JPH08301682A - エアバッグ用ガス発生剤 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生剤

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JPH08301682A
JPH08301682A JP7105863A JP10586395A JPH08301682A JP H08301682 A JPH08301682 A JP H08301682A JP 7105863 A JP7105863 A JP 7105863A JP 10586395 A JP10586395 A JP 10586395A JP H08301682 A JPH08301682 A JP H08301682A
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gas
gas generating
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JP7105863A
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Tadao Yoshida
忠雄 吉田
Yasuo Shimizu
康夫 清水
Kazuo Hara
一男 原
Shiro Chijiwa
史郎 千々和
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Otsuka Chemical Co Ltd
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Otsuka Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、非アジド系該ガス発生剤の好まし
い特性を維持したまま、製剤化後長期間保存しても含窒
素有機化合物を実質的に分解することがなく、しかも生
成ガスにおいてCO濃度及びNOx 濃度の両方を低減化
し得るエアバッグ用ガス発生剤を提供することを目的と
する。 【構成】 本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、含窒素
有機化合物及び酸化剤を有効成分とする非アジド系ガス
発生剤であって、燃焼触媒としてモリブデン酸化物を含
有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアバック用ガス発生
剤に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車の安全性に対する要求
が一層高まる中、エアバッグシステムの需要は飛躍的に
増大しつつある。エアバッグシステムは、自動車が高速
で衝突した際、ハンドル、ダッシュボード内部等に装着
されたナイロン製バッグ(エアバッグ)を膨脹させるこ
とにより、乗員が車両内の各部に激突して死傷するのを
防止しようとするものであり、バッグの膨脹には、該シ
ステムに装填されたガス発生剤が燃焼又は分解して発生
するガスが利用される。
【0003】エアバッグ用ガス発生剤は、主に4つの要
件を満たすものが望ましい。第1の要件は「適度な燃焼
速度を有すること」である。燃焼速度が遅いとバッグが
瞬時に膨張せず、乗員を保護できない。第2の要件は
「衝撃着火性(衝撃に対する着火感度)が低いこと」で
ある。衝撃着火性が高いと混合や成型等の製造工程で爆
発や爆轟が起こり易く、取扱い上の危険性が大きい。第
3の要件は「ガス温度が低いこと」である。バッグは、
乗員を車外へ脱出させるため、膨張後にガスを放出して
収縮するが、ガス温度が高いと乗員に火傷等を負わせる
ことがある。また、バッグに穴が開いて機能が低下した
り、バッグが燃焼して火災が起こることもある。第4の
要件は「ガス中のCOやNOx 等の有毒成分濃度が低い
こと」である。有毒成分濃度が高いと、ガス放出時に乗
員がガス中毒になる可能性がある。尚、有機化合物の燃
焼により生成するガスにおいては、一般にCOとNOx
の濃度は相反(反比例)し、一方の濃度が下がると他方
の濃度は上がるという関係にあり、両方の濃度を同時に
低減化させるのは非常に困難であるとされている。
【0004】現在汎用されている、アジ化ナトリウムを
ガス発生基剤とするアジド系ガス発生剤は、適度な燃焼
速度及びガス温度を示し、ガスの大部分が無害な窒素ガ
スであるが、衝撃着火性が高いという欠点を有する。ま
たガス発生基剤であるアジ化ナトリウムは分解して火災
を引き起こしたり又は有毒煙霧を出したり、更に酸化剤
と反応して酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム等の有毒
成分を生成するため、取扱いには常に厳重な注意を要
し、安全確保の設備が必須となる。また、アジ化ナトリ
ウムは吸湿により燃焼性能が低下するので、吸湿防止の
ための対策を講じる必要がある。加えてアジ化ナトリウ
ムは劇毒性であるため、河川や海に落ちたエアバック装
着車からアジ化ナトリウムが漏出し、甚大な環境汚染を
引き起こす虞れもある。
【0005】一方、特開平6−32689号公報、特開
平6−32690号公報及び特開平6−227884号
公報には、本発明者の提案による、含窒素有機化合物及
び酸化剤を有効成分とする非アジド系ガス発生剤が開示
されている。該ガス発生剤は、従来のアジド系ガス発生
剤と同程度の適度なガス発生量、燃焼速度及びガス温度
を示すと共に、衝撃着火性が比較的低く、爆発危険性や
毒性も著しく低いというアジド系ガス発生剤にはない長
所を有し、安価でもある。更に、非アジド系ガス発生剤
は、燃焼により発生するガス中のCOやNOx 等の有毒
成分の濃度が実用に供し得る程充分に低いという利点を
も有している。
【0006】ところで、代表的な非アジド系ガス発生剤
