JPH06168775A - ヒーターおよびその製造方法 - Google Patents

ヒーターおよびその製造方法

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JPH06168775A
JPH06168775A JP4318296A JP31829692A JPH06168775A JP H06168775 A JPH06168775 A JP H06168775A JP 4318296 A JP4318296 A JP 4318296A JP 31829692 A JP31829692 A JP 31829692A JP H06168775 A JPH06168775 A JP H06168775A
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JP
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resin
heater
carbon fiber
compound
thermosetting resin
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JP4318296A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakamura
宏 中村
Koji Yamatsuta
浩治 山蔦
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】連続した炭素繊維よりなる繊維束に未硬化の熱
硬化性樹脂が含浸された可撓性複合体を所望形態に配置
し、該複合体の両端または両端及び中間部にそれぞれ1
個乃至複数個の電極を取り付けて、該複合体に通電し、
炭素繊維を発熱させることにより該熱硬化性樹脂を硬化
させて炭素繊維強化複合材料製ヒーターを製造する。 【効果】持ち運びや取扱い性に優れる中間素材を用い
て、現場で簡便に、所望形態およびサイズに製造でき
る。また得られるヒーターは軽量で高強度・高弾性、し
かも耐蝕性に富み、その本来のヒーターとしての機能と
ともに強度材料としての性能も有する。融雪用のヒータ
ー等に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒ−タ−およびその製造
方法に関する。さらに詳しくは、軽量で高強度、高弾
性、しかも耐蝕性に富み、かつ、現場で容易に所望形態
に製造でき、融雪用等に使用できる炭素繊維強化複合材
料製ヒ−タ−に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる繊維強化複合材料(以下、FR
Pということがある)は金属材料と比較して比強度、比
剛性が高いこと、あるいは耐食性に優れることから、ス
ポ−ツ、レジャ−分野や航空機分野をはじめとして、種
々の工業分野において使用されるようになってきてい
る。特に炭素繊維を強化繊維として用いたFRP(以
下、CFRPということがある)は、その他のFRPに
比べて強度および弾性率が高く、しかも軽量であり、さ
らには耐蝕性にも優れることから、種々の分野において
積極的に使用されつつある。例えば、CFRP製の棒状
体は、土木や建設工事等に用いられるコンクリ−ト強化
用鉄筋の代替物など、各種用途に注目されている。しか
しながら、このような優れた性能にもかかわらず、CF
RPを成形するには、熱プレスやオ−トクレ−ブあるい
は硬化炉等の設備を必要とするために、所望の形態や大
型の成形体を成形するのは容易でなかった。
【0003】一方、炭素繊維に通電するとジュ−ル熱が
発生することは従来より知られている。例えば、特開昭
58−155926号公報には、炭素繊維に通電させ発
生するジュ−ル熱を利用して複合材料成形物を製造する
方法が開示されている。
【0004】また、ジュール加熱を利用するヒーターが
知られている。従来のジュ−ル加熱を利用する抵抗加熱
のヒ−タ−材料は、合金材料が一般的であり、特にニク
ロム(ニッケルとクロムを主成分とする合金)や鉄クロ
ム(鉄を主成分とするクロムやアルミニウムを含む合
金)が一般的である。これらのヒーター材料は、重いこ
と、強度が低いことから強度材料としての機能を持たせ
ることは難しい。さらには、腐食性ガスが存在するよう
な酷環境下での使用は困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
優れた性能を有するCFRPを用いることにより、所望
の形態およびサイズを有するヒーターを製造できること
