JPH06172914A - TiC基サーメット合金 - Google Patents

TiC基サーメット合金

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JPH06172914A
JPH06172914A JP5646292A JP5646292A JPH06172914A JP H06172914 A JPH06172914 A JP H06172914A JP 5646292 A JP5646292 A JP 5646292A JP 5646292 A JP5646292 A JP 5646292A JP H06172914 A JPH06172914 A JP H06172914A
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JP
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amount
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tic
alloy
solid solution
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JP5646292A
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Yuichi Nakahara
雄一 中原
Katsuhiko Kojo
勝彦 古城
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Moldino Tool Engineering Ltd
Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
Hitachi Tool Engineering Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 TiCサ−メット合金の結合相を強化するこ
とにより、Ti(C,N)基サ−メット合金と同等以上
の硬さを有するとともに、特に優れた靱性を有するTi
C基サ−メット合金を提供する。 【構成】 炭化チタンを主体とする硬質相とCoおよび
Niの1種または2種を主体とする結合相とからなる炭
化チタン基サーメット合金であって、結合相中のTiお
よびMo含有量が0.85≦Mo(wt.%)/Ti(wt.%)、
6wt.%≦Ti+Moの条件を満足する炭化チタン基サー
メット合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化チタン(以後「T
iC」と言う)基サーメット合金に関し、特に結合相を
強化することにより高強度,高靱性を兼備したTiC基
サーメット合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、窒素を含有する窒化チタン(以後
「Ti(C,N)」と記す)基合金が工具用サーメット
合金として主流をなしている。このTi(C,N)基サ
ーメット合金は、従来のTiC基サーメット合金に比
べ、室温強度,耐酸化性,ならびに切削性能が改良され
ている。
【0003】TiC基、Ti(C,N)基サーメット合
金はともに芯部(それぞれTiC,Ti(C,N))と
これを取り囲む周辺組織(それぞれ(Ti,Mo)C,
(Ti,Mo)(C,N))からなる有芯構造の粒子に
より硬質相を形成しているが、TiC(C,N)基サー
メット合金は粒子径が窒素含有によって微細化され、こ
れにより室温強度が改善されている。
【0004】またTi(C,N)基サーメット合金は、
優れた高温強度を有することも知られている。
【0005】「粉体および粉末冶金,第30巻第3号
(1983.4)」に窒素を含むTiC−Mo2C−Ni合金
の高温強度に関して詳しく述べられているが、当該合金
が優れた高温強度を有するのは結合相中にMoがより多
く固溶し結合相の動的回復が抑えられたためと説明され
ている。ここで、結合相へのMo固溶のメカニズムは前
記文献には記載されていないが、以下によるものと推測
することができる。すなわち、真空焼結時にTi(C,
N)から脱窒により過飽和となったTiが、Mo2Cの
Cと結合して炭化物を形成し、余剰分のMoが結合相中
に固溶するのである。
【0006】また、結合相のMo固溶量は、窒素量が多
いほど多くなり、さらにMoの供給源であるMo2Cの
添加量が多いほど多いことが、前記文献に述べられてい
る。例えば、TiC0.70.3−11%Mo2C−24%
Niの配合組成(wt.%)からなる合金で結合相中のMo量
は3.4wt.%(Ti固溶量9.3wt.%)、TiC0.70 .3
-19%Mo2C−24%Ni合金(配合組成wt.%)のM
o量が10.0wt.%(Ti固溶量9.3wt.%)のMo量
は0.2wt.%(Ti固溶量9.3wt.%)であるのに対
