取り付けた拡炎筒５の下端は内炎
筒天板４及び内炎筒仕切板８を貫通して下方へ伸ばし、
かつ拡炎筒５の空気孔５′は拡炎円板６の下側に集中し
てあけ、該内炎筒仕切板８と内炎筒天板４に小孔８′・
４′をあけ、拡炎筒５の外側と外筒天板７の内側と内炎
筒天板４の上方で形成する空間に、小孔４′・８′を介
して空気を供給する構成としている。

また、拡炎円板６の下側付近に集中してあけた拡炎筒５
の空気孔５′は抜き孔でなくスリットで形成する製造し
易い構成としている。

更に、内炎筒仕切板８は内炎筒１を載架する芯内筒９の
天板１０で形成することによって、部品の共用が可能と
なり、部品単価を低く抑えることが出来る構造である。

〔作用〕

叙上の構成であるから、拡炎筒５は従来のものより細く
なり、かつ下端は内炎筒仕切板８を貫通して下方に伸ば
しており、従来構造と比べて内炎筒１内部の空気整流構
造が不要となった。また内炎筒１と拡炎筒５の間隙を広
く出来たから、複筒式燃焼筒部分に充分な空気の供給が
可能となったものである。

一方、拡炎燃焼部分へ供給する空気は、長い拡炎筒５に
よって、特別な整流構造を取り付けなくとも安定した空
気流が得られるが、大径の拡炎筒５の使用が出来ないか
ら、従来のように内炎筒天板４の上部に位置する拡炎筒
５の全体を多孔状として充分な燃焼空気を拡炎燃焼部分
へ供給することは出来なくなる。

この考案では拡炎円板６の下側付近に集中して空気孔
５′を設けるとともに、従来品と比べて内炎筒天板４が
広くなるので、この部分にあけた小孔４′と内炎筒仕切
板８にあけた小孔８′から、空気が不足する拡炎筒５の
外側と外筒天板７の内側と内炎筒天板４の上方空間へ燃
焼空気を供給するもので、上記空間の空気不足は解消し
て従来の拡炎燃焼とほぼ同じ発熱量が得られるようにな
った。

従って、拡炎筒５内を上昇する空気は、拡炎円板６の下
側付近に集中してあけた空気孔５′から、拡炎円板６の
下面に沿って外方に供給されており、拡炎燃焼部分へ上
昇する可燃ガスはこの空気によって安定した炎で白黄炎
燃焼を行うものである。

また、複筒式燃焼筒部分及び小孔４′から拡炎燃焼部分
へ供給する空気は、仕切板８の小孔８′によって整流さ
れており、内炎筒１の小孔及び内炎筒天板４の小孔４′
の孔径・ピッチをバランスよく設定することによって、
内外炎筒１・２間隙と拡炎燃焼部分へ安定した空気を供
給することが出来るようになった。

〔実施例の説明〕

図に示す実施例によってこの考案を説明すると、１は多
孔内炎筒、２は内炎筒の外方に配置した多孔外炎筒、３
は外炎筒２の更に外方に配置した外筒であり、これらは
同心状に配置して、芯１１を収納する芯内・外筒９・１
２の上に載架している。そして内・外炎筒１・２間隙に
のぞませた芯１１に、図示せざる点火装置で点火する
と、該内・外炎筒１・２間隙に内炎筒１内方の空気と、
また外炎筒２と外筒３間隙の空気が供給され、芯１１か
ら気化した石油ガスが一部燃焼し、高分子量の石油ガス
を拡炎燃焼部分に適する低分子量の可燃ガスに熱分解す
る。

４は小孔４′があけられた内炎筒天板、５は内炎筒天板
４に固着して内炎筒天板４の上方に伸びる拡炎筒、６は
拡炎筒５の上端に取り付けられた拡炎円板であり、該拡
炎円板６の外端は内・外炎筒１・２間隙上方に伸ばして
ある。

