JPH06166316A - 減衰力可変ショックアブソーバ制御装置 - Google Patents

減衰力可変ショックアブソーバ制御装置

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Publication number
JPH06166316A
JPH06166316A JP21143493A JP21143493A JPH06166316A JP H06166316 A JPH06166316 A JP H06166316A JP 21143493 A JP21143493 A JP 21143493A JP 21143493 A JP21143493 A JP 21143493A JP H06166316 A JPH06166316 A JP H06166316A
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JP
Japan
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damping force
spring
shock absorber
mode
vibration
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Withdrawn
Application number
JP21143493A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Teramura
英司 寺村
Shuichi Matsumoto
修一 松本
Masatoshi Kuroyanagi
正利 黒柳
Kinji Houdaira
欣二 宝平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の振動状況を把握し、バネ上振動の制振
と路面の細かい凹凸による振動伝達の防止を両立するこ
と。 【構成】 制御バルブ60には縮み側専用孔66と伸び
側専用孔67とが形成されており、制御バルブ60の回
動により制御バルブ60内の副流路50と縮み側専用流
路56、伸び側専用流路57を選択的に連通又は遮断す
ることができる。本制御装置は、車体の運動に対し制振
作用を行う減衰力の大きさを車両の走行状態に応じて切
り替えることができる。これにより、本発明の減衰力可
変ショックアブソーバ制御装置は、バネ上振動の制振と
路面の細かい凹凸による振動伝達防止が両立され、スカ
イフックダンパに近い特性を実現しつつ、車両の乗り心
地を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に用いる減衰力設
定の切り替えが可能なショックアブソーバ制御装置に関
する。
【0002】
【従来技術】従来より、車両の乗り心地と操縦安定性を
向上させるため、バネ上の絶対速度に比例した減衰力を
発生させるスカイフックダンパが考案されている。この
スカイフックダンパとは、空間の固定点からダンパを吊
るし、このダンパにより車体の振動を抑えることにより
道路の不整を車体に伝達しないようにする理想のダンパ
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スカイフッ
クダンパに近い特性をセミアクティブサスペンションに
より実現しようとする制御方法がKarnoppより提
案されている。Karnoppの方法では、図53,図
54に示したように、バネ上の絶対速度dX2とバネ上
バネ下間の相対速度dX2−dX1の正負が等しい時、
即ち、車体と車輪とが反対方向に移動する時及び車体と
車輪とが同一方向に移動し且つ車体の移動速度が車輪の
移動速度よりも速い時(減衰力が車体に対して制振作用
をする時)はショックアブソーバの減衰力を大きくす
る。又、上記2つの速度の正負が異なる時、即ち、車体
と車輪とが同一方向に移動し且つ車輪の移動速度が車体
の移動速度よりも速い時(減衰力が車体に対して励振作
用をする時)には減衰力を小さくする制御を行う。
【0004】即ち、Karnoppの方法では、バネ上
バネ下間の相対速度dX2−dX1が負の時(ショック
アブソーバが縮む時)でもバネ上の絶対速度dX2が負
の時(下向きの時)には、ショックアブソーバの減衰力
を大きくしていた。更に、従来の装置では、車両にバネ
上加速度センサ及びストロークセンサを取付け、バネ上
加速度センサの出力信号を積分することによりバネ上の
絶対速度dX2を検出し、ストロークセンサの出力信号
を微分することによりバネ上バネ下間の相対速度dX2
−dX1を検出していた。そして、バネ上の絶対速度d
X2の正負が変化した場合及びバネ上バネ下間の相対速
度dX2−dX1の正負が変化した場合において減衰力
を変更していた。
【0005】上記の制御を簡易的に実現する手段とし
て、特表平1−502972号公報「機械的衝撃吸収方
法並びに吸収装置」にて開示されたものが知られてい
る。この方法においては、車両の上下振動が顕著な場
合、バルブ位置の切り替えが頻繁に行われる。このもの
は、制振作用のための減衰力設定を一種類しか有してい
ないため、上述のように高周波入力が多い時、バネ上振
動の制振を優先させ設定を大きな減衰力とすると、路面
の細かい凹凸による振動を乗員に伝達し易くしてしま
う。
【0006】又、バネ上速度が小さい場合、不感帯とし
て伸縮両側共に小さな減衰力となるようにしているが、
この時、伸縮に応じてバルブ位置を切り替えなければな
らない。これらにより、バルブ位置の切り替えが過多と
なり、耐久性、消費電力の点で問題である共にバネ上振
動の制振と、路面の細かい凹凸による振動伝達防止の両
立が困難であるという問題があった。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、車両の振
動状況を把握し、バネ上振動の制振と路面の細かい凹凸
による振動伝達の防止の両立ができる減衰力可変ショッ
クアブソーバ制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成における第1の特徴は、作動流体が蓄えら
れたシリンダと、該シリンダ内に慴動自在に設けられ、
該シリンダの内部を上部室と下部室とに区分けするピス
トン部材と、前記上部室と前記下部室との間で前記作動
流体の流通を許容する少なくとも1つの連通路と、該連
通路内に設けられ、該連通路の流路面積を変更するバル
ブ手段とから成るショックアブソーバと、車両のバネ上
の上下方向加速度を検出する加速度センサを有し、該加
速度センサからの信号に基づいてバネ上の上下方向速度
を算出し、そのバネ上の上下方向速度に応じて前記ショ
ックアブソーバの減衰力を変更する減衰力可変ショック
アブソーバ制御装置において、前記バネ上の振動レベル
を抽出する抽出手段と、前記バネ上の上下方向速度を算
出する速度算出手段と、縮み側減衰力を小さくしたまま
伸び側減衰力を大きく設定する第1のモードと伸び側減
衰力を小さくしたまま縮み側減衰力を大きく設定する第
2のモードとの両方又は何れか一方と、伸び側及び縮み
側減衰力を共に小さくする第3のモードとを有し、前記
速度算出手段によって算出されるバネ上の上下方向速度
に応じて前記バルブ手段を作動し前記第1のモードと前
記第2のモードと前記第3のモードとを切り替えるモー
ド切替手段と、前記抽出手段による前記バネ上の振動レ
ベルの変化に応じて前記第1のモードの伸び側又は前記
第2のモードの縮み側における減衰力のバネ上の上下方
向速度に対する特性を変化させる特性可変手段とを備え
たことである。
【0009】又、第2の特徴は、前記特性可変手段によ
る特性の変化は、前記モード切替手段にて切り替えられ
る各モードにおける減衰力の大きさを決定する減衰係
数、バネ上の上下方向速度に対する閾値、バネ上の上下
方向速度の補正値のうち何れかを可変することにより行
われることである。
【0010】
【作用】
「第1の特徴の作用」上記の手段によれば、バネ上の振
動レベルの抽出として、例えば、バネ上振動状況(履
歴)の把握、バネ上振動周波数の算出、一定時間内にお
けるバルブ位置の切替頻度の検出などが行われる。
【0011】ここで、モードとしては、縮み側減衰力を
小さくしたまま伸び側減衰力を大きく設定する第1のモ
ードと、伸び側減衰力を小さくしたまま縮み側減衰力を
大きく設定する第2のモードと、伸び側及び縮み側減衰
力を共に小さくする第3のモードとを有している。そし
て、バネ上の上下方向速度に応じて第1のモードと第2
のモードと第3のモードとが切り替えられる。
【0012】そして、バネ上の振動レベルの変化に応じ
て上記第1のモードの伸び側又は上記第2のモードの縮
み側における減衰力のバネ上の上下方向速度に対する特
性が変化される。このようにして、車両の振動状況が推
定され、車体の運動に対し制振作用をする減衰力の大き
さを変更することができる。
【0013】「第2の特徴の作用」第1の特徴の作用に
