JPH06185578A

JPH06185578A - スチールベルトおよび無段変速機

Info

Publication number: JPH06185578A
Application number: JP35509292A
Authority: JP
Inventors: Yoshihiro Oishi; 芳宏大石; Junzo Hasegawa; 準三長谷川; Takeo Ogasawara; 武夫小笠原
Original assignee: Toyota Central R&D Labs Inc
Current assignee: Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date: 1992-12-16
Filing date: 1992-12-16
Publication date: 1994-07-05
Anticipated expiration: 2018-03-31
Also published as: JP3391489B2

Abstract

(57)【要約】【目的】スチールベルトにより大きなトルクの伝達を
可能とし、無段変速機においてトルクを滑らかに且つ効
率良く伝達すること。【構成】上部に平坦部１６Ａを有し、両側壁下部に傾
斜部１２Ａが形成され、中央に配設された位置決め用の
凹凸部１３Ａ、１４Ａを挟んで左右に矩形の開口部１１
Ａ、１１Ｂが形成され、厚さ方向に列設され主フープ２
を保持する複数のブロック１と、積層された無端の薄帯
で構成され、ブロックの上部平坦部１６Ａに装架され、
トルクの伝達に寄与する主フープ２と、複数のリンク３
１とピン３２が連結され、左右の矩形開口部１１Ａ、１
１Ｂ内に装架され、当接しているＶプーリ５および６よ
りブロック１を抜き取る２列のチェーン３とから成るス
チールベルト４。上記スチールベルト４と、入力軸Ｉに
配設されたプーリ面の間隔可変の入力Ｖプーリ５と、出
力軸Ｏに配設されたプーリ面の間隔可変の大径の出力Ｖ
プーリ６とから成る無段変速機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、両側壁に傾斜部を形成
して厚さ方向に列設された複数のブロックの外周部に装
架され動力伝達に寄与する主ベルトとＶプーリよりブロ
ックを抜き取る補助ベルトとを有するスチールベルトお
よび無段変速機に関する。

【０００２】

【従来の技術】第１の従来のスチールベルトおよび無段
変速機（特開平１−２４２８４８）は、図１２に示すよ
うに略台形状薄板（図１２（Ｂ））のトルク伝達ブロッ
クＢを列設してスチールフープＳＦに装架したスチール
ベルトＳＢを、図に示すようにそれぞれ同径の入力軸お
よび出力軸プーリＩＰ・ＯＰ間に巻装して、トルク伝達
ブロックＢの厚さ方向の押す力によりトルクを伝達する
とともに、スチールフープの張力によりプーリＩＰ・Ｏ
ＰからブロックＢを離脱させるものであった。

【０００３】第２の従来のスチールベルトおよび無段変
速機（特開平１−１４５４４７）は、図１３および図１
４に示すように略台形状の薄板ブロックＢと異なった種
類の板状リンクＬ１、Ｌ２を重ね合わせて２本のピンロ
ッドＲ１、Ｒ２により連結するチェーンＣとから成るス
チールベルトＳＢを、図１２に示すようなそれぞれ同径
のプーリ間に巻装してスチールベルトＳＢのチェーンＣ
の引張力によりトルクを伝達するとともに、プーリから
ブロックＢを離脱させるものであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記第１の従来のスチ
ールベルトおよび無段変速機は、伝達ブロックによりト
ルクを伝達するので、大きいトルクを伝達するためにス
チールフープを張ると伝達ブロックＢの動きが悪くな
り、また、伝達ブロックの動きを良くすると伝達トルク
を大きく出来ないという問題が有った。さらにスチール
フープＳＦのテンションによりプーリＩＰ、ＯＰから伝
達ブロックを離脱させるものであるため、伝達トルクを
大きくするためにプーリ圧力を高めるとスチールフープ
ＳＦの伸び、摩耗が大きくなり、極端な場合は破断する
場合が有り、従って伝達トルクとプーリの圧力とを厳密
に制御しなければならないという問題が有った。