内炎筒天板４に取り付けた拡炎筒５は、内炎筒天板４及
び内炎筒仕切板８を貫通して内炎筒１内方へ伸ばしてお
り、また拡炎筒５の空気孔５′は従来品のように内炎筒
天板４よりも上方部分の全体にあけられるのではなく、
拡炎円板６の下側付近に集中して複数列あけてある。ま
たこの空気孔５′は抜き孔ではなく、拡炎筒５と拡炎円
板６との間に間隙で形成するスリットでもよく、位置は
外筒天板７よりも上方である。

また、拡炎筒５が貫通する内炎筒仕切板８と内炎筒天板
４には小孔８′・４′があけられ、拡炎筒５の外側と外
筒天板７の内側と内炎筒天板４の上方で形成する空間に
小孔８′・４′を介して空気を供給している。

尚、内炎筒仕切板８は従来品のように内炎筒１に取り付
けられるものの他に、内炎筒仕切板８の作用を芯内炎筒
天板１０に行わせてもよく、内炎筒１の小孔や内炎筒天
板４の小孔４′に送られる空気を芯内筒天板１０の小孔
が制御する構成でも良い。

〔効果の説明〕 従来の拡炎装置付きの燃焼筒は、使用する部品数が多く
組付けも非常に面倒なものであったが、この考案では拡
炎燃焼部分は拡炎円板６と拡炎筒５の二部品だけであ
り、かつ内炎筒天板４に拡炎筒５を取付けしておく構造
によって組み付けが簡単となるものである。

一方、複筒式燃焼筒部分も従来のように複数段の制御板
を用いず、拡炎筒５をそのまま下方に伸ばし、かつ内炎
筒仕切板８を設けたものであるから構造は大幅に簡単と
なったものである。

また、構造が簡単になることによって燃焼性能が劣化す
る問題も、本件考案の空気供給構造によって改善されて
おり、構造簡単の効果が充分に生きてくるようになっ
た。

尚、拡炎筒５の空気孔５′は抜き孔でなく拡炎板６との
間のスリットで形成すれば、拡炎筒５に孔あけ加工が不
要となり、製造し易くなり、また内炎筒仕切板８は必ず
しも内炎筒１に取付けなければならないものでなく、芯
内筒９の天板１０を流用してもよく、この場合、芯内筒
９の天板１０を貫通する拡炎筒５は内炎筒１の位置ぎめ
として利用出来、上部から拡炎筒５を挿入することによ
って中心が揃い、また内炎筒１が外れにくい効果が得ら
れるものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案品の断面図である。 １……内炎筒、２……外炎筒、３……外筒、４……内炎
筒天板、５……拡炎筒、６……拡炎円板、７……外筒天
板、８……内炎筒仕切板、９……芯内筒、１０……芯内
筒天板、１１……芯、１２……芯外筒、４′・５′・
８′……小孔

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】多孔内炎筒１と多孔外炎筒２と外筒３とを
   同心状に配置し、内炎筒天板４の上部に内炎筒１より小
   径の拡炎筒５を設け、かつ拡炎筒５の上端に外縁が内外
   炎筒１・２間隙上方に伸びる拡炎円板６を設け、該内炎
   筒天板４と拡炎筒円板６との間で内外炎筒１・２間隙上
   方に伸びる外筒天板７を外筒３の上端に設けた燃焼筒に
   於いて、 内炎筒天板４に取り付けた拡炎筒５の下端は内炎筒天板
   ４及び内炎筒仕切板８を貫通して下方へ伸ばし、かつ拡
   炎筒５の空気孔５′は拡炎円板６の下側に集中してあ
   け、該内炎筒仕切板８と内炎筒天板４に小孔８′・４′
   をあけ、拡炎筒５の外側と外筒天板７の内側と内炎筒天
   板４の上方で形成する空間に、小孔４′・８′を介して
   空気を供給することを特徴とする石油燃焼器の燃焼筒。
2. 【請求項２】拡炎円板６の下側付近に集中してあけた拡
   炎筒５の空気孔５′はスリットで形成したことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の石油燃焼器の
   燃焼筒。
3. 【請求項３】内炎筒仕切板８は内炎筒１を載架する芯内
   筒９の天板１０で形成した実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の石油燃焼器の燃焼筒。