JPH06198183A - 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法 - Google Patents

炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法

Info

Publication number
JPH06198183A
JPH06198183A JP4361063A JP36106392A JPH06198183A JP H06198183 A JPH06198183 A JP H06198183A JP 4361063 A JP4361063 A JP 4361063A JP 36106392 A JP36106392 A JP 36106392A JP H06198183 A JPH06198183 A JP H06198183A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
aluminum
firing
gel
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4361063A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Chiyoda
修 千代田
Etsuo Suzuki
悦夫 鈴木
Takashi Fujikawa
貴志 藤川
Masato Watanabe
正人 渡辺
Katsumi Oki
勝美 大木
Ichiji Usui
一司 薄井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Cosmo Oil Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Cosmo Oil Co Ltd
Petroleum Energy Center PEC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER, Cosmo Oil Co Ltd, Petroleum Energy Center PEC filed Critical SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Priority to JP4361063A priority Critical patent/JPH06198183A/ja
Publication of JPH06198183A publication Critical patent/JPH06198183A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/20Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters

Landscapes

  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面積、細孔容積、触媒強度を大きくして、
脱硫活性を飛躍的に向上させた炭化水素油用水素化脱硫
触媒を、安定して製造する方法を提供する。 【構成】 (a)アルミニウムアルコキシド、アルミニ
ウムキレート化合物、環状アルミニウムオリゴマーのう
ちの少なくとも1つと、(b)周期律表第VIB族金属
の少なくとも1種と、(c)周期律表第VIII族金属
の少なくとも1種との混合物を溶媒中で混合し、生じる
有効成分を乾燥してゲルとし、これを焼成して、周期律
表第VIB族金属、周期律表第VIII族金属及びアル
ミニウムを含む複合酸化物からなる水素化脱硫触媒を製
造する方法であって、焼成前のゲル中の数1の式で表さ
れる焼成重量減少率が55〜75%となるようにした
後、焼成する。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来の水素化脱硫触媒
に比べて、脱硫活性が飛躍的に向上した炭化水素油用水
素化脱硫触媒を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化水素油は、一般に硫黄化合物を含
み、それらの油を燃料として使用した場合には、硫黄化
合物中に存在する硫黄が、硫黄酸化物に転化して大気中
に排出される。このような硫黄化合物を含む炭化水素油
は、燃焼した場合の大気汚染を考慮すれば、硫黄含有量
ができるだけ少ないことが望ましい。この硫黄含有量の
低減化は、炭化水素油を接触水素化脱硫することによっ
て達成することができる。
【0003】最近、酸性雨あるいは窒素酸化物や硫黄酸
化物などに起因する環境問題が地球的規模で取り上げら
れ、現状の技術レベル以上での硫黄分の除去が望まれて
いる。炭化水素油中の硫黄分をより低下させることは、
炭化水素油の接触水素化脱硫反応の際の運転条件、例え
ば、LHSV、温度、圧力を過酷にすることで、ある程
度達成することができる。しかし、このような技法で
は、反応に用いる装置をより耐圧性のものに増強する必
要があるのみならず、触媒上に炭素質が析出し、触媒の
活性を急速に低下させる。特に、炭化水素油が軽質留分
の場合、色相安定性や貯蔵安定性などの性状面での悪影
響も大きい。このように、運転条件での深度な脱硫に
は、限度がある。したがって、最も良い方策は、格段に
優れた脱硫活性を有する触媒を開発することである。
【0004】ところで、従来、水素化脱硫触媒を調製す
る一般的な方法として、(1)周期律表第VIII族金
属塩、およびCrやMoなどの周期律表第VIB族金属
塩の水溶液を担体に含浸させた後、乾燥し、焼成する
「含浸法」、(2)アルミナあるいはアルミナゲルを分
散した水溶液中に、周期律表第VIB族金属塩および周
期律表第VIII族金属塩の水溶液を加え、金属化合物
を沈澱させる「共沈澱法」、(3)アルミナあるいはア
ルミナゲル、周期律表第VIB族金属塩および周期律表
第VIII族金属塩の水溶液の混合ペーストを混練しな
がら加熱し、水分除去を行う「混練法」、がある(「触
媒調製化学」尾崎萃編、講談社サイエンティフィック、
205頁〜252頁)。
【0005】しかし、これらの方法では、比較的多量の
金属化合物を分散良く担体上に担持させることが困難で
ある。たとえ過剰の触媒金属化合物を担体に担持させる
ことができたとしても、これらの方法では、触媒の比表
面積を減少させるため、触媒の脱硫活性向上に限界があ
る。
【0006】そこで、本発明者らは、接触水素化脱硫反
応の際の運転条件の過酷度を上げることなく、生成油の
硫黄含有量を、例えば、軽油で0.05wt%程度、V
GOで0.08〜0.10wt%程度、常圧残油で0.
