JP2926321B2 - エアバッグ用ガス発生剤 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生剤

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JP2926321B2
JP2926321B2 JP8249789A JP24978996A JP2926321B2 JP 2926321 B2 JP2926321 B2 JP 2926321B2 JP 8249789 A JP8249789 A JP 8249789A JP 24978996 A JP24978996 A JP 24978996A JP 2926321 B2 JP2926321 B2 JP 2926321B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグ用ガス
発生剤に関する。
【0002】本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、適度
な燃焼性能を有し、燃焼温度が低く、その燃焼により生
成するガス(以下「後ガス」という)中のCO、NOx
等の有毒成分の濃度が低く、しかも従来のアジド系ガス
発生剤に比べて安全性が顕著に高いという好ましい特性
を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】自動車の安全性に対す
る要求が一層高まる中、エアバッグシステムの需要は飛
躍的に増大しつつある。エアバッグシステムは、自動車
が高速で衝突した際、ハンドル、ダッシュボード等の内
部に装着されたナイロン製バッグ(エアバッグ)を膨張
させることにより、乗員が車両内の各部に激突して死傷
するのを防止しようとするものであり、バッグの膨張に
は、該システムに装填されたガス発生剤が燃焼又は分解
して発生するガスが利用される。
【0004】エアバッグ用ガス発生剤には種々の性能が
要求されるが、特に次の4つの要件が重要である。第1
の要件は「適度な燃焼速度を有すること」である。バッ
グは、乗員がバッグに衝突する衝撃を和らげるため、膨
張後直ちにガスを一部放出して収縮するが、燃焼速度が
速すぎるとバッグが収縮する前に乗員と衝突し、また燃
焼速度が遅いとバッグが瞬時に膨張せず、いずれの場合
も乗員を保護できない。第2の要件は「燃焼温度ひいて
は後ガス温度が低いこと」である。後ガスの温度が高い
と、バッグに穴が開いて乗員に火傷等を負わせることが
ある。また、バッグが燃焼して火災が起こることもあ
る。第3の要件は「後ガス中のCOやNOx等の有毒成
分濃度が低いこと」である。後ガスの温度が高いと、バ
ッグの収縮時に車内に放出される後ガスによって乗員が
中毒を起こす可能性がある。第4の要件は「衝撃着火性
(衝撃に対する着火感度)が低いこと」である。衝撃着
火性が高いと混合や成型等の製造工程で爆発や爆轟が起
こり易く、取扱い上の危険性が大きい。
【0005】現在汎用されている、アジ化ナトリウムを
ガス発生基剤とするアジド系ガス発生剤は、適度な燃焼
速度及びガス温度を示し、ガスの大部分が無害な窒素ガ
スであるが、衝撃着火性が高いという欠点を有する。ま
たガス発生基剤であるアジ化ナトリウムは分解して火災
を引き起こしたり又は有毒煙霧を出したり、更に酸化剤
と反応して酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム等の有毒
成分を生成するため、取扱いには常に厳重な注意を要
し、安全確保の設備が必須となる。また、アジ化ナトリ
ウムは吸湿により燃焼性能が低下するので、吸湿防止の
ための対策を講じる必要がある。加えてアジ化ナトリウ
ムは劇毒性であるため、エアバッグ装着車が河川や海に
落ちるか若しくは水害に遭遇した際又はエアバッグ装着
車をカッターによってスクラップにする際に、アジ化ナ
トリウムが漏出し甚大な環境汚染を引き起こす虞れもあ
る。
【0006】環境保全及び作業者や使用者の安全性を重
視する考え方が主流である現状にあっては、上記のよう
な欠点を有するアジド系ガス発生剤は好ましくないもの
であり、アジ化ナトリウムに代わる非アジド系ガス発生
基剤の開発が強く要望されている。
【0007】現在提案されている非アジド系ガス発生基
剤としては、アミド基を有する含窒素有機化合物、具体
的には、化学構造式H2NOCN=NCONH2で表され
るアゾジカルボンアミド(特開平6−32689号公
報、特開平6−32690号公報、特開平6−2278
84号公報、国際公開公報WO94/01381等)、
化学構造式H2NOCHNNHCONH2で表されるビス
カルバモイルヒドラジン(特開平7−300383号公
報、特開平8−143388号公報、ドイツ公開公報第
19516818号等)、化学構造式H2NC(NH)
NHCNで表されるジシアンジアミド(米国特許第43
86979号明細書)等を挙げることができる。特に、
アゾジカルボンアミド及びビスカルバモイルヒドラジン
は合成樹脂用の発泡剤として汎用され、入手が非常に容
易であり且つ安価であること、毒性及び衝撃着火性が顕
著に低いこと、並びにこれらの燃焼により生成するガス
中の有毒成分(CO、NOx等)が著しく少ないことか
ら、実用化への研究が進められている。
【0008】しかしながら、アゾジカルボンアミドをガ
ス発生基剤とするガス発生剤は、熱分解性や保存安定性
の面で改良の余地が残されている。一方、ビスカルバモ
イルヒドラジンは結晶形状が鱗片状又は板状であり、粒
子同士の結合力が弱いという特性を有している。このた
