JPH06179959A - ガスバリヤフィルムの製造方法と装置 - Google Patents
ガスバリヤフィルムの製造方法と装置Info
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- JPH06179959A JPH06179959A JP33198692A JP33198692A JPH06179959A JP H06179959 A JPH06179959 A JP H06179959A JP 33198692 A JP33198692 A JP 33198692A JP 33198692 A JP33198692 A JP 33198692A JP H06179959 A JPH06179959 A JP H06179959A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 酸素透過度及び水蒸気透湿度が小さいのみな
らず厚さが薄く透明性の良い膜が成膜されたガスバリヤ
フィルムの製造方法と装置を提供する 【構成】 電子ビーム蒸発源8に収めたガスバリヤフィ
ルムの蒸発材料14を蒸発させて、その上方を走行する
透明な合成樹脂製の基板フィルム7の面に略垂直に入射
させるガスバリヤフィルムの製造方法に於いて、該電子
ビーム蒸発源のハースに入射する電子ビームを、該基板
フィルムの成膜ポイント24に蒸気が略垂直に入射する
ように制御する。該蒸発源から該材料の蒸気が該基板フ
ィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するように蒸発方
向を制御する偏向コイル11、12を電子銃9の銃口付
近とハース10の側部上方とに設ける 【効果】 酸素透過度、水蒸気透湿度を損なわずに薄く
蒸発材料を蒸着して透明性のよいガスバリヤフィルムを
製造できる
らず厚さが薄く透明性の良い膜が成膜されたガスバリヤ
フィルムの製造方法と装置を提供する 【構成】 電子ビーム蒸発源8に収めたガスバリヤフィ
ルムの蒸発材料14を蒸発させて、その上方を走行する
透明な合成樹脂製の基板フィルム7の面に略垂直に入射
させるガスバリヤフィルムの製造方法に於いて、該電子
ビーム蒸発源のハースに入射する電子ビームを、該基板
フィルムの成膜ポイント24に蒸気が略垂直に入射する
ように制御する。該蒸発源から該材料の蒸気が該基板フ
ィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するように蒸発方
向を制御する偏向コイル11、12を電子銃9の銃口付
近とハース10の側部上方とに設ける 【効果】 酸素透過度、水蒸気透湿度を損なわずに薄く
蒸発材料を蒸着して透明性のよいガスバリヤフィルムを
製造できる
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品の包装等に使用さ
れるガス分子の透過を抑制するガスバリヤフィルムの製
造方法と装置に関する。
れるガス分子の透過を抑制するガスバリヤフィルムの製
造方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば食品の包装にポリエチレン
テレフタレート(PET)等の合成樹脂製フィルムにS
iOxの薄膜を付着させたガスバリヤフィルムが使用さ
れており、これで包装すると酸素透過度と水蒸気透湿度
がPETフィルムそのもので包装した場合よりも小さく
なり、内部の食品の鮮度が長く保てるようになる。具体
的には、12μm厚のPETフィルムの酸素透過度を5
cc/m2.day以下、水蒸気透湿度を5g/m2.day以下にする
ためには、従来はSiOx膜の膜厚に1000オングス
トローム以上必要である。そして、1000オングスト
ロームの膜厚では偶発的にバリヤ性の悪いものが発生し
てしまう生産管理上のことを考慮すれば、安定したバリ
ヤ性のものを得るには、少なくとも膜厚2000オング
ストローム以上に成膜を施すことが必要であった。
テレフタレート(PET)等の合成樹脂製フィルムにS
iOxの薄膜を付着させたガスバリヤフィルムが使用さ
れており、これで包装すると酸素透過度と水蒸気透湿度
がPETフィルムそのもので包装した場合よりも小さく
なり、内部の食品の鮮度が長く保てるようになる。具体
的には、12μm厚のPETフィルムの酸素透過度を5
cc/m2.day以下、水蒸気透湿度を5g/m2.day以下にする
ためには、従来はSiOx膜の膜厚に1000オングス
トローム以上必要である。そして、1000オングスト
ロームの膜厚では偶発的にバリヤ性の悪いものが発生し
てしまう生産管理上のことを考慮すれば、安定したバリ
ヤ性のものを得るには、少なくとも膜厚2000オング
ストローム以上に成膜を施すことが必要であった。
【0003】こうしたガスバリヤフィルムの製造には、
図1に示すような装置が一般的に使用されており、これ
に於いて符号aは真空処理室で、その室内の上部には冷
却ローラーb、送出ローラーc、巻取ローラーdを備え
た蒸着用の基板フィルムeの巻取手段が設けられ、その
下部には電子ビーム蒸発源fが設けられる。該真空処理
室a内は排気口gに接続した油拡散ポンプh、メカニカ
ルブースターポンプi、油回転ポンプjや液体窒素トラ
ップk、水冷(または冷凍)トラップlで構成された真
空排気系により真空に排気される。この装置に於いて、
電子ビーム蒸発源f内に例えばSiOx膜の蒸発材料m
を入れ、真空排気系により真空処理室a内を真空に排気
したのち、該蒸発源fを作動させて電子ビームを蒸発材
料mに照射し、蒸発が安定したところでシャッターnを
