JPH06174069A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JPH06174069A
JPH06174069A JP4350865A JP35086592A JPH06174069A JP H06174069 A JPH06174069 A JP H06174069A JP 4350865 A JP4350865 A JP 4350865A JP 35086592 A JP35086592 A JP 35086592A JP H06174069 A JPH06174069 A JP H06174069A
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shift
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 変速機構の動力伝達経路が複数の摩擦要素の
選択的締結によって切り換えられるように構成された自
動変速機において、シフトアップ変速時における出力ト
ルクの変動を防止して変速ショックを効果的に抑制する
ことを目的とする。 【構成】 互いに独立して作動する主変速機20と副変
速機30とを備えた自動変速機3において、例えば主変
速機20の入力回転数を検出するタービン回転センサ3
04からの信号と、副変速機30の出力回転数を検出す
る出力回転センサ305信号とをそれぞれコントローラ
300に入力し、主変速機20及び副変速機30の変速
時における全体のギヤ比の変化率を算出させる。そし
て、例えば主変速機20と副変速機30とで変速動作が
同時に行われるシフトアップ変速時において、主変速機
20及び副変速機30の全体のギヤ比の変化率が大きい
ほど当該自動変速機3の伝達トルクを低下させるように
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は自動車などに搭載され
る自動変速機の制御装置、特に変速機構の動力伝達経路
が複数の摩擦要素の選択的締結によって切り換えられる
ように構成された自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車に搭載される自動変速機
は、エンジン出力が入力されるトルクコンバータと、該
コンバータの出力によって駆動される変速機構とを組み
合わせ、この変速機構の動力伝達経路を複数の摩擦要素
の選択的締結によって切り換えることにより、所定の変
速段に自動的に変速するように構成されたものである
が、この種の自動変速機においては、上記各摩擦要素を
締結、解放させるための油圧作動式のアクチュエータが
備えられて、これらのアクチュエータに供給される油圧
(締結圧)の給排を制御することにより変速段が切り換
えられるようになっている。
【0003】一方、近年、自動変速機においては、燃費
性能や運転性能などの向上を目的として変速段の多段化
が図られているが、そのひとつの態様として、変速機構
を互いに独立して作動する主変速機と副変速機とで構成
し、例えば主変速機で変速が行われた出力を更に副変速
機で変速させることにより多段変速を行わせる場合があ
る。
【0004】ところで、この種の自動変速機において
は、エンジン出力が出力側へ伝達されている状態で変速
段がアップシフトする変速動作が行われる場合がある
が、この変速動作は、基本的には新たな摩擦要素が締結
することにより変速機構に制動力が作用して出力トルク
が落ち込む前半のトルクフェーズと、変速機構の各構成
要素の回転変化に起因する慣性力により出力トルクが増
大する後半のイナーシャフェーズとの挙動が異なる2つ
のフェーズに分かれて行われ、主としてトルクフェーズ
からイナーシャフェーズへ移行する際の出力トルクの変
動が所謂変速ショックとして現れて、乗員に不快感を与
えることになる。
【0005】この問題に対しては、例えば特公平2−2
0817号公報に記載されているように、自動変速機に
入力されるエンジンの出力トルクを変速時に低下させよ
うという考え方がある。これによれば、変速時において
は自動変速機の入力トルクが全体的に低下することか
ら、その分出力トルクの変動が少なくなって変速ショッ
クが緩和されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おいては、エンジンの出力トルクが変速動作の全期間を
通じて一律に低下されるようになっているので、変速シ
ョックを防止する上で次のように好ましくない事態を発
生する可能性がある。その問題を、互いに独立して作動
する変速機構を有する主変速機と副変速機とを直列状態
に結合させた自動変速機を例に説明する。
【0007】つまり、この種の自動変速機においては、
主変速機と副変速機とでギヤ比の変化が同方向の変速動
作が同時に行われる場合がある。その場合に、変速時に
おけるトルクダウン量が、例えば主変速機及び副変速機
の変速動作が同時に開始、終了するタイミングに対応し
て設定されているものとする。この場合、図20(a)
の破線で示すように、主変速機の変速動作の開始と同時
に副変速機の変速動作が開始すると共に、主変速機の変
速動作の終了と同時に副変速機の変速動作が終了する理
想的な状態で変速動作が進行すれば、変速動作後半のイ
ナーシャフェーズにおける出力軸トルクの波形が同図
(c)の破線で示すようにフラットに変化することにな
って特に問題はない。
【0008】しかしながら、現実には自動変速機を構成
する各種構成部材の特性のバラツキなどにより、主変速
機と副変速機とで変速動作のタイミングが異なることが
ある。このとき、両変速機で同時に変速動作が行われる
場合には、主変速機もしくは副変速機で単独で変速動作
が行われる場合に比べて全体のギヤ比の変化が大きく、
変速動作が急速に進行して慣性トルクが余分に放出され
ることになる。したがって、トルクダウン量が一定であ
ると、同図(c)の実線で示すようにイナーシャフェー
ズにおける出力軸トルクの波形が乱れて、これが新たな
変速ショックを惹起することになるのである。
【0009】なお、普通の自動変速機においても、イナ
ーシャフェーズの期間中に何らかの原因により変速動作
の進行速度が変化すると、出力トルクの波形が乱れて上
記と同様な問題が発生することになる。
【0010】この発明は、変速機構の動力伝達経路が複
数の摩擦要素の選択的締結によって切り換えられるよう
に構成された自動変速機において、変速段がアップシフ
トする変速動作が、エンジン出力が出力側へ伝達されて
いる状態で行われる場合における上記の問題に対処する
もので、イナーシャフェーズにおける出力軸トルクの変
動を抑制して変速ショックを更に効果的に抑制すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の請求項
1の発明(以下、第1発明という)に係る自動変速機の
制御装置は、変速機構の動力伝達経路が複数の摩擦要素
の選択的締結によって切り換えられるように構成された
自動変速機において、上記変速機構の変速時における回
転数の変化率を検出する回転数変化率検出手段と、シフ
トアップ変速時において、当該自動変速機の伝達トルク
を上記検出手段で検出される変速機構の回転数変化率が
大きいほど該伝達トルクが低下する方向に調整する伝達
トルク調整手段とを設けたことを特徴とする。
【0012】そして、本願の請求項2の発明(以下、第
2発明という)に係る自動変速機の制御装置は、互いに
独立して作動する変速機構を有する主変速機と副変速機
とを備え、各変速機における変速機構の動力伝達経路が
それぞれ複数の摩擦要素の選択的締結によって切り換え
られるように構成された自動変速機において、主変速機
及び副変速機の変速時における全体の回転数の変化率を
検出する回転数変化率検出手段と、主変速機と副変速機
とで変速動作が同時に行われるシフトアップ変速時にお
いて、当該自動変速機の伝達トルクを上記検出手段によ
って検出される主変速機及び副変速機の全体の回転数変
化率が大きいほど該伝達トルクが低下する方向に調整す
る伝達トルク調整手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】ところで、互いに独立して作動する主変速
機と副変速機とを備えた自動変速機においては、主変速
機及び副変速機の配置形態として、エンジンと副変速機
との間に主変速機を配置する場合がある。このような構
成の自動変速機において、シフトアップ変速に際して主
変速機のアップシフト方向への変速動作と、副変速機の
ダウンシフト方向への変速動作とが同時に行われる場合
には、当該自動変速機の伝達トルクを、主変速機及び副
変速機の全体の回転数変化率が大きいほど該伝達トルク
が低下する方向に調整すると、変速ショックを逆に増加
する懸念がある。
【0014】つまり、例えば副変速機における変速の進
行が目標よりも早すぎる場合には、副変速機の変速はダ
ウンシフトであることから、イナーシャフェーズで回転
上昇のために消費されるトルクが多くなり、該副変速機
の出力トルクが落ち込むことになる。一方、主変速機に
おいては、後段の副変速機の回転上昇により伝達トルク
が減少することになる。ここで、当該変速動作に関与す
る主変速機の摩擦要素に供給される締結圧が変化しない
ものとすると、伝達トルクが減少した分だけ該摩擦要素
のトルク伝達容量が相対的に増大して主変速機の変速動
作が早く進行することになる。その場合に、両変速機に
おける変速動作の進行状態によっては、全体の回転数変
化率が早くなる場合がある。このような場合、例えば全
体の回転数変化率が増大したときに自動変速機の伝達ト
ルクを小さくすると、副変速機の入力トルクが減少する
ことになり、それに副変速機の回転上昇に消費されるト
ルクの上昇分が重畳して、出力トルクが更に落ち込むこ
とになって変速ショックが大きくなるのである。
【0015】そこで、本願の請求項3の発明(以下、第
3発明という)に係る自動変速機の制御装置は、トルク
コンバータを介して入力されるエンジン出力を変速して
出力する主変速機と、該主変速機の出力を変速して出力
する副変速機とを備え、各変速機における変速機構の動
力伝達経路がそれぞれ複数の摩擦要素の選択的締結によ
って切り換えられるように構成された自動変速機におい
て、副変速機の変速時における回転数の変化率を検出す
る回転数変化率検出手段と、主変速機におけるアップシ
フト方向の変速動作と副変速機におけるダウンシフト方