加えて、上記特性の可変は、各モードにおける減衰力の
大きさを決定する減衰係数、バネ上の上下方向速度に対
する閾値、バネ上の上下方向速度の補正値のうち何れか
により行われる。このようにして、車両の振動状況が推
定され、車体の運動に対し制振作用をする減衰力の大き
さを適切に変更することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。第1実施例 図1は本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ制御
装置の全体構成を示したブロックダイヤグラムである。
【0015】1は公知の歪みゲージ式加速度センサで、
各車輪の図示しないサスペンションアッパーサポート付
近の車体に取り付けられている。この加速度センサ1
は、バネ上の上下方向加速度を検出し、その検出信号は
積分回路2に入力される。積分回路2では、加速度セン
サ1からのバネ上の上下方向加速度信号を積分すること
によってバネ上の速度信号V(=dX2)を算出する。
制御部5は、積分回路2からの信号を入力して、アクチ
ュエータ6に制御信号を出力するもので、算術論理回路
として構成されている。ショックアブソーバ7に備えら
れた制御バルブ60がアクチュエータ6により駆動され
る。
【0016】次に、ショックアブソーバ7の構造を図2
〜図5を用いて説明する。図2はショックアブソーバ7
を示した縦断面図である。ショックアブソーバ7のシリ
ンダ10の中空間はメインピストン20により上下に区
画されてそれぞれ上部室2a、下部室2bとなってい
る。このメインピストン20は、ナット37によりスペ
ーサなどを介して、メインピストン20の中心を貫通す
るピストンロッドC36に固定されている。
【0017】ピストンロッドC36は、ピストンロッド
A30下端円筒部のネジ部によって、ピストンロッドB
35を挟むようにピストンロッドA30に螺着固定され
ている。又、ピストンロッドA30とピストンロッドB
35との間には、2個のOリング90を介して油密的に
形成された連通室56bがある。
【0018】ピストンロッドA30及びピストンロッド
B35にはそれぞれ複数の連通孔56a,56cが設け
てあり、連通室56bと共に比較的流路面積の大きな縮
み側専用流路56を形成している。又、ピストンロッド
A30とピストンロッドB35との間には、スプリング
54と板状逆止弁58が配設されている。
【0019】スプリング54の上端はピストンロッドA
30に当接し、下端は板状逆止弁58に当接し、スプリ
ング54は板状逆止弁58を下方に付勢している。従っ
て、縮み側専用流路56は、制御バルブ60方向から上
部室2aへの流出のみを許容する板状逆止弁58によっ
て開閉される。ピストンロッドB35とピストンロッド
C36との間には、3個のOリング90を介して油密的
に形成され、スプリング55と板状逆止弁59とを収納
しているスプリング室57bがある。
【0020】スプリング55の上端はピストンロッドB
35に当接し、下端は板状逆止弁59に当接し、スプリ
ング55は板状逆止弁59を下方に付勢している。ピス
トンロッドA30及びピストンロッドC36にはそれぞ
れ複数の連通孔57a,57cが設けてあり、スプリン
グ室57bと共に比較的流路面積の大きな伸び側専用流
路57を形成している。
【0021】従って、伸び側専用流路57は上部室2a
から制御バルブ60方向への流入のみを許容する板状逆
止弁59によって開閉される。上記メインピストン20
には上部室2a、下部室2bを連通する比較的流路面積
の小さな縮み側主流路41と伸び側主流路42とが形成
されている。縮み側主流路41はメインピストン20の
上面に設けた板状逆止弁48によって開閉され、伸び側
主流路42はメインピストン20の下面に設けた板状逆
止弁49によって開閉される。
【0022】ピストンロッドC36内には上部室2aと
下部室2bとの間で作動油の流通を可能とする副流路5
0が形成されている。上記ピストンロッドA30の下端
部は筒状に形成され、筒内に制御バルブ60が油密的に
且つ回動自在に嵌合されている。制御バルブ60の上部
は中実細径の棒状となっており、その上端部は、図示し
ないアクチュエータ6に接続されている。又、ブッシュ
31,32はピストンロッドA30に圧入固定されてお
り、その内径部は制御バルブ60の細径部と回動自在に
嵌合されている。ブッシュ31の下に配設されるOリン
グ90は外部との油密性を保つものである。
【0023】従って、制御バルブ60はアクチュエータ
6を駆動することにより、ピストンロッドA30の中心
軸に対し回動可能となっている。図3は制御バルブ60
の縦断面図である。この制御バルブ60の下端部は、図
示したように中空構造となっており、副流路50の一部
を形成している。
【0024】図4(a) は図2のA−A線に沿った横断面
図、図4(b) は図2のB−B線に沿った横断面図であ
る。制御バルブ60には1対の多角形の縮み側専用孔6
6が形成されており、制御バルブ60の回動により副流
路50と縮み側専用流路56とを連通又は遮断すること
ができる。
【0025】又、制御バルブ60には1対の多角形の伸
び側専用孔67が形成されており、制御バルブ60の回
動により副流路50と伸び側専用流路57とを連通又は
遮断することができる。連通孔56aと縮み側専用孔6
6、連通孔57aと伸び側専用孔67はそれぞれ対向さ
れて形成されており、制御バルブ60の回転角θの変化
に基づいて図5に示したように、連通面積Sを変えるこ
とができる。
【0026】ここで、連通面積SN は伸び側最大連通面
積を表し、伸び側の最小減衰力を決定するものである。
又、連通面積ST は縮み側最大連通面積を表し、縮み側
の最小減衰力を決定するものである。そして、連通面積
N,T の関係は任意であり、制御バルブ回転角θに対
して連通面積Sが最小からSN 又はST に至る道程は、
図のように、直線であっても曲線としても良い。
【0027】従って、制御バルブ60が図4(a),(b) に
示した位置である時には、縮み側専用流路56と副流路
50及び伸び側専用流路57と副流路50は共に制御バ
ルブ60によって開放されている。従って、作動油が上
部室2aから下部室2bへ流れる時は、主に流路面積の
大きな伸び側専用流路57を通り、下部室2bから上部
室2aへ流れる時は、主に流路面積の大きな縮み側専用
流路56を通る。これによって、伸び側及び縮み側共小
さな減衰力となる。
【0028】又、制御バルブ60が図4(a),(b) に示し
た位置から時計回転方向に45°程回動した時には、縮み
側専用流路56と副流路50とは連通状態のままである
が、伸び側専用流路57と副流路50とは遮断される。
従って、作動油が上部室2aから下部室2bへ流れる時
は流路面積の小さな伸び側主流路42を通り、下部室2
bから上部室2aへ流れる時は先程と同様に流路面積の
大きな縮み側専用流路56を通る。これによって、伸び
側は大きな減衰力となり縮み側は小さな減衰力となる。
【0029】一方、制御バルブ60が図4(a),(b) に示
した位置から反時計回転方向に45°程回動した時には、
縮み側専用流路56と副流路50とは遮断され、伸び側
専用流路57と副流路50とは連通状態のままである。
従って、作動油が上部室2aから下部室2bへ流れる時
は流路面積の大きな伸び側専用流路57を通り、下部室
2bから上部室2aへ流れる時は流路面積の小さな縮み
側主流路41を通る。
【0030】これによって、伸び側は小さな減衰力とな
り縮み側は大きな減衰力となる。以上説明したように、
アクチュエータ6により制御バルブ60を作動し、その
制御バルブ60内の副流路50と縮み側専用流路56及
び伸び側専用流路57の連通面積を変えることにより、
伸び側又は縮み側の減衰力のうち何れか一方を常に小さ
めの減衰力に設定したまま、他方の減衰力を大きく変更
することができる。
【0031】以上の構成において、制御部5による制御
と減衰力可変ショックアブソーバの作動について説明す
る。尚、ここでは、各状態量(車体、車輪、タイヤの変
位、速度及び加速度)は上向きを正にとる。本実施例の
制御においては、ショックアブソーバの減衰力が車体の
運動に対して制振作用をする時には減衰力を大きく、減
衰力が車体の運動に対し励振作用をする時には減衰力を
小さくするようにする。
【0032】又、この時のバネ上の絶対速度dX2とバ
ネ上バネ下間の相対速度dX2−dX1と減衰力の関係
は図6に示したように設定される。図中における第1の
モードは、図5に示した制御バルブ回転角θがプラス
(+)側のある回転角θ+ により実現され、伸び側の減
衰力が大きく縮み側の減衰力が小さな制御状態(以下、
H−Sモードともいう)となる。又、第2のモードは、
制御バルブ回転角θがマイナス(−)側のある回転角θ
- により実現され、縮み側の減衰力が大きく伸び側の減
衰力が小さな制御状態(以下、S−Hモードともいう)
となる。そして、第3のモードは、制御バルブ回転角0