開け、送出ローラーcから冷却ローラーbを巡回して巻
取ローラーdに巻き取られるように連続走行させた基板
フィルムeの表面に蒸発源fからの蒸気を入射させてS
iOx膜を成膜し、ガスバリヤフィルムが製造される。
図1に示すような装置が一般的に使用されており、これ
に於いて符号aは真空処理室で、その室内の上部には冷
却ローラーb、送出ローラーc、巻取ローラーdを備え
た蒸着用の基板フィルムeの巻取手段が設けられ、その
下部には電子ビーム蒸発源fが設けられる。該真空処理
室a内は排気口gに接続した油拡散ポンプh、メカニカ
ルブースターポンプi、油回転ポンプjや液体窒素トラ
ップk、水冷(または冷凍)トラップlで構成された真
空排気系により真空に排気される。この装置に於いて、
電子ビーム蒸発源f内に例えばSiOx膜の蒸発材料m
を入れ、真空排気系により真空処理室a内を真空に排気
したのち、該蒸発源fを作動させて電子ビームを蒸発材
料mに照射し、蒸発が安定したところでシャッターnを
開け、送出ローラーcから冷却ローラーbを巡回して巻
取ローラーdに巻き取られるように連続走行させた基板
フィルムeの表面に蒸発源fからの蒸気を入射させてS
iOx膜を成膜し、ガスバリヤフィルムが製造される。
【0004】更に、ガスバリヤ性を向上させるために、
抵抗加熱型の蒸発源にSiOの蒸発材料を収め、その上
方を走行する基板フィルムの表面に被覆の初期の間、3
0〜90°の入射角で蒸気を入射させる方法も特開昭6
1−113758号公報で提案されており、これの実施
例によれば、1100オングストロームのSiO膜を蒸
着して酸素透過度が0.9cc/m2.dayのガスバリヤフィ
ルムを製造できるということである。
抵抗加熱型の蒸発源にSiOの蒸発材料を収め、その上
方を走行する基板フィルムの表面に被覆の初期の間、3
0〜90°の入射角で蒸気を入射させる方法も特開昭6
1−113758号公報で提案されており、これの実施
例によれば、1100オングストロームのSiO膜を蒸
着して酸素透過度が0.9cc/m2.dayのガスバリヤフィ
ルムを製造できるということである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のSiOx膜
を成膜したガスバリヤフィルムは透明であり、これで包
装したとき内容物を透視できる利点がある。しかし、S
iOx膜は透明ではあるが黄色味を帯びており、100
0〜2000オングストロームの膜厚にすると内容物が
黄色味を帯びて観察され、内容物が食品である場合には
これは好ましくない。そのため、従来はSiOx膜の組
成すなわちSiOxのx値を変化させることにより透明
に近付ける試みがなされてはいたが、この試みでは膜本
来の目的であるガスバリヤ性が損なわれてしまう結果と
なる不満があった。また、SiOxの蒸着材料は高価で
あり、膜厚が厚いために基板フィルムの送り速度をやや
遅くせざるを得ず、生産量を多く出来ないため、ランニ
ングコストが高くなる不都合があった。SiOx膜の代
りに酸化チタンを基板フィルムに成膜してもガスバリヤ
フィルムを製造できるが、酸化チタンも着色を帯びた膜
であり、これも透明性に欠く。
を成膜したガスバリヤフィルムは透明であり、これで包
装したとき内容物を透視できる利点がある。しかし、S
iOx膜は透明ではあるが黄色味を帯びており、100
0〜2000オングストロームの膜厚にすると内容物が
黄色味を帯びて観察され、内容物が食品である場合には
これは好ましくない。そのため、従来はSiOx膜の組
成すなわちSiOxのx値を変化させることにより透明
に近付ける試みがなされてはいたが、この試みでは膜本
来の目的であるガスバリヤ性が損なわれてしまう結果と
なる不満があった。また、SiOxの蒸着材料は高価で
あり、膜厚が厚いために基板フィルムの送り速度をやや
遅くせざるを得ず、生産量を多く出来ないため、ランニ
ングコストが高くなる不都合があった。SiOx膜の代
りに酸化チタンを基板フィルムに成膜してもガスバリヤ
フィルムを製造できるが、酸化チタンも着色を帯びた膜
であり、これも透明性に欠く。
【0006】こうした不満、不都合は、ガスバリヤ性を
損なわずにSiOx膜を薄く形成できれば解決できると
考えられる。ガスバリヤ性を向上させる目的で提案され
た上記公開公報の発明は、蒸気を堆積の初期に垂直に近
い入射角度で基板フィルムに入射させることにより蒸発
微粒子の一部が部分的に垂直方向に配列されて堆積し、
膜の下層が緻密な膜で形成されることによりその目的が
達成されていると推定されるが、その膜厚は黄色味を解
消できる程の厚さではない。
損なわずにSiOx膜を薄く形成できれば解決できると
考えられる。ガスバリヤ性を向上させる目的で提案され
た上記公開公報の発明は、蒸気を堆積の初期に垂直に近
い入射角度で基板フィルムに入射させることにより蒸発
微粒子の一部が部分的に垂直方向に配列されて堆積し、
膜の下層が緻密な膜で形成されることによりその目的が
達成されていると推定されるが、その膜厚は黄色味を解
消できる程の厚さではない。
【0007】本発明は、酸素透過度及び水蒸気透湿度が
小さいのみならず厚さが薄く透明性の良い膜が成膜され
たガスバリヤフィルムの製造方法と装置を提供すること
を目的とするものである。
小さいのみならず厚さが薄く透明性の良い膜が成膜され
たガスバリヤフィルムの製造方法と装置を提供すること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、真空処理室内のガスバリヤ材料の蒸発
物を収めた電子ビーム蒸発源の上方に透明な合成樹脂製
の基板フィルムを走行させ、該基板フィルムの面に該蒸