【０００５】上記第２の従来のスチールベルトおよび無
段変速機は、プーリから薄板ブロックＢをチェーンＣに
より抜き取るものであるため、伝達トルクを大きくする
ためにプーリ圧力が上昇するとチェーンＣを構成する２
本のピンロッドＲ１、Ｒ２に大きな負荷が作用するの
で、この負荷をピンロッドＲ１、Ｒ２を破壊しない程度
に抑える必要が有り、厳密なプーリ圧制御が必要になる
とともに、スチールベルトＳＢがプーリに巻き付く際隣
合う薄板ブロックＢ間にピンロッドＲ１、Ｒ２用の間隔
が有るために、ベルトＳＢがスムーズに回転せず、スチ
ールベルトＳＢの張力の制御が難しくなり、適正な制御
が成されない場合には駆動時の騒音が大きくなるという
問題が有った。

【０００６】そこで本発明者らは、厚さ方向に列設され
る複数のブロックに対してトルク伝達用の主ベルトとＶ
プーリからブロックを抜き取るための補助ベルトとを独
立にそれぞれ巻装するというスチールベルトの本発明の
技術的思想に着眼し、更に出力側のプーリの径を入力側
のプーリ径と比べて大きくするという無段変速機の本発
明の技術的思想に着眼し、その後研究開発を重ねた結
果、大きなトルクの伝達を可能にし、トルクを滑らかに
且つ効率良く伝達出来るようにするという目的を達成す
る本発明に到達したのである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明（請求項１に記載
の第１発明）のスチールベルトは、上部に平坦部を有
し、両側壁に傾斜部が形成された板部材で、厚さ方向に
列設されベルトを保持する複数のブロックと、複数のブ
ロックの上部平坦部に装架されトルクの伝達に寄与する
主ベルトと、複数のブロックの前記主ベルトより下方に
装架され、ブロックを列設させるとともに当接している
Ｖプーリより抜き取る補助ベルトとから成るものであ
る。

【０００８】本発明（請求項２に記載の第２発明）のス
チールベルトは、上部に平坦部を有し、両側壁に上方に
行くに従い拡大する傾斜部が形成され、中央に付設され
た位置決め用の凹凸部を挟んで左右に開口部が形成され
た板部材で、厚さ方向に列設されベルトを保持する複数
のブロックと、積層された複数の無端の薄帯で構成さ
れ、複数のブロックの上部の平坦部に装架されトルクの
伝達に寄与する主フープと、複数のリンクとピンで構成
され、複数のブロックの前記主ベルトより下方の左右の
開口部内に装架され、ブロックを列設させるとともに当
接しているＶプーリより抜き取る２列のチェーンとから
成るものである。

【０００９】本発明（請求項３に記載の第３発明）のス
チールベルトは、上部に平坦部を形成し、両側壁に上方
に行くに従い拡大する傾斜部が形成され、中央に付設さ
れた位置決め用の凹凸部を挟んで左右に水平部が形成さ
れた板部材で、厚さ方向に列設されベルトを保持する複
数のブロックと、積層された無端の薄帯で構成され、複
数のブロックの上部の平坦部に装架されトルクの伝達に
寄与する主フープと、２本の積層された無端の薄帯で構
成され、複数のブロックの左右の水平部に装架され、ブ
ロックを列設させるとともに当接しているＶプーリより
抜き取る補助フープとから成るものである。

【００１０】本発明（請求項４に記載の第４発明）の無
段変速機は、入力軸に配設されたＶプーリと、出力軸に
配設された大なる径のＶプーリと、上部に平坦部を有
し、両側壁にＶプーリの傾斜面と当接する傾斜部が形成
された板部材で、厚さ方向に列設されベルトを保持する
複数のブロックと、複数のブロックの上部平坦部に装架
されトルクの伝達に寄与する主ベルトと、複数のブロッ
クの前記主ベルトより下方に装架され、ブロックを当接
しているＶプーリの傾斜面より抜き取る補助ベルトとか
ら成るスチールベルトとから成るものである。