向の変速動作とが同時に行われるシフトアップ変速時に
おいて、副変速機の伝達トルクを上記検出手段によって
検出される副変速機の回転数変化率が大きいほど該伝達
トルクが増大する方向に調整する伝達トルク調整手段と
を設けたことを特徴とする。
【0016】そして、本願の請求項4の発明(以下、第
4発明という)に係る自動変速機の制御装置は、上記第
1〜第3発明の構成における伝達トルク調整手段を、当
該自動変速機に入力されるエンジン出力を調整するエン
ジン出力調整手段で構成したことを特徴とする。
【0017】また、本願の請求項5の発明(以下、第5
発明という)に係る自動変速機の制御装置は、上記第1
〜第3発明の構成における伝達トルク調整手段を、変速
動作に関与する摩擦要素に供給される締結圧を調整する
油圧調整手段で構成したことを特徴とする。
【0018】
【作用】上記の構成によれば、次のような作用が得られ
る。
【0019】まず、第1、第2発明のいずれにおいて
も、シフトアップ変速時において、例えば当該自動変速
機の変速の進行が早すぎるときには、当該自動変速機の
伝達トルクが減少されることになるので、変速動作後半
のイナーシャフェーズにおいて放出されるトルクの増加
分が打ち消され、逆に変速の進行が遅すぎるときには、
上記伝達トルクが増大されることになるので、イナーシ
ャフェーズにおいて放出されるトルクの減少分が補われ
ることになって、変速中の出力軸トルクの急激な変動が
抑制されて、変速ショックが効果的に抑制されることに
なる。
【0020】特に、第2発明によれば、互いに独立して
作動する主変速機と副変速機とを備えた自動変速機にお
いて、主変速機と副変速機とで同時に変速動作が行われ
るシフトアップ変速時に、主変速機と副変速機とで異な
るタイミングで変速動作が行われる場合においても上記
の作用が得られることになり、変速中の出力軸トルクの
急激な変動が抑制されて、変速ショックがより一層効果
的に抑制されることになる。
【0021】また、第3発明によれば、トルクコンバー
タを介して入力されるエンジン出力を変速して出力する
主変速機と、該主変速機の出力を変速して出力する副変
速機とを備えた自動変速機において、主変速機における
アップシフト方向の変速動作と副変速機におけるダウン
シフト方向の変速動作とが同時に行われるシフトアップ
変速時においては、例えば副変速機のダウンシフト方向
の変速の進行が早すぎるときには、副変速機の伝達トル
クが増大されることになるので、副変速機で回転上昇の
ために余分に消費されるトルクが補われることになっ
て、出力軸トルクの低下が抑制されると共に、逆に副変
速機のダウンシフト方向の変速の進行が遅すぎるときに
は上記伝達トルクが減少されることになるので、副変速
機で消費されるトルクが少なすぎることによる出力軸ト
ルクの上昇も回避され、この場合においても変速中の出
力軸トルクの急激な変動がより適切に防止されて、変速
ショックがより一層効果的に抑制されることになる。
【0022】そして、第4発明によれば、上記第1〜第
3発明の作用が、応動性の良いエンジン出力の調整によ
り達成されるので、出力軸トルクの変動がより効果的に
防止されるという利点がある。
【0023】一方、第5発明によれば、上記第1〜第3
発明の作用が、自動変速機の摩擦要素に供給する締結圧
を調整することにより達成されるので、エンジン出力を
調整する場合に比べてシステム構成が簡素化されるとい
う利点がある。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0025】図1に示すように、本発明が適用される自
動車のパワープラント1は、エンジン2と自動変速機3
とで構成されていると共に、該自動変速機3で変速され
たエンジン2の出力トルクが、差動装置4を介して左右
の駆動輪5a,5bに伝達されるようになっている。
【0026】上記エンジン2の吸気通路201には、吸
入空気量ないしエンジン出力を調整するスロットルバル
ブ202が設けられていると共に、該スロットルバルブ
202の下流側で各気筒ごとに分岐された分岐通路に燃
料噴射用のインジェクタ203…203がそれぞれ設置
されている。
【0027】一方、エンジン2と共にパワープラント1
を構成する上記自動変速機3は、図2にも示すように、
トルクコンバータ10と、該トルクコンバータ10と同
一軸線上に配置された主変速機20と、これらの軸線と
平行な軸線上に配置された副変速機30と、上記主変速
機20及び副変速機30に備えられた摩擦要素に供給す
るライン圧を制御する油圧制御装置40とを有する。
【0028】上記トルクコンバータ10は、エンジン出
力軸2aに連結されたケース11に一体のポンプ12
と、該ポンプ12に対向配置されて該ポンプ12により
作動油を介して駆動されるタービン13と、該ポンプ1
2とタービン13との間に配置され、かつワンウェイク
ラッチ14を介して変速機ケース3aに支持されたステ
ータ15と、上記タービン13に連結されたコンバータ
出力軸16と、上記ケース11を介して該出力軸16を
エンジン出力軸2aに直結するロックアップクラッチ1
7とで構成されている。
【0029】なお、トルクコンバータ10と主変速機2
0との間には、該トルクコンバータ10を介してエンジ
ン出力軸2aで駆動されるオイルポンプ6が配置されて
いる。
【0030】上記主変速機20は、コンバータ出力軸1
6上におけるトルクコンバータ側に配置されたフロント
遊星歯車機構21と、反トルクコンバータ側に配置され
たリヤ遊星歯車機構22とを有する。そして、上記コン
バータ出力軸16が、前進クラッチ23を介してフロン
ト遊星歯車機構21のサンギヤ21aに、また、直結ク
ラッチ24を介してリヤ遊星歯車機構22のサンギヤ2
2aにそれぞれ結合されるようになっていると共に、フ
ロント遊星歯車機構21のサンギヤ21aとリヤ遊星歯
車機構22のリングギヤ22bとが結合されている。
【0031】また、フロント遊星歯車機構21のリング
ギヤ21bと変速機ケース3aとの間には、第1ワンウ
ェイクラッチ25とローリバースブレーキ26とが並列
に配置されていると共に、リヤ遊星歯車機構22のサン
ギヤ22aと変速機ケース3aとの間には、第2ワンウ
ェイクラッチ27と3−4ブレーキ28とが直列に配置
され、かつ、これらに並列にエンジンブレーキ用のコー
ストブレーキ29が配置されている。そして、フロント
遊星歯車機構21及びリヤ遊星歯車機構22のピニオン
キャリヤ21c,22cが結合され、これらに主変速機
20から副変速機30へ動力を伝達する中間ギヤ7が連
結されている。
【0032】このような構成により、この主変速機20
によれば、上記前進クラッチ23、直結クラッチ24、
3−4ブレーキ28及びローリバースブレーキ26を選
択的に締結させることにより、前進の低速段、中速段及
び高速段と後退段とが得られることになる。
【0033】一方、副変速機30は単一の遊星歯車機構
31を有し、上記主変速機20における中間ギヤ8に常
時噛み合った中間ギヤ8が該遊星歯車機構31のリング
ギヤ31aに連結されていると共に、該リングギヤ31
aとサンギヤ31bとの間には直結クラッチ32が配置
され、かつ、サンギヤ31bと変速機ケース3aとの間
には、第3ワンウェイクラッチ33と減速ブレーキ34
とが並列に配置されている。そして、該遊星歯車機構3
1のピニオンキャリヤ31cに出力ギヤ9が連結され、
該ギヤ9から上記差動装置4を介して左右の駆動輪5
a,5bに動力が伝達されるようになっている。
【0034】この副変速機30は、主変速機20から中
間ギヤ7,8を介して入力される動力を低速段と高速段
の前進2段に変速して出力ギヤ9に出力することができ
るようになっている。
【0035】つまり、直結クラッチ32が解放されてい
る状態では、第3ワンウェイクラッチ33もしくは減速
ブレーキ34によって遊星歯車機構31のサンギヤ31
bが固定されることにより、該遊星歯車機構31のリン
グギヤ31aに入力される中間ギヤ8からの動力が減速
されてピニオンキャリヤ31cから出力ギヤ8に出力さ
れ、これにより低速段が得られる。その場合に、上記減
速ブレーキ34が締結されておれば、この副変速機30
の単体として、エンジンブレーキが作動することにな
る。
【0036】また、上記直結クラッチ32が締結され、
かつ減速ブレーキ34が解放されておれば、該遊星歯車
機構31のリングギヤ31aとサンギヤ31bとが結合
されることにより、上記中間ギヤ8からの動力がピニオ
ンキャリヤ31cからそのまま出力ギヤ9に出力され、
これにより高速段(直結段)が得られることになる。
【0037】このようにして、主変速機20によって前
進3段、後退1段の変速段が得られ、また、副変速機3
0によって、主変速機20の出力に対して高低2段の変
速段が得られるから、自動変速機3の全体としては前進
については6段の変速段が得られ、また、後退について
は、主変速機20の後退段と副変速機30の減速ブレー
キ34が締結された低速段との組合せで全体としての後
退段が得られることになる。そして、この実施例では、
前進変速段としては上記6段のうちの所定の5段を採用
するようになっている。
【0038】ここで、この前進5段、後退1段の各変速
段における各クラッチやブレーキの作動状態をまとめる
と、表1のようになる。なお、表1中、(○)は、エン
ジンブレーキ用のレンジのみで締結されることを示す。
【0039】
【表1】 次に、上記表1に従って各クラッチ及びブレーキを選択
的に締結させることにより、運転状態もしくは運転者の
要求に応じた変速段を形成する油圧制御装置40につい
て説明する。
【0040】図3に示すように、この油圧制御装置40
には、まず、オイルポンプ6から吐出される作動油の圧
力を所定圧力のライン圧に調整するレギュレータバルブ
41が備えられ、該レギュレータバルブ41によって調
整されたライン圧が、メインライン42により、運転者
によって操作されるマニュアルバルブ43と、各種制御
用元圧を生成する第1〜第3レデューシングバルブ4
4,45,46とに供給されるようになっている。
【0041】これらのレデューシングバルブ44〜46
のうち、第1レデューシングバルブ44によって一定圧
に減圧された制御用元圧はライン47を介してモデュレ
ータバルブ48に供給されるようになっている。そし
て、このモデュレータバルブ48の制御ポート48aに