発源から該材料の蒸気を略垂直に入射させてガスバリヤ
フィルムを製造する方法に於いて、該電子ビーム蒸発源
のハースに入射する電子ビームを、該基板フィルムの成
膜ポイントに蒸気が略垂直に入射するように制御した。
この方法は、真空排気口を備えた真空処理室内に、ガス
バリヤ材料の蒸発物を収めた電子ビーム蒸発源を設け、
その上方に透明な合成樹脂製の基板フィルムを横断走行
自在に設け、該電子ビーム蒸発源から該材料の蒸気が該
基板フィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するように
蒸発方向を制御する偏向コイルを電子銃の銃口付近とハ
ースの側部上方とに設けた装置により好都合に実施でき
る。
達成するために、真空処理室内のガスバリヤ材料の蒸発
物を収めた電子ビーム蒸発源の上方に透明な合成樹脂製
の基板フィルムを走行させ、該基板フィルムの面に該蒸
発源から該材料の蒸気を略垂直に入射させてガスバリヤ
フィルムを製造する方法に於いて、該電子ビーム蒸発源
のハースに入射する電子ビームを、該基板フィルムの成
膜ポイントに蒸気が略垂直に入射するように制御した。
この方法は、真空排気口を備えた真空処理室内に、ガス
バリヤ材料の蒸発物を収めた電子ビーム蒸発源を設け、
その上方に透明な合成樹脂製の基板フィルムを横断走行
自在に設け、該電子ビーム蒸発源から該材料の蒸気が該
基板フィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するように
蒸発方向を制御する偏向コイルを電子銃の銃口付近とハ
ースの側部上方とに設けた装置により好都合に実施でき
る。
【0009】
【作用】電子ビーム蒸発源内に例えばSiOx膜の蒸発
材料を入れ、真空排気系により真空処理室内を真空に排
気したのち、該蒸発源を作動させて電子ビームを蒸発材
料に照射し、該蒸発源の上方を横断するように基板フィ
ルムを走行させ、その表面に該蒸発源から飛来する蒸気
を付着させてSiOx膜を成膜する。こうした方法は従
来の成膜方法と特に変わりがないが、本発明では、走行
する基板フィルムが成膜ポイントを通過するとき、該蒸
発源のハースに入射する電子ビームが制御されているた
めに、該蒸発源から蒸気が該成膜ポイントに対して略垂
直に入射し、そのため該基板フィルムの表面に蒸発材料
の微粒子が略垂直方向に配列された状態で堆積し、Si
Ox膜が形成される。この膜の全体は垂直に入射した蒸
気だけで形成されているから緻密であり、その厚さが4
00オングストローム程度で12μm厚のPETフィル
ムの酸素透過度を5cc/m2.day以下、水蒸気透湿度を5g
/m2.day以下にすることができる。また、非常に薄い膜
でガスバリヤ性が得られるので、基板フィルムの走行速
度を従来よりも上げることが出来、生産性が向上し、高
価な蒸発材料の消費量を減少できるからコストが安くな
る。
材料を入れ、真空排気系により真空処理室内を真空に排
気したのち、該蒸発源を作動させて電子ビームを蒸発材
料に照射し、該蒸発源の上方を横断するように基板フィ
ルムを走行させ、その表面に該蒸発源から飛来する蒸気
を付着させてSiOx膜を成膜する。こうした方法は従
来の成膜方法と特に変わりがないが、本発明では、走行
する基板フィルムが成膜ポイントを通過するとき、該蒸
発源のハースに入射する電子ビームが制御されているた
めに、該蒸発源から蒸気が該成膜ポイントに対して略垂
直に入射し、そのため該基板フィルムの表面に蒸発材料
の微粒子が略垂直方向に配列された状態で堆積し、Si
Ox膜が形成される。この膜の全体は垂直に入射した蒸
気だけで形成されているから緻密であり、その厚さが4
00オングストローム程度で12μm厚のPETフィル
ムの酸素透過度を5cc/m2.day以下、水蒸気透湿度を5g
/m2.day以下にすることができる。また、非常に薄い膜
でガスバリヤ性が得られるので、基板フィルムの走行速
度を従来よりも上げることが出来、生産性が向上し、高
価な蒸発材料の消費量を減少できるからコストが安くな
る。
【0010】成膜ポイントに対して蒸気をコンスタント
に垂直に入射させるためには、該蒸発源のハースへ電子
銃から放射される電子ビームを蒸発面と成膜ポイントか
ら延ばした法線とが交わる点へ該法線に沿って入射する
ように、電子銃の銃口付近とハースの上方に設けた偏向
コイルの制御により行なわれる。
に垂直に入射させるためには、該蒸発源のハースへ電子
銃から放射される電子ビームを蒸発面と成膜ポイントか
ら延ばした法線とが交わる点へ該法線に沿って入射する
ように、電子銃の銃口付近とハースの上方に設けた偏向
コイルの制御により行なわれる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づき説明すると、
図2は本発明の実施に使用したガスバリヤフィルムの製
造装置を示し、これに於いて符号1は真空排気口2を備
えた真空処理室で、その室内の上部には冷却ローラー
3、送出ローラー4、巻取ローラー5、テンションロー
ラー6を備えた蒸着用の基板フィルム7の巻取手段が設
けられ、その下部には電子ビーム蒸発源8が設けられ
る。食品包装用のガスバリヤフィルムを製造する場合、
例えばロール状に巻いたポリエチレンテレフタレート
(PET)等の長尺の透明な合成樹脂製のフィルムが基
板フィルム7として使用され、水冷された冷却ローラー
3を巡回して巻取ローラー5に巻き取られる。該電子ビ
ーム蒸発源8は電子銃9とハース10を備え、該電子銃
9の銃口付近とハース10の側部上方に設けた第1偏向
コイル11と第2偏向コイル12により、該電子銃9か
ら放射される電子ビーム13がハース10に入射する方
