JPH06193626A - 締結部材,締結用機械要素セット,締結用機械要素の結合方法 - Google Patents

締結部材,締結用機械要素セット,締結用機械要素の結合方法

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JPH06193626A
JPH06193626A JP4140814A JP14081492A JPH06193626A JP H06193626 A JPH06193626 A JP H06193626A JP 4140814 A JP4140814 A JP 4140814A JP 14081492 A JP14081492 A JP 14081492A JP H06193626 A JPH06193626 A JP H06193626A
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16BDEVICES FOR FASTENING OR SECURING CONSTRUCTIONAL ELEMENTS OR MACHINE PARTS TOGETHER, e.g. NAILS, BOLTS, CIRCLIPS, CLAMPS, CLIPS OR WEDGES; JOINTS OR JOINTING
    • F16B43/00Washers or equivalent devices; Other devices for supporting bolt-heads or nuts

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Abstract

(57)【要約】 【目的】締結部材や締結部材に挟まれる取付部材を簡単
に仮止めすることができて、緊締時、相手部材面への擦
り傷の発生を防止することができる締結用機械要素の結
合方法を提供する。 【構成】おねじ体1のねじ径に緩く嵌る締結部材2の通
孔6を、該締結部材2の湾曲,歪,折曲,ひねり等によ
り挟孔6aさせて、おねじ体1のねじ部3へこの係止縁7
を係合させて保持させると共に、おねじ体1の緊締時
に、その挟圧力により、前記挟孔6aが元の緩い通孔6に
復帰させる。 【効果】簡単に締結部材あるいは締結部材に挟まれる取
付部材の仮止めが行なえると共に、緊締後は、おねじ体
と締結部材との自由な回転がなされて、相手部材面に付
く擦り傷を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物品の組み立てあるい
は連結等に使用する締結部材の結合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物品の組み立てあるいは連結等を
行なうためには、ボルト等の締結体による締結が一般的
で、このボルトの緩み止めや、ボルトが当接する座が不
安定や弱いときの広い面での当接を行なったり、ボルト
穴が大きい場合におけるボルト頭の支承の目的で各種の
座金がボルトと共に併用されている。
【0003】そして、この座金は、流通時の輸送や保管
あるいは締結時の作業性を向上させるために、図17(a)
に示すように、ボルト20の首下部21を転造等でもみ上げ
て、ねじ部22より細径にした部分に、該座金23,24を嵌
着させるか、あるいは、図17(b) に示すように、ボルト
頭25の座面26にかしめ付けて使用するボルト20と一体化
させることもある。
【0004】しかしながら、図17(a) に示す場合は、ボ
ルト20の製作にあって転造する工程が増えるため、製品
コストが高騰して安価に市場提供することができず、ま
た、座金23,24の組み合わせが変わるごとにその機械治
具も取り替えるためその作業が面倒な上、細く形成させ
た首下部21が強度不足となって安定した締結が行なえな
いと共に、該部分21にねじ部22がないため薄物の取付部
材の締結には使用できない。
【0005】更に、図17(b) に示す場合は、座金23が、
かしめによりボルト20に仮止めされているので、ボルト
20の回転に伴って、座金23におけるプレス成形時に生ず
るバリ等により、その表裏選別を行なってないものの使
用にあっては、締め込み時において取付部材面に擦り傷
を残す。
【0006】特に、前記したこれらのものは、締結使用
に当たって別の種類の座金に交換することができない、
すなわち、軸部やねじ部より該座金を取り外すことがで
きないので、使用目的やその箇所に応じて他品種のボル
ト座金セットを用意しなければならないので不経済とな
る上、その保管や在庫管理も大変であると共に、座金自
