JPH06166585A - 多孔質炭化物及びその製造方法 - Google Patents
多孔質炭化物及びその製造方法Info
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Abstract
とする畜産廃棄物を分解・炭化させることによって、高
濃度で肥料分が含有されている多孔質炭化物を製造す
る。 【構成】 家畜糞又は家畜糞と敷料との混合物を主成分
とする畜産廃棄物を、150℃以上の温度条件下で分解
して炭化させて、表面及び内部に多数の細孔が形成され
ている多孔質炭化物粒子からなり、該多孔質炭化物粒子
中には肥料分が下記の組成で含有されていることを特徴
とする多孔質炭化物及び多孔質炭化物の製造方法。 窒素(N)含有量 :1 〜 8重量% 燐(P2 O5 )含有量 :2 〜20重量% カリウム(K2 O)含有量 :2 〜15重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.5〜 5重量% カルシウム(CaO)含有量 :3 〜30重量%
Description
されている表面及び内部に多数の細孔が形成された多孔
質炭化物及びその製造方法に関するものである。具体的
には、家禽、豚、牛等の家畜の飼養の際に排出される家
畜糞又は家畜糞と敷料との混合物を主成分とする畜産廃
棄物を分解・炭化させることによって得られる、内部に
肥料成分である窒素、燐、カリウム等が高濃度で含有さ
れている多孔質炭化物及びその製造方法に関するもので
ある。
に排出される鶏糞、豚糞、牛糞などの家畜糞、或いは、
これら家畜糞と敷料との混合物、を主成分とする畜産廃
棄物は、そのまま畑に投入されるか、天日で(自然)乾
燥、加熱(火力)乾燥、発酵処理等によって肥料化、堆
肥化されることによって農業用肥料として広く利用され
てきた。
養の際に排出される生糞を乾燥した乾燥糞は、特に中型
・小型の家畜のものに易分解性物質が多く含まれている
ことから、土壌に施肥した後、直ぐに播種や苗の定植を
すると、発芽や植物の根に障害を与えたり、生糞の分解
によって発生するガスによって作物が障害を受けたりす
るので、使用に際しては注意を必要としていた。また、
このような乾燥糞は臭いも強く、特に含水率が高い場合
には、輸送、保管中等において発酵、発熱したり、変質
をするなどの現象が起きて、取扱い上に問題点があっ
た。また、家畜の飼養の際に排出される生糞を乾燥する
際には、製造コストの削減も兼ねて砂、粘度、鉱物等の
乾燥した無機物を添加することが多く、製品中の肥料成
分は低下し、それらの添加物の質と量によっては肥料、
土壌改良剤としての価値が期待できない場合も見受けら
れる。更に、発酵処理による堆肥化は、気温、湿度、原
料の品質等の影響を受け易く、安定した良質の肥料、土
壌改良剤を製造することが容易でなく、製品の高水分に
起因する臭いや変質などで、上記乾燥糞と同じような取
扱い上の問題点がある。上記乾燥、堆肥化のいずれの方
法も、大量に発生する畜産廃棄物を処理するには、これ
ら処理施設に広い用地面積と設備の大型化を必要とし、
しかも、乾燥するためのエネルギー、発酵促進のための
送風、加温等に要する燃料や処理に伴う作業が増大し、
飼養頭羽数の増加に比例して悪臭の発生防止に対する経
費も増加してくる等の問題点があった。
拡大化が急ピッチで行なわれ、一戸当たりの飼養頭羽数
が著しく増加するようになり、限られた地域内で大量の
畜産廃棄物が発生するようになった。また、このような
畜産廃棄物は、家畜糞だけでなく、敷料等を大量に含ん
でいるために、その量も家畜糞だけの場合に比較して数
倍にまで増加している。従って、上記のような限られた
地域内で大量に発生される畜産廃棄物は、従来の農業用
の肥料として処理されるだけでは、その量が多すぎるた
めに需要と供給のバランスが崩れて処理しきれないで屋
外に山積みされて放置されている場合が多い。従って、
このような状況であることから、雨などによって溶解し
て流れたり、腐敗して、各地で水質汚染や悪臭等の公害
問題を引き起こしている。このような従来の処理方法で
処理しきれなかった畜産廃棄物は、焼却処分等がなされ
ているが、焼却処分をする場合には、肥料成分を大量に
含んだ有用資源を無駄にするばかりか、空気中に二酸化
炭素を中心とするガスを大量に放出することになり地球