としては、ガス発生基剤であるアゾジカルボンアミド、
酸化剤であるオキソハロゲン酸塩及び燃焼触媒である酸
化銅を含有するガス発生剤を挙げることができるが、こ
のガス発生剤を製剤化して長時間保存すると、酸化銅に
よってアゾジカルボンアミドが分解され、ガス発生性能
が低下する虞れがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、非アジド系ガス発生
剤に燃焼触媒としてモリブデン酸化物を添加する場合に
は、製剤化後長期間保存しても、アゾジカルボンアミド
等の含窒素有機化合物が実質的に分解されることがな
く、しかも燃焼触媒として酸化銅を用いた場合と同程度
又はそれ以上にCOとNOx の双方の濃度が一度に著し
く低減化されることを見い出し、ここに本発明を完成す
るに至った。
【0008】即ち、本発明は、含窒素有機化合物及び酸
化剤を有効成分とする非アジド系ガス発生剤であって、
燃焼触媒としてモリブデン酸化物を含有することを特徴
とするエアバッグ用ガス発生剤に係る。
【0009】本発明のエアバック用ガス発生剤は、ガス
発生基剤である含窒素有機化合物、酸化剤及び燃焼触媒
であるモリブデン酸化物を有効成分とする。
【0010】含窒素有機化合物としては、分子中に少な
くとも1個の窒素原子を含有する有機化合物を用いる。
具体的には、例えば、アミノ基含有有機化合物、ニトラ
ミン基含有有機化合物、ニトロソアミン基含有有機化合
物等を挙げることができる。アミノ基含有有機化合物の
具体例としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾ
ジカルボン酸とその塩(アルカリ金属、アルカリ土類金
属等)、尿素、ヘキサメチレンテトラミン、重炭酸アミ
ノグアニジン、トリアミノグアニジン、ビウレット、シ
アノグアニジン、ニトログアニジン、ジシアンジアミ
ド、ヒドラジド類等を挙げることができる。ここでヒド
ラジド類としては公知のものが使用でき、例えば、アセ
トヒドラジド、1,2−ジアセチルヒドラジド、ラウリ
ン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、シュウ酸ヒド
ラジド、シュウ酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、ア
ジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド、ドデカン
ジオヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、メチルカル
バゼート、セミカルバジド、ホルムヒドラジド、1,2
−ジホルミルヒドラジン等が挙げられる。ニトラミン基
含有有機化合物の具体例としては、例えば、ジニトロペ
ンタメチレンテトラミン、トリメチレントリニトロアミ
ン(RDX)、テトラメチレンテトラニトロアミン(H
MX)等の置換基としてニトラミン基を1個〜複数個有
する脂肪族化合物及び脂環式化合物を挙げることができ
る。またニトロソアミン基含有有機化合物の具体例とし
ては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(DPT)等の置換基としてニトロソアミン基を1個〜
複数個有する脂肪族化合物及び脂環式化合物を挙げるこ
とができる。これらの中でも、アミノ基含有有機化合物
が好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。斯
かる含窒素有機化合物は1種を単独で使用してもよく又
は2種以上を併用してもよい。また含窒素有機化合物は
市販品をそのまま使用してもよい。含窒素有機化合物の
粒度は特に制限されず、例えばその配合量、他の成分と
の配合比率、エアバッグの容量等の各種条件に応じて広
い範囲から適宜選択すればよい。
【0011】酸化剤としては特に制限されず、従来から
当該分野で使用されるものから適宜選択すればよいが、
高温下で酸素を発生及び/又は供給し得るものが好まし
く、例えば、オキソハロゲン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、
金属過酸化物、超酸化物、オゾン化合物等を挙げること
ができる。
【0012】オキソハロゲン酸塩としては公知のものが
使用でき、例えば過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩等を挙
げることができる。過ハロゲン酸塩の具体例としては、
例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム、過塩素
酸ナトリウム、過臭素酸リチウム、過臭素酸カリウム、
過臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、過塩素酸マグ
ネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過
臭素酸マグネシウム、過臭素酸バリウム、過臭素酸カル
シウム等のアルカリ土類金属塩、過塩素酸アンモニウ
ム、過臭素酸アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げ
られる。ハロゲン酸塩の具体例としては、例えば、塩素
酸リチウム、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、臭素
酸リチウム、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム等のア
ルカリ金属塩、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム、
塩素酸カルシウム、臭素酸マグネシウム、臭素酸バリウ
ム、臭素酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、塩素酸
