JPH06173167A - 吸湿性を有する繊維構造物及び製造方法 - Google Patents

吸湿性を有する繊維構造物及び製造方法

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JPH06173167A
JPH06173167A JP35101092A JP35101092A JPH06173167A JP H06173167 A JPH06173167 A JP H06173167A JP 35101092 A JP35101092 A JP 35101092A JP 35101092 A JP35101092 A JP 35101092A JP H06173167 A JPH06173167 A JP H06173167A
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Japan
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fiber
hollow
polymer
monomer
hygroscopic agent
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JP35101092A
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Junji Sano
準治 佐野
Tomoo Une
智夫 宇根
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、繊維形成性ポリマーからなり、繊
維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有しかつ中空部
に吸湿剤が付着している中空繊維を少くとも一部に用い
たことを特徴とする繊維構造物である。 【効果】 繊維中空部内に吸湿剤が付与されることによ
り、洗濯等によって脱落しにくく、耐久性のある優れた
吸湿性を有しており、シャツやブラウス用途のみならず
下着分野にも好適に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸湿性を有する繊維構
造物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維は衣料用布帛,産業用資
材などに広く用いられてきたが、極めて吸湿性が低いた
め、肌着,タオルなどの吸湿,吸水が期待される分野へ
の進出は限定されている。シャツ,ブラウス等の分野に
おいて、直接肌に接する場合の要求される吸湿,吸水性
について改善する提案が種々なされており、例えば、吸
水性を改善するためには、繊維形成性ポリマーからな
る、繊維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有する、
中空繊維が特開昭56−169817号公報及び特公昭
60−37203号公報等に提案されている。これらの
中空繊維は吸水性能を有しかつ軽量であるので、衣料用
布帛に用いるのに好適であるが、吸湿性はほとんど向上
しないものであった。
【0003】また特公昭53−8590号公報に提案さ
れている如くグラフト加工により吸湿性を付与する方法
もあるが耐アルカリ性の低下が著しく実用性に乏しい。
また繊維の表面に吸湿剤を多量付ける方法では繊維間の
自由な動きを拘束するため、風合いが固く、耐久性も十
分でないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
らの従来の吸水性合成繊維の欠点を改良すること、すな
わち風合いが固くならず、繊維物性も正常で、耐久性の
ある吸湿性を有する繊維構造物を提案するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維形成性ポ
リマーからなり、繊維表面から中空部まで貫通する貫通
溝を有しかつ中空部に吸湿剤が付着している中空繊維を
少くとも一部に用いたことを特徴とする繊維構造物であ
る。
【0006】本発明において繊維形成性ポリマーとは、
ポリエステル系,ポリアミド系,ポリアクリロニトリル
系,ポリウレタン系をあげることができる。
【0007】本発明において繊維表面から中空部まで貫
通する貫通溝を有する中空繊維としては、特に限定され
ないが、繊維表面から中空部まで貫通する繊維軸に平行
な亀裂を有する中空繊維が好ましく、繊維形成性ポリマ
ーの鞘部と、それよりも溶解性又は分解性の大きいポリ
マーの芯部とよりなる複合繊維を作り、該芯部の少なく
とも一部を溶解又は分解除去し製造することができる。
吸湿性加工(吸湿性付与)はこの中空部及び貫通溝によ
って可能となる。
【0008】本発明に用いることのできる芯,鞘型複合
繊維の横断面は種々の形がある。複合は同心的でも偏心
