JPH06192461A - ポリプロピレン架橋発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン架橋発泡体の製造方法

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JPH06192461A
JPH06192461A JP35786792A JP35786792A JPH06192461A JP H06192461 A JPH06192461 A JP H06192461A JP 35786792 A JP35786792 A JP 35786792A JP 35786792 A JP35786792 A JP 35786792A JP H06192461 A JPH06192461 A JP H06192461A
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JP
Japan
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weight
foam
polypropylene
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parts
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JP35786792A
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English (en)
Inventor
Norimitsu Kaimai
教充 開米
Takao Kuno
貴雄 久野
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)ポリプロピレンと(b)線状低密度ポ
リエチレンと(c)非共役ジエンを0.2 〜10重量%含
有するプロピレン−非共役ジエン共重合体と(d)発泡
剤とを含む成形品であって、前記(c)成分が成形品の
表面側が高濃度で厚み方向に濃度勾配をもって分布して
いる成形品において、電離放射線を照射し、架橋させた
後、加熱発泡させることを特徴とするポリプロピレン架
橋発泡体の製造方法。 【効果】 高温での引張物性、並びに発泡体表面の機械
的物性および耐熱性が良好で真空成形性およびスタンピ
ング成形に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリプロピレン架橋発泡
体の製造方法に関する。更に詳しくいえば、真空成形や
スタンピング成形などの二次成形加工性に優れたポリプ
ロピレン架橋発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリオレフィン架橋発泡
体は、機械的強度、柔軟性、風合い、耐熱性、耐薬品性
等に優れており、自動車の内装材、断熱材、スポーツ用
品や食品包装の緩衝材、その他消音材や外装材等に広く
利用されている。ポリオレフィン架橋発泡体の中で、ポ
リエチレン発泡体は融点が低く、その分柔軟性、風合
い、伸び等に優れている。これに対して、ポリプロピレ
ン発泡体は引張強度や曲げ強度等の機械的強度や耐熱性
に優れている。ポリプロピレン発泡体用のポリプロピレ
ン系樹脂としては、通常はプロピレン−エチレンランダ
ム共重合体が使用されているが、ポリプロピレン系樹脂
はポリエチレン系樹脂に比べて融点が高いため発泡時に
かなり分子の切断が進行し発泡の気泡セルが大きくかつ
不均一になりやすく、また柔軟性に劣る。このため得ら
れる発泡体は硬く、脆く、ザラついた触感(風合い)を
有するという問題がある。
【0003】この問題を改善するために、プロピレン−
エチレンランダム共重合体に線状低密度ポリエチレンを
配合したものを樹脂成分とする発泡体用の組成物が知ら
れているが、機械的特性および耐熱性と、触感の両者が
満足するレベルまで向上してはいないという問題があ
る。そこで、かかる問題を解決する組成物として、本出
願人は先に、非共役ジエンを 0.2〜10重量%含有する
プロピレン−非共役ジエン共重合体をベースとし、これ
に(所望により)ポリプロピレン(ホモプロピレンおよ
び/またはプロピレン−エチレンランダム共重合体)と
線状低密度ポリエチレンと発泡剤とを配合したポリプロ
ピレン架橋発泡体用組成物を提案した(特開平4-103642
号公報)。この組成物によれば、ポリプロピレン架橋発
泡体特有の機械的特性および耐熱性を損なうことなく、
ポリエチレン架橋発泡体特有の風合いおよび柔軟性に優
れたポリオレフィン架橋発泡体となる。
【0004】しかしながら、上記の組成物から得られる
架橋発泡体は、真空成形性やスタンピング成形性などの
二次加工性に問題が残されている。真空成形は、半溶融
状態の樹脂組成物を減圧により吸引することにより実施
されるが、真空成形に適する発泡体としては、特に高温
における引張特性(伸度)に優れていることが必要であ
