JPH06184680A - 曲げ加工性が優れた銅合金 - Google Patents

曲げ加工性が優れた銅合金

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JPH06184680A
JPH06184680A JP35628492A JP35628492A JPH06184680A JP H06184680 A JPH06184680 A JP H06184680A JP 35628492 A JP35628492 A JP 35628492A JP 35628492 A JP35628492 A JP 35628492A JP H06184680 A JPH06184680 A JP H06184680A
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copper alloy
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alloy
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Motohisa Miyato
元久 宮藤
Yasuhiro Nakajima
安啓 中島
Shuhei Mori
周平 森
Yukiya Nomura
幸矢 野村
Isao Hosokawa
功 細川
Yosuke Miwa
洋介 三輪
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬さで表示した場合にHv220以上の高強度を
有し、且つ30%IACS以上の良好な導電率を有すると共
に、曲げ加工性が優れており、Agメッキ性も良好で酸
洗も容易である安価な電気・電子部品用の曲げ加工性が
優れた銅合金を提供する。 【構成】 Ni;2〜4重量%、Si;0.5〜1.0重量%、
Zn;0.1〜1.0重量%、Al;0.001〜0.15重量%、M
n;0.01〜0.1重量%、Cr;0.001〜0.1重量%を含有
し、S;0.002 重量%以下に規制し、残部が実質的に銅
及び不可避的不純物からなる銅合金であって、析出物の
大きさが10nm以下、析出物の分布密度が1×105 個/
(μm)3以上であり、硬度Hvが220以上である。こ
の場合に、Sn;0.1〜1.0重量%を更に含有してもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度且つ高導電率の曲
げ加工性が優れた銅合金に関し、更に詳述すれば、多ピ
ンのICに使用される薄板のリードフレーム等に好適な
電気・電子部品用の曲げ加工性が優れた銅合金に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化及び軽量化の要請に伴
い、電気・電子部品の小型化及び軽量化が進んでいる。
そして、この電気・電子部品の小型化及び軽量化のため
に、これらに使用される材料も板厚及び幅が小さくな
り、特に200 ピンを超えるような多ピンのICにおいて
は、板厚が0.1〜0.15mmと薄くなってきている。その結
果、これらの電気・電子部品に使用される材料にはより
一層高い強度が求められている。一般的には、材料の強
度を向上させると、曲げ加工性は低下する。しかし、I
C用リードフレーム及びコネクタ等の用途においては、
曲げ加工も優れていることが必要であり、これらの用途
の銅合金には、高強度と合わせて良好な曲げ加工性も求
められている。
【0003】また、薄板化及び幅狭化は導電性部分の断
面積を減少させることから、この断面積の減少による導
電性の低下を補うためには、材料自体に良好な導電率が
求められる。特に、集積度が高いICに使用されるリー
ドフレーム材料では、ICチップで発生する熱を放散す
るために、良好な熱伝導率が求められる。この熱伝導率
は導電率と比例する。
【0004】更に、近年厳しくなっているコストダウン
の要求に応えるために、安価な材料であることが望まし
い。
【0005】また、IC用リードフレームは通常Agメ
ッキが行われていることから、Agメッキ性が良好なこ
とがリードフレーム材料では必要となる。更に、ICの
外装メッキ時の酸化皮膜の除去など、酸洗いが行われる
場合には、スマットの発生によるトラブル等が発生しな
いことが望まれる。
【0006】即ち、高強度を有し、且つ良好な曲げ加工
性及び導電率を有すると共に、Agメッキ性及び酸洗に
よるトラブルがない安価な材料が求められている。
【0007】而して、従来、高強度で導電率も高い材料
として、ベリリウム銅が公知である。また、IC用リー
ドフレーム材としては、従来、Fe−Ni系の高強度材
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ベリリ
