JPH06184153A - 新規なフェノチアジン化合物及びその塩、それらの製法並びにそれらを有効成分とする消化性潰瘍治療剤 - Google Patents

新規なフェノチアジン化合物及びその塩、それらの製法並びにそれらを有効成分とする消化性潰瘍治療剤

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JPH06184153A
JPH06184153A JP33706392A JP33706392A JPH06184153A JP H06184153 A JPH06184153 A JP H06184153A JP 33706392 A JP33706392 A JP 33706392A JP 33706392 A JP33706392 A JP 33706392A JP H06184153 A JPH06184153 A JP H06184153A
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Kiichi Sawai
井 喜 一 澤
Masatsune Kurono
野 昌 庸 黒
Yutaka Baba
場 豊 馬
Toshinao Usui
井 敏 直 臼
Kenji Miura
浦 健 志 三
Takuji Yamaguchi
口 卓 治 山
Noboru Kuboyama
保 山 昇 久
Takashi Ito
藤 丘 伊
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フェノチアジン化合物及びその塩、それらの
製法並びにそれらを有効成分とする消化性潰瘍治療剤を
提供する。 【構成】 本発明によるフェノチアジン化合物は、一般
式 【化1】 {式中 R1 はハロゲン又はアルコキシ基を意味し、R2
び R3 は同一又は異なり、それぞれり水素又はアルキル
基を意味し、n は 0 - 5 の整数を意味する)にて示され
る。 【効果】 本発明によるフェノチアジン化合物は抗潰瘍
活性が強く、公知の抗潰瘍性化合物と比較した場合に胃
酸分泌抑制作用において著しく優れており、低用量で有
効性を示す。従って、フェノチアジン系化合物が有する
副作用である中枢抑制作用発現の可能性を、低用量投与
により低減乃至防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なフェノチアジン化
合物及びその塩、これらの製法並びにこれらを有効成分
とする消化性潰瘍治療剤に係る。
【0002】
【従来の技術】消化性潰瘍治療剤は、攻撃因子の抑制剤
と防御因子の補強剤とに大別することができる。これら
の内で前者の開発は著しい進歩を遂げたが、これに対し
て後者の開発は著しく遅れており問題の糸口が見えかけ
ているに過ぎないのが実状である。
【0003】消化性潰瘍の発生病理上、攻撃因子である
胃液が重要な役割を演じていることは周知の事実であ
り、従ってその消化力を抑制することが消化性潰瘍の治
療における主要目標とされてきた。このために従来で
は,制酸剤による胃液の消化力抑制と抗コリン作用剤を
中心とした胃液の分泌抑制とが主たる治療手段として採
用されてきた。しかしながら制酸剤は作用時間が短い点
に課題があり、一方抗コリン作用剤はムスカリン受容体
抑制に由来する副作用 (瞳孔散大、緑内症の悪化、頻脈
等) の発現が課題となっている。
【0004】近年に至り、新たな抗潰瘍剤として壁細胞
受容体拮抗剤が登場してきた。この種の薬剤は持続性の
胃酸分泌抑制作用を有していることを特徴としており、
従来の抗潰瘍剤には存在しないような潰瘍治療促進効果
があるために注目を浴びている。現在用いられている壁
細胞受容体拮抗剤の代表例としてはヒスタミン H2 受容
体拮抗剤であるシメチジンと、選択的ムスカリン受容体
拮抗剤であるピレンゼピン及び (H+/K+)ATPase 阻害剤
であるオメプラゾール等を挙げることができる。しかし
ながら、これらの強力な胃酸分泌抑制剤の出現によって
も、薬物使用後のリバウンド現象等が解決されず、従っ
て未だ満足し得る治療効果が得られていない。結局の
処、上記の諸課題を克服するためには、新たな胃酸分泌
抑制剤又は優れた胃粘膜保護剤の開発が必要とされよ
う。尚、壁細胞受容体拮抗の副作用は比較的少ないもの
とされているが、シメチジンには潰瘍に穿孔をもたらす
作用や遅延型過敏反応増強作用が認められ、又ピレンゼ
ピンにはムスカリン受容体抑制に由来する既述の副作用
がある。
【0005】一方、本発明者等は特開昭 62 - 56489 公
報に開示されているようにフェノチアジン化合物を提案
しており、その内で 10-[(1-アザビシクロ[3.3.0]オク
タン-5-イル)メチル]-2-(N,N-ジメチルスルファモイル)