る。また、スタンピング成形は押出成形とプレス成形を
組合わせたものであり、成形途中に、発泡体表面に芯材
となるポリプロピレンなどの樹脂溶融物が射出され、型
締とともに発泡体表面に溶融物が流れる過程を経る。ス
タンピング成形に適した発泡体としては、前記溶融物の
熱により発泡体表面が破壊されないことが必要であり、
特に発泡体表面が高い弾性率と強度を有することが必要
である。すなわち、真空成形やスタンピング成形等で二
次加工する場合、発泡体は半溶融状態にするための加
熱、あるいは他の溶融樹脂との接触に耐える耐熱性が必
要であり、前記の発泡体組成物にスタンピング成形時の
耐熱性を付与し、特に熱による表面フォームの破壊防止
のため、表面強度の向上が求められていた。
【0005】また、発泡体表面が高い弾性率および強度
を有する発泡体としては、架橋助剤を厚み方向に濃度勾
配をもって分布させたポリオレフィン成形品を架橋発泡
させ、表面層側を高架橋させた発泡体があるが(特開昭
59-184629 号公報)、この発泡体では多量の架橋助剤を
必要とし、架橋助剤と樹脂との均一混合が困難であるこ
と、シートに成形した時にブリードアウトした架橋助剤
がロール等へ付着してシート表面への傷付き発生の原因
となること、また二次成形性の指標となる高温での引張
伸度が不充分で、成形不良の原因となるなどの問題があ
った。
【0006】従って、本発明の目的は高温での引張特
性、発泡体表面の機械的特性、弾性および耐熱性がより
一層向上し、真空成形性およびスタンピング成形性に優
れたポリオレフィン系架橋発泡体を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、高融点のポリプロピレンをベースとし、こ
れに引張特性を改善するために低融点の低圧法低密度ポ
リエチレンと、表面の強度を上げるために架橋反応を起
こしやすいプロピレン−非共役ジエン共重合体を表面側
に高濃度に分布させることにより、架橋発泡後の発泡体
表面の諸物性が向上し、スタンピング成形性および真空
成形性に優れたものとなることを確認し、本発明に想到
した。
【0008】すなわち、本発明は 1)(a)ポリプロピレンと(b)線状低密度ポリエチ
レンと(c)非共役ジエンを0.2 〜10重量%含有する
プロピレン−非共役ジエン共重合体と(d)発泡剤とを
含む組成物からなる成形品であって、前記(c)成分が
成形品の表面側が高濃度で厚み方向に濃度勾配をもって
分布している成形品において、前記(a)および(b)
成分の割合が重量基準で(a)/(b)=95〜55/
5〜45であり、前記(c)成分の配合割合が前記
(a)+(b)成分100重量部に対して、表面層が5
〜40重量部であり、内層が0〜30重量部であり、表
面層と内層の配合量の差が5〜35重量部である当該成
形品に、電離放射線を照射し架橋させた後、加熱発泡さ
せることを特徴とするポリプロピレン架橋発泡体の製造
方法である。
【0009】2)前記成形品の(c)成分の濃度勾配分
布が、(c)成分濃度の異なるシートを積層することに
よって形成されたものであることを特徴とする前記1の
ポリプロピレン架橋発泡体の製造方法を提供したもので
ある。
【0010】以下、本発明のポリプロピレン架橋発泡体
の製造方法を詳細に説明する。本発明で使用する(a)
ポリプロピレン(PP)としては、ホモポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。ホ
モポリプロピレンとはプロピレンの単独重合体であり、
プロピレン−エチレンランダム共重合体とはプロピレン
から誘導される繰り返し単位と、エチレンから誘導され
る繰り返し単位とがランダムに共重合したものである。
プロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含
有量は5重量%以下であり、好ましくは 0.3〜4.0 重量
%である。プロピレン−エチレンランダム共重合体中の
エチレン含有量が5重量%を越えると、高温時の機械的
強度、耐熱性およびカッティング成形等の二次加工性が
低下する。
【0011】これらポリプロピレン(PP)は通常1〜
50g/10分のメルトフローレート(MFR;230℃,
2.16kg荷重)を有する。MFRが1g/10分未満では、シ
ートの成形性が十分ではなく、一方50g/10分を越える
と機械的強度が低下するため好ましくない。より好まし
いMFRは3〜30g/10分である。
【0012】本発明で使用する(b)低圧法低密度ポリ
エチレン(LLDPE)とは、エチレンと、炭素数4〜
8のα−オレフィンとの直鎖状の共重合体である。上記
α−オレフィンとしては4−メチルペンテン−1、1−
ブテン、1−ヘキセン等を挙げることができる。また前
記LLDPE中のエチレン含有量は90モル%以上、好
ましくは95モル%以上である。このようなLLDPE
は、通常 0.910〜0.945 g/cm3 、好ましくは 0.915〜0.