し、窒素を含まないTiC−11%Mo2C−24%N
i合金(配合組成wt.%)のMo量は0.2wt.%(Ti固
溶量12.7wt.%)、TiC−19%Mo2C−24%N
i合金(配合組成wt.%)のMo量は1.8wt.%(Ti固
溶量16.3wt.%)となっている。この結果からする
と、窒素を含まないTiC基サーメット合金ではMo2
C添加量を増加させたとしても結合相強化を図ることは
極めて困難であろうことが理解できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにTi
(C,N)基サーメット合金に比べ優れた特性を有して
いるが、真空焼結時に脱窒し、合金の表面と内部との間
に性質変化を生じたり、組織中にポアが生じ易いという
問題点がある。そして、組織中にポアが生じた場合に
は、Ti(C,N)基サーメット合金が本来有すべき強
度が得られなくなってしまう。
【0008】この問題点については、焼結時に窒素ガス
を導入したり、さらに昇温条件をコントロールする等の
提案が種々なされている(例えば特開平2-93036号、同2
-145741号等)。しかし、生産性の点では上記提案は望
ましくない。
【0009】さらに、Ti(C,N)基サーメット合金
は、TiC基サーメット合金に比べ高硬度は得られ易い
が靱性の点で劣るという性質を有している。これについ
ても種々改善案が提案されており、本出願人も特開昭63
-83241号においてWCをTi(C,N)との固溶体とは
別個に単独で添加する手法を提案したが、本質的な改善
はなされていない。
【0010】そこで本発明は、焼結時の脱窒という問題
を有さないTiCサ−メット合金の結合相を強化するこ
とにより、Ti(C,N)基サ−メット合金と同等以上
の硬さを有するとともに、特に優れた靱性を有するTi
C基サ−メット合金の提供を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の先行技術より、M
o固溶量を増加させれば結合相の強化は達成されるであ
ろうことは当業者であれば容易に予測がつく。しかし、
TiC基サ−メット合金の場合Ti(C,N)基サ−メ
ット合金のようにMo2C添加量を増加させても結合相
中のMo固溶量を増加されることができないことは前述
のとおりである。
【0012】結合相中にMoが比較的多く固溶している
TiC基サ−メット合金が「超硬合金と焼結硬質材料
基礎と応用(鈴木等,昭和61年2月,丸善)」第31
6乃至第332頁に記載されている。
【0013】例えば、TiC−10%Mo−30%Ni
合金(配合組成wt.%)でTi約11wt.%、Mo約2wt.
%,TiC−20%Mo−30%Ni合金(配合組成wt.
%)でTi約10wt.%、Mo約6wt.%の値を示してお
り、Moを金属Moとして添加すれば炭化物(Mo2
C)として添加する場合に比べ結合相中のMo量を増加
させることができるものと解される。
【0014】そこで本発明者は、TiC基サ−メット合
金に関し結合相に固溶させるためのMo供給源を炭化物
(Mo2C)としてではなく金属Moとすることについ
て詳細な検討を行った。
【0015】その結果、金属Moの添加量を増加させる
ことにより結合相中のMo固溶量は増加するが、単に結
合相中のMo固溶量が増加するのみでなく、Ti固溶量
と所定の関係にある場合に結合相強化が図られ、その結
果Ti(C,N)基サ−メ ット合金と同等の硬さを有し
つつ、靱性を著しく改善することができることを知見す
るに至った。
【0016】本発明は以上の知見に基づきなされたもの
で、炭化チタンを主体とする硬質相および結合相とから
なる炭化チタン基サ−メット合金であって、結合相中の
TiおよびMo含有量が6Wt.%≦Ti+Moおよび0.
85≦Mo(Wt.%)/Ti(Wt.%)の条件を満足するこ
とを特徴とする炭化チタン基サ−メット合金である。以
下本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明において、結合相中のTiおよびM
o含有量を6Wt.%≦Ti+Moとするのは、結合相強化
のために最低限必要な量であるからである。ここで、T
iおよびMo含有量は、結合相中における重量%であ
り、後述の実施例で述べるICP(inductively couple
d plasma)発光分析法により求めることができる。
【0018】優れた靱性、硬さを兼備するためには、結
合相中のTiおよびMo含有量の総量を上記範囲とする
だけでなく、MoとTiの量比が0.85≦Mo(wt.%)
/Ti(wt.%)の条件を満足する必要がある。それは、
0.85未満ではTiが多く結合相に入ることで靱性の
劣るNi3Tiが析出して結合相の靱性を劣化させると
考えられるからである。
【0019】本発明サーメット合金の硬質相はTiCを
主体とするが、他の炭化物を含有させることも許容す
る。特に、炭化タングステン(以下「WC」と記す)は