め、ビスカルバモイルヒドラジンをガス発生基剤とする
ガス発生剤は、成形性が悪く、所望の形状にペレット化
するのが困難であり、更にペレットが得られたとしても
崩壊し易い。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記非アジド系ガス
発生剤と比較して、燃焼温度が顕著に低く、後ガス中の
CO、NOx等の有毒成分濃度も同等又はそれ以下であ
り、また燃焼速度、衝撃着火性、安全性等が同等であ
り、爆発危険性や毒性も著しく低く、その上保存安定性
が顕著に向上し、成形性も良好でペレットの崩壊もない
新しいエアバッグ用ガス発生剤を得ることに成功し、こ
こに本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、ウラゾール及びその金属
塩から選ばれる少なくとも1種のガス発生基剤、並びに
酸化剤を有効成分とするエアバッグ用ガス発生剤に係
る。
【0011】更に本発明は、上記本発明のエアバッグ用
ガス発生剤に、更に燃焼触媒、燃焼調節剤及びスラグ形
成剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を加えたエ
アバッグ用ガス発生剤をも提供する。
【0012】本発明によれば、非アジド系ガス発生剤と
比較して、燃焼温度が顕著に低く、後ガス中のCO、N
Ox等の有毒成分濃度も同等又はそれ以下であり、燃焼
速度、衝撃着火性、安全性等が同等であり、爆発危険性
や毒性も低く、その上保存安定性や成形性も良好なエア
バッグ用ガス発生剤が提供される。
【0013】本発明のエアバッグ用ガス発生剤のガス発
生基剤であるウラゾール及びその金属塩は、従来ガス発
生性がないと考えられていた化合物であり、これと酸化
剤とを組合せて加熱すれば無害なガスが発生することを
本発明者が初めて見い出したものである。本発明は、斯
かる知見に基づいて完成されたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】ウラゾール及びその金属塩は、ア
ゾジカルボンアミドよりも更に熱安定性が高く、アルカ
リに対する安定性も顕著に高いので、酸化剤や燃焼触媒
等の選択範囲が広がるという利点を有し、本発明ガス発
生剤の保存安定性の顕著な向上にも寄与している。また
ウラゾール及びその金属塩は、ビスカルバモイルヒドラ
ジンとは異なり、その結晶形状によってガス発生剤の成
形性に影響を与えることがない。更に、ウラゾール及び
その金属塩は、毒性や爆発危険性も非常に低いので、そ
の点でも本発明ガス発生剤の安全性の向上に寄与してい
る。
【0015】ウラゾールの金属塩としては特に制限され
ないが、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカ
リ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチ
ウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができ
る。これらの中でも、結晶水を持たないカリウム塩が特
に好ましい。
【0016】本発明においては、ウラゾールとその金属
塩から選ばれる少なくとも1種をガス発生基剤として用
いることができるが、好ましくは、ウラゾールとその金
属塩とを併用するのがよい。これによって、有毒成分濃
度のより一層の低下等を図ることができる。ウラゾール
とその金属塩を併用する場合、予め合成したウラゾール
とその金属塩を混合してもよい。或いは、ウラゾールと
共に金属の無機塩、有機塩等を混合して製剤化し、得ら
れるペレットを通常100℃程度以上、好ましくは12
0℃程度以上の温度下に0.5〜数時間程度焼成するこ
とによって、ウラゾールと金属の無機塩、有機塩等とを
反応させ、ウラゾールの金属塩を生成させることもでき
る。ここで使用される金属の無機塩及び有機塩としては
特に制限されず、公知のものを使用できるが、特に金属
の無機塩が好ましい。金属の無機塩の具体例としては、
例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム等の金属炭
酸塩、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等の金属酸
化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カル
シウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム等
の水酸化物等を挙げることができる。ウラゾールとアル
カリ金属の炭酸塩、水酸化物とを混合する場合は、焼成
しなくても混合するだけでウラゾールの金属塩が生成す
る。金属の無機塩及び/又は有機塩の配合量は、全ての
ウラゾールがその金属塩に変換しない量とするのが好ま
しい。
【0017】尚、上記の金属の無機塩は、後述するよう
に、燃焼触媒や燃焼調節剤としても用いられるものであ
る。従って、上記金属の無機塩を燃焼触媒や燃焼調節剤
として用いる場合は、ペレット成形後の焼成を行わなけ
ればよい。但し、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物を用
いる時は、ウラゾールの全量をアルカリ金属塩に変換す
る量よりも多くのアルカリ金属の炭酸塩や水酸化物を添
加することが必要である。
【0018】本発明において、ウラゾール及びその金属
塩は市販品をそのまま使用してもよい。また、その粒度