体では、前記ボルトの軸部やねじ部への一時仮止めが全
くできないので、ボルトが下向き姿勢にナットを螺合さ
せるとき等は、そのままでは座金がねじ部より落下して
しまう。その上、手の入りにくい箇所や作業姿勢が悪い
箇所での締結にあっては、作業者に大きな労働負担を与
え労働衛生上好ましくない。等の様々な問題点を有する
ものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した問
題点を解決するためになされたもので、ボルトのねじ径
に緩く嵌る締結部材の通孔を、該締結部材の湾曲または
折曲により挟孔させて、おねじ体のねじ部とこの係止縁
とを係合させて保持させることにより、簡単に締結部
材、あるいは、締結部材に挟まれる取付部材および締結
部材自体の仮止めが行なえると共に、おねじ体の緊締時
には、その挟圧力により、湾曲または折曲による挟孔が
元の緩い通孔に復帰することによって、自由な回転がな
されて相手部材面に付く擦り傷を防止することができる
締結部材,締結用機械要素,締結用機械要素の結合方法
を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成する
ための本発明の手段は、連結されるおねじ体の軸径や、
ねじ径より大径の通孔を有する締結部材において、この
通孔に前記おねじ体の軸部またはねじ部と係合する係止
縁が形成されるように、前記締結部材を湾曲,折曲また
はひねり,歪等の加工により挟孔を成形させた、締結部
材の構成にある。
【0009】この締結部材と連結される部材は、受体を
付設したおねじ体あるいはめねじ体や、おねじ体の軸部
またはねじ径より突出する突部を付設したものが用いら
れ、これらにより締結用機械要素セットが構成される。
【0010】すなわち、連結されるおねじ体の軸径やね
じ径より大径の通孔を有する締結部材と、該通孔の嵌合
によりおねじ体と締結部材とが一体となる締結用機械要
素セットにおいて、前記締結部材の通孔に、前記おねじ
体の軸部またはねじ部と係合する係止縁が形成されるよ
うに、前記締結部材を湾曲,折曲またはひねり,歪等の
加工により挟孔を成形させ、この挟孔の係止縁と前記お
ねじ体の軸部またはねじ部とを係合させて一体化させ
た、締結用機械要素セットの構成にある。
【0011】更に、前記した様々な締結用機械要素セッ
トにおいて、連結されるおねじ体の軸径やねじ径より大
径の通孔を有する締結部材の前記通孔を、前記おねじ体
の軸部またはねじ部と係合または遊合する係止縁が形成
されるように、該締結部材を湾曲,折曲またはひねり,
歪等の加工により挟孔させ、この挟孔における係止縁と
おねじ体の軸部やねじ部とを係合させて該締結部材を保
持させた、締結用機械要素の結合方法にある。
【0012】また、おねじ体の軸部やねじ部と締結部材
における通孔の係止縁との係合により一体的に連結され
た締結用機械要素セットにおいて、前記おねじ体に螺合
させためねじ体との緊締による挟圧により、前記挟孔を
拡開させて、該係止縁のおねじ体の軸またはねじ部との
係合を解除させる、締結用機械要素の結合方法にある。
【0013】そして、前記締結部材に施した湾曲,折曲
またはひねり,歪等の加工は、該締結部材の通孔中心線
より偏心させた位置において設けられることや、該挟孔
は加圧による二次挟孔を形成されることもある。
【0014】
【作用】前記のように構成される本発明は以下に述べる
作用を奏する。
【0015】座金等の締結部材における通孔を、湾曲や
折曲またはひねり,歪等の加工により挟孔させ、おねじ
体のねじ部とに係合する係止縁を形成させる。
【0016】この通孔の係止縁は、おねじ体の軸部やね
じ部あるいはおねじ体またはめねじ体の受体と螺合また
は係合して、締結部材とおねじ体(めねじ体)とが一体
的に連結・保持されて締結用機械要素セットが形成され
る。
【0017】この状態で、例えば、締め合わす取付部材
等の嵌合孔へおねじ体を通し、このおねじ体へ締結のた
めのめねじ体を螺合させ、締結部材とおねじ体およびめ
ねじ体との緊締に伴って、前記加工された湾曲や折曲ま
たはひねり等による挟孔が圧平により拡開され、おねじ
体の軸部やねじ部あるいはおねじ体またはめねじ体の受
体との螺合または係合を解除するため、おねじ体あるい
はめねじ体が回転されても共回りせず、締結部材の自由
な回転や停止がなされる。
【0018】前記おねじ体またはめねじ体との締結部材
の係合は、締結部材の通孔を挟孔にさせた後、該締結部
材をおねじ体またはめねじ体へ螺合するか、あるいは、
この挟孔へおねじ体またはめねじ体を差し込むかするも
のであり、更に、挟孔の成形にあっては、あらかじめ、