°により実現され、伸び側及び縮み側の減衰力が共に小
さい制御状態(以下、S−Sモードともいう)となる。
【0033】例えば、高速走行においては、操縦安定性
を重視し車両の姿勢変化をより抑えるため、θ+ 及びθ
- の大きさをそれぞれ大きくすることにより制振作用を
行う減衰力が大きくされる。又、低速走行においては、
大きな上下変位はなく、大きな減衰力設定による路面か
らの高周波入力(ゴツゴツ感)を抑えるため、θ+ 及び
θ- の大きさをそれぞれ小さくすることにより制振作用
を行う減衰力が小さくされる。
【0034】加速、制動又は旋回時において、前後方向
又は横方向加速度が大きい場合は、車両の姿勢変化をよ
り抑えるため、θ+ 及びθ- の大きさをそれぞれ大きく
することにより制振作用を行う減衰力が大きくされる。
又、前後方向又は横方向加速度が小さい場合は、大きな
姿勢変化はなく、大きな減衰力設定による路面からの高
周波入力(ゴツゴツ感)を抑えるため、θ+ 及びθ- の
大きさをそれぞれ小さくすることにより制振作用を行う
減衰力が小さくされる。
【0035】次に、抽出手段、モード切替手段及び特性
可変手段を達成する制御部5による制御の処理手順を示
した図7のフローチャートに基づき、図8のタイミング
チャートを参照して説明する。先ず、ステップ100で
バネ上の上下加速度Gを取り込む。次にステップ102
に移行して、ハイパスフィルタ処理が実行される。これ
により、バネ上の上下加速度Gの十分に低い成分のみが
除去される。
【0036】次にステップ104に移行して、ステップ
102で処理されたバネ上の上下加速度Gが予め設定さ
れた閾値Gref1,2,3, …と比較される。ステップ104
で、バネ上の上下加速度Gが閾値Gref1,2,3, …の何れ
かを越えているならば、ステップ106に移行する。ス
テップ106では、Grefiと正の相関関係にあるNi(i=
1,2,3,…) の値よりカウンタCの値が小さいか否かが判
定される。但し、Ni は正の整数であり、例えば、N1
=10, N2 =20, N3 =30, …とする。
【0037】ここで、カウンタCの値がゼロ又は一旦設
定され後述の減算処理を経ていると、ステップ108に
移行し、カウンタCの値がGrefiと正の相関関係にある
Niの値に設定された後、ステップ110に移行する。
具体的には、図8において、時間t1,t2,t3 ではGre
f1と正の相関関係にあるN1 =10に設定され、時間t 4
ではGref2と正の相関関係にあるN2 =20に設定され
る。
【0038】上述のステップ104で、G>Gref1,2,
3, …でなく、又、ステップ106でC<N1,2,3,…で
なければステップ110に移行する。ステップ110で
は、カウンタCの値がゼロであるか否かが判定される。
ステップ110で、C≠0であるとステップ112に移
行し、C=C−1の処理を実行、即ち、カウンタCの値
から1を減算した後、ステップ114に移行する。
【0039】上述のステップ110で、C=0であると
ステップ114に移行する。ステップ114では、カウ
ンタCの値からθ+ 及びθ- を算出、設定した上で、バ
ネ上の上下方向速度Vと閾値との比較により、制御バル
ブ回転角θを決定する。この時、カウンタCとθ+ とは
負の相関関係、カウンタCとθ- とは正の相関関係にあ
る(θ+ は固定としても良い)。但し、θ+ >0, θ-
<0である。
【0040】尚、閾値は正でも負でも良く、1つでも複
数でも良い。上述の実施例において、カウンタCの値は
おおむね、バネ上の上下加速度の包絡線で近似される。
このように、バネ上の上下加速度値又はその高周波成分
の値を所定の加速度閾値と比較してカウントされた値
は、結果的に、バネ上の上下加速度の高周波成分と相関
関係を有するのである。
【0041】これにより、本発明の減衰力可変ショック
アブソーバ制御装置では、例えば、バネ上の上下速度が
同じであっても、小石等の凹凸に乗り上げてバネ上上下
加速度が大きく振れるような荒れた路面を走行する場合
には、制振作用を行う減衰力が小さく設定されて乗り心
地が向上される。第2実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。
【0042】次に、抽出手段、モード切替手段及び特性
可変手段を達成する制御部5による制御の処理手順を示
した図9のフローチャートの概略を説明する。尚、図1
0は図9に対応したタイミングチャートである。本実施
例では、閾値が正・負側にそれぞれ1つ又は複数Grefi
+,Grefi- (i=1,2,3, …) 設定され、バネ上の上下加速
度値又はその高周波成分の値を正側の所定の閾値Grefi
+ と比較し、又、バネ上の上下加速度値又はその高周波
成分の値を負側の所定の閾値Grefi- と比較し、ステッ
プ226でカウンタCp,Cm の値からθ+ 及びθ- を算
出、設定した上で、バネ上の上下方向速度Vと閾値との
比較により、制御バルブ回転角θを決定する。
【0043】この時、負側加速度値とθ+ 及び正側加速
度値とθ- は共に正の相関関係にある(θ+ は固定とし
ても良い)。又、θ- とCp 及びθ+ とCm は正の相関
関係にある。但し、θ+ >0,θ- <0である。つま
り、図9のフローチャートでは正側のカウンタCp と負
側のカウンタCmを有し、減算処理又は加算処理を実行
して制御バルブ回転角θの正・負側の値を設定している
ことが上述の図7のフローチャートとの相違点である。
【0044】これにより、本発明の減衰力可変ショック
アブソーバ制御装置では、例えば、バネ上の上下速度が
同じであっても、小石等の凹凸に乗り上げてバネ上上下
加速度が大きく振れるような荒れた路面を走行する場合
には、制振作用を行う減衰力が小さく設定されて乗り心
地が向上される。又、特に、突き上げが大きい(バネ上
上下加速度の正側の値が大きい)場合に、制振作用を行
う縮み側減衰力を小さくする(θ- の絶対値を小さくす
る)。
【0045】第3実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。抽出手段、モード切
替手段及び特性可変手段を達成する制御部5による制御
の処理手順を示した図12のフローチャートの概略を説
明する。尚、図13は図12に対応したタイミングチャ
ートである。
【0046】この制御は、図6の第1のモード(H−S
モード)及び第2のモード(S−Hモード)における大
きな減衰力を図11に示したように、複数(H1,2,
3, 4)とし、図7のフローチャートと同様に処理すると
きの多モード切替制御である。つまり、図12のフロー
チャートにおけるステップ314では、カウンタCの値
からθi+及びθi-を算出、設定した上で、バネ上の上下
方向速度Vと閾値との比較により、制御バルブ回転角θ
を決定する。
【0047】この時、GrefiとNi(i=1,2,3,…) の値は
正の相関関係にある。但し、Ni は正の整数である。
又、θi+とCとは負の相関関係、θi-とCとは正の相関
関係にある。但し、θi+>0,θi-<0である。これに
より、本発明の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置
では、例えば、バネ上の上下速度が同じであっても、小
石等の凹凸に乗り上げてバネ上上下加速度が大きく振れ
るような荒れた路面を走行する場合には、制振作用を行
う減衰力が小さく設定されて乗り心地が向上される。
【0048】第4実施例 次に、本発明の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置
において簡素化されたショックアブソーバ7′を用いる
場合について説明する。制御装置の全体構成は、図1に
示されたブロックダイヤグラムと同様である。簡素化さ
れたショックアブソーバ7′の構造を図14〜図17を
用いて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成から成
るものについては同じ符号を付してその説明を省略す
る。
【0049】図14において、ピストンロッドC36
は、ピストンロッドA30下端円筒部のネジ部によっ
て、ピストンロッドA30に螺着固定されている。又、
ピストンロッドA30とピストンロッドC36との間に
は、2個のOリング90を介して油密的に形成されたス
プリング55と板状逆止弁59を収納しているスプリン
グ室57bがある。
【0050】ピストンロッドA30及びピストンロッド
C36にはそれぞれ複数の連通孔57a,57cが設け
てあり、スプリング室57bと共に伸び側専用流路57
を形成している。伸び側専用流路57は、上部室2aか
ら制御バルブ63方向への流入のみを許容する板状逆止
弁59によって開閉される。
【0051】メインピストン20には、上部室2a及び
下部室2bを連通する比較的流路面積の大きな縮み側主
流路41′と比較的流路面積の小さな伸び側主流路4