アンモニウム、臭素酸アンモニウム等のアンモニウム塩
等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン酸及び過ハ
ロゲン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0013】硝酸塩としては、例えば、硝酸リチウム、
硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等のアルカリ金属塩、硝
酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム等
のアルカリ土類金属塩、硝酸アンモニウム等のアンモニ
ウム塩等を挙げることができる。その中でもアルカリ金
属塩が好ましい。
【0014】亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸リチウ
ム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等のアルカリ金
属塩、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸カ
ルシウム等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができ
る。
【0015】金属過酸化物としては、例えば、過酸化リ
チウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム等のアルカ
リ金属塩、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過
酸化バリウム等のアルカリ土類金属塩等を挙げることが
できる。
【0016】超酸化物としては、例えば超酸化ナトリウ
ム、超酸化カリウム等のアルカリ金属化合物、超酸化カ
ルシウム、超酸化ストロンチウム、超酸化バリウム等の
アルカリ土類金属化合物、超酸化ルビジウム、超酸化セ
シウム等を挙げることができる。
【0017】オゾン化合物としては、例えば一般式 M
3 (式中MはNa、K、Rb、Cs等の元素周期律表
第 a族元素を示す。)で表わされる化合物が挙げられ
る。
【0018】本発明においては、二硫化モリブデン等の
金属硫化物、ビスマス含有化合物、鉛含有化合物等も酸
化剤として使用できる。
【0019】これらの酸化剤の中でも、オキソハロゲン
酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩等が好ましく、オキソハロゲン
酸塩、硝酸塩等が特に好ましい。
【0020】斯かる酸化剤は1種を単独で又は2種以上
を混合して使用できる。酸化剤の形状、粒径等は特に制
限されず、例えばその配合量、各成分との配合比率、エ
アバッグの容量等の各種条件に応じて適宜選択して使用
すればよい。
【0021】酸化剤の配合量は、通常、酸素量を基準と
して含窒素有機化合物を完全に酸化燃焼し得る化学量論
量とすればよいが、含窒素有機化合物及び酸化剤の配合
割合を適宜変更させることにより、燃焼速度、燃焼温度
(ガス温度)、燃焼ガス組成等を任意に調整できるの
で、広い範囲から適宜選択することができ、例えば、含
窒素有機化合物100重量部に対して酸化剤を10〜4
00重量部程度、好ましくは100〜240重量部程度
配合してもよい。
【0022】本発明のガス発生剤においては、上記2成
分の他に、モリブデン酸化物を必須成分とする。モリブ
デン酸化物は、アゾジカルボンアミド等の含窒素有機化
合物と長期間共存しても、該含窒素有機化合物を分解し
ないという好ましい性質を有している。また、モリブデ
ン酸化物は燃焼触媒として作用し、本来は相反(反比
例)する関係にあるガス中のCOとNOx の濃度を両方
とも一度に著しく低減化し得る。モリブデン酸化物の添
加によりこのような優れた効果が達成される理由は未だ
充分明らかではないが、本発明者の研究によれば、例え
ばアゾジカルボンアミドをガス発生基剤とし、オキソハ
ロゲン酸塩を酸化剤とする非アジド系ガス発生剤におい
て、アゾジカルボンアミドの熱分解温度とオキソハロゲ
ン酸塩のそれに大きな差があるが、この燃焼反応系にモ
リブデン酸化物を添加すると、オキソハロゲン酸塩の熱
分解温度が下がってアゾジカルボンアミドのそれに近づ
き、両者による化学量論量に近い円滑な反応が起こるた
めであると推測される。
【0023】本発明のガス発生剤においては、モリブデ
ン酸化物としては公知のものが使用でき、例えば、酸化
モリブデン(VI)、加熱により酸化モリブデン(VI)を生成
する他の含酸素モリブデン化合物、モリブデン酸、モリ
ブデン酸の金属塩等を挙げることができる。前記の含酸
素モリブデン化合物としては、例えば、水酸化モリブデ
ンやMo25 、Mo38 、Mo823、Mo929
等のモリブデン酸化物等を挙げることができる。また、
モリブデン酸の金属塩としては、例えばモリブデン酸コ
バルト、モリブデン酸ニッケル等の第VIII族金属塩等を
挙げることができる。これらの中でも、酸化モリブデン
(VI)やモリブデン酸の金属塩が好ましく、酸化モリブデ
ン(VI)が特に好ましい。
【0024】モリブデン酸化物の表面積や粒径は特に制
限はなく、例えばその配合量、他の成分との配合比率、
エアバッグの容量等の各種条件に応じて広い範囲から適
宜選択すればよい。
【0025】モリブデン酸化物の配合量は特に制限はな
く、例えばその配合量、他の成分との配合比率、エアバ
ッグの容量等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択
できるが、通常含窒素有機化合物100重量部に対して
0.1〜30重量部程度とすればよい。ガス発生量や燃
焼性能を安定させる観点から、モリブデン酸化物の好ま
しい範囲は含窒素有機化合物100重量部に対して0.