【００１１】

【作用】上記構成より成る第１発明のスチールベルト
は、ブロックのプーリと接触する傾斜部より上部の平坦
部に装架された主ベルトが、プーリ内に保持された複数
のブロックとの摩擦による引張力によりトルクを伝達す
るとともに、主ベルトより下方に装架された補助ベルト
により、ブロックを列設させるとともにプーリからのブ
ロックの引抜きが行われる。

【００１２】上記構成より成る第２発明のスチールベル
トは、ブロックのプーリと接触する傾斜部より上方の上
部平坦部に装架された積層薄帯の主フープが、プーリ内
に保持された複数のブロックとの摩擦による引張力によ
りトルクを伝達するとともに、主フープより下方に装架
されたチェーンにより、ブロックを列設させるとともに
プーリからのブロックの引抜きが行われる。

【００１３】上記構成より成る第３発明のスチールベル
トは、ブロックのプーリと接触する傾斜部より上方の上
部平坦部に装架された積層薄帯の主フープが、プーリ内
に保持されたブロックとの摩擦による引張力によりトル
クを伝達するとともに、主フープより下方に位置決め用
の凹凸ブロックを挟んで装架された２本の積層薄帯で構
成された補助フープにより、ブロックを列設させるとと
もにプーリからのブロックの引抜きが行われる。

【００１４】上記構成より成る第４発明の無段変速機
は、ブロックのプーリと接触する傾斜部より上方の上部
平坦部に装架された主ベルトが、プーリ内に保持された
ブロックと、複数の摩擦による引張力によりトルクを入
力軸上のプーリから出力軸上の大径のプーリに伝達する
とともに、主ベルトより下方に装架された補助ベルトに
より、ブロックを列設させるとともにプーリからのブロ
ックの引抜きが行われる。

【００１５】

【発明の効果】上記作用を奏する第１発明のスチールベ
ルトは、異なった位置に装架した主ベルトと補助ベルト
の役割を分担したので、大きなトルクの伝達を可能にす
るとともに、伸びを防止するという効果を奏する。

【００１６】上記作用を奏する第２発明のスチールベル
トは、異なった位置に装架した主フープと補助ベルトと
してのチェーンの役割を分担したので、大きなトルクの
伝達を可能にするとともに伸びを防止するという効果を
奏する。

【００１７】上記作用を奏する第３発明のスチールベル
トは、異なった位置に装架した積層薄帯より成る主フー
プと補助フープの役割を分担したので、大きなトルクの
伝達を可能にするとともに伸びを防止するという効果を
奏する。

【００１８】上記作用を奏する第４発明の無段変速機
は、異なった位置に装架した主ベルトおよび補助ベルト
の役割を分担するとともに、入力プーリに対して出力プ
ーリを大径にしたので、大きなトルクの伝達を可能にす
るとともに、トルクを滑らかに且つ効率良く伝達出来る
ようにするという効果を奏する。

【００１９】

【実施例】以下本発明の実施例につき、図面を用いて説
明する。

【００２０】（第１実施例）第１実施例のスチールベル
トおよび無段変速機（以下単に無段変速機と言う）は、
第１、第２および第４発明の実施例であり、図１ないし
図１０に示すように、上部に後述の主フープ２を巻掛け
るクラウン面を形成した平坦部１６Ａを有し、両側壁下
部に上方に行くに従い拡大する傾斜部１２Ａが形成さ
れ、左右方向の中央に配設された位置決め用の凹凸部１
３Ａ、１４Ａを挟んで左右に矩形の開口部１１Ａ、１１
Ｂが形成された板部材１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃで構成さ
れ、厚さ方向に列設される複数のブロック１（１Ａ、１
Ｂ、１Ｃ）と、積層された無端の薄帯で構成され、ブロ
ックの上部クラウン面１６Ａに装架され、トルクの伝達
に寄与する主フープ２と、複数のリンク３１とピン３２
が連結して構成され、前記ブロックの上部クラウン面１
６Ａに装架された主フープ２より下方の左右の矩形開口
部１１Ａ、１１Ｂ内に装架され、ブロックを列設させる
とともに、当接している後述するＶプーリ５および６よ
りブロック１を抜き取るための補助ベルトとしての２列
のチェーン３とから成るスチールベルト４と、入力軸Ｉ
に配設されたプーリ面の間隔可変の入力Ｖプーリ５と、
出力軸Ｏに配設されたプーリ面の間隔可変の入力Ｖプー
リ５より径が大きな出力Ｖプーリ６とから成る。

