JPH06181132A - トランス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水平ボビンを用いた作業性の優れた１次巻線
と２次巻線間の静電容量の小さいトランスを実現するこ
とにある。 【構成】 １次巻線および２次巻線が巻き付けられる中
空の巻枠部が形成され、底面には巻枠部が水平方向に位
置するように実装基板に実装するための複数のピンが設
けられたボビンと、このボビンの巻枠部の外周を水平方
向から囲むように一部が巻枠部の中空部に嵌装されるコ
アと、表面が絶縁された導電体よりなり、前記ボビンの
巻枠部の一部に嵌合して巻枠部を１次巻線領域と２次巻
線領域に区分けする切り欠き部が形成され、一部が実装
基板に接続されるピンとして形成されたシールド体、と
で構成されたことを特徴とするもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はトランスに関し、詳しく
は、１次巻線と２次巻線間の静電容量の低減に関する。

【０００２】

【従来の技術】電源などに用いられるトランスにおける
１次巻線と２次巻線間の静電容量は、効率の低下や伝搬
ノイズの増大などの性能劣化をもたらすものであり、で
きるだけ小さくすることが望ましい。図２はこのような
対策が施された従来のトランスの一例を示す構成説明図
である。図において、１は水平方向に実装されるボビン
であり、底面には図示しない実装基板に実装するための
複数のピン２が設けられている。このボビン１の内部に
はコア３が挿入され、外周には１次巻線４とシールド５
と２次巻線６が積層巻きされている。

【０００３】そして、シールド５を例えば１次側のグラ
ウンドに接続するために、ボビン１のピン２の１本をシ
ールド用に割り当ててシールド５からのリード線を巻き
付けたり、ボビン１のピン２の１本をシールド用に割り
当てられない場合にはシールド５からのリード線を実装
工程で実装基板のグラウンドパターンに接続することが
行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の構造によれば、シールド５に接続されたリード線を
グラウンドに接続するための作業工程が不可欠であり、
トランスの製造時や実装時の作業性が悪いという問題が
ある。本発明はこのような問題点を解決するものであ
り、その目的は、水平ボビンを用いた作業性の優れた１
次巻線と２次巻線間の静電容量の小さいトランスを実現
することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような問題点を解決
する本発明は、１次巻線および２次巻線が巻き付けられ
る中空の巻枠部が形成され、底面には巻枠部が水平方向
に位置するように実装基板に実装するための複数のピン
が設けられたボビンと、このボビンの巻枠部の外周を水
平方向から囲むように一部が巻枠部の中空部に嵌装され
るコアと、表面が絶縁された導電体よりなり、前記ボビ
ンの巻枠部の一部に嵌合して巻枠部を１次巻線領域と２
次巻線領域に区分けする切り欠き部が形成され、一部が
実装基板に接続されるピンとして形成されたシールド
体、とで構成されたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】ボビンに巻き付けられる１次巻線および２次巻
線の端部は、ボビンのピンに巻き付けられて接続され
る。これらボビンのピンは、シールド体の一部に形成さ
れているピンとともに実装基板に接続される。これによ
り、シールド体は実装基板側で１次側の回路と接続さ
れ、１次巻線と２次巻線間の静電容量の小さいトランス
を実現することができる。

【０００７】

【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図１は本発明の一実施例の構成説明図である。図に
おいて、１１はボビンであり、斜線を付けて示してい
る。ボビン１１には図示しない１次巻線および２次巻線
が巻き付けられる中空の巻枠部１２が形成され、底面に
は巻枠部１２が水平方向に位置するようにして図示しな
い実装基板に実装するための複数のピン１３が設けられ
ている。なお、巻枠部１２の両端にはフランジ１４，１
５が形成されている。

【０００８】１６はコアであり、ボビン１１の巻枠部１
２の外周を水平方向から囲むように一部が巻枠部１２の
中空部に嵌装される。具体的には、例えばＥ字形に形成
された２個のコアピースを日字形になるように対向させ
てボビン１１の巻枠部１２の両端に嵌装する。この場
合、実質的に日字形になればよく、例えばＥ字形とＩ字
形のコアピースを組み合わせてもよい。