は特に制限されず、例えばその配合量、酸化剤等の他の
成分との配合比率、エアバッグの容量等の各種条件に応
じて広い範囲から適宜選択すればよい。
【0019】本発明のエアバッグ用ガス発生剤の他の一
つの有効成分である酸化剤としては特に制限されず、従
来から当該分野で使用されるものから適宜選択すればよ
いが、高温下で酸素を発生及び/又は供給し得るものが
好ましく、例えば、オキソハロゲン酸塩、硝酸塩、亜硝
酸塩、金属過酸化物、超酸化物、オゾン化合物等を挙げ
ることができる。
【0020】オキソハロゲン酸塩としては公知のものが
使用でき、例えば過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩等を挙
げることができる。過ハロゲン酸塩の具体例としては、
例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム、過塩素
酸ナトリウム、過臭素酸リチウム、過臭素酸カリウム、
過臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、過塩素酸マグ
ネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過
臭素酸マグネシウム、過臭素酸バリウム、過臭素酸カル
シウム等のアルカリ土類金属塩、過塩素酸アンモニウ
ム、過臭素酸アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げ
られる。ハロゲン酸塩の具体例としては、例えば、塩素
酸リチウム、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、臭素
酸リチウム、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム等のア
ルカリ金属塩、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム、
塩素酸カルシウム、臭素酸マグネシウム、臭素酸バリウ
ム、臭素酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、塩素酸
アンモニウム、臭素酸アンモニウム等のアンモニウム塩
等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン酸及び過ハ
ロゲン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0021】硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、
硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等のアルカリ金属塩、硝
酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム等
のアルカリ土類金属塩、硝酸アンモニウム等のアンモニ
ウム塩等を挙げることができる。その中でもアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩等が好ましく、硝酸カリウ
ム、硝酸ストロンチウムが特に好ましい。
【0022】亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸リチウ
ム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム等のアルカリ
金属塩、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸
カルシウム等のアルカリ土類金属塩等を挙げることがで
きる。
【0023】超酸化物としては、例えば、超酸化ナトリ
ウム、超酸化カリウム等のアルカリ金属化合物、超酸化
カルシウム、超酸化ストロンチウム、超酸化バリウム等
のアルカリ土類金属化合物、超酸化ルビジウム、超酸化
セシウム等を挙げることができる。
【0024】オゾン化合物としては、例えば、一般式M
3(式中MはNa、K、Rb、Cs等の周期律表第I
a族元素を示す。)で表される化合物が挙げられる。本
発明においては、二硫化モリブデン等の金属硫化物、ビ
スマス含有化合物、鉛含有化合物等も酸化剤として使用
できる。
【0025】これらの酸化剤の中でも、オキソハロゲン
酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩等が好ましく、オキソハロゲン
酸塩、硝酸塩等が特に好ましい。斯かる酸化剤は1種を
単独で使用でき又は2種以上を併用できる。酸化剤は市
販品をそのまま使用することもでき、またその形状、粒
径等は特に制限されず、例えばその配合量、各成分との
配合比率、エアバッグの容量等の各種条件に応じて適宜
選択して使用すればよい。
【0026】酸化剤の配合量は、通常、酸素量を基準と
してガス発生基剤を完全に酸化燃焼し得る化学量論量と
すればよいが、ガス発生基剤及び酸化剤の配合割合を適
宜変更させることにより、燃焼速度、燃焼温度(ガス温
度)、燃焼ガス組成等を任意に調整できるので、広い範
囲から適宜選択することができ、例えば、ガス発生基剤
100重量部に対して酸化剤を10〜400重量部程
度、好ましくは100〜240重量部程度配合してもよ
い。
【0027】本発明エアバッグ用ガス発生剤の好ましい
実施態様の1つとして、上記ガス発生基剤と共に酸化剤
としてオキソハロゲン酸塩及び硝酸塩を含むガス発生剤
を挙げることができる。