ウム銅は有害元素であるベリリウムを含有するため、酸
洗時には排水処理設備を設置する必要があり、取扱いが
難しい場合がある。また、このベリリウム銅は極めて高
価であるという問題点も有する。
【0009】IC用リードフレーム材として使用されて
いるFe−Ni系の高強度材は、銅系材料と異なり、導
電率が極めて低いと共に、高価でもある。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、硬さで表示した場合にHv220以上の高強度
を有し、且つ30%IACS以上の良好な導電率を有すると共
に、曲げ加工性が優れており、Agメッキ性も良好で酸
洗も容易である安価な電気・電子部品用の曲げ加工性が
優れた銅合金を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る曲げ加工性
が優れた銅合金は、Ni;2〜4重量%、Si;0.5〜1.0
重量%、Zn;0.1〜1.0重量%、Al;0.001〜0.15重
量%、Mn;0.01〜0.1重量%、Cr;0.001〜0.1重量
%を含有し、S;0.002 重量%以下に規制し、残部が実
質的に銅及び不可避的不純物からなる銅合金であって、
析出物の大きさが10nm以下、析出物の分布密度が1×1
5 個/(μm)3以上であり、硬度Hvが220以上で
あることを特徴とする。
【0012】この場合に、Sn;0.1〜1.0重量%を更に
含有してもよい。
【0013】
【作用】以下、本発明に係る高強度の曲げ加工性が優れ
た銅合金における成分添加理由及びその組成限定理由
と、析出物の分布状態の限定理由について説明する。Ni Niは後述するSiと共に添加されて、銅合金の強度及
び耐熱性の向上に寄与する元素である。即ち、NiはS
iと金属間化合物Ni2Si を形成することにより、強
度及び耐熱性を向上させる。Niの含有量が2重量%未
満の場合はその効果は少なく、また、4重量%を超えて
含有されると、強度及び耐熱性は向上するものの、導電
率が低下する。従って、Ni含有量は2乃至4重量%とす
る。Si SiはNiと共に、強度及び耐熱性を向上させる元素で
ある。Si含有量が0.5重量%未満の場合はその効果が
少なく、また、1.0重量%を超えて含有されると、合金
の強度及び耐熱性が向上するものの、導電率が低下し、
熱間加工性及び半田の耐剥離性が劣化する。従って、S
iの含有量は0.5乃至1.0重量%とする。
【0014】なお、Ni/Siの含有量の比率は上記説
明から明かなように、Ni2Si の構成比率に近い方が
好ましく4〜5であることが望ましい。Zn Znは半田の対剥離性を向上させる元素であり、Zn含
有量が0.1 重量%未満ではその効果は少なく、また、1.
0 重量%を超えて含有されてもその効果は飽和する一
方、導電率が低下する。従って、Zn含有量は0.1乃至
1.0重量%とする。 Al Alは溶解及び鋳造時に不可避的に混入してくるSを合
金中から除去する作用を有する。即ち、SはAlと安定
した化合物Al23を生成する。このため、予め、Al
を含有させておくことにより、この不可避的不純物であ
るSをAl23化合物として除去し、S量を20ppm 以下
に低減させて、熱間加工性を高めることができる。ま
た、Al23は比重が軽いため、溶解時に溶湯上部に浮
上しやすい。このため、得られた鋳塊はAl23を含有
しないものとなり、Ag突起が生じない健全なAgメッ
キを施すことができる。このような効果を得るために
は、Al含有量を0.001 重量%以上にする必要がある。
また、Alが0.15重量%を超えて含有されると、半田の
濡れ性及び半田の耐剥離性が劣化する。従って、Alの
含有量は0.001乃至0.15重量%とする。Mn Mnは熱間加工性を向上させる元素である。Mn含有量
が0.01重量%未満ではその効果は少なく、また、0.1 重
量%を超えてMnが含有されると、造塊時の湯流れ性が
悪化して造塊歩留まりが低下する。従って、Mn含有量
は0.01乃至0.1重量%とする。Cr Crは鋳塊の粒界を強化して、熱間加工性を高める元素
である。Crの含有量が0.001重量%未満ではその効果
は少なく、また、0.1重量%を超えてCrが含有される
と溶湯が酸化し、鋳造性が劣化する。従って、Crの含
有量は0.001乃至0.1重量%とする。Sn Snは合金の強度及びバネ性を向上させる元素であり、
これらの特性を重視する用途に使用する場合には添加す
ることが望ましい。Snの含有量が0.1 重量%未満では
上記効果が少なく、また、Snが1.0 重量%を超えて含
有されると、銅合金の導電率を低下させる。従って、S
nの含有量は0.1乃至1.0重量%とする。 Sは熱間加工性を阻害し、また、不純物元素(Mg等)