向を制御するようにした。該ハース10にはSiOxや
TiOx、MgOなどのガスバリヤ材料の蒸発材料14
が収められ、図示の場合は、SiOの棒状の蒸発材料1
4の複数本を基板フィルム7の走行方向に適当な間隔を
存して平行に配置した。該第1偏向コイル11は、図3
に見られるように、電子銃9の銃口の前方に延びた水平
方向即ち左右に1対のヨーク11aを有する偏向コイル
と、垂直方向即ち上下に1対のヨーク11bを有する偏
向コイルとを備えており、図2に示すように電源15か
ら該第1偏向コイル11を構成する2つの偏向コイルに
投入される電流を制御器16により制御するようにし
た。また、第2偏向コイル12は、図2のように、ハー
ス10の側方で基板フィルム7の幅よりも多少広い程度
の間隔を存して設けた対向1対のヨーク12a,12a
を備えており、このコイル12に投入される電源17か
らの電流も制御器16により制御されるようにした。該
電子銃9から放射される電子ビーム13は、該制御器1
6が第1及び第2偏向コイル11、12の電流を例えば
±10%の範囲で増減することにより、平行に配置した
棒状の各蒸発材料14を1本ずつ順番にその長さ方向に
スキャンし、その際、電子ビーム13が蒸発材料14に
入射する角度も制御される。この場合、該制御器16
は、左右1対のヨーク11aを持つ偏向コイルの電流を
図8に示すように30mA位の範囲で周期的に変化さ
せ、一定時間が経過すると200mA位の電流レベルを
変化させて再び30mA位の範囲で周期的に変化させる
ことを繰り返すように制御する。この30mA位の範囲
で周期的に電流を変化させると、電子ビームは同一蒸発
材料14を幅方向に小幅にスキャンするようになり、2
00mA位の電流レベルの変化で隣の蒸発材料14に電
子ビーム13が移動する。そしてこれらヨーク11aの
電流制御とヨーク11b及び第2偏向コイル12の電流
制御を混在させることにより、図9に示すように、各蒸
発材料14を順次にスキャンして蒸発させることが出
来、電子ビーム13が蒸発材料14に入射する角度も制
御できる。尚、該電子銃9はその銃口が該蒸発材料14
の蒸発面に対して斜めになるように設置し、電子ビーム
13の曲げ角が少なくて済むようにした。
図2は本発明の実施に使用したガスバリヤフィルムの製
造装置を示し、これに於いて符号1は真空排気口2を備
えた真空処理室で、その室内の上部には冷却ローラー
3、送出ローラー4、巻取ローラー5、テンションロー
ラー6を備えた蒸着用の基板フィルム7の巻取手段が設
けられ、その下部には電子ビーム蒸発源8が設けられ
る。食品包装用のガスバリヤフィルムを製造する場合、
例えばロール状に巻いたポリエチレンテレフタレート
(PET)等の長尺の透明な合成樹脂製のフィルムが基
板フィルム7として使用され、水冷された冷却ローラー
3を巡回して巻取ローラー5に巻き取られる。該電子ビ
ーム蒸発源8は電子銃9とハース10を備え、該電子銃
9の銃口付近とハース10の側部上方に設けた第1偏向
コイル11と第2偏向コイル12により、該電子銃9か
ら放射される電子ビーム13がハース10に入射する方
向を制御するようにした。該ハース10にはSiOxや
TiOx、MgOなどのガスバリヤ材料の蒸発材料14
が収められ、図示の場合は、SiOの棒状の蒸発材料1
4の複数本を基板フィルム7の走行方向に適当な間隔を
存して平行に配置した。該第1偏向コイル11は、図3
に見られるように、電子銃9の銃口の前方に延びた水平
方向即ち左右に1対のヨーク11aを有する偏向コイル
と、垂直方向即ち上下に1対のヨーク11bを有する偏
向コイルとを備えており、図2に示すように電源15か
ら該第1偏向コイル11を構成する2つの偏向コイルに
投入される電流を制御器16により制御するようにし
た。また、第2偏向コイル12は、図2のように、ハー
ス10の側方で基板フィルム7の幅よりも多少広い程度
の間隔を存して設けた対向1対のヨーク12a,12a
を備えており、このコイル12に投入される電源17か
らの電流も制御器16により制御されるようにした。該
電子銃9から放射される電子ビーム13は、該制御器1
6が第1及び第2偏向コイル11、12の電流を例えば
±10%の範囲で増減することにより、平行に配置した
棒状の各蒸発材料14を1本ずつ順番にその長さ方向に
スキャンし、その際、電子ビーム13が蒸発材料14に
入射する角度も制御される。この場合、該制御器16
は、左右1対のヨーク11aを持つ偏向コイルの電流を
図8に示すように30mA位の範囲で周期的に変化さ
せ、一定時間が経過すると200mA位の電流レベルを
変化させて再び30mA位の範囲で周期的に変化させる
ことを繰り返すように制御する。この30mA位の範囲
で周期的に電流を変化させると、電子ビームは同一蒸発
材料14を幅方向に小幅にスキャンするようになり、2
00mA位の電流レベルの変化で隣の蒸発材料14に電
子ビーム13が移動する。そしてこれらヨーク11aの
電流制御とヨーク11b及び第2偏向コイル12の電流
制御を混在させることにより、図9に示すように、各蒸
発材料14を順次にスキャンして蒸発させることが出
来、電子ビーム13が蒸発材料14に入射する角度も制
御できる。尚、該電子銃9はその銃口が該蒸発材料14
の蒸発面に対して斜めになるように設置し、電子ビーム
13の曲げ角が少なくて済むようにした。
【0012】該真空処理室1の排気口2には、従来と同
様の油拡散ポンプ18、メカニカルブースターポンプ1
9、油回転ポンプ20、液体窒素トラップ21、水冷
(または冷凍)トラップ22で構成された真空排気系が
接続される。23はマスクである。
