JPH0619580B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH0619580B2
JPH0619580B2 JP59059371A JP5937184A JPH0619580B2 JP H0619580 B2 JPH0619580 B2 JP H0619580B2 JP 59059371 A JP59059371 A JP 59059371A JP 5937184 A JP5937184 A JP 5937184A JP H0619580 B2 JPH0619580 B2 JP H0619580B2
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重行 江橋
俊雄 瀬田
聡 水上
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電子写真感光体に関するものであり,更に詳し
くは,導電性支持体上に形成せしめた光導電層の中に,
新規なヒドラゾン化合物を含有せしめることにより,優
れた光感度,耐久性を有する電子写真感光体を提供する
ものである。
電子写真法は既にカールソンが米国特許第2.297.69
1号に明らかにしたように,この写真法は静電現象と光
導電現象とを巧妙に組合せしたものであり,光導電性感
光体を暗所でコロナ放電等により,表面を一様に帯電さ
せた後,光導電性を利用して光像を静電潜像に変え,こ
れに着色した電荷粉体(トナー)を付着させて可視像に
変える画像形成法の一つである。
このような電子写真法における感光体に要求される基本
的な電気的および光電気的特性として,暗所において適
当な電位に帯電できること,この電位が適当な時間保持
できること,更に,光照射により速やかに電荷が逸散す
ることができることなどがあげられる。
このような感光体において,従来より,無定形セレン,
硫化カドミウム,酸化亜鉛等の無機光導電性物質が広く
使用されてきた。これらの無機物質は上記条件は満足す
るが,いくつかの欠点も同時に有する。例えば硫化カド
ミウムや酸化亜鉛は結着剤としての樹脂に分散させて感
光体として用いられるが,平滑性,可撓性,硬度,引張
り強度,耐摩擦性などの機械的な欠点を有するため,そ
のままでは反復使用に耐えることができない。更に硫化
カドミウムにおいては衛生性の問題にも考慮が必要であ
る。
また,無定形セレンにおいては,製法が蒸着によらなく
てはならず,製造コストが高価となるばかりでなく,可
撓性がなく,ベルト状に加工することが困難である他,
セレンの毒性および熱や機械的衝撃に対して鋭敏なため
取り扱いには注意を要するなどの欠点を有する。
近年,これらの無機系感光体の欠点を排除するために,
有機系感光体の研究がすすみ,有機系感光体における,
皮膜の容易性,製造の容易性,軽量,可撓性,分光感度
の多変性の多くの利点を有するため,種々の有機系感光
体が提案され,実用に供されているものもある。
例えば,ポリ−N−ビニルカルバゾールと2,4,7−
トリニトロフルオレン−9−オンとからなる感光体(米
国特許第3.484.237),ポリ−N−ビニルカルバゾ
ールをピリリウム塩系色素で増感したもの(特公昭48
−25658号公報),染料と樹脂とからなる共晶錯体
を主成分とする感光体(特開昭47−10735号公
報)などである。
また,更に光により電荷を発生する物質(電荷発生物質
と呼ぶ)と,この発生した電荷を輸送することのできる
物質(電荷輸送物質と呼ぶ)とを組合せた電子写真感光
体が提案されている。例えば,米国特許第3.791.82
6号明細書には電荷発生層上に電荷輸送層を設けた感光
体が,また,米国特許第3.764.315号明細書には電
荷発生物質を電荷輸送物質中に分散せしめた感光層を持
つ感光体が記載されている。
この種の電荷の発生と電荷の輸送とを,それぞれ別の物
質により機能を分担させることにより,すなわち電荷発
生物質と電荷輸送物質の組合せにより,その特性はより
良好となり,有用な感光体が提供される。