焼結性向上にも有効な物質である。その場合のWCの添
加量は、5vol.%≦WC≦50vol.%の範囲とするのが望
ましい。5vol.%未満では焼結性向上の効果を十分に得
ることができず、一方50vol.%を越えると切削工具と
して使用した場合の切粉溶着が無視できなくなるからで
ある。
【0020】次に結合相は、CoおよびNiの1種また
は2種を主体とし、その強化元素としてMoおよび硬質
相の構成元素であるTiを含有する。硬質相としてWC
を使用する場合にはWも含まれることになる。
【0021】CoおよびNiの1種または2種が多くな
ると結合相の量が少なくなり、硬質相の量が相対的に減
少し硬さが低下する。したがって、CoおよびNiの1
種または2種の添加量は15vol.%以下が望ましく、よ
り望ましくは10vol.%である。
【0022】本発明サーメット合金の組織は硬質相と結
合相とからなるが、硬質相はいわゆる有芯構造をなして
いる。硬質相としてTiCおよびWCを含む場合には、
相対的にTiに富みWに乏しい中心組織と、(W,M
o)に富みTiの乏しい周辺組織からなる有芯構造をな
している。なお、周辺組織のMoは結合相強化の為に添
加されたMoに起因するものである。
【0023】次に本発明サーメット合金の製造方法につ
いて説明する。本発明サーメット合金の製造方法の特徴
は、結合相強化元素であるMoを炭化物(Mo2C)と
してではなく、金属Moとして添加する点にある。その
理由はすでに述べたように、金属Moとして添加した方
が炭化物として添加するよりもより多く結合相に固溶さ
せることができるからである。
【0024】また、金属Moで添加すると、周辺組織を
構成する炭化物である(Ti,W,Mo)Cを微細化さ
せるという効果をも有し、靱性向上に寄与するものと考
えられるからである。
【0025】さらに、金属Mo添加により、炭化物粒子
同士の接触(以下「スケルトン」と言う)を低減すると
いう効果を発揮し、靱性向上に寄与する。すなわち、通
常のTiC基サーメット合金はWC基超硬合金に比べス
ケルトンの表面積が2〜3倍程度大きいためクラックの
伝播抵抗を下げ靱性を劣化させている。特にMo2Cとし
て添加すると周辺組織にMoが炭化物として残る傾向が
強く、結合相中へのMo固溶を低減させてしまう。しか
しながら金属Moとして添加すれば、炭化物として添加
する場合に比べて周辺組織に入るMo量が減り、結合相
に固溶するMo量が増えスケルトンの低減に寄与するの
である。金属Moとしては、純Moのほか結合相の構成
元素であるCo、Niとの合金として添加することもで
きる。
【0026】また、Moの全量を金属Moとして添加す
る必要はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で金属
Moを主体としつつ炭化物(Mo2C)を添加すること
も許容される。
【0027】
【実施例】以下本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。
【0028】(実施例1)表1に示す配合組成となるよ
うにTiC,WC,Mo,Co,Ni粉末を準備した。粉末
の粒度は、平均粒径でTiC:1.5μm,WC:1.5μm,
Co:2.0μm,Ni:2.5μm,Mo:3.0μmである。これ
らの原料粉末を変性アルコ−ル中に入れ、アトライタ−
を用い4hr.混合した。
【0029】なお、サ−メットを作る場合の混合量は、
硬質相の成分であるTiC,WCを全体の60〜90Wt.%と
し、結合相の成分であるCo,Niと単独添加のMoを
全体の10〜40Wt.%なるようにした。
【0030】上記混合物に、成形助剤として可塑剤(パ
ラフィン)を約4Wt%添加、乾燥し、篩いにかけてSNP432
(SNGN120408)に成形後、1500〜1550゜Cで1hr.真空焼結し
た。
【0031】この試料を用いビッカ−ス硬度,靱性を表
すクラック抵抗(kg/mm),結合相中の元素の固溶量(結合
相中の溶解量を100%として求めたwt.%)を求めた。
【0032】ビッカ−ス硬度は、JIS規格に準じダイア
モンド圧子で30kgの荷重をかけ、図5に示すようにa,b
の距離を計り、硬度換算表より求めた。
【0033】クラック抵抗(kg/mm)は、ビッカ−ス硬
度と同じ様にダイアモンド圧子で50kgの荷重をかけ、図
6に示すようにc,d,e,fの距離を計り、荷重/(c+d+e
+f)の式により求めた。結合相中の元素固溶量は、結合
相を混酸水溶液で溶解,抽出、ICP(inductivel-y couple
d plasma)発光分析によって結合相中の各元素を定量す
ることにより求めた。
【0034】表2にビッカ−ス硬度,クラック抵抗(kg/m
m),結合相中の各元素固溶量(Wt.%)を示す。なお、表1
および表2において、○は本発明合金を、また△は比較
合金を示す。
【0035】本発明合金は、いずれも硬さHv1600