的でもよい。芯は円形でも非円形でもよく、鞘も同様に
円形でも非円形でもよい。また芯は1個でも複数でもよ
い。
【0009】本発明に使用する中空繊維の中空率は使用
目的に応じて任意に選ぶことができる。例えば、通常の
吸湿性を得るには中空率は10〜60%、特別に大きい
吸湿性を得るには40〜80%とすることができる。
【0010】本発明において吸湿剤とは、中空部に入る
ものなら特に限定されないが、吸湿剤モノマーの曇点が
中空繊維のガラス転移点より低温であるものが好まし
い。それは、曇点以上に加熱された吸湿剤モノマーは微
小な油状物となり析出し中空部でポリマー化するため、
高温であると貫通溝の大きさが変化してモノマーの中空
部への侵入を妨げるためである。
【0011】さらに、吸湿剤のうち、多量に入り、吸湿
性に優れ、繊維とも親和力を持ち、風合いも粗硬になら
ないものとして、構造式
【化1】のものが特に好ましく用いることができる。
(但し、R1 ,R2 は水素又はメチル基であり、R3
【化2】または
【化3】または
【化4】または
【化5】、n,mは5≦n≦30、5≦m≦30の範囲
である。)n,m(オキシエチレン基繰り返し単位)は
5を下回ればモノマーの水に対する溶解性が極端に低下
し、一方30を上回る場合にはモノマー製造上の困難が
あるので5〜30の範囲に限定される。n,mの好まし
い範囲は9〜25であり、更に好ましくは15近辺であ
る。かかるモノマーを用いた場合特に良好な作業性とす
ぐれた吸湿性を得ることができる。さらにR1 ,R2
水素又はメチル基のいずれであってもほぼ同等の処理効
果を与える。構造式
【化1】で示される吸湿剤として、例えば構造式
【化6】 (曇点50℃),
【化7】 (曇点55℃),
【化8】 (曇点60℃)をあげることができる。
【0012】上記吸湿剤は、中空繊維の中空部に付着し
ていることが肝要である。吸湿剤の付着量は、繊維に対
して多くの場合10%以上、好ましくは15%以上、更
に好ましくは20%以上である。10%未満では吸湿効
果が不十分であり、又多すぎると例えば50%を超える
と糸物性が良好でなくなる。
【0013】本発明の繊維構造物は、上記のような中空
繊維の中空部に吸湿剤が付着している該繊維を少なくと
も一部に用いたものであって、他の合成繊維,半合成繊
維,天然繊維と混紡,交織されたものでもよい。中空繊
維の特徴を発揮させるためには、中空繊維は布帛中に少
なくとも20%、好ましくは30%以上用いた方がよ
い。繊維構造物としては、織物,編物,不織布などが挙
げられる。
【0014】このような本発明の吸湿性を有する繊維構
造物は、前述の吸湿剤モノマー,酸を含有する水溶液
を、繊維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有する中
空繊維を少なくとも一部に有する繊維構造物に施与し、
熱処理して中空繊維の中空部に吸湿性ポリマーを付着さ
せることを特徴とする吸湿性を有する繊維構造物の製造
方法によって製造することができる。
【0015】本発明方法に用いる、繊維表面から中空部
まで貫通する貫通溝を有する中空繊維は前述の如く、
芯,鞘型複合繊維を作り、該芯部の少なくとも一部を溶
解又は分解除去し製造することができる。芯成分と鞘成
分の複合紡糸は周知の方法で行なうことができる。複合
紡糸において芯部に用いる紡糸材は、複合紡糸可能で、
かつ後の芯ポリマー除去工程に便利なものであればよ
く、特に限定されない。除去工程に便利なものとして
は、水に可溶性のポリマー、アルカリ水溶液で分解、溶
解可能なポリマー、酸に溶解可能なポリマー、非水溶媒
で溶解可能なポリマーなどがあげられ、特に水,アルカ
リ水溶液で溶解または分解可能なものは有利である。
【0016】水で溶解可能なポリマーは多数あるが、例
えばポリエチレンオキシド,ポリエチレンオキシド/ポ
リプロピレンオキシド共重合体、それらの誘導体、他の
重合体(例えばポリエステルまたはポリアミド)セグメ
ントのセグメント共重合体などのポリアルキレンオキシ
ド系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリル酸塩などのポリビニル系ポリマ
ー、ポリビスプロポキシエタンアジバミド、ポリビスプ
ロポキシピペラジンアジバミドなどの水溶性ポリアミド
などがあげられる。
【0017】アルカリ水溶液で分解、溶解可能なポリマ
ーとしては、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレ
ンテレフタレート,ポリエチレンベンゾエートなどの繊
維形成ポリエステル及びそれらの共重合体,変性体など
があげられる。特に、上記ポリエステルに1〜60%
(重量)程度、好ましくは2〜30%、最も好ましくは
5〜20%ポリアルキレンオキシド類を共重合したもの
または混合したもの或は5−スルホイソフタル酸ナトリ
ウム塩を3〜10%共重合したものはアルカリ水溶液に