【0028】本発明においては、上記2成分に、更に燃
焼触媒、燃焼調節剤及びスラグ形成剤から選ばれる少な
くとも1種が配合されていてもよい。
【0029】燃焼触媒は、主に燃焼温度を下げ、ガス中
のCO及び/又はNOxの濃度を低減化する作用を有す
るものと考えられる。燃焼触媒としては、周期律表第4
〜6周期の金属の酸化物、加熱により前記金属酸化物を
生成し得る含酸素金属化合物、ヘテロポリ酸等が使用さ
れる。
【0030】周期律表第4〜6周期の金属の酸化物の具
体例としては、例えば、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コ
バルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、酸化亜
鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸
化セリウム、酸化ホルミウム、酸化イッテルビウム、酸
化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸
化錫等を挙げることができる。これらの中でも、酸化
銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸
化タングステン、酸化鉄、酸化錫、酸化亜鉛、酸化クロ
ム等が好ましく、CuO、CoO、NiO、Ni23
MoO3、WO3、Cr23、TiO2、SnO、Zn
O、Fe23等が更に好ましい。これらの金属酸化物に
は、その水和物も包含される。タングステン酸化物を例
にとれば、WO3・H2O等である。これらの金属酸化物
としては、好ましくはBET比表面積が5m2/g以
上、より好ましくは10m2/g以上、更に好ましくは
40m2/g以上のものを使用するのがよい。尚、上記
金属酸化物の中で、CuO、MoO、WO3等は、CO
濃度及びNOx濃度を同時に低減化し得るという好まし
い特性を有している。
【0031】加熱により周期律表第4〜6周期の金属の
酸化物を生成し得る含酸素金属化合物としては特に制限
されず、公知のものを使用できる。加熱によりMoO3
を生成する含酸素モリブデン化合物を例にとれば、モリ
ブデン酸コバルト、モリブデン酸ニッケル等のモリブデ
ン酸の第VIII属金属塩、モリブデン酸、水酸化モリブデ
ン等である。また、加熱によりWO3を生成する含酸素
タングステン化合物は、例えば、タングステン酸とその
金属塩等である。タングステン酸の金属塩としては、例
えば、タングステン酸リチウム、タングステン酸カリウ
ム、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸のア
ルカリ金属塩、タングステン酸カルシウム、タングステ
ン酸マグネシウム等のタングステン酸のアルカリ土類金
属塩、タングステン酸コバルト、タングステン酸ニッケ
ル、タングステン酸鉄等のタングステン酸の第VIII属金
属塩、タングステン酸銅等を挙げることができる。
【0032】ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、
リンモリブデン酸、リンタングステン酸、これらの金属
塩等を挙げることができる。ヘテロポリ酸の金属塩とし
ては特に制限されないが、例えば、Co塩、Ni塩、F
e塩等の第VIII属金属塩、Mg塩、Sr塩、Pb塩、B
i塩等を挙げることができ、これらの中でも第VIII属金
属塩が好ましく、Co塩が特に好ましい。
【0033】これらの燃焼触媒の中でも、CuO、Co
O、NiO、Ni23、MoO3、WO3、加熱によりM
oO3を生成する含酸素モリブデン化合物、加熱により
WO3を生成する含酸素タングステン化合物、リンモリ
ブデン酸コバルト、Cr23、TiO2、SnO、Zn
O、Fe23等が特に好ましく、CuO、CoO、Ni
O、Ni23、MoO3、WO3、モリブデン酸の第VIII
属金属塩、リンモリブデン酸コバルト等がより一層好ま
しい。
【0034】上記燃焼触媒は、1種を単独で使用でき又
は2種以上を併用できる。
【0035】燃焼触媒の粒径は特に制限はなく、例え
ば、その配合量、他の成分との配合比率、エアバッグの
容量等に応じて広い範囲から適宜選択すればよい。燃焼
触媒の配合量は特に制限はなく、例えば、他の成分との
配合比率、エアバッグの容量等の各種条件に応じて広い
範囲から適宜選択できるが、ガス発生基剤と酸化剤との
合計量100重量部に対して燃焼触媒を通常0.1〜1
50重量部程度、好ましくは0.5〜80重量部程度、
より好ましくは5〜30重量部程度とすればよい。
【0036】尚、加熱により金属酸化物を生成する含酸
素金属化合物を用いる場合は、生成する金属酸化物の量
が上記規定の範囲内に入るようにすればよい。
【0037】燃焼調節剤は、一般的に燃焼温度を下げた
り、燃焼速度を調節したり、ガス発生剤の製造、輸送、
保存等の工程において、ガス発生剤が火災等に巻き込ま
れ又は強い衝撃を受けて爆轟するのを防止したりするた
めに使用される。
【0038】燃焼調節剤としては、例えば、下記(イ)
〜(リ)のもの等を挙げることができる。
【0039】(イ)B、Al、Mg、Ti、Zr、Mo
等の金属の粉末 (ロ)B、Al、Mg、Si等の周期律表第3周期元素
の酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩(好ましくは、
23、水酸化アルミニウム、ベントナイト、アルミ
ナ、珪藻土、二酸化珪素等) (ハ)Na、K等のアルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩、