はデューティソレノイドバルブ49によって調整された
制御圧が供給され、このデューティソレノイドバルブ4
9のデューティ率(1ON,OFFサイクル中のON時
間の比率)に応じて上記制御元圧からモデュレータ圧が
生成されると共に、このモデュレータ圧がライン50を
介して上記レギュレータバルブ41の第1増圧ポート4
1aに供給され、これにより、ライン圧が上記デューテ
ィ率に応じて増圧されるようになっている。その場合
に、上記デューティ率は例えばエンジン2のスロットル
開度などに応じて設定さることにより、ライン圧が該ス
ロットル開度などに応じた値に調整されることになる。
【0042】なお、上記モデュレータ圧をレギュレータ
バルブ41の第1増圧ポート41aに供給するライン5
0には、デューティソレノイドバルブ49の周期的なO
N,OFF動作に起因する油圧の脈動を抑制するための
第1アキュムレータ51が設置されている。
【0043】また、上記マニュアルバルブ43は、D,
3,2,1の各前進レンジと、R(後退)レンジと、N
(中立)レンジと、P(駐車)レンジの設定が可能とさ
れており、前進レンジでは、上記メインライン42を前
進ライン52に、Rレンジでは後退ライン53にそれぞ
れ接続させるようになっている。
【0044】上記前進ライン52は、作動油の供給時と
排出時とで絞り量を異ならせたオリフィス54を介して
前進クラッチ23に導かれており、したがって、D,
3,2,1の各前進レンジでは、前進クラッチ23が常
時締結されることになる。その場合に、この前進ライン
52には、前進クラッチ23への締結圧の供給時におけ
るショックを緩和するための第2アキュムレータ55が
設置され、このアキュムレータ55に上記メインライン
42からライン56を介して背圧が供給されるようにな
っている。
【0045】ここで、副変速機30における直結クラッ
チ32の油圧室として受圧面積の異なる第1、第2油圧
室32a,32bが設けられており、これらの油圧室3
2a,32bに同一の締結圧が導入された場合に、受圧
面積の大きい第1油圧室32aに導入された場合の方が
第2油圧室32bに導入された場合より大きな締結力が
得られるようになっている。
【0046】また、減速ブレーキ34についても、受圧
面積の異なる第1、第2油圧室34a,34bが設けら
れており、この場合においても、これらの油圧室34
a,34bに同一の締結圧が導入された場合に、受圧面
積の大きい第1油圧室34aに締結圧が導入された場合
の方が第2油圧室34bに導入された場合より大きな締
結力が得られることになる。
【0047】そして、副変速機30における減速ブレー
キ34の受圧面積の大きな第1油圧室34aに上記後退
ライン53が直接導かれており、したがって、Rレンジ
では、この第1油圧室34aに導入されるライン圧によ
り、減速ブレーキ34が大きな締結力で締結されること
になる。なお、この後退ライン53からはレギュレータ
バルブ41の第2増圧ポート41bに通じるライン57
が分岐され、Rレンジでライン圧の調整値を高くするよ
うになっている。
【0048】一方、上記メインライン42、前進ライン
52及び後退ライン53からは、主変速機20における
変速用の第1、第2、第3シフトバルブ61,62,6
3と、副変速機30における変速用の第4、第5シフト
バルブ64,65とにライン圧が供給されるようになっ
ている。
【0049】これらのシフトバルブ61〜65は、いず
れも一端に制御ポート61a〜65aが設けられ、上記
第2レデューシングバルブ45から導かれた制御用元圧
ライン66が主変速機用の第1〜第3シフトバルブ61
〜63の各制御ポート61a〜63aに、また、第3レ
デューシングバルブ46から導かれた制御用元圧ライン
67が副変速機用の第4、第5シフトバルブ64,65
の各制御ポート64a,65aにそれぞれ接続されてい
る。
【0050】上記制御用元圧ライン66,67には、第
1〜第5シフトバルブ61〜65に対応させて第1〜第
5ON−OFFソレノイドバルブ71〜75が設置され
ている。これらのON−OFFソレノイドバルブ71〜
75は、ON時に当該シフトバルブ61〜65の制御ポ
ート61a〜65a内をドレンさせるようになってお
り、したがって、各シフトバルブ61〜65のスプール
は、対応するON−OFFソレノイドバルブ71〜75
がONのときに図面上、左側に位置し、OFFのときに
右側に位置することになる。
【0051】そして、これらのソレノイドバルブ71〜
75のON,OFFの組合せ、即ち各シフトバルブ61
〜65のスプールの位置の組合せに応じて、上記メイン
ライン42、前進ライン52もしくは後退ライン53か
ら各クラッチ及びブレーキに通じるラインが選択的に連
通され、これにより、前記表1に示すところに従って各
クラッチ及びブレーキが締結されて、1〜5速と後退速
とが得られることになる。その場合に、各クラッチ及び
ブレーキに供給される締結圧は、それぞれ次のようにし
て適正値に制御されるようになっている。
【0052】つまり、主変速機20における直結クラッ
チ24、コーストブレーキ29、ローリバースブレーキ
26及び3−4ブレーキ28については、ライン圧を減
圧して所定の締結圧に調整するためのコントロールバル
ブ76,77,78,79がそれぞれ備えられ、これら
のうち、コーストブレーキ用、ローリバースブレーキ用
及び3−4ブレーキ用のコントロールバルブ77,7
8,79については、制御ポート77a,78a,79
aに第1リニアソレノイドバルブ80によって調整され
た制御圧がライン81を介して供給されて、該制御圧に
応じて締結圧がそれぞれ制御されるようになっている。
【0053】また、直結クラッチ用コントロールバルブ
76の制御ポート76aには、ライン82によって直結
クラッチ24に供給される締結圧自体がワンウェイオリ
フィス83と第3アキュムレータ84とが設けられたラ
イン85を介して制御圧として供給され、このアキュム
レータ84の作動により該締結圧の立ち上がりが制御さ
れるようになっている。
【0054】なお、上記第1リニアソレノイドバルブ8
0は、上記第1レデューシングバルブ44からライン4
7を介して供給される制御元圧をコントローラ(図1参
照)からの制御信号に応じて調整して、そのときの変速
段や運転状態に応じた制御圧を生成するようになってい
る。また、上記直結クラッチ用コントロールバルブ76
と、上記ローリバースブレーキ用コントロールバルブ7
8の一端に設けられたポート76b,78bには、上記
後退ライン53から分岐された調圧動作禁止用ライン8
6がそれぞれ接続され、Rレンジで、これらのポート7
6b,78bにライン圧が供給されてスプールが図面
上、左側の位置に固定されることにより、該直結クラッ
チ用及びローリバースブレーキ用コントロールバルブ7
6,78の調圧動作が阻止されるようになっている。さ
らに、3−4ブレーキ用コントロールバルブ79の一端
のポート79bには、コーストブレーキ29に締結圧が
供給されるときに、該締結圧がライン87を介して供給
されて、該コントロールバルブ79の調圧動作が制限さ
れるようになっている。
【0055】また、上記第1リニアソレノイドバルブ8
0によって生成された制御圧は、ライン81を介してア
キュムレータ用コントロールバルブ88の制御ポート8
8aにも供給されるようになっている。このコントロー
ルバルブ88は、メインライン42からライン89を介
して供給されるライン圧を上記第1リニアソレノイドバ
ルブ80からの制御圧に応じて調整して、上記第3アキ
ュムレータ84及び第4アキュムレータ90用の背圧を
生成し、これをライン91によって両アキュムレータ8
4,90の背圧ポート84a,90aに供給するように
なっている。
【0056】一方、副変速機30における締結圧の制御
用として、直結クラッチ32の受圧面積の大きな1油圧
室32a及び受圧面積の小さな第2油圧室32bに供給
される締結圧を調整する直結クラッチ用コントロールバ
ルブ101と、減速ブレーキ34の受圧面積の小さな第
2油圧室34bに供給される締結圧を調整する減速ブレ
ーキ用コントロールバルブ102と、第2リニアソレノ
イドバルブ103とが備えられている。なお、減速ブレ
ーキ34の受圧面積の大きな第1油圧室34aには、前
述のように、Rレンジでマニュアルバルブ43から後退
ライン53を介してライン圧が直接供給される。
【0057】上記第2リニアソレノイドバルブ103
は、メインライン42からライン圧が制御元圧として供
給され、これをコントローラからの制御信号に応じて調
整した上で、ライン104及び第5シフトバルブ65か
ら、ライン105もしくはライン106を介して減速ブ
レーキ用コントロールバルブ102の制御ポート102
aに供給し、もしくは直結クラッチ32の第1油圧室3
2aに連通して該油圧室32aの油圧を調整する。そし
て、上記減速ブレーキ用コントロールバルブ102は、
上記のようにして第2リニアソレノイドバルブ103で
生成された制御圧が制御ポート102aに供給されてい
るときに、メインライン42からライン107、第4シ
フトバルブ64、ライン108、第5シフトバルブ65
及びライン109を介して供給されるライン圧を上記制
御圧に応じて調整し、これをライン110を介して減速
ブレーキ34の第2油圧室34bに供給する。
【0058】一方、直結クラッチ用コントロールバルブ
101には、メインライン42からライン107、第4
シフトバルブ64、ライン111を介してライン圧が供
給され、これを調整した上で、ワンウェイオリフィス1
12、ライン113及び第5シフトバルブ65から、上
記ライン106もしくはライン114を介して直結クラ
ッチ32の第1油圧室32aもしくは第2油圧室32b
に選択的に供給するようになっている。
【0059】そして、この直結クラッチ用コントロール
バルブ101の制御ポート101aには、上記直結クラ
ッチ32の第1油圧室32aもしくは第2油圧室32b
に供給される締結圧自体が、ワンウェイオリフィス11
5及び第5アキュムレータ116が設けられたライン1
17を介して制御圧として供給されるようになってお
り、したがって、上記締結圧は、第5アキュムレータ1
16の作動により一定の棚圧状態を経て立ち上がること
になる。なお、このアキュムレータ116の背圧ポート
116aには、メインライン42からライン118を介
して背圧が供給されるようになっている。
