JPH0617211A - クロム、ニオブおよびホウ素を含有するアルミニウム化チタンの製造方法 - Google Patents

クロム、ニオブおよびホウ素を含有するアルミニウム化チタンの製造方法

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JPH0617211A
JPH0617211A JP3353136A JP35313691A JPH0617211A JP H0617211 A JPH0617211 A JP H0617211A JP 3353136 A JP3353136 A JP 3353136A JP 35313691 A JP35313691 A JP 35313691A JP H0617211 A JPH0617211 A JP H0617211A
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    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】γ−アルミニウム化チタンの延性を向上させる
ための方法を開示する。 【構成】クロム、ニオブおよび炭素を含有するアルミニ
ウム化チタンにホウ素を添加し、次いで得られた鋳造品
に熱機械的加工を施すことから成る。ホウ素は0.5〜
2原子%の濃度で添加される。融液の凝固により、微細
な等軸結晶粒から成る顕微鏡組織を有する鋳造品が得ら
れる。次いで、それに熱機械的加工を施すことによって
性質の向上が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【関連出願の説明】本願は、1990年7月2日に提出
された米国特許出願第07/546962号、1990
年7月2日に提出された米国特許出願第07/5469
73号、および1990年12月21日に提出された米
国特許出願第631,988号と密接に関連している。
これらの特許出願はいずれも、本願の場合と同じ所有権
者によって所有されている。
【0002】
【発明の背景】本発明は、結晶粒組織の改善という点で
可鋳性の向上を示すγ−アルミニウム化チタン(TiA
l)合金の製造方法に関するものである。更に詳しく言
えば本発明は、クロム、ニオブおよびホウ素の同時添加
並びに熱機械的加工の使用によって微細な結晶粒組織お
よび1群の改善された性質を生み出すようなクロム−ニ
オブ−ホウ素含有γ−アルミニウム化チタン鋳造品の熱
機械的加工方法に関する。
【0003】鋳造品を製造する際には、一般に、鋳造す
べき溶融金属が高度の流動性を有することが望ましい。
流動性が大きいと、溶融金属は鋳型内においてより自由
に流れることができるから、小さい断面寸法を有する鋳
型部分を満たしたり、また早期の凝固なしに複雑な鋳型
部分に入り込むことが可能となる。これに関連して述べ
れば、溶融金属が鋭く曲がったかど部を有する鋳型部分
に流入し得ると共に、鋳造品が使用した鋳型の形状に極
めて良く合致するようにするため、溶融金属は低い粘度
を有することが一般に望ましい。このたび、本発明に従
えば、このようにして鋳造された鋳塊に熱機械的加工を
施すことによって鋳塊自体の性質を改善し得ることが見
出された。
【0004】鋳造品におけるもう1つの望ましい特徴
は、それらが微細な顕微鏡組織を有すること、すなわち
微細な結晶粒度を有することである。そうすれば、合金
の各種成分の偏析が最少限に抑えられる。このことは、
鋳型内における金属の収縮によって熱間亀裂が生じるの
を避けるために重要である。鋳造された金属の凝固およ
び冷却に伴って鋳造品に多少の収縮が起こることは、極
めてありふれた普通の現象である。しかしながら、合金
成分の顕著な偏析が起こる場合には、鋳造品の様々な部
分に亀裂が生じる恐れがある。かかる偏析の結果として
鋳造品は弱体化し、また金属の凝固および冷却並びにそ
れに伴う収縮の結果として鋳造品は応力に暴露されるこ
とになる。換言すれば、溶融金属は鋳型を完全に満たし
かつ鋳型内の微小な空所の全てに流入するのに十分なだ
けの流動性を有することが望ましいと共に、凝固後の金
属は健全であって、過度の偏析または内部の熱間亀裂の
結果として生じた弱い部分を含まないことが望ましいの
である。鋳塊について述べれば、微細な結晶粒度は熱機
械的加工を行うための高温下で高度の変形可能性をもた
らすのが通例である。大きい結晶粒または柱状結晶粒か
ら成る組織は熱機械的加工に際して結晶粒界の割れを起
こし、そのため内部の亀裂や表面の破裂を生じる傾向が
ある。
【0005】1990年7月2日に提出された同時係属
米国特許出願第07/546973号明細書中には、ホ
ウ素と共にクロムおよびニオブを含有する結果として微
細な鋳造結晶粒組織および優れた性質を有するような組
成物が記載されている。このたび本発明者は、クロム、
ニオブおよびホウ素を含有する組成物の熱機械的加工に
よってそれらの性質とりわけ延性を大幅に向上させ得る
ことを見出した。
【0006】アルミニウム化チタン組成物自体に関して
は、チタンに添加されるアルミニウムの割合を増加させ
るのに伴い、得られるアルミニウム化チタン組成物の結
晶形態が変化することが知られている。チタンに低濃度
のアルミニウムを添加すると固溶体が得られるが、それ
の結晶形態はα−チタンの結晶形態と同じである。より
高いアルミニウム濃度(すなわち、約25〜30原子%
のアルミニウム濃度)の下では金属間化合物Ti3 Al
が生成するが、これはα2 型と呼ばれる規則的な六方晶
系結晶形態を有している。更に高いアルミニウム濃度
(すなわち、50〜60原子%のアルミニウム濃度)の
下では、γ型と呼ばれる規則的な正方晶系結晶形態を有
する別の金属間化合物TiAlが生成する。本発明は主
としてかかるγ−アルミニウム化チタンに関連するもの
である。
【0007】γ型の結晶形態および約1の化学量論比を
有するチタン−アルミニウム合金は、高い弾性率、低い
密度、高い熱伝導率、好ましい耐酸化性および良好なク
リープ抵抗性を有する金属間化合物である。TiAl金
属間化合物、その他のチタン合金およびニッケル基超合
金に関する弾性率と温度との関係を図1に示す。この図
から明らかな通り、γ−TiAlはチタン合金のうちで
最も優れた弾性率を有している。すなわち、γ−TiA
lの弾性率は高温下において他のチタン合金の場合より
高いばかりでなく、温度の上昇に伴うγ−TiAlの弾