【００２１】ブロック１は、図７および図９に示すよう
に図３に示す第１のブロック１Ａを２枚重ねて配設し
て、その間にチェーン３のピン３２を支持するための図
４に示す第２のブロック１Ｂを配設し、最後に第２のブ
ロック１Ｂの代わりに図５に示す分離可能な第３のブロ
ック１Ｃを配設し、ベルトに組み込んでから皿ビスで固
着する。また、第１のブロック１Ａはトルクを伝達する
とき、列設した各ブロック間に隙間ができないように、
リンク３１の長さに応じて、厚さおよび枚数を決める。
さらに、ピン３２の直径によりブロック１Ｂ、１Ｃの厚
さが変われば、ブロック１Ａの厚さおよび枚数は変わ
る。

【００２２】第１のブロック１Ａは、図３に示すように
左右に正方形に近いチェーン３のリンク３１を介挿する
開口部１１Ａが形成され、板厚３mmの矩形のメガネ状の
板部材１０Ａで構成され、側壁下部に形成されプーリと
当接する傾斜部１２Ａと、左右方向の中央であって、ブ
ロック１ＡのロッキングエッジＲＥと上部のクラウン面
を形成した平坦部１６Ａとの中間に相当する位置におい
て厚さ方向に形成された凹部１３Ａおよび凸部１４Ａ
と、および凸部１４Ａが形成された面の下部に形成され
たブロック１Ａのロッキングを可能にするための傾斜部
１５Ａとが形成されている。

【００２３】第２のブロック１Ｂは、図４に示されるよ
うに、第１のブロック１Ａと同様のメガネ状の板部材１
０Ｂで構成され後述するチェーン３のピンを係止するた
め第１のブロック１Ａの正方形状の開口部１１Ａより長
い、長方形状の開口部１１Ｂを左右に形成した点のみ相
違する。

【００２４】第３のブロック１Ｃは、図５に示されるよ
うに第２のブロック１Ｂのメガネ状の板部材１０Ｂと基
本的には同一形状のメガネ状の部材１０Ｂで形成され、
下部が脱着可能な部材１０Ｃで構成され、最後のピン３
２をはめ込んだ後Ｍ２の皿ビスを外し、ベルトに組込ん
でから再び両端でビス止めして環状のベルトにすること
を可能にする構成より成る。

【００２５】チェーン３は、図６および図７に示される
ように略Ｙの字状のリンク３１と中実棒状のピン３２と
を多数連結させて、無端のリンク状に形成されたもので
ある。

【００２６】リンク３１は、図７に示されるように１本
の基部３１Ｄの横方向にピン３２が挿入される円孔３１
Ａが形成され、コの字状に二股に分岐された部分３１Ｅ
にも横方向にピン３２が挿入される円孔３１Ｂ、３１Ｃ
が形成されており、二股の分岐部３１Ｅの間に隣合うリ
ンクの基部３１Ｄが介挿され基部３１Ｄの円孔３１Ａと
分岐部３１Ｅの円孔３１Ｂ、３１Ｃにピン３２が介挿さ
れそれぞれ連結される。また、円孔３１Ｂ、３１Ｃはピ
ン３２の直径とほぼ等しく、ピン３２を固定させ、円孔
３１Ａはピン３２の直径よりも大きくし、隣合うリング
が折れ曲がるように連絡される。

【００２７】このピン３２が介挿される連結部が、第１
のブロック１Ａの２個置きに配設された前記第２のブロ
ック１Ｂの長方形の開口部１１Ｂに介挿され、正方形状
の開口部１１Ａを有する隣合う第１のブロック１Ａによ
ってピン３２が係止されている。すなわちピン３２の直
径は、第２のブロック１Ｂの厚さ３mmより小さくして、
充分なクリアランスを確保して、ブロック１がプーリ
５、６に当接した時のロッキングおよびチェーン３の揺
動を容易にするようにしてある。