5〜25重量部程度である。
【0026】尚、加熱により酸化モリブデン(VI)を生成
する含酸素モリブデン化合物を用いる場合は、生成する
酸化モリブデン(VI)の量が、上記規定の範囲内であるこ
とが好ましい。
【0027】本発明のエアバック用ガス発生剤には、そ
の性能が損なわれない範囲で、上記3種の必須成分の他
に燃焼調節剤、爆轟防止剤、燃焼速度調節触媒等が配合
されていてもよい。
【0028】燃焼温度調節剤は、一般的に燃焼温度ひい
てはガス温度を下げるために使用されるものであり、そ
の具体例としては、例えば、Al等の水酸化物、Na、
K、Ca、Mg、Ba、Sr等のアルカリ金属及びアル
カリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物等を挙げるこ
とができる。その中でも、水酸化物、炭酸塩等が好まし
く、水酸化物が特に好ましい。燃焼温度調節剤の配合量
は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、通常
含窒素有機化合物及び酸化剤の合計量100重量部に対
して50重量部を越えない範囲、好ましくは20重量部
を越えない範囲とすればよい。
【0029】爆轟防止剤は、製造、輸送、保存等の工程
において、ガス発生剤が火炎に巻き込まれたり又は強い
衝撃を受けて爆轟するのを防止するために使用される。
爆轟防止剤の添加により、製造、輸送、保存等の工程で
の安全性を更に高めることができる。爆轟防止剤として
は公知のものが使用でき、例えば、ベントナイト、アル
ミナ、珪藻土、二酸化珪素等の金属酸化物、Na、K、
Ca、Mg、Zn、Cu、Al等の金属の炭酸塩、重炭
酸塩等を挙げることができる。尚、アルカリ金属及びア
ルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩は、上記したように
燃焼温度調節剤としての機能をも有している。爆轟防止
剤の配合量は特に制限されず広い範囲から適宜選択でき
るが、通常含窒素有機化合物及び酸化剤の合計量100
重量部に対して5〜30重量部程度とすればよい。
【0030】燃焼速度調節触媒は、主に燃焼速度を調整
するために使用される。燃焼速度調節触媒としては、例
えば(イ)酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化マンガン、塩化
鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化
コバルト、酸化バナジウム、酸化セリウム、酸化ホルミ
ウム、酸化カルシウム、酸化イッテルビウム等の元素周
期表第4〜6周期元素の酸化物、塩化物、炭酸塩乃至硫
酸塩(但し、酸化モリブデン、アルカリ金属の炭酸塩及
びアルカリ土類金属の炭酸塩を除く)、(ロ)カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、こ
れらのエーテル、微結晶性セルロース粉末等のセルロー
ス系化合物、(ハ)可溶性デンプン、ポリビニルアルコ
ール、その部分ケン化物等の有機高分子化合物等を挙げ
ることができる。(イ)の金属化合物については金属酸
化物が好ましく、その中でも、BET比表面積の大きな
ものが、発生ガス中のCO等の有毒成分の濃度を一層低
下させるのに有効である。具体的には、BET比表面積
が通常5m2 /g以上、好ましくは10m2 /g以上、
より好ましくは40m2 /g以上のものがよい。
【0031】燃焼速度調節触媒の粒度は特に制限され
ず、適宜選択して使用すればよい。燃焼速度調節触媒は
1種を単独で又は2種以上を併用して使用される。燃焼
速度調節触媒の配合量は特に制限されず広い範囲から適
宜選択できるが、通常含窒素有機化合物及び酸化剤の合
計量100重量部に対して0.1〜50重量部程度、好
ましくは0.2〜10重量部程度とすればよい。
【0032】更に、本発明においては、エアバック用ガ
ス発生剤の好ましい特性を損なわない範囲で、従来から
この用途に用いられている各種添加剤が配合されていて
もよい。
【0033】尚、上記した本発明エアバッグ用ガス発生
剤の成分の中には、酸化銅以外にもアゾジカルボンアミ
ド等の含窒素有機化合物の分解を誘起する化合物があ
る。具体的には、例えば、酸化剤の一種である過酸化カ
ルシウム等のアルカリ成分を含む化合物又は分解してア