【０００９】１７はシールド体であり、表面が絶縁され
た導電体で形成されている。このシールド体１７にはボ
ビン１１の巻枠部１２の一部に嵌合して巻枠部１２を１
次巻線領域と２次巻線領域に区分けする切り欠き部１８
が形成され、さらに一部は実装基板に接続されるピン１
９として形成されている。なお、ピン１９の部分は導電
体が露出するように絶縁膜を除去しておく。

【００１０】これらは例えば次のようにして組み立てら
れる。まず、ボビン１１の巻枠部１２にシールド体１７
の切り欠き部１８を嵌め合わせて固定する。この場合、
巻枠部１２の取付け部分にシールド体１７の切り欠き部
１８を係止するための切り溝や突起部を設けてもよい。
このようにシールド体１７を固定することにより、巻枠
部１２は１次巻線領域と２次巻線領域に区分けされ、シ
ールド体１７の一部に形成されているピン１９はボビン
１１の底面に設けられているピン１３と同様にボビン１
１の底面側に突出する。なお、これら各領域にそれぞれ
１次巻線と２次巻線を巻き付けるが図示しない。また、
各巻線の端部はそれぞれに割り当てられているピン１３
に巻き付けて接続する。

【００１１】巻枠部１２の各領域にそれぞれ巻線を巻き
付けた後ボビン１１にコア１６を嵌装し、図示しない固
定部材やモールド材料などによりコア１６をボビン１１
に固着する。これにより、トランスが構成される。この
ように構成されるトランスは、図示しない実装基板に設
けられているスルーホールにピン１３，１９を挿入して
半田付けすることにより、巻枠部１２が水平方向に位置
する水平位置関係で取り付けられる。そして、シールド
体１７は実装基板に設けられているパターンを介してト
ランスの１次側回路と電気的に接続される。

【００１２】このように構成することにより、シールド
体１７とトランスの１次側回路とを電気的に接続するた
めのリード線は不要になることからトランスの製造工程
や実装工程における作業性を改善でき、シールド体１７
とトランスの１次側回路とを電気的に接続することによ
り１次巻線と２次巻線間の静電容量を小さくできる。イ
ンピーダンスアナライザによる１次巻線と２次巻線間の
静電容量の実測例によれば、シールド体１７を電気的に
どこにも落とさない状態（これはシールドがないトラン
スとほぼ同等と考えられる）での測定値は２０ｐＦ程度
であったが、シールド体１７とトランスの１次側回路と
を電気的に接続した状態での測定値は２ｐＦ以下に抑え
られた。

【００１３】また、シールド体１７とトランスの１次側
回路とは抵抗の小さい導電体よりなるシールド体自体と
実装基板に設けられているパターンを介して電気的に接
続されるので、従来のようなリード線による接続に比べ
てインピーダンスは小さくなり、電気的な特性も改善で
きる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
水平ボビンを用いた作業性の優れた１次巻線と２次巻線
間の静電容量の小さいトランスが実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成説明図である。

【図２】従来のトランスの一例の構成説明図である。

【符号の説明】

１１ ボビン １２ 巻枠部 １３ ピン １４，１５ フランジ １６ コア １７ シールド体 １８ 切り欠き部 １９ ピン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】１次巻線および２次巻線が巻き付けられる
   中空の巻枠部が形成され、底面には巻枠部が水平方向に
   位置するように実装基板に実装するための複数のピンが
   設けられたボビンと、 このボビンの巻枠部の外周を水平方向から囲むように一
   部が巻枠部の中空部に嵌装されるコアと、 表面が絶縁された導電体よりなり、前記ボビンの巻枠部
   の一部に嵌合して巻枠部を１次巻線領域と２次巻線領域
   に区分けする切り欠き部が形成され、一部が実装基板に
   接続されるピンとして形成されたシールド体、とで構成
   されたことを特徴とするトランス。