フェノチアジンはムスカリン受容体抑制に由来する散瞳
作用が殆ど認められない優れた抗潰瘍物質であることが
既に確認されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題乃至発明の目的】上記の
フェノチアジン化合物は、フェノチアジン骨格を有して
いるが故に本質的に中枢抑制作用を示し、従って薬用量
に配慮と制限が存在する点に改善の余地がある。従っ
て、本発明の目的は、更に優れた胃酸分泌抑制作用並び
に胃粘膜保護作用を有し、従って低用量で有効であり、
これによって上記の副作用の発現を回避可能であり且つ
毒性の低いフェノチアジン化合物、その製法及び抗潰瘍
剤としての用途を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、2 位或
いは 3位にスルフォンアミド基、7 位にハロゲン又はア
ルコキシ基、又 10 位に (1-アザビシクロ[3.3.0]オク
タン-5-イル)アルキル基を有するフェノチアジン誘導体
及びその塩が優れた胃酸分泌抑制作用並びに胃粘膜保護
作用を有し且つ毒性が低いことを見い出して本発明を完
成するに至った。
【0008】この本発明によるフェノチアジン化合物
は、式 (I)
【化6】 (式中 R1 はハロゲン又はアルコキシ基を意味し、R2
び R3 は同一又は異なり、それぞれ水素又はアルキル基
を意味し、n は 0 - 5 の整数を意味する)にて示され
る。
【0009】式 (I) にて示される化合物においてハロ
ゲンは弗素、塩素、臭素又は沃素であることができる。
アルキル基は直鎖状、枝鎖状又は環状アルキル基である
ことができ、直鎖状アルキル基の例としては炭素数 1 -
6 のアルキル基例えばメチル、エチル、n-プロピル、n
-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルを挙げることがで
き、枝鎖状アルキル基の例としてはイソプロピル、イソ
ブチル、s-ブチル、t-ブチルを挙げることができ、又環
状アルキル基の例としてはシクロプロピル、シクロペン
チル、シクロヘキシルを挙げることができる。
【0010】式 (I) の化合物の塩とは薬学的に許容し
得る塩を意味しており、塩形成用の酸として具体的には
塩酸、硫酸、臭化水素酸等の鉱酸やフマール酸、マレイ
ン酸、メタンスルホン酸等の有機酸を挙げることができ
る。
【0011】本発明方法によれば、上記の式 (I) にて
示される化合物及びその塩は式 (II)
【化7】 (式中 R1、R2 及び R3 は前記の意味を有する)にて示さ
れる化合物と式 (III-a)
【化8】 又は式 (III-b)
【化9】 (式中 n は前記の意味を有し、X はハロゲンを意味す
る)にて示される化合物とを塩基の存在下に反応させ、
得られる反応生成物を必要に応じて塩に変じることによ
り得ることができる。
【0012】この場合に、塩基としては炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウ
ム等の炭酸水素アルカリ、トリエチルアミン、N,N-ジメ
チルアニリン、ピリジン等の第三級アミン、水素化ナト
リウム、ナトリウムアミド等を用いることができる。反
応は不活性溶媒中において 20 - 180℃ で 0.5 - 24 時
間撹拌することにより行うことができ、溶媒としては
N,N-ジメチルフォルム アミド、N,N-ジメチルアセタミ
ド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォ
リルトリアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジオキサ
ン,テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素又はこれらの混合
物を用いることができる。式 II の化合物と式 III-a
又は III-b の化合物と塩基との混合比としては 1: 1 :
1 乃至 1 : 1.2 : 3 が適当である。
【0013】尚、本発明方法において、出発物質の一方
である上記式 II の化合物は相当するジフェニルスルフ
ィド類を閉環することにより合成することができる。
又、他方の出発物質である式 III-a 又は III-b の化合
物は例えば特開昭 56 - 156283公報に記載の方法に従っ
て合成することができる。
【0014】
【医薬とする場合の剤型及び投与量】本発明による化合
物又はその塩を有効成分として製剤化する場合の剤型に
格別の制限はなく、従って錠剤、丸剤、カプセル剤、散
剤、顆粒剤、坐剤のような固形剤型となすことも、溶
液、懸濁液、乳液のような液状製剤となすこともでき、
製剤化は常法により行うことができる。