性率の低下速度も他のチタン合金の場合より小さいので
ある。その上、γ−TiAlは他のチタン合金が役に立
たなくなるような温度より高い温度下においても有用な
弾性率を保持している。このように、γ−TiAl金属
間化合物を基材とする合金は、高温下における高い弾性
率および良好な環境保護特性を要求する用途にとって魅
力的な軽量材料である。
【0008】γ−TiAlの実際的な使用を制限するそ
れの特性の1つは、γ−TiAlの融液が比較的小さい
流動性を有することである。このような小さい流動性は
γ−TiAlの可鋳性を制限するのであって、それは特
に鋳造品が薄肉の部分を有する場合あるいは鋭角の部分
や鋭く曲がったかど部を持った複雑な形状を有する場合
に顕著である。それ故、融液の流動性が向上しかつ鋳造
品が微細な顕微鏡組織を有するようにγ−TiAl金属
間化合物を改質することは、適当な高温下で鋳造品をよ
り広範に使用しようという目的にとって極めて望ましい
のである。なお、本明細書中においてTiAl鋳造品の
顕微鏡組織が言及される場合、それは鋳放しの状態にあ
る鋳造品の顕微鏡組織を指す。本発明者は、クロム、ニ
オブおよびホウ素を含有するγ−TiAl組成物の鋳造
品が微細な顕微鏡組織を有しており、そしてかかる微細
な顕微鏡組織がそれらの鋳造品の鍛造を容易にすること
を見出した。本発明者はまた、炭素を追加含有する上記
の組成物を鋳造した後に鍛造またはその他の機械的加工
を施せば、顕微鏡組織の変化と共に性質の顕著な改善が
得られることをも見出した。
【0009】γ−TiAlの実際的な使用を制限するも
う1つの特性は、γ−TiAlが室温において脆いこと
である。また、γ−TiAl金属間化合物を構造部材と
して利用するためには、室温におけるそれの強度を向上
させる必要がある。このように、適当な高温下でγ−T
iAl金属間化合物を使用し得るためには、室温におけ
る延性および(または)強度が向上するようにγ−Ti
Al金属間化合物を改質することが極めて望ましいので
ある。本発明は、特定のγ−TiAl組成物についてか
かる改質を可能にするものである。
【0010】高温下で軽量材料として有利に使用し得る
ことを考えると、有用なγ−TiAl組成物において最
も所望されることは、それが室温において望ましい組合
せの強度および延性を有することである。かかる組成物
のある種の用途にとっては1%程度の最小延性が得られ
れば十分であるが、それよりも高い延性が得られればな
お一層望ましい。また、組成物が有用であるための最小
強度は約50ksi または約350MPa である。とは言
え、このような強度レベルを有する材料は限界に近い有
用性を有するものに過ぎないのであって、用途によって
はそれよりも高い強度を有することが好ましい場合が多
い。
【0011】γ−TiAl金属間化合物の化学量論比
は、結晶構造の変化なしに一定の範囲内において変化し
得る。すなわち、それのアルミニウム含量は約50〜約
60原子%の範囲内において変化し得る。とは言え、チ
タンおよびアルミニウム成分の化学量論比が1%以上の
比較的小さい変化を受けた場合でも、γ−TiAl金属
間化合物の性質は極めて顕著な変化を示すことがある。
それの性質はまた、比較的少量の第3、第4およびその
他の元素を添加することによっても同様な影響を受け
る。
【0012】
【先行技術の記載】TiAl3 金属間化合物、γ−Ti
Al金属間化合物およびTi3 Al金属間化合物を含め
たチタン−アルミニウム組成物に関しては、数多くの文
献が存在している。「TiAl型のチタン合金」と称す
る米国特許第4294615号の明細書中においては、
γ−TiAl金属間化合物を含むアルミニウム化チタン
型の合金が詳しく論じられている。この特許明細書の第
1欄50行目以降には、Ti3 Alに対するγ−TiA
lの利点および欠点に関して次のような記載がある。
「γ−TiAl合金系はより多量のアルミニウムを含有
しており、従ってより軽量である可能性を有することは
明らかであろう。1950年代における実験室内での研
究結果は、アルミニウム化チタンが約1000℃までの
高温用途にとって有望であることを示した。しかし、か
かる合金に関する以後の技術的経験によれば、それらは
所要の高温強度を有していたが、室温および中程度の高
温(すなわち、20〜550℃の温度)におけるそれら
の延性はほぼ皆無に近いことが判明した。余りに脆い材
料は容易に加工し得ないばかりでなく、それらの使用に
際して稀ではあるが不可避的に発生する微小な損傷の結
果として亀裂およびそれに伴う破損が起こることが避け
られない。従って、それらは他の基礎合金に取って代わ
るほどの有用な高性能合金ではない。」γ−TiAlお
よびTi3 Alはいずれも基本的には規則的なアルミニ
ウム化チタン金属間化合物であるとは言え、γ−TiA
lはTi3 Al(およびTiの固溶体合金)と実質的に
異なることが知られている。米国特許第4294615
号明細書の第1欄の下部には次のような記載がある。
「当業者は、これら2つの秩序相の間に実質的な差があ
ることを認めている。Ti3 Alの合金化および変態挙
動はチタンの場合に類似しているのであって、両者の六
方晶系結晶構造はよく似ている。しかるに、TiAl金
属間化合物は正方晶系の原子配列を有しており、従って
かなり異なる合金化特性を示すのである。このような差
異は、初期の文献においては認識されていないことが多
い。」チタン−アルミニウム組成物およびそれらの特性
を取扱った技術文献を挙げれば、下記の通りである。
【0013】(1) ジャーナル・オブ・メタルズ(Journal
of Metals) 1952年6月号[米国採鉱・冶金および
石油技術者協会会報、第194巻]の609〜614頁
に収載されたイー・エス・バンプス、エイチ・ディー・
ケスラーおよびエム・ハンセン(E.S. Bumps, H.D. Kess
ler & M. Hansen)の論文「チタン−アルミニウム系」。
【0014】(2) ジャーナル・オブ・メタルズ(Journal
of Metals) 1953年2月号[米国採鉱・冶金および
石油技術者協会会報、第197巻]の267〜272頁
に収載されたエイチ・アール・オグデン、ディー・ジェ
イ・メイカス、ダブリュー・エル・フィンレーおよびア
ール・アイ・ジャフィー(H.R. Ogden, D.J. Maykuth,W.