より容易に分解される。同様に、芳香族ポリエステルに
対して低融点(200℃以下)の脂肪酸ポリエステルを
5〜50%程度混合したものも芯成分として極めて好適
である。
【0018】酸に溶解可能なポリマーの例としては6ナ
イロン,66ナイロン,610ナイロン,612ナイロ
ン,12ナイロン及びそれらの共重合体などのポリアミ
ドがあげられる。
【0019】非水系溶媒の例としては、トリクレン,パ
ークレンなどの塩化物、トルエン,キシレンなどの芳香
族化合物、ジメチルフォルムアミド,アセトンなどがあ
げられ、これらに溶解可能なポリマーの例としては、ポ
リエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化
ビニル,ポリアクリロニトリル系ポリマーなどがあげら
れる。
【0020】本発明方法では、上記吸湿剤モノマー,酸
を含有する水溶液を上記繊維構造物に施与し、熱処理す
る。酸は有機酸,無機酸ともに用いられ、酢酸,蟻酸,
りん酸,ウルトラりん酸等が好ましく用いられる。酸に
より加工液のpHを2〜4に調整する。
【0021】前記吸湿剤モノマー水溶液を被処理物に施
与し、熱処理する手段としては、モノマー水溶液中に被
処理物を浸漬し加熱処理する方法が最適である。浸漬加
熱法を用いる場合には、モノマー使用量の限界は中空率
で決まり、中空率が大なるほど使用限界も上がる。使用
量の好ましい範囲は5〜60%owfで、5%owfを
下回れば処理効果は得がたく、一方60%owfを上回
れば被処理物質の風合いを損なうばかりかホモポリマー
が析出する傾向が認められ好ましくない。処理条件とし
ては、上記濃度の処理液中に被処理物を浴比1:5〜
1:300で浸漬し、吸湿剤モノマーの曇点以上の温度
で、20分以上好ましくは30分以上の時間、加熱処理
を行う。
【0022】吸湿剤を中空部に付与する前に、中空繊維
の最外層に、フッ素系撥水剤や親水性の加工剤を付与し
ておくと吸湿剤の中空部以外への付着はより少なくな
る。
【0023】又、本発明方法では、吸湿剤モノマーとし
て、繊維形成性ポリマーのガラス転移点以下の曇点を持
つ吸湿剤モノマーを使用し、同様に酸を含有する水溶液
を上記繊維構造物に施与し、吸湿剤モノマーの曇点以上
の温度で熱処理して中空繊維の中空部に吸湿性ポリマー
を付着させることを特徴とする吸湿性を有する繊維構造
物の製造方法によって製造することができる。
【0024】上記吸湿剤モノマーを用いて、上記繊維構
造物に施与し熱処理をすると曇点以上に加熱された吸湿
剤モノマーは微小な油状物となり析出し貫通溝を通して
中空部へと入り、中空部で重合が進み、ポリマーとして
保持される。
【0025】又、重合開始剤については、曇点に達した
モノマーが繊維の中空部に入り、加工液が透明になった
時点で加えるなら、加工温度を低減する効果があるがス
タート時点から加えておくと水中でのホモポリマーの発
生が促進され、中空部へのポリマーの付着量の減少を来
すので好ましくない。
【0026】さらに、本発明方法では、吸湿剤モノマー
として、構造式
【化1】で示されるモノマーを使用し、同様にして製造
することができる。構造式
【化1】で示される吸湿剤モノマーについては前述のと
おりである。
【0027】
【作用】本発明の繊維構造物においては、これを構成す
る繊維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有する中空
繊維の中空部に吸湿剤が付着するが、洗濯によって繊維
外部表面の吸湿剤は脱落し易いのに対し、中空部に付着
された吸湿剤は洗濯等に対して耐久性を有する。そし
て、繊維の風合いを粗硬化したり加工装置を汚したりす
ることは少ない。
【0028】また、吸湿剤が繊維形成性ポリマーのガラ
ス転移点以下の曇点を持つモノマーが重合してなるポリ
マーを使用することにより、中空部に吸湿剤を付着する
に当たり、曇点以上に加熱された吸湿剤モノマーは微小
な油状物となり析出し貫通溝を通して中空部へと入り、
中空部でポリマー化することが可能となる。この時点で
合成繊維素材の中空部へ通じる貫通部はガラス転移点以
下なので溝の大きさが変化することなくしっかり保たれ
ている。それゆえモノマーは中空部へスムーズに侵入し
ていき、更に昇温を続けるとモノマーは中空部内で重合
し、中空部にしっかりと固定されることができる。
【0029】さらに吸湿剤が、構造式
【化1】で示されるモノマーを使用することにより、該
モノマーは、ガラス転移点以下の温度で曇点現象を示す
基(例えば、エチレンオキサイド等),合繊に親和力を
有する基(構造式
【化1】において、R3
【化2】または
【化3】または
【化4】または
【化5】)、更に重合に与かる基を有するため、繊維と
も親和力を持ち多量に中空部内に付着することができ、
該モノマーを使用した本発明の繊維構造物は吸湿性が優
れたものとなる。