2′とが形成されている。縮み側主流路41′はメイン
ピストン20の上面に設けた比較的板厚の薄い板状逆止
弁48によって開閉され、伸び側主流路42′はメイン
ピストン20の下面に設けた比較的板厚の厚い板状逆止
弁49によって開閉される。
【0052】ピストンロッドC36内には上部室2aと
下部室2bとの間で作動油の流通を可能とする副流路5
0が形成されている。上記ピストンロッドA30の下端
部は筒状に形成され、筒内に制御バルブ63が油密的に
且つ回動自在に嵌合されている。制御バルブ63はアク
チュエータ6を駆動することにより、ピストンロッドA
30の中心軸に対し回動可能となっている。
【0053】図15は、制御バルブ63の縦断面図であ
る。制御バルブ63の下端部は、中空構造になっており
副流路50の一部を形成している。又、図16は、図1
4のA−A線に沿った横断面図である。制御バルブ63
には1対の多角形の伸び側専用孔67が形成されてお
り、制御バルブ63の回動により副流路50と伸び側専
用流路57とを連通又は遮断することができる。連通孔
57a、伸び側専用孔67はそれぞれ対向されて形成さ
れており、制御バルブ63の回転角θの変化に基づいて
図17に示したように、連通面積Sを変えることができ
る。
【0054】ここで、連通面積SN は伸び側最大連通面
積を表し、伸び側の最小減衰力を決定するものである。
又、連通面積ST は縮み側連通面積を表し、縮み側の減
衰力(一定)を決定するものである。そして、連通面積
N,T の関係は任意であり、制御バルブ回転角θに対
して連通面積SがSN から最小に至る道程は、図のよう
に、直線であっても曲線としても良い。
【0055】従って、制御バルブ63が図16(a) に示
した位置の時は、伸び側専用流路57と副流路50とが
連通する。このため、作動油が上部室2aから下部室2
bへ流れる時は、主に流路面積の大きな副流路50を通
り、下部室2bから上部室2aへ流れる時は、上述の場
合と同様に流路面積の大きい縮み側主流路41′を通
る。これにより、伸び側及び縮み側とも小さな減衰力と
なる。
【0056】又、制御バルブ63が図16(a) に示した
位置から90°程回動した図16(b)に示した位置の時
は、伸び側専用流路57と副流路50とは制御バルブ6
3によって遮断されている。このため、作動油が上部室
2aから下部室2bへ流れる時は、流路面積の小さい伸
び側主流路42′を通り、下部室2bから上部室2aへ
流れる時は、流路面積の大きい縮み側主流路41′を通
る。これにより、伸び側は大きな減衰力となり縮み側は
小さな減衰力となる。
【0057】以上説明したように、縮み側の減衰力は常
に小さめの減衰力に設定したまま、アクチュエータ6に
より制御バルブ63を作動し制御バルブ63内の副流路
50と伸び側専用流路57との流路面積を変えることに
より伸び側の減衰力を変更することができる。以上の構
成において、制御部5による制御とショックアブソーバ
7′の作動について説明する。尚、ここでは、各状態量
(車体、車輪、タイヤの変位、速度及び加速度)は上向
きを正にとる。
【0058】本実施例の制御においては、ショックアブ
ソーバ7′の伸び側減衰力が車体の運動に対し制振作用
をする時には減衰力を大きく、伸び側減衰力が車体の運
動に対し励振作用をする場合には減衰力を小さくする。
一方、ショックアブソーバ7′の縮み側減衰力は、路面
の細かい凹凸による振動の伝達を防ぐため、常に小さく
設定されている。
【0059】又、上述の実施例の図6においてdX2が
正(+)の場合のみを考慮し、この時のバネ上の絶対速
度dX2とバネ上バネ下間の相対速度dX2−dX1と
減衰力の関係は図18に示したように設定される。即
ち、負(−)側の閾値は不要となる。図中における第1
のモードの減衰力は、図17に示した制御バルブ回転角
θがプラス(+)側のある回転角θ+ により実現され、
第3のモードの減衰力は、制御バルブ回転角θが0°に
より実現される。
【0060】次に、抽出手段及び減衰力可変手段を達成
する制御部5による制御の処理手順を示した図19のフ
ローチャートの概略を説明する。尚、図20は図19に
対応したタイミングチャートである。本制御装置は、伸
び側の減衰力のみを変更しようとする2モード切替制御
である。従って、本フローチャートは、図7のフローチ
ャートと同等であり、その全体の説明を省略する。
【0061】即ち、図20に示したように、カウンタC
の値からθ+ を算出、設定した上で、バネ上の上下方向
速度Vと閾値との比較により、制御バルブ回転角θはプ
ラス(+)側のみにおいて変更される。この時、Grefi
とNi(i=1,2,3,…) の値は正の相関関係にある。但し、
Ni は正の整数である。又、θ+ とCとは負の相関関係
にある。但し、θ+ >0である。
【0062】これにより、本発明の減衰力可変ショック
アブソーバ制御装置では、例えば、バネ上の上下速度が
同じであっても、小石等の凹凸に乗り上げてバネ上上下
加速度が大きく振れるような荒れた路面を走行する場合
には、制振作用を行う減衰力が小さく設定されて乗り心
地が向上される。第5実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。
【0063】抽出手段、モード切替手段及び特性可変手
段を達成する制御部5による制御の処理手順を示した図
21のフローチャートの概略を説明する。尚、図21の
フローチャートは上述の図7のフローチャートに対応す
る。又、図22は図21に対応したタイミングチャート
である。本フローチャートは、バネ上の上下加速度値又
はその高周波成分の値をその加速度閾値と比較し、バネ
上の上下速度に対する閾値Vref+,Vref-を決定し、ス
テップ516で、図6のマップに対応する制御バルブ回
転角θを選択する。
【0064】この時、加速度値とVref+とは正の相関関
係、加速度値とVref-とは負の相関関係にある(Vref+
は固定としても良い)。又、加速度閾値は正でも負でも
良く、1つでも複数でも良い。この時、GrefiとNi(i=
1,2,3,…) の値は正の相関関係にある。但し、Ni は正
の整数である。又、Vref+とCとは正の相関関係、Vre
f-とCとは負の相関関係にある。但し、Vref+>0,V
ref-<0である。
【0065】このように、バネ上の上下加速度値又はそ
の高周波成分の値を所定の加速度閾値と比較してカウン
トされた値は、結果的に、バネ上の上下加速度の高周波
成分と相関関係を有するのである。これにより、本発明
の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置では、例え
ば、バネ上の上下速度が同じであっても、小石等の凹凸
に乗り上げてバネ上上下加速度が大きく振れるような荒
れた路面を走行する場合には、制振作用を行う減衰力が
小さく設定されて乗り心地が向上される。
【0066】第6実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。抽出手段、モード切
替手段及び特性可変手段を達成する制御部5による制御
の処理手順を示した図23のフローチャートの概略を説
明する。尚、図23のフローチャートは上述の図9のフ
ローチャートに対応する。又、図24は図23に対応し
たタイミングチャートである。
【0067】本実施例では、加速度閾値が正・負側にそ
れぞれ1つ又は複数Grefi+,Grefi- (i=1,2,3, …) 設
定され、バネ上の上下加速度値又はその高周波成分の値
を正側の所定の閾値Gref+と比較しVref-を決定する。
又、バネ上の上下加速度値又はその高周波成分の値を負
側の所定の閾値Gref-と比較しVref+を決定する。この
時、負側加速度値とVref+及び正側加速度値とVref-は
共に負の相関関係にある(Vref+は固定としても良
い)。又、Vref-とCp 及びVref+とCm は負の相関関
係にある。但し、Vref+>0,Vref-<0である。
【0068】そして、ステップ630で、図6のマップ
に対応する制御バルブ回転角θを選択する。つまり、図
23のフローチャートでは正側のカウンタCp と負側の
カウンタCm を有し、減算処理又は加算処理を実行して
バネ上の上下速度閾値の正・負側の値を設定しているこ
とが上述の図21のフローチャートとの相違点である。
【0069】これにより、本発明の減衰力可変ショック
アブソーバ制御装置では、例えば、バネ上の上下速度が
同じであっても、小石等の凹凸に乗り上げてバネ上上下
加速度が大きく振れるような荒れた路面を走行する場合
には、制振作用を行う減衰力が小さく設定されて乗り心
地が向上される。第7実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。
【0070】抽出手段、モード切替手段及び特性可変手
段を達成する制御部5による制御の処理手順を示した図
25のフローチャートの概略を説明する。尚、図25の