【0060】そして、以上の構成の油圧制御装置40に
おいて、第1〜第5ON−OFFソレノイドバルブ71
〜75のON,OFFの組合せパターンは表2に示すよ
うになっており、これにより前進の1〜5速と後退速と
が得られるようになっている。ここで、表2中、
(1)、(2)はエンジンブレーキ用レンジでの1速及
び2速を示す。
【0061】
【表2】 次に、この表2に従って各ON−OFFソレノイドバル
ブ71〜75のON,OFFの組合せと変速段との関係
を具体的に説明する。
【0062】まず、Dレンジなどで採用されるエンジン
ブレーキの作動しない1速では、主変速機20側では、
第1〜第3ON−OFFソレノイドバルブ71〜73が
ON,OFF,OFFの状態にあって、第1〜第3シフ
トバルブ61〜63のスプールが左側、右側、右側にそ
れぞれ位置している。この状態では、前進ライン52か
ら分岐されたライン121が第1シフトバルブ61を介
してライン122に連通し、さらに第2シフトバルブ6
2を介してライン123に連通するが、このライン12
3は第3シフトバルブ63で遮断される。また、同じく
前進ライン52から分岐された他のライン124は第2
シフトバルブ62で、メインライン42から分岐された
ライン125は第1シフトバルブ61でそれぞれ遮断さ
れる。したがって、この場合は、前述のように、前進レ
ンジで常時締結される前進クラッチ23のみが締結され
た状態となり、主変速機20においてエンジンブレーキ
が作動しない低速段が得られる。
【0063】そして、副変速機30においては、第4、
第5ON−OFFソレノイドバルブ74,75が共にO
FFの状態にあって、第4、第5シフトバルブ64,6
5のスプールが共に右側に位置することにより、メイン
ライン42がライン107及び第4シフトバルブ64を
介してライン108に連通し、さらに、第5シフトバル
ブ65を介して減速ブレーキ用コントロールバルブ10
2に至るライン109に連通して、該コントロールバル
ブ102にライン圧が供給される。このとき、第2リニ
アソレノイドバルブ103で生成された制御圧がライン
104、第5シフトバルブ65及びライン105を介し
て減速ブレーキ用コントロールバルブ102の制御ポー
ト102aに供給されることにより、上記ライン圧が該
制御圧に応じて調整され、所定の締結圧とされた上で、
ライン110を介して減速ブレーキ34の第2油圧室3
4bに供給され、該減速ブレーキ34が締結される。
【0064】また、直結クラッチ32は、第1油圧室3
2aがライン106、第5シフトバルブ65、ライン1
13、直結クラッチ用コントロールバルブ101及びラ
イン111を介して第4シフトバルブ64のドレンポー
トに連通し、また、第2油圧室32bが、ライン114
を介して第5シフトバルブ65のドレンポートに連通す
ることにより解放された状態にある。その結果、副変速
機30の変速段はエンジンブレーキが作動する低速段と
なり、自動変速機全体としては、エンジンブレーキの作
動しない1速となる。
【0065】また、1レンジや2レンジなどで採用され
るエンジンブレーキが作動する1速では、上記のエンジ
ンブレーキ非作動の1速に対して主変速機20における
第3ソレノイドバルブ73がONとなり、これに伴っ
て、第3シフトバルブ63のスプールが左側に位置す
る。したがって、この場合は、上記前進ライン52が、
その分岐ライン121、第1シフトバルブ61、ライン
122、第2シフトバルブ62、ライン123及び第3
シフトバルブ63を介してローリバースブレーキ用コン
トロールバルブ78に通じるライン126に連通し、該
コントロールバルブ78にライン圧が供給されることに
なる。
【0066】そして、このコントロールバルブ78に供
給されたライン圧は、第1リニアソレノイドバルブ80
からライン81を介して制御ポート78aに供給されて
いる制御圧に応じた締結圧に調整され、これがライン1
27を介してローリバースブレーキ29に供給される。
これにより、前進クラッチ23に加えて、ローリバース
ブレーキ29が締結され、主変速機20において、エン
ジンブレーキが作動する低速段が得られることになる。
そして、副変速機30においては、前述のエンジンブレ
ーキ非作動の1速の場合と同様に減速ブレーキ34が締
結されているから、自動変速機全体として、エンジンブ
レーキが作動する1速が得られる。
【0067】次に、Dレンジなどで採用されるエンジン
ブレーキ非作動の2速、及び1レンジや2レンジなどで
採用されるエンジンブレーキ作動の2速では、上記のエ
ンジンブレーキ非作動の1速及びエンジンブレーキ作動
の1速の状態に対して副変速機30の変速段のみが変化
する。
【0068】つまり、副変速機30における第4ON−
OFFソレノイドバルブ74がONとなり、これに伴っ
て第4シフトバルブ64のスプールが左側に位置する。
したがって、メインライン42からライン107を介し
て第4シフトバルブ64に供給されているライン圧が該
第4シフトバルブ64からライン111を介して直結ク
ラッチ用コントロールバルブ101に供給されると共
に、該コントロールバルブ101で立ち上がりを調整さ
れた上で、ライン113、第5シフトバルブ65及びラ
イン106を介して直結クラッチ32の第1油圧室32
aに供給されることになる。これにより、副変速機30
の変速段が高速段となり、その結果、自動変速機の全体
として、エンジンブレーキが作動しない2速或はエンジ
ンブレーキが作動する2速が得られることになる。
【0069】さらに、3速では、主変速機20におい
て、第1〜第3ON−OFFソレノイドバルブ71〜7
3がOFF,ON,ONとなり、これに伴って第1〜第
3シフトバルブ61〜63のスプールが、右側、左側、
左側に位置することになる。この場合、まず、前進ライ
ン52からの一方の分岐ライン121が、第1シフトバ
ルブ61を介してライン128に連通し、さらに第3シ
フトバルブ63を介してコーストブレーキ用コントロー
ルバルブ77に通じるライン129に連通する。したが
って、該コントロールバルブ77にライン圧が供給さ
れ、これが第1リニアソレノイドバルブ80からライン
81を介して供給される制御圧に応じて所定の締結圧に
調整された上で、ライン130を介してコーストブレー
キ29に供給され、これにより該コーストブレーキ29
が締結される。
【0070】また、前進ライン52からの他方の分岐ラ
イン124が第2シフトバルブ62を介して3−4ブレ
ーキ用コントロールバルブ79に通じるライン131に
連通し、該コントロールバルブ79にライン圧を供給す
る。このコントロールバルブ79には、上記第1リニア
ソレノイドバルブ80からライン81を介して制御圧が
供給されると共に、上記コーストブレーキ29に供給さ
れている締結圧がライン87を介して制御圧として供給
され、これらの制御圧に応じて調整された締結圧がライ
ン132を介して3−4ブレーキ28に供給されること
になる。
【0071】その結果、主変速機20においては、前進
クラッチ23に加えて3−4ブレーキ28が締結され、
しかも上記コーストブレーキ29も締結されることによ
り、エンジンブレーキが作動する中速段が得られること
になる。
【0072】一方、副変速機30においては、第4、第
5ON−OFFソレノイドバルブ74,75が共にOF
Fの状態にあって、前述の1速の場合と同様にして、変
速段がエンジンブレーキの作動する低速段に設定されて
いる。したがって、自動変速機の全体としては、所定の
減速比を有し、かつ、エンジンブレーキが作動する3速
が得られることになる。
【0073】そして、4速では、この3速の状態から副
変速機30における第4、第5ON−OFFソレノイド
バルブ74,75が共にONとなって、第4、第5シフ
トバルブ64,65のスプールが左側に位置し、これに
より、まず、前記の2速の場合と同様に、メインライン
42からライン107、第4シフトバルブ64、及びラ
イン111を介してライン圧が直結クラッチ用コントロ
ールバルブ101に供給され、該コントロールバルブ1
01で立ち上がりを調整され、所定の締結圧となって、
ライン113及び第5シフトバルブ65から、今度はラ
イン114を介して直結クラッチ32の第2油圧室32
bに供給されることになる。その結果、直結クラッチ3
2が締結されて副変速機30の変速段が高速段となる。
そして、主変速機20は上記の3速の場合と同様に中速
段に設定されているから、自動変速機全体としての変速
段は4速となる。
【0074】さらに、5速においては、主変速機20に
おける第1〜第3ON−OFFソレノイドバルブ71〜
73がOFF,ON,OFFとなって、第1〜第3シフ
トバルブ61〜63のスプールが右側、左側、右側に位
置する。そのため、メインライン42から分岐されたラ
イン125が第1シフトバルブ61を介してライン13
3に連通すると共に、さらに、第3シフトバルブ63を
介して直結クラッチ用コントロールバルブ76に通じる
ライン134に連通し、したがって、該コントロールバ
ルブ76にライン圧が供給されることになる。そして、
このコントロールバルブ76によって調整された締結圧
がライン82によって直結クラッチ24に供給され、該
クラッチ24を締結させる。これにより、主変速機20
においては、前進クラッチ23と直結クラッチ24とが
締結されて、変速段が高速段となる。なお、この直結ク
ラッチ24の締結時には、第3アキュムレータ84の作
用により、締結圧が一定の棚圧状態を経て供給される。
【0075】一方、副変速機30は、前述の4速の場合
と同様に、第4、第5ON−OFFソレノイドバルブ7
4,75が共にONの状態にあって、変速段は高速段に
設定されており、その結果、自動変速機の全体としては
5速が得られることになる。
【0076】さらに、上記マニュアルバルブ43がRレ
ンジに操作された後退速においては、該マニュアルバル
ブ43を介して後退ライン53がメインライン42に連
通されると共に、第1〜第3ON−OFFソレノイドバ
ルブ71〜73がOFF,OFF,OFFの状態となっ
て、第1〜第3シフトバルブ61〜63のスプールがい
ずれも右側に位置することになる。
【0077】そのため、まず、メインライン42から分
岐されたライン125が、前述の5速の場合と同様に、
第1シフトバルブ61を介してライン133に連通する
と共に、さらに、第3シフトバルブ63を介して直結ク