環境保全の面からも好ましくない。従って、もっと有効
な処理方法が開発されることが望まれているのが現状で
ある。上記現状に鑑みて、本出願人の一部は、先に、鶏
糞とオガ粉よりなる敷料廃棄物を流動層炭化炉内でオガ
粉自体を燃料としながらオガ粉を炭化して、オガ粉炭化
粉と乾燥鶏糞との混合物よりなる鶏糞肥料入土壌改良材
を提案した(特開平2−22379号公報参照)。しか
し、上記鶏糞肥料入土壌改良材は、オガ粉は炭化してい
るが、鶏糞は実質的に炭化していないために、畑等に撒
くと鶏糞肥料中の易分解性の有機物が分解して、この分
解ガスが植物の発芽や植物の根に対して障害を与えたり
するので、施肥の際にはその時期に注意を必要とした。
更に、肥料以外の用途にて使用する際には、臭気を発散
することから、その用途に制限を受ける等の問題点があ
った。
究を重ねた結果、上記家畜糞又は家畜糞とオガ粉、籾
殻、藁、樹皮等の敷料との混合物よりなる畜産廃棄物を
分解し炭化させることによって、作物に障害を与えてい
る家畜糞中の易分解性物質成分を無害化すると共に、炭
化による表面及び内部に微細な細孔を形成させて保水性
を付与させ、各種肥料成分の吸着を促進させて、肥料及
び土壌改良材としての優れた効果や、微生物を活性化さ
せる効果、更には炭素の黒色による融雪剤としての効果
等を発揮させて、農業用資材のみで無く、各種用途に使
用可能な素材とすることができるとの知見に基づき本発
明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の
多孔質炭化物は、表面及び内部に多数の細孔が形成され
ている多孔質炭化物粒子からなり、該多孔質炭化物粒子
中には肥料成分が下記の組成で含有されていることを特
徴とするものである。 窒素(N)含有量 :1 〜 8重量% 燐(P2 O5 )含有量 :2 〜20重量% カリウム(K2 O)含有量 :2 〜15重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.5〜 5重量% カルシウム(CaO)含有量 :3 〜30重量% また、本発明のもう一方の発明である多孔質炭化物の製
造方法は、家畜糞又は家畜糞と敷料との混合物を主成分
とする畜産廃棄物を、150℃以上の温度条件下に分解
させて炭化させることを特徴とするものである。
形成されている多孔質の炭素粒子から基本的になるもの
であるが、原料に窒素、燐酸、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウムを高濃度で含有している家畜糞を用いて
いることから、該多孔質炭素粒子中には肥料として有効
な成分である窒素、燐酸、カリウム、マグネシウム、カ
ルシウムを比較的高濃度で含有しているものである。
物を構成する各素材の炭化物の形状と基本的には同じ様
なものが生成するが、炭化の際に微粉にまで破壊される
ものもある。従って、粒子径が、通常10mm以下、好
ましくは数μm〜8mm、特に好ましくは100μm〜
5mmの炭素粒子から形成されているものである。該炭
素粒子の表面及び内部には、炭化の際に揮発・分解して
生成した多数の細孔が形成されている。この細孔径の大
きさは原料に用いた敷料の種類等により大きく変化する
が、通常数百μm程度のものから、マイクロポアーと呼
ばれる半径15オングストローム(0.0015μm)
以下のものまでが存在する。このような細孔は小さなハ
ニカム構造をしていることから、敷料等の細胞壁や管壁
がそのまま炭化して残存して生成したものと思われる。
本発明の多孔質炭化物を構成する炭素粒子は、その表面
及び内部に形成される多数の細孔により保水性を有して
おり、しかも、各種肥料成分の吸着を促進させて土壌改
良材としての優れた効果や、微生物の生息を活性化させ
る効果を付与している。該炭素粒子の表面は、炭素の黒
色により覆われていることから、融雪剤としての効果を
示すこともできるので、農業用以外の土壌改良剤等とし
て極めて優れたものである。該多孔質炭化物粒子は、炭
素分が一般に20〜60重量%、好ましくは30〜50
重量%、特に好ましくは27〜40重量%の割合で含有
されている。この炭素分は易分解性物質成分を含有して
おらず、その表面に多数の細孔を有していることから、
悪臭を吸着したり、酸素等の気体や水分を保持すること