935 g/cm3 の密度と、 0.7〜60g/10分、好ましくは3
〜20g/10分のメルトインデックス(MI,190℃,
2.16kg荷重)を有する。
【0013】本発明で使用する(c)プロピレン−非共
役ジエン共重合体(PPDM)とは、ポリプロピレンに
下記一般式
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1 〜R4 は水素原子または炭素
数1〜6のアルキル基を表わし、nは1〜20の整数を
表わす。)で示される非共役ジエンコモノマーをランダ
ム重合あるいはグラフト重合させたものである。
【0016】上記非共役ジエンとしては、例えば、2−
メチル−1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン、4−メチリデン−1−ヘキセン、4−メチル−1,
4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエ
ン、1,4−ヘプタジエン、4−エチル−1,4−ヘキ
サジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、
4−メチル−1,4−ヘプタジエン、4−エチル−1,
4−ヘプタジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエ
ン、5−メチル−1,4−オクタジエン、1,5−ヘプ
タジエン、1,5−オクタジエン、5−メチル−1,5
−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、
2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−オクタジ
エン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル
−1,6−オクタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタ
ジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジ
エンなどが挙げられる。これらの中で、特に、1,4−
ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、
1,9−デカジエン等が好ましい。これらの非共役ジエ
ンコモノマーは通常、単独で用いるが、2種以上を併用
することもできる。
【0017】プロピレンと非共役ジエンコモノマーとを
ランダム共重合させるには、チーグラー・ナッタ触媒を
用いる通常の共重合法を適用すればよい。この場合、前
記非共役ジエンの割合は 0.2〜10重量%となるように
する。非共役ジエンの含有量が 0.2重量%未満では、架
橋効率が十分に高いものではなく、架橋時の劣化抑制の
効果が十分ではない。また10重量%を越えると、共重
合体の結晶性が大幅に低下する。好ましい非共役ジエン
の含有量は 0.5〜5重量%である。
【0018】またプロピレンと非共役ジエンコモノマー
とをグラフト重合させるには、溶液法、または溶融混練
法等の方法により行なうことができる。溶融混練法の場
合、ポリプロピレン、非共役ジエンおよび触媒を押出機
や二軸混練機等に投入し、150〜250℃の温度に加
熱して溶融しながら混練すればよい。また溶液法の場
合、キシレン等の有機溶剤に上記出発物質を溶解し、8
0〜140℃の温度で撹拌すればよい。この場合、前記
非共役ジエンの割合は前述のランダム重合の場合と同様
に 0.2〜10重量%となるようにする。
【0019】上述したようなPPDMとしては、側鎖ジ
エン部分が有効な架橋反応箇所であることから、特にグ
ラフト共重合体が好ましい。なお、これらPPDMに
は、エチレン、ブテン−1などの他の不飽和モノマーを
5モル%以下の範囲で共重合させてもよい。またこの共
重合体のMFR(230℃,2.16kg荷重)は通常 0.5〜
100g/10分であり、より好ましくは 0.5〜50g/10分
である。
【0020】本発明で使用する(d)発泡剤は、常温で
液体状または固体状のものであるが、上記樹脂成分の溶
融点以上に加熱された時に分解または気化する化合物
で、シート化等の成形や架橋反応を実質的に妨害しない
かぎり、任意のものが使用できるが、分解温度が180
〜270℃のものが好ましい。その具体的な例として
は、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩、
ジニトロペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾジカルボ
ンアミド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、s-ト