6〜0.8wt%程度にまで低減することのできる水素
化脱硫触媒として、先の出願において、第VIII族金
属、第VIB金属およびアルミニウムを含む金属酸化物
の複合物であって、その金属量が従来の水素化脱硫触媒
に比して、はるかに高い触媒と、その製造法とを提案し
た(特開昭3−275142号公報参照)。この触媒
は、X線回折パターンにおいて実質的にγ−Al
のピークを示さず、また活性金属を多量に含有するにも
かかわらず、高い表面積をも有するため、運転条件を過
酷にすることなく、通常の運転条件下で、極めて高い脱
硫活性を示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した先願
の方法で水素化脱硫触媒を製造すると、ゲルを焼成する
際に、ゲルより溶媒などの揮発性成分や低沸点成分が蒸
発し、爆発や火災の原因となったり、触媒の製造環境を
汚染するなどの問題を生じることがある。また、製造さ
れる触媒は、焼成前の条件(特に、乾燥《脱溶剤》条
件)次第で、細孔容積が約0.4cc/g以下、側面破
壊強度が約1.0ポンド(以下、「Lbs」と記す)/
mm以下となるのみならず、成形性が低下して押出しに
よる成形が不可能になるなどの問題が生じることもあ
る。その原因としては、生成した有効成分(スラリー)
を乾燥させてゲル化する段階において、焼成重量減少率
(以下、「LOI」と記す)を調節するのが困難である
ことが考えられる。
【0008】すなわち、触媒の細孔容積、あるいは側面
破壊強度などの触媒強度は、焼成により揮発性成分や低
沸点成分が消失する量の影響を受け、ゲルの成形性は、
該ゲル中に存在している揮発性成分や低沸点成分の量に
依存すると推測される。したがって、良好な物性、延い
ては高い脱硫活性を有する触媒を得るには、焼成前の原
料において、揮発性成分や低沸点成分の量、言い換えれ
ばLOIが適性な値となっていることが必要となる。
【0009】本発明は、以上の諸点を考慮し、LOIを
適性なものとすることにより、前述した先願の脱硫触媒
を、良好な物性を有して、したがって高い脱硫活性を有
して、安定して製造することのできる方法を提案するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、
(a)アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレー
ト化合物、環状アルミニウムオリゴマーのうちの少なく
とも1つと、(b)周期律表第VIB族金属の少なくと
も1種と、(c)周期律表第VIII族金属の少なくと
も1種と、の混合物を溶媒中において混合し、この混合
によって生じる有効成分を乾燥してゲルとし、これを焼
成して、周期律表第VIB族金属、周期律表第VIII
族金属およびアルミニウムを含む複合酸化物からなる水
素化脱硫触媒を製造する方法であって、前記の焼成前の
ゲル中の数2の式で表される焼成重量減少率が55〜7
5%となるようにした後、焼成することを特徴とする。
【0011】
【数2】
【0012】本発明の製造方法においては、上記の
(a),(b),(c)成分を溶媒中にて混合し、その
有効成分を乾燥し、さらに焼成するもので、これにより
製造される触媒は、実質上周期律表第VIB族金属、周
期律表第VIII族金属およびアルミニウムよりなる複
合酸化物であって、X線回折パターンにおいて実質的に
γ−Alのピークを示さないものである。上記
(a),(b),(c)の3成分の混合は、これらの3
成分の1種または2種を含む2種または3種の原料溶液
を混合することが好ましく、その態様としては、例え
ば、後述する「A法」〜「D法」などがある。なお、上
記(b),(c)の2成分の化合物は、原料溶液の調製
に用いる溶媒(水または有機溶媒)に可溶なものであれ
ばどのような化合物でもよい。
【0013】「A法」:先ず、上記(a)成分と上記
(b)成分とを、これらを溶解し得る有機溶媒に溶解し
た溶液を、一定時間混合攪拌し、均一溶液とする。次い
で、この均一溶液に上記(c)成分の水溶液を加えて混
合し、これによって生じる有効成分を乾燥し、焼成す