ラッチ用コントロールバルブ76に通じるライン134
に連通し、したがって、該コントロールバルブ76にラ
イン圧が供給されることになる。この場合は、該コント
ロールバルブ76の一端のポート76bに、上記後退ラ
イン53からライン86を介してライン圧が供給され
て、該コントロールバルブ76のスプールが図面上、左
側に固定されることにより、上記ライン134から供給
されたライン圧は、減圧されることなくライン82を介
してそのまま直結クラッチ24に供給され、該直結クラ
ッチ24を高い締結圧で締結させる。
【0078】また、上記後退ライン53は、作動油の供
給方向と排出方向とで絞り量が異なるオリフィス135
を有するライン136、第3シフトバルブ63及び前述
のライン126を介してローリバースブレーキ用コント
ロールバルブ78に連通して、上記のエンジンブレーキ
作動の1速の場合と同様に、該コントロールバルブ78
にライン圧を供給する。この場合、該コントロールバル
ブ78の一端のポート78bには、上記後退ライン53
から分岐されたライン86によってライン圧が導入され
ることにより、該コントロールバルブ78のスプールが
図面上、左側に固定される。そのため、上記ライン12
6によって供給されているライン圧は、該コントロール
バルブ78で調整されることなく、そのままローリバー
スブレーキ26に供給され、該ローリバースブレーキ2
6を高い締結圧で締結することになる。
【0079】これにより、主変速機20においては、直
結クラッチ24及びローリバースブレーキ26が締結さ
れ、後退段が得られる。そして、副変速機30において
は、第4,第5ON−OFFソレノイドバルブ74,7
5が共にOFFで、変速段がエンジンブレーキの作動す
る低速段に設定された状態にあり、減速比の大きな後退
速が得られる。
【0080】なお、上記ローリバースブレーキ26に締
結圧が供給される際には、上記ライン136からライン
137を介して第4アキュムレータ90に作動油が導入
されることにより、該締結圧が所定の棚圧状態を経て徐
々に立ち上がることになる。
【0081】以上の構成に加えて、この油圧制御装置4
0には、トルクコンバータ10内のロックアップクラッ
チ17を制御するためのロックアップ第1、第2シフト
バルブ141,142と、ロックアップコントロールバ
ルブ143と、ロックアップ制御用のON−OFFソレ
ノイドバルブ144と、デューティソレノイドバルブ1
45とが備えられて、ロックアップクラッチ17の締
結、解放制御と、該クラッチ17をスリップさせるスリ
ップ制御とが行われるようになっている。
【0082】そして、このパワープラント1には、図1
に示すように、エンジン2及び自動変速機3を統合制御
するコントローラが300が備えられている。このコン
トローラ300には、車速を検出する車速センサ301
からの信号、エンジン2のスロットル開度を検出するス
ロットル開度センサ302からの信号、運転者によって
選択されたシフト位置(レンジ)を検出するシフト位置
センサ303からの信号、主変速機20の入力側の回転
数(タービン回転数)を検出するタービン回転センサ3
04からの信号、主変速機20の出力側(副変速機30
の入力側)の回転数を検出する中間回転センサ305か
らの信号及び副変速機30の出力側の回転数を検出する
出力回転センサ306からの信号などが入力される。そ
して、該コントローラ300は、自動変速機3に対して
は、車速センサ301、スロットル開度センサ302及
びシフト位置センサ303からの信号に基づいて変速判
定を行い、判定した変速段が実現されるように上記油圧
制御装置40における変速用の第1〜第5ON−OFF
ソレノイドバルブ71〜75の作動を制御することによ
り変速制御を行うと共に、ライン圧制御用のデューティ
ソレノイドバルブ49と、第1、第2リニアソレノイド
バルブ80,103とを所定の特性に従って同時にもし
くは選択的に作動させることにより主変速機20におけ
る各摩擦要素及び副変速機30における各摩擦要素に供
給する締結圧を制御する油圧制御を行うようになってい
る。また、エンジン2に対しては上記各回転センサ30
4〜306からの信号に基づいてインジェクタ203…
203からの燃料噴射量を調整することにより、変速時
におけるトルクダウン制御を実施する。
【0083】本実施例に係るパワープラント1は以上の
ような構成であるが、このパワープラント1を構成する
自動変速機3においては、前述の表1からも明らかなよ
うに、例えば全体の変速段が3速から5速へアップシフ
トする際には、主変速機20においてコーストブレーキ
29が解放することにより、主変速機20の変速段が中
速段から高速段にアップシフトする一方において、副変
速機30における減速ブレーキ34が解放すると同時に
直結クラッチ32が締結することにより、副変速機30
の変速段が低速段から高速段にアップシフトすることに
なる。つまり、主変速機20と副変速機30とでギヤ比
の変化が同方向の変速動作が同時に行われることにな
る。
【0084】また、例えば全体の変速段が2速から3速
へアップシフトする際には、主変速機20において3−
4ブレーキ28及びコーストブレーキ29が共に締結す
ることにより、主変速機20の変速段が中速段から高速
段にアップシフトする一方において、副変速機30にお
ける直結クラッチ32が解放すると同時に減速ブレーキ
34が締結することにより、副変速機30の変速段が高
速段から低速段にアップシフトすることになる。つま
り、主変速機20と副変速機30とでギヤ比の変化が逆
方向の変速動作が同時に行われることになる。
【0085】そして、第1実施例においては、上記のよ
うに全体の変速段をアップシフトさせるための変速動作
が主変速機20と副変速機30とで同時に行われる際
に、変速制御と並行して次のようなエンジン2のトルク
ダウン制御が行われるようになっている。
【0086】まず、主変速機20と副変速機30とでギ
ヤ比の変化が同方向の変速動作が同時に行われる3−5
シフトアップ変速時においては、エンジン2のトルクダ
ウン制御が図4のフローチャートに従って次のように実
行される。
【0087】すなわち、コントローラ300はステップ
S1で変速制御が3−5シフトアップ変速か否かを判定
すると共に、変速制御が3−5シフトアップ変速である
と判定したときに、ステップS2に進んで図5に示すよ
うに予め目標タービン回転変化量(変速前後におけるタ
ービン回転数Nの変化量)をパラメータとして設定され
たベーストルクダウン量のマップに、当該変速時におけ
る目標タービン回転変化量△Nを当てはめて対応するベ
ーストルクダウン量Bd1を読み取る。
【0088】次に、コントローラ300はステップS3
を実行し、目標とする主変速機20及び副変速機30の
トータルしたギヤ比の変化率(以下、目標全体ギヤ比変
化率という)Dtoを読み取る。この目標全体ギヤ比変
化率Dtoは、例えば変速の種類ごとにそれぞれ所定の
目標時間で変速動作が完了するようにテーブルの形で設
定されており、この場合3−5シフトアップ変速に対応
する目標全体ギヤ比変化率Dtoが読み出されることに
なる。
【0089】そして、コントローラ300は、ステップ
S4を実行して現実の全体ギヤ比変化率Dtrから上記
目標全体ギヤ比変化率Dtoを減算することにより、全
体ギヤ比変化率偏差量△Dtを算出すると共に、ステッ
プS5を実行して図6に示すように予め全体ギヤ比変化
率偏差量をパラメータとして設定されたトルクダウン補
正係数のマップに、上記ステップS4で算出した全体ギ
ヤ比変化率偏差量△Dtを当てはめて対応するトルクダ
ウン補正係数Kt1を読み出す。この場合、上記トルク
ダウン補正係数のマップは、図6に示すように、全体ギ
ヤ比変化率偏差量△Dtの値が0のときにトルクダウン
補正係数Kt1が1となるように設定されていると共
に、該偏差量△Dtが0を境としてプラス方向へ増大す
るときには、その増大に伴ってトルクダウン補正係数K
t1が1以上の値となり、また該偏差量△Dtが0を境
としてマイナス方向へ増大するときには、その増大に伴
ってトルクダウン補正係数Kt1が1以下の値となるよ
うに設定されている。したがって、自動変速機3の全体
としての変速動作の進行が早すぎて、現実の全体ギヤ比
変化率Dtrが目標全体ギヤ比変化率Dtoよりも大き
いときには、上記トルクダウン補正係数Kt1が1より
大きい所定の値に設定されることになる。なお、全体ギ
ヤ比変化率Dtrは、タービン回転センサ304及び出
力回転センサ306からの信号に基づいて計算される。
【0090】そして、コントローラ300は、ステップ
S6を実行して上記ステップS2において読み取ったベ
ーストルクダウン量Bd1にステップS5で求めたトル
クダウン補正係数Kt1を乗算することにより最終トル
クダウン量を設定した上で、ステップS7でその最終ト
ルクダウン量が実現されるようにエンジン2のインジェ
クタ203…203に制御信号を出力すると共に、ステ
ップS8で変速続行か否かを判定して、変速続行である
と判定したときに上記ステップS3に戻り、それ以降の
各ステップを実行する。
【0091】次に、上記トルクダウン制御による作用を
説明する。
【0092】つまり、図7(a)に示すように、3−5
シフトアップ変速時におけるイナーシャフェーズが、3
−5指令が出力された後に主変速機20のギヤ比の変化
が開始し、それよりも遅れたタイミングで副変速機30
の変速動作が開始するまでの第1期間t1と、主変速機
20及び副変速機30で共に変速動作が進行する第2期
間t2と、主変速機20における変速動作が終了した後
の副変速機30で変速動作が進行する第3期間t3とに
分かれて進行するものとする。
【0093】その場合に、副変速機30が変速動作を開
始するまでの第1期間t1においては、主変速機20単
独で変速動作が進行するから全体のギヤ比は破線で示す
理想状態に比べて緩やかに減少することになる。この場
合、現実の全体ギヤ比変化率Dtrは目標全体ギヤ比変
化率Dtoよりも小さいことから、トルクダウン補正係
数Kt1が1よりも小さな値になる。したがって、最終
的なトルクダウン量は、矢印(ア)で示すようにベース
トルクダウン量Bd1よりも小さくなる。これにより、
上記第1期間t1における自動変速機3の伝達トルクは
相対的に大きくなり、矢印(イ)で示すように副変速機
30から取り出される出力軸トルクが増大することにな
る。