ができるので微生物の繁殖を促し、土壌の性質を著しく
改良することができるので、土質を改良し、土の構造を
良好にすることができる。
リウム、マグネシウム、カルシウム分を高濃度で含有し
ている家畜糞を用いていることから、肥料としての有効
成分である窒素、燐酸、カリウム、マグネシウム、カル
シウムを酸化物等の状態で多量に含有している素材であ
る。具体的には、窒素(N)、燐酸(P2 O5 )、カリ
ウム(K2 O)、マグネシウム(MgO)、カルシウム
(CaO)を、乾物当たりにして、下記の割合で含有し
ている。 窒素(N)含有量 :1 〜 8重量% 好ましくは2 〜 6重量% 特に好ましくは2 〜 4重量% 燐(P2 O5 )含有量 :2 〜20重量% 好ましくは5 〜15重量% 特に好ましくは7 〜14重量% カリウム(K2 O)含有量 :2 〜15重量% 好ましくは3 〜13重量% 特に好ましくは5 〜12重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.5〜 5重量% 好ましくは1 〜 4重量% 特に好ましくは2 〜 3重量% カルシウム含有量(CaO) :3 〜30重量% 好ましくは5 〜25重量% 特に好ましくは8 〜20重量%
糞のみを用いる場合はほぼ均一な肥料成分の組成となる
が、実際に畜産廃棄物として廃棄される家畜糞と敷料と
の混合物を主成分とするものは、その分解・炭化物もそ
れら家畜糞と敷料との混合物となり、それら家畜糞や敷
料中に含まれる肥料成分の組成も大幅に異なるものとな
る。従って、家畜糞のみによる多孔質炭化物粒子(成分
A)の肥料分と、家畜糞と敷料との混合物を主成分とす
る多孔質炭化物 粒子(成分B)の肥料分とは下記の組
成の様な違いがある。 成分A(家畜糞のみによるもの) 窒素(N)含有量 :2〜 8重量% 好ましくは3〜 6重量% 燐(P2 O5 )含有量 :4〜20重量% 好ましくは6〜16重量% カリウム(K2 O)含有量 :3〜15重量% 好ましくは4〜13重量% マグネシウム(MgO)含有量:1〜 5重量% 好ましくは2〜 4重量% カルシウム(CaO)含有量 :5〜30重量% 好ましくは7〜25重量% 成分B(家畜糞と敷料との混合物を主成分とするもの) 窒素(N)含有量 :1 〜 6重量% 好ましくは2 〜 5重量% 燐(P2 O5 )含有量 :2 〜16重量% 好ましくは3 〜14重量% カリウム(K2 O)含有量 :2 〜13重量% 好ましくは3 〜12重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.5〜 4重量% 好ましくは1 〜 3重量% カルシウム(CaO)含有量 :3 〜25重量% 好ましくは5 〜20重量%
分とする畜産廃棄物は、原料成分に由来する以下に示す
成分aと成分bの少なくとも2種類の肥料濃度の異なる
多孔質炭化物粒子より形成されていることが好ましい。 成分a 窒素(N)含有量 :0.1 〜1重量% 燐(P2 O5 )含有量 :0.03〜1重量% カリウム(K2 O)含有量 :0.1 〜2重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.1 〜1重量% カルシウム(CaO)含有量 :0.1 〜4重量% 成分b 窒素(N)含有量 :2〜 8重量% 燐(P2 O5 )含有量 :4〜20重量% カリウム(K2 O)含有量 :3〜15重量% マグネシウム(MgO)含有量:1〜 5重量% カルシウム(CaO)含有量 :5〜30重量%
硼素、等の微量要素が一般に0.01〜0.1重量%の
割合で、また、珪素(SiO2 )、アルミニウム(Al
2 O3 )、鉄(Fe2 O3 )等のその他の成分が約1〜
40重量%の割合で含有されている。これら炭素粒子中
に含有される肥料成分の含有量の測定は、各成分を肥料
分析法により、また、炭素含有量の測定は土壌養分分析
法により行なわれる。
産廃棄物が分解する際に内部の分解ガスが放出される際
に生成したもので、この様な細孔は酸素等の気体や水
分、肥料分等を粒子中に保持することができるので、土
中に適度な水分濃度に保ち、微生物の繁殖を促進し、土
壌の性質を著しく改善することができる。該細孔は炭化
物粒子の表面や内部に多数形成されていることから、そ
の嵩比重が一般に0.16〜0.22、好ましくは0.