L. Finlay & R.I. Jaffee)の論文「高純度Ti−Al合
金の機械的性質」。
【0015】(3) ジャーナル・オブ・メタルズ(Journal
of Metals) 1956年10月号[米国採鉱・冶金およ
び石油技術者協会会報、第206巻]の1345〜13
53頁に収載されたジョゼフ・ビー・マッカンドルーお
よびエイチ・ディー・ケスラー(Joseph B. McAndrew &
H.D. Kessler) の論文「耐熱合金用基材としてのTi−
36%Al」。
【0016】(4) イズベスチヤ・アカデミー・ナウク・
SSSR(Izv. Akad. Nauk SSSR)、金属編、第5巻(1
983年)の170頁に収載されたエス・エム・バリノ
フ、ティー・ティー・ナルトヴァ、ユ・エル・クラスリ
ンおよびティー・ヴィー・モグトヴァ(S.M. Barinov,
T.T. Nartova, Yu L. Krasulin & T.V. Mogutova)の論
文「チタン−アルミニウムの強度および破壊靭性の温度
依存性」。この文献の表1中にはチタン−36%アルミ
ニウム−0.01%ホウ素の組成物が報告されていて、
この組成物は延性の向上を示すことが述べられている。
原子パーセントで表わせば、この組成物は、Ti50Al
49.97 0.03に相当している。
【0017】(5) 米国金属学会(ペンシルバニア州ウォ
レンデール市)発行のチタニウム80(Titanium 80) 第
2巻(1980年)の1231頁に収載されたエス・エ
ム・エル・サストリーおよびエイチ・エイ・リスピット
(S.M.L. Sastry & H.A. Lispitt)の論文「TiAlおよ
びTi3 Alの塑性変形」。
【0018】(6) メタラージカル・トランザクションズ
A(Metallurgical Transactions A)第14A巻(198
3年10月)の2171〜2174頁に収載されたパト
リック・エル・マーチン、マダン・ジー・メンディラッ
タおよびハリー・エイ・リスピット(Ptrick L. Martin,
Madan G. Mendiratta & Harry A. Lispitt)の論文「T
iAlおよびTiAl+W合金のクリープ変形」。
【0019】(7) チタニウム・アンド・ジルコニウム(T
itanium and Zirconium)第33巻第3号159(198
5年7月)の1〜13頁に収載されたトクゾー・ツジモ
ト(Tokuzo Tsujimoto)の論文「TiAl金属間化合物合
金の研究、開発および将来性」。
【0020】(8) 米国材料研究学会発行のマテリアルズ
・リサーチ・ソサエティ・シンポジウム・プロシーディ
ングズ(Mat. Res. Soc. Symposium Proc.)第39巻(1
985年)の351〜364頁に収載されたエイチ・エ
イ・リスピット(H.A. Lispitt)の論文「アルミニウム化
チタン−概説」。
【0021】(9) マテリアルズ・ウィーク(Materials W
eek)1986年10月号の1〜7頁に収載されたエス・
エイチ・ワング(S.H. Whang)等の論文「Ll0 型TiA
l合金における急速凝固の効果」(急速凝固による構造
用金属の性質の向上に関するASMシンポジウム議事
録)。
【0022】(10)ソ連科学アカデミー機関誌であるメタ
リー(Metally) 第3号(1984年)の164〜168
頁。
【0023】(11)米国金属学会(ペンシルバニア州ウォ
レンデール市)発行のチタニウム80(Titanium 80) 第
2巻(1980年)の1245〜1254頁に収載され
たピー・エル・マーチン、エイチ・エイ・リスピット、
エヌ・ティー・ヌーファーおよびジェイ・シー・ウィリ
アムズ(P.L. Martin, H.A. Lispitt, N.T. Nuhfer &J.
C. Williams)の論文「Ti3 AlおよびTiAlの顕微
鏡組織および性質に対する合金化の効果」。
【0024】(12)スクリプタ・メタラージカ・エト・マ
テリアリア(Scripta Metallurgicaet Materialia)第2
4巻(1990年)の851〜856頁に収載されたデ
ィー・イー・ラーセン、エム・エル・アダムズ、エス・
エル・カンペ、エル・クリストドウロウおよびジェイ・
ディー・ブライアント(D.E. Larsen, M.L. Adams, S.L.