に着眼し完成したものである。すなわち本発明は所望の
形態やサイズを有し、しかも軽量、高強度でかつ耐腐食
性のヒ−タ−を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は次に
記す発明に関する。 1.連続した炭素繊維よりなる繊維束が樹脂に埋め込ま
れてなる炭素繊維強化複合材料を発熱体として用いるこ
とを特徴とするヒーター。 2.該樹脂が熱硬化性樹脂である上記項1記載のヒータ
ー。 3.該繊維束の一部または全部が、撚りをかけたり、あ
るいは編組みされて複数のストランドが一体化されてい
る上記項1記載のヒ−タ−。 4.該炭素繊維強化複合材料の一部または全部が、電気
絶縁性材料によって被覆されている上記項1記載のヒ−
タ−。 5.融雪用に施工される上記項1記載のヒーター。 6.連続した炭素繊維よりなる繊維束に未硬化の熱硬化
性樹脂が含浸された可撓性複合体を所望形態に配置し、
該複合体の両端または両端及び中間部にそれぞれ1個乃
至複数個の電極を取りつけて、該複合体に通電し炭素繊
維を発熱させることにより該熱硬化性樹脂を硬化させる
ことを特徴とする炭素繊維強化複合材料製ヒーターの製
造方法。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明者らは、連続し
た炭素繊維よりなる繊維束が樹脂に埋め込まれてなる炭
素繊維強化複合材料製ヒ−タ−によって上記課題が解決
することを見出したものである。
【0007】本発明のより具体的な実施態様は、連続し
た炭素繊維よりなる繊維束に未硬化の熱硬化性樹脂が含
浸された可撓性複合体を所望形態に配置し、該複合体に
通電し炭素繊維を発熱させることにより該熱硬化性樹脂
を硬化せしめて製造する炭素繊維強化複合材料製ヒータ
ーである。
【0008】本発明において炭素繊維よりなる繊維束と
は、炭素繊維フィラメント複数本を束ねたものをいう
(以下、炭素繊維束ということがある。) 該可撓性複合体の取扱い性や作業性、あるいは成形され
たCFRP製ヒ−タ−の性能から該熱硬化性樹脂が含浸
された炭素繊維束の一部または全部が、撚りをかけた
り、あるいは編組されることによって複数ストランドが
一体化された複合体であることがさらに好ましいもので
ある。
【0009】また、作業時の安全性や、屋外での作業を
考慮した場合、さらにはヒ−タ−の使用環境が、雨等の
水分に曝される場合や人等が接触し感電するおそれのあ
る場合は、該熱硬化性樹脂が含浸された炭素繊維束が、
電気絶縁性材料によって一部または全部が被覆された複
合体であることが好ましいものである。
【0010】本発明によれば、発熱体となる炭素繊維束
は樹脂によって強固に一体化されているため、炭素繊維
糸条のみでヒ−タ−を形成したものに比べ、ヒ−タ−性
能が安定でしかも強度性能にも優れることから、強度部
材として使用できるものである。強度部材としての適性
により、本発明のヒーターは土木や建設分野での幅広い
応用が期待できるものである。そのような応用例とし
て、例えば、融雪用のヒーターがある。
【0011】本発明に用いられる炭素繊維は、その性能
や性状は必ずしも限定されないが、通電条件と発熱との
関係から、体積電気抵抗が10-4乃至10-1Ω・cmの
範囲にあるものが好ましい。このような特性を有する炭
素繊維としては、ポリアクリロニトリル系プリカ−サ−
やピッチ系プリカ−サ−を焼成して作られるグラファイ
ト構造が形成された炭素繊維が好ましいものである。
【0012】本発明において、マトリックス樹脂中の炭
素繊維の含有量は、例えば、未硬化の熱硬化性樹脂が含
浸された複合体の取扱い性や、通電加熱により製造され
た複合体であるヒーターの性能から、体積含有率として
30乃至80%であることが好ましい。
【0013】また、上記した炭素繊維に加えて、他の強
化用繊維を併用することも可能である。他の強化用繊維
としてはガラス繊維、炭化珪素繊維、アルミナ質繊維、
チタニア繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエス
テル繊維などの無機質や有機質の繊維を例示できる。さ
らに、上記強化繊維の他に、タルク、マイカ、シリカ等
の無機質粒状物や、鉄粉やアルミニウム粉などの金属粉
を添加してもよい。さらに必要に応じては、鋼線や銅線
などを併用することもできる。また、発熱体としてニク
ロム線などを併用することも可能である。以上、炭素繊
維と併用できる繊維について例示したが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。また、使用目的によって