る。
【0014】「B法」:先ず、上記(a)成分と上記
(c)成分とを、これらを溶解し得る有機溶媒に溶解し
た溶液を、一定時間混合攪拌し、均一溶液とする。次い
で、この均一溶液に上記(b)成分の水溶液を加えて混
合し、これによって生じる有効成分を乾燥し、焼成す
る。
【0015】「C法」:(a)成分を、これを溶解し得
る有機溶媒に溶解した溶液に、(b)成分と(c)成分
の混合水溶液を加えて混合し、これによって生じる有効
成分を乾燥し、焼成する。
【0016】「D法」:先ず、(a)成分と(b)成分
と(c)成分とを、これらを溶解し得る有機溶媒に溶解
した溶液を、一定時間混合攪拌し、均一溶液とする。次
いで、この均一溶液に水を加えて混合し、これにより生
じる有効成分を乾燥し、焼成する。
【0017】本発明においては、アルミニウムアルコキ
シド、アルミニウムキレート化合物、環状アルミニウム
オリゴマーの少なくとも1つを必須成分(すなわち、
(a)成分、以下、「アルミニウム成分」と記すことも
ある)として用いるが、これらのアルミニウム成分の1
部に代えて、ケイ素、チタン、ジルコニウム、ホウ素、
ガリウム、マグネシウム、ハフニウムのアルコキシド、
キレート化合物、環状オリゴマー(以下、これらを「代
替成分」と記すこともある)から選ばれる少なくとも1
種を用いることもできる。その代替割合は、どのような
割合でもよいが、一般には、酸化物換算で、アルミニウ
ム成分90〜95重量部に対し、代替成分5〜10重量
部がよい。
【0018】アルミニウムアルコキシドとしては、どの
ようなアルミニウムアルコキシドも使用可能であるが、
乾燥などの容易さからアルコキシ基の炭素数が1〜5の
アルコキシドが好ましい。具体的には、アルミニウムメ
トキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソ
プロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミ
ニウム−sec−ブトキシドなどを挙げることができ
る。これらのアルミニウムアルコキシドは、チーグラー
法により調製したものを用いることができる。
【0019】アルミニウムキレート化合物としては、市
販品のアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロ
ピレート、アルミニウムアセトアセテートジブトキシ
ド、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、ア
ルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルア
セトネートなどが使用できる。
【0020】環状アルミニウムオリゴマーは、公知の方
法、例えば、アルミニウムアルコキシドを部分的に加水
分解することなどにより得ることができる。このように
して得られる環状アルミニウムオリゴマーは、一般に、
環状アルミニウムオキサイドアルキレートと呼ばれ、化
1の一般式で示される。
【0021】
【化1】
【0022】化1の式において、Rはアルキル基であ
り、炭素数2〜4のアルキル基が好ましく、特にイソプ
ロピル基であることが好ましい。
【0023】化1の一般式で示される環状アルミニウム
オキサイドアルキレートは、さらにステアリン酸などの
種々の脂肪酸と反応させると、化2の一般式で示される
脂肪酸型となった環状アルミニウムオリゴマーとするこ
とができる。
【0024】
【化2】
【0025】化2の式において、R′は1価の脂肪族炭
化水素基であり、好ましくは炭素数13〜19の1価の
脂肪族炭化水素基であり、特に炭素数17の1価の脂肪
族炭化水素基が好ましく、これは一般に環状アルミニウ
ムオキサイドステアレートと呼ばれている。
【0026】本発明の(b)成分である周期律表第VI
B族金属は、好ましくはクロム、モリブデン、タングス
テンであり、さらに好ましくはモリブデン、タングステ
ンを用いる。これらの第VIB族金属の化合物は、前述
のとおり、有機溶媒または水に可溶であることが必要で