【００２８】ブロック１内の２個の開口部１１Ａ、１１
Ｂ内にチェーン３が介挿された後、各ブロック１Ａ、１
Ｂ、１Ｃの主フープ２がブロック１の中央からずれない
ように図８に示すように半径１０００〜２０００mmのク
ラウン面を上部平坦部１６Ａに形成して、かかる上部ク
ラウン面１６Ａに主フープ２が装架される。ブロック１
の上部クラウン面１６Ａは、ブロックの厚さ方向の角部
を面取りする以外はブロックの剪断加工のまま利用して
いる。

【００２９】主フープ２は、厚さ０．２５mmのマルエー
ジング鋼の薄帯で構成され、内面に深さ３μｍで□０．
１〜□０．５mmのへこみを０．０５〜０．１mm間隔に整
列またはランダムに無数形成し、また重ね合わせるため
の長さ調整の際直径１０mmのロールで曲げ加工し、さら
にアンモニアガスを供給して窒化処理を行うかあるいは
新タフトライド処理を行い、複合加工処理により、表面
残留応力が−１００Ｋｇ・ｆ以上を持つフープ材を８枚
重ねた最内周長９８８mmの平ベルトで構成され、図８に
示されるようにブロック１の上部クラウン面１６Ａに装
架される。

【００３０】入力Ｖプーリ５および出力Ｖプーリ６は、
いずれも材質ＳＮＣＭ４２０Ｈの部材を用い、焼入・焼
戻処理を行い、プーリ面の表面硬さはロックウェルＣ４
５ないし４８に設定した。

【００３１】両プーリ５および６は、いずれも変速比を
可変とするために一方のプーリ板５Ｆ、６Ｆを固定と
し、図１において２点鎖線で示すように他方のプーリ板
５Ｍ、６Ｍを軸方向移動可能とし、プーリ面間の距離を
変えることによりブロックの半径方向上の当接位置を変
え得る構成とした。

【００３２】変速比ｅは、出力プーリ６の回転数Ｎ_oと
入力プーリ５の回転数Ｎ_iの比であり、減速側変速比ｅ
_sとは出力プーリ６の回転数が入力プーリ５の回転数よ
り小さいとき、また増速側変速比ｅ_fとは出力プーリ６
の回転数が入力プーリ５の回転数より大きいときを示
す。

【００３３】本第１実施例において、図２に示される入
出力軸ＩおよびＯ間の距離ＤＳは２２５mmであり、入力
プーリ５の最外径Ｄ_i1は２０８mmであり、出力プーリ６
の最外径Ｄ_o1は２３６mmであり、入力プーリ５の片テー
パ面の最小径Ｄ_i2は７２mmであり、出力プーリ６の片テ
ーパ面の最小径Ｄ_o2は１２２mmであり、増速側の変速比
の最大値が１．５であり、減速側の変速比の最小値が
０．３７４であり、変速比幅Δｅは４に設定されてい
る。

【００３４】プーリ圧の制御は、出力軸Ｏの負荷に応じ
て大径側すなわち変速比ｅが１以上のときは入力軸Ｉ、
変速比ｅが１未満のときは出力軸Ｏのプーリ圧を決定し
た後、小径側のプーリ圧を目的の変速比になるように制
御するものである。

【００３５】なお、ブロック１Ａないし１Ｃおよびチェ
ーン３のリンク３１は、いずれも材質ＳＵＪ２を用い、
焼入・焼戻処理を行い、表面硬さがロックウェルＣ６０
ないし６３に設定した。各ブロックの側壁下部の傾斜ブ
ロック１２Ａは上記焼入・焼戻処理の前にセラミック粉
によりグリッドブラスト加工を施し、最大深さ約１５μ
ｍの凹凸面が形成されている。

