JPH0616929Y2 - リング精紡機におけるスピンドル部の清掃装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案はリング精紡機のスピンドル部の清掃装置に関
する。

従来の技術 従来、リング精紡機の清掃装置として、特開昭６２−６
２９３５号に示されるように、スピンドル部からドラフ
ト部にかけて開口した吸気開口部が精紡フレームに固定
してある。そして、精紡糸巻取のためのリング，トラベ
ラを支持するリングレールが、その前方で昇降するよう
になっている。そして、前記吸気用開口部の下端は、下
降端位置のリングレール上面よりも上方に位置するよう
になっている。

考案が解決しようとする課題 上記によれば、リングレール上面のトラベラが、リング
レールの下降により吸気用開口部より下方に位置した時
には、トラベラが吸気用開口部と対向している時より
も、吸気作用が低下する。従って管糸成形のためのリン
グレールの昇降によりリング，トラベラ部（リングレー
ル）に作用する吸気効果がばらつき、リング，トラベラ
部で生じる微細な風綿の吸引清掃効果が高くなかった。
また、リングレールの昇降により、吸気用開口部がリン
グレールと干渉しないようにリングレール後方に離れた
位置に開口しているので、風綿発生部から吸気用開口部
まで距離があり、吸引効果を高めるたためには、吸引源
の吸引力を高める必要があり、設備費用が高価となり、
省エネルギー効果も高くなかった。

この考案の課題は、リング，トラベラ部で生じる微細な
風綿の除去が効果的に行われるスピンドル部の清掃装置
を提供することにある。

課題を解決するための手段 この考案は上記課題を解決するため、リング精紡機にお
いて、リングに向いた吸引部を有する吸引部材をリング
レールと同期して昇降可能に設け、この吸引部から吸引
気流を生じさせるようにしたことを特徴とする。

作用 リングレールと同期して吸引部材が昇降し、リング，ト
ラベラ部に対し絶えず一定の吸引気流が及ぼされ、リン
グ，トラベラ部での微細な風綿を効果的に吸引し、清掃
する。

実施例 第１図、２図において、リング精紡機のスピンドル部を
示す。ボビンＢを嵌装するスピンドル１はリング精紡機
の機台長手ほぼ全長に亘るスピンドルレール２上に所定
の左右ピッチを保って所定数回動自在に支持してある。
スピンドルレール２上方には、スピンドル１と対応し
て、トラベラ３をガイドするリング４が固定されたリン
グレール５が配置され、このリングレール５は第４図に
示すようにリフチングピラー６によって支持されてい
る。このリフチングピラー６は図示しないギヤエンドボ
ックス内の公知のハートカムによる揺動機構に連結さ
れ、リングレール５に管糸成形のための所定の昇降運動
を与えるようにしてある。

次に、セパレータ１０は、スピンドル長さのほぼ１／２
の高さを有するボディ１１と、これと一体に形成された
ほぼＬ字状の仕切部１２（第３図）とを備えている。仕
切部１２のスピンドル１後方部分は、Ｕ字状に切欠いて
あり、このＵ字状切欠部１３の底面１３ａは前記ボディ
１１上面と面一にしてある。第３図に示すように仕切部
１２の隣接するスピンドル１，１間に位置する前後方向
衝立部１２ａの内周面と隣の仕切部１３に当接する左右
方向衝立１２ｂの内周面との間はスピンドル１の回転中
心と同心の円弧面で連続され、これらの面により気流案
内面１４が形成されている。前後方向衝立部１２ａの、
ボディ側基部１２ｃにはリングレール５上面から上方
に、ボディ１１高さより僅かに短い巾で、リング４外周
に向くと共にその後面１５ａが前記左右方向衝立部１２
ｂの前面と面一にしてあって、気流案内面１４に沿って
流れる気流の方向に開口する吸引口１５が設けてある。
この吸引口１５はボデイ１１内に形成した連通室１６を
介してボディ１１後方に開口した排出口１７へと連通し
ている。ボディ１１は長手方向側面に突起１８を、他側
にこれと嵌合する嵌合溝１９が形成され、これらが互い
に嵌合されて左右位置が決定された状態でリングプレー
ト５下面及び背面から取付ねじ２０，２１で固着してあ
る。