ルカリ成分を放出する化合物や燃焼速度調節触媒の1種
である酸化クロム、酸化マンガン等である。従って、こ
れらの分解誘起化合物をガス発生剤の成分として用いる
場合は、ガス発生基剤及び分解誘起化合物から選ばれる
少なくとも一方に、好ましくは双方にカップリング剤に
よる表面処理を施すことができる。カップリング剤とし
ては公知のものが使用でき、例えば、シラン系カップリ
ング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系
カップリング剤等を挙げることができる。カップリング
剤を用いて表面処理を行うに当っては、例えば、湿式
法、乾式法等の公知の方法が採用できる。
【0034】本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、3種
の必須成分及び必要に応じてその他の成分を混合するこ
とにより、製造される。更に本発明のエアバック用ガス
発生剤は、適当な形状に製剤化することができる。例え
ば、本発明のガス発生剤組成物とバインダーを適量混合
して打錠又は打錠乾燥すればよい。その際、水等の溶媒
を適量加えるのが安全上特に好ましい。バインダーとし
ては斯かる目的に常用されているものを使用すればよ
い。製剤形状は特に制限はなく、例えば、ペレット状、
ディスク状、球状、棒状、中空円筒状、こんぺい糖状、
テトラポット状等を挙げることができ、無孔のものでも
よいが有孔状のもの(例えば煉炭状のもの)でもよい。
更に、ペレット状、ディスク状のものは、片面又は両面
に1個〜数個程度の突起を設けてもよい。突起の形状は
特に制限されず、例えば、円柱状、円錐状、多角錐状、
多角柱状等を挙げることができる。
【0035】或いは、本発明エアバッグ用ガス発生剤の
各成分をそれぞれ単独で製剤化し、これらを混合して使
用してもよい。
【0036】本発明ガス発生剤の製剤は、ポリエチレン
等の合成樹脂製又は金属製の容器に充填することによ
り、安全に保管及び輸送することができる。
【0037】本発明のエアバッグ用ガス発生剤は、自動
車に限定されず、各種輸送用機器に搭載されるエアバッ
グシステムのガス源として好適に利用できる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、含窒素有機化合物をガ
ス発生基剤とする非アジド系エアバッグ用ガス発生剤に
おいて、特定の燃焼触媒(モリブデン酸化物)を含有さ
せることにより、アジド系ガス発生剤と同等又はそれ以
上の燃焼速度、ガス発生量及びガス温度、それより低い
衝撃着火性、高安全性、低毒性、安価さといった上記の
非アジド系該ガス発生剤の好ましい特性を維持したま
ま、製剤化後長期間保存してもアゾジカルボンアミド等
の含窒素有機化合物が実質的に分解されることがなく、
しかも生成ガスにおいて、燃焼触媒として酸化銅を用い
た場合と同程度又はそれ以上にCO濃度及びNOx 濃度
の両方を低減化し得るエアバッグ用ガス発生剤が提供さ
れる。
【0039】
【実施例】以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本
発明を具体的に説明する。
【0040】実施例1 アゾジカルボンアミド(大塚化学(株)製)45重量
部、過塩素酸カリウム(日本カーリット(株)製)5
6.3重量部、硝酸カリウム(大塚化学(株)製)10
重量部、二酸化珪素(商品名:トクシールN、徳山曹達
(株)製)1重量部及び表1に示す配合量(重量部)の
モリブデン酸化物の各粉末をよく混合し、これにデンプ
ン含有量が1.5重量部となるように可溶性デンプン
(和光一級品、和光純薬(株)製)の10重量%水溶液
を加えて更に混合し、湿潤粉体を製造した。この湿潤粉
体を造粒機により造粒して乾燥した後、更に打錠成型機
にて押圧し、9種のガス発生剤のペレット(径6mm、
厚さ3mm、重量0.15g)を製造した。
【0041】
【表1】
【0042】比較例1 アゾジカルボンアミド(大塚化学(株)製)45重量
部、過塩素酸カリウム(日本カーリット(株)製)55
重量部、酸化銅10重量部及び二酸化珪素(商品名:ト
クシールN、徳山曹達(株)製)1重量部の各粉末をよ
く混合し、これにデンプン含有量が1.0重量部となる
ように可溶性デンプン(和光一級品)の10重量%水溶
液を加えて更に混合し、湿潤粉体を製造した。以下実施
例1と同様に操作して、ガス発生剤のペレット(No.