以上、及びクラック抵抗70(kg/mm)以上という従来合
金(試番11,12)では得られていない特性をクリア
している。
【0036】
【表1】 組成 上段 wt.% 下段 vol% 試番 TiC WC Mo Mo2C Co Ni △ 1 37.4 52.0 3.3 -- 2.6 4.7 63.1 27.4 2.7 -- 2.4 4.4 △ 2 37.9 48.9 5.9 -- 2.6 4.7 63.1 25.4 4.7 -- 2.4 4.4 ○ 3 38.4 45.6 8.5 -- 2.6 4.9 63.1 23.4 6.7 -- 2.4 4.4 ○ 4 38.7 44.0 9.8 -- 2.6 4.9 63.1 22.4 7.7 -- 2.4 4.4 ○ 5 38.9 42.3 11.2 -- 2.7 4.9 63.1 21.4 8.7 -- 2.4 4.4 ○ 6 39.2 40.6 12.5 -- 2.7 5.0 63.1 20.4 9.7 -- 2.4 4.4 ○ 7 39.5 38.9 13.9 -- 2.7 5.0 63.1 19.4 10.7 -- 2.4 4.4 ○ 8 39.8 37.2 15.3 -- 2.7 5.0 63.1 18.4 11.7 -- 2.4 4.4 ○ 9 40.4 33.5 18.2 -- 2.8 5.1 63.1 26.4 13.7 -- 2.4 4.4 △ 10 40.9 29.9 21.2 -- 2.8 5.1 63.1 14.4 15.7 -- 2.4 4.4 従 11 64TiCN-17WC-8NbC-0.5Mo2C-6.5Co-3Ni 来 材 12 73.2TiCN-7.0WC-3.8Mo2C-4.2TaC-7.4Co-3.9Ni
【表2】 結合相 硬さ クラック 試番 サーメットの結合相分析(wt.%) 総量 抵抗 Ti W Mo Co Ni (wt.%) (Hv) (kg/mm) △1 2.8 0.1 0.5 40.7 55.9 5.9 1450 75 △2 3.4 0.7 2.0 39.2 54.6 5.6 1760 65 ○3 3.3 1.1 4.2 35.1 56.3 5.5 1810 75 ○4 3.8 0.9 4.9 35.0 55.5 6.3 1720 79 ○5 4.9 1.1 6.4 33.2 54.5 5.9 1710 84 ○6 6.5 1.2 7.5 32.8 51.9 4.5 1730 91 ○7 8.7 1.1 10.1 31.3 48.9 3.5 1670 92 ○8 14.0 1.3 12.5 29.4 42.8 2.1 1680 78 ○9 12.7 1.0 11.6 27.5 47.1 2.6 1640 75 △10 13.9 1.0 10.4 23.5 51.1 5.0 1530 58 従 11 2.9 0.9 1.3 65.2 29.7 5.6 1740 45 来 材 12 2.3 1.5 6.3 60.5 29.4 7.2 1525 75 図1に、表2におけるMo添加量と硬度、クラック抵抗
の関係を示す。図1よりMo添加量を5vol.%以上15v
ol.%以下にすることによりHvで1600以上の硬さ、および
クラック抵抗70(kg/mm)以上の特性を得ることができ
ることがわかる。
【0037】また、図1において、硬さが高くなるにつ
れてクラック抵抗も高くなっている点が注目される。硬
さとクラック抵抗は相反する特性であり、ー般に、硬さ
が高くなるにつれてクラック抵抗は低くなるというのが
当業界の常識だからである。
【0038】図2に、表2におけるMo添加量と、結合
相の総量(Wt.%)、および結合相中のTi,Mo,W固容
量の関係を示す。この図から結合相総量はMo添加量が
7.7〜11.7vol.%(9.8〜15.3wt.%)の範囲で増えるにつれ
て減少する傾向にあるが、Ti,Mo固溶量は逆に増加
する傾向にあることがわかる。また、この範囲では結合
相中のMoがTiより多く固溶しているが、それ以外の
範囲ではTiがMoより多く固溶していることがわか
る。W固溶量は、Mo添加量に拘らずほぼ一定の値を示
している。
【0039】図3に、表2におけるMo添加量と、結合
相中のTi+Mo+W固溶量の関係を示す。Mo添加量
が11.7vol.%までの範囲ではMo添加量が増加するに従
いTi+Mo+W固溶量も増加するが、それ以上添加し
てもTi+Mo+W固溶量は増加しない。また、Hvで16
00以上の硬さおよびクラック抵抗70(kg/mm)以上の特
性をえることができるMo添加量の範囲に対応するTi
+Mo+W固溶量はおよそ7〜28wt.%である。
【0040】次に、図4にMo(wt.%)/Ti(wt.%)との
関係を示すが、Mo添加量が5vol.%以上の場合には、
Mo(wt.%)/Ti(wt.%)はおよそ0.85以上となって
いることがわかる。
【0041】以上の図1〜図4の結果を整理すると、 Hvで1600以上の硬さ、およびクラック抵抗70(kg/m
m)以上の特性を得るためにはMo添加量をおよそ5vol.