【００３６】チェーン３のピン３２は、材質ＳＵＪ２を
用い、表面硬さをブロック１Ａないし１Ｃおよびリンク
３１に比べ若干低いロックウェルＣ５０ないし５５に設
定して、本第１実施例装置が破損する場合は、製作容易
なこのピン３２が最初に破損するように設計されてい
る。

【００３７】上記構成より成る第１実施例の無段変速機
は、入力Ｖプーリ５からのトルクが、主フープ２と入力
Ｖプーリ５および出力Ｖプーリ６内に保持され半径方向
外方に移動するブロック１との摩擦による主フープの引
張力によって、出力Ｖプーリ６に伝達される。

【００３８】また第１実施例の無段変速機は、各ブロッ
クの凹凸１３Ａ、１４Ａの左右に形成された矩形の開口
部１１Ａおよび１１Ｂに介挿したリンク３１およびピン
３２より成るチェーン３の引張力により、プーリ５およ
び６間のブロック１を抜き取るものである。

【００３９】上記作用を奏する第１実施例の無段変速機
は、ブロック１とプーリ５および６とが当接する傾斜部
１２より外側のブロック１の上部クラウン面１６Ａに主
フープ２が装架されるので、ブロック１とプーリ５およ
び６間における駆動力より小さい力で駆動でき、負荷を
小さく出来るので、図１０に示すように従来に比べ大き
な伝達トルク最大２０ｋｇｆ・ｍの伝達および伝達効率
９３％以上を可能にするという効果を奏する。図１０に
示すように第１実施例は従来に比べ効率の良い変速比の
範囲０．３７５〜１．５を利用することができるという
効果を奏する。

【００４０】また第１実施例の無段変速機は、主フープ
２とブロック１との摩擦と主ベルトの引張力により伝達
されるトルクは、入力Ｖプーリと出力Ｖプーリの間にブ
ロックが押圧され、ブロック間の隙間がなくなるためチ
ェーン３には作用しないので、プーリ５および６からの
ブロック１の抜き取りに必要な力を対象としてチェーン
３を設計することができるため、チェーンを小型に出来
るとともに、常に張っておく必要が無く、負荷も小さい
という効果を奏する。また、本ベルトにおいて、従来の
ベルトのようにブロック間の押圧によりトルクを伝達す
るのは約３ｋｇｆ・ｍまでで、大きいトルクを伝達する
ときには、上述のようにプーリ上半径方向外方に移動す
るブロック１が主ベルトを張る作用をすることが確認で
きた。

【００４１】さらに第１実施例の無段変速機は、出力プ
ーリ６の径を入力プーリ５の径より大きくして、最大増
速時の出力プーリ６の最小プーリ径を従来より大きくで
きるので、プーリ油圧室（図示せず）の面積が大きくな
るため出力軸Ｏの負荷に応じてプーリ圧の選択範囲が大
きく、主ベルトによる力の伝達範囲を大きくすることが
できるとともに最適プーリ圧の制御が可能になる。ま
た、出力軸Ｏ側の可動プーリ６Ｍのボールスプラインも
自由な大きさで選択できるとともに、出力軸Ｏの可動プ
ーリ６Ｍの動きを滑らかにすることができるので、伝達
効率の良い範囲での利用が可能である。

【００４２】また第１実施例の無段変速機は、各ブロッ
ク１のロッキングエッジＲＥと主フープ２に接する面の
中間であって、ロッキングエッジＲＥ側にあってブロッ
ク１の横方向の中央においてブロック１の厚さ方向に凹
凸１３Ａ、１４Ａを形成したので、図９に示すようにブ
ロック１がロッキングエッジＲＥを中心にロッキング
し、傾斜しても位置合わせの凹凸１３Ａ、１４Ａは離れ
ること無く、ブロック１をプーリ５および６内で半径位
置に保持するとともに、凹凸１３Ａおよび１４Ａを中央
に１個形成したのでプーリ５および６内にブロック１が
入る時、プーリの傾斜面に沿って入り易い自由度を有す
るという効果を奏する。