Kampe, L. Christodoulou & J.D. Bryant) の論文「不
連続に強化したXDアルミニウム化チタン複合物の破壊
靭性に対する母材相形態の影響」。
【0025】(13)スクリプタ・メタラージカ・エト・マ
テリアリア(Scripta Metallurgicaet Materialia)第2
4巻(1990年)の33〜38頁に収載されたジェイ
・ディー・ブライアント、エル・クリストドンおよびジ
ェイ・アール・マイサノ(J.D. Bryant, L. Christodon
& J.R. Maisano) の論文「近似γ−アルミニウム化チタ
ンのコロニーサイズに対するTiB2 添加の効果」。
【0026】また、TiAl組成物を取扱った特許文献
を挙げれば、下記の通りである。
【0027】(1) ジャフィー(Jaffee)の米国特許第32
03794号の明細書中には、各種のTiAl組成物が
開示されている。
【0028】(2) ジャフィー(Jaffee)のカナダ特許第6
21884号の明細書中にもまた、各種のTiAl組成
物が開示されている。
【0029】(3) ハシモト(Hashimoto) の米国特許第4
661316号の明細書中には、各種の添加剤を含有す
るアルミニウム化チタン組成物が記載されている。
【0030】(4) 本発明の場合と同じ譲受人に譲渡され
た米国特許第4842820号の明細書中には、ホウ素
の混入によって三元TiAl組成物を製造すると共に、
延性および強度を向上させる方法が記載されている。
【0031】(5) サストリー(Sastry)の米国特許第46
39281号の明細書中には、ホウ素、炭素、窒素また
はそれらの混合物あるいはそれらとケイ素との混合物か
ら成る繊維状分散質を、Ti−Alを含めたチタン基合
金中に含有させる方法が記載されている。
【0032】(6) ニシエジャマ(Nishiejama)の欧州特許
出願第0275391号の明細書中には、0.3重量%
までのホウ素を含有するTiAl組成物、並びにニッケ
ルおよびケイ素が存在する場合には0.3重量%のホウ
素を含有するTiAl組成物が記載されている。なお、
ホウ素と共にクロムまたはタンタルが存在することは記
載されていない。
【0033】(7) ネイグル(Nagle) の米国特許第477
4052号の明細書中には、発熱反応に基づいて母材中
に(ホウ化物を含めた)セラミックを混入することによ
り、アルミニウム化チタンを含めた母材に第2相物質を
付与する方法が記載されている。
【0034】
【発明の概要】本発明の目的の1つは、微細な結晶粒組
織を有するγ−TiAl金属間化合物鋳造品の性質を改
善することにある。
【0035】本発明のもう1つの目的は、望ましい組合
せの性質を有するようにγ−TiAl鋳造品を改質する
ための方法を提供することにある。
【0036】本発明の更にもう1つの目的は、再現可能
な微細な結晶粒組織および優れた組合せの性質を有する
ようにγ−TiAl鋳造品を改質するための方法を提供
することにある。
【0037】本発明のその他の目的および利点は、以下
の説明を読むことによって自ら明らかとなろう。
【0038】本発明の目的は、実施の一態様に従えば、
43〜48原子%のアルミニウム、1.0〜5.0原子
%のニオブ、0〜3.0原子%のクロムおよび0〜0.
2原子%の炭素を含有するγ−TiAlの融液を用意
し、接種剤として0.5〜2.0原子%の濃度でホウ素
を添加し、かかる融液を鋳造し、次いで得られた鋳造品
に熱機械的加工を施すことによって達成される。なお、
0.05〜0.2原子%の炭素を含有する組成物が好適
である。
【0039】添付の図面を参照しながら以下の説明を読
めば、本発明は一層明確に理解されよう。
【0040】
【詳細な説明】上記に詳しく論じられている通り、γ−
TiAl金属間化合物は軽量であり、高温下で高い強度
を示し、かつ比較的安価であるから、脆くさえなければ
工業界において多くの用途を有するはずであることは公
知である。すなわち、このような基本的性質に関する欠
陥のためにこの材料は多年にわたって十分に利用されず
にきたが、もしその欠陥さえ無かったらこの材料は現在
では多くの工業的用途を有していたはずなのである。
【0041】更にまた、γ−TiAl鋳造品はやはり上
記に論じられたような幾つかの欠点を有することも認め
られている。このような欠点としては、微細な顕微鏡組
織が得られないこと、薄肉の部分を鋳造するのに十分な
だけの低い粘度が得られないこと、形成された鋳造品が
脆いこと、形成された鋳造品の強度が比較的小さいこ
と、並びに繊細な部分、鋭角の部分、および鋭く曲がっ
たかど部を有する鋳造品を形成するのに十分なだけの小
さい流動性を有する融液が得られないことが挙げられ
る。これらの欠点はまた、得られたγ−TiAl鋳造品
に熱機械的加工を施してそれらの性質を改善することを
も妨げる。
【0042】このたび本発明者は、クロム、ニオブ、炭
素およびホウ素の同時添加の結果として微細な結晶粒組
織を有するγ−TiAl鋳造品において、以下に記載さ
れるような熱機械的加工によって延性の実質的な向上を
達成し得ることを見出した。
【0043】γ−TiAlにおける性質の改善を一層良
く理解し得るようにするため、本発明の範囲に含まれな
い幾つかの実施例を記載し、その後に本発明の新規な加
工方法に関する実施例を記載することにする。
【0044】
【実施例1〜3】TiAlの化学量論比に近似した様々
な化学量論比でチタンおよびアルミニウムを含有する3
種の二元組成物の融液を調製した。顕微鏡組織を観察す
るため、これら3種の組成物の各々を個別に鋳造した。
こうして得られた鋳造品から棒材を切出した後、個々の
棒材に対して1050℃の温度および45ksi の圧力下
で3時間にわたり高温等圧圧縮(HIP)を施した。次
いで、個々の棒材を1200〜1375℃の範囲内の様
々な熱処理温度に暴露した。熱処理済みの棒材から通常
の試験片を作製し、そして降伏強さ、破壊強さおよび塑
性伸びを測定した。凝固組織に関する観察結果、熱処理
温度、および試験によって得られた値を下記表1中に示