加工手段により湾曲や折曲またはひねりを行なうか、あ
るいは、締結部材の通孔をおねじ体へ差し込んだ後、湾
曲や折曲またはひねり,歪等の加工を行なうものであ
る。
【0019】
【実施例】次に本発明に関する締結部材およびこの締結
部材を用いた締結用機械要素セット、あるいは、前記締
結部材とねじ体からなる締結用機械要素の結合方法の一
実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】図1〜図4,図10〜図15においてAは締結
用機械要素セットで、おねじ体またはめねじ体によるね
じ体1と、締結部材2とにより基本的に構成されて、物
品の組み立てあるいは連結等に利用されるものであっ
て、これら二部材1,2(二部材の間に他の締結用機械
要素あるいは後記する取付部材が挟み設けられることも
ある。)がセット状態で流通や保管がなされる。
【0021】そして、前記したねじ体1においておねじ
体の場合は、外周に所定ピッチのねじ部3が形成されて
いるもので、例えば、図1(a) 〜(d) に示すような、一
端に頭部4を有する金属また合成樹脂、あるいは、他の
材質により成形された一般に慣用されるボルト,ビス、
または、別途加工されたねじ体や頭なしのねじ体等の特
殊のボルト,スクリュー,スタッド,アンカー等や、図
1(b),(d) に示すように、頭部4下において無ねじ部の
軸部3aを有するおねじ体1も採用されるものであって、
この形状や種類,ねじピッチあるいは使用箇所において
は特に限定されないものである。
【0022】また、前記したねじ体1においてめねじ体
の場合は、図1(e),(f) に示すような、金属また合成樹
脂、あるいは、他の材質により成形された一般に慣用さ
れるナットや、特別に加工されためねじ体や特殊ナット
が採用されるもので、この形状や種類,ねじピッチある
いは使用箇所においては特に限定されないものであっ
て、図1(e) に示すように、螺設されためねじ3b径より
大径、あるいは、頭部4の座面へ向かって広がる円弧状
の受体3dを、その座面1aへ連続または断続的な環状のも
のを付設してあり、前記おねじ体1の頭部4における座
面4aに設けることもあると共に、図1(f) に示すよう
に、ナット1における座面1aに付設したおねじ部材3dを
用いる。
【0023】なお、このおねじ体1は、図4に示すよう
に、外周にねじ部3を有するコイル状スプリングも使用
できる。
【0024】前記した締結部材2は、前記おねじ体1
と、ナット等のめねじ部材5とによる結合によって、後
記する取付部材8等を緊締状態に連結する際に、両者
1,5の間に挟まれて、その一側面が前記ねじ体1また
はめねじ部材5面に当接するものであって、図5および
図6に示すような、慣用(特殊な態様なものも含む)の
座金か、図10に示すように、各種業界において適宜使用
される金具類や物品の構成材および、建造物等の構造体
やその付属部品,箱形ケース,家具等の組み立て等の構
成材、あるいは、金属,非鉄金属製または合成樹脂製等
によるパッキング等のように幅広い分野において採用さ
れる。
【0025】そして、その締結部材2の適所に、前記し
たおねじ体1の軸部3aおよびねじ部3の外形、あるい
は、前記受体3dの外形よりやや大径で略真円または楕
円,長円等に形成された通孔6を設けてある。
【0026】また、この締結部材Aの結合前は、この通
孔6の部分をローラ掛け,プレスやバイス等の任意の挟
圧手段(図示せず)により、図5(a) に示すように、湾
曲,歪または折曲か、あるいは、図6(e) に示すよう
に、ひねり,歪等か、図6(b)に示すように、波形状の
加工を施してあるもので、図5(c) において仮想線で示
す位置から実線で示す位置まで、楕円状の挟孔6aに変形
させて、幅狭の円弧側に係止縁7を形成してあるもので
あり、その湾曲,折曲あるいはひねり,歪方向は任意に
設定し得るものであって、該締結部材2に形成された挟
孔6aは、その湾曲,折曲あるいはひねり,歪を解除させ
ることにより元に修復され、後記する係止縁7のねじ部
3への螺合,係合が解除される。
【0027】なお、この湾曲,歪,折曲あるいはひね
り,歪の解除は、図2(b) に示すように、ねじ体1とめ
ねじ部材5の緊締による締結部材2の圧平か、該締結部
材2への打撃による圧延により行なわれる。
【0028】そして、前記した挟孔6aの成形にあって
は、図5(c) に示すように、締結部材2に穿設された通
孔6の中心線sにおいて施すか、図5(d) に示すよう
に、中心線sより所定量偏心させた偏心位置hにおいて
施すかするもので、この場合は、おねじ体1の外形より