【0015】固形製剤の場合にはデンプン、乳糖、グル
コース、燐酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、
アラビアゴム等の賦形剤を配合することができ、必要で
あれば滑沢剤、崩壊剤、被覆剤、着色剤等も使用するこ
とができる。液状製剤の場合には安定化剤、溶解補助
剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤等を含有してい
ることができる。
【0016】本発明による化合物又はその塩の投与量は
その種類、剤型、疾患の程度、患者の年齢等のファクタ
に依存するが、成人に対して通常 0.1 - 2000mg/日 程
度、殊に 10 - 150mg/日 程度が適当である。
【0017】
【実施例等】次に製造例、薬理試験例及び製剤例により
本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
【0018】製造例 1 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エチ
ル]-7-フルオロ-3-(N,N- ジメチルスルファモイル)フェ
ノチアジン及びその塩酸塩 7-フルオロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチ
アジン 8.00g (24.7mmol) の乾燥 N,N-ジメチルフォル
ムアミド溶液 80ml に 60% 油性水素化ナトリウム 2.33
g (58.3mmol) を添加し、20℃ にて 20 分間撹拌後、氷
冷下に 5-(2-クロロエチル)-1-アザビシクロ[3.3.0]オ
クタン塩酸塩 5.70g (27.2mmol) を添加し、100 - 120
℃ にて 2 時間加熱撹拌した。反応溶液を氷水中に注加
し、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル抽出層を無水
硫酸ナトリウムにて乾燥した後に減圧下で溶媒を留去し
た。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展
開溶媒 : 酢酸エチル/トリエチルアミン = 19/1) にて
精製することにより目的 化合物を 11.0g (収率 : 99.1
%) 得た。塩酸塩は該化合物をクロロホルム 100ml に溶
解し、氷冷撹拌下で塩酸ガスを通じた後に減圧下で溶媒
を留去させ、残留物を蒸留水 500ml に溶解し、次いで
凍結乾燥することにより定量的に得ることができる。 融点 : 124 - 127℃ (分解). IR スペクトル (νmax in KBr) cm-1 :1462, 1335, 116
1. NMR スペクトル (CDCl3) δppm : 1.80 - 2.20 (8H, multiplet), 2.16 (2H, triplet), 2.61 (6H, singlet), 3.07 (2H, double triplet), 3.47 (2H, double triplet), 4.09 (2H, triplet), 7.12 (1H, double triplet), 7.19 (1H. double doublet), 7.22 (1H, double doublet), 7.33 (1H, doublet), 7.49 (1H, double triplet), 7.59 (1H, doublet). Mass スペクトル (EI/DI) m/z :461 (M+), 138, 110.
【0019】製造例 2 10-[(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)メチル]-
7-フルオロ-3-(N,N-ジ メチルスルファモイル)フェノチ
アジン 7-フルオロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチ
アジン 5.00g (15.4mmol) の乾燥 N,N-ジメチルフォル
ムアミド溶液 50ml に 60% 油性水素化ナトリウム 2.20
g (51.9mmol) を添加し、20℃ にて 20 分間撹拌した
後、氷冷下に 5-クロロメチル-1-アザビシクロ[3.3.0]
オクタン塩酸塩 3.63g (18.5mmol) を添加し、90 - 100
℃ にて 30 分間加熱撹拌した。反応溶液を氷水中に注
加した後に析出した結晶を濾取し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー (展開溶媒 :酢 酸エチル/トリエチ
ルアミン = 9/1) にて精製し、次いで酢酸エチルにて再
結晶 することにより所望化合物を 5.75g (収率 : 85.