17〜0.21と小さい。
60重量%の割合で含有されているが、800℃、5時
間の強熱による減量後の灰分量が30〜65重量%程度
であることから、強熱減量前の炭素及び有機物の含有量
(乾物当たり)は70〜35重量%程度である。
般に8〜11のアルカリ性を示すものである。水素イオ
ン濃度(pH)の測定はガラス電極法により行なわれ
る。
おり、作物に障害を与えている家畜糞中の易分解性物質
成分を分解し炭化して無害化し、炭化による表面及び内
部に微細な細孔を形成させて保水性を付与させ、各種肥
料成分の吸着を促進させることができるので農業、林
業、緑化造園等における肥料及び土壌改良材として利用
することができる。
収による融雪剤としての効果や、雪を溶解した後に、そ
のまま土と混合して、土壌改良剤として利用することが
できるので、農地やゴルフ場における融雪剤に最適であ
る。
に、飼料用配合剤、敷料、微生物の培養資材、吸着剤、
燃料等への利用がある。
材料としては、家禽、豚、牛等の家畜の飼養の際に排出
される糞尿、又は糞尿と敷料との混合物を主成分とする
畜産廃棄物が使用される。このような畜産廃棄物として
は、家禽、豚、牛等の家畜の飼養の際に排出される糞
尿、或いは、家畜の飼養の際に家畜を保護する目的や、
該糞尿を吸収して家畜舎の清掃を行ない易くするため
に、並びに、冬期における家畜舎の保温のために、敷設
されるオガ粉、籾殻、藁、樹皮等の有機物敷料と、家
禽、豚、牛等の家畜より排出された鶏糞、豚糞、牛糞な
どの家畜糞との混合物を主成分とするもの、或いは、こ
れらに家畜に与えた飼料のこぼれたもの、泥、水分等を
含んだものである。また、上記家畜糞又は家畜糞と敷料
との混合物に、更にオガ粉、籾殻、藁、樹皮等の可燃物
を2倍程度の量まで添加することができる。従って、こ
のような畜産廃棄物中には水分が一般に50重量%以
下、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは5〜2
0重量%の濃度で含まれている。
くは1〜20重量%であるならば、そのまま次工程の粒
度調整工程に移される。畜産廃棄物中の水分含量が少な
すぎると、炭化の際の温度の制御が困難となるので好ま
しくない。また、上記範囲を超える水分含量では炭化の
際に水分の蒸発による熱の吸収が大きくて、畜産廃棄物
のみの燃焼熱では不足し、別途、予備的に脱水したり、
加熱を必要としたり、新たな燃料を必要とするので好ま
しくないため、更に乾燥を必要とする。該乾燥は、天日
(自然)乾燥、加熱(火力)乾燥、発酵処理等により行
なわれる。また、流動層による炭化においては、主とし
て、原料に用いられる畜産廃棄物の水分濃度と供給空気
量により反応の制御が行なわれるので、畜産廃棄物の水
分濃度の制御は特に重要である。
物、特に天日で乾燥された畜産廃棄物は、乾燥により塊
化されたり、敷料によっては大きなもの等が含まれてい
るので、次の炭化工程において分解及び炭化を行ない易
くするために、或いは、流動層で流動化させながら炭化
を行なう場合には、流動層内で畜産廃棄物が流動化され
易いように、また、最終製品として得られる多孔質炭化
物の使用に適した粒子径となるように細粒化される。該
粒度調整はその直径が一般に1〜10mm、好ましくは
3〜6mmとなるように行なわれる。
%の低酸素濃度下、或いは、実質的に酸素の不存在下
に、通常150℃以上、好ましくは180〜1,000
℃、特に好ましくは200〜700℃の温度に加熱する
ことにより、畜産廃棄物を分解させて炭化させる。上記
温度未満では炭化に長時間を必要とするので、工業的に
生産するには適していない。また、1,000℃以上の