フローチャートは上述の図12のフローチャートに対応
する。又、図26は図25に対応したタイミングチャー
トである。この制御は、図6の第1のモード(H−Sモ
ード)及び第2のモード(S−Hモード)における大き
な減衰力を図11に示したように、複数(H1,2,3,
4)とし、図7のフローチャートと同様に処理するとき
の多モード切替制御である。
【0071】つまり、図25のフローチャートにおける
ステップ714では、カウンタCの値により正・負複数
のバネ上の上下方向速度に対する閾値Vrefi+,Vrefi-
が設定され複数のモードが実現される。この時、Grefi
とNi(i=1,2,3,…) の値は正の相関関係にある。但し、
Ni は正の整数である。又、Vrefi+ とCとは正の相関
関係、Vrefi- とCとは負の相関関係にある。但し、V
refi+ >0,Vrefi- <0である。
【0072】そして、ステップ716で、図11のマッ
プに対応する制御バルブ回転角θを選択する。これによ
り、本発明の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置で
は、例えば、バネ上の上下速度が同じであっても、小石
等の凹凸に乗り上げてバネ上上下加速度が大きく振れる
ような荒れた路面を走行する場合には、制振作用を行う
減衰力が小さく設定されて乗り心地が向上される。
【0073】第8実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第4実施例と
同様であり、その説明を省略する。抽出手段、モード切
替手段及び特性可変手段を達成する制御部5による制御
の処理手順を示した図27のフローチャートの概略を説
明する。尚、図27のフローチャートは上述の図19の
フローチャートに対応する。又、図28は図27に対応
したタイミングチャートである。
【0074】本制御装置は、伸び側の減衰力のみを変更
しようとする2モード切替制御である。従って、本フロ
ーチャートは、図21のフローチャートのステップ51
4からVref-を省略したものと同等であり、その全体の
説明を省略する。即ち、図28に示したように、バネ上
の上下方向速度に対する閾値はプラス(+)側のみにお
いて変更される。
【0075】この時、GrefiとNi(i=1,2,3,…) の値は
正の相関関係にある。但し、Ni は正の整数である。
又、Vref+とCとは正の相関関係にある。但し、Vref+
>0である。そして、ステップ816で、図18のマッ
プに対応する制御バルブ回転角θを選択する。
【0076】これにより、本発明の減衰力可変ショック
アブソーバ制御装置では、例えば、バネ上の上下速度が
同じであっても、小石等の凹凸に乗り上げてバネ上上下
加速度が大きく振れるような荒れた路面を走行する場合
には、制振作用を行う減衰力が小さく設定されて乗り心
地が向上される。第9実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。
【0077】抽出手段、モード切替手段及び特性可変手
段を達成する制御部5による制御において、モード判定
のためのバネ上の上下方向速度値を補正する場合につい
て説明する。 (補正後の速度値)=gain×(実際の速度値) ここで、gain+ は、実際の速度値が正の時の補正係数
(>0)、gain- は、実際の速度値が負の時の補正係数
(>0)であり、gain+=gain-であっても良い。
【0078】図29のフローチャートは上述の図7のフ
ローチャートに対応する。又、図30は図29に対応し
たタイミングチャートである。本フローチャートは、バ
ネ上の上下加速度値又はその高周波成分の値をその加速
度閾値と比較し、バネ上の上下速度に対する補正係数ga
in+,gain- を決定し、実際の速度値に乗じる処理が上述
の図7のフローチャートと異なっている。
【0079】この時、加速度値とgain+,gain- とは負の
相関関係にある(gain+ は固定としても良い)。又、加
速度閾値は正でも負でも良く、1つでも複数でも良い。
又、GrefiとNi(i=1,2,3,…) の値は正の相関関係にあ
る。但し、Ni は正の整数である。又、gain+,gain- と
Cとは負の相関関係にある。そして、ステップ916
で、図6のマップにおけるバネ上速度から制御バルブ回
転角θを選択する。
【0080】このように、バネ上の上下加速度値又はそ
の高周波成分の値を所定の加速度閾値と比較してカウン
トされた値は、結果的に、バネ上の上下加速度の高周波
成分と相関関係を有するのである。これにより、本発明
の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置では、例え
ば、バネ上の上下速度が同じであっても、小石等の凹凸
に乗り上げてバネ上上下加速度が大きく振れるような荒
れた路面を走行する場合には、制振作用を行う減衰力が
小さく設定されて乗り心地が向上される。
【0081】第10実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第1実施例と
同様であり、その説明を省略する。抽出手段、モード切
替手段及び特性可変手段を達成する制御部5による制御
の処理手順を示した図31のフローチャートの概略を説
明する。尚、図31のフローチャートは上述の図9のフ
ローチャートに対応する。又、図32は図31に対応し
たタイミングチャートである。
【0082】本実施例では、加速度閾値が正・負側にそ
れぞれ1つ又は複数Grefi+,Grefi- (i=1,2,3, …) 設
定され、バネ上の上下加速度値又はその高周波成分の値
を正側の所定の閾値Gref+と比較しバネ上速度補正係数
gain- を決定する。又、バネ上の上下加速度値又はその
高周波成分の値を負側の所定の閾値Gref-と比較しバネ
上速度補正係数gain+ を決定する。
【0083】この時、負側加速度値とgain+ は正の相関
関係、正側加速度値とgain- は負の相関関係にある(ga
in+ は固定としても良い)。又、gain- とCp とは負の
相関関係、gain+ とCm とは正の相関関係にある。そし
て、ステップ1030で、図6のマップにおけるバネ上
速度から制御バルブ回転角θを選択する。
【0084】つまり、図31のフローチャートでは正側
のカウンタCp と負側のカウンタCm を有し、減算処理
又は加算処理を実行してバネ上の上下速度閾値の正・負
側の値を設定していることが上述の図29のフローチャ
ートとの相違点である。これにより、本発明の減衰力可
変ショックアブソーバ制御装置では、例えば、バネ上の
上下速度が同じであっても、小石等の凹凸に乗り上げて
バネ上上下加速度が大きく振れるような荒れた路面を走
行する場合には、制振作用を行う減衰力が小さく設定さ
れて乗り心地が向上される。
【0085】第11実施例 本実施例における、ショックアブソーバは第4実施例と
同様であり、その説明を省略する。抽出手段、モード切
替手段及び特性可変手段を達成する制御部5による制御
の処理手順を示した図33のフローチャートの概略を説
明する。尚、図33のフローチャートは上述の図19の
フローチャートに対応する。又、図34は図33に対応
したタイミングチャートである。
【0086】本制御装置は、伸び側の減衰力のみを変更
しようとする2モード切替制御である。従って、本フロ
ーチャートは、図29のフローチャートのステップ91
4からgain- を省略したものと同等であり、その全体の
説明を省略する。即ち、図34に示したように、バネ上
速度補正係数はプラス(+)側のみにおいて変更され
る。
【0087】この時、GrefiとNi(i=1,2,3,…) の値は
正の相関関係にある。但し、Ni は正の整数である。
又、gain+ とCとは負の相関関係にある。そして、ステ
ップ1116で、図18のマップにおけるバネ上速度か
ら制御バルブ回転角θを選択する。これにより、本発明
の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置では、例え
ば、バネ上の上下速度が同じであっても、小石等の凹凸
に乗り上げてバネ上上下加速度が大きく振れるような荒
れた路面を走行する場合には、制振作用を行う減衰力が
小さく設定されて乗り心地が向上される。
【0088】第12実施例 次に、本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ制御
装置において、上述の制御に振動周波数などのパラメー
タにより閾値を変更する手段を設けて同時に実施する場
合について説明する。尚、ショックアブソーバについて
は上述の第1実施例と同様でありその説明を省略する。
【0089】閾値を変更する手段は、前述の制御部5に
て達成され、図35はその具体的な構成を示したブロッ
クダイヤグラムである。加速度センサ1によりバネ上の
上下方向加速度が検出され、その検出信号はH. P.