7%) 得た。 融点 : 153 - 155℃. IR スペクトル (νmax in KBr) cm-1 :1465, 1340, 116
5. NMR スペクトル (DMSO-d6) δppm : 1.43 - 1.83 (8H, multiplet), 2.45 - 2.55 (2H, multiplet), 2.95 - 3.05 (2H, multiplet), 2.69 (6H, singlet), 4.01 (2H, singlet), 6.85 - 6.90 (2H, multiplet), 7.03 (1H, double doublet), 7.15 (1H, doublet), 7.49 (1H, doublet), 7.52 (1H, double doublet). Mass スペクトル (EI/DI) m/z :447 (M+), 110.
【0020】製造例 3 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エチ
ル]-7-フルオロ-2-(N,N- ジメチルスルファモイル)フェ
ノチアジン 7-フルオロ-2-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチ
アジン 4.00g (12.3mmol) の乾燥 N,N-ジメチルフォル
ムアミド溶液 40ml に 60% 油性水素化ナトリウム 1.09
g (27.2mmol) を添加し、20℃ にて 20 分間撹拌した後
に 5-((2-クロロエチル)-1-アザビシクロ[3.3.0]オクタ
ン塩酸塩 2.85g (13.6mmol) を添加し、100 - 110℃ に
て 2 時間加熱撹拌した。反応溶液を氷水中に注加した
後に析出した結晶を濾取し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィー (展開溶媒 : 酢酸エチル/トリエチルアミン
= 9/1) にて精製することにより無定形晶として所望化
合物を 5.26g (収率 : 92.4%) 得た。 融点 : 〜 56℃. IR スペクトル (νmax in KBr) cm-1 :1460, 1345, 116
3. NMR スペクトル (CDCl3) δppm : 1.57 - 1.90 (10H, multiplet), 2.57 - 2.65 (2H, multiplet), 2.72 (6H, singlet), 2.96 - 3.06 (2H, multiplet), 3.89 - 3.95 (2H, multiplet), 6.81 - 6.89 (2H, multiplet), 6.93 (1H, double doublet), 7.18 (1H, double doublet), 7.22 (1H, double doublet), 7.27 (1H, doublet). Mass スペクトル (EI/DI) m/z :461 (M+), 110.
【0021】製造例 4 10-[(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)メチル]-
7-フルオロ-2-(N,N-ジ メチルスルファモイル)フェノチ
アジン 7-フルオロ-2-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチ
アジン 5.93g (18.3mmol) の乾燥 N,N-ジメチルフォル
ムアミド溶液 50ml に 60% 油性水素化ナトリウム 2.20
g (55.0mmol) を添加し、20℃ にて 20 分間撹拌した
後、氷冷下に 5-クロロメチル-1-アザビシクロ[3.3.0]
オクタン塩酸塩 4.31g (22.0mmol) を添加し、90 - 100
℃ にて 30 分間加熱撹拌した。反応溶液を氷水中に注
加した後に析出した結晶を濾取し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー (展開溶媒 : 酢酸エチル/トリエチル
アミン = 9/1) にて精製し、次いでジエチルエ−テルに
て再結晶することにより所望化合物を 7.82g (収率 : 9
5.6%) 得た。 融点 : 134 - 136℃. IR スペクトル (νmax in KBr) cm-1 :1458, 1338, 115
5. NMR スペクトル (DMSO-d6) δppm : 1.43 - 1.52 (2H, multiplet), 1.66 - 1.85 (6H, multiplet), 2.43 - 2.56 (2H, multiplet), 2.91 - 2.99 (2H, multiplet), 2.71 (6H, singlet), 3.99 (2H, singlet), 6.84 - 6.91 (2H, multiplet), 6.99 - 7.05 (1H, multiplet), 7.22 (1H, doublet), 7.27 (1H, double doublet), 7.47 (1H, doublet). Mass スペクトル (EI/DI) m/z :447 (M+), 110.