様の油拡散ポンプ18、メカニカルブースターポンプ1
9、油回転ポンプ20、液体窒素トラップ21、水冷
(または冷凍)トラップ22で構成された真空排気系が
接続される。23はマスクである。
【0013】以上の構成の装置によりSiOxのガスバ
リヤフィルムを製造する場合、真空処理室1内を10-5
Torr台に排気し、該室1内の用意したPET等の基板フ
ィルム7を走行させ、制御器16を調整して電子銃9か
ら蒸発源8のハース10内に用意した複数本のSiOx
の蒸発材料14を電子ビーム13で順番にスキャンす
る。蒸発材料14は電子ビーム13の照射で加熱蒸発
し、その上方を走行する基板フィルム7の表面にSiO
xの膜が成膜されてガスバリヤフィルムが製造される。
該SiOxの膜の膜厚は、基板フィルム7の走行速度と
電子銃9の出力により変化し、例えば電子銃9の出力が
5Kwの場合、該膜厚を1000オングストロームに成膜
するときは20m/minで該基板フィルム7を走行させ、
400オングストロームに成膜するときは50m/minで
走行させる。
リヤフィルムを製造する場合、真空処理室1内を10-5
Torr台に排気し、該室1内の用意したPET等の基板フ
ィルム7を走行させ、制御器16を調整して電子銃9か
ら蒸発源8のハース10内に用意した複数本のSiOx
の蒸発材料14を電子ビーム13で順番にスキャンす
る。蒸発材料14は電子ビーム13の照射で加熱蒸発
し、その上方を走行する基板フィルム7の表面にSiO
xの膜が成膜されてガスバリヤフィルムが製造される。
該SiOxの膜の膜厚は、基板フィルム7の走行速度と
電子銃9の出力により変化し、例えば電子銃9の出力が
5Kwの場合、該膜厚を1000オングストロームに成膜
するときは20m/minで該基板フィルム7を走行させ、
400オングストロームに成膜するときは50m/minで
走行させる。
【0014】該ハース10から蒸発する蒸気を基板フィ
ルム7に略垂直に入射させれば、酸素透過度と水蒸気透
湿度が小さな緻密なSiOxの膜が形成され、所定の酸
素透過度等を得るために薄い膜を形成すれば足りるよう
になる。発明者の実験によれば、PETの基板フィルム
に角度を各種に変えて400オングストロームの厚さで
SiO膜を成膜した場合、酸素透過度は図4に示すよう
に変化し、水蒸気透湿度は図5に示すように変化するこ
とが確認され、略垂直に蒸気を基板フィルムに入射させ
れば薄い膜で最良のガスバリヤ性を持たせ得ることが分
かった。また、0〜7°の略垂直で基板フィルムに蒸発
材料を入射させた場合、図6のように、成膜された膜厚
が変わると酸素透過度及び水蒸気透湿度も変わり、約4
00オングストローム以下ではガスバリヤ性が悪くなる
傾向が見られた。400オングストローム程度の厚さで
は、膜自体が黄色味やグレー気味であっても薄い為に透
明と殆ど変わらない。更に、電子ビームにより蒸発材料
の蒸気の入射方向を調べるために、図1の構成の装置で
電子ビーム蒸発源の真上に平板を設置し、膜厚分布を任
意の数箇所で計測したところ、図7のようになった。つ
まり、Y方向では蒸発角が0°のとき膜厚分布t/t0
が最大になるが、X方向では、膜厚分布が蒸発角が5°
のときに最大となった。この蒸発角5°の方向は電子ビ
ームが蒸発材料に入射する角度に相当し、これより、蒸
気は電子ビームの入射軸の方向に蒸発することが分かっ
た。
ルム7に略垂直に入射させれば、酸素透過度と水蒸気透
湿度が小さな緻密なSiOxの膜が形成され、所定の酸
素透過度等を得るために薄い膜を形成すれば足りるよう
になる。発明者の実験によれば、PETの基板フィルム
に角度を各種に変えて400オングストロームの厚さで
SiO膜を成膜した場合、酸素透過度は図4に示すよう
に変化し、水蒸気透湿度は図5に示すように変化するこ
とが確認され、略垂直に蒸気を基板フィルムに入射させ
れば薄い膜で最良のガスバリヤ性を持たせ得ることが分
かった。また、0〜7°の略垂直で基板フィルムに蒸発
材料を入射させた場合、図6のように、成膜された膜厚
が変わると酸素透過度及び水蒸気透湿度も変わり、約4
00オングストローム以下ではガスバリヤ性が悪くなる
傾向が見られた。400オングストローム程度の厚さで
は、膜自体が黄色味やグレー気味であっても薄い為に透
明と殆ど変わらない。更に、電子ビームにより蒸発材料
の蒸気の入射方向を調べるために、図1の構成の装置で
電子ビーム蒸発源の真上に平板を設置し、膜厚分布を任
意の数箇所で計測したところ、図7のようになった。つ
まり、Y方向では蒸発角が0°のとき膜厚分布t/t0
が最大になるが、X方向では、膜厚分布が蒸発角が5°
のときに最大となった。この蒸発角5°の方向は電子ビ
ームが蒸発材料に入射する角度に相当し、これより、蒸
気は電子ビームの入射軸の方向に蒸発することが分かっ
た。
【0015】しかし、図1に示すような従来の蒸着の方
法では、蒸着中に一時的に垂直から大きく外れた角度で
蒸気が入射し、膜の厚さ方向には斜めに入射した部分と
垂直に入射した部分とが混在した膜が形成され、膜の厚
さ方向全体に亘り走行する基板フィルム7に蒸発材料を
無駄にすることなく略垂直に近い角度で入射させ続ける
ことは困難であり、そのため成膜を厚くする必要があっ
た。
法では、蒸着中に一時的に垂直から大きく外れた角度で
蒸気が入射し、膜の厚さ方向には斜めに入射した部分と
垂直に入射した部分とが混在した膜が形成され、膜の厚
さ方向全体に亘り走行する基板フィルム7に蒸発材料を
無駄にすることなく略垂直に近い角度で入射させ続ける
ことは困難であり、そのため成膜を厚くする必要があっ
た。
【0016】本発明の場合、以上の知見に基づき、走行