温度においても炭化は可能であるが、高温に加熱しなけ
ればならないことや、高温にすることによる収率の低下
が起こることや炉材の問題も生じてくるので望ましくな
い。しかし、炭化が不十分であると、生成する多孔性炭
化物中に畜産廃棄物中の家畜糞が残存し、これを畑等に
撒くと家畜糞中の易分解性の有機物が分解して、臭気を
発散したり、植物の発芽や植物の根に対して障害を与え
たりするので、本発明の肥料及び土壌改良剤としての効
果が低下する。従って、炭化は家畜糞が実質的に残存し
なくなる程度(例えば、通常95%以上、好ましくは9
8%以上の炭化)まで十分に行なう必要がある。
同様にして行なうことができる。乾留は、乾留釜を用い
てバッチ式で、或いは、流動層を用いて連続して、或い
は、平炉、回転式炉にて行なうことができる。これらの
中でも流動層を用いて連続して行なうことが好ましい。
常200〜1,000℃、好ましくは250〜700℃
の温度で、また、空筒空気流動速度が一般に5〜20c
m/秒(NTP換算値:0℃、1気圧の空気に換算した
値)、好ましくは7.5〜15cm/秒にて流動する層
の中に畜産廃棄物を通常200〜500kg/時間・m
2 (反応器断面積)、好ましくは300〜400kg/
時間・m2 (反応器断面積)の速度で供給して、低濃度
の酸素の存在下或いは酸素の不存在下で畜産廃棄物を分
解させて炭化を行なう。上記空筒空気流動速度が20c
m/秒(NTP換算値:0℃、1気圧の空気に換算した
値)を超えると、畜産廃棄物中の家畜糞の残存率が上昇
し、本発明の肥料及び土壌改良剤としての効果が低下す
るので好ましくない。流動層炭化炉は畜産廃棄物全体を
炭化することが目的であることから、流動層の温度を所
定の温度に設定し、流動用ブロアによって送り込まれる
空気量も多くせず、流動層内の滞留時間を長めにして、
供給する畜産廃棄物1の供給量も少なくすることによ
り、十分に炭化を行なうことができる。供給された畜産
廃棄物は長時間高温に維持されることから、水分や揮発
分だけでなく、その表面の有機物から内部の有機物まで
が分解して放出され、その表面や内部が炭化される。該
炭化が生成する際に分解ガスを放出するために造られた
細孔が該炭化物の表面及び内部にまで連通している。生
成した炭化物は厳密には肥料分が大量に含有している家
畜糞の部分と、肥料分があまり多く含まれていない敷料
の部分とに別れているが、乾燥粉砕の工程で混合されて
いることから、実際上は両者の混合物が生成する。
用いて製造する場合の装置の一例を示す。図1に示すよ
うに、鶏舎から排出された鶏糞、敷料、零れた飼料及び
泥よりなる畜産廃棄物1を天日にて乾燥して原料ビット
1aに貯蔵する。この天日にて乾燥した畜産廃棄物1を
バケットローダー2にて乾燥器3に運搬し、該乾燥器3
内にて、後記熱交換16によって加熱された畜産廃棄物
乾燥用熱風と混合して適度な水分濃度にまで調整する。
次いで、このようにして適度な水分濃度に調製した畜産
廃棄物1は、ベルトコンベアにて粉砕機5に運搬し、該
粉砕機5内で所定の大きさになるまで粉砕し、細粒化し
た畜産廃棄物1を得る。そして、この細粒化した畜産廃
棄物1をスクリューフィーダー6により流動層炭化炉4
内に供給する。
すように、畜産廃棄物1を着火させるための起動用バー
ナー12や流動用ブロア8、排煙口10、炭化物排出口
11が付設されている。また、該流動層炭化炉4の本体
7内部の底部7a付近には多孔板9が配設されており、
運転の際にはこの多孔板9上に畜産廃棄物1や多孔質炭
化物よりなる流動層が形成される。前記流動層炭化炉4
内に投入された畜産廃棄物1は、流動用ブロア8によっ
て送り込まれる空気が多孔板9の細孔9aより噴出され
