JPH06191982A - ガス発生剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

ガス発生剤組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06191982A
JPH06191982A JP34783692A JP34783692A JPH06191982A JP H06191982 A JPH06191982 A JP H06191982A JP 34783692 A JP34783692 A JP 34783692A JP 34783692 A JP34783692 A JP 34783692A JP H06191982 A JPH06191982 A JP H06191982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicic acid
gas
gas generating
magnesium aluminate
sodium azide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34783692A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Ochi
弘二 越智
Kazuyuki Narita
和之 成田
Kazunori Matsuda
和典 松田
Choichi Asano
暢一 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Oil and Fats Co Ltd filed Critical Nippon Oil and Fats Co Ltd
Priority to JP34783692A priority Critical patent/JPH06191982A/ja
Priority to US08/044,281 priority patent/US5470406A/en
Priority to DE4311703A priority patent/DE4311703C2/de
Priority to FR9304252A priority patent/FR2689884B1/fr
Publication of JPH06191982A publication Critical patent/JPH06191982A/ja
Priority to US08/409,278 priority patent/US5563367A/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Air Bags (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い燃焼速度を保持でき、少ない含有量で残
渣を効果的に捕集できるとともに、燃焼圧力の増加を来
すおそれがなく、ガス発生器の小型軽量化を図ることが
でき、しかもガス発生剤組成物を収率良く製造すること
ができるガス発生剤組成物及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 ガス発生器1に装填されるガス発生剤組成物
8は、アジ化ナトリウムと酸化剤を主成分とし、アルミ
ン酸マグネシウムを2〜6重量%及びコロイド珪酸由来
の珪酸を4〜10重量%含有している。ガス発生剤組成
物8の製造方法においては、珪酸濃度が3〜15重量%
のコロイド珪酸中に、アジ化ナトリウム、酸化剤及びア
ルミン酸マグネシウムを添加し、混合してスラリー状態
とした後、例えばスプレードライヤーにより噴霧造粒乾
燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車用のエ
アバッグを膨張させるガス発生装置(以下、単に「ガス
発生器」という)に装填されるガス発生剤組成物及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アジ化ナトリウムと各種酸化剤とを主成
分としてなるガス発生剤をペレット状にしてガス発生器
内に組み込み、これを燃焼させることにより窒素ガスを
発生させ、エアバッグを膨張させるガス発生剤が知られ
ている。ここで用いられるアジ化ナトリウムと酸化剤を
主成分とするガス発生剤は、燃焼によりガス成分として
は無害なガスだけを発生するので、ガス発生剤としては
極めて好ましいものである。
【0003】しかしながら、同時に副生するナトリウム
やナトリウム化合物の残渣(以下、単に「残渣」とい
う)は有害である。そのため、ガス発生剤を開発するに
あたっては副生した残渣を無害化するか、又はガス発生