する基板フィルム7の成膜ポイント24を定め、該成膜
ポイント24から延びる法線25に沿って電子ビーム1
3が蒸発材料14へ入射するように第1、第2偏向コイ
ル11、12の電流を制御し、これにより蒸発材料14
の蒸気を走行する基板フィルム7の表面に略垂直に入射
させるようにした。この方法によれば、走行する基板フ
ィルム7に蒸発材料14の蒸気の殆どが略垂直に入射す
るようになり、形成される膜の膜厚が400オングスト
ロームと薄くても酸素透過度、水蒸気透湿度が小さく透
明性の良いガスバリヤフィルムを製造できる。該成膜ポ
イント24は該蒸発源8の上方であって、基板フィルム
7の走行方向へ多少の長さと基板フィルム7の全幅に相
当する面域で構成される。
する基板フィルム7の成膜ポイント24を定め、該成膜
ポイント24から延びる法線25に沿って電子ビーム1
3が蒸発材料14へ入射するように第1、第2偏向コイ
ル11、12の電流を制御し、これにより蒸発材料14
の蒸気を走行する基板フィルム7の表面に略垂直に入射
させるようにした。この方法によれば、走行する基板フ
ィルム7に蒸発材料14の蒸気の殆どが略垂直に入射す
るようになり、形成される膜の膜厚が400オングスト
ロームと薄くても酸素透過度、水蒸気透湿度が小さく透
明性の良いガスバリヤフィルムを製造できる。該成膜ポ
イント24は該蒸発源8の上方であって、基板フィルム
7の走行方向へ多少の長さと基板フィルム7の全幅に相
当する面域で構成される。
【0017】蒸発材料14へ広い面積で電子ビーム13
を照射すれば、蒸発材料14が均一に蒸発するので長時
間に亘る蒸着を行なえ、これを可能にするため、各偏向
コイル11、12に流す電流を制御器16により変化さ
せ、図示の例では棒状の蒸発材料14であるので、その
幅方向に往復するスキャンしながらその長さ方向へ電子
ビーム13を移動させて行なうようにした。更に、該基
板フィルム7の幅が広い場合、その全幅に亘る成膜を可
能とするために、その幅間隔の数箇所に蒸発材料14を
設け、各偏向コイル11、12の電流を制御して各蒸発
材料14を順次に蒸発させるようにした。該基板フィル
ム7が4cm走行する間に、各蒸発材料14に対してスキ
ャンしながら長さ方向へ電子ビーム13を移動させるこ
とを10回ずつ行なうことが可能である。
を照射すれば、蒸発材料14が均一に蒸発するので長時
間に亘る蒸着を行なえ、これを可能にするため、各偏向
コイル11、12に流す電流を制御器16により変化さ
せ、図示の例では棒状の蒸発材料14であるので、その
幅方向に往復するスキャンしながらその長さ方向へ電子
ビーム13を移動させて行なうようにした。更に、該基
板フィルム7の幅が広い場合、その全幅に亘る成膜を可
能とするために、その幅間隔の数箇所に蒸発材料14を
設け、各偏向コイル11、12の電流を制御して各蒸発
材料14を順次に蒸発させるようにした。該基板フィル
ム7が4cm走行する間に、各蒸発材料14に対してスキ
ャンしながら長さ方向へ電子ビーム13を移動させるこ
とを10回ずつ行なうことが可能である。
【0018】図2の装置を使用してガスバリヤフィルム
を製造する具体的実施例は次の通りである。真空処理室
1内に、幅2000cm、厚さ12μmのロール状に巻い
たPETの基板フィルム7を用意し、図2に示すように
巻取手段に取り付け、該基板フィルム7の下方に設けた
電子ビーム蒸発源8のハース10内に、棒状に固めた長
さ100cm、幅5cmのSiOxの蒸発材料14の15本
を、15cmの間隔を存して図3のように設け、真空処理
室1内を10-5Torr台に真空排気する。そして、出力1
00Kwの電子銃9からの電子ビーム13が、成膜ポイン
ト24からいずれか一つの蒸発材料14に延びる法線2
5に沿って該蒸発材料14に入射するように第1、及び
第2偏向コイル11、12に流す電流を調整する。この
場合、該第1偏向コイル11のヨーク11bを持つ偏向
コイルに100mAの電流を流すと共にヨーク11aを
持つ偏向コイルに1400mAの電流レベルを有し且つ
これより±30mAの範囲で周期的に変化する電流を流
し、第2偏向コイル12には2.3Aの電流を流すと、
該法線25に沿って電子ビーム13が蒸発材料14に入
射した。また、第2偏向コイル12の電流値を±10%
の範囲で制御器16により変化させると、電子ビーム1
3は基板フィルム7の走行方向すなわち棒状の蒸発材料
14の長さ方向に振られ、該蒸発材料14を法線25に
沿った入射状態を維持しながらしかもスキャンしながら
移動し、更にこれら第1偏向コイル11のヨーク11a
の偏向コイルの電流値を200mAずつ制御器16によ
り減少させると、電子ビーム13は平行に並んだ蒸発材
料14に次々と電子ビーム13が該法線25に沿って入
射し、順次に各蒸発材料14が均一に昇華蒸発した。
尚、スキャンの長さは100mmで、電子ビーム13を基
板フィルム7の幅方向に150mmずつ移動するように調
整し、このスキャンと移動を毎秒200回繰り返すよう
にした。蒸発材料14から基板フィルム7に向かう蒸気
は、この調整で指向性をもつようになり、基板フィルム
7の幅1500mm、長さ200mmの成膜ポイント24に
膜厚分布が±10%の略均一な厚さに成膜できるように
なる。蒸発源8からの昇華蒸発が安定したところで基板
フィルム7を50m/minの速度で巻き取り、シャッター
を開いて蒸気を基板フィルム7の表面に蒸着させ、Si
Oの膜を有するガスバリヤフィルムを製造した。得られ
た製品のSiO膜の膜厚平均は400オングストローム
で、目視では黄色味も観察できない程度に透明性が高
く、製品の酸素透過度は2cc/m2.day、水蒸気透湿度は