【0094】次に、主変速機20と副変速機30とで同
時に変速動作が進行している第2期間t2において、全
体のギヤ比が破線で示す理想状態に比べて急速に減少し
たとする。その場合には、現実の全体ギヤ比変化率Dt
rは目標全体ギヤ比変化率Dtoよりも大きいことか
ら、トルクダウン補正係数Kt1が1よりも大きな値に
なる。したがって、最終的なトルクダウン量は、矢印
(ウ)で示すようにベーストルクダウン量Bd1よりも
大きくなる。これにより、この間における自動変速機3
の伝達トルクは相対的に小さくなり、矢印(エ)で示す
ように出力軸トルクが低下することになる。
【0095】そして、主変速機20における変速動作が
終了した後でも副変速機30で変速動作が行われる上記
第3期間t3においては、上記第1期間t1と同様に全
体のギヤ比が破線で示す理想状態に比べて緩やかに減少
することになる。したがって、この場合においても矢印
(オ)で示すように自動変速機3の伝達トルクは相対的
に大きくなり、それに伴って副変速機30から取り出さ
れる出力軸トルクは矢印(カ)で示すように増大するこ
とになる。
【0096】つまり、主変速機20と副変速機30とで
変速動作のタイミングが異なる場合に、図7(b)の鎖
線で示すようにトルクダウン量が一定であるときには、
同図(c)の鎖線で示すようにイナーシャフェーズにお
ける出力軸トルクの波形が乱れるおそれがあるのに対し
て、この実施例においては全体のギヤ比の変化の度合に
応じてトルクダウン量を異ならせることにより、上記し
たようにイナーシャフェーズにおける出力軸トルクの波
形の乱れが防止されてフラットに変化し、変速ショック
が効果的に抑制されることになるのである。
【0097】もちろん、同様にして主変速機20及び副
変速機30で同時に変速段がアップシフトする1−4シ
フトアップ変速、1−5シフトアップ変速及び3−5シ
フトアップ変速においても、上記と同様な制御が行われ
ることになる。
【0098】一方、主変速機20と副変速機30とでギ
ヤ比の変化が逆方向の変速動作が同時に行われる2−3
シフトアップ変速時においては、エンジン2のトルクダ
ウン制御が図8のフローチャートに従って次のように実
行される。
【0099】すなわち、コントローラ300はステップ
T1で変速制御が2−3シフトアップ変速か否かを判定
すると共に、変速制御が2−3シフトアップ変速である
と判定したときに、ステップT2を実行して副変速機3
0が変速中か否かを判定する。なお、この判定は副変速
機30の前後に配置された中間回転センサ305からの
信号と出力回転センサ306からの信号とに基づいて行
われる。
【0100】そして、コントローラ300は副変速機3
0が変速中と判定したときには、ステップT3に進んで
図9に示すように予め目標タービン回転変化量をパラメ
ータとして設定されたベーストルクダウン量のマップ
に、当該変速時における目標タービン回転変化量△Nを
当てはめて対応するベーストルクダウン量Bd2を読み
取る。
【0101】次に、コントローラ300はステップT4
を実行し、目標とする副変速機30のギヤ比の変化率
(以下、目標副変ギヤ比変化率という)Dsoを読み取
る。この目標副変ギヤ比変化率Dsoは、例えば所定の
目標時間で変速動作が完了するように一定値に設定され
ている。
【0102】そして、コントローラ300は、ステップ
T5を実行して現実の副変ギヤ比変化率Dsrから上記
目標副変ギヤ比変化率Dsoを減算することにより、副
変ギヤ比変化率偏差量△Dsを算出すると共に、ステッ
プT6を実行して図10に示すように予め副変ギヤ比変
化率偏差量をパラメータとして設定されたトルクダウン
補正係数のマップに、上記ステップT5において算出し
た副変ギヤ比変化率偏差量△Dsを当てはめて対応する
トルクダウン補正係数Kt2を読み出す。この場合、上
記トルクダウン補正係数のマップは、図10に示すよう
に、副変ギヤ比変化率偏差量△Dsの値が0のときにト
ルクダウン補正係数Kt2が1となるように設定されて
いると共に、該偏差量△Dsが0を境としてプラス方向
へ増大するときには、その増大に伴ってトルクダウン補
正係数Kt2が1以下の値となり、また該偏差量△Ds
が0を境としてマイナス方向へ増大するときには、その
増大に伴ってトルクダウン補正係数Kt2が1以上の値
となるように設定されている。したがって、副変速機3
0の変速動作の進行が早すぎて、現実の副変ギヤ比変化
率Dsが目標副変ギヤ比変化率Dsよりも大きいときに
は、上記トルクダウン補正係数Kt2が1より小さな所
定の値に設定されることになる。
【0103】そして、コントローラ300は、ステップ
T7を実行して上記ステップT2において読み取ったベ
ーストルクダウン量Bd2にステップT6で求めたトル
クダウン補正係数Kt2を乗算することにより最終トル
クダウン量を設定した上で、ステップT8でその最終ト
ルクダウン量が実現されるようにエンジン2のインジェ
クタ203…203に制御信号を出力すると共に、ステ
ップT9で変速続行か否かを判定して、変速続行である
と判定したときに上記ステップT4に戻り、それ以降の
各ステップを実行する。
【0104】次に、上記トルクダウン制御による作用を
説明する。
【0105】つまり、図11(a)に示すように、2−
3シフトアップ変速時において、主変速機20と副変速
機30とで同時に変速動作が開始すると共に、主変速機
20の変速動作の終了と同期して副変速機30における
変速動作が終了するものと仮定する。そして、イナーシ
ャフェーズの前半において、何らかの原因により副変速
機30のギヤ比が破線で示す理想状態よりも急激に増大
したと仮定する。この場合、副変速機30の変速はダウ
ンシフトであるから回転上昇のために消費されるトルク
が多くなる。したがって、図11(b)の鎖線で示すよ
うにベーストルクダウン量Bd2に相当する分だけエン
ジン2の出力トルクを低下させると、矢印(キ)で示す
ように副変速機30から取り出される出力軸トルクが余
分に低下することになる。一方、主変速機20において
は、後段の副変速機30の余分な回転上昇によって伝達
トルクが減少する。ここで、変速動作に関与する3−4
ブレーキ28に供給される締結圧が変化しないものとす
ると、該3−4ブレーキ28のトルク伝達容量が相対的
に大きくなって変速の進行が早まり、それに伴って主変
速機20のギヤ比は矢印(ク)で示すように、破線で示
す理想状態に比べて急速に減少することになる。その場
合に、主変速機20におけるギヤ比の減少の度合が、副
変速機30におけるギヤ比の増大の度合よりも大きけれ
ば、全体としてのギヤ比は破線で示す理想状態に比べて
早く減少することになる。
【0106】また、イナーシャフェーズの後半におい
て、何らかの原因により副変速機30のギヤ比が破線で
示す理想状態よりも緩やかに増大する場合には、上記と
逆の現象が発生することになる。つまり、副変速機30
で消費されるトルクが減少し、それに伴って出力軸トル
クが今度は矢印(ケ)で示すように大きくなる一方にお
いて、主変速機20のギヤ比が今度は矢印(コ)で示す
ように、破線で示す理想状態に比べて緩やかに減少する
ことになる。そして、その場合に主変速機20における
ギヤ比の減少の度合が、副変速機30におけるギヤ比の
増大の度合よりも小さければ、全体のギヤ比は破線で示
す理想状態に比べて緩やかに減少することになる。
【0107】つまり、副変速機30でダウンシフトが行
われる2−3シフトアップ変速時においては、全体のギ
ヤ比の変化率に出力軸トルクの変化が明瞭に対応せず、
例えば全体のギヤ比の変化率が増大したときにエンジン
2の出力トルクを低下させた場合には、エンジン2の出
力トルクの低下に起因する出力軸トルクの低下に、副変
速機30における余分なトルクの吸収による出力軸トル
クの低下が重畳するなど、変速ショックを更に悪化させ
る懸念があるのである。
【0108】しかし、この実施例においては、上記した
ように副変ギヤ比変化率偏差量△Dsが大きいほどトル
クダウン量を小さくするように補正しているので、例え
ばイナーシャフェーズの前半において副変速機30のギ
ヤ比が急速に増加し、現実の副変ギヤ比変化率Dsrが
目標副変ギヤ比変化率Dsoよりも大きいときには、ト
ルクダウン補正係数Kt2が1よりも小さな値になる。
したがって、最終的なトルクダウン量は、矢印(サ)で
示すようにベーストルクダウン量Bd2よりも小さくな
る。これにより、主変速機20の入力トルクが大きくな
って矢印(シ)で示すように変速動作の進行が緩やかに
なる一方において、主変速機20を介して副変速機30
に伝達されるトルク量も多くなる。これにより、副変速
機30の伝達トルクが相対的に大きくなり、回転上昇の
ために余分に消費されるトルクが補われることになっ
て、矢印(ス)で示すように副変速機30から取り出さ
れる出力軸トルクも増大することになる。
【0109】一方、イナーシャフェーズの後半におい
て、副変速機30のギヤ比の増大が緩やかになって、現
実の副変ギヤ比変化率Dsrが目標副変ギヤ比変化率D
soよりも小さいときには、トルクダウン補正係数Kt
2が1よりも大きな値になる。この場合には、最終的な
トルクダウン量が、矢印(セ)で示すようにベーストル
クダウン量Bd2よりも大きくなる。これにより、主変
速機20の入力トルクが小さくなって矢印(ソ)で示す
ように変速動作の進行が急速になる一方において、主変
速機20を介して副変速機30に伝達されるトルク量が
少なくなる。これにより、副変速機30の伝達トルクが
相対的に小さくなり、副変速機30の変速の進行が遅す
ぎることによるトルクの余剰分が相殺されることになっ
て、矢印(タ)で示すように副変速機30から取り出さ
れる出力軸トルクも減少することになる。
【0110】したがって、図11(b)の鎖線で示すよ
うにトルクダウン量が一定であるときには、同図(c)
の鎖線で示すようにイナーシャフェーズにおける出力軸
トルクの波形が乱れるおそれがあるのに対して、この実
施例においては副変速機30のギヤ比の変化の度合に応
じてトルクダウン量を異ならせることにより、上記した
ように出力軸トルクの波形の乱れが防止されてフラット
に変化し、変速ショックがより効果的に抑制されること
になるのである。
【0111】なお、運転者のシフト操作に起因して発生
するマニュアルアップ時においても上記の制御を行わせ
るようにしても良い。
【0112】特に、この実施例のように、油圧に比べて