多少大径であっても、その偏心による自重差で容易に係
止縁7がねじ部3に係合して両者1,2が離脱しにくく
なるものであり、更に、前記した湾曲または折曲かある
いはひねりの加工は、図5(b) に示すように、通孔6を
挟んでその一方のみに施してもよい。
【0029】なお、前記締結部材2が、図6(a) に示す
ようなばね座金の場合は、前記挟孔6aの成形にあって楕
円となるように巻き形成を行なうこともある。
【0030】更に、この係止縁7は、図2(a) に示すよ
うに、前記おねじ体1におけるねじ部3のねじ山に噛み
合うことにより、締結部材2の自重や強制的な引っ張り
には容易に離脱しないもので、ねじ部3へ螺合状態に係
合するか、僅かに係止される遊合状態かによりなされ
る。
【0031】そして、遊合状態の場合は、該締結部材2
の手による抜き差し、すなわち、その移動はねじ部3上
を容易に行なわれるもので、この締結部材2を横移動さ
せるか斜めにするか等により、該係止縁7がねじ部3へ
係合してその移動が妨げられるものであり、例えば、図
16(a) に示すように、通孔6の係止縁7内面とおねじ体
1のねじ部3面とを平行に揃えた状態であると、両者
1,2は遊嵌状に容易に挿し通されるもので、その後、
おねじ体1または締結部材2を、図16(b) に示すよう
に、所定角度に傾斜させると、通孔6の係止縁7がねじ
部3に係合して仮止めされるものである。
【0032】また、図9(a),(b) に示すように、通孔6
を偏心させて設ければ、その偏心重力により自然に係止
縁7とねじ部3との係合が行なわれ落ちにくくなるもの
であって、ねじ部3における任意の位置において、締結
部材2あるいは、図3に示すように、該締結部材2とめ
ねじ体1とに挿嵌させた取付部材8の仮止めがなされ
る。
【0033】そして、前記した湾曲または折曲やひね
り,歪等の加工は、図5(e) に示すように円弧状か、図
7(a) に示すように逆ハの字状(通常におけるハの字状
も同様である。)か、図7(b) に示すようにハの字状と
した対辺とに段差を設けるか、図7(c) に示すように、
一方を上方または下方へ傾斜させるかするもので、この
構成においては該挟孔6aへ差し込んだボルトは斜めに係
合することもあって、簡単な仮止めを行なうときは、そ
の係止縁7がねじ部3へ確実に螺合した状態でなくても
良いものであり、また、図7(d) に示すように通孔6の
周辺を盛り上げることもある。
【0034】更に、この通孔6の内縁は、図8(a) に示
すようにテーパ状に傾斜させたり、図8(b) に示すよう
に段状に形成させり、図8(c) に示すように、その一側
縁にバリ状の突起、あるいは、通孔6の形成時、プレス
等の打ち抜き加工による自然のバリを設けたり、図8
(d) に示すように、内縁を槍状に形成させたりすること
もあるものであって、更に、図8(e) 〜(h) に示す形状
等も採用し得るもので、おねじ体1との係合が可能であ
れば任意の形状が採用される。
【0035】加うるに、この締結部材2に設けた通孔6
は、図9における(a) および(b) に示すように、締結部
材2に対して偏心させて設けたり、図9(c) に示すよう
に長孔状か、図9(d) に示すようにスリット状かに設け
ることもある。
【0036】前記した締結部材2の通孔6に形成した湾
曲,折曲またはひねり,歪等による挟孔6aは、該締結部
材2の側縁からの加圧等により、挟孔6aされた位置にお
いて更に内方へつぼめる二次挟孔6bを、その両側に成形
された係止縁7において一側または両側に形成させるこ
ともあり、この場合は、湾曲,折曲またはひねり,歪等
の加工が緩やかであっても、該二次挟孔6bによりねじ体
1への螺合・係合が一層確実に行なわれるものである。
【0037】前記した締結部材2の実施例は、ねじ体1
との結合によるセットA状態となる例を詳述したが、該
締結部材2のみの流通や他のねじ体1との使用も行ない
得るものであって、例えば、図3(a) に示すように、他
部材12より突出したおねじ体1に取付部材8を、おねじ
体1のねじ部3へ螺合・係合させた該締結部材2によ
り、簡便に仮止めすることができるものであり、更に、
図3(b) に示すように、取付部材8へ下向きに挿入した
ボルト1のねじ部3へ、該締結部材2である座金を螺合
または係合により仮止めさせておき、めねじ部材5であ
る締め付けナットを該ねじ部3へ螺合させることによ
り、従来のように係合手段を持たないため落下しやすい
座金と一緒に、ナットを持ちながらねじ付ける面倒で大
変な作業がなくなって、座金2の添着がし易く著しく締
結作業が容易となるものである。