す。
【0045】
【表1】 表1から明らかなごとく、これら3種の組成物は3種の
相異なるアルミニウム濃度(すなわち、46原子%、4
8原子%および50原子%)を有している。これら3種
の組成物に関する凝固組織も表1中に示されているが、
この表から明らかなごとく、融液の凝固の結果として3
種の相異なる組織が生成された。このような鋳造品にお
ける結晶形態の違いに基づけば、γ−TiAl組成物の
化学量論比が僅かに違うだけで結晶形態および性質の顕
著な差が生じることが部分的に確認される。これら3種
の鋳造品の中ではTi−46Alが最良の結晶形態を有
することが判明したが、小さい等軸結晶であれば一層好
ましい。
【0046】融液の調製および凝固に関して述べれば、
各々の鋳塊をアルゴン雰囲気中においてアーク融解し
た。融液と容器との間に望ましくない反応が起こるのを
避けるため、融液用の容器として水冷式の炉床を使用し
た。チタンは酸素に対して強い親和性を有するから、高
温の金属が酸素に暴露されないように注意した。
【0047】こうして得られた個々の鋳造品から棒材を
切出した。これらの棒材にHIPを施した後、表1中に
示された温度下で個別に熱処理を施した。
【0048】かかる熱処理は、表1中に示された温度下
で2時間にわたって行った。
【0049】表1中に示された試験データから明らかな
通り、50原子%のアルミニウムを含有する組成物に比
べ、46および48原子%のアルミニウムを含有する組
成物は概して優れた強度および概して優れた塑性伸びを
有していた。なお、最良の総合延性を有する組成物は4
8原子%のアルミニウムを含有するものであった。
【0050】しかしながら、48原子%のアルミニウム
を含有する組成物の鋳放し状態における結晶形態は望ま
しい鋳造組織を成すとは言えなかった。なぜなら、薄肉
の部分を鋳造し得ると共に、鋭角の部分や鋭く曲がった
かど部のごとき繊細な部分を鋳造し得るという意味で最
良の可鋳性を達成するためには、微細な等軸結晶粒から
成る鋳造組織を得ることが一般に望ましいからである。
【0051】
【実施例4〜6】本発明者は、少量のクロムの添加によ
ってγ−TiAl組成物を実質的に延性化し得ることを
見出した。この発見は米国特許第4842819号の内
容を成している。
【0052】様々な濃度のアルミニウムと共に低濃度の
クロムを含有する一連の合金組成物の融液を調製した。
これらの実施例において使用した合金組成物は下記表2
中に示すようなものであった。なお、調製方法は上記実
施例1〜3の場合とほぼ同様であった。
【0053】
【表2】 こうして得られた鋳造品の結晶形態を観察したが、表2
から明らかなごとく、クロムの添加は表1中に示された
組成物の凝固組織を改善しなかった。詳しく述べれば、
46原子%のアルミニウムおよび2原子%のクロムを含
有する組成物は大きい等軸結晶粒組織を有していた。比
較のために述べれば、46原子%のアルミニウムを含有
する実施例1の組成物はやはり大きい等軸結晶粒組織を
有していた。実施例5および6についてもまた、表1中
の実施例2および3に示された組成物に2原子%のクロ
ムを添加したことによる凝固組織の改善は認められなか
った。
【0054】個々の鋳造品から切出された棒材にHIP
を施した後、表2中に示された温度下で個別に熱処理を
施した。熱処理済みの棒材から試験片を作製し、そして
降伏強さ、破壊強さおよび塑性伸びを測定した。一般的
に述べれば、46原子%のアルミニウムを含有する組成
物は48および50原子%のアルミニウムを含有する組
成物よりもやや低い延性を有することが判明した。しか
し、引張強さに関しては、これら3種の組成物の性質は
実質的に同等であった。
【0055】
【実施例7〜9】下記表3中に示されるような合金組成
を有する3種のγ−TiAl組成物の融液を調製した。
調製方法は上記実施例1〜3の場合とほぼ同様であっ
た。各々のホウ素含有組成物において所定のホウ素濃度
を得るためには、融解すべき装入材料中に元素状ホウ素
を混入した。なお、比較を容易にするため、実施例2の
組成物の合金組成および試験データが表3中にも示され
ている。
【0056】
【表3】 各々の融液を鋳造し、そして得られた鋳造品の結晶形態
を観察した。また、個々の鋳造品から切出された棒材に
HIPを施した後、表3中に示された温度下で個別に熱
処理を施した。次いで降伏強さ、破壊強さおよび塑性伸
びを試験したが、かかる試験の結果はやはり表3中に示
されている。
【0057】表3から明らかなごとく、1/10または2/10
原子%という比較的低いホウ素濃度が使用された。やは
り表3から明らかなごとく、このようなレベルのホウ素
は鋳造品の結晶形態を変化させるのに有効でなかった。
【0058】表3中にはまた、実施例7、8および9の
組成物との比較を容易にするため、実施例2の組成物の
合金組成も示されている。なぜなら、実施例7、8およ
び9のホウ素含有組成物はいずれも48原子%のアルミ
ニウムを含有しているからである。
【0059】なお、低濃度のホウ素の添加は引張特性値
および延性値の実質的な低下を生じなかった点に注意す
ることが重要である。
【0060】
【実施例10〜13】下記表4中に示されるような合金
組成を有する4種のγ−TiAl組成物の融液を調製し
た。調製方法は上記実施例1〜3の場合とほぼ同様であ
った。実施例12および13においては、実施例7〜9
の場合と同じく、融解材料に所定濃度の元素状ホウ素を
添加した。
【0061】
【表4】 この場合にも、各実施例の融液を鋳造した後、凝固組織
を観察した。観察された結晶形態は表4中に記録されて
いる。なお、Ti−46Al−2Cr組成物に関するデ
ータとの比較を容易にするため、表4中には実施例4の
データも示されている。更にまた、凝固した試料から棒
材を切出してHIPを施した後、1250〜1400℃
の範囲内の温度下で個別に熱処理を施した。次いで降伏
強さ、破壊強さおよび塑性伸びを試験したが、かかる試
験の結果はそれぞれの実施例に含まれる各々の試験片に
対応して表4中に示されている。
【0062】いずれもが約46原子%のアルミニウムお