応動性のよいエンジン2の出力トルクの調整により、自
動変速機3ないし副変速機30の伝達トルクを調整する
ことにより、出力軸トルクの変動がより効果的に防止さ
れるという利点がある。
【0113】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。
【0114】この第2実施例においては、自動変速機3
の全体の変速段をアップシフトさせるための変速動作が
主変速機20と副変速機30とで同時に行われる際に、
変速制御と並行して次のような油圧制御が行われるよう
になっている。
【0115】まず、主変速機20と副変速機30とでギ
ヤ比の変化が同方向の変速動作が同時に行われる3−5
シフトアップ変速時においては、変速時における油圧制
御が図12のフローチャートに従って次のように実行さ
れる。
【0116】すなわち、コントローラ300はステップ
U1で変速制御が3−5シフトアップ変速か否かを判定
すると共に、変速制御が3−5シフトアップ変速である
と判定したときに、ステップU2に進んで図13に示す
ように予め目標タービン回転変化量をパラメータとして
設定されたベースライン圧のマップに、当該変速時にお
ける目標タービン回転変化量△Nを当てはめて対応する
ベースライン圧Plを読み取る。
【0117】次に、コントローラ300はステップU3
を実行して目標全体ギヤ比変化率という)Dtoを読み
取る。
【0118】そして、コントローラ300は、ステップ
U4を実行して現実の全体ギヤ比変化率Dtrから上記
目標全体ギヤ比変化率Dtoを減算することにより、全
体ギヤ比変化率偏差量△Dtを算出すると共に、ステッ
プU5を実行して図14に示すように予め全体ギヤ比変
化率偏差量をパラメータとして設定された油圧補正係数
のマップに、上記ステップU4で算出した全体ギヤ比変
化率偏差量△Dtを当てはめて対応する油圧補正係数K
p1を読み出す。この場合、上記油圧補正係数のマップ
は、図14に示すように、全体ギヤ比変化率偏差量△D
tの値が0のときに油圧補正係数Kp1が1となるよう
に設定されていると共に、該偏差量△Dtが0を境とし
てプラス方向へ増大するときには、その増大に伴って油
圧補正係数Kp1が1以下の値となり、また該偏差量△
Dtが0を境としてマイナス方向へ増大するときには、
その増大に伴って油圧補正係数Kp1が1以上の値とな
るように設定されている。したがって、自動変速機3の
全体としての変速動作の進行が早すぎて、現実の全体ギ
ヤ比変化率Dtrが目標全体ギヤ比変化率Dtoよりも
大きいときには、上記油圧補正係数Kp1が1より小さ
い所定の値に設定されることになる。
【0119】そして、コントローラ300は、ステップ
U6を実行して上記ステップU2において読み取ったベ
ースライン圧PlにステップU5で求めた油圧補正係数
Kp1を乗算することにより最終油圧制御量を設定した
上で、ステップU7でその最終油圧制御量が実現される
ように油圧制御装置40におけるライン圧制御のデュー
ティソレノイドバルブ49に制御信号を出力すると共
に、ステップU8で変速続行か否かを判定して、変速続
行であると判定したときに上記ステップU3に戻り、そ
れ以降の各ステップを実行する。
【0120】次に、上記油圧制御による作用を説明す
る。
【0121】つまり、図15(a)に示すように、3−
5シフトアップ変速時におけるイナーシャフェーズが、
上記第1実施例と同様に、3−5指令が出力された後に
主変速機20のギヤ比の変化が開始し、それよりも遅れ
たタイミングで副変速機30の変速動作が開始するまで
の第1期間t1’と、主変速機20及び副変速機30で
共に変速動作が進行する第2期間t2’と、主変速機2
0における変速動作が終了した後の副変速機30で変速
動作が進行する第3期間t3’とに分かれて進行するも
のとする。
【0122】その場合に、副変速機30が変速動作を開
始するまでの第1期間t1’においては、主変速機20
単独で変速動作が進行するから全体のギヤ比は破線で示
す理想状態に比べて緩やかに減少することになる。この
場合、現実の全体ギヤ比変化率Dtrは目標全体ギヤ比
変化率Dtoよりも小さいことから、油圧補正係数Kp
1が1よりも大きな値になる。したがって、最終的なラ
イン圧は、矢印(チ)で示すように鎖線で示すベースラ
イン圧よりも大きくなり、それに伴って主変速機20の
変速動作に関与するコーストブレーキ29に供給される
締結圧が増大して、該ブレーキ29のトルク伝達容量が
増大することにより主変速機20から放出されるトルク
も増大する。これにより、上記第1期間t1’における
自動変速機3の伝達トルクも相対的に大きくなり、矢印
(ツ)で示すように副変速機30から取り出される出力
軸トルクが増大することになる。
【0123】次に、主変速機20と副変速機30とで同
時に変速動作が進行している第2期間t2’において、
全体のギヤ比が破線で示す理想状態に比べて急速に減少
したとする。その場合には、現実の全体ギヤ比変化率D
trは目標全体ギヤ比変化率Dtoよりも大きいことか
ら、油圧補正係数Kp1が1よりも小さな値になる。し
たがって、最終的なライン圧は、矢印(テ)で示すよう
にベースライン圧よりも小さくなる。これにより、この
間における自動変速機3の伝達トルクも相対的に小さく
なり、矢印(ト)で示すように出力軸トルクが低下する
ことになる。
【0124】そして、主変速機20における変速動作が
終了した後でも副変速機30で変速動作が行われる第3
期間t3’においては、上記第1期間t1’と同様に全
体のギヤ比が破線で示す理想状態に比べて緩やかに減少
することになる。したがって、この場合においても矢印
(ナ)で示すようにライン圧が増加することにより自動
変速機3の伝達トルクが相対的に大きくなり、それに伴
って副変速機30から取り出される出力軸トルクは矢印
(ニ)で示すように増大することになる。
【0125】したがって、この実施例においても、イナ
ーシャフェーズにおける出力軸トルクの波形の乱れが防
止されてフラットに変化し、変速ショックが効果的に抑
制されることになるのである。
【0126】もちろん、同様にして主変速機20及び副
変速機30で同時に変速段がアップシフトする1−4シ
フトアップ変速、1−5シフトアップ変速及び3−5シ
フトアップ変速においても、上記と同様な制御が行われ
ることになる。
【0127】一方、主変速機20と副変速機30とでギ
ヤ比の変化が逆方向の変速動作が同時に行われる2−3
シフトアップ変速時においては、自動変速機3の油圧制
御が図16のフローチャートに従って次のように実行さ
れる。
【0128】すなわち、コントローラ300はステップ
V1で変速制御が2−3シフトアップ変速か否かを判定
すると共に、変速制御が2−3シフトアップ変速である
と判定したときに、ステップV2を実行して副変速機3
0が変速中か否かを判定する。
【0129】そして、コントローラ300は副変速機3
0が変速中と判定したときには、ステップV3に進んで
図17に示すように予め目標タービン回転変化量をパラ
メータとして設定されたベース主変油圧のマップに、当
該変速時における目標タービン回転変化量△Nを当ては
めて対応するベース主変油圧Pmを読み取る。
【0130】次に、コントローラ300はステップV4
を実行して目標副変ギヤ比変化率Dsoを読み取る。
【0131】そして、コントローラ300は、ステップ
V5を実行して現実の副変ギヤ比変化率Dsrから上記
目標副変ギヤ比変化率Dsoを減算することにより、副
変ギヤ比変化率偏差量△Dsを算出すると共に、ステッ
プV6を実行して図18に示すように予め副変ギヤ比変
化率偏差量をパラメータとして設定された油圧補正係数
のマップに、上記ステップV5で算出した副変ギヤ比変
化率偏差量△Dsを当てはめて対応する油圧補正係数K
p2を読み出す。この場合、上記油圧補正係数のマップ
は、図18に示すように、副変ギヤ比変化率偏差量△D
sの値が0のときに油圧補正係数Kp2が1となるよう
に設定されていると共に、該偏差量△Dsが0を境とし
てプラス方向へ増大するときには、その増大に伴って油
圧補正係数Kp2が1以上の値となり、また該偏差量△
Dsが0を境としてマイナス方向へ増大するときには、
その増大に伴って油圧補正係数Kp2が1以下の値とな
るように設定されている。したがって、副変速機30の
変速動作の進行が早すぎて、現実の副変ギヤ比変化率D
srが目標副変ギヤ比変化率Dsoよりも大きいときに
は、上記油圧補正係数Kt2が1より大きな所定の値に
設定されることになる。
【0132】そして、コントローラ300は、ステップ
V7を実行して上記ステップV2において読み取ったベ
ース主変油圧PmにステップV6で求めた油圧補正係数
Kp2を乗算することにより最終油圧制御量を設定した
上で、ステップV8でその最終油圧制御量が実現される
ように油圧制御装置40における主変速機20の締結圧
を調整する第1リニアソレノイドバルブ80に制御信号
を出力すると共に、ステップV9で変速続行か否かを判
定して、変速続行であると判定したときに上記ステップ
V4に戻り、それ以降の各ステップを実行する。
【0133】次に、上記油圧制御による作用を説明す
る。
【0134】つまり、図19(a)に示すように、2−
3シフトアップ変速時において、上記第1実施例と同様
に主変速機20と副変速機30とで同時に変速動作が開
始すると共に、主変速機20の変速動作の終了と同期し
て副変速機30における変速動作が終了するものと仮定
する。
【0135】そして、第1実施例と同様に例えばイナー
シャフェーズの前半において副変速機30のギヤ比が急
速に増加し、現実の副変ギヤ比変化率Dsrが目標副変
ギヤ比変化率Dsoよりも大きいとすると、油圧補正係
数Kp2が1よりも大きな値になる。したがって、最終
的な主変油圧は、矢印(ヌ)で示すように鎖線で示すベ
ース主変油圧よりも大きくなる。これにより、主変速機
20において変速動作に関与する3−4ブレーキ28に
供給される締結圧が増大し、該3−4ブレーキ28のト
ルク伝達容量が増大して矢印(ネ)で示すように主変速
機20の変速動作の進行が早くなって回転低下によるト
ルクの放出量が多くなり、それに伴って副変速機30に
伝達されるトルク量も多くなる。これにより、副変速機
30の伝達トルクが相対的に大きくなり、回転上昇のた
めに余分に消費されるトルクが補われることになって、
矢印(ノ)で示すように副変速機30から取り出される