ることによって吹き上げられ、また、加熱されて分解に
より生成した分解ガスを放出しながら浮遊し、流動化し
ながら分解及び炭化が進行する。分解及び炭化が進行し
て軽くなると共に粉粒化された畜産廃棄物1は、流動層
の上部付近に浮遊するようになるので、この流動層の上
部に設けられた炭化物排出口11より排出される。この
様にして排出された炭化物は篩等の調質機19により一
定粒度、一定水分、一定温度のものに揃えられ、ベルト
コンベアにより製品ビット18に貯蔵される。
微細化された炭化物は、浮遊し、流動化されているが、
軽量であるために分解により生成した分解ガスや不完全
燃焼ながら燃焼された燃焼ガスと共に排煙口10より排
出されてしまう。しかし、サイクロン等の集塵器13に
より捕集されて回収し、前記炭化物排出口11より排出
された炭化物と混合されて製品ビット18に貯蔵され
る。また、分解により生成した分解ガスや不完全燃焼な
がら燃焼された燃焼ガスよりなる気体の部分は、脱臭炉
14に送られて、新たな空気やオイルバーナー15と混
合されて燃焼され、ブロア17により吹き込まれた空気
を畜産廃棄物乾燥用熱風に加熱するための熱交換器16
を経て排気ガスとして大気に放出される。
6mmのものであるが、100μm以下の微細な粒子の
ものも生成することがあることから、これら微細な粒子
は取扱い難いので2〜5mm程度の粒子とすることが好
ましい。
る敷料(約50容量%)、水分濃度約30重量%よりな
る畜産廃棄物を、粉砕機にて平均粒径5mmの大きさに
粉砕して、スクリューフィーダーにより26.5kg/
時間の速度で、図2に示すような、上部筒径0.3m、
下部筒径0.1m、内容量約0.14m3 の流動層炭化
炉内に供給した。該流動層炭化炉4の本体7には、図2
に示すように、畜産廃棄物1を着火させるための起動用
バーナー12や流動用ブロア8、排煙口10、炭化物排
出口11が付設されており、該流動層炭化炉4の本体7
内部の底部7a付近には孔径4mmが76個穿設されて
いる多孔板9が配設されている。前記流動層炭化炉4内
に投入された畜産廃棄物は、流動用ブロア8によって約
20m3 /時間の速度で送り込まれる空気が多孔板9の
細孔9aより噴出されることによって吹き上げられ、ま
た、流動層の温度を表1に示す300〜600℃の温
度、空筒空気流動速度を8cm/秒にて維持するように
制御された。これによって畜産廃棄物は分解により生成
した分解ガスを放出しながら浮遊し、流動化しながら分
解及び炭化が進行する。分解及び炭化が進行して軽くな
ると共に粉粒化された畜産廃棄物は、流動層の上部付近
に浮遊するので、この流動層の上部に設けられた炭化物
排出口より7kg/時間の速度で排出した。一方、流動
層炭化炉内で分解・炭化し、微細化された炭化物は、浮
遊し、流動化されているが、軽量であるために分解によ
り生成した分解ガスや不完全燃焼ながら燃焼された燃焼
ガスと共に排煙口より排出されてしまう。しかし、サイ
クロン等の集塵器により捕集されて回収し、前記炭化物
排出口より排出された炭化物と混合されて製品ビットに
貯蔵される。また、分解により生成した分解ガスや不完
全燃焼ながら燃焼された燃焼ガスよりなる気体の部分
は、脱臭炉に送られて、新たな空気やオイルバーナーと
混合されて800℃の温度で燃焼され、熱交換器により
ブロアにより吹き込まれた空気を300℃の温度の畜産
廃棄物乾燥用熱風に加熱した後、排気ガスとして大気に
放出した。得られた多孔質炭化物の組成及び物性を測定
した。その結果を表1に示す。
た鶏糞(約50容量%)と木粉よりなる敷料等(約50
容量%)よりなる畜産廃棄物を、鶏舎から排出された鶏