【0038】なお、前記したおねじ体のねじ体1にあっ
ては、図12(a) に示すように、このおねじ体1の軸部3a
またはねじ部3よりわずかに突出する突部3eを付設して
あって、前記締結部材2の挟孔6aをおねじ体1へ挿入
し、該係止縁7を締結部材2の係入により前記突部3eよ
り乗り越えさせて、該締結部材2とおねじ体1とを一体
化させることもある。
【0039】そして、前記突部3eの形成は、例えば、転
造により軸部3aへねじ部3を加工する際に、治具の転造
駒を、形成されるねじ部3の最終位置において、半ねじ
程度深くなるように操作すれば、この分の略一条が軸部
3aへ盛り上がって突出するものであるが、該突部3eは、
別工程において付設してもよく、また、前記ねじの成形
時において、自然の盛り上がりにより形成されるものを
利用してもよいものである。
【0040】前記した例において、締結部材2の取り付
けにあっては、ねじ部3より通孔6を挿し通し該突部3e
へ達すると、軽く該締結部材2を押し込むか、螺合方向
へ回転させることにより容易に該突部3eを乗り越えるこ
とができるもので、この軸部3aへ係合した締結部材2は
この軸部3aにおいて自由に移動できるものであり、更
に、おねじ体1を弛めても、ねじ部3に沿って嵌入した
締結部材2は、この突部3eより容易に抜け落ちないもの
である。
【0041】なお、前記した軸部3aの突部3eは、必ずし
も突起状に形成しなくてもよいもので、ボルト1の軸部
3aは大なり小なりの楕円状の歪を生じて形成されている
ものであって、図12(b) に示すように、この歪における
突部3eを利用して、締結部材2における通孔6の挟孔6a
に形成された係止縁7を、回転等によって合致させるこ
とにより、容易に離脱しない両者1,2の係合が得られ
る。
【0042】図1(a) および図3,図14において8は取
付部材で、図1(a) に示すように、平座金の締結部材2
との組み合わせでばね座金を用いたり、図3,図14に示
すように、保温材や保護材等を挾持させることもある。
【0043】図13において10は、前記締結部材2の表面
においてその一部または全部に施した表示で、おねじ体
1をめねじ部材5へ螺合させたときの締結状態を離れた
場所においても目視により判断できるようにしたもので
あって、この表示10が確認されるときは未緊締状態であ
り、締結の進行により締結部材2が偏平となって該表示
10が見えなくなったとき緊締状態となるもので、塗料や
フィルム接着により着色するか、ホログラムより変色さ
せるものやバーコード等の利用により検出させるもので
ある。
【0044】また、この締結用機械要素Aにおける仮止
め効果は、図15(b) に示すように、取付部材8,8の取
付孔に挿通させたおねじ体1の他側において、前記締結
部材2をねじ部3へ係止させることにより発揮される場
合もあり、該締結用機械要素Aの流通にあって各部材
1,2等の複合状となった締結用機械要素のセット状態
が確保され、このセットによる市場流通が可能となるも
のであって、セット流通において部品点数の多い打込み
アンカー等においては、前記締結部材2のねじ部3への
仮止めにより現場での作業性が大幅に向上する。
【0045】次に、本発明実施例による作用を、頭付ボ
ルトによるおねじ体1と、平座金による締結部材2から
なる一般的な締結用機械要素Aにより説明する。
【0046】平座金2における真円状の通孔6をプレス
により湾曲させて楕円状の挟孔6aに形成させると、その
挟孔6aの狭い円弧側にボルト1のねじ部3に係合する係
止縁7が形成された。
【0047】この状態において、ばね座金8をボルト1
のねじ部3へ挿した後、このねじ部3へ挟孔6aに形成さ
れた平座金2を螺合させると、図2および図14(a) に示
すように、その係止縁7がねじ部3のねじ山に噛み合っ
て、平座金2の自重や通常の引っ張り力では離脱しなか
った。
【0048】したがって、ボルト1とばね座金8と平座
金2とが一体的に連係した仮止め状態で保持されるもの
で、ボルト座金セットの流通が容易となると共に、その
セットの組み替えも締結部材2における通孔6の係止縁
7とボルト1のねじ部3との係合が容易に離脱されるも
のである。
【0049】そして、この状態で、図14(a) に示すよう
に、このボルト1を、板材等の取付部材8を介してめね
じ9を有する基材5へ螺合させ、ボルト1を回転による
緊締を行なうと、平座金2はその緊締に伴ってその湾曲
部が延ばされ、挟孔6aが徐々に拡開された。
【0050】更に、図14(b) に示す状態まで締め込む
と、係止縁7はボルト1のねじ部3との係合を解除して