と化合物を形成して、Agメッキ時にAg突起を発生す
る原因となる元素である。このSは合金溶製時に不可避
的に混入してくるものであるが、このS量が20ppm 以下
であれば、上述の問題点は生じない。このため、Sの含
有は20ppm 迄は許容される。このため、S含有量は20pp
m以下に規制する。
【0015】なお、上記の含有成分及び基成分のCu以
外に、Co、Fe、Ti、Zr、P、Be、V、Nb、
Mo、Ag、Wの一種又は2種以上を総量で0.1 重量%
まで含有していても、本発明に係る曲げ加工性が優れた
高力銅合金の所望の特性は何等損なわれることはない。
従って、上述の範囲内でのこれらの成分の含有は許容さ
れるものである。
【0016】また、不可避的不純物としては、B、C、
Na、Mg、S、Ca、As、Se、Cd、In、S
b、Pb、Bi、MM(ミッシュメタル)等があげられ
る。特に、Mgは前述の如く、Sと化合物を形成してそ
のAgメッキ時のAg突起発生の原因となる。このた
め、Mgは特に微量であることが望ましい。
【0017】次に、析出物の分布状態について説明す
る。
【0018】上記組成の合金は析出硬化型合金であり、
上述の通り金属間化合物Ni2Siが析出することによ
り強化される、しかし、その効果は析出物の分布状態、
即ち、析出物の大きさと粒子間距離に影響される。本発
明者等は本合金における析出物の分布状態と諸性質の関
係を鋭意研究した結果、析出物のサイズ及び粒子間距離
を小さくすることにより、良好な曲げ加工性を維持しな
がら強度を向上させることができるのみならず、酸洗時
のスマット発生も抑制できることを見いだした。即ち、
析出物のサイズが大きい場合は、本合金を例えば銅合金
の酸洗液として一般に用いられる硫酸及び過酸化水素の
混合液等のエッチング性を有する酸洗液を使用して酸洗
すると、マトリクスは溶解するが、金属間化合物Ni2
Si は溶解せずに表面に残留して付着し、所謂スマッ
トを形成する。このような酸洗は例えばIC(集積回
路)の外部リードをはんだめっきする際の前処理として
行われるが、スマットの発生及び残留は後の工程に障害
を引き起こすものであり、このためフッ化物等を含有
し、Ni2Siも溶解し得る酸性液等のように特別な酸
洗液を使用する必要がある。しかし、本発明のように、
析出物のサイズを小さくすれば、Ni2Si は表面に付
着しにくく、また酸洗の後の水洗で容易に除去すること
ができる。析出物の大きさが10nmを超えると、強度
向上効果が少なく、また上述のスマット抑制効果も少な
い。
【0019】また、析出物の粒子間距離をその分布密度
で表した場合に、これが1×105個/(μm)3 未満
のときは、即ち粒子間距離が1×105個/(μm)3
分布密度での距離より大きい場合は、強度向上効果は少
ない。従って、析出物の大きさは10nm以下で、析出
物の分布密度は1×105個/(μm)3以上とする。
【0020】上述の析出物とは、溶体化処理により固溶
化したNi,Siが冷間圧延後の時効処理によって母相
から析出してくるNi2Si相のことをいう。一方、溶
体化処理が終了した時点で既に存在するNi2Siも、
析出したNi2Siと共に最終製品中に存在する。この
Ni2Siは鋳塊の段階で既に存在するため、晶出物と
考えられる。この晶出物が熱間圧延時の加熱及び溶体化
処理時の加熱で完全に固溶せずに残存したものが溶体化
処理の終了時点で存在するNi2Siである。このよう
な晶出物のNi2Siはサイズが大きいために強度向上
には殆ど寄与しない。また、これは酸洗時のスマット発
生の原因にもなる。従って、鋳造条件及び熱間圧延を行
う場合にはその加熱条件を考慮し、鋳造時の晶出物の発
生を抑制し、また発生した晶出物の固溶を促進するよう
にすることにより、溶体化処理の終了時点で残存する晶
出物の量を極力少なくすることが好ましい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その比較例
と比較して説明する。
【0022】実施例1 下記表1に示す組成の銅合金をクリプトル炉において大
気中で木炭被覆下で溶解し、鋳鉄製ブックモールドに鋳
造し、厚さが50mm、幅が75mm、長さが180mmの鋳塊を得
た。そして、鋳塊の表面を面削した後、950℃の温度で
厚さが15mmになるまで熱間圧延し、750℃以上の温度か
ら水中に急冷した。
【0023】
【表1】
【0024】この場合に、比較例合金No5はMn,C
r,Alを含まず、Sの含有量が多いために、熱間圧延
時に割れが発生した。このため、この比較例合金No5は
試料の調整から除外した。次に、酸化スケールを除去し
た後、冷間圧延を行い、厚さが0.2mmの板を得た。続い
て、塩浴炉を使用し、850℃の温度で30秒間加熱した
後、水中に急冷した。次に、冷間圧延により、厚さが0.