【0022】製造例 5 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エチ
ル]-5-クロロ-3-(N,N-ジ メチルスルファモイル)フェノ
チアジン及びその塩酸塩 7-クロロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチア
ジン 5.00g (14.7mmol)の乾燥 N,N-ジメチルフォルムア
ミド溶液 50ml に 60% 油性水素化ナトリウム1.23g (3
0.8mmol) を添加し、20℃ にて 20 分間撹拌した後に 5
-(2-クロロエチル)-1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン塩
酸塩 3.39g (16.2mmol) を添加し、90 -100℃ にて 1
時間加熱撹拌した。反応溶液を酢酸エチル 500ml 中に
注加し、飽和食塩水にて洗浄した後に無水硫酸ナトリウ
ムにて乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒 : 酢酸エ
チル/トリエチルアミン = 9/1) にて精製することによ
り目的化合物を 6.40g (収率 :93.6%) 得た。塩酸塩
は、上記の化合物をクロロホルム 100ml 中に溶解し、
氷冷撹拌下で塩酸ガスを通じた後に減圧下で溶媒を留去
し、残留物を蒸留水 500ml に溶解し、次いで凍結乾燥
することにより定量的に得ることができる。 融点 : 140 - 143℃. IR スペクトル (νmax in KBr) cm-1 :1460, 1335, 116
1. NMR スペクトル (CDCl3) δppm :1.80 - 2.20 (8H, mul
tiplet). 2.15 (2H, triplet), 2.62 (6H, singlet), 3.06 (2H, multiplet center), 3.46 (2H, multiplet center), 4.10 (2H, triplet), 7.21 (1H, doublet), 7.32 (1H, double doublet), 7.33 (1H, doublet), 7.35 (1H, doublet), 7.48 (1H, doublet), 7.59 (1H, double doublet). Mass スペクトル (EI/DI) m/z :477 (M+), 138, 110.
【0023】製造例 6 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エチ
ル]-5-メトキシ-3-(N,N- ジメチルスルファモイル)フェ
ノチアジン及びその塩酸塩 7-メトキシ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチ
アジン 10.4g (31.0mmol) の乾燥 N,N-ジメチルフォル
ムアミド溶液 100ml に 60% 油性水素化ナトリウム 2.6
0g (65.1mmol) を添加し、60℃ にて 5 分間撹拌した後
に 5-(2-クロロエチル)-1-アザビシクロ[3.3.0]オクタ
ン塩酸塩 7.10g (33.8mmol) を添加し、90 - 100℃ に
て 1 時間加熱撹拌した。反応溶液を酢酸エチル 1.00
リットル中に注加し、飽和食塩水にて洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、
残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶
媒 : 酢酸エチル/トリエチルアミン = 19/1) にて精製
することにより目的化合物を 13.0g (収率 : 89.0%) 得
た。塩酸塩は、上記の化合物をクロロホルム 150ml 中
に溶解し、氷冷撹拌下で塩酸ガスを通じた後減圧下で溶
媒を留去し、残留物を蒸留水 500ml 中に溶解し、次い
で凍結乾燥することにより定量的に得ることができる。 融点 : 123 - 126℃. IRスペクトル (νmax in KBr) cm-1 :1462, 1337, 116
1. NMR スペクトル (CDCl3) δppm : 1.83 - 2.18 (10H, multiplet), 2.59 (6H, singlet), 3.08 (2H, multiplet center), 3.42 (2H, multiplet center), 3.73 (3H, singlet), 4.08 (2H, triplet), 6.83 - 6.87 (2H, multiplet), 7.14 (1H, doublet), 7.30 (1H, doublet), 7.46 (1H, doublet), 7.56 (1H, double doublet). Mass スペクトル (EI/DI) m/z :473 (M+), 138, 110.