器内に組み込まれた金網やフィルタ類(以下、単に「濾
過機構」という)で簡単に捕集しやすい様に化学的に変
化させ得る組成であることが望ましい。
【0004】このような観点から、ガス発生剤組成物中
に二酸化珪素等を配合し、残渣を無害な珪素塩に変化さ
せると同時に、濾過機構で捕集され易い低融点ガラスに
変化させる手段が知られている。
【0005】例えば、特公昭58─20920号公報に
は、金属アジドと酸化剤とからなるガス発生剤から生成
される残渣を無害化する組成物として、生成される残渣
と低融点ガラスを形成する二酸化珪素等を含有せしめた
組成物が提案されている。
【0006】また、米国特許第4547235号明細書
には、次のような組成物が示されている。すなわち、こ
の組成物は、アジ化ナトリウム60〜68重量%、二酸
化珪素18〜24重量%、硝酸カリウム8〜20重量
%、二酸化モリブデン2〜20重量%、イオウ2〜4重
量%からなっている。この組成物は残渣が捕集され易
く、燃焼速度が調整可能で、ガス発生器用のガス発生剤
として好適であるとされている。
【0007】さらに、特公昭53─1076号公報に
は、アジ化物と硝酸塩又は過塩素酸塩とを含む組成物の
水溶液に微粒状二酸化珪素を混合し、かかる混合物を更
に水溶性有機溶剤と混合することによって得られる微粒
子状共析出物からなるガス発生剤が例示されている。そ
して、この組成物は、組成物中の各成分が均一に混合さ
れる結果、燃焼性を損なうことなく、残渣を効率的に低
融点ガラスに変換させることが可能であるとされてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記特公昭
58─20920号公報及び米国特許4547235号
明細書記載のガス発生剤組成物は、残渣を捕集され易く
するために二酸化珪素等の配合比を大きくする必要があ
り、その結果、燃焼速度が低下するという問題がある。
そして、それを補うためには、硝酸カリウムのような強
力な酸化剤が必要となる。しかし、硝酸カリウムの様な
酸化剤を配合したガス発生剤は、燃焼温度が高くなり、
高温のガスを発生するという問題点が生じる。また、二
酸化珪素の配合比が大きい分、アジ化ナトリウムの配合
比が相対的に減少するため、ガス発生器1個あたりに装
填されるべきガス発生剤の量が多くなる結果、重量と形
状が大きくなるという問題点がある。
【0009】加えて、添加剤である二酸化珪素が、アジ
化ナトリウムと酸化剤との反応の結果生じる残渣と反応
した際には、珪酸ナトリウムの如き粘着性の低融点ガラ
スを形成する。この粘着性の低融点ガラスは、濾過機構
で捕集され易い反面、濾過機構の中で局部的に目詰まり
を起こしやすいという欠点を有している。
【0010】このような目詰まりは、ガス発生剤燃焼時
のガス発生器内の圧力(以下、単に「燃焼圧力」とい
う)を高める原因となり、この高い燃焼圧力は、さらに
ガス発生剤自身の異常燃焼を引き起こす原因ともなる。
そして、この現象を抑制するには、濾過機構の構成につ
いて特別に配慮することが必要となるが、このような対
策は、ガス発生器の製造工程を複雑にすることになる。
また、濾過機構の構成について特別に配慮しない場合に
は、高い燃焼圧力を見込んで、ガス発生器ケースの耐圧
性能を十分に確保しておく必要があり、このような対策
は、ガス発生器の大きさ、重量の増加を招き、さらに製
造上の改良を要する結果となる。
【0011】また、特公昭53─1076号公報に記載
のガス発生剤は、二酸化珪素の添加量が少量であるため
燃焼速度の低下が少なく、なおかつ二酸化珪素の添加量
が少量であっても残渣が有効に捕集できる点で有利であ
るが、水溶性有機溶剤と混合することによって得られる
微粒子状共析出物の比率が70%弱であり、収率が非常
に低いという問題点がある。
【0012】この発明は上記問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、高い燃焼速度を保持しつつ、
少ない含有量で残渣を効果的に捕集できるとともに、特
別に配慮された濾過機構を使用せずとも、燃焼圧力の増
加を引き起こすおそれがなく、ガス発生器の小型軽量化
を図ることができ、しかもガス発生剤組成物を収率良く
製造することができるガス発生剤組成物及びその製造方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明のガス発生剤組成物は、アジ化ナトリ
ウムと酸化剤を主成分とし、アルミン酸マグネシウムを
2〜6重量%及びコロイド珪酸由来の珪酸を4〜10重
量%含有してなることを特徴とする。
【0014】また、第2の発明のガス発生剤組成物の製