酸化物、水酸化物 (ニ)Ca、Mg、Ba、Sr等のアルカリ土類金属の
炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物 (ホ)前記(ロ)〜(ハ)以外の周期律表第4〜6周期
元素(例えば、Zn、Cu、Fe、Pb、Ti、V、C
e、Ho、Ca、Yb等)の塩化物、炭酸塩、硫酸塩、
水酸化物 (ヘ)カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチル
セルロース、これらのエーテル、微結晶性セルロース粉
末等のセルロース系化合物 (ト)可溶性デンプン、ポリビニルアルコール、その部
分ケン化物等の有機高分子化合物 (チ)グリシン等のアミノ酸、アスコルビン酸、クエン
酸等の有機カルボン酸等の有機酸 (リ)H3BO3、HBO2等のホウ酸誘導体。
【0040】上記燃焼調節剤の中でも、例えば、(イ)
〜(ニ)や(チ)、(リ)の化合物が好ましく、B、A
l、Ti、Zr等の金属の粉末、B23、Al23等の
金属酸化物、炭酸リチウム、炭酸カルシウム等のアルカ
リ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化アルミニ
ウム等の金属水酸化物、グリシン等のアミノ酸、ホウ酸
誘導体等が特に好ましい。
【0041】燃焼調節剤は、1種を単独で使用でき又は
2種以上を併用できる。燃焼調節剤は市販品をそのまま
使用してもよい。また、その粒度は特に制限されず、例
えば、その配合量、他成分との配合比率、エアバッグの
容量等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択すれば
よい。
【0042】また燃焼調節剤の配合量は特に制限されな
いが、他の成分との配合比率、エアバッグの容量等の各
種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常ガ
ス発生基剤と酸化剤との合計量100重量部に対して、
0.1〜50重量部程度、好ましくは0.5〜30重量
部程度とすればよい。
【0043】スラグ形成剤は、ガス発生剤の燃焼後に発
生する残渣を固形化し、エアバッグインフレーター内の
フィルターによって除去し易くするための添加剤であ
る。スラグ形成剤としては公知のものを使用でき、例え
ば、既に燃焼調節剤として例示した二酸化珪素やアルミ
ナ、酸化ホウ素(特にB23)等を挙げることができ、
これらの1種を単独で使用でき又は2種以上を併用でき
る。スラグ形成剤の配合量は特に制限されず、ガス発生
剤の組成等に応じて広い範囲から適宜選択すればよい。
例えば、二酸化珪素をスラグ形成剤として用いる場合、
その配合量は、モル比で硝酸カリウムの1/2付近が適
当である。アルカリ土類金属を含む酸化物及び反応して
酸化物を生成するアルカリ土類金属化合物、例えば酸化
ストロンチウムや硝酸ストロンチウム等もスラグ形成剤
として使用できる。
【0044】更に、本発明のガス発生剤の好ましい特性
を損なわない範囲で、従来からこの用途に用いられてい
る各種添加剤及び非アジド系ガス発生剤に用いられる各
種添加剤が配合されていてもよい。
【0045】好ましい本発明のガス発生剤としては、例
えば下記(a)、(b)等の組成のものが挙げられる。
【0046】(a)本発明のガス発生基剤、酸化剤、燃
焼触媒及びスラグ形成剤を含むガス発生剤。ここで、酸
化剤としては、過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、これ
らの混合物等が特に好ましい。燃焼触媒としては、例え
ば、酸化銅、酸化ニッケル、モリブデン酸化物等が好ま
しい。スラグ形成剤としては、例えば、二酸化珪素等が
好ましい。
【0047】(b)本発明のガス発生基剤、酸化剤、燃
焼調節剤及びスラグ形成剤を含むガス発生剤。ここで、
酸化剤としては、過塩素酸カリウム、硝酸塩、これらの
混合物等が好ましい。燃焼調節剤としては、例えば、炭
酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、ホウ酸誘
導体等が好ましい。スラグ形成剤としては、二酸化珪素
等が好ましい。
【0048】本発明においては、本発明のエアバッグ用
ガス発生剤の保存安定性や製剤化のし易さ等をより一層
向上させるために、ガス発生基剤及び/又は酸化剤、更
に必要に応じて他の添加剤に表面処理を施してもよい。
【0049】表面処理には、公知の表面処理剤が使用で
き、例えば、カップリング剤、無機系表面処理剤等を挙
げることができる。また、キレート剤をも表面処理剤と
して用いることができる。
【0050】カップリング剤としては特に制限されず公
知のものを使用でき、例えば、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシラン系
カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチ
タネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアル
コキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウ
ム系カップリング剤等を挙げることができる。無機系表
面処理剤としても公知のものを使用できるが、その中で
も水溶性金属塩が好ましい。水溶性金属塩の具体例とし
ては、例えば、AlCl3、CoCl2、ZrCl4、S