リヒドラジノトリアジンなどが挙げられる。
【0021】本発明においては、上記成分の他に架橋反
応をスムーズに行なうために架橋助剤を添加することが
好ましい。本発明に使用し得る架橋助剤の例としては、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトー
ルペンタアクリレート、ジアリルフタレート、ジアリル
マレエート等がある。上記架橋助剤の添加量は、樹脂成
分100重量部に対して、 0.5〜7.0 重量部であり、好
ましくは 1.0〜4.0 重量部である。
【0022】その他本発明においては、架橋発泡体の特
性を改良する目的のために、他の各種配合剤、具体的に
はゴム性物質、他の樹脂、顔料、各種充填剤、難燃性物
質、酸化防止剤などを適宜混合することができる。
【0023】本発明においては、成分(a)ポリプロピ
レンと成分(b)低圧法低密度ポリエチレンと成分
(c)非共役ジエンを0.2 〜10重量%含有するプロピ
レン−非共役ジエン共重合体との配合割合は、まず
(a):(b)=95〜55:5〜45、好ましくは9
0〜60:10〜40である。成分(a)が55重量%
未満だと(成分(b)が45重量%を越えると)、組成
物全体が低融点化し、プロピレン等の高融点樹脂とのス
タンピング成形性が悪化する。
【0024】成分(c)は成形品の表面層が高濃度で厚
み方向に濃度勾配をもつように分布させる。その配合割
合は前記(a)成分と(b)成分の和100重量部に対
して、表面層が5〜40重量部、好ましくは10〜30
であり、内層が0〜30重量部、好ましくは0〜20で
あり、表面層と内層の配合量の差が5〜35重量部、好
ましくは10〜30重量部である。
【0025】成分(c)の割合が、表面層で50重量部
を越えると、架橋が効率良く進行するが、反対に組成物
全体が低融点化してしまいスタンピング成形性が悪化
し、また5重量部未満ではスタンピング成形時にセルつ
ぶれ等が発生し、機械的特性が悪化する。内層において
30重量部を越えると二次成形時、フォームのへたり、
厚みむらが発生する。また、表面層と内層の配合量の差
が5重量部未満ではセルつぶれ、へたりの発生により、
良好なスタンピング成形性の発現が不可能となり、35
重量部を越えると架橋発泡後、表面層と内層のセルサイ
ズが大きく異なってしまい、層間剥離が生じ易くなる。
また、成分(d)の発泡剤の配合割合は、それぞれの種
類や発泡倍率によって任意に選択することができるが、
通常、樹脂成分を100重量部として0.01〜20重量
部、好ましくは4〜10重量部である。
【0026】
【製造方法】本発明のポリプロピレン架橋発泡体は、ま
ず上述した範囲の割合で(a)ポリプロピレン、(b)
LLDPE、(c)PPDMおよび(d)発泡剤、およ
び架橋助剤その他各種配合剤を含有し、表面側がPPD
M高濃度で厚み方向に濃度勾配をもって分布しているポ
リプロピレン組成物成形シートを作製し、その後にその
シートを架橋発泡することにより製造される。
【0027】表面側がPPDM高濃度で厚み方向に濃度
勾配をもって分布しているポリオレフィン成形シートを
得るには、例えば、複数の押出機等を使用し、発泡剤と
各種濃度のPPDMを含有するポリオレフィン樹脂組成
物をそれぞれ押出機より押出し積層品を得る方法、ある
いは発泡剤と各種濃度のPPDMを含有するポリオレフ
ィン樹脂組成物をそれぞれ予めシート状に成形し、これ
らの複数のシートを積層した後ホットプレスして積層成
形品を得る方法が採用されるが、これに限定されるもの
ではない。
【0028】各層の混練はニーダ、ヘンシェルミキサ
ー、押出機等により行なう。この際、溶融混練の温度は
発泡剤の分解温度未満とする必要がある。好ましい溶融
混練温度は160〜180℃である。その後上記混練物
を押出機等のダイスより押し出し、シート等の成形体に
成形する。この際ダイスの温度を160〜180℃の範
囲に制御するのが好ましい。
【0029】次に、このようにして得られた成形体の架
橋および発泡を行なう。架橋構造の形成方法としては、
α線、β線(電子線)、γ線等の電離放射線の照射によ
る方法により行なう。これらの照射の中では電子線照射
による架橋が最も好ましい。照射は用途の必要に応じて
シートの両面に行ってもよいし、片面に行なってもよ
い。放射線の照射線量は、架橋後の原反シートのゲル分
率が40〜60重量%、特に表面層においては50〜5
5重量%となるような量を照射するのが好ましい。ゲル
分率が40重量%未満の場合にはセルの破損、厚みむ
ら、へたりが発生することとなり、60重量%を越える
と高温での引張伸度が低下し、加工性が悪化することと
なる。
【0030】照射線量は架橋助剤の種類や量、架橋の度
合いおよび成形体の厚み等により異なるが、一般に1〜
50Mrad、好ましくは2〜20Mradである。また、加速