あり、例えば、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、アルコキシ
ド、アセチルアセトナート、これら金属の酸のアンモニ
ウム塩などが用いられる。なお、第VIB族金属化合物
を水溶液として用いる場合には、例えば、パラモリブデ
ン酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、パラタン
グステン酸アンモニウムなどをイオン交換水に溶解させ
たものが好ましい。
【0027】本発明の(c)成分である周期律表第VI
II族金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金
の全てを用いることができるが、好ましくは鉄族金属の
コバルト、ニッケルを用いる。これらの第VIII族金
属の化合物も、前述のとおり、有機溶媒または水に可溶
であることが必要であり、例えば、硝酸塩、塩化物、酢
酸塩、アルコキシド、アセチルアセトナート、これら金
属の酸のアンモニウム塩などが用いられる。なお、第V
III族金属化合物を水溶液として用いる場合には、例
えば、硝酸コバルト6水和物、塩化コバルト6水和物、
硝酸ニッケル6水和物、塩化ニッケル6水和物などをイ
オン交換水に溶解させたものが好ましい。
【0028】以上の(a),(b),(c)成分を溶解
させるための有機溶媒は、これらを均一溶液としたり、
後のゲル化などを円滑にするために用いられる。これら
の有機溶媒は、(a)〜(c)成分を溶解し得るもので
あればよく、アルコール類、エーテル類、ケトン類、芳
香族類を用いることができ、好ましくは、アセトン、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、
sec−ブタノール、ヘキサノール、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどが挙げられ、これらは単独で、また
は混合して使用することができる。なお、これらの有機
溶媒の使用量は、(a),(b),(c)各成分が溶解
するに十分な量であればよい。
【0029】前述のA法〜D法における(a)〜(c)
成分の混合割合は、酸化物として触媒基準で、(b)成
分は約10〜60重量%、好ましくは約3〜20重量%
であり、(c)成分は約3〜20、好ましくは約5〜1
8重量%であり、(a)成分は、〔100−(b)成分
−(c)成分〕重量%である。
【0030】なお、以上のA法〜D法において、各種の
有機溶媒混合液に(b),(c)成分の水溶液を混合す
る場合、あるいは(b),(c)成分の水溶液を調製す
る場合、リン酸、硝酸、塩酸などの酸、好ましくはリン
酸を添加することにより、(b),(c)成分の溶解性
が良好となったり、製品触媒の強度が高められるなどの
効果を奏することができる。酸の添加量は、微量でよ
く、好ましくは、酸化物換算で、(a)成分からもたら
されるアルミナに対し、約0.5〜5重量%とすること
が適している。多すぎると、製品触媒の活性が低下する
のみならず、強度はそれほど向上せず、不経済となる。
【0031】以上の(a)〜(c)成分の混合方法は、
A法〜D法において、通常の攪拌方法を用い、均一にな
るまで充分に攪拌すればよい。このときの温度条件は、
好ましくは約20〜300℃、さらに好ましくは約50
〜200℃であり、この程度の温度条件であれば、通
常、十数分〜約1時間の攪拌で均一溶液となる。
【0032】なお、A法〜D法において、各種の有機溶
媒混合液に(b),(c)成分の水溶液や水を添加する
場合は、好ましくは徐々に行い、さらに好ましくは滴下
による方法がよい。一度に添加すると、反応が十分に行
われず、したがって得られる触媒は、各々の金属酸化物
の分布が不均一となり好ましくない。
【0033】以上のようにして(a)〜(c)成分を溶
媒(有機溶媒や水)中で混合することにより、有効成分
が生成する。さらに攪拌を続けると、スラリー状とな
る。スラリー状となった有効成分を取り出す方法として
は、どのような方法でもよく、例えば、圧搾式のフィ
ルタープレスを用い、圧搾により溶媒を除去する方法、