%以上15vol.%以下にすればよく(図1)、このMo添
加量の範囲において、 結合相中のTi+Mo+W固溶量は7〜28wt.%(T
i+Moとしては6wt.%以上)の範囲にあり(図3)、
また、 Mo(wt.%)/Ti(wt.%)は0.85以上の値を示す
(図4)、ことがわかる。
【0042】ここで、試番10は、Ti+Mo+W固溶
量は20wt.%を越えこの限りでは本発明の範囲内にある
が、クラック抵抗は低い値となっている。これはMo(w
t.%)/Ti(wt.%)が0.75と低いためと考えられる。
【0043】すなわち、TiC基サーメット合金におい
て、結合相強化により優れた靱性と硬さを兼備させるた
めには、結合相中のMoとTiの固溶量を0.85≦M
o(wt.%)/Ti(wt.%)の関係を維持させつつTi+Mo
を6wt.%以上または、Ti+Mo+Wを7wt.%以上とす
ればよいものと判断させる。図7に表1の試番7の金属
ミクロ組織写真(2400倍)をしめす。図7におい
て、1および4の部分がTiC、2および5の部分が
(Ti,W)がrichな(Ti,W,Mo)C、ならびに3
および6の部分がCoおよびNiを微量含有した(T
i,W,Mo)Cであり、硬質相が有芯構造を有してい
ることが確認された。
【0044】次に表1の試番3,6および7の組成を有
する材料を用い切削試験を行った。切削条件は切削速度
V=200m/min,送りf=0.3mm/rev,切り込み量d=2.0mmと
し、被削材にJIS SUJ-2を使用した。
【0045】試験結果を図8に示すが、結合相中にMo
が多く固溶した順、すなわち、試番7,6,3の順に耐
摩耗性が良いことがわかる。これはJIS SUJ-2が高カー
ボン材でありかなり硬い被削材であるため切削時に刃先
が高温状態になり易いが、Moが多く固溶することで結
合相の耐熱性が上がったためと考えられる。
【0046】被削材をJIS SCM440とした以外は上記と
同条件で切削試験を行った。その結果を図9に示すが、
やはり結合相中にMoが多く固溶した順に耐摩耗性が良
いことがわかる。
【0047】(実施例2)次に結合相を構成するCoお
よびNiの量を変化させた材料を用いて硬度,靱性の測
定を行った。用いた材料の配合組成を表3に示す。な
お、製造条件は実施例1と同様である。
【0048】
【表3】 試 配 合 組 成 (vol%) Co/Co+Ni 番 TiC WC Mo Co Ni 7 63.1 19.4 10.7 2.4 4.4 0.3 13 63.1 19.4 10.7 3.4 3.4 0.5 14 63.1 19.4 10.7 4.4 2.4 0.7 図10にCo/Co+Niと硬さ(ビッカース硬さ),
クラック抵抗との関係を示す。Co/Co+Niが大き
くなるほど硬さは上昇し、逆にクラック抵抗は低下する
傾向にある。
【0049】図11にCo/Co+Niと結合相量との
関係を示す。結合相中に固溶するTi,W,Mo量は、
Co/Co+Ni=0.35の場合にMoのほうがTi
よりも固溶量が多く、逆にCo/Co+Ni=0.65
の場合にTiのほうがMoよりも固溶量が多い。
【0050】図12にCo/Co+Niと結合相中のT
i+Mo+W量とMo/Tiとの関係を示す。Ti+M
o+W量はCo/Co+Niが高くなると増加し、逆に
Mo/TiはCo/Co+Niが高くなると低下する。
【0051】以上の結果より、靱性を重視する場合はN
iを、また硬さを重視する場合はCoを多く添加すれば
良いものと考えられる。
【0052】以上の試番7,13および14の材料を用
いてJIS SCM440の切削試験を行った。切削条件は切削
速度V=200m/min,送りf=0.3mm/rev,切り込み量d=2.0mm
とした。図13に結果を示すが、Co/Co+Niが
0.35よりも0.50,0.65の材料のほうが耐摩
耗性に優れることがわかる。
【0053】次に実施例1で示した試番7、試番11、
試番13、および試番14を用いて切削試験による靱性