【００４３】さらに第１実施例装置は、上記凹凸１３
Ａ、１４ＡをロッキングエッジＲＥの近くに配設するこ
とにより、突起の高さ、穴の深さを浅くすることが出来
るとともに、凹部と凸部のクリアランスを実質的に大き
く取ることが出来るので、製作が容易になるという効果
を奏する。

【００４４】また第１実施例装置において、出力プーリ
６を大径にして、最小プーリ径も入力プーリ５のそれよ
り大きくすることが出来るので、圧力調整範囲をポンプ
の最低圧以上とすることが出来るため、大径側のプーリ
６とブロック１との力伝達範囲を最適にしておいて、小
径側のプーリ５の圧力制御を行うことを実現可能とし、
結果として小径側プーリの力伝達範囲も最適となり、伝
達効率が最も良くなるという効果を奏する。従来におい
て、変速比に応じて圧力一定側と圧力調整側のプーリが
変わるため、特殊な弁が必要となり、制御ソフトも複雑
になるという問題が有ったが、これらの問題を解決する
ことができる。

【００４５】（第２実施例）第２実施例の無段変速機
は、第１実施例と同様の無段変速機で、入力軸間距離Ｄ
_sを２１５mmとし、入力プーリ５の最外径Ｄ_i1を２０１
mmとし、最小径Ｄ_i2を６２mmとし、出力プーリ６の最外
径Ｄ_o1を２２１mmとし、最小径Ｄ_o2を８９mmとし、増速
側の変速比の最大値を１．８mmとし、減速側の変速比の
最小値を０．３６とし、変速比幅Δｅを５に変更したも
ので、それに伴いブロック１Ａないし１Ｃの寸法および
個数も変更されている。

【００４６】上記構成より成る第２実施例の無段変速機
は、第１実施例と同様の作用効果を奏し、最大伝達トル
ク２０ｋｇｆ・ｍ、伝達効率９０％以上を達成するもの
で、運転後の観察からもブロックとプーリの当接面に滑
った形跡は無かった。

【００４７】（第３実施例）第３実施例の無段変速機
は、第３発明の実施例であり、第１実施例において２本
のチェーンで構成した補助ベルトを、図１１に示すよう
に幅１０mm厚さ０．１８ないし１０．２mmのマルエージ
鋼の薄帯を８枚重ねた最内周長８９１mmの２本の補助フ
ープ３３に変更し、それに伴いブロック１の形状を図に
示すように一部変更したものである。

【００４８】上記構成より成る第３実施例の無段変速機
は、第１実施例と同様の作用効果を奏する他、薄帯によ
り補助フープを構成することにより、スチールベルトの
幅を小さくし、重量も軽減することが出来るとともに、
伝達効率９２％以上を可能にするという作用効果を奏す
る。

【００４９】上述の実施例は、説明のために例示したも
ので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無
く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記
載から当業者が認識することができる本発明の技術的思
想に反しない限り、変更および付加が可能である。

【００５０】上述の実施例では、主フープおよび補助フ
ープの例として薄帯を８枚重ねた例について述べたが、
最低１枚でも良く、必要に応じて枚数を設定すれば良
く、且つ第１および第３実施例の補助ベルトのように２
本並用するだけでなく、主フープのように１本でも良
く、必要に応じて本数を増加することも可能である。

【００５１】乾式の無段変速機においては、スチールフ
ープの代わりに、ゴムベルトも使用可能であるが、金属
ベルトの２倍以上の幅が必要となり、冷却風の供給その
他の冷却の対策を講ずる必要がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の無段変速機を示す平面図
である。