造方法は、珪酸濃度が3〜15重量%のコロイド珪酸中
に、アジ化ナトリウム、酸化剤及びアルミン酸マグネシ
ウムを添加し、混合してスラリー状態とした後、噴霧造
粒乾燥することを特徴とする。
【0015】次に、この発明の各構成要素について順次
説明する。アジ化ナトリウム(Na N3 )はガス発生器
に用いられるガス発生剤の主成分として最も一般的な物
である。アジ化ナトリウムの粒度は、高い燃焼速度を得
るためには、平均粒径は20μm以下であることが望ま
しい。
【0016】アジ化ナトリウムと共に用いられる酸化剤
としては、従来から知られているものが使用され、例え
ば過塩素カリウム、過塩素酸アンモニウム等の過塩素酸
塩、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、酸化
銅、二酸化マンガン、酸化鉄等の金属酸化物が好適に用
いられる。中でも、アジ化ナトリウムと配合した際の燃
焼温度が低いこと、燃焼速度が高いこと、化学的安定性
が良いこと、コストが低いこと等の観点から二酸化マン
ガンが特に好ましい。また、この二酸化マンガンの粒度
は、高い燃焼速度を得るためには、10μm以下である
ことが好適である。
【0017】また、酸化剤として二酸化マンガンを使用
する場合には、二酸化マンガンを電気炉等で焼成したも
のが好適である。焼成温度は、250〜500℃が好ま
しく、300〜400℃がさらに好ましい。焼成された
二酸化マンガンは、焼成していない二酸化マンガンに比
べて、燃焼後の生成ガス中のアンモニアガス濃度を低減
させる効果がある。
【0018】アジ化ナトリウムと酸化剤との配合割合に
ついては、使用する酸化剤の種類によりその最適組成は
異なるが、通常アジ化ナトリウム40〜75重量%に対
して酸化剤25〜60重量%の範囲が適当である。
【0019】次に、この発明におけるアルミン酸マグネ
シウム(Mg Al24 )は、一般に所定のアルミニウム
塩とマグネシウム塩の水溶液からpH、温度、攪拌速度
等の定められた条件下に、アルミン酸マグネシウムの共
沈物を得た後、これを水洗、乾燥し、所望の粒度に粉砕
したものが用いられる。このアルミン酸マグネシウムの
粒径は、10μm以下であることが好適である。
【0020】アルミン酸マグネシウムの配合量は2〜6
重量%である。配合量が2重量%未満の場合、残渣を十
分に捕集することができないか、又は燃焼圧力を低く抑
えることができない。逆に、配合量が6重量%を越える
場合、燃焼速度が急激に低下し、さらにアジ化ナトリウ
ムの配合比が相対的に減少する。
【0021】低すぎる燃焼速度は、ガス発生剤ペレット
の表面積の増大を必要とするため、ペレットの厚みを薄
くする必要が生じ、このことはペレット強度の低下をも
たらす。ペレット強度が低下すると、ガス発生器が何年
もの間、自動車の車室内で激しい振動や高低の大きい過
酷な温度条件に晒された場合に、ペレットが割れたり粉
化したりし、このことはガス発生剤燃焼時における燃焼
室内の予期せぬ高圧をもたらす。
【0022】さらに、アジ化ナトリウム配合比の相対的
な減少は、ガス発生器1個あたりに必要となるガス発生
剤の量が増えることとなり、その結果、ガス発生器の重
量及び形状の増加をもたらすこととなる。
【0023】アルミン酸マグネシウムは、粒径は一定で
あっても、比表面積の値はその結晶構造によってかなり
変化する。参考として、平均粒径3.2μmのアルミン
酸マグネシウムにつき、温度を変えて焼成した場合の比
表面積の影響を図2に示す。焼成温度が180℃から9
80℃の間で、比表面積の値がピークを示すのは、結晶
構造がバイアライト構造からスピネル構造に変化する過
程のアモルファスの状態であるためと考えられる。
【0024】この発明のガス発生剤組成物に用いるアル
ミン酸マグネシウムは、上記アモルファスの状態、すな
わち比表面積で言うならば100〜250m2/gである
場合に、一層その効果が発揮される。比表面積が100
2/g未満の場合、残渣の捕集効果は優れているとは言
えず、比表面積が100m2/g以上の場合、残渣の捕集
効果は格段に向上する。また、比表面積が250m2/g
より大きいアルミン酸マグネシウムは、工業的に製造す
ることが困難である。これらのことから、アルミン酸マ
グネシウムの比表面積は100〜250m2/gが最適で
ある。
【0025】アルミン酸マグネシウムを2〜6重量%配
合したガス発生剤組成物は、残渣の捕集効率が優れてい
る他に次の利点がある。それは、アルミン酸マグネシウ
ムを2〜6重量%配合したガス発生剤組成物は、残渣が
濾過機構で目詰まりを起こしにくいため、燃焼圧力が珪
酸や珪酸塩など他の残渣捕集用の添加剤を配合した組成