3g/m2.dayであった。該ガスバリヤフィルムの光透過率
を分光光度計により200〜1100nmの各波長に於い
て測定したところ、基板フィルムとほぼ同じ透過率であ
った。
を製造する具体的実施例は次の通りである。真空処理室
1内に、幅2000cm、厚さ12μmのロール状に巻い
たPETの基板フィルム7を用意し、図2に示すように
巻取手段に取り付け、該基板フィルム7の下方に設けた
電子ビーム蒸発源8のハース10内に、棒状に固めた長
さ100cm、幅5cmのSiOxの蒸発材料14の15本
を、15cmの間隔を存して図3のように設け、真空処理
室1内を10-5Torr台に真空排気する。そして、出力1
00Kwの電子銃9からの電子ビーム13が、成膜ポイン
ト24からいずれか一つの蒸発材料14に延びる法線2
5に沿って該蒸発材料14に入射するように第1、及び
第2偏向コイル11、12に流す電流を調整する。この
場合、該第1偏向コイル11のヨーク11bを持つ偏向
コイルに100mAの電流を流すと共にヨーク11aを
持つ偏向コイルに1400mAの電流レベルを有し且つ
これより±30mAの範囲で周期的に変化する電流を流
し、第2偏向コイル12には2.3Aの電流を流すと、
該法線25に沿って電子ビーム13が蒸発材料14に入
射した。また、第2偏向コイル12の電流値を±10%
の範囲で制御器16により変化させると、電子ビーム1
3は基板フィルム7の走行方向すなわち棒状の蒸発材料
14の長さ方向に振られ、該蒸発材料14を法線25に
沿った入射状態を維持しながらしかもスキャンしながら
移動し、更にこれら第1偏向コイル11のヨーク11a
の偏向コイルの電流値を200mAずつ制御器16によ
り減少させると、電子ビーム13は平行に並んだ蒸発材
料14に次々と電子ビーム13が該法線25に沿って入
射し、順次に各蒸発材料14が均一に昇華蒸発した。
尚、スキャンの長さは100mmで、電子ビーム13を基
板フィルム7の幅方向に150mmずつ移動するように調
整し、このスキャンと移動を毎秒200回繰り返すよう
にした。蒸発材料14から基板フィルム7に向かう蒸気
は、この調整で指向性をもつようになり、基板フィルム
7の幅1500mm、長さ200mmの成膜ポイント24に
膜厚分布が±10%の略均一な厚さに成膜できるように
なる。蒸発源8からの昇華蒸発が安定したところで基板
フィルム7を50m/minの速度で巻き取り、シャッター
を開いて蒸気を基板フィルム7の表面に蒸着させ、Si
Oの膜を有するガスバリヤフィルムを製造した。得られ
た製品のSiO膜の膜厚平均は400オングストローム
で、目視では黄色味も観察できない程度に透明性が高
く、製品の酸素透過度は2cc/m2.day、水蒸気透湿度は
3g/m2.dayであった。該ガスバリヤフィルムの光透過率
を分光光度計により200〜1100nmの各波長に於い
て測定したところ、基板フィルムとほぼ同じ透過率であ
った。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明の方法によれば、電
子ビーム蒸発源に収めたガスバリヤフィルムの蒸発材料
を蒸発させて、その上方を走行する透明な合成樹脂製の
基板フィルムの面に略垂直に入射させるガスバリヤフィ
ルムの製造方法に於いて、該電子ビーム蒸発源のハース
に入射する電子ビームを、該基板フィルムの成膜ポイン
トに蒸気が略垂直に入射するように制御したので、酸素
透過度、水蒸気透湿度を損なわずに薄く蒸発材料を蒸着
して透明性のよいガスバリヤフィルムを製造でき、蒸着
膜が薄いので基板フィルムの走行速度を上げて生産性を
向上でき、電子ビームをスキャン制御して蒸発材料を有
効に使用できるから製造コストも安くなる等の効果があ
り、また本発明の装置では、該蒸発源から該材料の蒸気
が該基板フィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するよ
うに蒸発方向を制御する偏向コイルを電子銃の銃口付近
とハースの側部上方とに設けたので、上記方法を好都合
に実施できる効果がある。
子ビーム蒸発源に収めたガスバリヤフィルムの蒸発材料
を蒸発させて、その上方を走行する透明な合成樹脂製の
基板フィルムの面に略垂直に入射させるガスバリヤフィ
ルムの製造方法に於いて、該電子ビーム蒸発源のハース
に入射する電子ビームを、該基板フィルムの成膜ポイン
トに蒸気が略垂直に入射するように制御したので、酸素
透過度、水蒸気透湿度を損なわずに薄く蒸発材料を蒸着
して透明性のよいガスバリヤフィルムを製造でき、蒸着
膜が薄いので基板フィルムの走行速度を上げて生産性を
向上でき、電子ビームをスキャン制御して蒸発材料を有
効に使用できるから製造コストも安くなる等の効果があ
り、また本発明の装置では、該蒸発源から該材料の蒸気
が該基板フィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するよ
うに蒸発方向を制御する偏向コイルを電子銃の銃口付近
とハースの側部上方とに設けたので、上記方法を好都合
に実施できる効果がある。
【図1】 従来例の説明図
【図2】 本発明の実施例の截断側面図
【図3】 図2のA−A部分の截断面図
【図4】 入射角による酸素透過度の変化を示す線図
【図5】 入射角による水蒸気透湿度の変化を示す線図
【図6】 蒸着膜厚の変化とガスバリヤ性の関係を示す
線図
線図
【図7】 膜厚分布の測定結果の線図
【図8】 左右1対のヨークを持つ偏向コイルの電流制
御の線図
御の線図
【図9】 蒸発材料に対する電子ビームの入射状況の平
面図
面図
1 真空処理室 2 真空排気口 7