F.(ハイパスフィルタ)3及びL. P. F.(ローパスフ
ィルタ)4にそれぞれ入力される。そして、H. P.
F. 3からは高周波成分が抽出され、L. P. F. 4か
らは低周波成分が抽出される。
【0090】図36では、H. P. F. 通過後のバネ上
の上下方向加速度波形について一定時間内の最大値を数
点(1点以上)、図ではg1,g2,g3,g4 と4点取り出
し、その平均値を高周波振動レベルVH としている。図
37では、H. P. F. 通過後のバネ上の上下方向加速
度波形について過去のピーク値を数点(1点以上)、図
ではg1,g2,g3,g4 と4点取り出し、その平均値を高
周波振動レベルVH としている。
【0091】尚、図36,図37においては、加速度の
最大値、ピーク値は正の値を用いているが負の値、絶対
値を用いても良い。同様に、L. P. F. 4からは低周
波成分が抽出され、低周波振動レベルVLが算出され
る。抽出された高周波成分から高周波振動レベルVH
同じく低周波成分から低周波振動レベルVL がそれぞれ
求められる。このVH 及びVL を次式に代入して振動状
態検出パラメータPを求める。
【0092】
【数1】P=(a・VH )/(b・VL ) ここで、a,bは重み付け係数である。そして、図38
により上記振動状態検出パラメータPに基づき図6のマ
ップにおけるバネ上の上下方向速度に対する閾値Vref
+,Vref-が求められる。
【0093】図38(a) においては、制御バルブの位置
が連続的に選択される機構に適し、閾値の変更が連続的
に行われる。又、図38(b) においては、制御バルブの
位置が不連続的に選択される機構に適し、閾値の変更が
不連続的に行われる。上述の図35の構成において、
H. P. F. 3がなくても良い。その場合の低周波振動
レベルVL に対する閾値は図39のマップに示したよう
になる。
【0094】又、図35の構成において、L. P. F.
4がなくても良い。その場合の高周波振動レベルVH
対する閾値は図40のマップに示したようになる。尚、
図39(a),図40(a) においては、制御バルブの位置が
連続的に選択される機構に適し、閾値の変更が連続的に
行われる。又、図39(b),図40(b) においては、制御
バルブの位置が不連続的に選択される機構に適し、閾値
の変更が不連続的に行われる。
【0095】第13実施例 次に、本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ制御
装置において、上述の制御に振動周波数などに関するパ
ラメータにより閾値を変更する手段を設けて同時に実施
する場合について図41を参照して説明する。加速度信
号を取り込み、その加速度信号がゼロ点と交差する時間
間隔の過去のを数点(1点以上)の平均値を算出し、こ
れを平均値Pt とする。
【0096】そして、図42により上記平均値Pt に対
するバネ上の上下方向速度における閾値Vref+,Vref-
が求められる。尚、図42(a) においては、制御バルブ
の位置が連続的に選択される機構に適し、閾値の変更が
連続的に行われる。又、図42(b) においては、制御バ
ルブの位置が不連続的に選択される機構に適し、閾値の
変更が不連続的に行われる。
【0097】上述したように振動周波数等に関する数値
により閾値を変更する方法について説明したが、その閾
値を変更する代わりにバネ上の上下方向速度に対して所
定のゲインを乗じることにより制御を行っても良い。こ
の場合にも結果的に、閾値を変更したのと同じ効果を得
ることができる。図43〜図46は、上述の図38〜図
40,図42における正・負の閾値をそれぞれ複数(図
では2つずつ)とした場合を示した特性図である。
【0098】尚、図43(a),図44(a),図45(a),図4
6(a) においては、制御バルブの位置が連続的に選択さ
れる機構に適し、閾値の変更が連続的に行われる。又、
図43(b),図44(b),図45(b),図46(b) において
は、制御バルブの位置が不連続的に選択される機構に適
し、閾値の変更が不連続的に行われる。以上説明したよ
うに、閾値の補正、バネ上速度又はバネ上加速度の補正
を行うことにより、高周波振動時には減衰力を小さめに
して振動伝達を抑え、低周波振動時には減衰力を大きめ
にして振動を抑制できる。この結果、車両において乗り
心地の向上が図られる。
【0099】更に、図2に示されたショックアブソーバ
の構造において、減衰係数は制御バルブ回転角θにより
決まる。従って、バネ上振動周波数に応じて、制御バル
ブ回転角θを補正すれば同様に制御できる。例えば、図
6に示したように3モード方式であれば、制御バルブ回
転角はθ+,0°,θ- の3位置が存在するが、バネ上振
動周波数が比較的高い時はθ+,θ-を小さくして、減衰
力を小さめにする。逆に、バネ上振動周波数が比較的低
い時はθ+,θ- を大きくして、減衰力を大きめにすれば
良い。
【0100】上述の制御は、図11に示された多段切替
方式、図18に示された2モード方式においても同様に
行うことができる。上述の実施例では、伸び側専用流路
と縮み側専用流路とを備えた所謂、2ポート式ショック
アブソーバについて述べたが、従来の専用流路が1つの
所謂、1ポート式ショックアブソーバについても同様な
適用が可能である。
【0101】上記1ポート式ショックアブソーバでは、
ショックアブソーバの伸縮に対応して減衰力切替を行わ
ねばならない。ここで、例えば、上述の図38の制御に
適用する場合には、バネ上速度がVref+とVref-との間
にある場合には減衰力を小さくし、バネ上速度がVref+
より大きくなれば伸び側で減衰力を大きく、ショックア
ブソーバ縮み時には減衰力を小さく切り替えれば良い。
【0102】そして、バネ上速度がVref-より小さくな
れば伸び側で減衰力を小さく、ショックアブソーバ縮み
時には減衰力を大きく切り替えれば良い。このように、
本発明の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置は上記
2ポート式ショックアブソーバへの適用に限られるもの
ではない。第14実施例 次に、本発明の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置
において、制御バルブ位置の切替頻度を用いて減衰力制
御する場合について以下に説明する。
【0103】尚、ショックアブソーバについては上述の
第1実施例と同様でありその説明を省略する。第1実施
例と同様に、ショックアブソーバの減衰力が車体の運動
に対し制振作用をする時には減衰力を大きく、減衰力が
車体の運動に対し励振作用をする時には減衰力を小さく
し、更に、上記制振作用をする減衰力の大きさを状況に
応じて選択する。
【0104】具体的には、バネ上速度が正の場合にはシ
ョックアブソーバの伸び側減衰力を大きく縮み側減衰力
を小さくすれば良いから、上述の図5において制御バル
ブ60を回転角プラス(+)側に回動させる。ここで、
例えば、切替頻度が多く、それによりバネ上の高周波振
動が多くゴツゴツ感が問題となる状態と推定した状況の
中では、制御バルブ60のプラス側の回転角をより小さ
めに設定することにより上記制振作用をする伸び側減衰
力を多少小さくし、高周波振動の伝達を弱めながらバネ
上制振との両立を実現する。
【0105】又、バネ上速度が負の場合にはショックア
ブソーバの縮み側減衰力を大きく伸び側減衰力を小さく
すれば良いから、図5において制御バルブ60を回転角
マイナス側に回動させる。ここで、例えば、切替頻度が
多く、それによりバネ上の高周波振動が多くゴツゴツ感
が問題となる状態と推定した状況の中では、制御バルブ
60のマイナス側の回転角をより小さめに設定すること
により上記制振作用をする縮み側減衰力を多少小さく
し、高周波振動の伝達を弱めながらバネ上制振との両立
を実現する。
【0106】又、バネ上速度が比較的小さい場合は、そ
の正負に関わらず、縮み側減衰力及び伸び側減衰力とも
低減衰力として、路面からの急激な入力に備える。以上
の制御を行う時のバネ上の絶対速度とバネ上バネ下間の
相対速度と減衰力の関係を図6に示す。バネ上速度信号
と、閾値Vref+,Vref-との比較によりモードを決定す
る。
【0107】ここで本実施例では、図中の大きな減衰力
の部分の減衰力値を、閾値を横切る回数即ち、切替頻度
であるカウンタCの値に応じて変更する。図47は、バ
ルブ位置切替頻度と図6の第1のモードと第2のモード
における減衰力値を決定する制御バルブ回転角との関係
を示した特性図である。第1のモードの減衰力値をθ+
により決定し、第2のモードの減衰力値をθ-により決
定する。
【0108】本発明の減衰力可変ショックアブソーバ制
御装置において、制御部5における制御を示した図48
のフローチャートに基づき詳細に説明する。先ず、ステ
ップ1200において、制御部5の初期化が実行され
る。次にステップ1202に移行して、経過時間TIMEが
切替頻度の算出のための一定時間Tthに到達したか否か
が判定される。
【0109】ステップ1202で、TIME>Tthであり、