物に比較して、低く抑えられるという点である。
【0026】次に、この発明におけるコロイド珪酸と
は、粒子の大きさが5〜100mμ程度である無定形珪
酸の安定な水系分散体であり、水ガラスや珪酸エステ
ル、ハロゲン化珪素の加水分解などによって生じる珪酸
を、コロイドの大きさに成長させることによって得られ
るものである。
【0027】コロイド珪酸がガス発生剤組成物中に占め
る配合量は、珪酸としての換算比率、すなわち乾燥して
珪酸となった場合の比率で4〜10重量%の範囲であ
る。この配合量が4重量%に満たない場合、残渣を十分
に捕集することができない。逆に、配合量が10重量%
を越える場合、燃焼速度が急激に低下し、さらにアジ化
ナトリウムの配合比が相対的に減少するため、前記と同
様の問題が生じる他、燃焼圧力が増加する。
【0028】この発明の最も特徴的な点は、アルミン酸
マグネシウム又はコロイド珪酸を単独で添加するより
も、両者を組み合わせて添加することによって、燃焼圧
力の増加を抑制しつつ、より一層残渣の捕集効果を高め
得ることである。この場合、アルミン酸マグネシウムと
コロイド珪酸中の珪酸との合計添加量は6〜12重量%
が好ましく、両者の添加比率は1:1〜1:3が好まし
い。
【0029】次に、この発明のガス発生剤組成物の製造
方法としては、以下に述べる方法が適している。すなわ
ち、コロイド珪酸は、ゾルとしての安定した状態を保つ
ためには、pH、濃度、共存電解質等について配慮する
必要がある。例えば、アジ化ナトリウムと酸化剤からな
る乾燥したガス発生剤に、一般に市販されている20〜
40重量%のコロイド珪酸を単純に加えた場合には、コ
ロイド珪酸は瞬間的に凝固(ゲル化)する。
【0030】しかしながら、この発明のガス発生剤組成
物の製造方法に従うことにより、上記のゲル化現象を抑
えることができ、なおかつ、ガス発生剤を収率良く製造
することができる。
【0031】そのためには、まず、コロイド珪酸中の珪
酸濃度が3〜15重量%のコロイド珪酸を調製する必要
がある。一般に市販されているコロイド珪酸の珪酸濃度
は、20〜40重量%であるので、上記3〜15重量%
のコロイド珪酸を調製するためには、市販のコロイド珪
酸をイオン交換水等で希釈すれば良い。これに、残りの
配合成分、つまりアジ化ナトリウム、酸化剤及びアルミ
ン酸マグネシウムを添加し、混合してほぼ均一なスラリ
ーとする。
【0032】コロイド珪酸中の珪酸濃度が15重量%を
越える場合、スラリーは急激に増粘し、ゲル化の状態に
近づき、その結果として、ガス発生剤組成物の収率が低
下するため不適当である。一方、コロイド珪酸中の珪酸
濃度が3重量%未満の場合、スラリーが短時間のうちに
固液分離現象を呈し、その結果として、前記と同様にガ
ス発生剤組成物の収率の低下及び性能のばらつきを引き
起こすため不適当である。
【0033】次にpHであるが、コロイド珪酸を安定し
たゾルの状態に保つためには、スラリーのpHは8〜1
0の範囲が最適である。pHが8に満たない場合、スラ
リーがゲル化しやすくなるために好ましくない。また、
pHが10を越えると、コロイド珪酸は珪酸アルカリの
溶液になるために、やはり好ましくない。
【0034】上記pHの範囲では、コロイド珪酸中の珪
酸粒子の表面は、水酸イオンを吸着して負に帯電してい
る。従って、酸化剤として水中で正に帯電するような物
質、例えば酸化第二鉄のような物質は、コロイド珪酸の
安定性に悪影響を与えるため、基本的に好ましくない。
逆に、二酸化マンガンのように上記pHの範囲において
水中で負に帯電するような物質は好ましいといえる。
【0035】この発明のガス発生剤組成物は、例えばジ
ェット流を利用したホモジナイザーを用いてスラリーの
状態で均一に混合される。均一混合されたガス発生剤組
成物は、後の工程でペレットに成型されることになる
が、その際の作業性を良くするために、噴霧造粒乾燥さ
れる。この発明に示されるようなガス発生剤のスラリー
を造粒乾燥する手段としては、噴霧造粒乾燥、即ち熱風
が送り込まれている乾燥塔内にガス発生剤スラリーを液
滴状で噴霧し、短時間のうちに造粒及び乾燥を同時に実
施するような手段が得策である。この噴霧造粒乾燥工程
は、一般にスプレードライヤーとよばれる装置を用いる
ことにより、容易に実施することができる。
【0036】この発明の製造方法を実施するに際して
は、まず、ガス発生剤スラリー調製用タンク内に、定め
られた量の水が注入される。その時の水の量は、次に加
えられるコロイド珪酸中の水の量と合算した量で、コロ
イド珪酸中の珪酸濃度として3〜15重量%になるよう
に調整される。
【0037】次に、粉末原料であるアジ化ナトリウム、