ロータリーエバポレーターを用い、減圧、加熱下で溶
媒を除去する方法、濾紙による濾過で溶媒を除去する
方法などがある。いずれの方法においても、LOIが約
55〜75%、好ましくは約58〜70%、さらに好ま
しくは58〜65%になるような条件範囲で行うことが
重要である。
【0034】なお、LOIは、実際には、前述の数2の
式に示すように、焼成前のゲルの重量αと焼成後の製品
触媒の重量βから算出されるものである。したがって、
本発明では、数2の式からLOIが約55〜75%とな
るように、ゲルの重量αを調整すればよい。例えば、有
効成分の取り出し法として、上記の圧搾法を採用する
場合は、圧搾時の圧力を、濾過室の厚みにもよるが、該
厚みが25mmにおいて、約2〜30kg/cm、好
ましくは約10〜20kg/cm、該厚みが40mm
において、約2〜30kg/cm、好ましくは約5〜
15kg/cmの範囲から適宜選択し、圧搾時間を調
整すればよい。のロータリーエバポレーターによる方
法を採用する場合は、温度を約50〜200℃の範囲か
ら適宜選択し、減圧度とエバポレーターの運転時間とを
調整すればよい。なお、上記の場合は、濾過後のゲル
の乾燥度合を調整することによってLOIが調整される
が、風乾や加熱による方法を採用すると、ゲルの表面の
みが乾燥されることとなり、LOIのコントロールが困
難となるため、本発明では、上記やの方法によるこ
とが適している。
【0035】以上により、実際の水素化脱硫触媒の製造
の際のLOIの設定は、次のような方法で行うことが望
ましい。すなわち、上記のような種々の有効成分取り出
し法に対して、種々の条件で取り出し、得られるゲルを
一定の温度で焼成し、焼成前のゲル重量αと焼成後の製
品触媒重量βとを各々測定し、これらα,βと有効性分
取り出し条件との関係をグラフなどにまとめておき、実
際の水素化脱硫触媒の製造の際に、このグラフなどから
所望のLOIを設定するようにする。
【0036】本発明において、LOIを約55〜75%
とする理由は、次のとおりである。LOIが約55%未
満であると、表面積、細孔容積および触媒強度とも小さ
くなり、しかも押出成形などによる成形性が悪化して工
業的生産が困難になる。LOIが約75%を超えると、
表面積、細孔容積は大きくなるが、触媒強度が小さくな
り、所望の触媒性能を得ることができない。これら表面
積、細孔容積、触媒強度のいずれもが大きく、したがっ
て脱硫活性に優れるとともに、触媒寿命の向上した脱硫
触媒を得る上で、本発明では、上記のLOIの範囲とす
るものであり、より好ましくは、約60〜70%の範囲
である。
【0037】このようにLOIが適性値となるようにし
て得られる可塑性を有するゲルは、必要に応じて空気中
にて、約200〜800℃の温度で、約1〜24時間焼
成することにより、水素化脱硫触媒となる。
【0038】以上のようにして製造される水素化脱硫触
媒は、従来のものに比べ、はるかに高い量の活性金属を
含有しているのみならず、焼成前のゲルのLOIが適性
値となっているため、高い量の活性金属を含有する割に
は大きい表面積と細孔容積とを有し、かつ高い側面破壊
強度などの触媒強度をも有している。
【0039】因みに、本発明で得られる触媒は、前述し
たように、本発明者らによる先の出願に係る水素化脱硫
触媒であって、X線回折パターンにおいて実質的にγ−
Alのピークを示さず、従来の一般的な含浸法で
得られるX線回折パターンにおいてγ−Alのピ
ークを示す触媒とは、構造が異なり、その詳細な作用に
ついては明らかではないが、本発明で得られる触媒が高
活性であるのは、この構造の違いに起因するものと思わ
れる。参考までに、本発明で得られる触媒と従来の含浸
法で得られる触媒の通常の条件下でのX線回折パターン
を、図1および図2に示す。図1が本発明で得られる触
媒〔組成(大略):CoO15wt%,MoO45w
t%,Al40wt%〕のX線回折パターン、図
2が従来法で得られる触媒〔組成(大略):CoO5w
t%,MoO15wt%,Al80wt%〕の
X線回折パターンである。
【0040】また、本発明で得られる触媒は、必要に応