そして,これまで,この種の感光体において,有用な電
荷発生物質は多く知られている。一方,電荷輸送物質と
しては種々の物質が提案されているが,必ずしも満足し
得るものとは言い難いのが現状である。優れた電荷輸送
物質とは,基本的特性として,帯電せしめた時,十分に
電位を保持できること,電荷発生物質から電荷を発生さ
れるような有用な波長の光を電荷発生物質にまで十分透
過させること,更には,電荷発生物質より発生された電
荷を速やかに輸送する能力を有するものである。また、
実用上の要求特性としては,単独もしくは,結着剤に溶
解し,皮膜を形成するうえで均一な皮膜を形成し得るこ
と,温度,湿度およびコロナ放電の際発生されるオゾ
ン,NO等による過酷な環境条件下において,静電特
性の劣化,変化をもたらさないことが必要である。これ
までに,この種の電荷輸送物質として,化学構造式別に
分類すればトリフェニルの如きポリフェニル化合物,米
国特許第3.717.462号,米国特許第4.150.987
号,特開昭55−52064号明細書に記載されている
ヒドラゾン化合物,米国特許第3.820.989号明細書
に記載されているジアリールアルカン化合物,米国特許
第3.189.477号明細書に記載されている2,5−ビ
ス(P−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキ
サジアゾール,米国特許第3.837.851号明細書に記
載されているピラゾリン化合物等が,近年提案されてい
る比較的優れた電荷輸送物質である。しかし,これらの
電荷輸送物質に関しても,前記条件に関して,全て満足
しているものとはいえないのが現状である。
本発明者等は鋭意研究を行った結果,特定の構造のヒド
ラゾン化合物が,電子写真感光体の真に有用な電荷輸送
物質であることを発見し,更にこの電荷輸送材を用いた
電子写真感光体が優れた性質を有することを見出し,本
発明を完成したものである。
即ち,本発明は優れた特性を有する電子写真感光体に関
して,新規な構造のヒドラゾン誘導体を用いて提供する
ものである。
本発明の目的は,新規な電荷輸送物質を含有せしめるこ
とにより高感度にて残留電位の少ない電子写真感光体を
提供することである。本発明の他の目的は,帯電露光,
現像,転写工程が繰り返して行われる反復転写式電子写
真用の感光体として用いた時,繰り返し使用による疲労
劣化が少なく,更に低温より高温,低湿度より高湿度下
における種々の過酷な環境下において,安定した特性を
維持する耐久性および環境性の優れた電子写真感光体を
提供することにある。
本発明のかかる目的は,導電性支持体に電荷発生物質お
よび電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感
光体において,電荷発生物質がε型銅フタロシアニン,
あるいは,銅フタロシアニンおよびニトロ基を有するフ
タロシアニンを濃硫酸に溶解した後,水によって析出さ
せてなるフタロシアニン組成物であり,電荷輸送物質と
して下記一般式(I)で示されるヒドラゾン化合物の少
なくとも1種を含有させることによって達成される。
一般式(I) 但し,式中, Xは酸素原子,硫黄原子,セレン原子,置換基を有して
もよいイミノ基を示す。
Yは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基,または置
換基を有していてもよい複素環基であり,例えば,ベン
ゼン,ナフタリン,アントラセン,ピレン,アセナフテ
ンアセナフチレン,アズレン,フルオレン,スチレン等
から誘導される芳香族炭化水素基,カルバゾール,イン
ドール,チオフェンフラン,ピロール,ピラゾール,ア
クリジン,キサンテン,フェノチアジン,キノリン,ピ
リジン等から誘導体される複素環基などがある。
また,これらの芳香族炭化水素基または芳香族複素環基
は,置換基を有してもよく,置換基としては,アルキル
基,アラルキル基,アルキルアミノ基,アミノ基,アル
コキシ基などが挙げられる。R1はメチル基,エチル
基,直鎖状ないしは分枝状のプロピル基,ブチル基,ペ