nCl2、SnCl4、TiCl3、TiCl4、FeCl
2、FeCl3、CuCl2、NiCl2、MoCl5等の
塩化物、Al、Co、Zr、Sn、Ti、Fe、Cu、
Ni、Mo等の金属の硝酸塩、Na4SiO4、K2Si4
9等の珪酸化物、ZrCl2O、NaAlO2等を挙げ
ることができ、これらの中でも、AlCl3、NaAl
2、FeCl2、FeCl3等が好ましく、NaAlO2
等が特に好ましい。またキレート剤としても公知のもの
を使用でき、例えば、エチレンジアミン4酢酸(EDT
A)及びその金属塩(EDTA・2Na塩、EDTA・
2K塩、EDTA・2Li塩、EDTA・2アンモニウ
ム塩等)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム等を
挙げることができる。
【0051】表面処理剤は1種を単独で又は2種以上を
混合して使用できる。表面処理剤の使用量は特に制限さ
れず、ガス発生基剤、酸化剤、その他の成分等の被処理
成分の種類や使用量、表面処理剤の種類、得ようとする
ガス発生剤の目的性能等に応じて広い範囲から適宜選択
できるが、通常被処理成分の総重量の0.01〜5重量
%程度、好ましくは0.1〜2.0重量%程度とすれば
よい。
【0052】表面処理は公知の方法に従って、被処理成
分と表面処理剤とを混合することにより、行うことがで
きる。
【0053】尚、表面処理剤として水溶性金属塩を用い
る場合には、被処理成分と水溶性金属塩とを水中で混合
し、この混合液を中和した後、固形物を分取し、乾燥す
ることにより、表面処理を施した成分を得ることができ
る。ここで中和に用いるpH調整剤としては特に制限さ
れず、公知の酸及びアルカリを使用できる。酸の具体例
としては、例えば、塩酸、硫酸、シュウ酸、硝酸、リン
酸等の無機酸類、酢酸等の有機酸類等を挙げることがで
きる。アルカリの具体例としては、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニ
ア等を挙げることができる。乾燥は、ガス発生基剤の熱
分解温度を考慮し、通常0〜250℃程度、好ましくは
50〜150℃程度の温度下に行なわれる。また、乾燥
は通常常圧下に行なわれるが、減圧下に行うこともでき
る。尚、ガス発生基剤を表面処理する前に、微粉砕した
り或いは再結晶したりすることもできる。
【0054】本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、上記
ガス発生基剤、酸化剤及び必要に応じてその他の成分を
混合することにより、製造される。
【0055】本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、適当
な形状に製剤化することができる。例えば、本発明のエ
アバッグ用ガス発生剤にバインダーを適量混合して打錠
又は打錠乾燥すればよい。その際、水等の溶媒を適量加
えるのが安全上特に好ましい。バインダーとしては斯か
る目的に常用されているものを使用すればよい。製剤形
状は特に制限はなく、例えば、ペレット状、ディスク
状、球状、棒状、中空円筒状、こんぺい糖状、テトラポ
ット状等を挙げることができ、無孔のものでもよいが有
孔状のもの(例えば煉炭状のもの)でもよい。更に、ペ
レット状、ディスク状のものは、片面又は両面に1〜数
個程度の突起を設けていてもよい。突起の形状は特に制
限されず、例えば、円柱状、円錐状、多角錐状、多角柱
状等を挙げることができる。
【0056】或いは、本発明エアバッグ用ガス発生剤の
各成分をそれぞれ単独で製剤化し、これらを混合して使
用してもよい。
【0057】本発明のエアバッグ用ガス発生剤の製剤
は、ポリエチレン等の合成樹脂製又は金属製の容器に充
填することにより、安全に保管及び輸送することができ
る。
【0058】本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、自動
車に限定されず、各種輸送用機器に搭載されるエアバッ
グシステムのガス発生源として好適に使用できる。
【0059】
【実施例】以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本
発明を具体的に説明する。尚、以下において用いた主な
原料の製造会社は、特に断らない限り、次の通りであ
る。
【0060】ウラゾール:大塚化学(株)製 アゾジカルボンアミド:大塚化学(株)製 ビスカルバモイルヒドラジン:大塚化学(株)製 硝酸カリウム:大塚化学(株)製 過塩素酸カリウム:日本カーリット(株)製 二酸化珪素:商品名ニップシールNS−P、日本シリカ
工業(株) 可溶性デンプン:試薬一級品、和光純薬(株)製 酸化銅:比表面積48m2/g及び平均粒子径約7.4
μm、日揮化学(株)製 酸化モリブデン(VI):日本無機化学工業(株) また、以下において「部」及び「%」とあるのは、それ
ぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0061】実施例1 ウラゾール45部、過塩素酸カリウム57.8部、酸化
銅(II)10部及び二酸化珪素1部の各粉末をよく混合
し、これにデンプン含有量が1.5部となるように可溶
性デンプンの20%水溶液を加えて更に混合し、湿潤粉
体を製造した。この湿潤粉体を造粒機により造粒し、得
られた湿潤顆粒を乾燥し、更に油圧式打錠成型機にて押
圧成型し、径6mm、厚さ3mm、重量0.15gのガ
ス発生剤のペレットを製造した。
【0062】比較例1 アゾジカルボンアミド45部、過塩素酸カリウム53.