は2種類以上の繊維、形状の異なった繊維を併用する場
合もある。
【0014】本発明に使用する樹脂は熱可塑性樹脂およ
び熱硬化性樹脂いずれでもよいが、生産性、経済性およ
び性能面から熱硬化性樹脂を好ましく用いることができ
る。用途分野によっては熱可塑性樹脂を適用することも
可能である。熱硬化性樹脂としては、特に限定はないが
フェノ−ル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、
ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタ
レ−ト樹脂やエポキシ樹脂などが例示され、これらのう
ちの一種類、必要に応じて二種類以上を用いることがで
きる。これらの樹脂のなかでも、製造工程での取扱い性
や樹脂の硬化後の製品の性能面から、エポキシ樹脂が好
適である。また、ヒ−タ−を高温で使用する場合は耐熱
性の高いフェノ−ル樹脂やポリイミド樹脂が好適であ
る。
【0015】エポキシ樹脂としては特に限定はないが、
例えば、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
−ルAD型エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルF型エポキシ
樹脂、フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−
ルノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミ
ノジフェニルメタンやトリグリシジル−P−アミノフェ
ノ−ルなどのグリシジルアミン型のエポキシ樹脂が例示
され、これらのうちの一種または2種以上を使用でき
る。
【0016】本発明に使用する熱硬化性樹脂は一般的に
硬化剤や硬化触媒を配合して用いられる。例えば、該熱
硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤として従来公
知のエポキシ樹脂硬化剤をを使用することができる。例
えば、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン、ジエチレ
ントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレン
ジアミンやジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族
アミン、ピペリジンやジアザビシクロウンデセンのよう
な第一、第三アミン、メチルテトラヒドロ無水フタル酸
などの酸無水物硬化剤、2−メチルイミダゾ−ルや2−
エチル−4メチルイミダゾ−ルなどのイミダゾ−ル化合
物およびその誘導体、ルイス酸やブレンステッド酸塩、
さらには、ジシアンジアミドやアミンイミドなどの潜在
性硬化剤など各種のものを例示することができ、これら
のものを1種類または2種類以上を併用することができ
る。
【0017】本発明の炭素繊維に熱硬化性樹脂が含浸さ
れた可撓性のある複合体が、長期の保存寿命が望まれる
場合には、特に潜在硬化性のエポキシ樹脂硬化剤を使用
することで目的を達することができる。この場合、エポ
キシ硬化剤としてジシアンジアミド、有機酸ヒドラジ
ド、アミンイミド、第三アミン塩、イミダゾ−ル塩やル
イス酸、ブレンステッド酸などを用いることができる。
その他にマトリクッス樹脂の性能を改良するために必要
に応じて、カルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタ
ジエンブロックコポリマ−などの変性剤を添加すること
も可能である。
【0018】次に炭素繊維に未硬化の熱硬化性樹脂が含
浸された可撓性複合体の形態及び製造方法について説明
する。炭素繊維束の一部または全部が、撚りをかけた
り、あるいは編組みされることによって複数ストランド
が一体化された複合体とは、連続した炭素繊維が複数本
合わされ撚りがかけていないか、あるいは撚りがかけて
あるもの(ストランド)を複数本撚り合わせたり、組む
ことによって一体化して作った長い繊維索であって、例
えば一般に綱、縄、紐などと呼称される複数ストランド
が一体化された材料のことであり、その太さや形状につ
いて特に限定されない。
【0019】また、炭素繊維束の一部または全部が、電
気絶縁性材料によって被覆された複合体とは、上記熱硬
化性樹脂が含浸されたストランドの表面が電気絶縁性材
料により被覆されているものをいう。また、該熱硬化性