15mmの板にした後、450℃の温度で2時間加熱して時効
処理した。
【0025】このようにして製造した合金板材に対し
て、以下に示す試験を実施した。 引張り試験は、圧延方向に平行に切り出してJIS
13号の試験片を作成し、この試験片を使用して行った。 硬さは、マイクロビッカース硬度計で荷重500gfに
て測定した。 導電率は、幅10mm×長さ300mmの試験片を使用し、
ダブルブリッジにより電気抵抗を測定して平均断面積法
により算出した。 曲げ加工性は、実プレスにおいて、R=0.15mmで、
曲げ線を圧延方向に平行(BW)及び直角(GW)に設
定し、90°曲げを行った。そして、曲げ部を20倍のル
ーペで観察し、クラックの発生の有無により曲げ加工性
を評価した。 ばね限界値は、圧延方向に平行に切り出した幅10mm
×長さ60mmの試験片を使用し、モーメント式ばね限界値
測定器により測定した。 半田密着性は、温度230℃の60Sn−40Pb合
金の半田浴で半田付けした後、150℃の温度で1000時間
加熱し、1mmRで180度曲げ戻しを行い、半田の剥離の有
無により評価した。 Agメッキ性は、幅20mm×長さ50mmの試験片を使用
し、アルカリ脱脂浴中で電解脱脂した後、Agメッキを
行い、メッキ面を光学顕微鏡を使用して100倍の倍率
で観察し、大きさが10μm以上の突起状の異常析出の
有無で評価した。Agメッキの条件は以下の通りであ
る。この試験結果を下記表2に示す。
【0026】メッキ浴:シアン浴 温度:60℃ 電流密度:50A/dm2 メッキエリア:直径7mm メッキ厚さ:5±1μm。
【0027】
【表2】
【0028】この表2から明らかなように、本実施例の
合金No1〜4は、高い引張り強さ及び硬さを有すると共
に、良好な導電率を有し、更に曲げ加工性も良好であ
り、またSnを含有する合金No3については、ばね限界
値も高い。また、Znを含有するため、はんだの密着性
は良好であり、Alを添加してS量を低減しているた
め、Agメッキ時に突起状の異常析出は発生せず、Ag
めっき性は良好である。
【0029】これに対し、Mn,Cr,Alを含有しな
い比較例合金No5は、S含有量も高く、熱間圧延時に割
れが発生している。また、Ni,Si含有量が少ない合
金No6は引張り強さ及び硬さが劣るものであった。更
に、Zn含有量が少ない合金No7は、他の特性は優れて
いるが、はんだの密着性が劣り、剥離が生じている。更
にまた、Alを添加していない合金No8はS含有量が高
いために、Agメッキ時に突起状の異常析出が発生して
いる。
【0030】実施例2 下記表3に示す組成の銅合金をクリプトル炉において大
気中で木炭被覆下で溶解し、鋳鉄製ブックモールドに鋳
造し、厚さが50mm、幅が75mm、長さが180mmの鋳塊を得
た。そして、鋳塊の表面を面削した後、950℃の温度で
厚さが15mmになるまで熱間圧延し、750℃以上の温度か
ら水中に急冷した。
【0031】
【表3】 次に、酸化スケールを除去した後、冷間圧延を行い、厚
さが0.2mmの板を得た。続いて、下記表4に示す工程に
より、厚さが0.15mmの板を得た。
【0032】
【表4】
【0033】このようにして製造した合金板材に対し
て、以下に示す調査及び試験を実施した。 析出物のサイズ及び分布密度は、時効処理後に板か
ら切り出した試料を使用し、加速電圧が200kVの透過
型電子顕微鏡(TEM)により撮影した倍率が15万倍
のTEM写真から測定した。なお、試料の膜厚はハイド
ロカーボンの付着を利用して測定した。 引張り試験は、圧延方向に平行に切り出してJIS
13号の試験片を作成し、この試験片を使用して行った。 硬さは、マイクロビッカース硬度計で荷重500gfに
て測定した。 導電率は、幅10mm×長さ300mmの試験片を使用し、
ダブルブリッジにより電気抵抗を測定して平均断面積法