ンチル基,ヘキシル基のようなアルキル基,ベンジル
基,フェネチル基,シンナミル基,ベンズヒドリル基等
のアラルキル基,フェニル基等のアリール基である。R
2,R3,R4およびR5はそれぞれ独立に水素原子,ハロ
ゲン原子,アルキル基,低級アルコキシ基,ニトロ基,
アミノ基またはアルキルアミノ基を表す。
なお,前記一般式〔I〕で表わされる本発明のヒドラゾ
ン化合物は,例えば,次に示す方法により製造すること
ができる。
一つの方法は,一般式〔II〕 で表わされるヒドラジン又はその鉱酸塩とアルデヒド基
を有する芳香族化合物,複素環化合物〔III〕 Y−CHO ……〔III〕 を溶媒中で反応させることができる。溶媒としては非反
応性の有機溶剤を広く用いることができるが,好ましく
はメタノール,エタノール等のアルコール類や,ジメチ
ルホルムアミド,ジオキサン等を単独又は混合して用い
ることができる。
また,別の方法では一般式〔IV〕 で表わされるヒドラジン又はその鉱酸塩と前記一般式
〔III〕で表わされるアルデヒド化合物を溶媒中で反応
させ,その後 一般式 R1−Z ……〔V〕 (式中,Zはハロゲン原子等の陰性基を表す)で表わさ
れる化合物と溶媒中で,好ましくは塩基性条件下で反応
させることにより,本発明のヒドラゾン化合物を得るこ
とができる。またこの時,四級アンモニウム塩のような
相間移動触媒を用いると効果的である事がある。溶媒と
しては,非反応性の溶媒を広く用いることができるが,
好ましくは水やアルコール類等のプロトン性溶媒又はジ
メチルスルホキシド,ジメチルホルムアミドのような非
プロトン性極性溶媒,アセトン,2−ブタノン等のケト
ン類,ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水
素,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類,
ジクロルメタン,1,2−ジクロルエタン等の塩素化炭
化水素類又はピリジン,トリエチルアミンのようなアミ
ン類を単独又は混合して用いることができる。塩基とし
ては,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸カリウ
ム,ナトリウムメチラート,水素化ナトリウム等が用い
られる。相間移動触媒としてはベンジルトリメチルアン
モニウムクロリドやテトラブチルアンモニウムプロミド
等の公知の第4級アンモニウム塩を用いることができ
る。
このような合成法にて,本発明で用いられるヒドラゾン
化合物の代表例を以下に列挙する。
ヒドラゾン化合物 これらの化合物は,1種または2種以上組合せて用いる
ことができる。
本発明の感光体は以上のようなヒドラゾン化合物を含有
するものであるが,これらヒドラゾン化合物の応用の仕
方によって種々の特性の感光体が得られる。例えば,本
発明における電荷輸送物質としてのヒドラゾン化合物を
電荷発生物質と同一層中にて導電性支持基体に設けた,
通常単層型感光体と称せられる構成,もしくは,主とし
て電荷発生物質を含有する第1層と,主として電荷輸送
物質を含有する第2層を導電性支持基体上にて2積層構
成することによってなされる通常積層型感光体と称せら
れる構成にて使用することができる。これらの構成の選
択は感光体の使用する極性により適宜選ばれる。
また,本発明で用いられる電荷発生物質としては,ε型
銅フタロシアニン,あるいは,銅フタロシアニンおよび
ニトロ基を有するフタロシアニンを濃硫酸に溶解した
後,水によって析出させてなるフタロシアニン組成物で
ある。
本発明におけるヒドラゾン化合物はそれ自身では皮膜形
成能を有しない為,感光層として形成せしめるには結着
剤樹脂を用いる。また,電荷発生物質に関してもポリビ
ニルカルバゾールの如き高分子樹脂を除いてそれ自身で
は皮膜を形成し得ない為,必要に応じて結着剤を用いて
もよい。
本発明において好ましく用いられる結着剤は,高い電気
絶縁性のフィルム形成性高分子重合体,あるいは共重合
体である。このような高分子重合体,共重合体であり,