YES と判定されると、ステップ1204に移行し、後述
のステップにて算出されているカウンタCの値と図6の
マップに応じて制御バルブ回転角θ+,θ- を決定する。
この時、カウンタCとθ+ とは正の相関関係にあり、カ
ウンタCとθ- とは負の相関関係にある。次にステップ
1206に移行して、経過時間TIME及びカウンタCをゼ
ロにリセットした後、ステップ1208に移行する。こ
こでカウンタCとは、モードが切り替わった回数を表
す。
【0110】一方、上述のステップ1202で、経過時
間TIMEが切替頻度の算出のための一定時間Tthに到達し
ていないと、ステップ1208に移行する。この時、制
御バルブ回転角θ+,θ- は、初期設定又は以前にステッ
プ1202でYES と判定された時に算出された設定値に
保持されており、経過時間TIMEが一定時間Tthに到達す
るまで、カウンタCの積算を続けている。
【0111】上記ステップ1208では、積分回路2か
らのバネ上速度信号Vを取り込む。次にステップ121
0に移行して、バネ上速度信号Vがバネ上速度閾値Vre
f+(Vref+>0)より大きいか否かが判定される。ステ
ップ1210で、V>Vref+であり、YES と判定される
と、ステップ1212に移行し、制御バルブ60をステ
ップ1204にて決定された回転角θ+ だけ回動させ
る。
【0112】上述のステップ1210で、バネ上速度信
号Vがバネ上速度閾値Vref+以下であるとステップ12
14に移行する。ステップ1214では、バネ上速度信
号Vがバネ上速度閾値Vref- (Vref-<0)より小さい
か否かが判定される。ステップ1214で、V<Vref-
であり、YES と判定されると、ステップ1216に移行
し、制御バルブ60をステップ1204にて決定された
回転角θ- だけ回動させる。
【0113】上述のステップ1214で、バネ上速度信
号Vがバネ上速度閾値Vref-以上であるとステップ12
18に移行する。ステップ1218では、バネ上速度信
号Vがゼロ近傍で、バネ上が安定していると判断できる
ので、急激な外力が加えられてもショックアブソーバで
吸収できるように、縮み側及び伸び側共に減衰力が小さ
くなるようにする。即ち、制御バルブ60の回転角を0
゜とする。
【0114】上述のステップ1218の処理後、ステッ
プ1220に移行し、定数kがaであるか否かが判定さ
れる。ステップ1220で、k=aであり、YES と判定
されると、カウンタCは保持されたまま上述のステップ
1202に戻り、同様の処理が繰り返される。ステップ
1220で、k≠aであると、ステップ1222に移行
し、定数kにaを代入し、ステップ1228に移行す
る。
【0115】ステップ1228では、カウンタCを1だ
け増加させる。上述のステップ1212及びステップ1
216の処理後ステップ1224に移行し、定数kがb
であるか否かが判定される。ステップ1224で、k=
bであり、YES と判定されると、カウンタCは保持され
たまま上述のステップ1202に戻り、同様の処理が繰
り返される。
【0116】ステップ1224で、k≠bであると、ス
テップ1226に移行し、定数kにbを代入し、ステッ
プ1228に移行する。ステップ1228では、同じ
く、カウンタCを1だけ増加させる。そして、ステップ
1228の処理後、上述のステップ1202に戻り、同
様の処理が繰り返される。
【0117】上述のステップ1220〜ステップ122
8では、閾値Vref+,Vref-を横切った時のみカウンタ
Cを増加させ、それ以外はカウンタCの値を保持させた
ままステップ1202に戻るようにしている。この制御
では、一定時間内にバネ上速度が閾値を横切る回数であ
る切替頻度を求めており、結果的に、バネ上の振動周波
数を求め減衰力の大きさを変更するものと同等の効果を
得ることができる。
【0118】以上説明したように、制御バルブ回転角θ
の変更を行うことにより、高周波振動時には減衰力を小
さめにして振動伝達を抑え、低周波振動時には減衰力を
大きめにして振動を抑制できる。この結果、車両におい
て乗り心地の向上が図られる。第15実施例 次に、図6の大きな減衰力の部分に遷移する閾値を、そ
れまでの閾値を横切る回数即ち、切替頻度であるカウン
タCの値に応じて変更する場合について説明する。
【0119】図49は、バルブ位置切替頻度と図6の第
1のモードと第2のモードにおける減衰力値を決定する
バネ上速度閾値との関係を示した特性図である。第1の
モードの減衰力値をVref+により決定し、第2のモード
の減衰力値をVref-により決定する。即ち、本実施例装
置の制御部5の制御では、図50のフローチャートにお
けるステップ1304に示したように、図48における
ステップ1204が変更される。
【0120】以上説明したように、バネ上速度閾値の変
更を行うことにより、高周波振動時には減衰力を小さめ
にして振動伝達を抑え、低周波振動時には減衰力を大き
めにして振動を抑制できる。この結果、車両において乗
り心地の向上が図られる。第16実施例 次に、図6におけるバネ上速度の大きさを、それまでの
バネ上速度が閾値を横切る回数即ち、切替頻度であるカ
ウンタCの値に応じて変更する場合について説明する。
【0121】図51は、バルブ位置切替頻度と図6のバ
ネ上速度(dX2)の大きさを決定する速度ゲインとの
関係を示した特性図である。速度ゲインKv を、それま
でのバネ上速度がVref+,Vref-を横切る回数により決
定する。即ち、本実施例装置の制御部5の制御では、図
52のフローチャートにおけるステップ1404に示し
たように、図48におけるステップ1204が変更され
る。
【0122】以上説明したように、速度ゲインの変更を
行うことにより、高周波振動時には減衰力を小さめにし
て振動伝達を抑え、低周波振動時には減衰力を大きめに
して振動を抑制できる。この結果、車両において乗り心
地の向上が図られる。本発明の減衰力可変ショックアブ
ソーバ制御装置は、上記実施例に限定されるものではな
く、その趣旨を逸脱しない限り例えば、以下の如く種々
変形可能である。
【0123】(1) 車両に前後方向加速度センサ又は横方
向加速度センサを取り付け、このセンサから出力される
信号に基づいて、車両に対して制振作用をする減衰力の
大きさを切り替えても良い。 (2) 車両に車輪速度センサ又は車速センサを取り付け、
このセンサから出力される信号に基づいて、車両に対し
て制振作用をする減衰力の大きさを切り替えても良い。
【0124】(3) 加速度センサによって検出されたバネ
上加速度信号のうちバネ上共振周波数付近の成分を取り
出すローパスフィルタを設け、このローパスフィルタか
らの出力信号に応じて制御を行っても良い。 (4) 振動周波数による制御は行わず、バネ上の上下方向
速度信号のみによる制御を行っても良い。
【0125】(5) 本発明の減衰力ショックアブソーバ制
御装置は、各車輪独立に制御を行っても良いし、車両の
ロール、ピッチ運動の大きさに応じて、バネ上の絶対速
度と、その閾値との比較における信号処理に補正を加え
ても良い。 (6) 本発明の減衰力ショックアブソーバ制御装置は、速
度閾値が複数設定され、それに応じて車両に対して制振
作用をする減衰力を多段あるいは連続的に切り替えるシ
ステムでも良い。
【0126】尚、バネ上の絶対速度とは、各車輪のサス
ペンションアッパーサポート付近の車体の上下方向絶対
速度のことである。又、バネ上バネ下間の相対速度と
は、ショックアブソーバ伸縮速度と考えても良い。又、
一般的にショックアブソーバの減衰力は、ショックアブ
ソーバの伸縮速度に依存するが、本明細書における「減
衰力を大きく」、「減衰力を小さく」、「減衰力の変
更」、「減衰力値を決定」等の表現は、制御における減
衰力の設定の変更を意味している。
【0127】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の減衰力可
変ショックアブソーバ制御装置は、車体の運動に対し制
振作用をする減衰力の大きさを車両の走行状態に応じて
切り替えることができる。これにより、バネ上振動の制
振と路面の細かい凹凸による振動伝達防止が両立され、
スカイフックダンパに近い特性を実現しつつ、乗り心地
が向上できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係る減衰力可変シ
ョックアブソーバ制御装置の全体構成を示したブロック
ダイヤグラムである。
【図2】同実施例に係るショックアブソーバの構造を示
した縦断面図である。
【図3】図2の制御バルブの縦断面図である。
【図4】図2のA−A線及びB−B線に沿ったショック
アブソーバ要部の横断面図である。
【図5】同実施例に係る制御バルブの回転角と連通面積
との関係を示した特性図である。
【図6】同実施例に係るバネ上の絶対速度とバネ上バネ
下間の相対速度と減衰力の関係を示した特性図である。
【図7】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフロ
ーチャートである。
【図8】図7に対応するタイミングチャートである。