の評価を行った。切削条件は、被削材JIS SCM440(4つ
溝丸棒)、切削速度200m/min、切り込み2.0mm、チップ形
状SNGN120408Rであり、臨界送り(mm/rev)および臨界衝
撃回数によって耐欠損性を評価した。なお、臨界送りと
は欠損が生じる送り速度を、また臨界衝撃回数とは溝に
衝突する回数を衝撃回数とした場合の欠損が生じる衝撃
回数をいう。
【0054】耐欠損性の評価結果、および結合相中のTi
+Mo+W固溶量、結合相中のMo/Tiを表4に示すが、本発明
材である試番7、13、14は従来材である試番11に
比べて耐欠損性に優れることがわかる。なお、図14に
臨界衝撃回数と臨界送りの関係を示しておく。
【0055】
【表4】 結合相中の 臨界送り 臨界衝撃 試番 Ti+Mo+W固溶 Mo/Ti (mm/rev) 回数(回) 量(wt.%) 7 19.9 0.86 0.24 170 13 25.6 0.95 0.25 175 14 30.7 0.86 0.25 195 11 5.1 0.45 0.21 103
【0056】(実施例3)次に表5に示す配合組成とな
るようにTiC,WC,Mo,Co,Ni粉末を準備し
た。粉末の粒度は、平均粒径TiC:1.5μm,WC:1.5μm,Co:
2.0μm,Ni:2.5μm,Mo:3.0μmである。これらの粉末を用
い前述の実施例1と同様に焼結体を得た。
【0057】
【表5】
【0058】表5に示した試番18の材料を用いてJIS
SCM440の切削試験を行った。切削条件は切削速度V=20
0m/min,送りf=0.3mm/rev,切り込み量d=2.0mmとした。
結果を図15に示す。図13に示した試番13の結果も
図15に参考のため併記する。本実施例にかかる試番1
8は試番13に比べ耐摩耗性に優れる。これは、試番1
8は試番13より結合相構成元素であるNi、Coの添
加量が少なくその分硬質相が多くなったためと考えられ
る。
【0059】次に表5に示した試番16、17、18、
および19の材料を用いて実施例2と同様に靱性の評価
を行った。評価結果、および結合相中のTi+Mo+W固溶
量、結合相中のMo(wt.%)/Ti(wt.%)を表6に示す。
本発明材である試番17、18、および19は比較材で
ある試番16に比べて耐欠損性に優れることがわかる。
なお、図16に臨界衝撃回数と臨界送りとの関係を示
す。
【0060】
【表6】 結合相中の 臨界送り 臨界衝撃 試番 Ti+Mo+W固溶 Mo/Ti (mm/rev) 回数(回) 量(wt.%) △ 16 10.4 0.41 0.16 30 ○ 17 17.4 0.95 0.20 80 ○ 18 22.1 0.95 0.23 140 ○ 19 24.6 0.90 0.20 105
【0061】(実施例4)次に、前記試番13と表7に
示す試番20および21の混合組成(vol.%)を有する材
料を用いて湿式切削を行った。切削条件は、被削材JIS
SCM435(硬さ Hs=31)、切削速度200m/min、送り0.3mm/re
v、切り込み2.0mm、チップ形状SNGN432Rであり、切削油
として水溶性ワックスを用いた。試番20および21の
材料を用いたチップは、切削開始後30秒で刃先にヒー
トクラックが発生した。図17〜図19はそれぞれ試番
13、20、21を用いたチップの逃げ面摩耗量が0.3m
mに達した時点の逃げ面部の拡大写真(600倍)を示すが、
試番13にはヒートクラックが発生していないのに対し
試番20、21には図中矢印で示すように長いヒートク
ラックが発生していることがわかる。ヒートクラックの
長さは、図18に示す試番20の場合0.35mm、図19に
示す試番21の場合0.30mmであった。
【0062】表7に焼結体の結合相中のTi+Mo+W固溶量
を示す。このTi+Mo+W固溶量とヒートクラック発生状況
を対比すると、両者が対応することがわかる。すなわ
ち、Ti+Mo+W固溶量の最も多い試番13はヒートクラッ
クの発生がなく、また、ヒートクラックの発生した試番