樹脂が含浸された該ストランドが複数本を撚りを合わさ
れたり編組みされることによって一体化されて作られた
長い繊維索であって、一般に綱、縄、紐などと呼称され
る複数ストランドが一体化された材料の表面が電気絶縁
性材料で被覆されたものをいう。また、これらの材料を
複数用いて構成される複合材料をいう。
【0020】さらには、該複数ストランドが電気絶縁性
材料で被覆された材料を撚合わせたり、網組されたもの
でもよい。また、複数ストランドが一体化された材料に
ついてさらに説明すると、いわゆるロ−プ状、あるいは
ワイヤ−ロ−プ状のものなどである。ここでいうロ−プ
状とは、例えばロ−プの撚方向と反対方向の撚を有する
ストランド3本からなり、その撚が変わらないような方
法で撚合わされたような三つ打ちロ−プや4本のストラ
ンドからなり、それらの中心に芯ロ−プを入れ形崩れし
ないように撚合わされた四つ打ちロ−プや、その他バラ
打ちロ−プ、六つ打ちロ−プ、八つ打ちロ−プ、トエル
ロ−プやタフレロ−プなど、あるいは八打ち組紐、12
打ち組紐などの組紐、また、太さの異なるストランドを
2本ないし3本撚合わされたものをさらに3本ないし4
本撚合わされた岩糸や延縄などの構造のものでもよい。
【0021】またここでいうワイヤーロ−プ状とは、建
設、船舶、漁業やエレベ−タ−などに使われているよう
ないわゆるワイヤーロ−プの形態のものでもよい。例え
ば、心線のまわりに何層かの繊維束を撚合わせたストラ
ンドをさらに心綱のまわりに複数本撚合わせたストラン
ドロ−プや、ストランドを所要の断面積になるように平
行に束ねて撚をかけたスパイラルロ−プなどがある。ま
た、撚り方について特に限定はなく、普通Z撚、普通S
撚、ラングZ撚またはラングS撚など何れでもよい。
【0022】さらにその形態については、上記電気絶縁
性材料によって被覆された熱硬化性樹脂が含浸された炭
素繊維束を複数組み合わせて一体化したものでもよく、
ロ−プ状に一体化されたり、網状の形態にしたものが使
用できる。
【0023】電気絶縁性材料によって被覆された炭素繊
維強化複合材料について説明する。ここでいう電気絶縁
性材料とは、従来公知の非導電性の素材よりなるものを
指し、合成樹脂や天然樹脂、セラミックスなどを例示で
きるが、製品の取扱い性や性能から、必要に応じてそれ
らを組み合わせて用いることができる。また、これらの
素材は、使用目的、あるいは被覆工程を容易にするた
め、パイプ状(一般にホ−スと呼ばれることがある)、
フィルム状、繊維状あるいは織物状にして用いることが
できる。
【0024】被覆のために用いられる樹脂としては、上
記で例示した熱硬化性樹脂の他に、紫外線硬化型樹脂、
湿気硬化型樹脂などの架橋性樹脂や、ポリプロピレン、
ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン12、ナイロン42、ABS樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテ
レフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリサル
フォン、ポリエ−テルサルフォン、ポリエ−テルイミ
ド、ポリアリレ−トなどの熱可塑性樹脂も例示できる。
【0025】また、被覆用の材料を繊維とする場合は、
ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維や、
ガラス繊維やアルミナ繊維繊維などの非導電性のセラミ
ック繊維、麻、木綿、絹などの天然繊維を用いることが
できる。このように例示した被覆用の繊維は単独あるい
は組み合わせて使用できる。繊維を織物状にした材料も
製造作業上有用な材料である。
【0026】なお、上記繊維状物や織物状物に熱硬化性
樹脂が含浸された電気絶縁性材料を被覆用材料として用
いることは当該ヒ−タ−製造用中間素材の取扱い性や安
全の上からも好ましいものである。
【0027】被覆の方法については従来公知の種々の方
法を用いることができる。例えば、溶融熱可塑樹脂中に
炭素繊維と熱硬化性樹脂からなる複合体をくぐらせ、該
複合体を熱可塑性樹脂での表面を被覆するいわゆる電線
被覆の手法や、また、可撓性のある電気絶縁性のパイプ
(一般にホ−スと呼ばれることがある)の中に該熱硬化
性樹脂が含浸された炭素繊維複合体を通して電気絶縁性
ホ−スで被覆する方法も有用な手法である。また、非導
電性繊維を炭素繊維と熱硬化性樹脂からなる複合体に巻
きつけたり、いわゆる袋編みにして被覆することができ
る。また、織物状物については、リボン状に裁断し、巻
きつけることも可能である。