よび2原子%のクロムを含有するという点で、実施例1
0〜13の組成物は実施例4の組成物に近似しているこ
とが認められよう。更にまた、これらの実施例の組成物
中には第4の添加剤も含まれていた。実施例10につい
ては、かかる第4の添加剤は炭素であった。この場合に
は、表4から明らかなごとく、実施例4の大きい等軸結
晶粒組織ではなく柱状結晶粒組織が認められたのであっ
て、炭素は凝固組織の顕著な改善をもたらさなかった。
更にまた、実施例10の組成物については顕著な強度の
向上が認められたが、塑性伸びはこの組成物をほとんど
使用不可能にするほど低いレベルにまで低下した。
【0063】次に実施例11に関する結果を考察すれ
ば、第4の添加剤として0.5原子%の窒素を使用した
場合、微細な等軸結晶粒組織が認められたという点で凝
固組織の実質的な改善が得られたことが明らかである。
しかしながら、塑性伸びの低下が示す通り、引張特性の
悪化をもたらすために窒素の使用は許容し得なかった。
【0064】次に実施例12および13を考察すれば、
いずれの場合にも第4の添加剤としてホウ素を使用する
ことによって微細な等軸結晶粒組織が得られ、従って可
鋳性の向上が認められた。更にまた、上記のごとき実施
例4の組成物について得られた強度値と比較してみる
と、ホウ素の添加は顕著な強度の向上をもたらした。ま
た、特に重要な点としては、第4の添加剤としてホウ素
を含有する組成物の塑性伸びは該組成物をほとんど使用
不可能にするほど低いレベルにまで低下しなかった。従
って、第3の添加剤としてクロムを含有するアルミニウ
ム化チタンにホウ素を添加することにより、凝固組織を
実質的に改善し得るばかりでなく、塑性伸びを許容し得
ないほどに低下させることなく降伏強さおよび破壊強さ
を含む引張特性を顕著に向上させ得ることが見出され
た。また、アルミニウム化チタン中のアルミニウム濃度
がより低い場合には、より高い濃度のホウ素を添加する
ことによって有益な結果が得られることも見出された。
このように、クロムおよびホウ素を含有するγ−アルミ
ニウム化チタン組成物は、特に凝固組織および強度特性
に関して該組成物の可鋳性を極めて顕著に向上させるこ
とが判明した。なお、凝固組織の改善は実施例12およ
び13のいずれの組成物についても認められた。しかし
ながら、実施例13の組成物に関する塑性伸びは実施例
12の組成物の場合ほど大きくなかった。
【0065】
【実施例14〜15】下記表5中に示されるような合金
組成を有する2種の組成物を調製した。調製方法は上記
実施例1〜3の場合とほぼ同様であった。各々の組成物
において所定のホウ素濃度を得るためには、以前の実施
例の場合と同じく、融解すべき装入材料中に元素状ホウ
素を混入した。
【0066】
【表5】 表5から明らかなごとく、これら2種の組成物は実施例
12および13の組成物に4原子%のニオブを添加した
ものに相当している。なお、本発明の譲受人に譲渡され
た米国特許第4879092号明細書中には、クロムお
よびニオブによって改質されたアルミニウム化チタン合
金から成る新規な組成物が記載されている。また、19
89年5月22日に提出された同時係属米国特許出願第
354965号明細書中には、クロムおよびニオブによ
って改質されたTiAl合金の加工方法が記載されてい
る。
【0067】この場合にも、上記実施例1〜3に関連し
て記載された手順に従い、かかる組成物の融液を鋳造し
た後に凝固組織を検査した。それらの凝固組織は、実施
例12および13の組成物に関して観察されたものと同
じ微細な等軸結晶粒組織であった。
【0068】上記実施例1〜3に関連して記載された手
順に従い、鋳造材料の棒材を作製してHIPを施した
後、表5中に示された温度下で個別に熱処理を施した。
次いで、試験片を作製して試験を行ったが、強度特性お
よび塑性伸びに関する試験の結果が表5中に示されてい
る。表5中に示されたデータから明らかなごとく、実施
例14および15の組成物を使用すれば、特に塑性伸び
の点で顕著な改善を達成し得ることが判明した。実施例
14および15の試験結果から引出される結論は、上記
特許の組成物の可鋳性がホウ素の添加によって大幅に改
善されるということである。その際、アルミニウムの濃
度が低いほど高い濃度のホウ素を混入し得ることが判明
した。それ故、実施例14に比べて実施例15のアルミ
ニウム濃度を低下させることにより、実施例15におけ
るホウ素濃度の増加を部分的に補償した。
【0069】要するに、実施例14および15の組成物
は望ましい微細な等軸結晶粒組織を有するばかりでな
く、それの強度も表1中に示された実施例1、2および
3の組成物に比べて大幅に向上していることが明らかで
ある。その上、実施例14および15の組成物の塑性伸
びは、実施例10に示されたような組成物の使用あるい
は実施例11に示されたような窒素の添加によって引起
こされるほどの低いレベルにまで低下していない。
【0070】なお、クロムおよびニオブを含有するTi
Al組成物の性質をホウ素の添加によって改善すること
は、1990年7月2日に提出されかつ本発明の場合と
同じ所有権者によって所有された同時係属米国特許出願
第07/546973号の内容を成している。
【0071】
【実施例16〜18】上記実施例1〜3に関連して記載
された方法に従って3種の組成物の融液を調製した。こ
れら3種の組成物の合金組成は下記表6中に示されてい
る。各々のホウ素含有組成物において所定のホウ素濃度
を得るためには、以前の実施例の場合と同じく、融解す
べき装入材料中に元素状ホウ素を混入した。
【0072】
【表6】 これら3種の組成物は、2つの相違点を除けば実施例1
4の組成物に相当していた。第1の相違点は、実施例1
6、17および18の組成物の各々が相異なるアルミニ
ウム濃度を有していたことである。すなわち、アルミニ
ウム濃度は実施例16において44.5原子%、実施例
17において45.5原子%、また実施例18において
46.5原子%であった。第2の相違点は、各々の組成
物が0.1原子%の炭素を含有していたことである。こ
れらの組成物の融液を鋳造し、そして得られた鋳造品の