本発明において好ましく用いられる結着剤はフェノール
樹脂,ポリエステル樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリカーボ
ネート樹脂,ポリベプチド樹脂,セルロース系樹脂,ポ
リビニルピロリドン,ポリエチレンオキサイド,ポリ塩
化ビニル樹脂,でん粉類,ポリビニルアルコール,アク
リル系共重合体樹脂,メタクリル系共重合樹脂,シリコ
ーン樹脂,ポリアクリロニトリル系共重合樹脂,ポリア
クリルアミド,ポリビニルブチラール,ポリビニルカル
バゾール,ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。こ
れらの高分子バインダーは,単独あるいは2種以上混合
して用いられるが,本発明に使用できる結着剤は,これ
らに限定されるものではない。
更に本発明の感光体は導電性支持体上に必要に応じて中
間層を介して電荷発生物質を主成分とする電荷発生層を
設け,該層に隣接して電荷輸送物質を主成分とする電荷
輸送物質を設けた積層構成としてもよい。また,このよ
うな積層構成にした場合,電荷発生層と電荷輸送層のど
ちらを上層にするかは帯電性を正負にどちらを選ぶかに
よって決定される。一般に負帯電の時は電荷輸送層を上
層にした方が特性上有利である。また,本発明の感光体
において,電荷発生層と電荷輸送層のそれぞれの別個の
層からなる積層構成とする場合,電荷発生層は導電性支
持体上に直接あるいは必要に応じて接着層あるいはバリ
アー層などの中間層を設けた上に真空蒸着するか,
電荷発生物質を適当な溶剤に溶解した溶液を塗布する
か,電荷発生物質をボールミル,アトライター等で分
散溶媒中にて微細化し,必要に応じて高分子バインダー
と混合分散して得られる分散液を塗布する等の方法によ
って設けることができる。このとき用いられる高分子バ
インダーは電荷輸送層に用いられるものと同様なもので
あってもよい。
また,本発明に係わるヒドラゾン化合物と結着剤とから
なる単層の感光層であってもよい。
また,電荷輸送物質は,結着剤100重量部当り電荷輸
送物質を10〜300重量部使用することが好ましい。
ただし,本発明はこの範囲のみに制限されるものではな
い。また,この感光層の厚さは,要求される光感度や耐
久性および,電荷発生物質,電荷輸送物質の結着剤に対
する混合割合によって決定されるが単層型,積層型,何
れにしても,支持導電性基体上の感光層の厚さは50ミ
クロン以下,好ましくは7〜30ミクロンぐらいが皮膜
の可撓性の点からしても適当である。
また,感光層には必要に応じて,保護層として役立つ層
を被覆することもできる。
本発明の電子写真感光体に用いる支持体としては,導電
性が付与されていれば何れのものでも良く,従来用いら
れているいずれのタイプの導電層であってもさしつかえ
ない。具体的には,アルミニウム,銅,ステンレス,真
鍮などの金属,アルミニウム,酸化インジウムや酸化錫
などを蒸着またはラミネートしたプラスチックあるいは
導電性粒子,例えばカーボンブラック,錫粒子,アルミ
ニウム粒子を分散したプラスチックなどを挙げることが
できる。また,その型状については,シート状あるいは
シリンダー状,その他のものであっても差しつかえな
い。
なお,本発明による電子写真感光体を使用する際に,光
源は通常,ハロゲンランプ等の他,電荷発生物質がフタ
ロシアニンのような場合,感度が750nm以上にもある
ために,ガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザー
(発振波長780nm)の様なレーザー光を用いることも
できる。
本発明は以上のような構成よりなり,その使用に際し,
正帯電,および負帯電においても高感度にしてまた,繰
り返しによる感光体の劣化も少なく,また実用上におい
て,低温から高温度まで,また,低湿度から高湿度下ま
でにおける帯電保持力,感度変化における環境性,耐久
性の優れた特徴を有する。
次に本発明を合成例と実施例とにより,更に具体的に説