【0024】薬理試験例 1 (胃酸分泌抑制作用試験) 製造例 1 - 4 により得られた化合物並びに対照薬物と
してのピレンゼピン、シメチジン及び 10 - [(1-アザビ
シクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)メチル]-2-(N,N-ジメチ
ルスルファモイル)フェノチアジン (特開昭 62 - 56489
公報に開示されているフェノチアジン化合物の代表例)
を被検物質とし、Shay 等の方法["Gastroenterology"
第 5 巻、第 43 頁 (1945 年)] に従って胃酸分泌抑制
作用試験を実施した。即ち、24 時間絶食させた体重 20
0g 前後の雄性ラットを使用し、エチルエーテル麻酔下
に幽門部を結紮し、その直後に被検物質十二指腸内に投
与し、4 時間後に胃液の分泌量 (容積及び酸度) を測定
し、これから抑制率及び ED50 値を求めた。結果は下記
の表 1 に示される通りであり、本発明による化合物は
対照薬物と比較する場合に胃酸分泌抑制作用が極めて強
く、低用量で有効性を発揮すること、即ち低用量での使
用によりフェノチアジン化合物の有している副作用であ
る中枢抑制の発現を防止し得る可能性のあることが判明
した。
【0025】
【表1】
【0026】薬理試験例 2 (塩酸による胃の損傷に対す
る抑制作用試験) 製造例 1 及び 4 により得られた化合物並びに対照とし
てのシメチジンを被検物質とし、Robert 等の方法 ["Ga
stroenterology" 第 77 巻、第 433 頁 (1945年)] に従
って、0.6N 塩酸による胃の損傷に対する抑制作用試験
を実施した。即ち、24 時間にわたり絶食・絶水させた
体重 200g 前後の雄性ラットを実験動物とし、0.6N 塩
酸水溶液を 1ml/200g の用量で経口投与し、1 時間後に
胃を摘出して胃粘膜に発生した損傷の合計長 (mm) を測
定し、これから抑制率及びED50 値を求めた。尚、被検
物質は塩酸水溶液投与の 1 時間前に経口投与した。結
果は下記の表 2 に示される通りであり、本発明による
化合物は対照物質と比較する場合に、塩酸による胃の損
傷に対する抑制作用が極めて強いことが判明した。この
試験結果と薬理試験例 1 による試験結果とを考え併せ
れば、本発明による化合物は低用量で強力な胃酸分泌抑
制作用と、胃酸に対する胃粘膜の優れた保護作用とを発
現し、従って従来存在しなかったタイプの抗消化性潰瘍
物質と云うことができる。
【0027】
【表2】
【0028】薬理試験例 3 (急性毒性試験) 製造例 1 - 6 において得られた化合物を、体重 30g 前
後の ICR 系雄性マウス (1 群 5 匹) に経口投与し、一
般症状の観察を 7 日間に亘って行った。その結果、何
れの化合物においても LD50 は 1000mg/kg 以上であっ
て、低毒性であり、使用安全性において優れていること
が判明した。
【0029】製剤例 1 (錠剤) 下記の諸成分を配合して、常法により錠剤を製造した。
【0030】製剤例 2 (カプセル剤) 下記の諸成分を配合して、常法によりカプセルに装填し
てカプセル剤を製造した。
【0031】製剤例 2 (顆粒剤) 下記の諸成分を配合し、常法により顆粒化するすること
により顆粒剤を製造した。
【0032】製剤例 4 (注射剤) 下記の諸成分を用いて、常法により注射剤を製造し、無
菌下にバイアルに装填した。 製造例 3 による化合物の塩酸塩 0.5 (mg) 塩化ナトリウム 9.5 注射用蒸留水 適量 1.0 ml/バイアル
【0033】
【発明の効果】本発明によるフェノチアジン化合物又は
その塩は市場にて入手が容易な化合物又はこれから容易
に合成し得る化合物を原料として容易に製造することが
できる。本発明による化合物及びその塩は公知のピレン
ゼピン或いはシメチジンと比較する場合に優るとも劣ら
ない抗潰瘍活性を示し、これら公知の抗潰瘍性薬物や本
発明者等が先に提案したフェノチアジン化合物 (特開昭
62 - 56489 公報) よりも胃酸分泌抑制作用において著
しく優れており、しかも毒性が極めて低い。従って、本
発明による化合物は低用量でも有効性を発揮するので、
フェノチアジン骨格を有するも、この種の化合物が有し
ている中枢抑制作用発現の可能性を低用量での投与によ
り低減乃至防止することができるので、本発明は有効性
が高く且つ使用安全性の高い消化性潰瘍治療用薬物を提
供するものである。
フロントページの続き (72)発明者 臼 井 敏 直 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 三 浦 健 志 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 山 口 卓 治 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 久 保 山 昇 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 伊 藤 丘 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 (I) 【化1】 (式中 R1 はハロゲン又はアルコキシ基を意味し、R2