【0028】本発明におけるヒ−タ−の製造について例
示する。まず、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された炭素
繊維複合体を所望形態に配置する。その際、電気絶縁材
料で仮止めしたり、電気絶縁材料で作成した型材に沿わ
せる等の技術を使うことができる。しかる後に、両端あ
るいは両端および中間部に一個乃至複数個の電極を取り
付け、該炭素繊維束に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸され
た可撓性複合体に一様に通電させ、電力量を調整するこ
とで該複合体の温度を制御しながら熱硬化樹脂を硬化す
るものである。この場合電源については直流、交流どち
らとも用いることができるが、通常の工業用あるいは家
庭用電源を対象とした作業性や通電装置を考慮した場合
は、交流電源を用いることが好適である。また、通電硬
化させる場合に、該複合体に張力をかけることは、樹脂
の含浸を良好にし、しかも複合体を構成する繊維に緊張
が与えられて性能上好ましいCFRP製ヒ−タ−を提供
する。
【0029】
【発明の効果】本発明は、持ち運びや取扱い性に優れる
中間素材を用いて簡便に製造できる炭素繊維強化複合材
料製ヒ−タ−およびその製造方法を提供する。本発明の
炭素繊維強化複合材料製ヒーターは軽量で高強度・高弾
性、しかも耐蝕性に富む。なお本発明のヒーターは、そ
の元来のヒーターとしての機能とともに強度材料として
の性能も保有することに特徴がある。本発明のヒーター
は、これらの特徴を生かして、現場で容易に所望形態に
製造できる融雪用のヒーター等に用いられる。
【0030】
【実施例】本発明の特徴とするところは、以下の実施例
を説明することによってさらに明らかになるが、本発明
はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0031】参考例1 炭素繊維として住化ハ−キュレス社製、商品名マグナマ
イトAS4−12kf(弾性率24ton/mm2 、強
度390kg/mm2 、フィラメント数12,000
本)を用いた。含浸する熱硬化性樹脂としては、住友化
学工業(株)製、商品名スミエポキシELA128(ビ
スフェノ−ルAのジグリシジルエ−テル)100重量部
に対して、東京化成工業(株)製のジシアンジアミドを
5重量部、東京化成工業(株)製のジクロロフェニルジ
メチル尿素を4重量部の割合で混合し、3本ロ−ル混練
して得た樹脂組成物を用いた。
【0032】該熱硬化性エポキシ樹脂の樹脂組成物の炭
素繊維束への含浸は、加温した該樹脂組成物中に炭素繊
維束を引き出し、樹脂浴中に設けた金属棒をでしごいて
行った。その後に、間隙の調整できる2本の金属棒の間
を通過させ過剰の樹脂を取り除いてボビンに巻取った。
炭素繊維束への樹脂の付着量は、樹脂温度、引き取り速
度および2本の金属棒の間隙を適宜調整することで行っ
た。このようにして、炭素繊維束に当該熱硬化性エポキ
シ樹脂が含浸された複合体を約100m巻ボビンとして
75本作成した。この時該複合体中に占める樹脂の割合
はどのボビンも30重量%であった。
【0033】このようにして作成された樹脂が含浸され
た炭素繊維束が巻かれたボビンを25本用いて、それぞ
れのボビンから該複合体を引き出しひとまとめにして撚
をかけたストランドを100m作成した。このとき撚は
10回/mで行った。これをロ−プ用ストランドとし
た。同様にして、このロ−プ用ストランド100mを3
束用意し、該ストランド3束を用いて、ストランドの撚
と反対方向の撚をかけて三つ打ちロ−プ100mを作成
した。このときのロ−プ撚は10回/mであった。以上
の工程により炭素繊維に熱硬化性樹脂が含浸された可撓
性のあるロ−プ状に一体化された複合体を得た。
【0034】続いて、上記炭素繊維に熱硬化性樹脂が含
浸された複合体を作成するのに用いたエポキシ樹脂組成
物と全く同様の樹脂組成物を、日本アラミド(株)製の
商品名トワロン平織S/#500(全芳香族ポリアミド
繊維、織物目付183g/m 2 )を5幅に裁断したテ−
プ状織物に含浸した。このとき樹脂の含有率は30重量
%になるように調整した。しかる後に、上記エポキシ樹
脂が含浸された織物テ−プを、炭素繊維にエポキシ樹脂
が含浸されたロ−プ状複合体に巻きつけ被覆することに
より、CFRP製ヒ−タ−用の中間素材を作成した。
【0035】実施例1 参考例1で得たCFRP製ヒーター用の中間素材(ロー
プ状複合体)を1m切り出し、その両端部分の電気絶縁
性被覆層を取り除き、銅製の電極を圧着した。該ロ−プ