【0030】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。なお実施例中の各データは次のように求
めた。 A.吸湿率 105℃で2時間絶乾後の試料の重量を測定し、続いて
硫酸水溶液からなる雰囲気中(20℃×65%RH)で
48時間放置したものの試料重量を測定し、その質量変
化から吸湿率を測定した。
【数1】 B.吸湿加工剤付与率
【数2】
【0031】実施例1 平均分子量3000のポリエチレングリコールを共重合
して得た、17%のポリエーテルセグメントを含む共重
合ポリエチレンテレフタレート(以下共重合PETと記
す)を芯とし、ポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと記す)を鞘として、接合比率,PET:共重合PE
T=2:1で溶融複合紡糸を行い(その横断面を図1に
示す)、3.6倍に延伸して75デニール/24フィラ
メントの複合糸F1(ガラス転移点温度80℃)を得
た。該複合糸F1を筒編にした。得られた編物を水酸化
ナトリウム1%水溶液中に浸漬し98℃で60分間処理
し、複合糸F1の芯部の共重合PETを除去した。処理
後の糸の断面図は図2に示すようなものであった。次い
で、この編物に吸湿加工を施した。即ち、構造式
【化1】のR1 がメチル基、R2 がメチル基、R3 がテ
レフタル酸、mが15、nが15であるモノマー(曇点
55℃)を6.25g/ l、酸としてウルトラMT17
0(御弊島化学(株)製)を0.2g/ l含む水溶液
(pH3.5)中に編物を浸漬(浴比1:40)し1分
間に2℃の割合で130℃まで昇温し、130℃で60
分処理を施した。加工後水洗上りのポリマーの付与率は
23.0%、洗濯(JIS L−0217 103法)
10回後の付与率は22.6%であった。図3は、実施
例1によって得られた中空部に吸湿剤が付着された中空
繊維の断面状態を示す電子顕微鏡写真図(×2,00
0)である。図3より、吸湿剤の殆どが、繊維中空部内
に付与されていることがわかる。吸湿剤を中空部内に充
填した編物(実施例1)の洗濯10回後の繊維断面状態
を示す電子顕微鏡写真(×2000)を図4に示す。図
4より、繊維中空部内は吸湿剤が脱落していないことが
わかる。吸湿加工を施した編物(実施例1)、比較とし
て未加工編物及び綿織物の吸湿率を測定した結果を表1
に示した。表1が示すように、本発明の吸湿加工を施し
た編物は吸湿性に優れたものであった。
【表1】
【0032】実施例2 平均分子量3000のポリエチレングリコールを共重合
して得た、17%のポリエーテルセグメントを含む共重
合ポリエチレンテレフタレート(以下共重合PETと記
す)を芯とし、ポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと記す)を鞘として、接合比率,PET:共重合PE
T=1:1で溶融複合紡糸を行い、3.6倍に延伸して
75デニール/24フィラメントの複合糸(ガラス転移
点温度80℃)を得た。該複合糸を筒編にした。得られ
た編物を水酸化ナトリウム1%水溶液中に浸漬し98℃
で60分間処理し、複合糸の芯部の共重合PETを除去
した。次いで、この編物に吸湿加工を施した。即ち、構
造式
【化1】のR1 が水素、R2 が水素、R3 がビスフェノ
ールA、mが15、nが15であるモノマー(曇点58
℃)を12.5g/ l含む水溶液中に編物を浸漬(浴比
1:40)し、常温から50℃まで昇温した。モノマー
が曇点現象を示し液が白濁した。1分間に2℃の割合で
昇温し、白濁が消えた時点で触媒として過硫酸アンモニ
ウムを3g/ l加えてからさらに100℃まで昇温し、
100℃で60分処理を施した。加工後水洗上りのポリ
マーの付与率は45.3%、洗濯(JIS L−021
7103法)10回後の付与率は44.1%であった。
吸湿加工を施した編物(実施例2)、比較として未加工
編物及び綿織物の吸湿率を測定した結果を表2に示し
た。表2が示すように、本発明の吸湿加工を施した編物
は吸湿性に優れたものであった。
【表2】
【0033】比較例1 平均分子量3000のポリエチレングリコールを共重合
して得た、17%のポリエーテルセグメントを含む共重
合ポリエチレンテレフタレート(以下共重合PETと記
す)を芯とし、ポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと記す)を鞘として、接合比率,PET:共重合PE
T=2:1で溶融複合紡糸を行い、3.6倍に延伸して
75デニール/24フィラメントの複合糸(ガラス転移
点温度80℃)を得た。該複合糸を筒編にした。得られ
た編物を水酸化ナトリウム1%水溶液中に浸漬し98℃
で60分間処理し、複合糸の芯部の共重合PETを除去
した。次いで、この編物に吸湿加工を施した。即ち、構
造式