酸化剤及びアルミン酸マグネシウムを加える。さらに
は、ホモジナイザー等の混合器により均一なスラリーを
調製する。その際、アジ化ナトリウム、酸化剤、アルミ
ン酸マグネシウムの添加順序は特に制限されるものでは
ない。
【0038】ほぼ均一に混合されたガス発生剤スラリー
は送液ポンプ等でスプレードライヤー乾燥塔内に導入さ
れ、そこでノズルもしくは回転アトマイザーによって液
滴状に噴霧される。この液滴は、乾燥塔内を滞留する間
に造粒乾燥され、ガス発生剤組成物の造粒薬、すなわち
粒状体が製造される。
【0039】このようにして製造される造粒薬の一般的
な性能としては、粒径は50〜300μm、残存水分量
は1重量%以下である。また収率としては90%以上の
高収率が可能である。
【0040】なお、この発明のガス発生剤組成物が装填
されたガス発生器について説明する。図1に示すよう
に、ガス発生器1内の中心位置には点火室2が設けら
れ、その外周には燃焼室3が区画形成され、さらにその
外周には冷却捕集室4が同心円状に区画形成されてい
る。上記点火室2内にはリード線5が接続されたスクイ
ブ6が立設固定され、その上部には点火剤7が充填され
ている。また、燃焼室3内にはペレット状のガス発生剤
組成物8が装填されるとともに、冷却捕集室4には金網
と無機繊維とからなる環状の冷却用フィルタ9が配置さ
れている。
【0041】前記点火室2と燃焼室3との間及び燃焼室
3と冷却捕集室4との間にはそれぞれ連通孔10,11
が開口されるとともに、冷却捕集室4の上部外周にはガ
ス排出口12が開口されている。燃焼室3内の下部外周
には環状の燃焼室フィルタ13が連通孔11に対向して
配置されている。
【0042】そして、リード線5を介してスクイブ6に
通電されてスクイブ6が発火し、点火剤7が着火する。
その火炎が連通孔10を通って燃焼室3内に伝播され、
ガス発生剤組成物8が燃焼し、窒素ガスを発生する。こ
の窒素ガスは燃焼室フィルタ13、連通孔11を通って
冷却捕集室4に入り、冷却用フィルタ9で冷却されなが
らガス排出孔12から排出される。そして、図示しない
エアバックを展開させる。
【0043】
【作用】この発明の第1の発明におけるガス発生剤組成
物は、アルミン酸マグネシウム2〜6重量%及びコロイ
ド珪酸由来の珪酸を4〜10重量%含有している。
【0044】アルミン酸マグネシウムは、ガス発生剤組
成物の燃焼残渣と反応して粒子径の大きな生成物となる
とともに、その生成物の粘着性も少ないと考えられる。
従って、残渣が濾過機構の中で目詰まりを起こすことな
く濾過機構で容易かつ円滑に捕集される。
【0045】また、コロイド珪酸は、活性な微粒子状で
あるため、公知技術と異なり珪酸の換算比率で4〜10
重量%の添加量で十分にその目的を達成することが可能
である。濾過で捕集される残渣は、ほとんど無害化され
るとともに、一定量以上の低融点ガラスの生成は、その
表面に残りの残渣を物理的に付着させるのに十分であ
る。
【0046】アルミン酸マグネシウムとコロイド珪酸の
両者を添加したガス発生剤組成物は、アルミン酸マグネ
シウム又はコロイド珪酸を単独で添加した場合に比べ
て、燃焼圧力を増加させることなく、より一層残渣を効
率良く濾過することができる。
【0047】さらに、この発明のガス発生剤組成物は、
アルミン酸マグネシウムとコロイド珪酸を使用している
が、その添加量は少ないことから、燃焼速度はほとんど
低下しないし、アジ化ナトリウムの配合比率もそれほど
低下しない。従って、燃焼速度の低下を補うために、硫
酸塩、過塩素酸塩等の強い酸化剤を必ずしも用いる必要
はない。さらに、生成ガス量も多い。
【0048】この発明の第2の発明におけるガス発生剤
の製造方法は、コロイド珪酸をゲル化させることなく、
他の成分と均一に混合させることができ、乾燥塔内で噴
霧造粒乾燥することにより、一度に大量のガス発生剤を
効率よく製造することができる。
【0049】
【実施例】以下に、この発明を具体化した実施例と比較
して説明する。なお、各例において重量%を%と略記す
る。 (実施例1)40%コロイド珪酸を、所定量のイオン交
換水が注入された容器内に投入して希釈することによ
り、4%のコロイド珪酸を調製した。このコロイド珪酸
中に、アジ化ナトリウム、二酸化マンガン及びアルミン
酸マグネシウムを所定量投入した。このときのアジ化ナ
トリウム、二酸化マンガン、アルミン酸マグネシウム、
コロイド珪酸の各比率は表1に示すとおりである。この
混合物をホモジナイザーで混合し、均一なスラリー状に
した後、2流体ノズル方式のスプレードライヤーを使用
して噴霧造粒乾燥することにより、平均粒径約100μ
mの造粒薬を得た。このときの収率は約97%であっ