    び R3 は同一又は異なり、それぞれ水素又はアルキル基
    を意味し、n は 0 - 5 の整数を意味する)にて示される
    フェノチアジン化合物及びその塩。
  2. 【請求項2】 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン
    -5-イル)エチル]-7-フルオロ-3-(N,N-ジメチルスルファ
    モイル)フェノチアジン、10-[(1-アザビシクロ[3.3.0]
    オクタン-5-イル)メチル]-7-フルオロ-3-(N,N-ジメチル
    スルファモイル)フェノチアジン、10-[2-[1-アザビシク
    ロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エチル]-7-フルオロ-2-(N,N
    -ジメチルスルファモイル)フェノチアジン、10-[(1-ア
    ザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)メチル]-7-フルオ
    ロ-2-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチアジン、1
    0-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エチル]
    -7-クロロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェノチア
    ジン、10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)
    エチル]-7-メトキシ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)
    フェノチアジンである請求項 1 に記載のフェノチアジ
    ン化合物及びその塩。
  3. 【請求項3】 式 (I) 【化2】 (式中 R1 はハロゲン又はアルコキシ基を意味し、R2
    び R3 は同一又は異なり、それぞれ水素又はアルキル基
    を意味し、n は 0 - 5 の整数を意味する)にて示される
    フェノチアジン化合物及びその塩の製法であって、式
    (II) 【化3】 (式中 R1、R2 及び R3 は前記の意味を有する)にて示さ
    れる化合物と式 (III-a) 【化4】 又は式 (III-b) 【化5】 (式中 n は前記の意味を有し、X はハロゲンを意味す
    る)にて示される化合物とを塩基の存在下に反応させ、
    得られる反応生成物を必要に応じて塩に変じることを特
    徴とする、フェノチアジン化合物及びその塩の製法。
  4. 【請求項4】 式 (I) (式中 R1 はハロゲン又はアルコキシ基を意味し、R2
    び R3 は同一又は異なり、それぞれ水素又はアルキル基
    を意味し、n は 0 - 5 の整数を意味する)にて示される
    フェノチアジン化合物及びその薬理学的に許容し得る塩
    の内の少なくとも 1 種類の物質を有効成分として含有
    していることを特徴とする、消化性潰瘍治療剤。
  5. 【請求項5】 有効成分が、 a) 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エ
    チル]-7-フルオロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フ
    ェノチアジン、 b) 10-[(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)メチ
    ル]-7-フルオロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェ
    ノチアジン、 c) 10-[2-[1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エ
    チル]-7-フルオロ-2-(N,N-ジメチルスルファモイル)フ
    ェノチアジン、 d) 10-[(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)メチ
    ル]-7-フルオロ-2-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェ
    ノチアジン、 e) 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エ
    チル]-7-クロロ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フェ
    ノチアジン、 f) 10-[2-(1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-5-イル)エ
    チル]-7-メトキシ-3-(N,N-ジメチルスルファモイル)フ
    ェノチアジン及び g) 上記化合物の薬理学的に許容し得る塩から選択され
    た物質である、請求項 4 に記載の消化性潰瘍治療剤。
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