凝固組織を検査した。いずれの場合にも、凝固組織は微
細な等軸結晶粒組織であることが判明した。かかる微細
な等軸結晶粒組織は炭素の添加に起因するものではなか
った。なぜなら、炭素を含有する実施例10の組成物は
柱状の凝固組織を示したからである。
【0073】鋳造材料の棒材を作製してHIPを施した
後、表6中に示された温度下で個別に熱処理を施した。
次いで、熱処理後の試料について試験を行ったが、こう
して得られた降伏強さ、破壊強さおよび塑性伸びに関す
るデータは表6中に示されている。実施例17の組成物
から得られたデータを実施例14の組成物から得られた
データと比較すれば、前者が0.1原子%の炭素を含有
する点を除けば両者は同じ合金組成を有するから、かか
る炭素の添加によって顕著な強化効果が得られることが
わかる。更にまた、46.5原子%のアルミニウムを含
有する実施例18の組成物の塑性伸びは鋳放しの鋳造品
としては十分に大きかった。これら3つの実施例16〜
18において得られた結果を評価すれば、アルミニウム
濃度が増加するのに伴い、強度は低下しかつ延性は増大
することが明らかである。
【0074】なお、上記の通り、クロムおよびニオブに
よって改質されたアルミニウム化チタン合金は本発明の
譲受人に譲渡された米国特許第4879092号および
同時係属米国特許出願第354965号の内容を成して
いる。
【0075】上記の試験結果からわかる通り、クロムお
よびニオブを含有する上記特許の合金は極めて望ましい
ものであることが認められよう。なぜなら、かかる合金
はクロムおよびニオブの同時添加に帰因される特異な組
合せの性質(とりわけチタン化アルミニウムの性質の改
善)を示すからである。とは言え、やはり上記の記載か
ら明らかなごとく、クロムおよびニオブを含有する合金
の結晶形態は基本的に柱状結晶粒から成るものであっ
て、鋳造用途において所望される微細な等軸結晶粒から
成るものではない。このように、クロムおよびニオブを
含有する基礎合金はクロムおよびニオブの存在に帰因さ
せ得る望ましい組合せの性質を有している。かかる基礎
合金にホウ素を添加すれば、該合金の結晶形態および可
鋳性が劇的に改善される。しかも、この場合には、クロ
ムおよびニオブの添加によって基礎合金に付与された特
異な組合せの性質の顕著な低下は見られない。炭素や窒
素のごとき各種の添加物の影響を調べた結果に基づけ
ば、かかる特異な組合せの望ましい性質を生み出すのは
上記のごとき添加物の組合せであることは明らかであ
る。それ以外の様々な組合せ(たとえば、窒素を含むよ
うな組合せ)においては、有利な結晶形態が得られるも
のの、性質の顕著な低下が認められるのである。
【0076】
【実施例15A〜18A】実施例15〜18に関連して
記載された組成物の鋳放しの鋳塊から、円板状の試料を
切出した。
【0077】かかる試料は、約2インチの直径および約
1/2 インチの厚さを有するホッケーパック状のものであ
った。約1/2 インチの肉厚および試料の厚さに等しい垂
直方向寸法を有する鋼製の保持リングの内部に上記のホ
ッケーパック状試料を嵌込んだ。なお、保持リング内に
嵌込むのに先立ち、1250℃で2時間にわたる熱処理
を施すことによって試料を均質化した。次いで、試料と
保持リングとの集合体を約975℃にまで加熱し、そし
て元の厚さの約1/2 に等しい厚さになるまで鍛造した。
【0078】鍛造された試料を冷却した後、試料から数
本のピンを機械加工し、そして各種の熱処理を施した。
すなわち、これらのピンに対し、下記表7中に示された
様々な温度下で個別に焼なましを施した。焼なましの
後、1000℃で2時間にわたりピンの時効を行った。
焼なましおよび時効の後、各々のピンから通常の引張試
験片を作製し、そして通常の引張試験を行った。かかる
引張試験の結果が下記表7中に示されている。
【0079】
【表7】 表7中に示されたデータを表5中に示されたデータと比
較すれば明らかなごとく、実施例15の組成物に熱機械
的加工を施した結果として顕著な性質の改善が得られ
た。詳しく述べれば、1300℃の熱処理温度において
は、降伏強さが約10%の向上を示し、また破壊強さが
約11%の向上を示した。とは言え、熱機械的加工の結
果として得られた真に重要な性質の改善は、延性が60
%以上も向上したことである。その他の熱処理温度にお
いても、同様な性質の改善が見られた。
【0080】このように、表7中に示されたデータから
明らかなごとく、1300℃で熱処理された実施例15
の組成物について言えば、降伏強さおよび破壊強さが僅
かな増大を示したことに加えて延性が60%以上も向上
したのである。アルミニウム化チタンの初期特性を有す
る合金組成物において60%の延性向上が得られること
は極めて重要なことであって、それは実際問題としてか
かる合金組成物の有用性を大幅に拡張するために役立つ
ことになる。
【0081】更にまた、クロム、ニオブおよびホウ素に
加えて炭素を含有する組成物について比較を行えば、な
お一層顕著な性質の改善が認められる。詳しく述べれ
ば、たとえば1275℃で熱処理された実施例16の組
成物は0.5の延性値を有していた。この組成物に熱機
械的加工を施した場合、延性値は1.5に増大した。こ
れは200%の向上である。また、1250℃で熱処理
された実施例16の組成物の延性値は0.6から1.5
に増大したが、これは150%の向上である。
【0082】その上、実施例16Aの鍛造された組成物
の破壊強さは実施例16の組成物に比べて顕著な向上を
示し、また降伏強さはほとんど低下しなかった。
【0083】炭素を含有する組成物におけるこのような
性質の向上は、全く意外なものであった。
【0084】表5、6および7を比較すれば、各々の組
成物の性質が熱機械的加工後において全般的に向上した
ことは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種の合金に関する弾性率と温度との関係を示
すグラフである。
【図2】Ti−46.5Al−2Cr−4Nb−1B−
0.1Cの合金組成を有する鋳造品(実施例18)の顕