基板フィルム 8 電子ビーム蒸発源 9 電子銃 10
ハース 11 第1偏向コイル 12 第2偏向コイル 1
3 電子ビーム 14 蒸発材料 24 成膜ポイント 2
5 法線
基板フィルム 8 電子ビーム蒸発源 9 電子銃 10
ハース 11 第1偏向コイル 12 第2偏向コイル 1
3 電子ビーム 14 蒸発材料 24 成膜ポイント 2
5 法線
Claims (3)
- 【請求項1】 真空処理室内のガスバリヤ材料の蒸発物
を収めた電子ビーム蒸発源の上方に透明な合成樹脂製の
基板フィルムを走行させ、該基板フィルムの面に該蒸発
源から該材料の蒸気を略垂直に入射させてガスバリヤフ
ィルムを製造する方法に於いて、該電子ビーム蒸発源の
ハースに入射する電子ビームを、該基板フィルムの成膜
ポイントに蒸気が略垂直に入射するように制御したこと
を特徴とするガスバリヤフィルムの製造方法。 - 【請求項2】 上記電子ビームは、上記蒸発物の蒸発面
に、これと上記成膜ポイントの法線を結ぶ線に沿って入
射するように制御したことを特徴とする請求項1に記載
のガスバリヤフィルムの製造方法。 - 【請求項3】 真空排気口を備えた真空処理室内に、ガ
スバリヤ材料の蒸発物を収めた電子ビーム蒸発源を設
け、その上方に透明な合成樹脂製の基板フィルムを横断
走行自在に設け、該電子ビーム蒸発源から該材料の蒸気
が該基板フィルムの成膜ポイントに略垂直に入射するよ
うに蒸発方向を制御する偏向コイルを電子銃の銃口付近
と蒸発源のハースの側部上方とに設けたことを特徴とす
るガスバリヤフィルムの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33198692A JP3421064B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | ガスバリヤフィルムの製造方法と装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33198692A JP3421064B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | ガスバリヤフィルムの製造方法と装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06179959A true JPH06179959A (ja) | 1994-06-28 |
JP3421064B2 JP3421064B2 (ja) | 2003-06-30 |
Family
ID=18249869
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33198692A Expired - Lifetime JP3421064B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | ガスバリヤフィルムの製造方法と装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3421064B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999004057A1 (fr) * | 1997-07-14 | 1999-01-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Procede de fabrication de film fonctionnel mince et appareil correspondant |
JP2007291527A (ja) * | 1998-11-26 | 2007-11-08 | Toyobo Co Ltd | 透明ガスバリアフィルム |
JP2011256419A (ja) * | 2010-06-08 | 2011-12-22 | Toppan Printing Co Ltd | 蒸着フィルムおよびその製造方法 |
-
1992
- 1992-12-11 JP JP33198692A patent/JP3421064B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999004057A1 (fr) * | 1997-07-14 | 1999-01-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Procede de fabrication de film fonctionnel mince et appareil correspondant |
US6337105B1 (en) | 1997-07-14 | 2002-01-08 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Method and apparatus for forming thin functional film |
JP2007291527A (ja) * | 1998-11-26 | 2007-11-08 | Toyobo Co Ltd | 透明ガスバリアフィルム |
JP2011256419A (ja) * | 2010-06-08 | 2011-12-22 | Toppan Printing Co Ltd | 蒸着フィルムおよびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3421064B2 (ja) | 2003-06-30 |
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