【化1】のR1 がメチル基、R2 がメチル基、R3 がイ
ソフタール酸、mが15、nが15であるモノマー(曇
点90℃)を6.25g/ l,酢酸を0.3g/ l含む
水溶液(pH3.0)中に編物を浸漬(浴比1:40)
し、常温から90℃まで昇温した。モノマーが曇点現象
を示し液が白濁した。1分間に2℃の割合で130℃ま
で昇温し、130℃で60分処理を施した。加工後水洗
上りのポリマーの付与率は14.6%,吸湿率は2.1
%、洗濯(JIS Lー0217 103法)10回後
の付与率は9.7%,吸湿率は1.3%であり、加工上
りの筒編みの風合は実施例1,2に比較すると付着量が
少ないにもかかわらず粗硬であった。
【0034】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明により得ら
れた繊維構造物は、繊維中空部内に吸湿剤が付与されて
おり、洗濯等によって脱落しにくく、耐久性の優れた吸
湿性を有しており、シャツやブラウス用途のみならず下
着分野にも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる中空繊維の紡糸直後の横断面の
模式図を示す。
【図2】芯部を除去された中空繊維の模式図を示す。
【図3】本発明(実施例1)によって得られた中空部に
吸湿剤を充填加工された中空繊維の断面状態を示す電子
顕微鏡写真(2000倍)。
【図4】実施例1の洗濯10回後の繊維断面状態を示す
電子顕微鏡写真(2000倍)。
【符号の説明】
1 中空繊維 2 貫通溝 3 芯部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 23/16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維形成性ポリマーからなり、繊維表面
    から中空部まで貫通する貫通溝を有しかつ中空部に吸湿
    剤が付着している中空繊維を少くとも一部に用いたこと
    を特徴とする繊維構造物。
  2. 【請求項2】 吸湿剤が、繊維形成性ポリマーのガラス
    転移点以下の曇点を持つモノマーが重合してなるポリマ
    ーであることを特徴とする請求項1記載の繊維構造物。
  3. 【請求項3】 吸湿剤が、構造式 【化1】 で示されるモノマーが重合してなるポリマーであること
    を特徴とする請求項1記載の繊維構造物。(但し、
    1 ,R2 は水素又はメチル基であり、R3 は 【化2】 または 【化3】 または 【化4】 または 【化5】 n,mは5≦n≦30、5≦m≦30の範囲である。)
  4. 【請求項4】 吸湿剤モノマー,酸を含有する水溶液
    を、繊維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有する中
    空繊維を少くとも一部に有する繊維構造物に施与し、熱
    処理して中空繊維の中空部に吸湿性ポリマーを付着させ
    ることを特徴とする吸湿性を有する繊維構造物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 繊維形成性ポリマーのガラス転移点以下
    の曇点を持つ吸湿剤モノマー,酸を含有する水溶液を、
    繊維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有する中空繊
    維を少くとも一部に有する繊維構造物に施与し、吸湿剤
    モノマーの曇点以上の温度で熱処理して中空繊維の中空
    部に吸湿性ポリマーを付着させることを特徴とする吸湿
    性を有する繊維構造物の製造方法。
  6. 【請求項6】 構造式 【化1】で示される吸湿剤モノマー,酸を含有する水溶
    液を、繊維表面から中空部まで貫通する貫通溝を有する
    中空繊維を少くとも一部に有する繊維構造物に施与し、
    吸湿剤モノマーの曇点以上の温度で熱処理して中空繊維
    の中空部に吸湿性ポリマーを付着させることを特徴とす
    る吸湿性を有する繊維構造物の製造方法。(但し、
    1 ,R2 は水素又はメチル基であり、R3 は 【化2】または 【化3】または 【化4】または 【化5】、n,mは5≦n≦30、5≦m≦30の範囲
    である。)
JP35101092A 1992-12-03 1992-12-03 吸湿性を有する繊維構造物及び製造方法 Pending JPH06173167A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009017164A1 (ja) * 2007-07-31 2009-02-05 Stella Chemifa Corporation 中空構造体の製造方法

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