じて、約150〜700℃の条件下で硫化処理を行い活
性化した後に、水素化脱硫反応に用いることもできる。
さらに、本発明の焼成前の可塑性を有するゲルは、押出
成形などにより、所望の形状に成形されるが、このとき
の成形性も良好であり、所望形状に容易に成形すること
ができる。
【0041】
【実施例】
実施例1 三角フラスコ中で、アルミニウム−sec−ブトキシド
180.9g(0.7344mol)と、コバルトアセ
チルアセトナート54.972g(0.1875mo
l)とを、iso−プロパノール2000ccに溶解さ
せた溶液を、80℃で、1時間攪拌した。また、別に、
パラモリブデン酸アンモニウム51.679g(0.0
4182mol)を、イオン交換水280gの中で、約
80℃に加熱して激しく攪拌し、溶解させ、均一溶液と
した。この水溶液を、攪拌中の上記iso−プロパノー
ル溶液に徐々に滴下すると、紫のゼラチン状の沈澱が生
じ、攪拌を続けると最終的には紫色を帯びた乳白色のス
ラリーとなった。さらに、80℃で3時間攪拌した。得
られたスラリー溶液を、圧搾式フィルタープレスを用
い、圧力15kg/cmで、160分間の濾過濃縮を
行い、可塑性のあるゲル293.4gを得た。得られた
ゲルを、押出成形機にて、直径1.6mm(1/16イ
ンチ)の柱状物に成形した後、蒸発皿に広げ、マッフル
炉で、500℃で、4時間焼成して、CoO(15wt
%)−MoO(45wt%)−Al(40wt
%)の複合金属酸化物(触媒A)93.6gを得た。こ
の触媒Aの物性を測定し、結果を表1に示す。
【0042】実施例2 アルミニウム−sec−ブトキシド180.9g(0.
7344mol)の代わりに、アルミニウム−iso−
プロポキシド150.0g(0.7344mol)を用
いた以外は、実施例1と同様にして、CoO(15wt
%)−MoO(45wt%)−Al(40wt
%)の複合金属酸化物(触媒B)を得た。なお、焼成前
のゲルの重量は297.2gであり、焼成後の触媒Bの
重量は93.6gであった。この触媒Bの物性を測定
し、結果を表1に示す。
【0043】実施例3 アルミニウム−sec−ブトキシド180.9g(0.
7344mol)の代わりに、アルミニウム−sec−
ブトキシド90.45g(0.3672mol)とテト
ラエトキシシラン64.930g(0.31167mo
l)とを用いた以外は、実施例1と同様にして、CoO
(15wt%)−MoO(45wt%)−Al
(40wt%)の複合金属酸化物(触媒C)を得た。な
お、焼成前のゲルの重量は294.4gであり、焼成後
の触媒Cの重量は93.6gであった。この触媒Cの物
性を測定し、結果を表1に示す。
【0044】実施例4 三角フラスコ中で、アルミニウム−sec−ブトキシド
180.9g(0.7344mol)をiso−プロパ
ノール2000ccに溶解させた溶液を、80℃に保っ
た。別に、パラモリブデン酸アンモニウム53.399
g(0.04402mol)と、硝酸コバルト54.5
47g(0.1874mol)とをイオン交換水280
gの中で、約80℃に加熱して激しく攪拌し、溶解させ
た。この水溶液と、リン酸(リン酸濃度85%のもの)
3.202gとを、攪拌中の上記iso−プロパノール
溶液に徐々に滴下すると、紫のゼラチン状の沈澱が生
じ、攪拌を続けると最終的には紫色を帯びた乳白色のス
ラリーとなった。以後、実施例1と同様にして、CoO
(15wt%)−MoO(45wt%)−Al
(40wt%)の複合金属酸化物(触媒D)を得た。な
お、焼成前のゲルの重量は298.6gであり、焼成後
の触媒Dの重量は98.5gであった。この触媒Dの物
性を測定し、結果を表1に示す。
【0045】実施例5 コバルトアセチルアセトナートを29.40g(0.0
937mol)、パラモリブデン酸アンモニウムを3
6.70g(0.0297mol)とした以外は、実施
例1と同様にして、CoO(15wt%)−MoO
(45wt%)−Al(40wt%)の複合金
属酸化物(触媒E)を得た。なお、焼成前のゲルの重量
は234.8gであり、焼成後の触媒Eの重量は98.