通孔6が元の真円状態となり、平座金2は取付部材8面
に密着すると共に、ボルト1の座面は平座金2面におい
て密着締め込みがなされた。
【0051】このとき、下面にバリを有する平座金であ
っても、図14(a) に示す状態から締結が始まるので、取
付部材8面への擦り傷が付かなかった。
【0052】また、締結部材2にばね鋼の材料により成
形したときは、該ばねの力により緩み止めとなりばね座
金と同様な効果を発揮した。
【0053】更にまた、頭付ボルトによるおねじ体1
と、平座金による締結部材2からなる締結用機械要素A
による第二の例についてその作用を説明する。
【0054】平座金2における通孔6をプレスにより略
への字状に湾曲させて楕円状の挟孔6aに形成させると、
その挟孔6aの狭い円弧側にボルト1のねじ部3には緩く
係合する係止縁7が形成された。
【0055】この状態において、図11(a) に示すよう
に、ボルト1のねじ部3へ挟孔6aに形成された平座金2
を、該挟孔6aが真上に対応するように押し通した後、挟
孔6aが斜めになるように締結部材2を一側へずらすと共
に、ボルト1または締結部材2を螺合方向へ回すと、図
11(b) に示すように、締結部材2の頂部がボルト1の頭
部4における座面4aへ当接し、また、挟孔6aの係止縁7
がボルト1のねじ部3へ係合するので、両者1,2が緊
締状態で結合された。
【0056】なお、図1(b) に示すように、ボルト1に
おける首下、すなわち、軸部3aにねじ部3を有しない場
合であっても、締結部材2をナット等のめねじ部材5に
より螺合させるか、手でねじ部3をスライドさせれば、
締結部材2の係止縁7はねじ部3より抜けて、軸部3aに
おける首下ねじなし部へ移動され、この係止縁7により
仮止めされるものであって、ボルト1の座面へ当接する
ものであり、このねじなし部の軸部3aがねじ部3より細
径に形成されたおねじ体1であっても同様に係合される
ものである。
【0057】更に、図15(a) に示すように、取付部材
8,8の取付孔に挿嵌したボルト1に平座金等の締結部
材2を係合させた状態で、ナット5を該ねじ部3へ螺合
させたときに、湾曲等させた前記締結部材2が取付部材
8の外面およびボルト1頭の座面へ挟まれるように当接
するので、この挟圧力により該ナット5を回したときに
ボルト1が締結部材2と一体的となって、ナット5との
共回りが防止される効果も発揮する。
【0058】また、打ち込みアンカーに使用する場合
は、平座金等の締結部材2をねじ部3へ係合させておけ
ば、打ち込み時におけるコンクリート等の破片の飛散が
前記平座金2により防止され作業者への損傷がなく防塵
効果が得られる。
【0059】
【発明の効果】前述したように本発明は、締結部材にお
ける通孔部を湾曲,歪,折曲またはひねりを行なうだけ
の簡単な加工により、該締結部材あるいは取付部材と共
におねじ体へ仮止めさせることができるので、部材の締
結にあってその作業性や取り扱いが極めて良好である。
【0060】締結部材のおねじ体への係合は、該締結部
材との螺合により容易に行なえるので、おねじ体の種類
の変更があっても現場等において直ちにその付け替えが
行なえると共に、おねじ体と締結部材とをセットにした
締結部材をその作業ごとに合わせて多数用意する必要が
ないので経済的である上、その保管や在庫管理も場所を
取らず容易である。
【0061】また、おねじ体において締結部材を支承さ
せるための付帯する加工を施さないので、これに起因す
る強度不足による締結不良を生じたりすることがなく、
ボルト頭の座面まで螺設することができるので薄物の取
付部材であっても確実に締結することができる。
【0062】特にこの締結部材は、ねじ体またはめねじ
部材の緊締に伴って湾曲,歪,折曲またはひねりが徐々
に平板状に修正され、それに連れて挟孔が拡開されるの
で、ねじ体に対して該締結部材がフリーとなってその回
転が抵抗なく自由に行なえ、ねじ体の回転による取付部
材面への擦り傷を付けることがない。等の格別な効果を
奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する締結用機械要素セットの正面図
を示すもので、(a) 〜(d) ねじ体がおねじの場合を、
(e) 〜(f) はねじ体がめねじ体の場合をそれぞれ示す。
【図2】図1における使用状態の拡大断面図を示すもの
で、(a) はおねじ体への締結部材の係合状態を、(b) は
おねじ体およびめねじ体の緊締状態をそれぞれ示す。
【図3】本発明に関する締結部材による仮止め状態を示
す正面図である。
【図4】図1における締結部材の更に他の例を示す断面
図である。