糞(約90容量%)と敷料(約10容量%)よりなる畜
産廃棄物、或いは、粒径3〜6mmの木粉に代える以外
は実施例2と同様に実施した。得られた多孔質炭化物の
組成及び物性を測定した。その結果を表2に示す。
る敷料(約50容量%)、水分濃度約60重量%よりな
る畜産廃棄物を、粉砕機にて平均粒径5mmの大きさに
粉砕して、スクリューフィーダーにより56kg/時間
(800kg/時間・m2 )の速度で、図2に示すよう
な、上部筒径0.3m、下部筒径0.1m、内容量約
0.14m3 の流動層炭化炉内に供給した。該流動層炭
化炉4の本体7には、図2に示すように、畜産廃棄物1
を着火させるための起動用バーナー12や流動用ブロア
8、排煙口10、炭化物排出口11が付設されており、
該流動層炭化炉4の本体7内部の底部7a付近には孔径
4mmが76個穿設されている多孔板9が配設されてい
る。前記流動層炭化炉4内に投入された畜産廃棄物は、
流動用ブロア8によって約75m3 /時間の速度で送り
込まれる空気が多孔板9の細孔9aより噴出されること
によって吹き上げられ、また、流動層を400℃の温
度、30cm/秒の空筒空気流動速度となるように制御
された。これによって畜産廃棄物中のオガ粉は、分解に
より生成した分解ガスを放出しながら多孔板より噴出さ
れる多量の空気によって吹き上げられて浮遊し、流動化
しながら分解及び炭化が進行する。分解及び炭化が進行
して粉粒化されて適度に軽くなったオガ粉炭化粉を含む
畜産廃棄物は、浮遊して流動層の上部付近にまで達する
ので、この流動層の上部に設けられた炭化物排出口より
15kg/時間の速度で排出した。一方、流動層炭化炉
内の鶏糞は、オガ粉炭化粉と共に浮遊し流動化されてい
るが、微粒子のものは軽量であるために多孔板より噴出
される多量の空気によって吹き上げられて、分解により
生成した分解ガスや不完全燃焼ながら燃焼された燃焼ガ
スと共に排煙口より排出されてしまい、サイクロン等の
集塵器により捕集されて回収される。この乾燥された乾
燥鶏糞は前記炭化物排出口より排出されたオガ粉炭化物
と混合されて製品ビットに貯蔵される。
び物性を測定した結果、以下に示す通りであった。 強熱減量(重量%) 有機物(強熱減量) :81.00重量% 灰分 :19.00重量% 肥料成分含有量 窒素(N) : 4.01重量% 燐(P2 O5 ) : 3.79重量% カリウム(K2 O) : 2.59重量% マグネシウム(MgO): 0.83重量% カルシウム(CaO) : 4.51重量% 炭素(C) :48.75重量% 水素イオン濃度(pH) : 7.1
道江別市幸町のビニールハウス内で小松菜の栽培を行な
った。栽培は1/5,000アールの広さに相当するポ
ット(鉢)に、深さ16cmになるように市販の培土
(無肥料)を充填し多孔質炭化物(N:3.4%、P2
O5 :10.9%、K2 O:7.4%、MgO:2.6
%)12.0gを全体に混和し、それぞれのポットに小
松菜20粒/鉢を播種した。播種2日後に発芽が始ま
り、発芽揃いは4日後で、発芽率は全区良好であった。
播種7日後に間引きをして、各ポット3株仕立てとし、
30日後に成育の調査を行なった。その結果を表3に示
す。なお、比較のために、無肥料の場合と、硫酸アンモ
ニウム(N:21.0重量%):1.9g、加工燐酸肥
料(P2 O5 :35.0重量%、MgO:7.0重量
%):3.7g、硫酸カリウム(K2 O:50重量
%):1.8gの混合物(6.1g)からなる化学肥料
のみを使用した場合の試験結果を同時に表3に示す。
に多数の細孔が形成されていることから、通気性、保水
性を有しており、しかも、各種肥料成分の吸着を促進さ