5gであった。この触媒Eの物性を測定し、結果を表1
に示す。
【0046】実施例6 スラリー溶液の濾過濃縮を、通常のフィルタープレスを
用い、7時間行った以外は、実施例1と同様にして、C
oO(15wt%)−MoO(45wt%)−Al
(40wt%)の複合金属酸化物(触媒F)を得
た。なお、焼成前のゲルの重量は357.3gであり、
焼成後の触媒Fの重量は93.6gであった。この触媒
Fの物性を測定し、結果を表1に示す。
【0047】実施例7 スラリー溶液の濾過濃縮を、圧搾式フィルタープレスを
用い、圧力20kg/cmで、240分間行った以外
は、実施例1と同様にして、CoO(15wt%)−M
oO(45wt%)−Al(40wt%)の複
合金属酸化物(触媒G)を得た。なお、焼成前のゲルの
重量は231.7gであり、焼成後の触媒Gの重量は9
3.6gであった。この触媒Gの物性を測定し、結果を
表1に示す。
【0048】比較例1 スラリー溶液の濾過濃縮を、フィルターを用い、常圧で
1時間を行った以外は、実施例1と同様にして、CoO
(15wt%)−MoO(45wt%)−Al
(40wt%)の複合金属酸化物(触媒H)を得た。な
お、焼成前のゲルの重量は492.7gであり、焼成後
の触媒Hの重量は93.6gであった。この触媒Hの物
性を測定し、結果を表1に示す。
【0049】比較例2 スラリー溶液の濾過濃縮を、圧搾式フィルタープレスを
用い、圧力20kg/cmで、240分間行った後、
10時間風乾して、溶媒分を蒸発させた以外は、実施例
1と同様にして、CoO(15wt%)−MoO(4
5wt%)−Al(40wt%)の複合金属酸化
物(触媒I)を得た。なお、焼成前のゲルの重量は17
9.0gであり、焼成後の触媒Iの重量は93.6gで
あった。この触媒Iの物性を測定し、結果を表1に示
す。
【0050】
【表1】
【0051】表1から明らかなように、LOIが本発明
の範囲内の66.1%を示す触媒Aによれば、表面積、
細孔容器、側面破壊強度とも大きい値となっているが、
LOIが大きすぎる触媒Hでは、これらのいずれの物性
も触媒Aより小さいものとなっており、逆にLOIが小
さすぎる触媒Iでは、表面積は触媒Aより大きいが、細
孔容積と側面破壊強度とは触媒Aより極めて小さくなっ
ている。これらの物性より、触媒Aは高い脱硫活性およ
び触媒寿命を示すが、触媒HおよびIは触媒Aに比して
脱硫活性も触媒寿命も低いことを示すことが容易に推測
できる。
【0052】実施例8 実施例1で得られたスラリーを、実施例1と同じ圧搾式
フィルタープレスを用い、濾過室厚みが25mmのもの
と、40mmのものとの2種とし、各厚みの室におい
て、圧力を種々変化させる以外は、実施例1と同様にし
て種々の触媒を製造した。これらの触媒についてのLO
Iを測定し、圧搾圧力とLOIとの関係を調べ、図3の
グラフに示した。
【0053】図3より明らかなように、LOIを55〜
75%、好ましくは60〜70%とするためには、圧搾
式フィルタープレスにおける圧縮圧力を、濾過室厚み2
5mmにおいて、2〜30kg/cm、好ましくは約
10〜20kg/cm、濾過室厚み40mmにおい
て、約2〜30kg/cm、好ましくは約15〜25
kg/cmとすればよいことが判る。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、焼成
前のゲルのLOIを適性値にするため、次のような効果
を奏することができる。 (1)ゲルの成形性を良好なものとすることができると
ともに、該ゲル焼成時の危険度を減少させることができ
る。 (2)従来の触媒に比べ、高い金属含有量となり、かつ
大きい表面積および細孔容積を有するのみならず、高い
触媒強度をも有することができる。 このため、炭化水素油の水素化脱硫反応時において、反
応物(炭化水素油)の触媒の細孔内拡散が十分となって
高い脱硫率を得ることができるとともに、工業上必要な
充填量や充填密度に耐える触媒強度をも持つ上、触媒寿
命も伸び、経済的効果が莫大となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られる触媒のX線回折パターンを示
す図である。
【図2】従来の含浸法で得られる触媒のX線回折パター
ンを示す図である。
【図3】圧搾式フィルタープレスによりゲルを得る際
の、圧搾圧力とLOIとの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 正人 神奈川県横浜市鶴見区岸谷4−22−24 (72)発明者 大木 勝美 埼玉県幸手市神明内1368 (72)発明者 薄井 一司 千葉県野田市岩名1−62−10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アルミニウムアルコキシド、アル
    ミニウムキレート化合物、環状アルミニウムオリゴマー
    のうちの少なくとも1つと、(b)周期律表第VIB族