ボディ１１背面には、所定数（例えば６個）のセパレー
タ１０にわたる吸気配管２２が接続され、この吸気配管
２２は前記各セパレータ１０の排出口１７と対向して回
収口２３が開いており、長手方向の主管路２４を介して
吸気配管２２一本につき１つの排出口２５へと連通され
ている。この排出口２５には屈曲自在なフレキシブルホ
ース２６が接続されており、リングレール５の昇降運動
に追従できるようにしてある。このように吸気配管２２
でつながれた回収ユニットが、機台長手方向に所定数設
けられる。第４図に示すように各回収ユニットの前記フ
レキシブルホース２６は、機台中央の長手方向に延びる
主吸気配管２７に接続され、この主吸気配管２７は吸引
ファン２９，フィルタ３０を備えたニューマボックス
（吸引源）２８に接続配管される。尚、前記ボディ１１
上面には、アンチノードリング３１が固着してある。

さて、リング精紡機による紡出が開始され、スピンドル
１が回転し、リングレール５が昇降される。これによ
り、ドラフト部（図示せず）より紡出された精紡糸Ｙ
は、回転するトラベル３を介してボビンＢに巻取られて
ゆく。この時、トラベラ３によって曲げられている精紡
糸部分から細かな短繊維風綿が発生する。一方、ボビン
Ｂの回転により生じる気流は、セパレータ１０の仕切部
１２の気流案内綿１４に沿って第３図に示す矢印のよう
に制御され、前記短繊維風綿はこの制御された気流によ
って吸引口１５まで導かれ、発生と同時に瞬時にニュー
マボックス２８からの吸引力によって連通室１６へと吸
込まれる。連通室１６内では、この風綿が排出口１７に
向かって傾斜した内壁に沿って排出口１７へ円滑に運ば
れ、吸気配管２２からフレキシブルホース２６，及び主
吸気配管２７を介してニューマボックス２８へ運ばれ、
ニューマボックス内２８のフイルタ３０に付着する。

このように、吸引口１５を備えた吸引部材を兼用したセ
パレータ１０がリングレール５に固着してあり、セパレ
ータ１０がリングレール５と共に昇降し、リング４，ト
ラベラ３との上下方向の相対位置関係を変えないため
に、トラベラ３とリング４に対して吸引作用が絶えず一
定に及び、その部分で生ずる風面は効果的に吸引される
ことになる。そして、このようにスピンドル１で生じる
風綿の吸引が効果的に行われる結果、精紡糸への風綿巻
込みが減少し、糸品質を向上させ、しかも、スピンドル
レール２上面等への堆積風綿も減少することになる。

この実施例では、仕切部１２に気流制御面１４を設けて
気流を制御し、この気流で風綿を吸引口１５まで運ぶよ
うにしたので、吸引口１５より離れている風綿も、小さ
な吸引力で吸引できる。また、セパレータ１０にこのよ
うな吸引口１５を備えたのでセパレータ１０と別に吸引
部材を設ける場合に比べ、コンパクトになる利点もあ
る。しかし、その点を考慮しないなら、第５図に示すよ
うにリングレール５のリフチングピラー６と別に吸引部
材３４用のリフチングピラー３３を設け、このリフチン
グピラー３３先端に吸気配管２２を連結し、この吸気配
管２２に吸引部材３４を連結し、リングレール５と吸気
部材３４とを同期昇降する構造であってもよい。

考案の効果 以上のようにこの考案では、吸引源に配管接続され、ス
ピンドルに向く吸引口を備えた吸引部材を、リングレー
ルと同期して昇降可能に設けたので、リングレールの昇
降を考慮して、リングレールから離れた位置に吸引口を
固定して設けていた従来のものと比べ、吸引口をスピン
ドルに対して接近させることができ、吸引効果を高くで
きる。しかも、吸引口とリングレールが上下方向の相対
位置を変えないので、吸引口からの吸引気流が絶えず一
定にリング，トラベラ部に及ぶことになり、この部分で
の風綿除去を効果的に行うことができ、糸品質を向上さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の清掃装置を装着したリング精紡機の
スピンドル部正面図、第２図は第１図のII−II断面図、
第３図は第１図の平面図、第４図吸気配管接続図、第５
図は他の実施例である。 １……スピンドル、４……リング、５……リングレー
ル、６……リフチングピラー、１０……セパレータ（吸
引部材）、１５……吸引口、２２……吸気配管、２７…
…主吸気配管、２８……ニューマボックス（吸引源）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リングレールが昇降して、スピンドルに装
   着したボビン回りに糸を巻取るリング精紡機において、
   リングに向いた吸引口を備えた吸引部材をリングレール
   と同期して昇降可能に設け、この吸引部材を吸気配管を
   介して吸引源へ接続したことを特徴とするリング精紡機
   におけるスピンドル部の清掃装置。