明するが,本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。以下,実施例において例中「部」とあるのは重量
部を示す。
合成例1 本発明の化合物(1)の合成例を示す。
2−ヒドラジノベンゾチアゾール16.5gとP−ジエチ
ルアミノベンズアルデヒド17.7gとをエタノール80
ccとP−トルエンスルホン酸0.1gとの混合物に溶解し
て,6時間還流した。冷却後,水50ccを添加すること
により白色の沈殿物が得られる。これをろ過,乾燥した
後,エタノール溶液で再結晶することにより,下記化合
物(P−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N−(2−
ベンゾチアゾール)−ヒドラゾン〔A〕 が24g得られる。この化合物〔A〕24g,ヨウ化エ
チル16gおよびソーダアミド1.2gをジメチルフォル
ムアミド(DMF)100cc中にて還流下,7時間反応
させた後,水100ccを加え,生成する沈殿物をろ過乾
燥後,エタノールにて再結晶することにより,本発明化
合物(1)〔P−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N
−エチル−N−2−ベンゾチアゾールヒドラゾン6.4g
を得る。
合成例2 本発明の化合物(3)の合成例を示す。
2−(1−メチルヒドラジノ)−ベンゾチアゾール17
g,N−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド2
2gをエタノール100ccとP−トルエンスルホン酸0.
05部との混合物に溶解し,6時間還流する。その後,
水100ccを加え冷却すると淡黄色の沈殿物が得られ
る。これをろ過乾燥した後,エタノールで再結晶するこ
とにより化合物(3)が22g得られる。
実施例1 銅フタロシアニン40部,テトラニトロ銅フタロシアニ
ン0.5部を98%濃硫酸500部に十分攪拌しながら溶
解する。溶解した液を水5000部にあけ,銅フタロシ
アニン,テトラニトロ銅フタロシアニンの組成物を析出
させた後,ロ過,水洗し,減圧下120℃で乾燥する。
次に,この組成物1部,化合物(1)2.5部,アクリル
ポリオール(武田薬品工業(株)製,タケラックA−7
02)3.6部,エポキシ樹脂(シェル化学社製,エポン
1007)0.5部,メチルエチルケトン1.2部およびセ
ロソルブアセテート1.2部からなる組成物を磁性ボール
ミルにて48時間練肉を行ない光導電性組成物を得る。
次に,この光導電性組成物を厚さ5ミクロンのアルミニ
ウム箔と75ミクロンのポリエステルフィルムとのラミ
ネートフィルムのアルミニウム上に乾燥膜厚が8ミクロ
ンになるようにロールコートし,110℃に均一加熱さ
れたオーブン中に1時間置き,電子写真感光体とした。
こうして得られたサンプルに対して+5.7KV,コロナ
ギャップ10mm,10m/minの帯電スピードでコロナ
放電を与え,放電停止後,10秒後に2854Kのタン
グステン光源にて10Luxの照度で露光する。この時の
露光直前の電位が50%低下するのに要した光の照射量
を感度とした。この様にして測定したサンプルは最大表
面帯電量620V,暗減衰率15%,感度0.9Lux.sec,
残留電位20Vであり,帯電性,感度ともに実用に十分
な価であり,その光減衰曲線(実線)は帯電露光に際
し,表面電位減衰においてインダクションは見られず,
J曲線の光減衰曲線を示した。またこの感光体を複写機
にて正帯電にて10000枚のコピーを連続してとった
が,得られた画像は階調性に優れ,通常の写真を原稿に
して複写を行っても,その細部中間色濃度に関しても美
しい画像が得られ,また,感度変化がなく,更に,感光
体にキズを生じているものの,複写画像には全くそのキ
ズが出ていない鮮明な画像が得られた。
実施例2 銅フタロシアニン40部,ジニトロメタルフリーフタロ
シアニン1.5部を98%濃硫酸100部に十分攪拌しな
がら溶解する。溶解した液を水1000部に注入し,フ
タロシアニン系組成物を析出させた後,ロ過,水洗し,