【図5】図1における平座金の締結部材を示すもので、
(a) は通孔を挟んでその両方を湾曲させた状態の斜視図
を、(b) は通孔を挟んでその一方を湾曲させた状態の斜
視図を、(c) は(a) における平面図を、(d) は偏心位置
で湾曲させる状態を示す平面図を、(e) は(a) における
断面図を、(f) は二次挟孔を形成された状態をそれぞれ
示す。
【図6】図5における他の各例を示す説明図である。
【図7】図5における締結部材の湾曲,歪,折曲または
ひねり状態の各例を示す断面図である。
【図8】締結部材における通孔の係止縁の他の例を示す
一部の断面図である。
【図9】図8における更に他の例を示す平面図である。
【図10】図1における更に他の例を示す断面図であ
る。
【図11】図1における他の各例を示す一部を断面した
正面図である。
【図12】図1における更に他の各例を示すもので、
(a) は一部を断面した正面図、(b)はねじ体の軸部で断
面した締結部材の係合状態を示す平面図である。
【図13】図1における締結部材の他の例を示す正面図
である。
【図14】図1における締結部材の結合状態を示す説明
図である。
【図15】図1における締結部材の結合状態の他の例を
示す説明図である。
【図16】図1における締結部材の結合状態の更に他の
例を示す説明図である。
【図17】従来のボルトと座金のセット状態を示す正面
図である。
【符号の説明】
1 おねじ体 2 締結部材 3 ねじ部 6 通孔 6a 挟孔 7 係止縁
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】そして、前記した挟孔6aの成形にあって
は、図5(c) に示すように、締結部材2に穿設された通
孔6の中心線sにおいて施すか、図5(d) に示すよう
に、中心線sより所定量偏心させた偏心位置hにおいて
施すかするもので、この場合は、おねじ体1の外形より
多少大径であっても、その偏心による自重差で容易に係
止縁7がねじ部3に係合して両者1,2が離脱しにくく
なるものであり、更に、前記した湾曲または折曲かある
いはひねりの加工は、図5(b) に示すように、通孔6を
挟んでその一方のみに施してもよい。更に、この湾曲,
折曲またはひねり,歪み等による挟孔3は、図6(f) に
示すように、締結部材2における通孔6側において、そ
の一部分に形成することもあり、その成形にあっては、
例えば、平座金による締結部材2の場合は、材料からプ
レス機等で打ち抜く際に、その打ち抜きと同時に加工す
るか、打ち抜きの後、別工程で行なうかすることによ
り、一側面へ凸状の膨出部14を形成させるものであっ
て、この平座金における他側の平滑部15とにより側面形
状が段差状となって、おねじ体1のねじ部3への係合が
良好となり、締結部材2の仮止め効果が得られるもの
で、もちろん、この膨出部14と対称的に他側へ一対また
は複数箇所設けることも、また、平座金の表裏において
対称的に設けることも可能であって、その膨出部は円弧
状あるいは三角状の山形点打圧等により行なってもよ
い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連結されるおねじ体の軸径やねじ径より
    大径の通孔を有する締結部材において、この通孔に前記
    おねじ体の軸部またはねじ部と係合する係止縁が形成さ
    れるように、前記締結部材を湾曲,折曲または歪,ひね
    り等の加工により挟孔を成形させたことを特徴とする締
    結部材。
  2. 【請求項2】 連結されるおねじ体またはめねじ体に付
    設した受体より大径の通孔を有する締結部材において、
    この通孔に前記おねじ体の軸部またはねじ部と係合する
    係止縁が形成されるように、前記締結部材を湾曲,折曲
    またはひねり,歪等の加工により挟孔を成形させたこと
    を特徴とする締結部材。
  3. 【請求項3】 連結されるおねじ体の軸径やねじ径より
    大径の通孔を有する締結部材と、該通孔の係合により前
    記おねじ体とが一体となる締結用機械要素セットにおい
    て、前記締結部材の通孔に、前記おねじ体の軸部または
    ねじ部と係合する係止縁が形成されるように、前記締結
    部材を湾曲,折曲またはひねり,歪等の加工により挟孔
    を成形させ、この挟孔の係止縁と前記おねじ体の軸部ま
    たはねじ部とを係合させて一体化させたことを特徴とす
    る締結用機械要素セット。
  4. 【請求項4】 連結されるおねじ体またはめねじ体に付
    設した受体より大径の通孔を有する締結部材と、該通孔