【図9】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフロ
ーチャートである。
【図10】図9に対応するタイミングチャートである。
【図11】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置におけるバネ上の絶対速度とバネ上バネ下間の
相対速度と減衰力の関係を示した特性図である。
【図12】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図13】図12に対応するタイミングチャートであ
る。
【図14】図2のショックアブソーバを簡素化した構成
を示した縦断面図である。
【図15】図14の制御バルブの縦断面図である。
【図16】図14のA−A線に沿った横断面図である。
【図17】図14の制御バルブの回転角と連通面積との
関係を示した特性図である。
【図18】同実施例に係るバネ上の絶対速度とバネ上バ
ネ下間の相対速度と減衰力の関係を示した特性図であ
る。
【図19】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図20】図19に対応するタイミングチャートであ
る。
【図21】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図22】図21に対応するタイミングチャートであ
る。
【図23】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図24】図23に対応するタイミングチャートであ
る。
【図25】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図26】図25に対応するタイミングチャートであ
る。
【図27】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図28】図27に対応するタイミングチャートであ
る。
【図29】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図30】図29に対応するタイミングチャートであ
る。
【図31】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図32】図31に対応するタイミングチャートであ
る。
【図33】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図34】図33に対応するタイミングチャートであ
る。
【図35】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置において振動周波数を取り込む場合の全体構成
を示したブロックダイヤグラムである。
【図36】同実施例装置に係るバネ上の上下方向加速度
から高周波振動レベルの算出方法を示した説明図であ
る。
【図37】同実施例装置に係るバネ上の上下方向加速度
から高周波振動レベルの他の算出方法を示した説明図で
ある。
【図38】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における振動状態検出パラメータに対する閾値
の変更を示した特性図である。
【図39】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における低周波振動レベルに対する閾値の変更
を示した特性図である。
【図40】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における高周波振動レベルに対する閾値の変更
を示した特性図である。
【図41】同実施例装置に係るバネ上の上下方向加速度
から振動周波数に関するパラメータの算出方法を示した
説明図である。
【図42】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における振動周波数に関するパラメータに対す
る閾値の変更を示した特性図である。
【図43】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における振動状態検出パラメータに対する閾値
の変更を示した特性図である。
【図44】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における低周波振動レベルに対する閾値の変更
を示した特性図である。
【図45】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における高周波振動レベルに対する閾値の変更
を示した特性図である。
【図46】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置における振動周波数に関するパラメータに対す
る閾値の変更を示した特性図である。
【図47】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置におけるバルブ位置切替頻度に対する制御バル
ブ回転角の関係を示した特性図である。
【図48】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図49】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置におけるバルブ位置切替頻度に対するバネ上速
度閾値の関係を示した特性図である。
【図50】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図51】本発明に係る減衰力可変ショックアブソーバ
制御装置におけるバルブ位置切替頻度に対する速度ゲイ
ンの関係を示した特性図である。
【図52】同実施例に係る制御部の処理手順を示したフ
ローチャートである。
【図53】Karnoppの減衰力制御方法を示した説
明図である。
【図54】Karnoppの制御におけるバネ上の絶対
速度とバネ上バネ下間の相対速度と減衰力の関係を示し
た特性図である。
【符号の説明】
1 加速度センサ 2 積分回路(速度算出手段) 5 制御部(抽出手段、モード切替手段、減衰力可変手
段) 6 アクチュエータ 7 ショックアブソーバ 10 シリンダ 20 メインピストン 60 制御バルブ 2a 上部室 2b 下部室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宝平 欣二 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動流体が蓄えられたシリンダと、該シ
    リンダ内に慴動自在に設けられ、該シリンダの内部を上
    部室と下部室とに区分けするピストン部材と、前記上部
    室と前記下部室との間で前記作動流体の流通を許容する
    少なくとも1つの連通路と、該連通路内に設けられ、該
    連通路の流路面積を変更するバルブ手段とから成るショ
    ックアブソーバと、車両のバネ上の上下方向加速度を検
    出する加速度センサを有し、該加速度センサからの信号
    に基づいてバネ上の上下方向速度を算出し、そのバネ上
    の上下方向速度に応じて前記ショックアブソーバの減衰
    力を変更する減衰力可変ショックアブソーバ制御装置に
    おいて、 前記バネ上の振動レベルを抽出する抽出手段と、 前記バネ上の上下方向速度を算出する速度算出手段と、 縮み側減衰力を小さくしたまま伸び側減衰力を大きく設
    定する第1のモードと伸び側減衰力を小さくしたまま縮
    み側減衰力を大きく設定する第2のモードとの両方又は
    何れか一方と、伸び側及び縮み側減衰力を共に小さくす
    る第3のモードとを有し、前記速度算出手段によって算
    出されるバネ上の上下方向速度に応じて前記バルブ手段
    を作動し前記第1のモードと前記第2のモードと前記第
    3のモードとを切り替えるモード切替手段と、 前記抽出手段による前記バネ上の振動レベルの変化に応
    じて前記第1のモードの伸び側又は前記第2のモードの
    縮み側における減衰力のバネ上の上下方向速度に対する
    特性を変化させる特性可変手段とを備えたことを特徴と
    する減衰力可変ショックアブソーバ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記特性可変手段による特性の変化は、
    前記モード切替手段にて切り替えられる各モードにおけ
    る減衰力の大きさを決定する減衰係数、バネ上の上下方
    向速度に対する閾値、バネ上の上下方向速度の補正値の
    うち何れかを可変することにより行われることを特徴と
    する請求項1記載の減衰力可変ショックアブソーバ制御
    装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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