6部、硝酸カリウム10部、二酸化珪素1部及び酸化モ
リブデン(VI)3部の各粉末をよく混合し、これにデン
プン含有量が1.5部となるように可溶性デンプンの2
0%水溶液を加えて更に混合し、湿潤粉体を製造した。
この湿潤粉体を造粒機にて造粒して乾燥した後、更に打
錠成型機にて押圧し、径6mm、厚さ3mm、重量0.
15gのガス発生剤のペレットを製造した。
【0063】比較例2 ビスカルバモイルヒドラジン45部、過塩素酸カリウム
72.1部、硝酸カリウム10部、二酸化珪素1部及び
酸化モリブデン(VI)5部の各粉末をよく混合し、これ
にデンプン含有量が3.5部となるように可溶性デンプ
ンの20%水溶液を加えて更に混合し、湿潤粉体を製造
した。この湿潤粉体を造粒機にて造粒して乾燥した後、
更に打錠成型機にて押圧し、径6mm、厚さ3mm、重
量0.15gのガス発生剤のペレットを製造した。
【0064】試験例1 径7mmのガス噴出孔を備え、伝火薬としてボロン/硝
酸カリウム0.8gが装填されたインフレーターの燃焼
室に、実施例1及び比較例1〜2で得られたガス発生剤
のペレット40gを充填した板厚0.3mmのアルミニ
ウム製カップを装填した。このインフレーターを60リ
ットルタンク内に設置し、電流を流して作動させてガス
発生剤のペレットを燃焼させ、インフレーター内及び6
0リットルタンク内の圧力及び温度を測定した。また燃
焼後の60リットルタンク内のガスを採取孔より1リッ
トルテドラーバッグに採取し、ガス中のCO濃度及びN
Ox濃度を検知管を用いて測定した。結果を表1に示
す。
【0065】尚、表1中の英記号は下記の意味である。
【0066】CPmax:インフレーターの燃焼室(チ
ャンバー)内の最大圧力(kgf/cm2) TPmax:60リットルタンク内の最大圧力(kgf
/cm2)。ガス発生剤のガス発生能力を示すパラメー
ターである。
【0067】tTPmax:60リットルタンク内の圧
力が最大になるまでの所要時間(msec)。エアバッ
グが展開する時の、展開速度を模擬するパラメーターで
ある。
【0068】tTP90:60リットルタンク内の圧力
が最大値の90%になるまでの所要時間(msec)。
エアバッグが展開する時の、展開速度を模擬するパラメ
ーターである。
【0069】
【表1】
【0070】表1から、本発明のガス発生剤が、アゾジ
カルボンアミドやビスカルバモイルヒドラジンを有効成
分とするガス発生基剤と同等の燃焼性能を有し、後ガス
中のCOやNOx等の有毒成分の濃度も同等程度に低
く、更にタンク温度が低いことが判る。
【0071】試験例2 実施例1及び比較例1〜2のガス発生剤の燃焼温度を、
NASAの熱平衡計算プログラム(S.Gordon and B.