た。この造粒薬をロータリー式打錠機を用いて、直径7
mm、厚さ4.9mmのペレットを製造した。
【0050】このペレットを図1に示されるガス発生器
内に92g組み込んだ後、60リットルのタンク試験機
に取り付け、作動させた際の燃焼圧力及びタンク内に排
出されたナトリウム量を測定した。
【0051】またこれとは別に、専用の金型と手動式油
圧プレス機を使用し、前記造粒薬を用いて5mm×8mm×
50mmの棒状成形品(以下、「ストランド」という)を
作成した。
【0052】燃焼速度は、ストランドの側面をエポキシ
樹脂でコーティングすることにより全面燃焼を防止する
対策を施した後、直径0.5mmのドリルを用いて、長手
方向に適当な間隔で2個の小穴をあけ、ここに燃焼時間
測定用の溶断ヒューズを各穴1本ずつ貫通させた。この
ストランド試料を所定の固定台に設置し、30気圧の加
圧下で、ストランドの一端からニクロム線で点火し、燃
焼面が通過する際にヒューズが溶断する瞬間を電気的に
測定し、2点間の距離をその時間差で割ることにより線
燃焼速度として求めた。その結果を表1に示す。 (実施例2〜6)表1に示す組成(実施例2〜6)で、
実施例1と同様な方法によりガス発生剤組成物を各々製
造し、同じ方法で各々の特性を評価した。ただし、希釈
後のコロイド珪酸の濃度は、3〜15%の範囲に調整
し、ガス発生器内に組み込まれるペレットの量は、ガス
発生器1個当たりのアジ化ナトリウムの量が一定になる
ように調整した。また、ペレットの厚さは、それぞれの
燃焼速度に合わせて、表1に示すとおりに調整した。そ
の結果を表1に示す。 (比較例1〜5)表2に示す組成(比較例1〜5)で、
実施例1と同様な方法によりガス発生剤組成物を各々製
造し、同じ方法で各々の特性を評価した。ただし、ガス
発生剤スラリー中の固形分と水との比率は、重量比で
1:1で一定とした結果、希釈後のコロイド珪酸の濃度
は0〜12%であった。また、ガス発生器内に組み込ま
れるペレットの量は、ガス発生器1個あたりのアジ化ナ
トリウムの量が一定になるように調整した。また、ペレ
ットの厚さは、それぞれの燃焼速度に合わせて、表2に
示すとおりに調整した。その結果を表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】表1及び表2中、アジ化ナトリウムは東洋
化成工業(株)のものを使用した。このアジ化ナトリウ
ムの粒度は平均9.6μmであった。また、二酸化マン
ガンは東ソー(株)製の商品名電解二酸化マンガン「F
MH」を400℃、大気圧下の電気炉内で3時間焼成し
たものを使用した。また、アルミン酸マグネシウムは富
田製薬(株)のものを使用した。このアルミン酸マグネ
シウムの粒度は平均3.2μmであり、比表面積はBE
T法による測定の結果170m 2/gであった。さら
に、コロイド珪酸は日産化学工業(株)の商品名「スノ
ーテックス40(40%液)」を使用し、表中の珪酸の
比率としては、無水珪酸の換算比率で表した。
【0056】表1及び表2に示す結果からわかるよう
に、ガス発生剤組成物中のアルミン酸マグネシウムの比
率が2〜6%、及び珪酸の比率が4〜10%の場合(実
施例1〜6)、高い燃焼速度を維持しつつ残渣を効率的
に捕集することができ、なおかつ、燃焼圧力を低く抑え
ることが可能である。しかし、アルンミ酸マグネシウム
又は珪酸の比率が上記範囲から外れた場合(比較例1〜
5)、燃焼速度の低下や残渣捕集の比率の低下あるいは
燃焼圧力の増大を招くことがわかる。 (実施例7)40%のコロイド珪酸を、所定量のイオン
交換水が注入された容器内に投入して希釈することによ
り6%のコロイド珪酸を調整した。このコロイド珪酸中
に、アジ化ナトリウム、過塩素酸カリウム及びアルミン
酸マグネシウムを所定量投入した。このときのアジ化ナ
トリウム、過塩素酸カリウム、アルミン酸マグネシウ
ム、珪酸の各比率は表3に示すとおりである。この混合
物をホモジナイザーで攪拌混合し、均一なスラリー状に
した後、2流体ノズル方式のスプレードライヤーを使用
して噴霧造粒乾燥することにより、平均粒径約90μm
の造粒薬を得た。このときの収率は約95%であった。
この造粒薬をロータリー打錠機を用いて、直径7mm、厚
さ4.8mmのペレットを製造した。
【0057】このペレットを図1に示されるガス発生器
内に77g組み込んだ後、60リットルのタンク試験機
に取り付け、作動させた際の燃焼圧力及びタンク内に排
出されたナトリウム量を測定した。
【0058】またこれとは別に、専用の金型と手動式油
圧プレス機を使用して、前記造粒薬を用いて5mm×8mm
×50mmのストランドを作成した。燃焼速度は、実施例
1と同様に、線燃焼速度として求めた。その結果を表3