せることができるので土壌改良材や微生物を活性化させ
る効果を有している。また内部に肥料分である窒素、
燐、カリウムが高濃度で含有されているので肥料として
も有用である。しかも、その表面は、炭素の黒色により
覆われていることから、融雪剤としての効果を示すこと
もできる。
化を行なう場合の工程図である。
略図である。
Claims (6)
- 【請求項1】表面及び内部に多数の細孔が形成されてい
る多孔質炭化物粒子からなり、該多孔質炭化物粒子中に
は肥料成分が下記の組成で含有されていることを特徴と
する多孔質炭化物。 窒素(N)含有量 :1 〜 8重量% 燐(P2 O5 )含有量 :2 〜20重量% カリウム(K2 O)含有量 :2 〜15重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.5〜 5重量% カルシウム(CaO)含有量 :3 〜30重量% - 【請求項2】多孔質炭化物中に少なくとも下記成分より
なる高肥料含量の多孔質炭化物粒子を含有している請求
項1に記載の多孔質炭化物。 窒素(N)含有量 :2〜 8重量% 燐(P2 O5 )含有量 :4〜20重量% カリウム(K2 O)含有量 :3〜15重量% マグネシウム(MgO)含有量:1〜 5重量% カルシウム(CaO)含有量 :5〜30重量% - 【請求項3】少なくとも2種類の肥料濃度の異なる多孔
質炭化物粒子より形成されている請求項1又は2に記載
の多孔質炭化物。 - 【請求項4】異なる肥料成分濃度が下記の組成である請
求項3に記載の多孔質炭化物。 成分a 窒素(N)含有量 :0.1 〜1重量% 燐(P2 O5 )含有量 :0.03〜1重量% カリウム(K2 O)含有量 :0.1 〜2重量% マグネシウム(MgO)含有量:0.1〜1重量% カルシウム(CaO)含有量 :0.1〜4重量% 成分b 窒素(N)含有量 :2〜 8重量% 燐(P2 O5 )含有量 :4〜20重量% カリウム(K2 O)含有量 :3〜15重量% マグネシウム(MgO)含有量:1〜 5重量% カルシウム(CaO)含有量 :5〜30重量% - 【請求項5】家畜糞又は家畜糞と敷料との混合物を主成
分とする畜産廃棄物を、150℃以上の温度条件下で分
解させて炭化させることを特徴とする多孔質炭化物の製
造方法。 - 【請求項6】炭化を、畜産廃棄物の水分含量を5〜50
重量%に調製して流動層内に供給し、該流動層内の温度
を200〜700℃、空筒空気流動速度を5〜20cm
/秒(NTP換算)の条件下で行なう請求項5に記載の
多孔質炭化物の製造方法。
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---|---|---|---|
JP4320683A JP2620475B2 (ja) | 1992-11-30 | 1992-11-30 | 多孔質炭化物及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06166585A true JPH06166585A (ja) | 1994-06-14 |
JP2620475B2 JP2620475B2 (ja) | 1997-06-11 |
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1992
- 1992-11-30 JP JP4320683A patent/JP2620475B2/ja not_active Expired - Fee Related
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