微鏡写真である。
【図3】熱機械的加工を施さない図2の合金組成物と熱
機械的加工を施した図2の合金組成物との間における性
質の違いを示す棒グラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】各種の合金に関する弾性率と温度との関係を示
すグラフである。
【図2】Ti−46.5Al−2Cr−4Nb−1B−
0.1Cの合金組成を有する鋳造品(実施例18)の結
晶構造の顕微鏡写真である。
【図3】熱機械的加工を施さない図2の合金組成物と熱
機械的加工を施した図2の合金組成物との間における性
質の違いを示す棒グラフである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 Ti41.8-55.5 Al43-48 Cr0-3 Nb1-5 0.5-2.0 0-0.2 によって表わされる概略組成を持った組成物を鋳造し、
    次いで得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から
    成ることを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミ
    ニウム−クロム−ニオブ−炭素−ホウ素組成物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 式 Ti42.3-55 Al43-48 Cr0-3 Nb1-5 1.0-1.5 0-0.2 によって表わされる概略組成を持った組成物を鋳造し、
    次いで得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から
    成ることを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミ
    ニウム−クロム−ニオブ−炭素−ホウ素組成物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 式 Ti42.8-53.5 Al43-48 Cr1-3 Nb2-4 0.5-2.0 0-0.2 によって表わされる概略組成を持った組成物を鋳造し、
    次いで得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から
    成ることを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミ
    ニウム−クロム−ニオブ−炭素−ホウ素組成物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 式 Ti45.8-50.5 Al44.5-46.5 Cr2 Nb2-4 1.0-1.5 0-0.2 によって表わされる概略組成を持った組成物を鋳造し、
    次いで得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から
    成ることを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミ
    ニウム−クロム−ニオブ−炭素−ホウ素組成物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 式 Ti44.8-49.5 Al44.5-46.5 Cr1-3 Nb4 1.0-1.5 0-0.2 によって表わされる概略組成を持った組成物を鋳造し、
    次いで得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から
    成ることを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミ
    ニウム−クロム−ニオブ−炭素−ホウ素組成物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 式 Ti45.8-48.5 Al44.5-46.5 Cr2 Nb4 1.0-1.5 0-0.2 によって表わされる概略組成を持った組成物を鋳造し、
    次いで得られた鋳造品に熱機械的加工を施す両工程から
    成ることを特徴とする、延性の向上したチタン−アルミ
    ニウム−クロム−ニオブ−炭素−ホウ素組成物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 式 Ti41.8-55.5 Al43-48 Cr0-3 Nb1-5 0.5-2.0 0.05-0.2 によって表わされる概略組成を有しかつ熱機械的加工を
    施されたことを特徴とする構造部材。
  8. 【請求項8】 式 Ti42.3-55 Al43-48 Cr0-3 Nb1-5 1.0-1.5 0.05-0.2 によって表わされる概略組成を有しかつ熱機械的加工を
    施されたことを特徴とする構造部材。
  9. 【請求項9】 式 Ti42.8-53.5 Al43-48 Cr1-3 Nb2-4 0.5-2.0 0.05-0.2 によって表わされる概略組成を有しかつ熱機械的加工を
    施されたことを特徴とする構造部材。
  10. 【請求項10】 式 Ti45.8-50.5 Al44.5-46.5 Cr2 Nb2-4 1.0-1.5 0.05-0.2 によって表わされる概略組成を有しかつ熱機械的加工を
    施されたことを特徴とする構造部材。
  11. 【請求項11】 式 Ti44.8-49.5 Al44.5-46.5 Cr1-3 Nb4 1.0-1.5 0.05-0.2 によって表わされる概略組成を有しかつ熱機械的加工を
    施されたことを特徴とする構造部材。
  12. 【請求項12】 式 Ti45.8-48.5 Al44.5-46.5 Cr2 Nb4 1.0-1.5 0.05-0.2 によって表わされる概略組成を有しかつ熱機械的加工を
    施されたことを特徴とする構造部材。
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