に示す。 (実施例8)表3に示す組成(実施例8)で、実施例7
と同様な方法によりガス発生剤組成物を製造し、同じ方
法で各々の特性を評価した。ただし、希釈後のコロイド
珪酸の濃度は、4%に調整し、ペレットの厚さは4.5
mmに調整した。その結果を表3に示す。 (比較例6及び7)表3に示す組成(比較例6及び7)
で、実施例7と同様な方法によりガス発生剤組成物を各
々製造し、同じ方法で各々の特性を評価した。ただし、
ガス発生剤スラリー中の固形分と水との比率は、重量比
で1:1で一定とした結果、希釈後のコロイド珪酸の濃
度はそれぞれ8%及び0%であった。また、ペレットの
厚さは、それぞれの燃焼速度に合わせて、表3に示すと
おりに調整した。その結果を表3に示す。
【0059】表3中、アジ過ナトリウムは東洋化成工業
(株)のものを使用した。このアジ化ナトリウムに粒度
は平均70μmであった。また、過塩素酸カリウムは日
本カーリット(株)のものを250メッシュの篩に通し
て使用した。また、アルミン酸マグネシウム及びコロイ
ド珪酸は実施例1と同じものを使用した。
【0060】
【表3】
【0061】(実施例9)40%コロイド珪酸を、所定
量のイオン交換水が注入された容器内に投入して希釈す
ることにより3%のコロイド珪酸を調整した。このコロ
イド珪酸中に、アジ化ナトリウム、二酸化マンガン及び
アルミン酸マグネシウムを所定量投入した。この時の、
アジ化ナトリウム、二酸化マンガン、アルミン酸マグネ
シウム、珪酸の各比率は表4に示すとおりである。この
混合物をホモジナイザーで攪拌混合し、均一なスラリー
状にした後、2流体ノズル方式のスプレーを使用して噴
霧造粒乾燥することにより、平均粒径薬100μmの造
粒薬を得た。このときの収率は約97%であった。その
結果を表4に示した。
【0062】なお、使用した原材料は、実施例1と同じ
ものである。 (実施例10〜12)表4に示す組成(実施例10〜1
2)で、実施例3と同様な方法によりガス発生剤組成物
を各々製造し、収率を求めた。ただし、希釈後のコロイ
ド珪酸の濃度は、表4に示す値に調整した。その結果を
表4に示す。 (比較例8〜11)表4に示す組成(比較例8〜11)
で、実施例3と同様な方法によりガス発生剤組成物を各
々製造し、収率を求めた。ただし、希釈後のコロイド珪
酸の濃度は、表4に示す値に調整した。その結果を表4
に示す。
【0063】
【表4】
【0064】表4に示す結果からわかるように、コロイ
ド珪酸中の珪酸濃度を3〜15%の範囲内に調整した
後、残りの配合成分を添加し、混合してほぼ均一なスラ
リーとした後、噴霧造粒乾燥する製造方法(実施例9〜
12)によれば、90%以上の高い収率を得ることがで
きる。一方、コロイド珪酸中の珪酸濃度が上記範囲を外
れた場合(比較例8〜11)、収率が低下する。
【0065】
【発明の効果】第1の発明のガス発生剤組成物は、アル
ミン酸マグネシウムとコロイド珪酸由来の珪酸の双方を
所定量含有していることから、高い燃焼速度を保持した
状態で、残渣の捕集を効率よく行うことができるととも
に、特別に配慮された濾過機構を使用せずとも、燃焼圧
力の増加を引き起こすおそれがなく、そのためガス発生
器の小型軽量化を図ることができるという優れた効果を
奏する。
【0066】また、第2の発明のガス発生剤組成物の製
造方法によれば、コロイド珪酸中の珪酸濃度を所定の範
囲に調整することにより、ガス発生剤組成物を収率良く
製造することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のガス発生剤組成物が装填されたガス
発生器を示す断面図である。
【図2】この発明で用いるアルミン酸マグネシウムにつ
いて、焼成温度と比表面積との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…ガス発生器、8…ペレット状のガス発生剤組成物。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アジ化ナトリウムと酸化剤を主成分と
    し、アルミン酸マグネシウムを2〜6重量%及びコロイ
    ド珪酸由来の珪酸を4〜10重量%含有してなるガス発
    生剤組成物。
  2. 【請求項2】 珪酸濃度が3〜15重量%のコロイド珪
    酸中に、アジ化ナトリウム、酸化剤及びアルミン酸マグ
    ネシウムを添加し、混合してスラリー状態とした後、噴
    霧造粒乾燥することを特徴とするガス発生剤組成物の製
    造方法。