1)を製造した。
【0043】過塩素酸カリウムの配合量を65重量部、
及び酸化銅の配合量を20重量部にそれぞれ変更する以
外は、上記と同様に操作して、ガス発生剤のペレット
(No.2)を製造した。
【0044】試験例1 径7mmのガス噴出孔を備え、伝火薬としてボロン/硝
酸カリウム0.8gが装填されたインフレーターの燃焼
室に、実施例1及び比較例1で得られた11種のガス発
生剤のペレットをそれぞれ充填した。このインフレータ
ーを60リットルタンク内に設置し、電流を流して作動
させてガス発生剤のペレットを燃焼させ、インフレータ
ー内及び60リットルタンク内の圧力及び温度を測定し
た。また燃焼後の60リットルタンク内のガスを採取孔
より1リットルテドラーバッグに採取し、ガス中のCO
濃度及びNOx 濃度を検知管を用いて測定した。結果を
表2に示す。
【0045】尚、表2中の英記号は下記の意味である。
【0046】CPmax :インフレーターの燃焼室(チャ
ンバー)内の最大圧力(kgf/cm2 )。
【0047】TPmax :60リットルタンク内の最大圧
力(kgf/cm2 )。ガス発生剤のガス発生能力を示
すパラメーターである。
【0048】tTPmax :60リットルタンク内の圧力
が最大になるまでの所要時間(msec)。エアバッグ
が展開する時の、該バッグ内のガス温度を模擬するパラ
メーター。
【0049】tTP90:60リットルタンク内の圧力が
最大値の90%になるまでの所要時間(msec)。
【0050】
【表2】
【0051】表2から、(1)本発明のエアバッグ用ガ
ス発生剤が、適量のガスを発生させることができ且つ良
好な燃焼性能を有すること、(2)本発明のエアバッグ
用ガス発生剤が、酸化モリブデン(VI)を含むことによ
り、酸化銅を用いた比較例1及び比較例2と同等又はそ
れ以上にCO濃度及びNOx 濃度の双方が同時に低減化
されたガスを発生し得ること、並びに(3)特に、実施
例1、No.6の組成が、CO及びNOx 濃度の顕著な
低減化を達成し得ることが明らかである。
【0052】試験例2 実施例1で得られた9種のガス発生剤のペレットを、そ
れぞれ107℃の恒温機中にて400時間保存して重量
残存率(%)を算出したところ、いずれも99.5%以
上であった。この値は、アゾジカルボンアミドの実質的
な分解が起こっていないことを示している。
【0053】一方、比較例1で得られた2種のガス発生
剤のペレットを用い、且つ保存時間を190時間とする
以外は、上記と同様に操作し、重量残存率(%)を算出
したところ、それぞれ72%(No.1)、68%(N
o.2)であり、アゾジカルボンアミドの分解が顕著に
進行していることが明らかである。
フロントページの続き (72)発明者 千々和 史郎 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚化 学株式会社徳島工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含窒素有機化合物及び酸化剤を有効成分
    とする非アジド系ガス発生剤であって、燃焼触媒として
    モリブデン酸化物を含有することを特徴とするエアバッ
    グ用ガス発生剤。
  2. 【請求項2】 含窒素有機化合物がアミノ基含有有機化
    合物、ニトラミン基含有有機化合物及びニトロソアミン
    基含有有機化合物から選ばれる少なくとも1種である請
    求項1に記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  3. 【請求項3】 酸化剤がオキソハロゲン酸塩、硝酸塩及
    び亜硝酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1
    に記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  4. 【請求項4】 モリブデン酸化物が、酸化モリブデン(V
    I)、加熱により酸化モリブデン(VI)を生成する含酸素モ
    リブデン化合物、モリブデン酸及びモリブデン酸の金属
    塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の
    エアバッグ用ガス発生剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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