電圧については、例えば厚みが1mmの成形体については
100〜5000kV、好ましくは750〜5000kVであ
る。
【0031】このようにして架橋したポリプロピレン成
形シートの発泡は、樹脂成分の融点より高い温度、好ま
しくは200℃以上、より好ましくは230〜280℃
の温度に加熱することにより行なうことができる。ま
た、発泡に用する加熱時間は通常0.5 〜5分であり、発
泡倍率は12〜16倍とするのが好ましい。
【0032】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、各例において、原料および
添加剤としては、以下のものを使用した。 (a)ポリプロピレン PP(エチレン含有量 3.6重量%,MFR(230℃,
2.16kg荷重)9g/10分)。 (b)線状低密度ポリエチレン LLDPE(密度 0.915g/cm3 ,MI(190℃,2.16
kg荷重)6g/10分)。 (c)プロピレン−非共役ジエンコモノマー共重合体 PPDM(ジエン成分1,9−デカジエン,ジエン含有
量 3.8重量%,MFR(230℃,2.16kg荷重) 0.8g/
10分)。 (d)発泡剤 アゾジカルボンアミド(ADCA) (e)架橋助剤 トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMP
T)
【0033】実施例1〜4,比較例1〜8 第1表に示す割合の樹脂成分(PP,PPDM,LLD
PE)と、発泡剤7重量部、架橋助剤 1.5重量部、酸化
防止剤 0.5重量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用い
て500rpm で2分間混合した後、3機の単軸押出機
(40mmφ,L/D比28,マルチマニホールドダイ)
を用い155℃でそれぞれPPDMの濃度の異なる組成
物を同時に押出し、各層の厚み比をA(表層)/B(中
間層)/C(表層)=2/6/2、シート全体の厚みを
1.0mm となるようにシート成形を行なった。
【0034】次にこのシートに、5〜13Mrad(750
kV)の電子線を片面もしくは両面に照射し、ゲル分率
が47〜55重量%のシートを得た。その後、270℃
のエアオーブンに約2分間入れて発泡剤を分解し、発泡
率15倍に発泡させた。このようにして得られたポリオ
レフィン架橋発泡体の各層のゲル分率、各層の平均セル
サイズ、真空成形性およびスタンピング成形性を測定評
価した。第1表に結果を合わせて示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】上記第1表に示した各物性の測定方法は以
下の通りである。 (1) 各層(A,B,C)のゲル分率:A〜C層の単独シ
ートを成形し、重ね合わせて電子線照射した後、キシレ
ン中で還流し、不溶物の重量%をゲル分率とした。 (2) 各層の平均セルサイズ:発泡シートを切断し、各層
の切断面(厚み方向)のセルサイズについて顕微鏡によ
り観察し、切断面の一部( 0.5mm× 0.5mm)の平均セル
サイズを測定した。
【0038】(3) 真空成形性(限界絞り比):25cm×
25cm×3mmの発泡シートを直径60mmの金型の上にク
ランプした状態で、シートの表面温度(ヒートラベル)
を180℃に加熱し(ヒーター温度300℃,28秒間
加熱)、軟化したシートと金型の隙間を真空にして真空
成形を行ない、金型に引き込まれたシートの深さH(m
m)を金型の直径(60mm)で割った値(H/60)を
絞り比とした。
【0039】(4) スタンピング成形性:芯材としてフィ
ラー20重量%含有するポリプロピレン樹脂を180℃
で溶融し、この溶融樹脂を得られた発泡シート表面上に
のせ、さらに180℃でプレス成形を行ない、ポリプロ
ピレン樹脂と発泡シートの積層体を得た。この積層体
(スタンピング成形物)を切断し、切断面の、特に溶融
樹脂との接触面のセル保持性を顕微鏡により観察し、以
下の基準により評価した。 ○:スタンピング成形時の樹脂溶融物との接触面のセル
に破損がなく、発泡体の厚みむらもないもの。 △:スタンピング成形後の発泡体の厚みむらがみとめら
れたもの。 ×:溶融樹脂が発泡体を突き抜けるか、または発泡体の
破損が生じたもの。
【0040】第1表より明らかなように、表面層におい
てPPDMを多く配合させると(比較例2,3)、架橋
が十分に進行し平均セルサイズが小さく緻密な気泡を有
する表面層となるが、組成物自体が低融点化し、スタン
ピング成形性が悪くなる。また、内層においてPPDM
を多く配合させると(比較例4)、内層においてもスタ
ンピング成形時フォームのへたり、厚みむらが生じる。
表面層と内層とのPPDM濃度差が大きくなると(比較
例2)、層間における物性(平均セルサイズ等)が顕著