JP34783692A 1992-04-10 1992-12-28 ガス発生剤組成物及びその製造方法 Pending JPH06191982A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34783692A JPH06191982A (ja) 1992-12-28 1992-12-28 ガス発生剤組成物及びその製造方法
US08/044,281 US5470406A (en) 1992-04-10 1993-04-07 Gas generator composition and process for manufacturing the same
DE4311703A DE4311703C2 (de) 1992-04-10 1993-04-08 Gaserzeugende Zusammensetzung und Verfahren zur Herstellung derselben
FR9304252A FR2689884B1 (fr) 1992-04-10 1993-04-09 Composition productrice de gaz et procédé pour sa préparation.
US08/409,278 US5563367A (en) 1992-04-10 1995-03-23 Process for manufacturing a gas generator composition

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34783692A JPH06191982A (ja) 1992-12-28 1992-12-28 ガス発生剤組成物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06191982A true JPH06191982A (ja) 1994-07-12

Family

ID=18392937

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34783692A Pending JPH06191982A (ja) 1992-04-10 1992-12-28 ガス発生剤組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06191982A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2265562B1 (en) High performance gas generating compositions
US5051143A (en) Water based coating for gas generating material and method
EP0992473B1 (en) Gas generant for air bag
JP6092189B2 (ja) 火工ガス発生化合物
EP2346797B1 (en) Gas generating compositions having glass fibers
KR19990036055A (ko) 기체 발생제용 금속 착물
CA2353405C (en) Gas generating composition
JPH07206568A (ja) 点火薬造粒物の製造方法
US5563367A (en) Process for manufacturing a gas generator composition
KR960034142A (ko) 기체-발생 조성물의 제조 방법
CN1277598A (zh) 产气组合物
JPH06191982A (ja) ガス発生剤組成物及びその製造方法
WO2001066494A1 (fr) Composition pour generateur de gaz destine a un airbag
JPH10259085A (ja) 低残渣エアバッグ用ガス発生剤組成物
KR20040012764A (ko) 가스 발생제 조성물
JP2002507542A (ja) ガス発生剤のための推進薬
JP6562659B2 (ja) ガス発生剤組成物
JPH05294774A (ja) ガス発生剤組成物及びその製造方法
US5449424A (en) Method of producing pyrotechnic masses
JP2002543031A (ja) 粒状ガス装入材料
JP2926321B2 (ja) エアバッグ用ガス発生剤
JP2019206473A (ja) ガス発生剤組成物
JPH08165186A (ja) エアバッグ用ガス発生剤
JPH0671156A (ja) ガス発生剤組成物
JPS63264299A (ja) サブマ−ジア−ク溶接用焼成形フラツクスの製造方法