状複合体に5kgの張力を加えて、両端に圧着した電極
を交流電源につなぎ10ボルトの電圧をかけたところ、
18Aの電流が流れ、該ロ−プ状複合体は150℃まで
発熱した。このとき該ロープ状複合体の長手方向の温度
ムラはなかった。この状態で30分間維持し、含浸した
熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させ、直径約10mmのC
FRP製棒状体を得た。上記方法で作成したCFRP製
棒状体の性能評価を行った。該棒状体から短冊状の試験
片を切り出し、粘弾性の温度分散挙動を測定したとこ
ろ、損失弾性率がピ−クを持つ温度は140℃であり良
好な耐熱性を示すことが分かった[測定装置;レオメッ
クス社製RSA、昇温速度:5℃/分]。続いて上記直
径10mmCFRP製棒状体の引張り性能を評価したと
ころ、破断荷重は11.5ton、弾性率は12ton
/mm2 であった。破断荷重から求めた該棒状体の引張
強度は146kg/mm2 であり良好な機械的性能を示
すことが分かった。
【0036】このようにして作成したCFRP製棒状体
のヒ−タ−としての性能を評価した。両端に圧着した端
子に交流電源を接続し、印加電圧を変えながら該棒状体
のヒ−タ−の発熱温度を評価した。結果を表1に示し
た。この結果から分かるとおり、該棒状体は良好な発熱
特性を有していた。
【0037】ついで該ヒ−タ−に通電し、発熱せしめて
その状態で長時間維持し、その後に該棒状体の強度性能
を評価し、結果を表2に示した。この結果から分かると
おり、該ヒ−タ−は長期使用後も良好な強度性能を保持
していた。
【0038】実施例2 参考例1で作成したCFRP製ヒ−タ−用の中間素材を
用いて路面の融雪用ヒ−タ−を施工した。可撓性のある
該中間素材の表面を撥水処理した後に、施工すべき路面
上に施設した。施工長さはヒ−タ−全長で600mであ
った。該中間素材の両端および両端から200m点と4
00m点の計4点に、銅製通電端子を圧着して3相交流
用にデルタ接続した。しかる後に、各端子間に15Aの
電流が流れるように電圧を調整した。このとき各端子間
の電圧は180Vであり、該中間素材(複合体)は15
0℃まで昇温した。その状態を30分間維持し、含浸さ
れたエポキシ樹脂を硬化させ、融雪用ヒ−タ−を施工し
た。該融雪用ヒ−タ−は強度に優れ、耐腐食性が良好な
ものであった。該ヒ−タ−に上記で取りつけた端子をそ
のまま用いたデルタ接続で各端子間に70Vの電圧を印
加したところ、該ヒ−タ−は40℃まで発熱した。この
ようにして融雪用ヒ−タ−を施工した後に、通常の路面
加工をして、路面下に融雪用ヒ−タ−が埋設された融雪
道路を施工した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素繊維強化複合材料製ヒーターの断
面図。
【図2】本発明の炭素繊維強化複合材料製ヒーターを融
雪設備に応用した場合の施工例を表す融雪用ヒーターの
平面図。
【符号の説明】
1.熱硬化性樹脂が含浸された炭素繊維束 2.電気絶縁被覆層 3.融雪用ヒ−タ−
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:18 4F

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続した炭素繊維よりなる繊維束が樹脂に
    埋め込まれてなる炭素繊維強化複合材料を発熱体として
    用いることを特徴とするヒーター。
  2. 【請求項2】該樹脂が熱硬化性樹脂である請求項1記載
    のヒーター。
  3. 【請求項3】該繊維束の一部または全部が、撚りをかけ
    たり、あるいは編組みされて複数のストランドが一体化
    されている請求項1記載のヒ−タ−。
  4. 【請求項4】該炭素繊維強化複合材料の一部または全部
    が、電気絶縁性材料によって被覆されている請求項1記
    載のヒ−タ−。
  5. 【請求項5】融雪用に施工される請求項1記載のヒータ
    ー。
  6. 【請求項6】連続した炭素繊維よりなる繊維束に未硬化
    の熱硬化性樹脂が含浸された可撓性複合体を所望形態に
    配置し、該複合体の両端または両端及び中間部にそれぞ
    れ1個乃至複数個の電極を取りつけて、該複合体に通電
    し炭素繊維を発熱させることにより該熱硬化性樹脂を硬
    化させることを特徴とする炭素繊維強化複合材料製ヒー
    ターの製造方法。
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