により算出した。 曲げ加工性は、実プレスにおいて、R=0.15mmで、
曲げ線を圧延方向に平行(BW)及び直角(GW)に設
定し、90°曲げを行った。そして、曲げ部を20倍のル
ーペで観察し、クラックの発生の有無により曲げ加工性
を評価した。 スマットの発生は、幅20mm×長さ50mmの試験片を使
用し、アルカリ脱脂浴中で電解脱脂した後、酸洗し、水
洗の後乾燥し、表面のスマットの残留の有無で評価し
た。酸洗条件を以下に示す。
【0034】酸洗浴組成:30%H2SO4+3%H22 温度: 40℃ 浸漬時間: 60秒 この試験結果を下記表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】この表5から明らかなように、本実施例の
合金No9,10は、析出物の大きさが小さく、また分布
密度が大きいため、即ち粒子間距離が小さいために、高
い引張り強さと、Hv220を超える高い硬さを有する
と共に、30%IACSを超える良好な導電率を有す
る。更に、この実施例合金は曲げ加工性も良好であり、
また酸洗を行ってもスマットは発生しない。
【0037】これに対し、比較例合金No11は、析出物
のサイズが大きく、また分布密度が小さいために、即ち
粒子間距離が大きいために、引張り強さ及び硬さがいず
れも低く、また、酸洗時にスマットが残留する。
【0038】図1はこの実施例(本発明合金)No10及
び比較例No11の析出物の分布状況を示すTEM写真で
ある。なお、試料の厚さは50nmである。この図1に
見られるように、実施例No10の場合は析出物が微細に
分散している。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
材料の薄板化の指標として有効な硬さで表示した場合
に、Hv220以上の高強度を有し、かつ30%IAC
S以上の良好な導電率を有すると共に、曲げ加工性も良
好であり、更に酸洗時のスマットの発生も抑制された銅
合金を提供することができるので、電気機器・電子機器
の小型化及び軽量化に多大の貢献をなす。
【図面の簡単な説明】
【図1】析出物の状況を示す透過型電子顕微鏡写真(T
EM写真)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 幸矢 山口県下関市長府港町14番1号 株式会社 神戸製鋼所長府製造所内 (72)発明者 細川 功 山口県下関市長府港町14番1号 株式会社 神戸製鋼所長府製造所内 (72)発明者 三輪 洋介 山口県下関市長府港町14番1号 株式会社 神戸製鋼所長府製造所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni;2〜4重量%、Si;0.5〜1.0重量
    %、Zn;0.1〜1.0重量%、Al;0.001〜0.15重量
    %、Mn;0.01〜0.1重量%、Cr;0.001〜0.1重量%
    を含有し、S;0.002 重量%以下に規制し、残部が実質
    的に銅及び不可避的不純物からなる銅合金であって、析
    出物の大きさが10nm以下、析出物の分布密度が1×10
    5 個/(μm)3以上であり、硬度Hvが220以上であ
    ることを特徴とする曲げ加工性が優れた銅合金。
  2. 【請求項2】 Sn;0.1〜1.0重量%を更に含有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工性が優れた銅
    合金。
JP35628492A 1992-12-21 1992-12-21 曲げ加工性が優れた銅合金 Pending JPH06184680A (ja)

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