出力軸トルクも増大することになる。
【0136】一方、イナーシャフェーズの後半におい
て、副変速機30のギヤ比の増大が緩やかになって、現
実の副変ギヤ比変化率Dsrが目標副変ギヤ比変化率D
soよりも小さいときには、油圧補正係数Kp2が1よ
りも小さな値になる。この場合には、最終的な主変油圧
が、矢印(ハ)で示すようにベース主変油圧よりも小さ
くなる。これにより、上記3−4ブレーキ28に供給さ
れる締結圧が減少し、該3−4ブレーキ28のトルク伝
達容量が減少して矢印(ヒ)で示すように主変速機20
の変速動作の進行が遅くなって回転低下によるトルクの
放出量が少なくなり、それに伴って副変速機30に伝達
されるトルク量も少なくなる。これにより、副変速機3
0の伝達トルクが相対的に小さくなり、副変速機30の
変速が遅すぎることによるトルクの余剰分が相殺される
ことになって、矢印(フ)で示すように副変速機30か
ら取り出される出力軸トルクも減少することになる。
【0137】したがって、この実施例においても、イナ
ーシャフェーズにおける出力軸トルクの波形の乱れが抑
制されてフラットに変化し、変速ショックがより効果的
に防止されることになるのである。
【0138】特に、この実施例のように、変速時におけ
るギヤ比の変化率に応じて油圧を調整することにより、
自動変速機3ないし副変速機30の伝達トルクを調整す
るようにすれば、エンジン2の出力トルクの調整によっ
て伝達トルクを調整する場合に比べてシステム構成が簡
素化されるという利点がある。
【0139】なお、以上の例では主変速機20と副変速
機30とで変速動作が行われるシフトアップ変速時につ
いて説明したが、主変速機20もしくは副変速機30で
単独でシフトアップ変速が行われる場合についても上記
の制御を行わせるようにしてもよい。また、通常の自動
変速機について実施することも可能である。
【0140】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、第1、第
2発明のいずれにおいても、シフトアップ変速時におい
て、例えば当該自動変速機の変速の進行が早すぎるとき
には、当該自動変速機の伝達トルクが減少されることに
なるので、変速動作後半のイナーシャフェーズにおいて
放出されるトルクの増加分が打ち消され、逆に変速の進
行が遅すぎるときには、上記伝達トルクが増大されるこ
とになるので、イナーシャフェーズにおいて放出される
トルクの減少分が補われることになって、変速中の出力
軸トルクの急激な変動が防止されて、変速ショックが効
果的に抑制されることになる。
【0141】特に、第2発明によれば、互いに独立して
作動する主変速機と副変速機とを備えた自動変速機にお
いて、主変速機と副変速機とで同時に変速動作が行われ
るシフトアップ変速時に、主変速機と副変速機とで異な
るタイミングで変速動作が行われる場合においても上記
の作用が得られることになり、変速中の出力軸トルクの
急激な変動が防止されて、変速ショックがより一層効果
的に抑制されることになる。
【0142】また、第3発明によれば、トルクコンバー
タを介して入力されるエンジン出力を変速して出力する
主変速機と、該主変速機の出力を変速して出力する副変
速機とを備えた自動変速機において、主変速機における
アップシフト方向の変速動作と副変速機におけるダウン
シフト方向の変速動作とが同時に行われるシフトアップ
変速時においては、例えば副変速機のダウンシフト方向
の変速の進行が早すぎるときには、副変速機の伝達トル
クが増大されることになるので、副変速機で回転上昇の
ために余分に消費されるトルクが補われることになっ
て、出力軸トルクの低下が抑制されると共に、逆に副変
速機のダウンシフト方向の変速の進行が遅すぎるときに
は上記伝達トルクが減少されることになるので、副変速
機で消費されるトルクが少なすぎることによる出力軸ト
ルクの上昇も回避され、この場合においても変速中の出
力軸トルクの急激な変動がより適切に防止されて、変速
ショックがより一層効果的に抑制されることになる。
【0143】そして、第4発明によれば、上記の作用が
応動性の良いエンジン出力の調整により達成されるの
で、出力軸トルクの変動がより効果的に抑制されるとい
う利点がある。
【0144】一方、第5発明によれば、上記の作用が自
動変速機の摩擦要素に供給する締結圧を調整することに
より達成されるので、エンジン出力を調整する場合に比
べてシステム構成が簡素化されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるパワープラントの制御シ
ステム図である。
【図2】 実施例に係る自動変速機の骨子図である。
【図3】 自動変速機の油圧制御装置の油圧回路を示す
回路図である。
【図4】 3−5変速時におけるトルクダウン制御を示
すフローチャート図である。
【図5】 該制御に用いるベーストルクダウン量のマッ
プの設定状態を示す特性図である。
【図6】 同じく該制御に用いるトルクダウン補正係数
のマップの設定状態を示す特性図である。
【図7】 該制御による作用を説明するためのタイムチ
ャート図である。
【図8】 1−2変速時におけるトルクダウン制御を示
すフローチャート図である。
【図9】 該制御に用いるベーストルクダウン量のマッ
プの設定状態を示す特性図である。
【図10】 同じく該制御に用いるトルクダウン補正係
数のマップの設定状態を示す特性図である。
【図11】 該制御による作用を説明するためのタイム
チャート図である。
【図12】 本発明の第2実施例に係る3−5変速時に
おける油圧制御を示すフローチャート図である。
【図13】 該制御に用いるベースライン圧のマップの
設定状態を示す特性図である。
【図14】 同じく該制御に用いる油圧補正係数のマッ
プの設定状態を示す特性図である。
【図15】 該制御による作用を説明するためのタイム
チャート図である。
【図16】 同じく第2実施例に係る1−2変速時にお
ける油圧制御を示すフローチャート図である。
【図17】 該制御に用いるベース主変油圧のマップの
設定状態を示す特性図である。
【図18】 同じく該制御に用いる油圧補正係数のマッ
プの設定状態を示す特性図である。
【図19】 該制御による作用を説明するためのタイム
チャート図である。
【図20】 従来の問題点の説明図である。
【符号の説明】
2 エンジン 3 自動変速機 20 主変速機 30 副変速機 40 油圧制御装置 203 インジェクタ 300 コントローラ 304 タービン回転センサ 305 中間回転センサ 306 出力回転センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02P 5/04 5/15 B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速機構の動力伝達経路が複数の摩擦要
    素の選択的締結によって切り換えられるように構成され
    た自動変速機の制御装置であって、上記変速機構の変速
    時における回転数の変化率を検出する回転数変化率検出
    手段と、シフトアップ変速時において、当該自動変速機
    の伝達トルクを上記検出手段で検出される変速機構の回
    転数変化率が大きいほど該伝達トルクが低下する方向に
    調整する伝達トルク調整手段とが設けられていることを
    特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 互いに独立して作動する変速機構を有す
    る主変速機と副変速機とを備え、各変速機における変速
    機構の動力伝達経路がそれぞれ複数の摩擦要素の選択的
    締結によって切り換えられるように構成された自動変速
    機の制御装置であって、主変速機及び副変速機の変速時
    における全体の回転数の変化率を検出する回転数変化率
    検出手段と、主変速機と副変速機とで変速動作が同時に
    行われるシフトアップ変速時において、当該自動変速機
    の伝達トルクを上記検出手段によって検出される主変速
    機及び副変速機の全体の回転数変化率が大きいほど該伝
    達トルクが低下する方向に調整する伝達トルク調整手段
    とが設けられていることを特徴とする自動変速機の制御
    装置。
  3. 【請求項3】 トルクコンバータを介して入力されるエ
    ンジン出力を変速して出力する主変速機と、該主変速機
    の出力を変速して出力する副変速機とを備え、各変速機
    における変速機構の動力伝達経路がそれぞれ複数の摩擦
    要素の選択的締結によって切り換えられるように構成さ
    れた自動変速機の制御装置であって、副変速機の変速時
    における回転数の変化率を検出する回転数変化率検出手
    段と、主変速機におけるアップシフト方向の変速動作と
    副変速機におけるダウンシフト方向の変速動作とが同時
    に行われるシフトアップ変速時において、副変速機の伝
    達トルクを上記検出手段によって検出される副変速機の
    回転数変化率が大きいほど該伝達トルクが増大する方向
    に調整する伝達トルク調整手段とが設けられていること
    を特徴とする自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 伝達トルク調整手段は、当該自動変速機
    に入力されるエンジン出力を調整するエンジン出力調整
    手段で構成されていることを特徴とする請求項1から請
    求項3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 伝達トルク調整手段は、変速動作に関与
    する摩擦要素に供給される締結圧を調整する油圧調整手
    段で構成されていることを特徴とする請求項1から請求
    項3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014061563A1 (ja) * 2012-10-15 2014-04-24 ジヤトコ株式会社 無段変速機及びその制御方法
WO2015060051A1 (ja) * 2013-10-23 2015-04-30 ジヤトコ株式会社 無段変速機の制御装置

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