J.McBride, A Computer Program for Complex Ch
emical Equilibrium Compositions-Incident and R
eflected Shocks and Chapian Jouguet Detonatio
ns, NASA)に基づいてシュミレーション計算したとこ
ろ、実施例1のガス発生剤は約2200K(圧力70k
gf)、比較例1のガス発生剤は約2400K(圧力7
0kgf)、比較例2のガス発生剤は約2150K(圧
力70kgf)であった。
【0072】以上のように、本発明のガス発生剤は、ア
ゾジカルボンアミドをガス発生基剤とするガス発生剤に
比べ、燃焼温度が約200K低いことが判る。
【0073】また、本発明のガス発生剤は、ビスカルバ
モイルヒドラジンをガス発生基剤とするガス発生剤と同
等程度の燃焼温度を示すことが判る。
【0074】試験例3 実施例1で得られたガス発生剤のペレットを、107℃
の恒温機中にて400時間保存して重量残存率(%)を
算出し、ガス発生基剤の分解の程度を調べた。実施例1
のガス発生剤は、重量残存率が99.5%以上であり、
ウラゾールが実質的に分解していないことが確認され
た。
【0075】一方、比較例1のガス発生剤についても、
保存時間を190時間とする以外は上記と同様にして重
量残存率(%)を調べたところ、重量残存率は75%で
あった。保存時間が本発明のガス発生剤のペレットの1
/2以下であるにもかかわらず、ADCAの分解がかな
り進行していることが判る。
【0076】以上の結果から、本発明のガス発生剤が、
ADCAをガス発生基剤とするガス発生剤に比べ、保存
安定性が非常に高いことが明らかである。
【0077】試験例4 実施例1及び比較例2のガス発生剤のペレット1を、硬
度測定機(商品名:HARDNESS TESTER
KHT−20N、(株)藤原製作所製)にセットし、ペ
レットに荷重(kg)を加えていき、ペレットが崩壊し
た時点での荷重をペレットの硬さとした。硬さの測定を
複数回行い、平均値を算出した。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】表2から、本発明のガス発生剤が、ビスカ
ルバモイルヒドラジンをガス発生基剤とするガス発生剤
に比し、成形性の面で著しく優れ、ペレット自体の強度
も高いことが判る。
【0080】実施例2 ガス発生基剤45部、二酸化珪素1部及び下記表3に示
す配合割合(部)の過塩素酸カリウム及び金属の無機塩
の各粉末をよく混合し、これにデンプン含有量が1.5
部となるように可溶性デンプンの20%水溶液を加えて
更に混合し、湿潤粉体を製造した。この湿潤粉体を造粒
機により造粒し、得られた湿潤顆粒を乾燥し、更に油圧
式打錠成型機にて押圧成型し、径6mm、厚さ3mm、
重量0.15gの本発明ガス発生剤のペレットを製造し
た。
【0081】
【表3】
【0082】上記No.1〜6のガス発生剤のうち、金
属の無機塩がK2CO3であるNO.6を除き、ペレット
を120℃で2時間加熱し、ウラゾールの金属塩を生成
させた。
【0083】上記No.1〜6の本発明ガス発生剤のペ
レットを、試験例1と同じ燃焼性能試験に供した。ま
た、これらのガス発生剤の理論燃焼温度を、試験例2と
同様にして算出した。結果を表4に示す。
【0084】
【表4】
【0085】実施例3 No.7:ウラゾール45部、過塩素酸カリウム52.
05部、炭酸カリウム20部及び二酸化珪素9部の各粉
末をよく混合し、これにデンプン含有量が1.5部とな
るように可溶性デンプンの20%水溶液を加えて更に混
合し、湿潤粉体を製造した。この湿潤粉体を造粒機によ
り造粒し、得られた湿潤顆粒を乾燥し、更に油圧式打錠
成型機にて押圧成型し、径6mm、厚さ3mm、重量
0.15gの本発明ガス発生剤のペレットを製造した。
【0086】No.8:過塩素酸カリウムの配合量を5
4.95重量部に変更し、二酸化珪素の配合量を15部
に変更する以外は、上記No.7と同様にして、径6m
m、厚さ3mm、重量0.15gの本発明ガス発生剤の
ペレットを製造した。
【0087】上記No.7〜8の本発明ガス発生剤のペ
レットを、試験例1と同じ燃焼性能試験に供した。ま
た、これらのガス発生剤の理論燃焼温度を、試験例2と
同様にして算出した。結果を表5に示す。
【0088】
【表5】
フロントページの続き (72)発明者 千々和 史郎 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島工場内 (72)発明者 大西 淳一 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島工場内 (56)参考文献 特開 平2−225159(JP,A) 特開 平4−265292(JP,A) 特開 平7−206571(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C06D 5/00 B60R 21/26 C06B 25/34 C06B 31/00 C06B 43/00 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウラゾール及びその金属塩の混合物であ
    ガス発生基剤、並びに酸化剤を有効成分とするエアバ
    ッグ用ガス発生剤。
  2. 【請求項2】 ウラゾール及びその金属塩の混合物であ
    ガス発生基剤並びに酸化剤と共に、燃焼触媒、燃焼調
    節剤及びスラグ形成剤からなる群から選ばれる少なくと
    も1種を有効成分とするエアバッグ用ガス発生剤。
  3. 【請求項3】 酸化剤がオキソハロゲン酸塩、硝酸塩及
    び亜硝酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1
    又は2に記載のエアバッグ用ガス発生剤。
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