    の嵌合によりおねじ体またはめねじ体と締結部材とが一
    体となる締結用機械要素セットにおいて、前記締結部材
    の通孔に、前記おねじ体またはめねじ体の受体と係合す
    る係止縁が形成されるように、前記締結部材を湾曲,折
    曲またはひねり等の加工により挟孔を成形させ、この挟
    孔の係止縁と前記おねじ体またはめねじ体の受体と係合
    させて一体化させたことを特徴とする締結用機械要素セ
    ット。
  5. 【請求項5】 連結されるおねじ体の軸径やねじ径より
    大径の通孔を有する締結部材と、該通孔の嵌合によりお
    ねじ体と締結部材とが一体となる締結用機械要素セット
    において、前記締結部材の通孔に、該締結部材を湾曲,
    折曲またはひねり等の加工により挟孔を成形させて係止
    縁を形成させ、前記おねじ体には、おねじ体の軸部また
    はねじ径より突出する突部を付設してあって、前記締結
    部材の挟孔をおねじ体へ挿入し、該係止縁を締結部材の
    係入により前記突部より乗り越えさせて、該締結部材と
    おねじ体とを一体化させたことを特徴とする締結用機械
    要素セット。
  6. 【請求項6】 連結されるおねじ体の軸径やねじ径より
    大径の通孔を有する締結部材の前記通孔を、前記おねじ
    体の軸部またはねじ部と係合または遊合する係止縁が形
    成されるように、該締結部材を湾曲,折曲またはひねり
    等の加工により挟孔させ、この挟孔における係止縁とお
    ねじ体の軸部やねじ部とを係合させて該締結部材を保持
    させたことを特徴とする締結用機械要素の結合方法。
  7. 【請求項7】 連結されるおねじ体またはめねじ体に付
    設した受体より大径の前記通孔を有する締結部材の前記
    通孔を、前記おねじ体またはめねじ体の受体と係合する
    係止縁が形成されるように、該締結部材を湾曲,折曲ま
    たはひねり等の加工により挟孔させ、前記受体へ通孔の
    挟孔を係入させて、該挟孔における係止縁と受体とを係
    合させ該締結部材を保持させたことを特徴とする締結用
    機械要素の結合方法。
  8. 【請求項8】 連結されるおねじ体のねじ径より大径の
    通孔を有する締結部材の前記通孔を、前記おねじ体のね
    じ部と係合または遊合する係止縁が形成されるように、
    該締結部材を湾曲,折曲またはひねり等の加工により挟
    孔させ、この挟孔における係止縁とおねじ体のねじ部と
    を係合させて、該おねじ体と締結部材またはその一方を
    回転させ、締結部材の頂部とおねじ体における座面との
    当接により締め合わせて前記締結部材をおねじ体へ保持
    させたことを特徴とする締結用機械要素の結合方法。
  9. 【請求項9】 連結されるおねじ体の軸径やねじ径より
    大径の通孔を有する締結部材の前記通孔を、該締結部材
    の湾曲,折曲またはひねり等の加工によりその内縁に係
    止縁が形成されるように挟孔を成形させ、前記締結部材
    の挟孔をおねじ体へ挿入し、該係止縁を締結部材の係入
    により前記おねじ体の軸部またはねじ径より突出する突
    部より乗り越えさせた後、前記係止縁と突部との係合に
    より該締結部材とおねじ体とを一体化させたことを特徴
    とする締結用機械要素の結合方法。
  10. 【請求項10】 おねじ体の軸部やねじ部またはおねじ
    体やめねじ体の受体と締結部材における通孔の係止縁と
    の係合により一体的に連結された締結用機械要素セット
    において、前記おねじ体に螺合させためねじ体との緊締
    による挟圧により、前記挟孔を拡開させて、該係止縁の
    おねじ体の軸またはねじ部との係合を解除させることを
    特徴とする請求項6,7,8および9のいずれかに記載
    の締結用機械要素の結合方法。
  11. 【請求項11】 前記締結部材の通孔に形成した湾曲,
    折曲またはひねり,歪等による挟孔は、該締結部材の通
    孔中心線より偏心させた位置において設けられたことを
    特徴とする請求項1または2記載の締結部材。
  12. 【請求項12】 前記締結部材の通孔に形成した湾曲,
    折曲またはひねり,歪等による挟孔は、該締結部材の側
    縁からの加圧等により二次挟孔を形成させたことを特徴
    とする請求項1または2記載の締結部材。
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