    金属の少なくとも1種と、(c)周期律表第VIII族
    金属の少なくとも1種との混合物を溶媒中において混合
    し、この混合によって生じる有効成分を乾燥してゲルと
    し、これを焼成して、周期律表第VIB族金属、周期律
    表第VIII族金属およびアルミニウムを含む複合酸化
    物からなる水素化脱硫触媒を製造する方法であって、 前記の焼成前のゲル中の数1の式で表される焼成重量減
    少率が55〜75%となるようにした後、焼成すること
    を特徴とする炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法。 【数1】
JP4361063A 1992-12-30 1992-12-30 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法 Pending JPH06198183A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4361063A JPH06198183A (ja) 1992-12-30 1992-12-30 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4361063A JPH06198183A (ja) 1992-12-30 1992-12-30 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06198183A true JPH06198183A (ja) 1994-07-19

Family

ID=18472043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4361063A Pending JPH06198183A (ja) 1992-12-30 1992-12-30 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06198183A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000325797A (ja) N及びカルボニルを含む有機化合物を含むところの水素化処理触媒を硫化する方法
JP2003171671A (ja) 重質油の水素化精製方法
US20220339614A1 (en) Hydrotreating catalyst with a titanium containing carrier and organic additive
JPH0813330B2 (ja) 炭化水素油の水素化脱硫触媒組成物の製造法
JP2556341B2 (ja) ヒドロゲルから作成した水添処理触媒の製造方法および製造された触媒
US4111795A (en) Hydrodesulfurization of hydrocarbon with cobalt-molybdenum-alumina catalyst of high metal content and high surface area
JP3391522B2 (ja) 重質油の水素化処理方法
US5182250A (en) Catalyst composition for hydrodesulfurization of hydrocarbon oil and process for producing the same
JPH06198185A (ja) 水素化脱硫触媒の製法
JPH06198183A (ja) 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製法
JP2000042413A (ja) 水素化精製触媒
JPH06198184A (ja) 水素化脱硫触媒の製造法
JPH06198186A (ja) 炭化水素油の水素化脱硫触媒の製造法
JP3676869B2 (ja) 炭化水素油用水素化脱硫触媒の製造方法
JP2789489B2 (ja) 炭化水素油用水素化脱硫触媒組成物およびその製法ならびにそれを用いる水素化脱硫法
JPH06226101A (ja) 炭化水素油の水素化脱硫触媒の製造方法
CN112705221A (zh) 一种体相加氢催化剂及其制备方法
JPH0576766A (ja) 炭化水素油の水素化脱硫用触媒の製造方法
JP2000354766A (ja) 炭化水素油の水素化処理触媒
JPH03275143A (ja) 炭化水素油の水素化処理用触媒組成物及びそれを使用する水素化脱硫方法
JP3682106B2 (ja) 軽油の水素化脱硫触媒の調製法
JPH0576765A (ja) 炭化水素油の水素化脱硫触媒組成物の製造法
JPH05317712A (ja) 水素化脱硫触媒およびその製造方法
JPH03281595A (ja) 炭化水素油用水素化脱硫触媒組成物およびその製法ならびにそれを用いた水素化脱硫法
JP3376067B2 (ja) 水素化処理触媒の製造方法