【図２】第１実施例の無段変速機を示す正面図である。

【図３】第１実施例の第１ブロックを示す（Ａ）正面図
および（Ｂ）断面図である。

【図４】第１実施例の第２ブロックを示す（Ａ）正面図
および（Ｂ）断面図である。

【図５】第１実施例の第３ブロックを示す（Ａ）正面図
および（Ｂ）断面図である。

【図６】第１実施例のチェーンのリンクを示す（Ａ）平
面図および（Ｂ）側面図である。

【図７】第１実施例のスチールベルトを示す図８のＡ−
Ａ線に沿う縦断面図である。

【図８】第１実施例のスチールベルトを示す図７のＢ−
Ｂ線に沿う横断面図である。

【図９】第１実施例のスチールベルトがプーリへの掛り
状態を示す断面図である。

【図１０】第１実施例の無段変速機と従来の無段変速機
との伝達効率の比較を示す線図である。

【図１１】本発明の第３実施例のスチールベルトを示す
横断面図である。

【図１２】（Ａ）は第１の従来の無段変速機を示す正面
図であり、および（Ｂ）はブロックを示す正面図であ
る。

【図１３】（Ａ）は第２の従来の無段変速機のスチール
ベルトを示す正面図であり、および（Ｂ）は（Ａ）のＣ
−Ｃ線に沿う横断面図である。

【図１４】（Ａ）は第２の従来の無段変速機のスチール
ベルトを示す部分拡大図であり、および（Ｂ）は（Ａ）
のＤ−Ｄ線に沿う縦断面図である。

【符号の説明】１、１Ａ、１Ｂ、１Ｃブロック２主フープ３チェーン４スチールベルト５入力Ｖプーリ６出力Ｖプーリ１０Ａ、１０Ｂメガネ状の部材１１Ａ、１１Ｂ開口部１２Ａ傾斜部１３Ａ凹部１４Ａ凸部１５Ａ傾斜部１６Ａ上部平坦部３１リンク３２ピン５Ｆ、６Ｆ固定プーリ板５Ｍ、６Ｍ移動プーリ板Ｉ入力軸Ｏ出力軸３３補助フープ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】上部に平坦部を有し、両側壁に傾斜部が
形成された板部材で、厚さ方向に列設されベルトを保持
する複数のブロックと、複数のブロックの上部平坦部に装架されトルクの伝達に
寄与する主ベルトと、複数のブロックの前記主ベルトより下方に装架され、ブ
ロックを列設させるとともに当接しているＶプーリより
抜き取る補助ベルトとから成ることを特徴とするスチー
ルベルト。
【請求項２】上部に平坦部を有し、両側壁に上方に行
くに従い拡大する傾斜部が形成され、中央に付設された
位置決め用の凹凸部を挟んで左右に開口部が形成された
板部材で、厚さ方向に列設されベルトを保持する複数の
ブロックと、積層された複数の無端の薄帯で構成され、複数のブロッ
クの上部の平坦部に装架されトルクの伝達に寄与する主
フープと、複数のリンクとピンで構成され、複数のブロックの前記
主ベルトより下方の左右の開口部内に装架され、ブロッ
クを列設させるとともに当接しているＶプーリより抜き
取る２列のチェーンとから成ることを特徴とするスチー
ルベルト。
【請求項３】上部に平坦部を形成し、両側壁に上方に
行くに従い拡大する傾斜部が形成され、中央に付設され
た位置決め用の凹凸部を挟んで左右に水平部が形成され
た板部材で、厚さ方向に列設されベルトを保持する複数
のブロックと、積層された無端の薄帯で構成され、複数のブロックの上
部の平坦部に装架されトルクの伝達に寄与する主フープ
と、２本の積層された無端の薄帯で構成され、複数のブロッ
クの左右の水平部に装架され、ブロックを列設させると
ともに当接しているＶプーリより抜き取る補助フープと
から成ることを特徴とするスチールベルト。
【請求項４】入力軸に配設されたＶプーリと、出力軸に配設された大なる径のＶプーリと、上部に平坦部を有し、両側壁にＶプーリの傾斜面と当接
する傾斜部が形成された板部材で、厚さ方向に列設され
ベルトを保持する複数のブロックと、複数のブロックの
上部平坦部に装架されトルクの伝達に寄与する主ベルト
と、複数のブロックの前記主ベルトより下方に装架さ
れ、ブロックを当接しているＶプーリの傾斜面より抜き
取る補助ベルトとから成るスチールベルトとから成るこ
とを特徴とする無段変速機。