減圧下120℃で乾燥する。この組成物を1部,化合物
(3)3部をポリカーボネート樹脂(帝人(株)パンラ
イトL−1250)4部をテトラヒドロフラン10部と
ともにボールミルにて分散し,この液をスプレーにて厚
さ10μmにアルミニウム円筒に塗布した後,乾燥し,
電子写真感光体とした。こうして得られたサンプルに対
し,実施例1と同様にして電子写真特性を測定した。こ
のようにして測定したサンプルは最大表面帯電量580
V,感度1.3Lux.secであり,その光減衰曲線におい
て,インダクションのない,J曲線を示し,複写機によ
る正帯電による繰り返し実写テストにおいても,100
00枚のコピーにて,初期,最終画像においても階調性
が優れ,感度変化がなく,鮮明な画像が得られた。
実施例3 ε型銅フタロシアニン1部に対し,合成例1に準じて合
成した化合物(10)2部,トリフェニルメタン0.8
部,アクリル樹脂4部,セロソルブアセテート20部を
ボールミルにて分散せしめ,以下実施例1と同様にし
て,サンプルの測定を行った。得られた光減衰曲線はイ
ンダクションがなくJ曲線であり,この時の最大表面電
位は580V,暗減衰率8%,感度4.2Lux.sec,残留電
位15Vであり,また,実写テストにおいても,実施例
1と同じ結果が得られた。
実施例4 実施例1にて得られた銅フタロシアニン10部,アクリ
ルポリオール(タケラックA−702)36部,エポキ
シ樹脂(シェル化学社製)5部およびメチルエチルケト
ン:セロソルブアセテート(1:1)50部からなる組
成物をボールミルにより,24時間混練して,光導電性
塗料を調整し,この塗料をアルミニウム支持体上に約1
μとなるように塗布し,電荷発生層を形成した。
次に,ポリカーボネート樹脂(パンライトL−125
0)10部,ポリエステル樹脂(グッドイヤー製)3部
をテトラヒドロフランおよびトルエン溶媒100部で混
合した。溶媒の重量比は9:1である。次に合成例2に
準じて合成した化合物(7)9部をシリコンオイル0.0
2部と共に添加した。この液を電荷発生層の上に約15
μとなるように塗布し,80℃で乾燥して電荷輸送層を
形成し,積層感光体を得た。
この感光体を−6.5KVのコロナ帯電を0.2秒行った時
の表面電位は−630Vであり,更に感度は1.5Lux.se
cであり,極めて高感度の感光体であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 正人 東京都中央区京橋2丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 審判の合議体 審判長 今井 勲 審判官 高橋 武彦 審判官 北川 清伸 (56)参考文献 特開 昭60−63538(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体に電荷発生物質および電荷輸
    送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体におい
    て,電荷発生物質がε型銅フタロシアニン,あるいは,
    銅フタロシアニンおよびニトロ基を有するフタロシアニ
    ンを濃硫酸に溶解した後,水によって析出させてなるフ
    タロシアニン組成物であり, 電荷輸送物質が下記一般式(I)で示される化合物の少
    なくとも1種であることを特徴とする電子写真感光体。 一般式(I) (但し,式中, Xは酸素原子,硫黄原子,セレン原子,あるいは置換基
    を有してもよいイミノ基,Yは置換基を有してもよい芳
    香属炭化水素基,または置換基を有していてもよい複素
    環基, R1はアルキル基,アラルキル基またはアリール基,
    2,R3,R4,R5はそれぞれ独立に水素原子,ハロゲ
    ン原子,アルキル基,低級アルコキシ基,アミノ基また
    はアルキルアミノ基を示す。)
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