に相違するものとなり層間剥離が生じ易く、真空成形性
が悪化する。
【0041】また、LLDPEを配合しないと(比較例
5)、発泡体とした時に、柔軟性および常温での弾性率
が低下し、反対にPPを配合しないと(比較例7)、あ
るいはPPが少ないと(比較例6)組成物全体として低
融点化し、スタンピング成形性が悪化する。架橋助剤を
内層より表面層に多く配合させることにより(比較例
8)、架橋度(ゲル分率および平均セルサイズ)を調整
しても、引張伸度が不充分となり、真空成形性、スタン
ピング成形性が不良となる。
【0042】これに対して、本発明による発泡体(実施
例1〜4)は真空成形性およびスタンピング成形性共に
優れていることがわかる。また電子線照射は両面で行な
っても(実施例2)、片面で行なっても(実施例3)、
物性に大差はなく、用途に合わせて照射面を適宜選択す
ることができる。
【0043】
【発明の効果】一般に樹脂に電子線照射を施した場合、
架橋と劣化の競争反応が起こり、ある程度の劣化は避け
られない。特に表面層は中心層よりも酸化劣化が激しく
起こる。従来の発泡シートでは、スタンピング成形時に
溶融樹脂(芯材)との接触面のセルつぶれが多く発生
し、成形時の不良率増大の原因となっていた。
【0044】本発明の方法により得られる架橋発泡体
は、表面層に主材よりも架橋性の高い樹脂を多く配合す
ることで表面層のゲル分率を高く、かつ電子線処理によ
る劣化を抑制することができる。表面層に架橋効率の高
い樹脂を配合しないものと比較した場合、本発明の架橋
発泡体は表面層の気泡が緻密であるために良好な圧縮反
発応力を示し高伸度を有する。また、厚み方向に対して
適切なゲル分率を与えるような電子線照射を施すことに
より、セルサイズのコントロールが可能である。従っ
て、このフォームを用いて二次加工した場合(真空成
形、スタンピング成形等)、フォームが破壊されず、良
好な成形物を得ることができる。
【0045】このように本発明の製造方法により得られ
るポリプロピレン架橋発泡体は、高温での引張物性が良
好で真空成形性に優れ、かつ発泡体表面の機械的物性お
よび耐熱性が良好でスタンピング成形に優れているの
で、自動車の内装材やスポーツ用品、食料包装等の緩衝
材、断熱材、消音材、その他の外装材等に好適に用いる
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリプロピレンと(b)線状低密
    度ポリエチレンと(c)非共役ジエンを0.2 〜10重量
    %含有するプロピレン−非共役ジエン共重合体と(d)
    発泡剤とを含む組成物からなる成形品であって、前記
    (c)成分が成形品の表面側が高濃度で厚み方向に濃度
    勾配をもって分布している成形品において、前記(a)
    および(b)成分の割合が重量基準で(a)/(b)=
    95〜55/5〜45であり、前記(c)成分の配合割
    合が前記(a)+(b)成分100重量部に対して、表
    面層が5〜40重量部であり、内層が0〜30重量部で
    あり、表面層と内層の配合量の差が5〜35重量部であ
    る前記成形品に、電離放射線を照射し架橋させた後、加
    熱発泡させることを特徴とするポリプロピレン架橋発泡
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記成形品の(c)成分の濃度勾配分布
    が、(c)成分濃度の異なるシートを積層することによ
    って形成されたものであることを特徴とする請求項1の
    ポリプロピレン架橋発泡体の製造方法。
JP35786792A 1992-12-25 1992-12-25 ポリプロピレン架橋発泡体の製造方法 Pending JPH06192461A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3192828A4 (en) * 2014-09-10 2018-01-24 Sekisui Chemical Co., Ltd. Foam, laminate, and formed product

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3192828A4 (en) * 2014-09-10 2018-01-24 Sekisui Chemical Co., Ltd. Foam, laminate, and formed product
US10442908B2 (en) 2014-09-10 2019-10-15 Sekisui Chemical Co., Ltd. Foam, laminate, and formed product

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