20と21ではTi+Mo+W固溶量の多い試番21のヒート
クラック長さが短い。
【0063】湿式切削に用いられる工具材料には耐熱衝
撃性が要求されるが、以上の結果から、本発明において
耐熱衝撃性を向上しヒートクラックの発生を抑制するた
めにTi+Mo+W固溶量を増加させることが有効である。
【0064】
【表7】 試番 TiCN WC Mo2C Co Ni その他 Ti+Mo+W 固溶量(wt.%) 13 − − − − − − 26.6 20 84 4.2 3 3.7 2.6 VC:2.2,ZrC:0.3 6.9 21 73.8 5.6 4.4 5.0 5.0 NbC:3.7 18.6
【0065】
【発明の効果】以上説明のように、本発明によるとTi
CN基サーメット合金と同等の硬さを有しつつ靱性を著
しく改善したTiC基サーメット合金を得ることがで
き、しかもこのTiC基サーメット合金は真空焼結時の
脱窒によるポアの発生という問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるMo添加量と硬さおよびクラ
ック抵抗の関係を示すグラフである。
【図2】実施例1におけるMo添加量と結合相総量およ
び Ti,Mo,Wの結合相中における固溶量の関係を
示すグラフである。
【図3】実施例1におけるMo添加量と結合相中におけ
るTi+Mo+W固溶量の関係を示すグラフである。
【図4】実施例1におけるMo添加量と結合相中におけ
るMo/Tiの関係を示すグラフである。
【図5】ビッカース硬さ測定法を示す図である。
【図6】クラック抵抗の測定法を示す図である。
【図7】本発明合金の金属ミクロ組織写真である(24
00倍)。
【図8】実施例1におけるSUJ2切削による耐摩耗性試験
結果を示すグラフである。
【図9】実施例1におけるSCM440切削による耐摩耗性試
験結果を示すグラフである。
【図10】実施例2におけるビッカース硬さ,クラック
抵抗を示すグラフである。
【図11】実施例2における結合相のTi+Mo+W
量,Mo/Tiを示すグラフである。
【図12】実施例2における結合相総量,結合相中のT
i,Mo,W量を示すグラフである。
【図13】実施例2におけるSCM440切削による耐摩耗性
試験結果を示すグラフである。
【図14】実施例2における臨界衝撃回数と臨界送りの
関係示すグラフである。
【図15】実施例3におけるSCM435切削による耐摩耗性
試験結果を示すグラフである。
【図16】実施例3における臨界衝撃回数と臨界送りの
関係を示すグラフである。
【図17】実施例4にて使用した本発明合金からなるチ
ップ先端部の金属ミクロ組織写真である(600倍)。
【図18】実施例4にて使用した従来合金からなるチッ
プ先端部の金属ミクロ組織写真である(600倍)。
【図19】実施例4にて使用した従来合金からなるチッ
プ先端部の金属ミクロ組織写真である(600倍)。
【符号の説明】
なし

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化チタンを主体とする硬質相とCoお
    よびNiの1種または2種を主体とする結合相とからな
    る炭化チタン基サーメット合金であって、結合相中のT
    iおよびMo含有量が0.85≦Mo(wt.%)/Ti(wt.
    %)、6wt.%≦Ti+Moの条件を満足することを特徴と
    する炭化チタン基サーメット合金。
  2. 【請求項2】 炭化チタンおよび炭化タングステンを主
    体とする硬質相とCoおよびNiの1種または2種を主
    体とする結合相とからなる炭化チタン基サーメット合金
    であって、結合相中のTiおよびMo含有量が0.85
    ≦Mo(wt.%)/Ti(wt.%)、7wt.%≦Ti+Mo+Wの
    条件を満足することを特徴とする炭化チタン基サーメッ
    ト合金。
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